生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_抗糖尿病食品
出願番号:2006258076
年次:2008
IPC分類:A61K 36/18,A61P 3/10,A23L 1/30


特許情報キャッシュ

具 然和 会田 忠雄 JP 2008074796 公開特許公報(A) 20080403 2006258076 20060922 抗糖尿病食品 ジャストワールド株式会社 504342642 清原 義博 100082072 具 然和 会田 忠雄 A61K 36/18 20060101AFI20080307BHJP A61P 3/10 20060101ALI20080307BHJP A23L 1/30 20060101ALI20080307BHJP JPA61K35/78 CA61P3/10A23L1/30 B 6 2 OL 11 4B018 4C088 4B018MD48 4B018ME02 4B018MF01 4C088AA02 4C088AB25 4C088BA08 4C088NA14 4C088ZC35 本発明は抗糖尿病食品に関し、詳細には白樺樹液及び/又はチャーガの抽出物を含有する抗糖尿病食品に関する。 近年、食生活の変化、偏食、過食、運動不足等により、肥満や糖尿病、高血圧、高脂血症状などの生活習慣病に陥る人の数が増加している。特に、糖尿病患者は増加の一途を辿っており、現在日本国内の患者数は約740万人、その予備軍を含めると、日本の人口の1割以上にあたる約1620万人にも上るといわれている。 成人病の一つである糖尿病は、膵臓のランゲルハンス島から分泌され血糖降下作用を有するホルモンであるインスリンが不足し、血液中の血糖値が高くなり、様々な代謝異常をきたす病気で、治療は困難であり、現在の医学では完治するのは極めて難しいと言われている。糖尿病の種類にはI型とII型があり、I型糖尿病は何らかの原因による膵β細胞の破壊により発症し、通常は絶対的インスリン欠乏に至る。若年性の多くは、このI型糖尿病である。II型糖尿病は、インスリン分泌低下を主体とするものと、インスリン抵抗性が主体で、それにインスリンの相対的不足を伴うものがある。日本ではその大部分がII型糖尿病を占め、その治療や合併症防止(例えば、糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症などの防止)が今や重要課題となっている。 このような糖尿病患者数の増加に対して、その発症予防、特に一次予防の重要性が指摘されている。糖尿病の発症は、生活習慣とりわけ食習慣に起因することから、日常の食生活において糖尿病の発症を予防することが重要である。その為には、糖尿病予防効果を有する食品の開発が望まれる。糖尿病の発症には、血糖値の上昇や耐糖能低下などが共通に認められることから、このような現象を抑制あるいは防止することが不可欠である。 しかしながら、食品成分(組成物)の中にこれらを効果的に改善する作用を備えたものは多くない。又、糖尿病患者に対しては、一般に抗糖尿病剤に分類される医薬品が治療に用いられている。例えば、消化管粘膜に存在する二糖類分解酵素(α−グルコシダーゼ)の作用を阻害し、ブドウ糖の生成を抑制することにより血糖値の上昇を抑制するα−グルコシダーゼ阻害剤が、糖尿病患者の治療に使用されている。又、近年では、インスリンの感受性を高める、インスリン抵抗性改善薬も用いられている。 しかしながら、これらの抗糖尿病剤には、作用効果、副作用、安全性等の観点から種々の問題があった。 さらに最近の健康ブームは特定の食品成分の力を借りることで、「病気になりにくい体を作る」,「病気になっても治りやすい体を作る」といった意識を一般大衆に徐々に浸透させており、糖尿病の予防・治療に寄与する等の機能性を有する飲食品の需要を高めてきた。実際、これまでに数多くの天然物について糖尿病の予防ないし治療作用が研究され、効果が認められた幾つかの素材や抽出成分が機能性食品の原料として実用化されている。 例えば、天然物系では茶水溶性多糖成分のテアラクトンを有効成分とする血糖値降下剤(特許文献1)、バナバ葉の熱水抽出画分を有効成分とする抗糖尿病剤(特許文献2)、センブリより抽出単離したキサントン類の血糖降下剤(特許文献3)、ローヤルゼリーに含まれるトランス−10−ヒドロキシデセン酸を有効成分とするインスリン様作用剤(特許文献4)などがある。また、化学合成物では、モラノリンN−置換誘導体(特許文献5)、チアゾリジン化合物(特許文献6)、イミダゾリル基を有する縮合7員環系化合物(特許文献7)などがある。 しかしながら、これらは糖尿病の予防・治療効果が不十分であったり、摂取しすぎると、軟便や下痢症状、腸粘膜の炎症、免疫力の低下を引き起こしたり、精神的に不安定な状態になってしまうことから、安全性にも問題があった。更に、風味の問題から十分な量(有効量)を食品などに添加することが困難であった。 従って、糖尿病に対して、十分な予防・治療効果を有し、安全性も十分に確認されている天然素材および該素材を有効成分とする機能性食品の登場が望まれている。特開平4−124139号公報特開平7−228539号公報特開平7−206673号公報特開平9−67252号公報特公昭59−43949号公報特開平4−210977号公報特開平4−178381号公報 上述したように、従来から、糖尿病予防効果を有する食品の開発が望まれてはいたが、食品成分中に血糖値の上昇や耐糖能低下などを抑制あるいは防止する作用を備えたものは多くないという問題があった。又、合成系の抗糖尿病剤についても、作用効果、副作用、安全性等の観点から種々の問題があった。 そこで本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、糖尿病に対して十分な予防・治療効果を有し、且つ(長期投与および短期投与の双方において)副作用がなく安全性が十分に確認されている機能性食品を提供することにある。又、健常人が、糖尿病にならない為に日常的に摂取できる機能性食品、即ち、異常な血糖値上昇のみを抑制し、副作用がない糖尿病の予防を目的とする機能性食品を提供することにある。 本発明者らは、鋭意研究の結果、少なくとも白樺樹液および/またはチャーガの抽出物を含有する飲食物が、(異常に上昇した)血糖値(のみ)を有意に減少させることを見出し、これら天然素材が糖尿病の予防・治療効果を有する機能性食品の主成分として有用であるとの結論に達した為、本発明を完成するに至った。 即ち、請求項1に係る発明は、白樺樹液および/またはチャーガの抽出物を含有する抗糖尿病食品に関する。 請求項2に係る発明は、前記糖尿病が、第II型糖尿病である請求項1に記載の食品に関する。 請求項3に係る発明は、前記糖尿病が、インスリン分泌低下を主体とするものである請求項1又は2に記載の食品に関する。 請求項4に係る発明は、前記白樺が、シベリアからフィンランド地方の白樺である請求項1乃至3何れか記載の食品に関する。 請求項5に係る発明は、健常人が予防用として摂取する請求項1乃至4何れか記載の食品に関する。 請求項6に係る発明は、血糖値上昇抑制効果を奏することを特徴とする請求項1乃至5何れか記載の食品に関する。 本発明に係る機能性食品は、白樺樹液および/またはチャーガの抽出物を有効成分とするので、優れた血糖値上昇抑制効果を発揮することができ、結果として、糖尿病に対して十分な予防・治療効果が発揮することができる。それに加えて、副作用がなく安全性についても十分に確認されている。更に、本発明の機能性食品は、(長期投与および短期投与の双方において)異常な血糖値上昇のみを抑制することができるので、健常人が糖尿病の予防を目的として、日常的に摂取することも可能である。 本発明者らは、鋭意研究の結果、白樺樹液および/またはチャーガの抽出物を含有する抗糖尿病食品が、(異常に上昇した)血糖値(のみ)を有意に減少させることができ、且つそれによる副作用もないことを見出し、本発明を完成するに至った。 以下、これらの効果を発揮することができる本発明の実施形態について、本発明にかかる抗糖尿病食品を構成する有効成分(白樺樹液、チャーガの抽出物)ごとに説明する。〔白樺樹液〕 本発明に係る抗糖尿病食品の有効成分となる白樺樹液として、特に限定されるものではないが、本州中部以北と北海道、千島列島南部、サハリン、中国、シベリア、フィンランドなどに分布するカバノキ科(Betulaceae)の「白樺」(Betulaplatyphylla var.japonica)から得られる樹液を例示することができる。特に本発明では、シベリアからフィンランド地方の白樺の木、「白樺茸」とも呼ばれる木の一種から得られる樹液を用いるのが望ましい。 白樺樹液はその幹に小さな穴を穿ける又は切り込みを入れることによって採取することができ、その時期は早春の約1月間が好適とされる。この溢出される樹液は約99.3%が水分であり、残りは固形分量である。 本発明に係る抗糖尿病食品に於いて、白樺樹液に含有される成分である、フラボノイド、テルペノイドなどが後述するチャーガの抽出成分であるβ−D−グルカンとともに、小腸のκ細胞に作用することで、GIP(gastric inhibitory polypeptide)が分泌促進され、インスリンの分泌が正常に保たれると考えられる。その為、本発明にかかる抗糖尿病食品を構成する有効成分として有用である。 その他、白樺樹液には、糖成分としてグルコース、フラクトース、ミネラル成分としてカリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、鉄、亜鉛、リン、バリウム、ケイ素、ホウ素、ランタン、ストロンチウム、トリウム、アルミニウム、クロム、鉛、ニッケル、コバルト、銅、チタン、モリブデン、カドミウム、イットリウム、ヒ素、インジウム、ベリリウム、バナジウム、ジルコニウム、アンチモン、ビスマス、水銀、などを含む。他にも、グルタミン酸、アスパラギン酸、バリン、イソロイシン、メチオニン、ロイシン、リジン、フェニルアラニン、グリシン、アラニン、スレオニン、アルギニン、シスチン・システイン、プロリン、セリン、チロシン、ヒスチジンなどのアミノ酸や、リンゴ酸、コハク酸等の有機酸、蛋白質などを含有しており、その薬理作用が期待される。 糖は保湿効果が高く、その持続性があることなどが知られている。ミネラル成分の一つのカリウムは皮膚の軟化効果などに優れており、毛穴を開きやすく毛穴の汚れまで落ちやすい。他にも例えば亜鉛は肌修復能力がある。又、有機酸の主成分はリンゴ酸、コハク酸が挙げられるが、リンゴ酸はケミカルピーリング効果等、コハク酸は肌を引き締める効果等があることが知られている。アミノ酸は肌改善効果等があることが知られている。 本発明で用いる白樺樹液は、抗糖尿病食品として、必要な種々の成分を総合的に含有するものであり、本発明の抗糖尿病食品はこれらの成分中の特定成分のみを使用するものでなく、樹液をそのまま、もしくは濃縮して使用することができる。採取した白樺樹液はそのまま放置すると、腐敗、菌の繁殖などが生ずる。このため殺菌する方法として、採取した白樺樹液に熱を加えることにより、またエタノール、パラオキシ安息香酸エステルまたはその塩、安息香酸またはその塩、サリチル酸またはその塩、ソルビン酸またはその塩、デヒドロ酢酸またはその塩、イソプロピルメチルフェノール、オルトフェニルフェノール、クレゾール、フェノキシエタノールなどの防腐剤を適宜添加することが望ましい。 本発明の抗糖尿病食品全量に対して白樺樹液を1〜99重量%配合でき、好ましくは10〜90重量%である。 配合量が1重量%に満たなければ、優れた血糖値上昇抑制効果を発揮することができない為、99重量%を超えてもその作用効果に差異がないばかりか、食品として適さなくなる為、いずれの場合も好ましくないからである。 尚、白樺樹液は濃縮して用いてもよい。本発明の抗糖尿病食品が固形の場合、白樺樹液は濃縮乾固させ固形部のみ用いてもよい。その場合、組成全量に対して白樺樹液の固形分を0.01〜10重量%配合することが好ましく、より好ましくは0.05〜5重量%である。配合量が0.01重量%に満たなければ、優れた血糖値上昇抑制効果を発揮することができない為、10重量%を超えてもその作用効果に差異がないばかりか、食品として適さなくなる為、いずれの場合も好ましくないからである。〔チャーガの抽出物〕 「チャーガ(Inonotus obliquus)」は、白樺の木に寄生する日本名「カバノアナタケ」という耐寒性に優れたキノコの菌核で、これを水で抽出すると25〜44%の可溶成分が抽出される。又、その生物的活性物質は色原体ポリフェノール複合体の活性フェノール性アルデヒドポリフェノール酸化フェノールとキノンの化学的複合体から形成された染色体である。又、その色原体の複合体からグルコース、ガラクタトーでキシロースなどのフミンに似た物質が析出する。この全ての化合物は白樺木質部のリグニンから生合成された酸化芳香族先駆物質と発泡的結びつきがあり、チャーガのコブには(C22H40O7)や蓚酸、蟻酸、酢酸、酪酸などの酸やバニリン酸、疑似酸化ベンゾイン、ライラック酸、ピロカテキン酸、ピロガロールどの芳香族酸やトリテルペノイメタロ、トリテルペン酸、ホビリツロビン酸のほか脂肪酸C10,C112,C14が存在する。 チャーガは、煎じてお茶として、又はアルコールで抽出して飲用すると、癌予防効果を奏することが知られている。又、チャーガは、これまでのキノコ類と比較して、免疫賦活作用を有するβーグルカンや活性酸素除去能をもつSOD(superoxide dismutase)が豊富に含まれていることが確認されている。特にSODに関しては、アガリクスや山伏茸の約30倍といわれている。又、その他多種多様な生理活性物質が含まれていることが分かり、抗腫瘍作用、慢性胃炎や胃潰瘍に対する効果、血統効果作用があることが分かっている。 尚、チャーガのエキスの抽出方法としては、植物(チャーガ)の各部位を常温、又は加温下にて抽出するか、若しくはソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて抽出することにより得られる各種溶媒抽出液、その希釈液、その濃縮液又はその乾燥末を意味する。 本発明の抗糖尿病食品全量に対してチャーガの抽出物を1〜99重量%配合でき、好ましくは10〜90重量%である。 配合量が1重量%に満たなければ、優れた血糖値上昇抑制効果を発揮することができない為、99重量%を超えてもその作用効果に差異がないばかりか、食品として適さなくなる為、いずれの場合も好ましくないからである。 本発明の抗糖尿病食品は、白樺樹液およびチャーガの抽出物からなる群より選択される何れか一種以上を含有するが、所望の効果(血糖値上昇抑制効果)を発揮する為には、白樺樹液およびチャーガの抽出物の双方を含有するのが好ましい。 抗糖尿病食品の製造方法は、「白樺樹液およびチャーガの抽出物」からなる群より選択される何れか一種以上を有効成分として得られるものであれば特に限定されず、各用途で当業者によって使用されている方法に従えばよい。 即ち、使用剤型などを考慮して臨機応変に調製することができ、水単独、アルコールやグリコールなどの水溶性溶媒単独、あるいは水と水溶性溶媒の混合物で抽出することが出来る。抽出されたエキスのpHは用いた溶媒のpH、植物材料、酸・アルカリの使用にも左右される。 本発明の抗糖尿病食品は、上記の有効成分(白樺樹液及び/又はチャーガの抽出物)と共に薬学的に許容される製剤担体を用いて、機能性食品として従来から公知の形態とすることができる。 本発明の抗糖尿病食品として、例えば、健康食品、栄養補助食品(バランス栄養食、サプリメント等)、栄養機能食品、特定保健用食品、病者用食品等があげられる。又、本発明の上記有効成分は、通常の手段を用いてジュース、飴、ガム、アイスクリーム等の通常の食品に含有させれば良く、食品の味覚等を損なわない範囲で含有させることができる。 以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。 本発明にかかる抗糖尿病食品について、II型糖尿病マウスにおける血糖値上昇抑制効果について検討した。〔研究材料および方法〕1.研究材料 1)チャーガ ここでいう「チャーガ」とは、シベリアからフィンランド地方の白樺の木に寄生する「カバノアナタケ」、「白樺茸」とも呼ばれるキノコの一種である。 2)白樺の樹液 シベリアからフィンランド地方の白樺の木、「白樺茸」とも呼ばれる木の一種である。 3)配合物 チャーガ、白樺の樹液ともに1:1、500CC/kg 各50%とした。2.実験動物 1)使用動物 本研究ではBLB−cAマウス(20〜23g、日本クレア株式会社)、KK−Ayマウス(第II糖尿病モデルマウス、23〜26g、日本クレア株式会社)オス、6週齢を用いた。実験群はBLB−cAマウス、KK−Ayマウスともに、Control(蒸留水投与)群、チャーガ投与群、白樺の樹液投与群とした。 2)飼育条件 12時間の明暗サイクルで、室温25℃、湿度60%、水および固形飼料は自由摂取、1週間の予備飼育後に実験に用いた。3.生薬の投与濃度および方法 投与濃度はチャーガ、白樺の樹液ともに500CC/kg 各50%とした。投与方法はElrickらやPerley MJらによると、生体内にグルコースを負荷した場合、経静脈に比し、経口投与時により多くのインスリン分泌が惹起され、血糖値が低く保たれると報告されている、Creutzfeldtによると、これはブドウ糖の経口投与により、インスリン分泌を促進するホルモン様物質が腸管に存在することを示唆しそのような物質はインクレチンと命名されている。本研究では胃ゾンデによる経口投与とした。4.体重測定 体重測定を一週間ごとに行った。BLB−cA、KK−Ayマウスの体重の変化のグラフを図1に示した。体重の変化は、BLB−cA、KK−Ayマウスともに不規則な体重の増減は認められなかった。このことから、チャーガ、白樺の樹液、配合群(Mix群)では本研究で用いた濃度(500mg/kg)で連続して飲用しても安全であるといえる。5.単回投与におけるグルコース濃度測定 グルコース濃度測定に、グルコースCIIテストワコー(和光純薬工業)を用いた。 試薬に発色試液を作用させると、試薬中のグルコースは発色試液に含まれるムタロターゼの作用によりα型からβ型へ速やかに変換する。β−D−グルコースはグルコースオキシターゼ(GOD)の作用を受けて酸化され、同時に過酸化水素を生じる。生成した過酸化水素は、共存するペルオキシターゼ(POD)の作用により発色試液中のフェノールと4−アミノアンチピリンとを定量的に酸化縮合させ、赤色の色素を生成させる。この赤色の吸光度を測定することにより試料中のグルコース濃度を求めた。 単回投与として、生薬を1回投与後に糖負荷を行い、糖負荷前、糖負荷後投与物投与前、投与2時間後、4時間後、7時間後に、マウスの眼窩からヘマトクリット毛細管ヘパリン処理(75mm/75μl)D.A.1.5−1.6mm(フナコシ)により採血し、キャピタリー遠心分離機(KUBOTA製)により、5500rpm、10分で遠心分離し得られた血清20μlを発色試液3mlによく混合し、37℃で5分間加温し、吸光光度計UV1200(SIMADZU製)を用いて吸光度505nmで試験盲検を対照として検体の吸光度および標準液の吸光度を測定した。そして、標準液から作成した検量線を用いて吸光度から血糖値を求めた。 BLB−cAマウスの単回投与におけるグルコース濃度の変化を図2に示した。KK−Ayマウスの単回投与におけるグルコース濃度の変化を図3に示した。BLB−cAマウス各群ともに著名な血糖値上昇抑制効果はみられなかった。従って、正常マウスにおける血糖値低下に対する危険度はないと思われる。KK−Ayでは、コントロールと比較して有意差は認められなかったものの、コントロール群が血糖値の上昇傾向を示していたのに対し、チャーガ群、白樺の樹液群、配合群(Mix群)では、有意な減少を示した。6.長期投与におけるグルコース濃度測定 長期投与として、単回投与と同じ実験方法(糖負荷は行わない)で行い、採血を投与物投与前、1週間後、2週間後、3週間後に行った。 BLB−cAマウスの長期投与におけるグルコース濃度の変化を図4に示した。KK−Ayマウスの長期投与におけるグルコース濃度の変化を図5に示した。 BLB−cAには目立った変化は見られなかった。KK−Ayでは、コントロールと比較して有意差が認められ、コントロール群が血糖値の上昇傾向を示していたのに対し、チャーガ群、白樺の樹液群、配合群では、有意な減少傾向を示した。〔単回投与におけるグルコース濃度の影響について〕 単回投与におけるKK−Ayマウスに対するグルコース濃度の影響について考察する。チャーガ群と配合群(Mix群)では、投与2時間後、4時間後および7時間後にコントロールに対し、P<0.01で有意な血糖値低下作用がみられた。白樺の樹液群では投与2時間後にコントロールに対し、P<0.05で有意な血糖値低下作用がみられた。このことより、チャーガには血糖値を低下させる作用があることが示唆された。チャーガにはおよばないが白樺の樹液にも血糖値を低下させる作用が若干あることが示唆された。併用したもの(配合群、Mix群)は相乗効果および相加効果は見られず、チャーガより強い血糖値低下作用はなかった。これはチャーガと白樺の樹液を1:1の割合で混合しているのでチャーガの量が半分になっており白樺の樹液が効かない分、チャーガ半分にあたいする効果しか期待できなかったのだと考えられる。また、チャーガ群とMix群では前値の血糖値に対して2時間後にP<0.05で有意な血糖値低下作用がみられた。白樺の樹液群では前値の血糖値に対して有意な血糖値低下作用がみられなかった。このことから、チャーガは投与2時間目から効果が現れそれ以降効果が持続することが分かった。 単回投与におけるBALB/cAマウスに対するグルコース濃度の影響は、全ての群に血糖値の変化はみられなかった。このことから、チャーガと白樺の樹液は正常なマウスの血糖値は下げずに異常なマウスの血糖値だけを低下させる作用があることが分かった。 つまり、正常な血糖値まで強制的に下げてしまうのではなく、異常な血糖値だけを低下させるので副作用のない安全な抗糖尿食品としての期待ができる。7.インスリン測定 インスリン測定として、グライザムInsulin-EIA TEST(和光純薬工業)を用いた。3週間連続投与後のKK−Ayマウスの心臓から0.5ml採血し、富士ヘパリンチューブに入れ、MILLIPORE社のCHIBITAN−IIを用いて遠心分離(10000rpm、10分)し、得られた血清100μlに酵素標準抗体液500μlを加え抗体ビーズを加えた。37℃、1時間静置加温後、洗浄(アスピレータで反応液を除去し、緩衝液を除去する)を3回行った。抗体ビーズを新しい試験管に移し、基質発色液500μlを加えた。このとき盲検をとった。これらを37℃、30分間静置加温し、酵素反応停止液1.5mlを加え、よく混合した。これを、盲検を対照として吸光光度計を用いて測定波長492nmで吸光度を測定した。そして、標準液から作成した検量線を用いて、吸光度からインスリン濃度を求めた。 KK−Ayマウスの長期投与におけるインスリン濃度の変化を図6に示した。コントロール群と比較し、チャーガ群、白樺の樹液、配合群で増加傾向を示していた。特に、白樺の樹液と配合群で、P<0.05で有意差が認められた。 KK−Ayマウスの長期投与におけるHbA1c割合の数値の変化を図7に示した。コントロール群と比較し、チャーガ群、白樺の樹液、配合群で低下を示していた。特に、白樺の樹液と配合群で、P<0.01で有意差が認められた。〔連続投与におけるグルコース濃度およびインスリン濃度の影響について〕 連続投与におけるKK−Ayマウスに対するグルコール濃度の影響は、チャーガ群では、投与1週間後、2週間後および3週間後にコントロールに対し、P<0.01で有意な血糖値低下作用がみられた。Mix群では、投与2週間後と3週間後にコントロールに対し、P<0.01で有意な血糖値低下作用がみられ、投与1週間後ではP<0.05で有意な血糖値低下作用がみられた。白樺の樹液群では投与2週間後と3週間後にコントロールに対し、P<0.05で有意な血糖値低下作用がみられた。このことより連続投与をすることで血糖値低下作用が持続され血糖値が安定することが分かった。併用したものがチャーガより効かなかった理由は、単回投与のときと同じであると考えるが、ほぼ同じグラフになったので投与を持続することで、チャーガと同等の血糖値低下作用が現れることが分かった。また、チャーガ群、白樺の樹液群およびMix群では前値の血糖値に対して1週間後にP<0.05で有意な血糖値低下作用がみられた。よって1週間目から血糖値低下作用がみられ、飲用を続ければ効果が持続することが分かった。 連続投与におけるBALB/cAマウスに対するグルコース濃度の影響は、全ての群に血糖値の変化はみられなかった。このことから連続投与のときも単回投与同様に異常な血糖値だけを低下させるので副作用のない安全な抗糖尿食品としての期待ができる。また、3週間投与したマウスに明らかな行動変化や、体重変動はみられなかったことからも今実験で用いた濃度で連続して飲用しても安全である。 連続投与によるKK−Ayマウスのインスリン濃度の影響は、チャーガ群は、コントロール群に対してP<0.01で有意なインスリン濃度の増加を示した。Mix群は、コントロールに対してP<0.05で有意なインスリン濃度の増加を示した。白樺の樹液群は、有意差はなかったもののインスリン濃度は増加傾向を示した。このことからチャーガと白樺の樹液の血糖値低下作用はインスリン濃度が増加したことによることが裏付けられた。Mix群には相乗効果および相加効果はみられなかった。この理由は単回投与の時の理由と同じであると考えられる。また、インスリンには1日中ある一定濃度を出す基礎分泌と、血糖の上昇を抑えようとする追加分泌があるが、連続投与によって基礎分泌の量が増えたのだと考えられる。チャーガと白樺の樹液の血糖値低下作用は、チャーガに多く含まれる多糖類による、糖の吸収抑制のためと、正常マウスでは血糖値が低下しなかったことからチャーガのさまざまな有効成分による身体の新陳代謝のプロセスの改善のためのインスリンの上昇とインスリン抵抗性の軽減であると考えられる。 しかし、II型糖尿病は、インスリン分泌低下を主体とするものと、インスリン抵抗性が主体で、それにインスリンの相対的不足を伴うものがあり、今回のマウスは後者のII型糖尿病だと考えられ、前者の糖尿病患者には有効だと考えられる。その理由として、膵臓におけるインスリンの分泌の過程で、小腸に栄養素が入り、グルコース 脂肪酸 アミノ酸が膵臓のβ細胞に作用しインスリンが分泌される過程のほかに、Creutzfeldtらによって、消化管からインスリン分泌を刺激するホルモンが産生される、インクレチン効果が報告されている。このような消化管とインスリン分泌との機能連関をenteroinsular axisと呼び、小腸上部のκ細胞、小腸下部のL細胞からGIP、GLP−1の2種類が分泌され、膵臓のβ細胞に作用しインスリンが分泌される過程がある。 正常では、インスリン抵抗性とGIPによるインスリン分泌が相殺され正常血糖が保たれる。しかし、II型糖尿病では、インクレチンの障害が報告されており、GLP−1に対するインスリン分泌は保たれているが、GIPに対するインスリン分泌反応は著名に低下しているという報告もある。そのためII型糖尿病において認められるインクレチン効果の低下はGIPの作用障害による割合が大きいと考えられている。このようにGIPの作用障害によるインスリン分泌が低下したため、インスリン抵抗性が相殺されず、高血糖になったと考えられる。 今回の研究では、チャーガ群、 白樺の樹液、配合群では、一様にインスリン濃度に増加が認められたため、II型糖尿病におけるGIPの反応低下に伴うインスリンの分泌低下は、改善できたといえる。BLB−cA、KK−Ayマウスの体重の変化を示したグラフである。BLB−cAマウスの単回投与におけるグルコース濃度の変化を示したグラフである。KK−Ayマウスの単回投与におけるグルコース濃度の変化を示したグラフである。BLB−cAマウスの長期投与におけるグルコース濃度の変化を示したグラフである。KK−Ayマウスの長期投与におけるグルコース濃度の変化をを示したグラフである。KK−Ayマウスの長期投与におけるインスリン濃度の変化を示したグラフである。KK−Ayマウスの長期投与におけるHbA1c割合の数値の変化を示したグラフである。白樺樹液および/またはチャーガの抽出物を含有する抗糖尿病食品。前記糖尿病が、第II型糖尿病である請求項1に記載の食品。前記糖尿病が、インスリン分泌低下を主体とするものである請求項1又は2に記載の食品。前記白樺が、シベリアからフィンランド地方の白樺である請求項1乃至3何れか記載の食品。健常人が予防用として摂取する請求項1乃至4何れか記載の食品。血糖値上昇抑制効果を奏することを特徴とする請求項1乃至5何れか記載の食品。 【課題】 糖尿病に対して十分な予防・治療効果を有し、且つ(長期投与および短期投与の双方において)副作用がなく安全性が十分に確認されている機能性食品を提供することにある。又、健常人が、糖尿病にならない為に日常的に摂取できる機能性食品、即ち、異常な血糖値上昇のみを抑制し、副作用がない糖尿病の予防を目的とする機能性食品を提供することにある。【解決手段】 白樺樹液及び/又はチャーガの抽出物を含有する抗糖尿病食品とする。【選択図】 図2


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