生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_有機酸からのヨウ素化合物除去方法
出願番号:2006258437
年次:2008
IPC分類:C07C 51/47,B01J 31/08,C07C 53/08,B01J 39/04,B01J 39/18


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梅原 洋一 皆見 武志 山本 進 小林 治人 細野 恭生 JP 2008074808 公開特許公報(A) 20080403 2006258437 20060925 有機酸からのヨウ素化合物除去方法 千代田化工建設株式会社 000003285 岡部 正夫 100064447 加藤 伸晃 100085176 岡部 讓 100094112 臼井 伸一 100096943 藤野 育男 100091889 本宮 照久 100096688 高梨 憲通 100102808 小林 恒夫 100128646 齋藤 正巳 100128668 木村 克彦 100134393 梅原 洋一 皆見 武志 山本 進 小林 治人 細野 恭生 C07C 51/47 20060101AFI20080307BHJP B01J 31/08 20060101ALI20080307BHJP C07C 53/08 20060101ALI20080307BHJP B01J 39/04 20060101ALI20080307BHJP B01J 39/18 20060101ALI20080307BHJP JPC07C51/47B01J31/08 MC07C53/08B01J39/04 HB01J39/18 3 2 OL 8 4G169 4H006 4G169AA02 4G169BA24A 4G169BA24B 4G169CB75 4G169EB18X 4G169EB18Y 4G169EC15X 4G169EC15Y 4H006AA02 4H006AC46 4H006AD17 4H006BA05 4H006BA72 4H006DA64 本発明は、有機酸からのヨウ素化合物除去方法に関する。特に本発明は、メタノールカルボニル化法により合成した酢酸からヨウ素化合物を除去して精製する方法に関する。 ロジウム触媒の存在下にメタノールを一酸化炭素でカルボニル化して酢酸を製造する方法は、いわゆる「モンサント法」としてよく知られている。モンサント法(あるいはカルボニル化法)には、酢酸を溶媒として用い、これに原料メタノールを加え、触媒としてロジウム化合物を溶解させ、この反応液中に一酸化炭素ガスを吹き込むもの(均一系触媒反応)と、上記ロジウム化合物を反応液中に溶解させる代わりに、これを担体に担持させた固体触媒を懸濁させるもの(不均一系触媒反応)とがあるが、いずれの場合にも、当該反応液中には助触媒(反応促進剤)としてさらにヨウ化メチルなどのヨウ素化合物が加えられるため、カルボニル化法により製造される酢酸中には、蒸留による精製後においても、ヨウ素化合物が数十ないし数百ppb(μg/kg)程度残留する。こうして酢酸中に残留するヨウ素化合物は、たとえば酢酸をVAM(酢酸ビニル)の原料として用いる場合、VAM合成触媒に対して触媒毒として作用するため、これを数ppb程度にまで除去しておく必要がある。 酢酸中に残留するヨウ素化合物を除去する方法としては、銀や水銀をイオン交換担持したマクロポーラス型(多孔性)陽イオン交換樹脂の充填層に当該酢酸を通液する方法(特許文献1)がある。この方法は、酢酸中からヨウ素化合物を有効に除去し、流出する酢酸中のヨウ素濃度を10ppb以下に低減する効果があるが、ヨウ素化合物の炭素数の増加とともに吸着速度が低下して吸着帯の幅が広がり、破過時点での銀の利用率が低くなるという問題がある。これは、単位樹脂量当たりの酢酸処理量が小さいことを意味し、処理コストの点で好ましくない。 上記の問題を解決するため、特に吸着材粒子内のヨウ素化合物の拡散が律速となる点に注目し、表面のみに活性部位を持つイオン交換樹脂を用いる方法(特許文献2)や、約50℃より高い温度で運転する方法(特許文献3)が検討されてきた。しかしながら、表面にのみ活性部位を持つようにイオン交換樹脂を調製することは必ずしも容易ではないし、その結果としてイオン交換樹脂粒子内部が有効に利用されないのであれば、樹脂単位充填体積当たりの交換容量が小さくなるという難点がある。一方、高温で運転することは活性部位の分解離脱および銀の離脱の速度が大きくなるという難点がある。 また、活性部位の離脱および銀の離脱を低減するため、吸着操作を低温で開始し、吸着速度が低下してヨウ素化合物が流出液中に検出されたら、その都度、段階的に温度を上昇させる方法(特許文献4)が提案されている。しかし、段階的に温度を上昇させて運転することは操作が複雑になるし、いずれにせよ最終的には高温で通液することになるため、やはり活性部位の分解離脱および銀の離脱の問題は避けられないという難点がある。離脱した活性部位や銀は製品酢酸の不純物となり、好ましくない。特公平5−21031号公報特開平9−291058号公報特表2003−527963号公報特開平9−291059号公報 したがって、活性部位や銀の離脱を促進する高温で運転しなくても、十分な銀利用率が得られるような吸着速度を維持できる吸着材が所望される。本発明者が検討したところ、活性部位や銀の離脱速度は、処理温度を40℃から70℃まで上昇させていくと、それにつれて指数関数的に増加することがわかった。すなわち、表1に示すように、温度が10℃上昇するごとに、銀の流出速度は約2倍になり、活性部位の分解速度は約10倍になるのである。特に、温度が50℃以下であれば、活性部位の分解速度は年0.1%以下であって無視できる範囲内であるといえるが、それを超えると活性部位の分解が無視できなくなる。したがって、本発明の課題は、通液温度50℃以下、好ましくは40℃以下で通液処理しても、50℃を超える高温で通液処理した場合と同程度の銀利用率を得ることである。 本発明は、不純物としてヨウ素化合物を含む有機酸を、銀を担持した陽イオン交換樹脂の充填層に50℃以下で通液することにより、該有機酸からヨウ素化合物を吸着除去する方法であって、該陽イオン交換樹脂が、平均粒径0.3〜0.6mm、平均細孔径15〜28nmのマクロポーラス型樹脂であって、その活性部位の40〜60%が銀に置換されたものであることを特徴とする方法を提供し、これにより上記課題を解決する。 処理対象として想定される有機酸は、典型的には酢酸であり、その場合、不純物として含まれるヨウ素化合物は、主として炭素数1〜12の低級ヨウ化アルキルである。 陽イオン交換樹脂は、一般に、架橋剤としてジビニルベンゼンを4〜20重量%用いて製造したポリスチレンの粒子を母体とし、これに陽イオン交換基(活性部位)として強酸性のスルホン酸基を導入したものである。一般に用いられている粒状イオン交換樹脂は、通常、粒径0.3〜1mmの粒子が95%以上を占めるような粒径分布をもち、平均粒径(湿式篩分法による50%通過径)は0.5〜0.8mm程度である。 従来、有機酸からのヨウ素化合物の除去に用いられている陽イオン交換樹脂は、乾燥状態でも細孔に由来する大きな比表面積を有するマクロポーラス型(あるいは巨大網状型ないしはMR型)の樹脂である。これに対し、水に浸漬して膨潤させることで初めて実質的に細孔を生ずるゲル型の樹脂は、ほとんど水を含まない有機酸中では膨潤度が小さく有効な細孔を生じないため、好ましく用いることはできない。 マクロポーラス型樹脂の場合は、重合の際に非混和性の溶媒を加え、重合後に当該溶媒を除去することでマクロポアを形成している。形成されたマクロポアの平均細孔径は、通常、約5〜100nmの範囲にある。なお、ここでいう平均細孔径は、BET比表面積、見かけ密度および真密度の値から、次式によって求められる。 d=(4×103/S)×(1/da−1/ds) d :平均細孔径(nm) S :BET比表面積(m2/g) da:見かけ密度(g/mL) ds:真密度(g/mL) 本発明者は、平均粒径の異なるマクロポーラス型陽イオン交換樹脂を用い、これに銀を担持させて吸着材を調製し、平均粒径とヨウ素化合物の吸着速度との関係を調べた。その結果、平均粒径を小さくすることにより、大幅にヨウ素化合物の吸着速度が増加することを見出した。一般に、吸着材の粒径を小さくすれば、単位充填体積当たりの外表面積がそれに反比例して増加するから、その分吸着速度も増加することが期待されるが、その程度の増加では、小粒径化による通液抵抗の増加を勘案すると、敢えて平均粒径の小さい樹脂を用いることが必ずしも有利であるとはいえない。ところが、本発明者が詳細に検討したところ、銀を担持した陽イオン交換樹脂を用いてヨウ素化合物を吸着処理する場合には、吸着材の粒径を小さくして外表面積を1.6倍にすると、通常の粒径のものを用いた場合に比べ、ヨウ素化合物の吸着速度は、初期(銀利用率が約1%)の時点で約2倍、銀利用率が約20%の時点で約2.9倍、銀利用率が40%の時点で約12倍となった。このような予想外の結果が得られた原因は明らかではないが、ヨウ素化合物の吸着が進行するにつれて、吸着材の外表面近傍には選択的にヨウ化銀が析出すると考えられ、これが細孔内への拡散を阻害して吸着速度を低下させるのを、小粒径化による外表面積の増加が効果的に緩和するからではないかと考えられる。 すなわち、本発明の方法は、実験的に得られた上記知見に基づくものであり、平均粒径0.3〜0.6mmのマクロポーラス型陽イオン交換樹脂に銀を担持させて吸着剤を調製し、この吸着剤を充填した吸着塔に不純物としてヨウ素化合物を含む有機酸を通液することにより、当該有機酸中のヨウ素化合物を除去するというものである。平均粒径が0.6mmを超えると50℃以下で十分な吸着速度が得られず、平均粒径が0.3mm未満では通液抵抗の増加が著しくなる。平均粒径0.3〜0.6mmの陽イオン交換樹脂を得るには、市販の陽イオン交換樹脂の大粒子を篩で除去してもよいし、予め小粒径のポリスチレン樹脂を製造し、これをスルホン化してもよい。 マクロポーラス型陽イオン交換樹脂としては、イオン交換基としてスルホン酸基を有する強酸性の樹脂であれば、特に問題なく使用できる。ただし、平均細孔径が小さすぎるものは、ヨウ素化合物の粒子内拡散抵抗が大きくなるので吸着速度が相対的に小さくなる。一方、平均細孔径が大きすぎるものは、比表面積が小さくなるので吸着容量が相対的に小さくなる。一般に、平均細孔径15〜28nmのものが好ましい。また、あまりに架橋度の低いもの(たとえば5%以下のもの)は膨潤収縮が激しく、物理的強度も劣るので好ましくない。なお、イオン交換基としてカルボキシル基を有する弱酸性の樹脂は、担持した銀が有機酸の通液により脱離しやすくなるため、好ましくない。 陽イオン交換樹脂に銀を担持させるには、樹脂のスルホン酸基を塩酸や硫酸などの強酸を用いて一旦完全に酸形(水素形)とし、次いで、全スルホン酸基の40〜60%を硝酸銀または酢酸銀などの水溶液を用いて銀形とするのがよい。銀形が40%未満ではヨウ素化合物の吸着容量が小さくなりすぎる。一方、本発明者は、たとえば(本発明の方法が想定する典型的な処理温度である)40℃で吸着処理を行う場合、銀形が60%を超えると吸着速度が低下することを見出した。本発明者は、この原因を次のように推定している。すなわち、銀を担持した陽イオン交換樹脂が酢酸中に含まれるヨウ素化合物を除去する機構は、まず、ヨウ素化合物が陽イオン交換樹脂の酸点(酸形の活性部位)を触媒としてエステル化反応によりヨウ化水素となり、次いで、このヨウ化水素が銀と反応してヨウ化銀となることにより固定化除去されるものと考えられる。このとき、処理温度が50℃より高温であれば、僅かな酸点でも十分なエステル化反応速度が得られるが、処理温度が50℃以下であると、十分なエステル化反応速度を得るためには多量の酸点が残されている必要がある、というわけである。要するに、銀交換率を高くすると陽イオン交換樹脂上に残る酸点が少なくなり、ヨウ素化合物のエステル化反応速度が小さくなるので、その分吸着速度が小さくなるのではないかと考えられるのである。 銀を担持させた陽イオン交換樹脂は、有機酸からヨウ素化合物を除去するための吸着塔に充填する。充填層の厚さは、好ましくは、吸着塔の径の1〜5倍程度とする。銀担持樹脂の充填層に有機酸を通してヨウ素化合物を吸着除去する際の通液速度は、従来一般に用いられている条件でよく、通常はLHSV=6〜10(1時間当たりの通液量が樹脂充填体積の6〜10倍)程度とする。 銀担持樹脂の充填層に有機酸を通す際の温度は50℃以下、好ましくは40℃以下とする。約40℃で通液するのが最も好ましい。先に述べたように、通液温度が50℃を超えると樹脂の活性部位(イオン交換基)やそれに担持された銀の離脱速度が大きくなる。本発明の方法では、吸着速度の大きい樹脂を用いるため、50℃以下の低温、特に約40℃での処理でも、担持した銀を有効に利用することができる。 また、本発明の方法では、後に述べるように、ヨウ素化合物が破過するまでの除去容量が大きくとれることに加え、処理後の有機酸中への銀の流出量が小さくなるという利点がある。これは、樹脂に担持されている銀が、固液平衡や当該活性部位の分解などにより一旦液中に脱離しても、下流側で再び酸形のイオン交換基に吸着捕捉されるという現象が一般に生ずるところ、本発明では小粒径樹脂を用いているため外表面積が大きく、樹脂への再吸着が速やかに生ずるからではないかと考えられる。(1)吸着材の調製 以下に示す陽イオン交換樹脂A〜Fを用意し、吸着材を調製するためのベース樹脂として用いた。 A.ロームアンドハース社製の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15(平均粒径0.68mm、平均細孔径24nm)、 B.上記アンバーリスト15を篩分けして平均粒径を0.55mmとしたもの、 C.本発明者が新たに合成した粒状陽イオン交換樹脂(平均粒径0.42mm、平均細孔径24nm)、 D.本発明者が新たに合成した粒状陽イオン交換樹脂(平均粒径0.36mm、平均細孔径24nm)、 E.三菱化学社製の陽イオン交換樹脂ダイヤイオンRCP160M(平均細孔径10nm)を篩分けして平均粒径を0.52mmとしたもの、 F.ロームアンドハース社製のアンバーリストXH2071(平均細孔径30nm)を篩分けして平均粒径を0.52nmとしたもの。 上記A〜Fの樹脂の総イオン交換容量に対し所定の銀交換率(30〜90%)になるように銀を担持させて吸着材を調製した。(2)通液試験 各通液試験においては、上記(1)で調製した吸着材5mLをカラム(10mmΦ×100mmH)に充填し、これにヨウ化デシル(C10H21I)を25ppm含有した酢酸を60mL/時(LHSV=12)の速度で通液した。このとき、吸着塔の外部に温水を循環することにより、所定の温度に調整した。吸着塔出口のヨウ化デシル濃度を電子捕獲型検出器付ガスクロマトグラフィ(ECD−GC)で測定し、10ppbに達するまでの時間を破過時間とした。また、破過するまでに通液した液量からヨウ化デシル吸着量(モル数)を求め、銀担持量(モル数)に対する割合を求めて銀利用率(%)とした。(3)結果 通液試験の結果を表2に示す。 上記試験1(RUN NO.1)〜試験3の結果を図1に示す。プロットしたデータの上側に付した数値は試験番号である。図1に示されるように、通常の平均粒径をもつ樹脂をベースにした吸着材を用いたときは、破過時間および銀利用率が通液温度に依存し、通液温度が50℃以下(試験1〜2)では銀利用率が30%に満たないことがわかる。 上記試験4〜6および試験1の結果を図2に示す。プロットしたデータの上側に付した数値は試験番号である。図2に示されるように、他の条件が同一の場合、平均粒径を小さくすることにより破過時間および銀利用率が大きく向上することがわかる。特に、平均粒径が0.68mmの場合と0.55mmの場合との差はきわめて大きく、平均粒径が0.6mm以下であれば、銀利用率が約40%以上となることがわかる。 上記試験4および試験7〜8の結果を図3に示す。プロットしたデータの上側に付した数値は試験番号である。図3に示されるように、他の条件がほぼ同一の場合、平均細孔径が大きすぎても(30nm)小さすぎても(10nm)破過時間および銀利用率は低下することがわかる。特に、平均細孔径が15〜28nmの範囲にあれば、銀利用率が約50%以上となることがわかる。 上記試験5および試験9〜12の結果を図4に示す。プロットしたデータの上側に付した数値は試験番号である。図4に示されるように、銀交換率が50%に達するまでは銀利用率もそれに伴って向上するが、銀交換率が60%を超えると銀利用率は却って低下することがわかる。従来の吸着材を用いた場合の通液温度と銀利用率との関係を示す。吸着材の平均粒径と銀利用率との関係を示す。吸着材の平均細孔径と銀利用率との関係を示す。吸着材の銀交換率と銀利用率との関係を示す。 不純物としてヨウ素化合物を含む有機酸を、銀を担持した陽イオン交換樹脂の充填層に50℃以下で通液することにより、該有機酸からヨウ素化合物を吸着除去する方法であって、該陽イオン交換樹脂が、平均粒径0.3〜0.6mm、平均細孔径15〜28nmのマクロポーラス型樹脂であって、その活性部位の40〜60%が銀に置換されたものであることを特徴とする方法。 該有機酸が酢酸である請求項1記載の方法。 該ヨウ素化合物が炭素数1〜12の低級ヨウ化アルキルである請求項1または2記載の方法。 【課題】不純物としてヨウ素化合物を含む有機酸を、銀を担持した陽イオン交換樹脂の充填層に通液することにより、該有機酸からヨウ素化合物を除去するにあたり、通液温度50℃以下、好ましくは40℃以下で通液処理しても、50℃を超える高温で通液処理した場合と同程度の銀利用率を得る。【解決手段】不純物としてヨウ素化合物を含む有機酸を、銀を担持した陽イオン交換樹脂の充填層に50℃以下で通液することにより、該有機酸からヨウ素化合物を吸着除去する方法であって、該陽イオン交換樹脂が、平均粒径0.3〜0.6mm、平均細孔径15〜28nmのマクロポーラス型樹脂であって、その活性部位の40〜60%が銀に置換されたものであることを特徴とする方法。【選択図】図2


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特許公報(B2)_有機酸からのヨウ素化合物除去方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_有機酸からのヨウ素化合物除去方法
出願番号:2006258437
年次:2012
IPC分類:C07C 51/47,B01J 31/08,C07C 53/08,B01J 39/04,B01J 39/18


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梅原 洋一 皆見 武志 山本 進 小林 治人 細野 恭生 JP 4995522 特許公報(B2) 20120518 2006258437 20060925 有機酸からのヨウ素化合物除去方法 千代田化工建設株式会社 000003285 岡部 讓 100094112 岡部 正夫 100064447 加藤 伸晃 100085176 臼井 伸一 100096943 藤野 育男 100091889 本宮 照久 100096688 高梨 憲通 100102808 小林 恒夫 100128646 齋藤 正巳 100128668 木村 克彦 100134393 梅原 洋一 皆見 武志 山本 進 小林 治人 細野 恭生 20120808 C07C 51/47 20060101AFI20120719BHJP B01J 31/08 20060101ALI20120719BHJP C07C 53/08 20060101ALI20120719BHJP B01J 39/04 20060101ALI20120719BHJP B01J 39/18 20060101ALI20120719BHJP JPC07C51/47B01J31/08 MC07C53/08B01J39/04 HB01J39/18 C07C 51/47、53/08 特開2006−016349(JP,A) 特開平09−291059(JP,A) 特開平04−282339(JP,A) 特開昭61−209053(JP,A) 特開平08−020555(JP,A) 特開平01−110643(JP,A) 特開昭62−153248(JP,A) 2 2008074808 20080403 8 20071023 神野 将志 本発明は、有機酸からのヨウ素化合物除去方法に関する。特に本発明は、メタノールカルボニル化法により合成した酢酸からヨウ素化合物を除去して精製する方法に関する。 ロジウム触媒の存在下にメタノールを一酸化炭素でカルボニル化して酢酸を製造する方法は、いわゆる「モンサント法」としてよく知られている。モンサント法(あるいはカルボニル化法)には、酢酸を溶媒として用い、これに原料メタノールを加え、触媒としてロジウム化合物を溶解させ、この反応液中に一酸化炭素ガスを吹き込むもの(均一系触媒反応)と、上記ロジウム化合物を反応液中に溶解させる代わりに、これを担体に担持させた固体触媒を懸濁させるもの(不均一系触媒反応)とがあるが、いずれの場合にも、当該反応液中には助触媒(反応促進剤)としてさらにヨウ化メチルなどのヨウ素化合物が加えられるため、カルボニル化法により製造される酢酸中には、蒸留による精製後においても、ヨウ素化合物が数十ないし数百ppb(μg/kg)程度残留する。こうして酢酸中に残留するヨウ素化合物は、たとえば酢酸をVAM(酢酸ビニル)の原料として用いる場合、VAM合成触媒に対して触媒毒として作用するため、これを数ppb程度にまで除去しておく必要がある。 酢酸中に残留するヨウ素化合物を除去する方法としては、銀や水銀をイオン交換担持したマクロポーラス型(多孔性)陽イオン交換樹脂の充填層に当該酢酸を通液する方法(特許文献1)がある。この方法は、酢酸中からヨウ素化合物を有効に除去し、流出する酢酸中のヨウ素濃度を10ppb以下に低減する効果があるが、ヨウ素化合物の炭素数の増加とともに吸着速度が低下して吸着帯の幅が広がり、破過時点での銀の利用率が低くなるという問題がある。これは、単位樹脂量当たりの酢酸処理量が小さいことを意味し、処理コストの点で好ましくない。 上記の問題を解決するため、特に吸着材粒子内のヨウ素化合物の拡散が律速となる点に注目し、表面のみに活性部位を持つイオン交換樹脂を用いる方法(特許文献2)や、約50℃より高い温度で運転する方法(特許文献3)が検討されてきた。しかしながら、表面にのみ活性部位を持つようにイオン交換樹脂を調製することは必ずしも容易ではないし、その結果としてイオン交換樹脂粒子内部が有効に利用されないのであれば、樹脂単位充填体積当たりの交換容量が小さくなるという難点がある。一方、高温で運転することは活性部位の分解離脱および銀の離脱の速度が大きくなるという難点がある。 また、活性部位の離脱および銀の離脱を低減するため、吸着操作を低温で開始し、吸着速度が低下してヨウ素化合物が流出液中に検出されたら、その都度、段階的に温度を上昇させる方法(特許文献4)が提案されている。しかし、段階的に温度を上昇させて運転することは操作が複雑になるし、いずれにせよ最終的には高温で通液することになるため、やはり活性部位の分解離脱および銀の離脱の問題は避けられないという難点がある。離脱した活性部位や銀は製品酢酸の不純物となり、好ましくない。特公平5−21031号公報特開平9−291058号公報特表2003−527963号公報特開平9−291059号公報 したがって、活性部位や銀の離脱を促進する高温で運転しなくても、十分な銀利用率が得られるような吸着速度を維持できる吸着材が所望される。本発明者が検討したところ、活性部位や銀の離脱速度は、処理温度を40℃から70℃まで上昇させていくと、それにつれて指数関数的に増加することがわかった。すなわち、表1に示すように、温度が10℃上昇するごとに、銀の流出速度は約2倍になり、活性部位の分解速度は約10倍になるのである。特に、温度が50℃以下であれば、活性部位の分解速度は年0.1%以下であって無視できる範囲内であるといえるが、それを超えると活性部位の分解が無視できなくなる。したがって、本発明の課題は、通液温度50℃以下、好ましくは40℃以下で通液処理しても、50℃を超える高温で通液処理した場合と同程度の銀利用率を得ることである。 本発明は、不純物としてヨウ素化合物を含む有機酸を、銀を担持した陽イオン交換樹脂の充填層に50℃以下で通液することにより、該有機酸からヨウ素化合物を吸着除去する方法であって、該陽イオン交換樹脂が、平均粒径0.3〜0.6mm、平均細孔径15〜28nmのマクロポーラス型樹脂であって、その活性部位の40〜60%が銀に置換されたものであることを特徴とする方法を提供し、これにより上記課題を解決する。 処理対象として想定される有機酸は、典型的には酢酸であり、その場合、不純物として含まれるヨウ素化合物は、主として炭素数1〜12の低級ヨウ化アルキルである。 陽イオン交換樹脂は、一般に、架橋剤としてジビニルベンゼンを4〜20重量%用いて製造したポリスチレンの粒子を母体とし、これに陽イオン交換基(活性部位)として強酸性のスルホン酸基を導入したものである。一般に用いられている粒状イオン交換樹脂は、通常、粒径0.3〜1mmの粒子が95%以上を占めるような粒径分布をもち、平均粒径(湿式篩分法による50%通過径)は0.5〜0.8mm程度である。 従来、有機酸からのヨウ素化合物の除去に用いられている陽イオン交換樹脂は、乾燥状態でも細孔に由来する大きな比表面積を有するマクロポーラス型(あるいは巨大網状型ないしはMR型)の樹脂である。これに対し、水に浸漬して膨潤させることで初めて実質的に細孔を生ずるゲル型の樹脂は、ほとんど水を含まない有機酸中では膨潤度が小さく有効な細孔を生じないため、好ましく用いることはできない。 マクロポーラス型樹脂の場合は、重合の際に非混和性の溶媒を加え、重合後に当該溶媒を除去することでマクロポアを形成している。形成されたマクロポアの平均細孔径は、通常、約5〜100nmの範囲にある。なお、ここでいう平均細孔径は、BET比表面積、見かけ密度および真密度の値から、次式によって求められる。 d=(4×103/S)×(1/da−1/ds) d :平均細孔径(nm) S :BET比表面積(m2/g) da:見かけ密度(g/mL) ds:真密度(g/mL) 本発明者は、平均粒径の異なるマクロポーラス型陽イオン交換樹脂を用い、これに銀を担持させて吸着材を調製し、平均粒径とヨウ素化合物の吸着速度との関係を調べた。その結果、平均粒径を小さくすることにより、大幅にヨウ素化合物の吸着速度が増加することを見出した。一般に、吸着材の粒径を小さくすれば、単位充填体積当たりの外表面積がそれに反比例して増加するから、その分吸着速度も増加することが期待されるが、その程度の増加では、小粒径化による通液抵抗の増加を勘案すると、敢えて平均粒径の小さい樹脂を用いることが必ずしも有利であるとはいえない。ところが、本発明者が詳細に検討したところ、銀を担持した陽イオン交換樹脂を用いてヨウ素化合物を吸着処理する場合には、吸着材の粒径を小さくして外表面積を1.6倍にすると、通常の粒径のものを用いた場合に比べ、ヨウ素化合物の吸着速度は、初期(銀利用率が約1%)の時点で約2倍、銀利用率が約20%の時点で約2.9倍、銀利用率が40%の時点で約12倍となった。このような予想外の結果が得られた原因は明らかではないが、ヨウ素化合物の吸着が進行するにつれて、吸着材の外表面近傍には選択的にヨウ化銀が析出すると考えられ、これが細孔内への拡散を阻害して吸着速度を低下させるのを、小粒径化による外表面積の増加が効果的に緩和するからではないかと考えられる。 すなわち、本発明の方法は、実験的に得られた上記知見に基づくものであり、平均粒径0.3〜0.6mmのマクロポーラス型陽イオン交換樹脂に銀を担持させて吸着剤を調製し、この吸着剤を充填した吸着塔に不純物としてヨウ素化合物を含む有機酸を通液することにより、当該有機酸中のヨウ素化合物を除去するというものである。平均粒径が0.6mmを超えると50℃以下で十分な吸着速度が得られず、平均粒径が0.3mm未満では通液抵抗の増加が著しくなる。平均粒径0.3〜0.6mmの陽イオン交換樹脂を得るには、市販の陽イオン交換樹脂の大粒子を篩で除去してもよいし、予め小粒径のポリスチレン樹脂を製造し、これをスルホン化してもよい。 マクロポーラス型陽イオン交換樹脂としては、イオン交換基としてスルホン酸基を有する強酸性の樹脂であれば、特に問題なく使用できる。ただし、平均細孔径が小さすぎるものは、ヨウ素化合物の粒子内拡散抵抗が大きくなるので吸着速度が相対的に小さくなる。一方、平均細孔径が大きすぎるものは、比表面積が小さくなるので吸着容量が相対的に小さくなる。一般に、平均細孔径15〜28nmのものが好ましい。また、あまりに架橋度の低いもの(たとえば5%以下のもの)は膨潤収縮が激しく、物理的強度も劣るので好ましくない。なお、イオン交換基としてカルボキシル基を有する弱酸性の樹脂は、担持した銀が有機酸の通液により脱離しやすくなるため、好ましくない。 陽イオン交換樹脂に銀を担持させるには、樹脂のスルホン酸基を塩酸や硫酸などの強酸を用いて一旦完全に酸形(水素形)とし、次いで、全スルホン酸基の40〜60%を硝酸銀または酢酸銀などの水溶液を用いて銀形とするのがよい。銀形が40%未満ではヨウ素化合物の吸着容量が小さくなりすぎる。一方、本発明者は、たとえば(本発明の方法が想定する典型的な処理温度である)40℃で吸着処理を行う場合、銀形が60%を超えると吸着速度が低下することを見出した。本発明者は、この原因を次のように推定している。すなわち、銀を担持した陽イオン交換樹脂が酢酸中に含まれるヨウ素化合物を除去する機構は、まず、ヨウ素化合物が陽イオン交換樹脂の酸点(酸形の活性部位)を触媒としてエステル化反応によりヨウ化水素となり、次いで、このヨウ化水素が銀と反応してヨウ化銀となることにより固定化除去されるものと考えられる。このとき、処理温度が50℃より高温であれば、僅かな酸点でも十分なエステル化反応速度が得られるが、処理温度が50℃以下であると、十分なエステル化反応速度を得るためには多量の酸点が残されている必要がある、というわけである。要するに、銀交換率を高くすると陽イオン交換樹脂上に残る酸点が少なくなり、ヨウ素化合物のエステル化反応速度が小さくなるので、その分吸着速度が小さくなるのではないかと考えられるのである。 銀を担持させた陽イオン交換樹脂は、有機酸からヨウ素化合物を除去するための吸着塔に充填する。充填層の厚さは、好ましくは、吸着塔の径の1〜5倍程度とする。銀担持樹脂の充填層に有機酸を通してヨウ素化合物を吸着除去する際の通液速度は、従来一般に用いられている条件でよく、通常はLHSV=6〜10(1時間当たりの通液量が樹脂充填体積の6〜10倍)程度とする。 銀担持樹脂の充填層に有機酸を通す際の温度は50℃以下、好ましくは40℃以下とする。約40℃で通液するのが最も好ましい。先に述べたように、通液温度が50℃を超えると樹脂の活性部位(イオン交換基)やそれに担持された銀の離脱速度が大きくなる。本発明の方法では、吸着速度の大きい樹脂を用いるため、50℃以下の低温、特に約40℃での処理でも、担持した銀を有効に利用することができる。 また、本発明の方法では、後に述べるように、ヨウ素化合物が破過するまでの除去容量が大きくとれることに加え、処理後の有機酸中への銀の流出量が小さくなるという利点がある。これは、樹脂に担持されている銀が、固液平衡や当該活性部位の分解などにより一旦液中に脱離しても、下流側で再び酸形のイオン交換基に吸着捕捉されるという現象が一般に生ずるところ、本発明では小粒径樹脂を用いているため外表面積が大きく、樹脂への再吸着が速やかに生ずるからではないかと考えられる。(1)吸着材の調製 以下に示す陽イオン交換樹脂A〜Fを用意し、吸着材を調製するためのベース樹脂として用いた。 A.ロームアンドハース社製の陽イオン交換樹脂アンバーリスト15(平均粒径0.68mm、平均細孔径24nm)、 B.上記アンバーリスト15を篩分けして平均粒径を0.55mmとしたもの、 C.本発明者が新たに合成した粒状陽イオン交換樹脂(平均粒径0.42mm、平均細孔径24nm)、 D.本発明者が新たに合成した粒状陽イオン交換樹脂(平均粒径0.36mm、平均細孔径24nm)、 E.三菱化学社製の陽イオン交換樹脂ダイヤイオンRCP160M(平均細孔径10nm)を篩分けして平均粒径を0.52mmとしたもの、 F.ロームアンドハース社製のアンバーリストXH2071(平均細孔径30nm)を篩分けして平均粒径を0.52nmとしたもの。 上記A〜Fの樹脂の総イオン交換容量に対し所定の銀交換率(30〜90%)になるように銀を担持させて吸着材を調製した。(2)通液試験 各通液試験においては、上記(1)で調製した吸着材5mLをカラム(10mmΦ×100mmH)に充填し、これにヨウ化デシル(C10H21I)を25ppm含有した酢酸を60mL/時(LHSV=12)の速度で通液した。このとき、吸着塔の外部に温水を循環することにより、所定の温度に調整した。吸着塔出口のヨウ化デシル濃度を電子捕獲型検出器付ガスクロマトグラフィ(ECD−GC)で測定し、10ppbに達するまでの時間を破過時間とした。また、破過するまでに通液した液量からヨウ化デシル吸着量(モル数)を求め、銀担持量(モル数)に対する割合を求めて銀利用率(%)とした。(3)結果 通液試験の結果を表2に示す。 上記試験1(RUN NO.1)〜試験3の結果を図1に示す。プロットしたデータの上側に付した数値は試験番号である。図1に示されるように、通常の平均粒径をもつ樹脂をベースにした吸着材を用いたときは、破過時間および銀利用率が通液温度に依存し、通液温度が50℃以下(試験1〜2)では銀利用率が30%に満たないことがわかる。 上記試験4〜6および試験1の結果を図2に示す。プロットしたデータの上側に付した数値は試験番号である。図2に示されるように、他の条件が同一の場合、平均粒径を小さくすることにより破過時間および銀利用率が大きく向上することがわかる。特に、平均粒径が0.68mmの場合と0.55mmの場合との差はきわめて大きく、平均粒径が0.6mm以下であれば、銀利用率が約40%以上となることがわかる。 上記試験4および試験7〜8の結果を図3に示す。プロットしたデータの上側に付した数値は試験番号である。図3に示されるように、他の条件がほぼ同一の場合、平均細孔径が大きすぎても(30nm)小さすぎても(10nm)破過時間および銀利用率は低下することがわかる。特に、平均細孔径が15〜28nmの範囲にあれば、銀利用率が約50%以上となることがわかる。 上記試験5および試験9〜12の結果を図4に示す。プロットしたデータの上側に付した数値は試験番号である。図4に示されるように、銀交換率が50%に達するまでは銀利用率もそれに伴って向上するが、銀交換率が60%を超えると銀利用率は却って低下することがわかる。従来の吸着材を用いた場合の通液温度と銀利用率との関係を示す。吸着材の平均粒径と銀利用率との関係を示す。吸着材の平均細孔径と銀利用率との関係を示す。吸着材の銀交換率と銀利用率との関係を示す。 不純物として炭素数10〜12の低級ヨウ化アルキルを含む有機酸を、銀を担持した陽イオン交換樹脂の充填層に50℃以下で通液することにより、該有機酸からヨウ素化合物を吸着除去する方法であって、該陽イオン交換樹脂が、平均粒径0.3〜0.6mm、平均細孔径15〜28nmのマクロポーラス型樹脂であって、その活性部位の40〜60%が銀に置換されたものであることを特徴とする方法。 該有機酸が酢酸である請求項1記載の方法。


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