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タイトル:特許公報(B2)_ラフマ抽出成分を含有する毛細血管循環改善剤
出願番号:2006250107
年次:2012
IPC分類:A61K 36/00,A61K 36/18,A61K 36/48,A61K 31/352,A61K 31/7048,A61P 9/08,A61P 9/12,A61P 9/14


特許情報キャッシュ

森 昌夫 JP 4993979 特許公報(B2) 20120518 2006250107 20060914 ラフマ抽出成分を含有する毛細血管循環改善剤 株式会社和漢生薬研究所 390011062 小原 英一 100111442 森 昌夫 20120808 A61K 36/00 20060101AFI20120719BHJP A61K 36/18 20060101ALI20120719BHJP A61K 36/48 20060101ALI20120719BHJP A61K 31/352 20060101ALI20120719BHJP A61K 31/7048 20060101ALI20120719BHJP A61P 9/08 20060101ALI20120719BHJP A61P 9/12 20060101ALI20120719BHJP A61P 9/14 20060101ALI20120719BHJP JPA61K35/78 WA61K35/78 XA61K35/78 CA61K35/78 BA61K35/78 JA61K31/352A61K31/7048A61P9/08A61P9/12A61P9/14 A61K 36/00 CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開昭61−212271(JP,A) Fragr J,1993年,21(9),27-36 脳卒中,2000年,22(2),313-319 Nat Med,2004年,58(6),299-302 和漢医薬学会誌,1989年,6(3),372-373 中医臨床,2001年,22(2),164-167 1 2008069114 20080327 11 20080214 金子 亜希 本発明は、毛細血管の密度や血流速度を改善するラフマ抽出成分を含有する毛細血管循環改善剤の技術分野に属する。 従来、微小血管である指先の爪上皮の毛細血管の血流の動きを拡大して観測することによって、毛細血管の直径,血液速度,流量,血管密度などの連続的で動的な測定をすることができ、この毛細血管の状態を観測するために、本発明者らは、既に、特許3025671号(特許文献1)として提供しているものであるが、微小血管本数は多い方が血行が良という傾向が強く、血流速度も早い方が血流状態が良いことが知られている。 この毛細血管の密度や血流速度を改善するために、本発明者らは、特許3545290号(特許文献2)として、霊芝の炭化物を食品添加物や食品付加剤として用いることが有効であることを見出している。 ところで、従来、ラフマ(羅布麻)(学名:Apocynum venetum )は、中国に広く分布しているキョウチクトウ科の多年生宿草本(草本とは、俗に”草”と呼ばれているもの)植物であり、ラフマは繊維質に富んで麻のように用いられてきたことと、原産地が中国新疆地区の「ロプノール(羅布泊)」であることから『羅布麻』と命名されている。ラフマは植物であるため、産地の土壌、気候の変化、日射時間、降雨量などに影響されやすい、含有成分や有効成分の含量はかなり異なる。 中国では、古来より羅布麻の葉をお茶の葉の代わりとして利用しており、また、そのラフマ茶は、解熱などの民間薬としても利用されている。さらに、中国の複数の研究機関が民間薬として利用されているラフマ葉について医学的および薬学的に研究を重ねており、その結果、高血圧、心不全、気管支炎、水腫等に有効であることが報告されている。一方、日本においてもラフマ茶は、例えば、商品名:燕龍茶として市販されており、いろいろな作用を持つお茶として注目されている。 また、ラフマ葉を焙煎してコレステロール低下作用を高めたラフマ茶は特許第3517318号(特許文献3)に開示され、ラフマの抽出物を腸管出血大腸菌等の腸管感染症の予防・治療に用いることは特開平10-167978号公報(特許文献4)に開示され、フラボノイド化合物のイソクェルシトリンをラフマ葉から抽出して鬱病の抗鬱剤特開2002-201139号(特許文献5)として用いることが開示されている。 なお、ラフマ葉の効用について「生薬学」には、鎮静;頭痛、眩暈;高血圧;利尿;肝機能補助などが書かれているが、毛細血管循環の改善作用を有することは知られていない。特許3025671号公報特許3545290号公報特許第3517318号公報特開平10-167978号公報特開2002-201139号公報 本発明は、ラフマ葉の抽出成分を用いて、人体に安全であって、血圧や毛細血管の密度や血流速度等の血行を改善する毛細血管循環改善剤を提供することである。 上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、イソクェルシトリンを6重量%以上、クェルセチンを0.3重量%以上の高含量を有するラフマ葉エキスを10〜25重量%と、イチョウの葉エキスが8〜12重量%と、甘草エキスが8〜12重量%とを混合したことを特徴とするラフマ抽出成分を含有する毛細血管循環改善剤である。 本発明によれば、ラフマ葉の抽出成分を用いているので人体に安全であり、高血圧患者に対して血圧を降下する作用効果があり、微小循環血管である毛細血管の密度を高め、毛細血管での血流速度を速め、血流量を増やし、毛細血管の血管口径を拡げる等の改善作用がある。 本発明の特徴は、ラフマ葉の効用は、鎮静;頭痛、眩暈;高血圧;利尿;肝機能補助などが知られているが、イソクェルシトリンとクェルセチンの高含量を有するラフマ葉エキスを主剤とする本発明品について、動物実験と臨床実験を実施したところ、上述の効用は勿論であるが、新たな毛細血管循環の改善作用も見出したものである。 本発明は、前記イソクェルシトリンとクェルセチンの高含量を有するラフマ葉エキス、甘草エキス、イチョウ葉エキスの3成分を主剤とし、中でも前記ラフマ葉エキスを最重要成分としたもので、他の主成分の甘草エキスは動悸、ヒステリー、咽喉炎症、咳、中毒(食物、薬物)治療、腹痛、肝臓保護、副腎皮質機能低下、皮膚炎症、薬物の調和などに使われ、イチョウ葉エキスは、脳血管障害後遺症、痴呆補助治療、気管支炎、鎮静などに使われているが、本発明は、前記ラフマ葉エキス、イチョウの葉エキス、甘草エキスの三者の混合によって、いままで知見されていない毛細血管に対する効用があることに想到した。 以下に実施例を参照して本発明を説明するが、効果の確認のために、ラットによる動物実験と、高血圧患者を対象とした人の臨床実験を行った。 [1:動物(ラット)実験における実験材料及び実験方法] この実験の為に、下記の本発明の実施例1と、実施例1の効果を確認するために、比較例1乃至比較例3を作成して実験した。 実施例1及び比較例1乃至3の組成は次のようなものである。 実施例1の成分配合比率を[表1]に示す。 (表1)実施例1の成分配合比率(比率は重量%) 本件ラフマエキス(主剤)* 14%(ラフマエキス35mg含有) 甘草エキス(主剤) 10% イチョウ葉エキス(主剤) 10% ビール酵母 10% デキストリン 44% 結晶セルロース 10% 蔗糖脂肪酸エステル 2% 計(錠)250mg 100% なお、実施例1で使用したラフマエキスは中国新疆地区特産のラフマ葉を使用、超音波抽出法でエキスを抽出したものである。特異な有効成分としては、今までの市販のラフマエキスで確認されたものは、イソクェルシトリン(isoquercitrin)一種類のみであるが、本実施例で使用したラフマエキスのなかに、イソクェルシトリン(isoquercitrin)6重量%とクェルセチン(quercetin)0.3重量%という二つ物質が高含量で検出された。このイソクェルシトリン(isoquercitrin)とクェルセチン(quercetin)、特に、クェルセチン(quercetin)は細動脈平滑筋を拡張する作用があるとされている。 後述する比較例2の市販のラフマエキスの有効成分には、クェルセチンの含有が確認できなかった。 また、主剤以外のビール酵母は消化系に良いとミネラル豊富という作用のため、混合し、他の三種類の成分は、錠剤を形成するため賦形剤として、また主剤に干渉しない原料を選んで使われている。(比較例1) (表2)比較例1(ラフマエキスのみ)の成分配合(比率は重量%) 本件ラフマエキス 20%(ラフマエキス50mg含有) ビール酵母 10% デキストリン 58% 結晶セルロース 10% 蔗糖脂肪酸エステル 2% 計(錠)250mg 100%(比較例2)(表3)比較例2(市販ラフマエキス:クェルセチンの含有が確認できないもの)の成分配合(比率は重量%) 市販ラフマエキス(主剤)* 20%(市販ラフマエキス50mg含有) 甘草エキス(主剤) 10% イチョウ葉エキス(主剤) 10% ビール酵母 10% デキストリン 38% 結晶セルロース 10% 蔗糖脂肪酸エステル 2% 計(錠)250mg 100%(比較例3) (表4)比較例3(偽薬:無処置の対照群)の成分配合比率 生理食塩水 100% 上記の実施例1の投入量を変えた2例と、比較例1乃至3について動物実験を行った。以下にその詳細を説明する。(1)被験動物 Wistarラット、♂♀併用、体重200g前後。(2)対象試薬 1)実施例1の錠剤、 2)比較例1(ラフマエキスのみ:和漢生薬研究所)、 3)比較例2 市販ラフマエキス(市販品)、 4)比較例3 生理食塩水のみ(対照群) 上記の1)〜3)の試薬を、生理食塩水で研磨して溶かし、80℃の保温水槽で4時間振動させてから、−30℃で凍結し、その後37℃の水槽で解凍する。この作業を三回繰り返した後、10分間遠心分離(1600rpm)をし、濾過した溶液を生理食塩水で0.2g/mlに希釈し、冷蔵で保存する。 (3)実験器具 実験に使用した器具は、腸間膜恒温貫流装置、RM−6300型生理記録機 (NIHON KODEN)、TIAC-I型恒速静脈注射機(HARVARD APPARATUS)、ZL301型微小循環測定機等である。(4)実験方法 腸間膜微小循環障害の状態を観察するが、その薬物治療は次のとおりである。 まず、実験前の2日からラットに水を供給するだけで絶食させ、20%ウレタンの5ml/kgをラットの腹腔注射で麻酔する。次いで、頸総動脈を分離し、血圧を記録し、大腿静脈を分離して、用意された生理食塩水を大腿静脈から恒速で注入する。 腹腔を2cmぐらい開け、回盲部の回腸を灌流台の上に広げて載せ、37度恒温のリンゲル液を灌流する。顕微鏡で細動脈、毛細血管、細静脈が全部揃っている視野を探し出し、正常な微小循環の映像を録画し、10%高分子デキストラン8mg/kgを静脈注射し、これからトロンビン0.2μ/kgを恒速静脈注射する。 注射して10分後に、微小循環の障害が現れる。すなわち、本動物模型の特徴は、高分子デキストランとトロンビンを静脈に注射した10分後、腸間膜に典型的な微小循環の障害が現れ、血流の速度と血液の灌流量は降下し、血圧も下がる。治療されていない動物の血圧は徐々に回復するが、微小循環の障害は一時間以上続いている。 ここで実験を開始するが、実施例1−1としてラットの体重1Kgに対して140mg/kg、実施例1−2として同様に70mg/kg、比較例1の本件ラフマ含有のものを同様に100mg/kg、比較例2の市販ラフマ含有のものを同様に100mg/kgを静脈注射する。比較例3の対照群は同じ量の生理食塩水を与えられる。この結果は次の(5)で説明する。 被験ラットの群分けは、実施例1-1(140mg/kg)をn=7、実施例1-2(70mg/kg)をn=8、比較例1(本件ラフマ100mg/kg)をn=8、比較例2(市販ラフマ100mg/g)をn=8、比較例3(無処置生理食塩水:対照群)をn=7とした。 なお、前記高分子デキストランは上海ブドウ糖製造社の製品であり、トロンビンはSigma社の製品を使用し、使用する時は、生理食塩水で2μ/mlに希釈する。ウレタンは上海化学試薬購入供給公司付属工場の製品で、リンゲル液はpH7.4に使用する時に調剤する。(5)実験結果 前(4)項で、微小循環血管の障害が現れた後、前記の実施例1-1、実施例1-2、比較例1、比較例2、比較例3を投与し 5、10、20、30、45、60分の血流状態を観察、録画し、微小血管の密度、口径、血流の速度などを測った。 [微小循環血管の血流速度変化率] 図1のグラフは、微小循環血管における血流速度変化率を表示したものであるが、投薬後の各時間帯に血流速度を測り、投薬前と比較し、変化率を計算する。実施例1−1(140mg/kg)を投与することによって血流の速度は顕著に速くなり、作用の維持時間は1時間以上であり、実施例1−2(70mg/kg)と比較例1(本件ラフマ100mg/kg)、比較例2(市販ラフマ100mg/kg)の血流の速度は速くなったが、30分を経過してから作用が弱くなった。それでも、実施例1−2(70mg/kg)のものは、比較例1、2に対して1時間経過時点で効果は優位である。 また、生理食塩水だけの比較例3の被験ラットには、血流速度の変化が現れなかった。 この結果、本実施例1は、実施例1−1や1−2のように投与量が異なっても、ラフマ単体や市販ラフマの比較例よりも毛細血管等の微小循環血管における血流速度の改善に効果のあることが判る。 [微小循環血管の血流量変化率] 図2のグラフは、微小循環血管における血流量変化率を表示したものであるが、試薬を投与前後の細静脈の血流速度と血管の内径を測り、計算式によって血流の量を割り出し、その時の平均血圧で割って微小循環血液流量の相対値が得られた。 実施例1−1(140mg/kg)を投与した群の血液流量は比較例3(対照群)より著しく増加した。実施例1−2(70mg/kg)を投与した群の血液流量は比較例3(対照群)より増加が見られたが、実施例1−1(140mg/kg)よりは小さいく、比較例1(本件ラフマ100mg/kg)の群も血流量の変化があるが、持続時間は実施例1−1や実施例1−2より短く、比較例2(市販ラフマ100mg/kg)の場合、作用は弱く、持続時間は更に短くなった。 この結果から、本実施例1は、実施例1−1や1−2のように投与量が異なっても、ラフマ単体や市販ラフマの比較例よりも微小循環血管における血流量は増加し改善に効果のあることが判る。 [微小循環血管の口径の変化率] 図3のグラフは、微小循環血管における口径の変化率を表示したものであるが、投与前後の微小血管口の口径が、投与前の径微小血管口径に対して、比較例3の対照群が平均12%縮小したのに対して、実施例1−2(70mg/kg)が10.5%、実施例1−1(140mg/kg)の微小血管の口径は投与前と比べて15%も拡大した、比較例1(本件ラフマ100mg/kg)は比較例2(市販ラフマ100mg/kg)群及び比較例3の対照群より改善されたが、実施例1−1や実施例1−2群より弱かった。 この結果から、本実施例1は、実施例1−1や1−2のように投与量が異なっても、ラフマ単体や市販ラフマの比較例よりも微小循環血管の口径は拡大する。 このように、ラットを対象にした実験では、実施例1(1−1,1−2)のものが、微小循環血管の血流速度変化率、血流量変化率、口径の変化率の全てで、比較例よりも優れた効果があることが判る。 [2:高血圧患者の血圧、微小循環血管への作用] 次に、高血圧患者の血圧、微小循環血管への作用の実験を行ったが、試薬は前述した本発明の実施例1の外に、ラフマエキスの組成を変えた本発明の実施例2、実施例3、及び、比較例4として、ラフマエキスを含有しない偽薬を作成して実験を行った。実施例2、実施例3、及び、比較例4の組成は次とおりである。 (表5)実施例2の成分配合比率(比率は重量%) 本件ラフマエキス(主剤)* 10%(ラフマエキス25mg含有) 甘草エキス(主剤) 12% イチョウ葉エキス(主剤) 12% ビール酵母 10% デキストリン 44% 結晶セルロース 10% 蔗糖脂肪酸エステル 2% 計(錠)250mg 100% (表6)実施例3の成分配合(比率は重量%) 本件ラフマエキス(主剤)* 25%(ラフマエキス62.5mg含有) 甘草エキス(主剤) 8% イチョウ葉エキス(主剤) 8% ビール酵母 10% デキストリン 37% 結晶セルロース 10% 蔗糖脂肪酸エステル 2% 計(錠)250mg 100%(比較例4) (表7)比較例4の成分配合(比率は重量%) ビール酵母 10% デキストリン 68% 結晶セルロース 20% 蔗糖脂肪酸エステル 2% 計(錠)250mg 100% 上記の実施例1乃至実施例3と、比較例4について実験を行った。以下に、その詳細を説明する。(1)被験者 「WHO/ISH(世界保健機関/国際高血圧学会)高血圧管理1999年のガイドライン」により高血圧患者を診断し、120名患者を集め、無作為に治療群1、治療群2、治療群3と無処置の比較対照群に分けた。 治療群1には、実施例1の試薬一錠(ラフマエキス35mg含有)/回を、3回/日を投与する。 治療群2には、実施例2の試薬一錠(ラフマエキス25mg含有)/回を、3回/日を投与する。 治療群3には、実施例3の試薬一錠(ラフマエキス62.5mg含有)/回)を、3回/日を投与する。 対照群には、比較例4の偽薬を投与する。 なお、前記4群の患者は、すでに実験1ヶ月以上前から降圧剤を連続服用しており、顕著な血圧降下作用が見られていなかった。実験が始まっても同じ薬を服用し続ける。また、除外基準として、18才以下、或いは70才以上、二次性高血圧患者、妊娠或いは哺乳期の女性、肝臓、腎臓、造血系に重大な疾患がある患者、精神病、三ヶ月連続服用ができない人は除外した。 図4の[表8]に前記4群の患者(表8〜10中のnは患者数)の一般情況を示すが、著しい差がないことを確認した。(2)実験方法 実験期間は12週で、4群に投与されている降圧剤は、カルシウム拮抗剤(Amlodipine Besylate)、変換酵素遮断剤(Benazepril)、β受容体遮断剤(Betaloc)の一種類或は数種類。対照群は降圧剤のみで、治療群1には実施例1(35mg)の1回1錠を3回/日、治療群2には実施例2(25mg)の1回1錠を3回/日、治療群3には実施例3(62.5mg)の1回1錠を3回/日を、併用して服用する。 そして、自覚症状の確認、血圧の測定と微小循環状態の検査(毛細血管の平均密度、入口口径、出口口径、血流速度などを測定、分析)などを行なった。 検査項目は、実験前後の血圧変化;微小循環状態の変化;自覚症状;徴候であり、判断基準は、中華人民共和国衛生部薬政局編集の「中薬(薬草)新薬の高血圧治療の臨床指導原則」に基づき判断し、顕著、有効、無効で表した。統計学処理はt検定或はカイ平方検定が行った。(3)実験結果 実験前後の4群の血圧の変化を図5の[表9]に示す。この[表9]から明らかなように、比較例4の偽薬投与後の対照群での血圧は、殆ど変化しないのに対して、実施例1〜3ではいずれも血圧は低下していることが判る。 また、試薬投与前後の4群の毛細血管状態の変化、特に、指先の爪上皮の毛細血管観察(特許第3025671号)によるループ状毛細管の密度、その血管の入口口径、出口口径、流速の変化を図6の[表10]に示す。この[表10]から明らかなように、比較例4の偽薬投与後の対照群でのループ密度は殆ど変化しないのに対して、実施例1〜3ではループ密度は高くなり、また、血管の入口口径や出口口径の広がり度合も各実施例は比較例4よりも大きい。 さらに、自覚症状・徴候の変化については、自覚症状・徴候:眩暈、頭痛、頭重、胸苦しい、不整脈、不眠、脱力感などは、「比較例4の対照群」では顕著、有効、無効の割合は、2例(6.5%)、18例(58.1%)、11例(35.4%)で総有効率は64.5%であるのに対して、「実施例1の治療群1」の顕著、有効、無効の割合は、3例(9.7%)、25例(80.6%)、3例(9.7%)、総有効率は90.3%であり、「実施例2の治療群2」の顕著、有効、無効の割合は、2例(6.7%)、21例(70%)、無効7例(23.3%)、総有効率は76.7%であり、「実施例3の治療群3」の顕著、有効、無効の割合は、2例(7%)、有効23例(82.1%)、無効5例(17.9%)、総有効率89.1%である。 このように、偽薬の比較例4の対照群に比べ、実施例1の治療群1、実施例3の治療群3の総有効率は非常に高く、比較例4の対照群と比べて顕著な差があった。実施例2の治療群2も比較例4の対照群により明らかな差があったが、治療群1、3より総有効率は低かった。 これら4群間には有意な差がある(p<0.05、治療群1、3と治療群2、治療群2と対照群の比較;p<0.01、治療群1、3と対照群の比較)。治療群1と3の薬効は同じレベルである。また、治療群1と3の間に有意な差はなかった。 以上のように、本発明のラフマエキス含有の各実施例は、血圧を降下させ、毛細血管の密度や血流速度等の血行を改善する毛細血管循環改善剤であることが確認された。 すなわち、ラット実験と高血圧臨床実験結果によって実施例1は、微小循環の改善作用がある。動物実験では、試薬による血液高凝集状態の微小循環障害に実施例1は毛細血管血流速度、血流量、血管口径への改善作用が見出され、比較例のラフマエキス単品より顕著である。なお、本件ラフマエキス自体の微小循環改善作用も、市販ラフマエキスより優れたことも確認された。 高血圧患者での臨床実験では、降圧剤を一ヶ月以上に投与されて、血圧のコントロールは悪い患者に実施例1(35mg)と実施例2(62.5mg)の各1錠を3回/日、12週連続投与したところ、患者の血圧、微小循環状態は比較例4の偽薬の対照群より明らかな改善が見られ、顕著な差があった。実施例2(25mg)の1錠を3回/日、12週連続投与された群も血圧低下と微小循環状態の改善が見られたが、治療群1より弱かった。治療群3と治療群1の間に顕著な差は無く、ラフマエキスの作用強度は適切な濃度と関係していることが判る。 ただし、本件ラフマエキスは、実施例2の10重量%以下では効果が少なく、14重量%(実施例1)以上の実施例3の25重量%にしても効果は顕著に向上しないので、経済上、生理学上、安全性の面から、最適には14重量%である。 また、イチョウの葉エキスも8重量%以下では効果が少なく、12重量%以上では同様の理由で好ましくなく、最適には実施例1の10重量%である。同様に、甘草エキスも8重量%以下では効果が少なく、12重量%以上では同様の理由で好ましく、最適には実施例1の10重量%である。 すなわち、イソクェルシトリンとクェルセチンの高含有ラフマエキスが10〜25重量%、前記イチョウの葉エキスが8〜12重量%、前記甘草エキスが8〜12重量%を混合すればよく、ラフマエキスはより好ましくは14〜25重量%である。 生薬投与による毛細血管本数の増加や入口、出口の拡張によって血圧降下作用が霊芝などについての研究が本発明者らによって発表されているが、本発明の実施例の血圧低下も毛細血管本数の増加、入口、出口の拡張によるものと思われる。 また、本実施例で使用したラフマエキスは他社の市販ラフマ製品と異なるところは、以下の3点があり、これが、本発明の実施例の作用に関与するものと思われる。(1)本発明で使用したラフマエキスは中国新疆地区特産のラフマ葉を使用、超音波抽出法でエキスを抽出したものである。特異な有効成分としては、今まで他社に確認されたものは、イソクェルシトリン(isoquercitrin)一種類のみであるが、当社のエキスのなかに、イソクェルシトリン(isoquercitrin)6重量%と、クェルセチン(quercetin)0.3重量%という二つ物質が高含量で検出された。イソクェルシトリン(isoquercitrin)とクェルセチン(quercetin)、特にクェルセチン(quercetin)は細動脈平滑筋を拡張作用がある。当実験も同じことが確認された。なお、ラフマ葉エキスの有効成分の確認は、中国2005版薬典:国家薬典印鑑編によると羅布麻甲素(isoquercitrin)と羅布麻乙素(quercetin)に指定されている]。(2)本発明の実施例には、イソクェルシトリン(isoquercitrin)とクェルセチン(quercetin)以外に、甘草エキスの有効成分グリチルリチンと、イチョウ葉エキス有効成分テルペンラクトン(ギンコライドA,B,C,Jとビロバライド)、クェルセチン(quercetin)などが含まれているため、特にクェルセチン(quercetin)の相乗効果が現れているものと思われる。(3)本発明の実施例の作用としては微小循環血管への改善効果(毛細血管本数の増加、入口と出口の拡張)があることが確認された。 以上の動物実験や臨床実験から、イソクェルシトリンを6重量%以上、とクェルセチンを0.3重量%以上をとを高含有するラフマ葉エキスとイチョウの葉エキスと甘草エキスとを混合したラフマ抽出成分を含有する実施例1乃至実施例3の毛細血管循環改善剤は、ラフマ葉の抽出成分を用いているので人体に安全であり、高血圧患者に対して血圧を降下する作用効果があり、微小循環血管である毛細血管の密度を高め、毛細血管での血流速度を速め、血流量を増やし、毛細血管の血管口径を拡げる等の改善作用があることが確認できた。 その組成比率も、好ましくは、本件のイソクェルシトリンとクェルセチンとを高含有ラフマ葉エキスが10〜25重量%、イチョウの葉エキスが8〜12重量%、甘草エキスが8〜12重量%を混合した毛細血管循環改善剤であり、最適値は、実施例1のように、本件のイソクェルシトリンとクェルセチンとを高含有ラフマ葉エキスがほぼ14重量%、イチョウの葉エキスがほぼ10重量%、甘草エキスがほぼ10重量%である。 なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の実施例に限定されるものでないことは勿論であり、本発明の実施例は三つ主成分(ラフマ、甘草、イチョウ葉エキス)をベースに、カルシウム(真珠の粉、かきの殻、動物の骨など)、黒焼き(真菌、竹、木など)、ギャバ、金針菜、棗、百合の根、蓮の実、クコシ、酸棗仁、合歓花、夜交藤、纈草(けっそう)、五加参、菩提樹(ぼだいじゅ)、当帰、杜仲、牡丹皮、茯苓などを混合してもよいことは勿論である。本発明の実施例と比較例の微小循環血管の血流速度変化率のグラフの図本発明の実施例と比較例の微小循環血管の血流量変化率のグラフの図本発明の実施例と比較例の微小循環血管の口径の変化率のグラフの図本発明の実施例と比較例の4群患者の一般情況の比較の[表8]の図本発明の実施例と比較例の実験前後の血圧変化の比較の[表9]の図本発明の実施例と比較例の4群実験前後の毛細管状態の変化の[表10]の図 である。 イソクェルシトリンを6重量%以上、クェルセチンを0.3重量%以上の高含量を有するラフマ葉エキスを10〜25重量%と、イチョウの葉エキスが8〜12重量%と、甘草エキスが8〜12重量%とを混合したことを特徴とするラフマ抽出成分を含有する毛細血管循環改善剤。


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