生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_鎮痒剤
出願番号:2006269952
年次:2008
IPC分類:A61K 31/05,A61P 17/04


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澤村 茂樹 JP 2008088094 公開特許公報(A) 20080417 2006269952 20060929 鎮痒剤 小林製薬株式会社 000186588 三枝 英二 100065215 掛樋 悠路 100076510 中野 睦子 100108084 澤村 茂樹 A61K 31/05 20060101AFI20080324BHJP A61P 17/04 20060101ALI20080324BHJP JPA61K31/05A61P17/04 6 OL 11 4C206 4C206AA01 4C206AA02 4C206CA17 4C206MA01 4C206MA04 4C206NA14 4C206ZA89 本発明は、かゆみ抑制効果に優れた鎮痒剤に関する。 「かゆみ」は、「皮膚を掻破したいという観念を起こさせる感覚」と定義され、概ね不快となる感覚である。「かゆみ」を伴う症状としては、例えばアトピー性皮膚炎、しっしん、虫さされ、乾燥肌、知覚過敏肌等の多様なものがあり、その病態によって、抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、保湿剤等が使用されている。しかしながら、それらは、効力発揮まで時間を要するなど、適用者に充分な満足が得られていなかった。 この様な背景から、かゆみを短時間で効果的に抑制し得る鎮痒剤が求められていた。かゆみを抑制する目的で使用される鎮痒剤は、従来から数多く知られており、例えば、特許文献1には天然油脂と抗酸化剤を配合した皮膚外用剤が開示されている。このような皮膚外用剤中には、保存剤、安定化剤、抗酸化剤等として一般的にブチルヒドロキシトルエンが0.01〜1%程度配合されている。しかしながら、ブチルヒドロキシトルエン自体にかゆみ抑制作用があることは知られていなかった。特開2000−159678 本発明は、虫さされ、知覚過敏肌等のかゆみを効果的に抑制することが可能な鎮痒剤を提供することを主な目的とする。 本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、ブチルヒドロキシトルエン(以下BHTと略記することがある)自体に鎮痒作用があり、BHTを配合した製剤を皮膚に適用すると効果的にかゆみを抑制できることを見出した。BHTは化粧品等の外用剤に広く用いられる成分であるが、専ら酸化防止、安定化等を期待して配合される成分であり、かゆみの軽減を目的として用いることは全く想起されていなかった。本発明は、このような知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、完成されたものである。 本発明は、以下の鎮痒剤を提供する。項1.ブチルヒドロキシトルエン(以下、BHTと示す)を有効成分とする鎮痒剤。項2.BHTが製剤100重量%中に1.5重量%溶解状態で配合されている、項1に記載の鎮痒剤。項3.BHTが固体状態で配合されている、項2に記載の鎮痒剤。項4.固体状態のBHTが7.5〜40重量%配合されている、項3に記載の鎮痒剤。項5.固体状態のBHTの粒子径が1000μm以下であることを特徴とする項3又は4に記載の鎮痒剤。項6.粒子径350μm未満のBHT、粒子径350〜500μmのBHT、粒子径501〜1000μmのBHTを2種以上組み合わせて配合することを特徴とする項3〜5のいずれかに記載の鎮痒剤。 本発明の鎮痒剤は、BHTを有効成分として含有するものである。BHTは鎮痒効果を発揮し、特に、溶解状態と固体状態の両方のBHTを存在させることにより、溶解状態のBHTの鎮痒作用に加えて、固体状態のBHTが患部に物理的な刺激を与えることができるのでかゆみの抑制に即効性がある。一般的に、かゆい部分を物理的に刺激すると、より一層かゆみが増強される傾向があるが、本発明の鎮痒剤は、いわゆるかゆみのぶり返しを抑えることができ、優れた鎮痒効果を奏するものである。 本発明において「かゆみ」とは、前述のように「皮膚を掻破したいという観念を起こさせる感覚」を指す。 本発明の鎮痒剤は、有効成分としてBHTを含有することを主な特徴としている。以下、本発明の鎮痒剤の各成分、製造方法、適用等について説明する。(1)ブチルヒドロキシトルエン(BHT) 本発明の鎮痒剤は、BHTを有効成分として含有する。ブチルヒドロキシトルエンは、白色結晶の形状を有する化合物であり、ジブチルヒドロキシトルエンとも呼ばれるが、両者は同じ化合物([(CH3)3C]2C6H2(CH3)OH)を指す。BHTは、従来、化粧料、医薬品、食品等の酸化防止剤、安定化剤等の用途で配合されている。 BHTとしては、商業的に入手可能なものを用いることができ、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(三栄化工株式会社)、ジブチルヒドロキシトルエン(イーストマン ケミカル ジャパン株式会社、上野製薬株式会社、株式会社エーピーアイコーポレーション、住友化学工業株式会社、長瀬産業株式会社、日揮ユニバーサル株式会社、三菱ウェルファーマ株式会社)等が挙げられる。 本発明におけるBHTの配合量は、とくに限定されないが、溶解状態のBHTで製剤100重量%中に1.5重量%以上であり、好ましくは2〜15重量%程度、より好ましくは5〜15重量%程度、さらに好ましくは7.5〜15重量%程度である。溶解状態のBHTがこの範囲内であると、特に優れた鎮痒効果を得ることができるとともに製剤として安定なものにすることができる。 また、本発明において、溶解状態のBHTの配合量が少ない(例えば、5重量%以下)場合であっても、BHTを固体状態で存在させることにより、患部へ塗布する際に固体状態のBHTが患部に適度な物理的刺激を与え、かゆみを刺激感に置換し、優れた鎮痒効果を発揮することができる。ここで、「かゆみを刺激感に置換する」とは、短期的(瞬間的に)に皮膚感覚を「かゆみ」以外の刺激(例えば、掻いた感じ)を感じる状態にすることを指す。 本発明に使用されるBHTは固体状態で配合する場合、BHTの粒子径は1000μm以下程度であり、好ましくは1000〜50μm程度、より好ましくは1000〜100μm程度、さらに好ましくは1000〜180μm程度である。ここで、各粒子径を有するBHTは、BHTを乳鉢などで粉砕した後、各径を有する篩等に供することで得ることができる。 また、本発明においては異なる粒子径を有する固体状態のBHTを組み合わせて用いることによって、より優れた効果が得られることから、2種以上の粒子径を有するBHTを組み合わせて配合することが望ましく、例えば、粒子径350μm未満のBHT、粒子径350〜500μmのBHT、粒子径501〜1000μmのBHTを2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましい組み合わせとしては、例えば、(a)501〜1000μm程度の粒子径を有するBHT及び350〜500μm程度の粒子径を有するBHTの組み合わせ;(b)350μm未満程度の粒子径を有するBHT及び350〜500μm程度の粒子径を有するBHTの組み合わせ等が挙げられる。 2種以上の粒子径を有するBHTを組み合わせて用いる場合、各粒子径を有するBHTの配合割合は、痒みの刺激感への置換作用を発揮し得る範囲であれば適宜設定することができるが、例えば、上記(a)の組み合わせであれば、350〜500μm程度の粒子径を有するBHT1重量部とした場合、501〜1000μm程度の粒子径を有するBHTを0.1〜10重量部程度、好ましくは0.25〜7.5重量部程度、より好ましくは0.5〜5重量部程度;上記(b)の組み合わせであれば、350〜500μm程度の粒子径を有するBHT1重量部とした場合、350μm未満程度の粒子径を有するBHTを、0.1〜10重量部程度、好ましくは0.25〜7.5重量部程度、より好ましくは0.5〜5重量部程度の割合で組み合わせて用いる。 本発明の限定的解釈を望むものではないが、本発明の鎮痒剤に粒子径が不均一なBHTを配合することによって、さまざまな刺激感を与えることができ、より顕著に本発明の効果が奏されると考えられる。 本発明の鎮痒剤における固体状態のBHTの配合量は、鎮痒効果と製剤としての安定性を考慮して、製剤100重量%中に7.5〜40重量%程度、好ましくは8〜35重量%程度、より好ましくは10〜30重量%程度である。 また、本発明の鎮痒剤におけるBHTの総量は、約1.5重量%以上、好ましくは約7.5重量%以上、より好ましくは9〜45重量%程度、さらに好ましくは10〜35重量%程度、とくに好ましくは10〜30重量%程度である。このような配合量であれば、本発明のかゆみの抑制効果がより顕著に発揮され、かつ製剤として安定したものとすることができる。(2)その他の成分 本発明の鎮痒剤には、前記BHTの他、必要に応じてアルコールが配合される。アルコールはBHTを溶解する際に用いることができ、例えば、BHT1重量部に対して、アルコールを約3重量部より多く配合することでBHTを溶解させることができる。 本発明において使用されるアルコールとしては、化粧料、医薬品の分野において一般的に使用されているものであれば特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等の炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3の低級アルコール;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ブチレングリコール、濃グリセリン、ポリエチレングリコール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール等の多価アルコールなどが例示される。これらを1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、低級アルコールは、無水、含水の別を問わない。本発明においては、(含水)エタノール、無水エタノール、イソプロパノールを用いることが好ましい。 本発明の鎮痒剤におけるアルコールの配合量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、0〜92重量%程度、好ましくは5〜92重量%程度、より好ましくは5〜86.2重量%程度、さらに好ましくは5〜61重量%程度である。ただし、固体状態のBHTを含有させる場合は、製剤中のBHT1重量部に対して、アルコール約3重量部以下、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下となるようにすることが望ましい。 さらに、本発明の鎮痒剤には、必要に応じて水、水溶性高分子等を配合してもよい。水溶性高分子としては、従来公知のものを使用することができるが、例えばカルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、プルラン、寒天、ゼラチン、アルギン酸及びその塩、カラギーナン、ガム類(例えばグアーガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、トラガカントガム)等が挙げられる。これらを1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 本発明の鎮痒剤における水の配合量は、例えば、0〜87重量%程度、好ましくは3〜86.2重量%程度、より好ましくは28〜80重量%程度;水溶性高分子の配合量は、例えば、0.5〜5重量%程度、好ましくは0.8〜4重量%程度、より好ましくは1〜3重量%程度である。 本発明の典型的な処方例としては、BHTを10〜35重量%、アルコールを5〜86.2重量%、水溶性高分子を0.8〜4重量%、水3〜86.2重量%含有する鎮痒剤が例示される。 本発明の鎮痒剤には、上記以外にも必要に応じて、化粧料、医薬部外品、医薬品に一般的に用いられる各種成分、水性成分、油性成分、保湿成分、賦形剤、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、担体、香料、色剤、薬剤等を単独又は2種以上を混合と組み合わせて各種剤型に調製することもできる。また、本発明の鎮痒剤には、本発明の効果を損なわない範囲内で、公知の局所麻酔剤、消炎剤、保湿剤等を含んでもよく、例えば、リドカイン、ジブカイン、塩酸ジブカイン、ジフェンヒドラミン、アミノ安息香酸エチル、デシットテシチン等の局所麻酔剤;マレイン酸クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、アラントイン、サリチル酸メチル等の消炎剤;l−メントール、dl−メントール、カンフル、dl−カンフル、乳酸メンチル等の清涼化剤;尿素、サリチル酸、ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿剤;イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、第四級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなど)、塩酸クロルヘキシジン、スルファジアジン等の殺菌剤;硝酸オキシコナゾール、塩酸ブテナフィン、塩酸アモロルフィン、塩酸テルビナフィン、ラノコナゾール等の抗真菌剤;トウガラシチンキ、カプサイシン等の温熱成分等が挙げられる。 本発明の鎮痒剤の剤型としては、使用方法や適用部分に従って従来公知の剤型に調製することができるが、例えば、軟膏、ローション、ゲル、エアゾール剤等が挙げられる。 本発明の鎮痒剤には、所望の剤型とするための基剤が適当量含有される。例えば、これに限られるものではないが、パラフィン、ワセリン、スクワラン、パラフィン、白ロウ、プラスチベース、ポリエチレングリコール、マクロゴール、ラウロマクロゴール、シリコン油、シリコン、ポリソルベート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ヤシ油などの油系基剤;セタノール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール;脂肪酸エステル(ミリスチン酸イソプロピル、ソルビタン脂肪酸エステルなど)、高級脂肪酸塩型乳化剤、高度精製卵黄レシチン、大豆レシチン、精製大豆レシチン、サラシミツロウ、プロピレンカーボネート、卵黄リン脂質、卵黄油、ヤシ油脂肪酸、ラウリル硫酸ナトリウム、その他イオン性、非イオン性界面活性剤などの乳化剤;リン酸、酢酸、塩酸、水酸化ナトリウムなどのpH調整剤;液化石油ガス、ジメチルエーテルなどの噴射剤などが挙げられる。 本発明の鎮痒剤は、以上の成分を従来公知の方法に従って混合し、調製することができる。調製における温度、各成分の添加の順番、混合時間等の条件は、各成分の物理的又は化学的性質、濃度、機器の応力等に応じ、当該分野の技術常識に基づいて適宜設定することができるが、例えば次の方法が挙げられる。 水溶性成分を水に溶解して水相を調製する。水相とは別に、アルコール溶解性成分及びBHTをアルコールに溶解してアルコール相を調製する。得られた水相及びアルコール相を均質になるように攪拌混合し、本発明の鎮痒剤を得ることができる。また、固体状態のBHTを配合する場合は、攪拌混合後にさらに添加することができる。 本発明の鎮痒剤は、かゆみ(掻痒感)を軽減する鎮痒剤として使用することができ、この目的において使用されるのであれば適用対象は特に限定されない。本発明の鎮痒剤の適用対象としては、例えば、しっしん、虫さされ、乾燥肌、知覚過敏肌等のかゆみを伴う症状が挙げられる。 本発明の鎮痒剤を前記のかゆみの軽減を目的として使用する場合は、皮膚のかゆい部分に本発明の鎮痒剤の適量を塗り広げればよい。塗り広げることによって、BHTの鎮痒作用により、かゆみをぶりかえすことなく抑制することができる。さらに固体状態でBHTを配合した場合には適度な物理的な刺激が伴うためにさらに素早くかゆみを抑制することができる。 以下に実施例等を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。 下記表1に示される処方に基づいて各種成分を配合し、製剤を得た。具体的には、水を攪拌しながらカルボキシビニルポリマーを徐々に添加し、さらに攪拌混合して水相を調製した。水相とは別に、アルコール(無水エタノール及びプロピレングリコール)、BHT(ブチルヒドロキシトルエン:三栄化工株式会社)及びトリエタノールアミンを攪拌混合してアルコール相を調製した。前記で得られた水相を攪拌しながら、アルコール相を徐々に添加し、さらに攪拌混合することによって各製剤を得た。固体状態のBHTを配合する場合は、水相とアルコール相を攪拌した後に添加し、さらに攪拌混合して製した。ここで、BHTは、乳鉢中で粉砕し、各径を有する篩で分類したものを用いた。 得られた製剤を常温(約25℃)にて1週間保存した後、その性状を目視により確認し、安定性を評価した。具体的には、分散性(BHT粒子の沈降や団粒化(粒子の凝集)の有無)、保型性(粘度低下等の初期性状と比較した場合の明らかな変化の有無)、BHT粒子が固体の性状を維持しているかどうか(軟化、溶解の有無)について確認した。これらの性状のいずれにも変化が無かった場合は○とし、いずれか1つでも変化が確認された場合は×とした。 さらに、安定性の評価結果が「○」の製剤を、虫さされ等によるかゆみを訴える被験者10名の患部に塗布し、各製剤の効果を5段階で評価した。評価は、非常にかゆい場合を1点、全くかゆくない場合を5点とした。また、製剤の適用しやすさ(塗布しにくい場合を1点、非常に塗布しやすい場合を5点)、かゆみの刺激感(掻いた感じ)への置換(刺激感に置換されにくい場合を1点、刺激感に置換されやすい場合を5点)に関する評価も併せて行った。なお、かゆみの刺激感への置換についての評価は、実施例1〜6と比較例1〜2の製剤を使用した場合のみ評価した。 各被験者による評点を合計し、合計点が45〜50点:◎、35〜45点:○、25〜35点;△、25点未満:×とした。 これらの評価結果を表1に示す。表中、CVPはカルボキシビニルポリマー、HPCはヒドロキシプロピルセルロース、PGはプロピレングリコール、EDTAはエチレンジアミン四酢酸を表す。 なお、比較例3は保型性を有さない液状を呈し、比較例6は白濁した軟膏状を呈した。 表1に示される結果より、BHT(溶解状態)を含有する製剤(特に実施例7〜11)は、比較例4〜6等に含まれる鎮痒作用を有する化合物と同等以上の優れた痒み止め効果を発揮することが示された。さらに、溶解状態のBHTに加えて固体状態のBHTを含有する製剤(実施例1〜6)は、かゆみ止め効果に加えて、かゆみを刺激感に置換する作用にも優れていることが示された。すなわち、本発明における鎮痒剤は、即効性かつ持続性のあるかゆみ抑制効果に優れていることが示された。特に2種類の粒子径を有する固体状態のBHTを含有する鎮痒剤(実施例2〜6)は、より優れたかゆみを刺激感に置換する作用、すなわち即効性のある痒み抑制効果を発揮し得ることが示された。また、溶解状態のBHTを製剤中に1重量%と低濃度で含有した場合、かゆみ抑制効果はみられなかったが(比較例7)、固体状態のBHTと組み合わせて用いることで、かゆみを刺激感に置換する作用が溶解状態のBHTによるかゆみ抑制効果を補い、全体として優れたかゆみ抑制効果を発揮することが示された(実施例6)。 一方、従来BHTと同様に安定化剤、酸化防止剤として知られている固体、液体の化合物を含有させた製剤(比較例1及び2)では、痒み止め効果は認められないばかりか、かゆみを刺激感に置換する作用も有していなかった。比較例3に至っては、製剤の安定性が悪く、実際に適用することができなかった。 以下に処方例を示す。 (表2続き) 処方例1〜23、25および26は、ゲル状製剤(軟膏剤)である。また、処方例24は、粘性の液状製剤である。処方例24は、噴射剤とともに充填してエアゾール剤に製することができる。 ブチルヒドロキシトルエン(以下、BHTと示す)を有効成分とする鎮痒剤。 BHTが製剤100重量%中に1.5重量%溶解状態で配合されている、請求項1に記載の鎮痒剤。 BHTが固体状態で配合されている、請求項2に記載の鎮痒剤。 BHTが製剤100重量%中に7.5〜40重量%固体状態で配合されている、請求項3に記載の鎮痒剤。 固体状態のBHTの粒子径が1000μm以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載の鎮痒剤。 粒子径350μm未満のBHT、粒子径350〜500μmのBHT、粒子径501〜1000μmのBHTを2種以上組み合わせて配合することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の鎮痒剤。 【課題】虫さされ、知覚過敏肌等のかゆみを抑制し、さらに刺激感に置換し、即効的にかゆみを抑制することも可能な鎮痒剤を提供する。【解決手段】ブチルヒドロキシトルエンを有効成分として含有する鎮痒剤。【選択図】なし


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特許公報(B2)_鎮痒剤

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_鎮痒剤
出願番号:2006269952
年次:2014
IPC分類:A61K 31/05,A61P 17/04


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澤村 茂樹 JP 5565995 特許公報(B2) 20140627 2006269952 20060929 鎮痒剤 小林製薬株式会社 000186588 特許業務法人三枝国際特許事務所 110000796 澤村 茂樹 20140806 A61K 31/05 20060101AFI20140717BHJP A61P 17/04 20060101ALI20140717BHJP JPA61K31/05A61P17/04 A61K31/00-31/327 CA/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN) 特開平7−126158(JP,A) 特開2005−515204(JP,A) 特開2001−233764(JP,A) 特開平4−103526(JP,A) 特開昭63−255224(JP,A) 特開昭63−255219(JP,A) 4 2008088094 20080417 11 20090826 2012020429 20121017 内田 淳子 増山 淳子 渕野 留香 本発明は、かゆみ抑制効果に優れた鎮痒剤に関する。 「かゆみ」は、「皮膚を掻破したいという観念を起こさせる感覚」と定義され、概ね不快となる感覚である。「かゆみ」を伴う症状としては、例えばアトピー性皮膚炎、しっしん、虫さされ、乾燥肌、知覚過敏肌等の多様なものがあり、その病態によって、抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、保湿剤等が使用されている。しかしながら、それらは、効力発揮まで時間を要するなど、適用者に充分な満足が得られていなかった。 この様な背景から、かゆみを短時間で効果的に抑制し得る鎮痒剤が求められていた。かゆみを抑制する目的で使用される鎮痒剤は、従来から数多く知られており、例えば、特許文献1には天然油脂と抗酸化剤を配合した皮膚外用剤が開示されている。このような皮膚外用剤中には、保存剤、安定化剤、抗酸化剤等として一般的にブチルヒドロキシトルエンが0.01〜1%程度配合されている。しかしながら、ブチルヒドロキシトルエン自体にかゆみ抑制作用があることは知られていなかった。特開2000−159678 本発明は、虫さされ、知覚過敏肌等のかゆみを効果的に抑制することが可能な鎮痒剤を提供することを主な目的とする。 本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、ブチルヒドロキシトルエン(以下BHTと略記することがある)自体に鎮痒作用があり、BHTを配合した製剤を皮膚に適用すると効果的にかゆみを抑制できることを見出した。BHTは化粧品等の外用剤に広く用いられる成分であるが、専ら酸化防止、安定化等を期待して配合される成分であり、かゆみの軽減を目的として用いることは全く想起されていなかった。本発明は、このような知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、完成されたものである。 本発明は、以下の鎮痒剤を提供する。項1.ブチルヒドロキシトルエン(以下、BHTと示す)を有効成分とする鎮痒剤。項2.BHTが製剤100重量%中に1.5重量%溶解状態で配合されている、項1に記載の鎮痒剤。項3.BHTが固体状態で配合されている、項2に記載の鎮痒剤。項4.固体状態のBHTが7.5〜40重量%配合されている、項3に記載の鎮痒剤。項5.固体状態のBHTの粒子径が1000μm以下であることを特徴とする項3又は4に記載の鎮痒剤。項6.粒子径350μm未満のBHT、粒子径350〜500μmのBHT、粒子径501〜1000μmのBHTを2種以上組み合わせて配合することを特徴とする項3〜5のいずれかに記載の鎮痒剤。 本発明の鎮痒剤は、BHTを有効成分として含有するものである。BHTは鎮痒効果を発揮し、特に、溶解状態と固体状態の両方のBHTを存在させることにより、溶解状態のBHTの鎮痒作用に加えて、固体状態のBHTが患部に物理的な刺激を与えることができるのでかゆみの抑制に即効性がある。一般的に、かゆい部分を物理的に刺激すると、より一層かゆみが増強される傾向があるが、本発明の鎮痒剤は、いわゆるかゆみのぶり返しを抑えることができ、優れた鎮痒効果を奏するものである。 本発明において「かゆみ」とは、前述のように「皮膚を掻破したいという観念を起こさせる感覚」を指す。 本発明の鎮痒剤は、有効成分としてBHTを含有することを主な特徴としている。以下、本発明の鎮痒剤の各成分、製造方法、適用等について説明する。(1)ブチルヒドロキシトルエン(BHT) 本発明の鎮痒剤は、BHTを有効成分として含有する。ブチルヒドロキシトルエンは、白色結晶の形状を有する化合物であり、ジブチルヒドロキシトルエンとも呼ばれるが、両者は同じ化合物([(CH3)3C]2C6H2(CH3)OH)を指す。BHTは、従来、化粧料、医薬品、食品等の酸化防止剤、安定化剤等の用途で配合されている。 BHTとしては、商業的に入手可能なものを用いることができ、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(三栄化工株式会社)、ジブチルヒドロキシトルエン(イーストマン ケミカル ジャパン株式会社、上野製薬株式会社、株式会社エーピーアイコーポレーション、住友化学工業株式会社、長瀬産業株式会社、日揮ユニバーサル株式会社、三菱ウェルファーマ株式会社)等が挙げられる。 本発明におけるBHTの配合量は、とくに限定されないが、溶解状態のBHTで製剤100重量%中に1.5重量%以上であり、好ましくは2〜15重量%程度、より好ましくは5〜15重量%程度、さらに好ましくは7.5〜15重量%程度である。溶解状態のBHTがこの範囲内であると、特に優れた鎮痒効果を得ることができるとともに製剤として安定なものにすることができる。 また、本発明において、溶解状態のBHTの配合量が少ない(例えば、5重量%以下)場合であっても、BHTを固体状態で存在させることにより、患部へ塗布する際に固体状態のBHTが患部に適度な物理的刺激を与え、かゆみを刺激感に置換し、優れた鎮痒効果を発揮することができる。ここで、「かゆみを刺激感に置換する」とは、短期的(瞬間的に)に皮膚感覚を「かゆみ」以外の刺激(例えば、掻いた感じ)を感じる状態にすることを指す。 本発明に使用されるBHTは固体状態で配合する場合、BHTの粒子径は1000μm以下程度であり、好ましくは1000〜50μm程度、より好ましくは1000〜100μm程度、さらに好ましくは1000〜180μm程度である。ここで、各粒子径を有するBHTは、BHTを乳鉢などで粉砕した後、各径を有する篩等に供することで得ることができる。 また、本発明においては異なる粒子径を有する固体状態のBHTを組み合わせて用いることによって、より優れた効果が得られることから、2種以上の粒子径を有するBHTを組み合わせて配合することが望ましく、例えば、粒子径350μm未満のBHT、粒子径350〜500μmのBHT、粒子径501〜1000μmのBHTを2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましい組み合わせとしては、例えば、(a)501〜1000μm程度の粒子径を有するBHT及び350〜500μm程度の粒子径を有するBHTの組み合わせ;(b)350μm未満程度の粒子径を有するBHT及び350〜500μm程度の粒子径を有するBHTの組み合わせ等が挙げられる。 2種以上の粒子径を有するBHTを組み合わせて用いる場合、各粒子径を有するBHTの配合割合は、痒みの刺激感への置換作用を発揮し得る範囲であれば適宜設定することができるが、例えば、上記(a)の組み合わせであれば、350〜500μm程度の粒子径を有するBHT1重量部とした場合、501〜1000μm程度の粒子径を有するBHTを0.1〜10重量部程度、好ましくは0.25〜7.5重量部程度、より好ましくは0.5〜5重量部程度;上記(b)の組み合わせであれば、350〜500μm程度の粒子径を有するBHT1重量部とした場合、350μm未満程度の粒子径を有するBHTを、0.1〜10重量部程度、好ましくは0.25〜7.5重量部程度、より好ましくは0.5〜5重量部程度の割合で組み合わせて用いる。 本発明の限定的解釈を望むものではないが、本発明の鎮痒剤に粒子径が不均一なBHTを配合することによって、さまざまな刺激感を与えることができ、より顕著に本発明の効果が奏されると考えられる。 本発明の鎮痒剤における固体状態のBHTの配合量は、鎮痒効果と製剤としての安定性を考慮して、製剤100重量%中に7.5〜40重量%程度、好ましくは8〜35重量%程度、より好ましくは10〜30重量%程度である。 また、本発明の鎮痒剤におけるBHTの総量は、約1.5重量%以上、好ましくは約7.5重量%以上、より好ましくは9〜45重量%程度、さらに好ましくは10〜35重量%程度、とくに好ましくは10〜30重量%程度である。このような配合量であれば、本発明のかゆみの抑制効果がより顕著に発揮され、かつ製剤として安定したものとすることができる。(2)その他の成分 本発明の鎮痒剤には、前記BHTの他、必要に応じてアルコールが配合される。アルコールはBHTを溶解する際に用いることができ、例えば、BHT1重量部に対して、アルコールを約3重量部より多く配合することでBHTを溶解させることができる。 本発明において使用されるアルコールとしては、化粧料、医薬品の分野において一般的に使用されているものであれば特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等の炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3の低級アルコール;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ブチレングリコール、濃グリセリン、ポリエチレングリコール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール等の多価アルコールなどが例示される。これらを1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、低級アルコールは、無水、含水の別を問わない。本発明においては、(含水)エタノール、無水エタノール、イソプロパノールを用いることが好ましい。 本発明の鎮痒剤におけるアルコールの配合量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、0〜92重量%程度、好ましくは5〜92重量%程度、より好ましくは5〜86.2重量%程度、さらに好ましくは5〜61重量%程度である。ただし、固体状態のBHTを含有させる場合は、製剤中のBHT1重量部に対して、アルコール約3重量部以下、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下となるようにすることが望ましい。 さらに、本発明の鎮痒剤には、必要に応じて水、水溶性高分子等を配合してもよい。水溶性高分子としては、従来公知のものを使用することができるが、例えばカルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、プルラン、寒天、ゼラチン、アルギン酸及びその塩、カラギーナン、ガム類(例えばグアーガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、トラガカントガム)等が挙げられる。これらを1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 本発明の鎮痒剤における水の配合量は、例えば、0〜87重量%程度、好ましくは3〜86.2重量%程度、より好ましくは28〜80重量%程度;水溶性高分子の配合量は、例えば、0.5〜5重量%程度、好ましくは0.8〜4重量%程度、より好ましくは1〜3重量%程度である。 本発明の典型的な処方例としては、BHTを10〜35重量%、アルコールを5〜86.2重量%、水溶性高分子を0.8〜4重量%、水3〜86.2重量%含有する鎮痒剤が例示される。 本発明の鎮痒剤には、上記以外にも必要に応じて、化粧料、医薬部外品、医薬品に一般的に用いられる各種成分、水性成分、油性成分、保湿成分、賦形剤、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、担体、香料、色剤、薬剤等を単独又は2種以上を混合と組み合わせて各種剤型に調製することもできる。また、本発明の鎮痒剤には、本発明の効果を損なわない範囲内で、公知の局所麻酔剤、消炎剤、保湿剤等を含んでもよく、例えば、リドカイン、ジブカイン、塩酸ジブカイン、ジフェンヒドラミン、アミノ安息香酸エチル、デシットテシチン等の局所麻酔剤;マレイン酸クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、アラントイン、サリチル酸メチル等の消炎剤;l−メントール、dl−メントール、カンフル、dl−カンフル、乳酸メンチル等の清涼化剤;尿素、サリチル酸、ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿剤;イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、第四級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなど)、塩酸クロルヘキシジン、スルファジアジン等の殺菌剤;硝酸オキシコナゾール、塩酸ブテナフィン、塩酸アモロルフィン、塩酸テルビナフィン、ラノコナゾール等の抗真菌剤;トウガラシチンキ、カプサイシン等の温熱成分等が挙げられる。 本発明の鎮痒剤の剤型としては、使用方法や適用部分に従って従来公知の剤型に調製することができるが、例えば、軟膏、ローション、ゲル、エアゾール剤等が挙げられる。 本発明の鎮痒剤には、所望の剤型とするための基剤が適当量含有される。例えば、これに限られるものではないが、パラフィン、ワセリン、スクワラン、パラフィン、白ロウ、プラスチベース、ポリエチレングリコール、マクロゴール、ラウロマクロゴール、シリコン油、シリコン、ポリソルベート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ヤシ油などの油系基剤;セタノール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール;脂肪酸エステル(ミリスチン酸イソプロピル、ソルビタン脂肪酸エステルなど)、高級脂肪酸塩型乳化剤、高度精製卵黄レシチン、大豆レシチン、精製大豆レシチン、サラシミツロウ、プロピレンカーボネート、卵黄リン脂質、卵黄油、ヤシ油脂肪酸、ラウリル硫酸ナトリウム、その他イオン性、非イオン性界面活性剤などの乳化剤;リン酸、酢酸、塩酸、水酸化ナトリウムなどのpH調整剤;液化石油ガス、ジメチルエーテルなどの噴射剤などが挙げられる。 本発明の鎮痒剤は、以上の成分を従来公知の方法に従って混合し、調製することができる。調製における温度、各成分の添加の順番、混合時間等の条件は、各成分の物理的又は化学的性質、濃度、機器の応力等に応じ、当該分野の技術常識に基づいて適宜設定することができるが、例えば次の方法が挙げられる。 水溶性成分を水に溶解して水相を調製する。水相とは別に、アルコール溶解性成分及びBHTをアルコールに溶解してアルコール相を調製する。得られた水相及びアルコール相を均質になるように攪拌混合し、本発明の鎮痒剤を得ることができる。また、固体状態のBHTを配合する場合は、攪拌混合後にさらに添加することができる。 本発明の鎮痒剤は、かゆみ(掻痒感)を軽減する鎮痒剤として使用することができ、この目的において使用されるのであれば適用対象は特に限定されない。本発明の鎮痒剤の適用対象としては、例えば、しっしん、虫さされ、乾燥肌、知覚過敏肌等のかゆみを伴う症状が挙げられる。 本発明の鎮痒剤を前記のかゆみの軽減を目的として使用する場合は、皮膚のかゆい部分に本発明の鎮痒剤の適量を塗り広げればよい。塗り広げることによって、BHTの鎮痒作用により、かゆみをぶりかえすことなく抑制することができる。さらに固体状態でBHTを配合した場合には適度な物理的な刺激が伴うためにさらに素早くかゆみを抑制することができる。 以下に実施例等を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。 下記表1に示される処方に基づいて各種成分を配合し、製剤を得た。具体的には、水を攪拌しながらカルボキシビニルポリマーを徐々に添加し、さらに攪拌混合して水相を調製した。水相とは別に、アルコール(無水エタノール及びプロピレングリコール)、BHT(ブチルヒドロキシトルエン:三栄化工株式会社)及びトリエタノールアミンを攪拌混合してアルコール相を調製した。前記で得られた水相を攪拌しながら、アルコール相を徐々に添加し、さらに攪拌混合することによって各製剤を得た。固体状態のBHTを配合する場合は、水相とアルコール相を攪拌した後に添加し、さらに攪拌混合して製した。ここで、BHTは、乳鉢中で粉砕し、各径を有する篩で分類したものを用いた。 得られた製剤を常温(約25℃)にて1週間保存した後、その性状を目視により確認し、安定性を評価した。具体的には、分散性(BHT粒子の沈降や団粒化(粒子の凝集)の有無)、保型性(粘度低下等の初期性状と比較した場合の明らかな変化の有無)、BHT粒子が固体の性状を維持しているかどうか(軟化、溶解の有無)について確認した。これらの性状のいずれにも変化が無かった場合は○とし、いずれか1つでも変化が確認された場合は×とした。 さらに、安定性の評価結果が「○」の製剤を、虫さされ等によるかゆみを訴える被験者10名の患部に塗布し、各製剤の効果を5段階で評価した。評価は、非常にかゆい場合を1点、全くかゆくない場合を5点とした。また、製剤の適用しやすさ(塗布しにくい場合を1点、非常に塗布しやすい場合を5点)、かゆみの刺激感(掻いた感じ)への置換(刺激感に置換されにくい場合を1点、刺激感に置換されやすい場合を5点)に関する評価も併せて行った。なお、かゆみの刺激感への置換についての評価は、実施例1〜6と比較例1〜2の製剤を使用した場合のみ評価した。 各被験者による評点を合計し、合計点が45〜50点:◎、35〜45点:○、25〜35点;△、25点未満:×とした。 これらの評価結果を表1に示す。表中、CVPはカルボキシビニルポリマー、HPCはヒドロキシプロピルセルロース、PGはプロピレングリコール、EDTAはエチレンジアミン四酢酸を表す。 なお、比較例3は保型性を有さない液状を呈し、比較例6は白濁した軟膏状を呈した。 表1に示される結果より、BHT(溶解状態)を含有する製剤(特に実施例7〜11)は、比較例4〜6等に含まれる鎮痒作用を有する化合物と同等以上の優れた痒み止め効果を発揮することが示された。さらに、溶解状態のBHTに加えて固体状態のBHTを含有する製剤(実施例1〜6)は、かゆみ止め効果に加えて、かゆみを刺激感に置換する作用にも優れていることが示された。すなわち、本発明における鎮痒剤は、即効性かつ持続性のあるかゆみ抑制効果に優れていることが示された。特に2種類の粒子径を有する固体状態のBHTを含有する鎮痒剤(実施例2〜6)は、より優れたかゆみを刺激感に置換する作用、すなわち即効性のある痒み抑制効果を発揮し得ることが示された。また、溶解状態のBHTを製剤中に1重量%と低濃度で含有した場合、かゆみ抑制効果はみられなかったが(比較例7)、固体状態のBHTと組み合わせて用いることで、かゆみを刺激感に置換する作用が溶解状態のBHTによるかゆみ抑制効果を補い、全体として優れたかゆみ抑制効果を発揮することが示された(実施例6)。 一方、従来BHTと同様に安定化剤、酸化防止剤として知られている固体、液体の化合物を含有させた製剤(比較例1及び2)では、痒み止め効果は認められないばかりか、かゆみを刺激感に置換する作用も有していなかった。比較例3に至っては、製剤の安定性が悪く、実際に適用することができなかった。 以下に処方例を示す。 (表2続き) 処方例1〜23、25および26は、ゲル状製剤(軟膏剤)である。また、処方例24は、粘性の液状製剤である。処方例24は、噴射剤とともに充填してエアゾール剤に製することができる。ブチルヒドロキシトルエン(以下、BHTと示す)を溶解状態及び固体状態で含有する鎮痒剤であって、製剤100重量%中の溶解状態のBHTの割合が1.5〜15重量%である鎮痒剤。製剤100重量%中の固体状態のBHTの割合が7.5〜40重量%である、請求項1に記載の鎮痒剤。固体状態のBHTの粒子径が1000μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の鎮痒剤。粒子径350μm未満のBHT、粒子径350〜500μmのBHT、粒子径501〜1000μmのBHTを2種以上組み合わせて配合することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の鎮痒剤。


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