生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_シチコリンを用いる梗塞容積の低減
出願番号:2006243503
年次:2006
IPC分類:A61K 31/7068,A61K 45/00,A61K 38/43,A61K 31/616,A61P 9/10,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

サンデージ,ボビー,ウィンストン フィッシャー,マーク ロック,ケネス,ダブル. JP 2006342184 公開特許公報(A) 20061221 2006243503 20060908 シチコリンを用いる梗塞容積の低減 フエルレル インターナショナル、ソシエダッド アノニマ 506303605 浅村 皓 100066692 浅村 肇 100072040 長沼 暉夫 100088926 池田 幸弘 100102897 サンデージ,ボビー,ウィンストン フィッシャー,マーク ロック,ケネス,ダブル. US 08/399,262 19950306 US 08/603,102 19960220 US 08/609,448 19960301 A61K 31/7068 20060101AFI20061124BHJP A61K 45/00 20060101ALI20061124BHJP A61K 38/43 20060101ALI20061124BHJP A61K 31/616 20060101ALI20061124BHJP A61P 9/10 20060101ALI20061124BHJP A61P 43/00 20060101ALI20061124BHJP JPA61K31/7068A61K45/00A61K37/48A61K31/616A61P9/10A61P43/00 121 19 1996527057 19960306 OL 19 4C084 4C086 4C084AA02 4C084AA03 4C084AA17 4C084BA44 4C084DC01 4C084DC05 4C084DC06 4C084MA02 4C084MA66 4C084NA05 4C084ZA392 4C084ZA402 4C084ZA542 4C084ZC192 4C084ZC751 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA17 4C086MA02 4C086MA04 4C086NA05 4C086ZA39 4C086ZA40 4C086ZA54 4C086ZC19 4C086ZC75 本発明は梗塞、特に虚血性事象に続いて起こる脳梗塞の程度を低減する方法に関する。梗塞容積の低減は、何らかの損傷を受けた組織の修復促進を組み合わせたならば、その結果として、卒中の後に起こる症状のような、決定的に重要な血流の損失後の回復の可能性を最大にしうる。より詳細には、本発明は、脳梗塞容積の低減し、かつ完全な、または実質的な回復の機会を改善するための新規治療法におけるシチコリン(シチジン−5’−ジホスホコリンまたはCDP−コリン)の用途に関する。 脳は、その生存および適正な機能作動のために、身体の他の全ての臓器に比較して、酸素化された血液の比較的一定した供給により多く依存している。脳は、体重のわずか2%しか占めていないにもかかわらず、心臓の血液拍出量の15%を受取っており、かつ身体で使用される酸素の20%を消費している。さらに、脳にグルコ−スを供給するためには一定の血液の供給が必要であり、このグルコ−スは、脳によって使用されてATPのような高エネルギーホスフェートを生産する主要なエネルギー基質である。 虚血は、組織への血流の減損として定義される。脳虚血は、脳に送りこむ動脈中における血流の中断または減少であり、これは、通常、凝血塊(血栓)または動脈を閉塞させる他の物質(塞栓)により起こる。特定の血管領域への血流の減損は病巣(focal)虚血として知られており、脳全体への血流の減損は包括的な虚血として知られている。 ひとたび血液(したがって、酸素およびグルコース)が奪われると、脳組織は虚血性壊死または梗塞を受けうる。そのような細胞の退化および死滅の根底をなすと考えられる代謝事象としては、ATP枯渇によるエネルギー減退、細胞アシドーシス、グルタメート放出、カルシウムイオン流入、膜りん脂質分解の刺激およびそれに続く遊離脂肪酸蓄積、およびフリーラジカル発生が挙げられる。 これらの根底をなす事象に関する知識から、虚血性傷害のある種のタイプを研究中の研究者達は、カルシウムチャンネル遮断剤、グルタメートおよびグリシンアンタゴニスト、CDP−アミン、フリーラジカル捕集剤/酸化防止剤、パーフルオロカーボンおよび脳血流および/または神経出口を改善するための血栓溶解剤のような薬剤を使用するに至った。すべて混同した結果が得られた。事実、幾つかの血管拡張剤は血流を改善でき、従って、抗虚血剤として使用できる可能性がある。しかしながら特に虚血性卒中に罹った患者では、梗塞容積を低減させることを示すものは全くなかった。逆に、ある種のカルシウムチャンネル遮断剤は梗塞サイズを減少させると報告されているが、これらの薬物はまた一貫した成果を生ぜず、かつ脈拍または灌流圧の低下などの望ましからぬ副作用を生ずることが報告されている。例えば、Kaste,M.らのStroke(1994)25:1348−1353(非特許文献1)を参照されたい。 より詳細には、グルタメートアンタゴニストはある種の実験条件下で梗塞サイズを低減させることが観察されている。例えば、Olney,J.W.らのScience(1991)254:1515−1518(非特許文献2)を参照されたい。しかしながら、これらの化合物は、全部でないとしてもその大部分が脳の空胞化を引き起こし、そして大部分が動物およびヒトにフェンシクリジン様の自覚作用を生ずる。フェンシクリジンの摂取は、上機嫌、不安、気分不安定性および長期の精神病と関連している。 フリーラジカル捕集剤/酸化防止剤は異種化合物群である。一般に、梗塞容積に及ぼすこれら化合物の効果は一貫していない。例えば、スーパーオキシドジスムターゼインヒビターは脳室内に注射された場合にのみ梗塞容積を低下させることが見出されている。Kinouchi,H.らのProc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:11158−11162(非特許文献3)を参照されたい。ルベルゾール(lubeluzole)のような他の化合物は臨床的な利点を有するが、しかし安全性の限界が非常に狭いことが示されている。Diener,H.C.らのStroke(1995)26:30(非特許文献4)を参照されたい。 パーフルオロカーボンは虚血性卒中から生ずる結果に何らかの利点を示すが、これら化合物は極度に半減期が長くそして脳および脊髄液内に注入される必要がある。加えて、これら化合物は生殖腺肥大を引き起こすことが観察されている。Bell,R.D.らのStroke(1991)22:80−83(非特許文献5)を参照されたい。 t−PA(組織プラスミノーゲンアクチベーター)、ストレプトキナーゼ、およびウロキナーゼのような血栓溶解剤は虚血の治療に何らかの有望さを示している。しかしながら、これらの薬剤は頭蓋内出血を高める性向があり、そのことは究極的には死亡率増大に至りうる。例えば、del Zoppo,G.T.らのSeminars in Neurology(1991)11(4):368−384(非特許文献6);The Ancrod Stroke Study Investigators,Stroke(1994)25:1755−1759(非特許文献7):Hacke,W.らのStroke(1995)26:167(非特許文献8)を参照されたい。さらに、これらの薬剤の有効性は卒中の初めの3時間以内の治療に限定される可能性がある。 シチコリンモノナトリウムはシチジン−5’−ジホスホコリン(CDP−コリン)の外因性形態である。内因性CDP−コリンは膜ホスファチジルコリンの生合成における鍵となる中間体であり、このものは細胞の完全性の動的調節にとって主たる重要性を有する。ニューロン機能の維持におけるりん脂質の役割は、虚血がこれらの膜の破壊を誘発できる条件下においては非常に重要である。 シチコリンは臨床試行において広範に研究されている。これら試行の結果では、頭痛、目眩、運動協調および不眠症を含む種々の臨床的徴候における改善が示された。これら試行はまた、運動機能の改善および卒中後遺症の改善をも示した。しかしながら、このような試行は、卒中にかかった可能性のある患者の回復段階期間中のシチコリンの使用に限定され、従ってかかる治療は虚血と推定される事象の後に効果的に行われた。それにもかかわらず、かかる試行では、卒中および頭部外傷患者が1日当たり250mgから1000mgの範囲の量のシチコリンを充分に数週間も耐容したことが示された。Kaste,M.らのStroke(1994)25:1348−1353Olney,J.W.らのScience(1991)254:1515−1518Kinouchi,H.らのProc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:11158−11162Diener,H.C.らのStroke(1995)26:30Bell,R.D.らのStroke(1991)22:80−83del Zoppo,G.T.らのSeminars in Neurology(1991)11(4):368−384The Ancrod Stroke Study Investigators,Stroke(1994)25:1755−1759Hacke,W.らのStroke(1995)26:167 本発明者らは、虚血脳でのりん脂質合成の増大を介した膜の安定化に関連しているであろうシチコリンの十分な可能性のある治療効果が従来研究では実現されていない、と考える。その理由は、従来研究が、虚血の開始の充分後で、典型的には患者の回復を促進するための治療努力期間中にのみ、シチコリンを投与することを包含するからである。さらに、かかる従来の治療は、充分に長い期間にわたって進行しなかった可能性がある。 卒中は、米国で年間およそ500,000人を襲う、重く、潜在的に破滅的な疾患である。臨床医は、脳の膨張を減らすために、患者の体力を保たせるのに有効な処置および、ステロイドおよびマンニトールのような非特異的薬剤に頼らねばならなかった。卒中犠牲者の25〜50%が無能力となるので、これらの患者の改善された治療法が必要とされている。 静脈内血栓溶解治療は、卒中の3時間以内に投与された場合には幾分有望であることが示されているが、卒中後24時間以内の時間帯に開始され、かつ卒中3か月後の神経学的成果に良い影響を及ぼすであろう経口薬物治療が、この疾患に対する戦いにおける新しい重要な武器となるであろうことが考えられる。 本発明は、シチコリンまたは薬学上許容可能なその塩の有効量を投与することを包含する、虚血性卒中のような多数の障害のいずれかにより引き起こされる虚血性事象(例えば脳虚血)の後に起こる梗塞容積、特に脳梗塞容積の低減法に関する。かかる障害としては、血栓塞栓性のまたは出血性の卒中、脳血管痙攣、低血糖、心停止、および癲癇状態が包含され、そしてまた精神分裂病、癲癇、神経退行性障害、アルツハイマー病、およびハンチングトン舞踏病も包含されるが、それらに限定されるわけではない。 さらに本発明は、シチコリンの有効量を薬学上許容可能な担体と一緒に投与することを包含する、梗塞容積、特に脳梗塞の大きさを低減させるための医薬品の製造へのシチコリンの使用にも関する。 梗塞容積または大きさを低減させる方法では、有効量のシチコリンの投与は虚血症状発現後短時間以内、好ましくは24時間以内に行われる必要がある。次に、後続のシチコリン投与が、ある特定の期間、典型的には少なくとも約1週間(約5〜10日間、しかし好ましくは少なくとも約7日間)、最も好ましくは少なくとも約2〜3週間から数週間(例えば3〜8週間、好ましくは少なくとも約6週間)にわたり行われるべきである。用量はある限界内で変えてもよい。典型的には、約100mg〜2000mgのシチコリンを1日当たり1回以上、好ましくは治療持続期間中1日1回投与できる。好ましい毎日の一回の用量としては、約500mg〜1000mgのシチコリンが挙げられ、最も好ましくは約500mgである。しかしながらここでもまた、必要に応じて、この一回の用量を1日1回以上、例えば1日2回投与してもよい。 虚血性事象後の梗塞容積の低減のために開発された他の薬剤に比較して、シチコリンは多数の利点を有することが期待できよう。シチコリンは、内因性化合物であるので、本質的に安全である。シチコリンは毒性が非常に低く、そして極度に幅広い治療インデックスを有する。 シチコリンの潜在的な多様な作用も有利であることが証明されよう。梗塞の大きさの低減に対する各潜在的な作用様式の相対的な寄与は知られていないが、シチコリンおよびその加水分解産物であるシチジンおよびコリンは、膜の形成および修復に関与するりん脂質の生成に重要な役割を果たすと考えられる。これらの化合物はまた、核酸およびタンパク質の形成などの重要な代謝機能および神経伝達物質アセチルコリンの合成に寄与するとも考えられる。Ulus,I.H.らのBrain Research(1989)484:217−227を参照されたい。従って、虚血条件下では、シチコリンは(1)膜維持のための基質を提供することにより膜を安定化させる、(2)膜形成にとって重要な基質を供給することにより損傷した膜を修復する、および(3)アセチルコリン形成のための基質を供給することによりニューロン機能を復旧させる、という機能を果たしうる。その上、他の提案された治療剤と異なり、シチコリンは最初の梗塞の大きさを低下させるのみならず、損傷を受けた領域の修復に寄与する潜在能力をも有する。 従って、本発明の目的の一つは、卒中および頭部外傷を受けた犠牲者の回復を改善する方法を提供することである。それ故、虚血の開始後非常に早く、好ましくは虚血事象後24時間以内に患者にシチコリンを投与することは、本発明のもう一つの目的である。最も好ましくは、シチコリンの初回量は虚血事象の約12時間〜約15時間内に投与される。 本発明のさらにもう一つの目的は、例えば虚血性卒中、頭部外傷、または冒された臓器または組織における血流の減損をもたらしうるあらゆる症状によって傷害を受けている患者の梗塞容積を低減させる方法を提供することである。 本発明のこれらおよび他の目的は、前記した論議および本発明の好ましい態様に関して以下に掲げるさらなる詳細な説明に鑑みて、当業者には明白であろう。 本発明は、シチコリンまたは薬学上許容可能なその塩を1回量約100mgから約2000mgで1日1回〜4回、虚血事象後非常に早く開始して少なくとも約1週間(例えば約7日間)〜数週間まで、好ましくは4〜8週間、より好ましくは5〜8週間、最も好ましくは少なくとも約6週間継続して投与する工程を包含する、梗塞容積の低減法を包含する。 理論により限定されるものではないが、シチコリンは少なくとも2通りの作用メカニズムを有すると考えられる。すなわち、卒中または重い頭部外傷のような傷害により惹起される脳損傷を制限すること、および損傷を受けたニューロン組織の修復を助けることである。 シチコリンの投与は、有毒な遊離脂肪酸の蓄積を阻止することにより、梗塞または組織損傷の程度を制限すると考えられている。さらに、その投与に続いて、シチコリンは神経細胞膜の形成に必要とされる基質である2種の構成成分であるシチジンおよびコリンに分解されると考えられる。さらに、脳機能を正常化させるためには、卒中により損傷を受けた神経細胞は新たな膜要素を作り出さなければならないことも仮定されている。以下に記載するとおり、卒中の病状発現前の動物モデルでは、シチコリンの投与により梗塞の大きさがかなり低減することが示される。この結果は、ヒトにおいて、シチコリン治療による早期の介入を受けた選択患者群を磁気共鳴映像形成技術により検査する以下にさらに記載の臨床検査により確認される。 本発明は、シチコリンの新規かつ重要な使用(脳虚血に続いて起こる梗塞の大きさの低減)に関する。膜の安定化は虚血症状では有益であると考えられているが、膜の安定化が梗塞容積の低減をもたらすであろうことは明確には証明されていない。本発明者らは意外にも、シチコリンを丁度7日間投与すると、恐らくはホスファチジルコリン合成および膜形成の変更により、梗塞容量がかなり低減することを見出した。 シチコリンの脳保護作用は、一つの場合には、中脳動脈(MCA)が縫合により閉鎖されたラットにおける一時的前脳虚血モデルで示された。500mg/Kgのシチコリンで治療することにより、対照と比較して、梗塞の平均容積がかなり低減された。 シチコリンは、薬学上許容可能な塩として経口投与されるのが一般的に好ましい。好ましい塩はシチコリンのモノナトリウム塩である。この理由は、この形態が薬学上許容可能な純度で容易に入手できるからである。 前記したとおり、本発明の下の治療は当初の虚血症状発現の開始から少なくとも約24時間以内、好ましくは約12〜15時間以内、最も好ましくはできるだけ直後に始めるのが好ましい。本発明の具体例においては、治療はその開始から少なくとも約7日間まで、好ましくは少なくとも約14日間まで、最も好ましくは少なくとも約30日間まで継続される。 それゆえ、本発明の態様の一つによれば、シチコリンまたは薬学上許容可能なその塩の有効量の初回量を虚血事象の発症の短時間後しかし24時間以内に投与し、続いてシチコリンまたは薬学上許容可能なその塩の有効量の後続量を少なくとも約1週間の期間にわたり投与することを包含する、虚血事象を経験した患者における梗塞容積の低減法が開示される。好ましくは、初回量は虚血事象の発生後約12〜約15時間以内に投与され、そしてその初回量に続いてシチコリンまたは薬学上許容可能なその塩の後続量を少なくとも約7日間、好ましくは14日間、最も好ましくは30日間投与する。 シチコリンまたは薬学上許容可能なその塩が約500〜約1000mgという好ましい用量を、1日1回またはそれ以上、好ましくは1日1回または2回投与してもよい。 本発明の方法は、代表的には脳虚血、頭部外傷、などからの脳で起こった虚血事象を経験したヒト患者で最も有利に使用できる。しかしながら、シチコリンまたは薬学上許容可能なその塩の有効量の初回量の投与を、虚血事象後できるだけ速やかに、しかしかかる発生後24時間以内に行わねばならないことは充分に強調することはできない。 種々の用量範囲が適する。本発明でのシチコリン用量は約100〜約1000mgで1日当たり1〜約4回であることができる。例えば、1日1回の投与が望ましい場合、シチコリンは1日約100〜約4000mg、好ましくは1日当たり約500〜約2000mgで投与される。本発明の態様の一つにおいては、用量は1日当たり1000mgである。 医学的用途では、治療効果を達成するためのシチコリンまたは薬理学的に受容できるその塩(“活性成分”)の量は、投与経路および治療すべき個々の障害または疾患に応じて変動する。本明細書に記載されたいずれかの症状に罹っているかまたは罹っている可能性のある哺乳動物に対する活性成分の好適な全身投与量は、1日当たり100〜4000mgの範囲であり、好ましい量は1日当たり1000mgで500mgを1日2回投与する。1日当たり1000mg量のシチコリンによって血漿コリン濃度1.5ng/mlが生ずるであろう。これは実施例でさらに記載するように、ラットに1日当たり500mg/kgのシチコリンを投与することにより生ずるものと同じである。しかしながら1日あたり500mgで、幾人かの患者が経験する可能性のあるめまい等の全ての副作用を最小限に抑えると同時に、シチコリン治療の大部分の利点が得られることが示されている。 試行において、虚血性卒中患者の259人が、徴候開始後24時間以内に登録された。患者は、無作為に、6週間にわたるプラシーボまたはシチコリンの3種の経口量(1日当り500ミリグラム、1000ミリグラムまたは2000ミリグラム)の一つに割り当てられ、そしてさらなる6週間にわたってモニターされた。主要な有効性成果の尺度は、バーセルインデックス(Barthel Index)により評価したところ、卒中後12週での神経学的機能改善であった。 1日当り500mgまたは2000mgのシチコリンを与えられた患者はプラシーボ処置患者に比較して、第12週でバーセルインデックスにおいて有意に高い(p<0.05)改善を示した。1日当り1000mgの群についての有効性成果測定では、統計的な有意性に到達しなかったが、人口統計的インバランスおよび該群の患者間の混同した変数は、この所見を完全に説明出来よう。 さらに、他の周知の測定であるランキンスケール(Rankin Scale)により評価したグローバルな神経学的状況は、プラシーボに比較してシチコリン治療では有意に改善された(p<0.04)。 バーセルインデックス(Barthel Index)は100ポイント評価目盛りを用いる。95またはそれ以上の得点は、卒中からの完全な、あるいはほとんど完全な回復の指標である。全体的に、プラシーボ処置患者の33%は、1日500mgのシチコリンを与えられた患者(p<0.04)の53%と比較して、卒中後12週で95より高い得点に達した。 もう一つの成果尺度であるNIHストロークスケール(NIH Stroke Scale)では、卒中後12週で1より低いかまたは1に等しい得点により示されるように(p<0.04)、シチコリン処置患者の34%は、プラシーボ処置患者の16%に大して、機能の完全なまたはほとんど完全な正常化を達成したことが示された。 上記4処置群内での死亡数には有意な差は全くなかった。不利な事象の予備分析および実験室所見から、シチコリンの全ての用量が充分に耐容されたことが示された。シチコリン処置患者のプラシーボ処置患者に対する唯一の統計的に有意な差は、めまいおよび偶発的な傷害(例えば転倒)の増大であった。しかしながら、500mgシチコリン量群は、これらのパラメーターにおいてプラシーボ群と有意差はなかった。 1日量500mgのこのような有効性の程度、およびこの用量レベルとプラシーボとの間で不都合な事象に有意差が存在しないことにより、1日量500mgは、この研究から誘導される最適の用量であると思われる。 活性成分は単独で投与することが可能であるが、活性成分を製剤として提供することが好ましくありうる。 経口投与に好適な活性成分の製剤は、カプセル、カシェー、錠剤、または舐剤のようなディスクリートなユニットの形態;再構成用の粉末または顆粒の形態;水性液体または非水性液体中における溶液または懸濁液の形態;または水中油型乳濁液または油中水型乳濁液の形態であることができる。また、活性成分は、ボーラス、舐剤、またはペーストの形態であってもよい。 非経口投与に好適な活性成分の製剤としては、活性成分の滅菌水性調製物が挙げられる。この製剤は単位剤形で提供でき、そして薬理業界で周知のあらゆる方法により製造できる。 前記製剤の全ては、標準的かつ周知の製剤上の担体および/または賦形剤に加え、他の治療上活性な物質を含有してもよい。従って、本発明はまた、シチコリンおよび少なくとも1種の第2の治療剤またはそれぞれの薬学上許容可能なその塩の共同投与に関する組み合わせ治療法をも意図する。 この少なくとも1種の第2の治療剤の広いカテゴリーが意図されている。これらの薬剤としては、抗血小板薬(例えば、アルボアグレギンA(Alboaggregin A)、BB−2113、BN−50726、BN−50739、“コルセビンM(Corsevin M)”、C68−22、インテグレリン(Integrelin)、KB−3022、リノトロバン(Linotroban)、血小板第4因子、スタウロスポリン(Staurosporine)、S−1452、チクロピジン(Ticlopidine)、TP−9201等)、抗凝血剤(例えば、α−1抗トリプシン、抗トロンビンIII、抗トロンビンポリペプチド、アルガトロバン(Argatroban)、凝固第Xa因子、CTC−110、CTC−111及び他のプロテインC生成物、CX−397、ダルテパリン(Dalteparin)、ダナプロイド(Danaproid)ナトリウム、エノキサパリン(Enoxaparin)、第XIIa因子阻害剤、フラキシパリン(Fraxiparine)、ヘパリン、ヒルジン、ヒルゲン、Hoe−023、HV−1、ITF−300及びITF−1300、モノクローナル抗体、ONO−3307、過硫酸化LMWヘパリン、ラビパリン(Raviparin)ナトリウム、rTAP、R−020、SC−597、トロンボモジュリン、TMD1−105等)、血栓溶解剤及び関連薬剤(例えば、カビ−2161(Kabi−2161)、クニッツ(Kunitz)プロテアーゼ阻害剤、プラスミノーゲン活性化剤、プラスミノーゲン活性化剤阻害剤、組織プラスミノーゲン活性化剤等)、抗虚血剤及び“神経保護剤(neuroprotectives)”(例えば、興奮性作用の阻害剤、アミノ酸、ACEA−1021、ACPC、アプチガネル(Aptiganel)、BW−619C、CNS−1145、CNS−1505、CPC−71及びCPC−702、デキストロルファン(dextrorphan)及びデキストロメトルファン(dextromethorphan)、エリプロジル(Eliprodil)、ES−242−1、FPL−15896、FR−115427、GP−1−4688、L−687414、L−689560、L−695902、LY−104658、LY−235959、LY−274614、LY−293558、メマンチン(Memantine)、NNC−07−9202、NS−257、NPC17742、“プロタラ(Protara)”、レマセミド(Remacemide)、リルゾール(Riluzole)、SDZ EAA 494、セルフォテル(Selfotel)、SYM−1010、SYM−1207、YM−90K、MK−801等)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。 シチコリンとの組み合わせにおいて有用なさらに別の治療剤は、カルシウムチャンネル遮断剤(例えば、AJ−394、AK−275、カルパイン(Calpain)阻害剤、CD−349、クレンチアズ(Clentiaze)、CNS−1237、CNS−2103、CPC−304及びCPC−317、ダゾジピン(Dazodipine)、ジペルジニン(Diperdinine)、エモパミル(Emopamil)、ファスジル(Fasudil)、ラシジピン(Lacidipine)、リファリジン(Lifarizine)、ロメリジン(Lomerizine)、マグネシウム、MDL:28170、NB−818、ニルバジピン(Nilvadipine)、ニモジピン(Nimodipine)、NS−626及び関連化合物、SM−6586、SNX−111、S−312−d、U−92032、UK−74505、US−35等)、酸化窒素が標的とされる薬剤、他の様々なものが標的とされる薬剤、神経伝達物質(例えば、α2−受容体治療薬、CV−5197、ドーパミン受容体、エナドリン(Enadoline)、ラザベミド(Lazabemide)、ミルナシプラン(Milnacipran)、ナルメフェン(Nalmefene)、RP−60180、SR−57746A、シナプス取込み遮断剤等)、サイトカイン、ホルモン及び関連生成物(例えば、AN−100225及びAN−100226、脳由来神経栄養性因子、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、CEP−075及び関連化合物、毛様体神経栄養性因子、内皮細胞因子、エンドセリン阻害剤、FR−139317インターロイキン−1受容体アンタゴニスト(リポコルチン(lipocortin))、JTP−2942、マクロファージ調節化合物、運動ニューロン栄養性因子NBI−117、神経成長因子、神経幹細胞、好中球阻害因子、NS−506、NT−3、ポサチレリン(Posatirelin)、シュワン細胞プロモーター、sCR1、ソマトメジン−1(Somatomedin−1)等)、フリーラジカルスカベンジャー(例えば、EPC−K1、MCI−186、ニカラベン(Nicaraven)、フェナゾビリジン(Phenazoviridin)、レソルスタチン(Resorstatin)、ランブリン(Rumbrin)、スーパーオキシドジスムターゼ、チリラザド(Tirilazad)メシレート、U−88999E、イッサム(Yissum)プロジェクトP−000619、YM−737等)、ガングリオシド及び関連生成物(例えば、LIGA4、LIGA4、モノシアロガングリオシド(Monosialoganglioside)(GM1)、ND−37、シアゴシド(Siagoside)等)である。 第2の治療剤のさらに別の部類としては、様々な特定の酵素の調節剤(例えば、CEP−217、CEP−245、CEP−392、CNS−1531、エブセレン(Ebselen)、エパルレスタット(Epalrestat)、JTP−4819、K−7259、プロテアーゼネキシン−1(nexin−1)、SK−827、チロシンキナーゼ調節剤、Z−312等)、記憶増強剤すなわち“ヌートロピクス(nootropics)”(例えば、アロラセタム(Aloracetam)、コリン−L−アルフォスセレート(alfoscerate)、DN−2574、イデベノン(Idebenone)、オキシラセタム(Oxiracetam)、ピラセタム(Piracetam)、プラミラセタム(Pramiracetam)、タクリン(Tacrine)及びその類似体、ビンコネート(Vinconate))、“多様な”作用を有する神経保護剤(例えば、アデメチオニン(Ademetionine)スルフェートトシレート、アンクロッド(Ancrod)、アポクアンジン(Apocuanzine)、CPC−111、CPC−211、HSVベクター、KF17329及びKF−19863、LY−178002、MS−153、ニコランジル(Nicorandil)、N−3393及びN−3398、SUN4757、TJ−8007、VA−045等)、ヘモレオロジー的な薬剤及び代用血液(例えば、ドロタベリンアセフィリネート(Drotaverine acephylinate)、“レオトRx(RheothRx)”代用血液等)並びに造影剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。 したがって、虚血を患う患者の治療方法であって、有効量のシチコリン及び少なくとも1種の第2の治療剤の第1の用量、又はそれらの各々の薬学的に許容し得る塩を、虚血の発症後の短い期間に、しかしながら好ましくは約24時間以内に同時投与することを包含する方法が提供される。この第1の用量の後に、有効量のシチコリン単独、少なくとも1種の第2の治療剤単独、もしくはそれらの各々の薬学的に許容し得る塩の1以上の後続用量、又はそれらの後続の組み合わせの同時投与をしてもよい。ここに開示される他の方法と同じく、この第1の用量は、虚血の発症後約12〜約15時間以内に同時投与することができる。“同時投与(co−administration)”という用語は、シチコリン及び少なくとも1種の第2の治療剤、もしくはそれらの各々の薬学的に許容し得る塩を一緒に、又は連続して投与することを意味する。 意図された組み合わせ療法を用いる方法は、好ましくは少なくとも約30日の期間にわたって行われる後続の用量の投与又は同時投与を包含する。本発明の特定の態様では、後続の用量の同時投与は、少なくとも約4〜8週間にわたって、好ましくは少なくとも約6ヶ月〜約1年間にわたって行われる。さらに、第1の用量又は後続の用量は、予め定められた期間にわたって、毎日、1回以上同時投与される。この組み合わせ療法から最も利益を享受し得る患者は頭部損傷又は卒中を患う患者であることが予期される。したがって、この組み合わせ療法は第2の治療剤を含んでもよく、この第2の治療剤はt−PA、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼであり、さらにはアスピリンもしくはジピリダモル(dipyridamole)であってもよい。 したがって、有効量のシチコリン及び少なくとも1種の第2の治療剤、又はそれらの各々の薬学的に許容し得る塩を薬学的に許容し得る担体中に含有する、虚血を患う患者の治療のための組成物がさらに提供される。そのような組成物において、活性成分の有効量は特定の必要性に応じて変えてもよい。しかしながら、典型的な範囲は、シチコリンが約100mg〜約1000mg及び少なくとも1種の第2の治療剤が約10mg〜約500mgである。 本発明を以下の実施例によって説明するが、本発明がこれらの実施例の具体的な詳細に限定されるものではないことは理解される。実施例 1 動物試験1 シチコリンの脳保護作用を、中大脳動脈(MCA)が縫合によって塞がれているラットでの一時的前脳虚血モデルにおいて示した。500mg/kgのシチコリンでの治療により、対照と比較して梗塞の平均容量が大きく減少した。 体重280−350グラムの30匹の雄スプラーグ−ドーリー(Sprague−Dawley)ラットを、無作為に、各々10匹のラットの3つの群:500mg/kgのシチコリンで処置する10匹の動物;100mg/kgのシチコリンで処置する10匹の動物;及びシチコリンのビヒクルである生理食塩水で処置する10匹の対照動物に分けた。 全ての動物を400mg/kgのクロラール水和物を腹腔内投与することにより麻酔した。動脈血圧の連続監視及び動脈血ガスの分析のための血液をサンプリングするために、PE−50ポリエチレン管を左大腿動脈にカニューレ挿入した。再灌流の前に、手術の前、虚血の1時間後かつ虚血の2時間後に測定を記録した。手術及びMCA閉塞の間、サーモスタット制御された加熱ランプで直腸温度を37℃に維持した。 右MCAを従来記述されている血管横断アプローチによって閉塞した。Minematsu,K.et al.Neurology(1992)42:235−240:Zea Longa,E.et al.Stroke(1989)20:84−91を参照のこと。簡単に述べると、正中頸部切開により右総頸動脈及び右外頸動脈を露出した。末梢CCA及び外頸動脈を3−0シルク縫合糸で結紮した。先端を炎の近くで加熱することにより丸めた後シリコンでコートした4−0モノフィラメントナイロン縫合糸(40mm長)(バイエル、レフェルクーゼン(Leverkusen)、ドイツ)をCCAの動脈切開により挿入し、静かに内頸動脈に進めた。頸動脈分岐から約17mmの位置に達したときに、その縫合糸の先端が近位前大脳動脈、MCAの起点及び後交通動脈を一方的に塞ぐ。出血を防ぐため、そのCCAを動脈切開の遠位で3−0シルク縫合糸を用いて緩く結紮した。 虚血の110分後、これらの動物を、500mg/kgのシチコリン;100mg/kgのシチコリン;又は0.3mlの生理食塩水ビヒクル(対照)を腹腔内に投与して処置した。その後MCA結紮物及び大腿動脈カテーテルを取り除き、2時間の総虚血期間の後、組織の再灌流を行った。これらの動物を麻酔から覚まし、自由に飲食させた。このシチコリン処置手順をさらに6日繰り返した。 処置の第7日目に、これらの動物に400mg/kgのクロラール水和物を腹腔内投与することにより再度麻酔し、断頭した。脳を素早く取り出し、クモ膜下出血が発生していないことを確認するために検査して、冠状に6枚の2mmスライスに切断した。これらの脳スライスを2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロライド(TTC)の2%溶液中において37℃で30分間インキュベートし、10%緩衝ホルマリン溶液に浸漬することにより固定した。TTCは正常脳組織(無傷の細胞膜)を赤に;虚血組織をピンクに;かつ壊死組織を白色に染色する。動物当り6枚の脳切片をTTC染色し、電荷結合素子カメラ(EDC−1000HRコンピュータカメラ、エレクトリム社(Electrim Corporation)、プリンストン、ニュージャージー)を用いて撮影して画像をマイクロコンピュータに保存した。 脳浮腫が梗塞の大きさの測定に影響を及ぼすことが知られているため、画像処理ソフトウェアパッケージ(バイオ・スキャン・オプティマス(Bio Scan OPTIMAS)、エドモンズ、ワシントン)を補正梗塞容量の算出に用いた。補正梗塞面積は、方程式:補正梗塞面積=左半球面積−(右半球面積−梗塞面積)を用いて算出した。補正梗塞容積は、この補正梗塞面積とスライス厚みを乗することにより算出した。 対照群における10匹の動物のうちの5匹がMCA閉塞の後24〜48時間で死亡した。100mg/kg群における10匹の動物のうちの5匹が死亡し、そのうちの4匹は24〜48時間で、1匹は第5日に死亡した。500mg/kg群における10匹の動物のうちの3匹が死亡し、そのうち2匹は24〜48時間に、1匹は第6日に死亡した。 図1に示されるように、対照群における梗塞の平均容積は243.5±88.6mm3(平均±SD);100mg/kg群においては200.2±19.9mm3;500mg/kg群においては125.5±45.2mm3であった。梗塞容積の平均値の差は、対照対500mg/kg群では有意であった(p<0.01、シェッフェ試験)。対照と100mg/kg群との間に有意の差はなかったが、100mg/kg群ではより小さな梗塞容積に向かう傾向が見られた。 2 動物試験2−挙動 約250〜300gの体重の自然発症高血圧ラット(SHR)に、様々な持続期間の可逆的な中脳大動脈(MCA)及び総頸動脈(CCA)閉塞を施した。簡単に述べると、クロラール水和物の麻酔(1回の生理食塩水1ml中の0.5g/kg腹腔内投与(i.p.)ボーラスにより、少なくとも2時間麻酔が持続した)を施した動物を用いて、0.005インチ径のステンレス鋼ワイヤ(スモール・パーツ社(Small Parts Inc.)、マイアミ、FL)を左MCA吻側下部から鼻裂溝、MCAの主要分岐の近位、及びレンズ核線条体動脈の遠位に配置した。次に、動脈を持ち上げ、ワイヤを時計回りに回転させた。次いで、2つの無外傷性ハイフェツ(Heifetz)動脈瘤クリップを用いて閉塞させた。その結果、梗塞(MCA閉塞に対して4mm背側)の核中の血流が、虚血の全期間を通して、バサメディクス(Vasamedics)レーザー血流灌流モニターによる測定で、虚血前の基準値の4〜8%に減少した。0〜120分の範囲の予め定められた期間のCCA/MCA閉塞の後、まず動脈瘤クリップをCCAから取り除き、次いでワイヤを反時計回りに回転させてそれをMCAの下部から取り除くことにより再灌流を確立した。 側頭筋温度は、加熱ランプ及び加温ブランケットを用いて36.5±0.3℃に維持した。この研究は運動の実行(performance)を分析するように設計されていたため、大腿血管カニューレ挿入によって生じ得る、かつ挙動の実行を妨げ得る損傷を排除した。したがって、手術の間の血圧、pH、PO2及びpCO2の変化は記録しなかった。虚血の全持続期間及び再灌流の最初の2時間の間の脳の温度は36.2±0.4℃に維持した。 虚血の誘発の15分後、0.5〜0.6mlの0.9%NaCl中の0.5g/kg腹腔内投与ボーラスを用いて、続いて14日間にわたって毎日同じ容量を用いてCPD−コリンを投与した。新鮮なCDP−コリン溶液は毎日調製した。対照ラットには、CDP−コリン溶液の代わりに生理食塩水を単独で注射した。 虚血の14日後、全ての挙動試験が完了した後に、外形分析を実施した。これは、同じ動物における挙動の所産と組織学的な所産との直接の相関を考慮したものである。MCA/CCA閉塞の14日後、虚血脳は主として梗塞皮質組織の萎縮によって特徴付けられる。したがって、虚血性の損傷の量は、対側性及び同側性皮質の容積の差として算出することができる。 虚血の14日後、ラットをクロラール水和物麻酔の下でと殺した。脳を冷却し、2mmスライスに切断した。測定をmm2で表示するように目盛調節されているコンピュータベースのドレキセル大学(Drexel University、DUMAS)画像アナライザーを用いて、各切片の同側性及び対側性皮質の領域の外形決定を行った。連続切片の皮質面積を合計し、切片間の間隔厚みを乗じることにより皮質の容積(mm3)を算出した。最後に、同じラットの対側性皮質の容積から同側性皮質の容積を減じることにより萎縮の容積を算出した。この外形分析を行った研究者には、処置のレジュメは知らされなかった。 3 挙動試験 虚血後の機能上の結果を評価するため、以下の一連の試験を用いた。これらは、以前の研究で、このモデルにおいてその有効性が実証され、かつ標準化されている。 3.1 回転運動 12インチ径で、横桟間隔が2cmのラットランニングホィールを用いる。このホィールの側面は、動物をこのホィール内に入れてそこに留めるための開閉可能なしっかり閉じることができるフラップを除いて、ポスターボードを用いて閉じた。ラットを、それ自体はホームケージに置かれたホィールの内部に閉じ込め、それらが走るままにビデオテープに録画した。梗塞半球の対側の前肢が踏む100歩を観察し、この肢がホィールの横桟の間に踏み外した一致数を数えた。同じ観察を同側前肢及び後肢で行い、踏んだ歩数当りの踏み外し(誤り)の値を各肢について算出した。次いで、対側性の誤りから同側性の誤りを差し引くことにより誤りの数を得た。動物の各々を、手術後第4、第7、及び第10日に、1日に1回試験した。 3.2 腕の屈曲 ラットを、それらの腹部表面が観察者に晒されるように、それらの尾で10秒間持ち上げる。非対称的な腕の屈曲の持続時間をストップウォッチを用いて計測する。動物を手術後第1〜14日に1日に1回(1日当り2回の試験)試験した。 3.3 テープ試験 非対称性及び非対称性からの回復についてのこの試験は、Schallert及びWhishawによって前に記述されており、詳細に特徴付けられている。簡単に述べると、アベリー(Avery)自己粘着性ラベル(1cm径の円)をラットの各前肢の足首の下橈骨領域に配置した。動物がラベルの各々に触ってそれを取り除くのに要する時間、及びこれが起こる順序(体側対同側)を確かめ、同側性非対称の概算に用いた。より好まない足首により大きなラベルを、かつ他方の足首にそれに対応して小さなラベルを貼付することによりバイアスを相殺し、同時に、必要とされるラベルの大きさによって定量することが可能である。バイアスの相殺に用いられる同側パッチと対側パッチとの表面の比(1:1ないし1/8:15/8)が大きいほどラットに割り当てられる評点(1ないし7)は大きくなり、これはより広範囲の損傷を反映した。手術前の少なくとも7日間の広範な取扱い以外には予め訓練はしなかった。動物の各々を手術後第2〜3日に試験した(1日当り1回の試験)。 手術の前後に、全ての動物を、ストレスが最小限の環境を提供する隔離された部屋の個別の檻に入れた。1日単位で(各動物について1日に少なくとも10分)少なくとも2週間にわたって適用した。この間、全ての挙動試験を実施する同一の研究者が動物を扱った。この適応は、接触及び取扱いに対するストレス応答を低下させるために導入され、特にこのテープ試験の適切な遂行には重大なものであった。挙動試験を実施する研究者は、処置の計画は知らされなかった。 4 複合挙動異常評価 3つの個々の試験の複合を表し、誤りの数(踏み外し/歩数;回転運動)、時間(腕の屈曲)、又は切り欠き(score)(バイアスを相殺するのに必要な表面積;テープ試験)を挙動上の機能異常の定量に用いる挙動異常評価を算出した。 まず、各試験において全期間にわたる各ラットの行動の平均値を算出した。挙動試験の各々の中で2つの最低値を平均し、2つの最高値の平均から差し引いた。次いで、この範囲を5つに等分し、0〜4で評価した。次に、3つの不調試験の複合評価をそれらの各々に等しい重みを付けて決定した。したがって、各ラットは3つの個別の試験について評価され、3×4=12の最大評点(欠陥)で行動の複合評価が与えられた。 5 虚血の持続と梗塞容積又は挙動異常との相関 挙動異常評価及び算出された萎縮容積(mm3)を、未処置及びCDP−コリン処置の動物における虚血の持続と挙動異常評価又は萎縮容積との相関を得るのに用いた。 複合評価値又は萎縮容積をコンピュータに入力し、曲線当てはめコンピュータプログラムALLFITで分析して、曲線の形状及び傾きの他に、虚血の長期化によって生じる最大挙動機能異常/最大萎縮容積(BDmax\Volmax)、半最大挙動機能異常/萎縮容積(BD50\T50)を誘発するのに必要な時間、に基づく挙動異常/萎縮値と虚血の持続との相関を記述する曲線を生成した。この分析を行うために用いられるコンピュータプログラム(ALLFIT)は、記号論理学的関数y=(a−d)/[1+(xXc)b]+dを用いた。ここで、yは挙動上の機能異常評価、xは虚血の持続、aはx=0のときの応答、dはBDmax−Volmax、bは曲線の傾きを決定する勾配因子、及びcはBD50/T50である。このプログラムはシグモイド用量応答曲線の集合を同時に当てはめるために開発されたものであり、NIHの理論物理生物学研究所(Laboratory of Theoretical and Physical Biology)から得た。 6 統計解析 群の間のBD50/T50及びBDmax−Volmaxにおける統計的な差異を、ALLFITによって得られた比較値の平均の対数及び標準誤差の対数を用いて算出し、スチューデントのt−検定を用いて評価した。 7 結果 7.1 組織学−萎縮容積の分析 生理食塩水対照及びCDP−コリン処置群において、それぞれ18匹及び23匹のラットを分析した。14日間のCDP−コリン投与により、半最大萎縮(T50)を生じる再灌流前の虚血の持続時間が有意に(p<0.05)延びた。 ALLFITプログラムによって算出されるT50は、対照(未処置)動物については38.3±5.9分、CDP−コリン処置動物については60.5±4.3分であった。このモデルにおいては、CDP−コリンが最大梗塞容積を減少させることはなく;Volmaxは対照及びCDP−コリン処置群について、それぞれ、103.3±13.6mm3対101.6±11.4mm3であった。 上の結果は、CDP−コリンが、主として、ほとんど最大の損傷を生じる比較的短い持続期間の虚血の後の形態学的な損傷を減少させ得ることを示唆する。また、これらの結果は、虚血が発生した後の短い期間で、すなわちできる限り早く、シチコリンを投与する重大性を強調する。 7.2 挙動分析 16匹の未処置ラット及び21匹のCDP−コリン処置ラットを分析した。CDP−コリン処置は、組織学的分析において観察されるものと同じ様式でBD50を有意に引き伸ばした。対照ラットにおけるBD50は41.9±4.6分であった。これに対して、CDP−コリン処置はBD50を約30分引き伸ばして72.9±24.5分とした。 BDmaxに対してはCDP−コリン処置には有意の効果がなかった;その値は、対照及びCDP−コリン処置動物について、それぞれ、8.5±0.7及び10.1±4.0であった。 これらのデータは、長期にわたるCDP−コリン処置が、T50及びBD50を引き伸ばすことにより、組織学的及び機能的な結果の両者を有意に改善することを示す。しかしながら、この事例においては、CDP−コリンはVolmax及びBDmaxには影響を及ぼさなかった。これらの結果は、CDP−コリンの有効性が、このモデルにおいては30〜75分の虚血によって生じる、ほとんど最大の虚血損傷を示す動物においてより大きいことを示唆する。 8 二重盲験、プラセボ制御臨床試験 文献に報告される2つの臨床試験および17の試験の再検討に基づくと、シチコリン(250〜1000mg/kgの用量範囲)は、5日〜8週間投与されている卒中及び頭部損傷患者の間で一貫して十分に許容されるものと思われる。文献に報告される50を超える試験の再検討に基づくと、シチコリンは他の集団の間でも一貫して十分許容されるものと思われる。虚血の重篤性の結果死亡した場合(これは集団の研究において予期されないものではない)を除いて、副作用は一般には臨床上重要なものではなかった。実験パラメータ、生命徴候、又は心電図における臨床上重要な変化は報告されていない。 この試験は、急性の虚血性卒中を患う患者におけるプラセボに対するシチコリンの3種類の用量(500mg、1000mg及び2000mg)の効果を評価するために設計された。 8.1 投与の指示/スケジュール 患者には、午後3時以前に無作為抽出した場合には、研究に参加する際に2錠、次の食事時間に2錠の合計4錠を参加当日に与えた。さもなければ、患者には、参加の際に2錠(朝の投与分)を与え、第1日の別の2錠(晩の投与分)は使用せずに戻した。研究の残りについては、朝に2錠及び晩に2錠を患者に与えた(以下の治療計画を参照)。研究用の錠剤を丸ごと摂取できない患者では、許容し得る投与経路として、経鼻胃投与、又は錠剤を破砕して食物もしくは飲料と混合することが挙げられる。 8.2 治療フェーズ 研究用薬物を1日に2回(朝に2錠及び晩に2錠)6週間投与した。 様々な用量レベルのシチコリンの有効性をバーセル指標(Barthel Index)によって評価した。 この研究の間に集められる二次的な効力評価には、第12週でのバーセル指数(少なくとも61の評点で成功とみなされる)、改変ランキン評価(Rankin Score)、NIH卒中等級(scale)合計、NIH卒中等級運動項目、退院するまでの日数、死亡率、及び他の神経心理学的バッテリー評点が含まれる。NIH卒中等級及びバーセル指数は、卒中の症状及び日常的な生活に関連する機能的な能力の標準的な測定法である。 この二重盲験プラセボ制御試験により、毎日500ミリグラムのシチコリンを投与された患者が、NIH卒中等級での測定ではプラセボを投与された患者の2倍を超えて卒中後12週間での能力障害が最小もしくは全くないことを明らかにするようであり、かつバーセル指数では1.6倍能力障害が最小もしくは全くないことを明らかにするようであったことを示した。 9 拡散重み付けMRI(DWI)研究 DWIは、虚血の発生の後数分以内で虚血損傷の領域を検出し、動物モデルは、DWIの有用性が神経保護治療を監視することであることを示している。プラセボ制御試験は、シチコリンが上述のラット一時的閉塞モデルにおいて梗塞の大きさを減少させることを示唆する。 この研究において、12名の患者を急性卒中(MCA領域、発生から24時間以内)におけるシチコリンのフェーズIII二重盲験プラセボ制御試験(6週間にわたって毎日500/1000/2000mg経口)から研究した。研究全体の設計及び結果は上に示されている。急性及び慢性の時点で多重スライス・エコー・プレーナーDWI及びT2−重み付けMRIを行った。すなわち、基線(すなわち、発症後8ないし24時間、卒中の推定時間)でのDWI走査及び治療時の少なくとも1回以上の画像形成を行った。再度行うまでの平均時間は9.3週であった(4.1〜26.3週の範囲;メジアン6.6週)。病変容積を、治療及び患者に関する臨床情報を知らされていない3名の観察者によって2回測定した。その後、基準走査と治療後の第2の走査との間での梗塞容積の変化パーセントを決定した。 4名のプラセボ患者のうちの3名は病変の成長を示した。これに対して、シチコリンで治療した8名の患者のうちの7名は病変容積の減少を示した(500mgで4/5;2000mgで3/3)。用量に基づく傾向のカイ二乗検定はp=0.031で有意であった。フィッシャー精密検定はp=0.067の値を生じた。これらの決定値を、同じ方式で集められた一連の組織学的対照患者(n=31)と比較した。31名の患者のうち、22名は梗塞容積が増大し、7名は梗塞容積が減少し、2名には変化がなかった。この研究における4名のプラセボ患者のうち、3名は梗塞容積が増大し、1名は梗塞容積が減少しており、ちょうど組織学的対照の割合であった。本発明の実施の下で治療した8名の患者(500mg qdで5名、2000mg bidで3名)のうち、7名は梗塞容積が減少し、1名は梗塞容積が増大した。 本発明の実施の下で梗塞容積が減少した患者の割合を、フィッシャー精密検定を用いて、組織学的対照における割合に対して(すなわち、22/7対1/7)検定し、本発明が有意であることが見出されることを支持する差を得た(p=0.0021)。したがって、DWIによって評価されるように、これらの試験は、虚血の後できる限り早く治療が開始され、かつ数週間までの期間継続される場合、シチコリンでの虚血の治療によって梗塞容積が有意に減少することを示す。 10 組み合わせ治療 体重280−365gの40〜60匹の非絶食雄スプラーグ−ドーリーラットを、それぞれクロラール水和物(400mg/体重kg)を腹腔内投与することによって麻酔する。外科的手順の間麻酔状態を維持するため、100mg/kgのクロラール水和物を最初の注射の後定期的に投与する。この麻酔状態は動脈閉塞の90分間だけ維持する。薬物投与のため、左大腿静脈を介して下大静脈にカテーテルを導入する。全麻酔期間中、ラットの体温を監視し37℃に維持する。 他に詳細に説明されている管腔構造MCA閉塞モデルを用いる。Minematsu,K.et al.Neurology(1991)42:235−240を参照のこと。簡単に述べると、管腔閉塞体、その先端が炎の加熱によって丸められている4−0モノフィラメントナイロン縫合糸、を結紮された右CCAを介して内頸動脈に導入し、次いでCCA分岐から約17mm頭蓋骨内をゆっくりと前進させる。この縫合糸は近位前大脳動脈、遠位内頸動脈及びMCAの起点並びに後交通動脈を一方的に閉塞する。 動物を(i)NMDAアンタゴニスト処置、(ii)生理食塩水+シチコリン処置、(iii)NMDAアンタゴニスト+シチコリン処置及び(iv)生理食塩水対照群の4群に分ける。10〜15匹のラットに、生理食塩水1ml/kg中のMK−801(NMDAアンタゴニスト)0.5mg/体重kgをMCA閉塞の5分後にゆっくりと静脈注射する。0.5mg/kgの維持用量のMK−801をMCA閉塞の8時間及び20時間後に腹腔内(i.p.)投与する。別の10〜15匹のラットの第2群に、NMDAアンタゴニスト群と同じ時点で等容量の生理食塩水を投与するが、これにはMCA閉塞の後5分、8時間及び20時間に腹腔内投与される500mg/体重kgのシチコリンが付随する。別の10〜15匹のラットの第3群に、MCA閉塞の後5分、8時間及び20時間に500mg/kgのシチコリンもさらに腹腔内投与すること以外は、上記NMDAアンタゴニスト処置レジュメを繰り返す。別の10〜15匹のラットの第4の最終群に、上記NMDAアンタゴニスト群と同じ時点で等容量の生理食塩水を投与する。 これらの動物を麻酔から覚まし、自由に飲食させる。任意の神経学的評価の後、これらの動物を300mg/kgのクロラール水和物を腹腔内投与することにより再度麻酔し、直ちに断頭する。脳を素早く取り出し、管腔縫合糸によるMCA閉塞を確認する検査を行い、冠状に2mm間隔で切断し、2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロライド(TTC)の2%溶液を用いて37℃で30分間染色し、10%緩衝ホルマリン溶液に浸漬することにより固定する。梗塞の大きさを測定するため、TTCで染色された動物毎の脳切片を写真撮影する。引き伸ばした写真を盲目的に評価する。TTCで赤く染色されていない領域は梗塞が形成されているものと考えられる。動物毎の全てのTTC切片の梗塞面積及びそれらの間の距離を数値的に積分することにより、梗塞容積(mm3)を算出する。 群間の監視された生理学的な変数並びに梗塞面積及び容積における差の有意性を評価するため、標準検定を行う。0.05未満の両側確率値(two tailed properbility)が有意であると考えられる。 特定の型の処置を受けるラットの3つの群が、対照群よりも統計的に有意の梗塞容積の減少を示すことが見出される。実際、NMDAアンタゴニスト単独又はシチコリン単独のいずれかを投与されるラットの2つの群が対照群と比較して梗塞容積の減少を示すのに対して、NMDAアンタゴニスト及びシチコリンの組み合わせを投与される第3のラット群は他の群のいずれのものよりも良好であることが見出される。実際、相乗作用に向かう驚くべき傾向が示されることがある。また、ラットの第3群は神経学的評価に関しても他の群より良好に評価される。同様の利得が、上述のものの中から選択される他の提示治療剤を用いるシチコリン組み合わせ処方において観察される。この提示治療剤には、組織プラスミノーゲン活性化剤(t−PA)、ストレプトキナーゼ及びウロキナーゼが含まれるが、これらに限定されるものではない。この組み合わせられた治療処方の最初の用量に、事情に応じて、シチコリン単独、少なくとも1種の第2の治療剤単独、又はその両者の1以上の引き続く用量が続いてもよい。 10.1 シチコリン及びアスピリン 本発明はまた、虚血事象の発症の後の短い期間にシチコリン及びアスピリンを一緒に又は連続的に投与するシチコリンとアスピリンとの同時投与も、組み合わせ治療の一部として意図している。(実際上は、組み合わせ治療を開始するには、この“事象”が非出血性の卒中であり、したがって、その卒中が虚血性、血栓塞栓性、又は他のものであり得るという決定で十分である。)投与されるアスピリン及びシチコリンの量は、個々の患者の必要性に応じて変えてもよい。しかしながら、典型的には、用量当り約50〜約500mg(好ましくは、約70〜300mg)のアスピリンが投与され、用量当り約100mg〜約1000mg(好ましくは、約300〜700mg)のシチコリン又はその塩が投与される。好ましい態様においては、薬学的に許容し得る担体中に約70〜90mgのアスピリン及び約400〜600のシチコリン又はその塩が含まれる組成物が、卒中が発症した後の短い期間に毎日1回もしくは2回投与される。この組み合わせ治療処方は、少なくとも30日、好ましくは数週間まで、より好ましくは数ヶ月継続することができる。最も好ましくは、組織に与える損傷を最小にし、患者の回復を最大にし、かつ卒中等の二次的な症状の発生を低下させるため、この処方を6ヶ月ないし1年続ける。 したがって、本発明は、虚血が発生した後の短い期間に、シチコリンと、少なくとも1種の第2の治療剤とを同時投与することを包含する組み合わせ治療を意図する。この同時投与は同時に、又は連続して行ってもよい。連続的に同時投与する場合には、シチコリン又はその薬学的に許容し得る塩と少なくとも1種の第2の治療剤とを、虚血の発症の最初の24時間までに投与することが好ましい。 他の態様は、ここに提示される詳細な開示を鑑みれば、通常の技術を有する者には明らかであるはずである。それにもかかわらず、これらの態様は本発明の範囲及び精神の範囲内にある。例えば、アスピリンの代わりにジピリダモル等も用いることができる。したがって、前述の好ましい態様はいかなる意味においても本発明を限定するものと解釈されるべきではない。図1はビヒクル対照、シチコリン100mg/kg、およびシチコリン500mg/kgを与えられた動物群における梗塞容積の棒グラフを示す。値は平均±標準偏差(SD)である。 初回有効量のシチコリンおよび少なくとも1種の第2の治療剤またはそれらのそれぞれの薬学上許容可能な塩を含んでなる、虚血性事象を経験した対象を治療するための組合せ薬剤であって、前記虚血性事象の発生後約24時間以内に投与される前記組合せ薬剤。 前記初回量投与の後、有効量のシチコリンもしくは薬学上許容可能なその塩が一回以上投与されるか、または有効量の前記少なくとも1種の第2の治療剤もしくは薬学上許容可能なその塩が一回以上投与されるか、または有効量のシチコリンおよび少なくとも1種の第2の治療剤もしくはそれらのそれぞれの薬学上許容可能な塩が一回以上同時に投与される、請求項1記載の組合せ薬剤。 前記初回量が前記虚血性事象の発生後約12〜約15時間以内に投与される、請求項1記載の組合せ薬剤。 有効量の前記シチコリンおよび前記少なくとも1種の第2の治療剤またはそれらのそれぞれの薬学上許容可能な塩が一緒にまたは逐次投与される、請求項1記載の組合せ薬剤。 有効量の前記シチコリンおよび前記少なくとも1種の第2の治療剤またはそれらのそれぞれの薬学上許容可能な塩が、前記虚血性事象の発生後約12〜約15時間以内に逐次投与される、請求項4記載の組合せ薬剤。 後続の前記投与または同時投与が少なくとも約30日間にわたって行われる、請求項2記載の組合せ薬剤。 後続の前記投与または同時投与が少なくとも約4〜8週間にわたって行われる、請求項2記載の組合せ薬剤。 後続の前記投与または同時投与が少なくとも約6カ月〜約1年間にわたって行われる、請求項2記載の組合せ薬剤。 前記初回または後続の投与または同時投与が1日に一回以上行われる、請求項2記載の組合せ薬剤。 前記初回または後続の投与または同時投与が1日に二回行われる、請求項9記載の組合せ薬剤。 前記虚血性事象が脳で起こる、請求項1記載の組合せ薬剤。 対象がヒトである、請求項1記載の組合せ薬剤。 前記対象が脳虚血、頭部外傷、または卒中に罹っている、請求項1記載の組合せ薬剤。 前記少なくとも1種の第2の治療剤がt−PA、ストレプトキナーゼまたはウロキナーゼである、請求項1記載の組合せ薬剤。 前記少なくとも1種の第2の治療剤がアスピリンまたはジピリダモールである、請求項2記載の組合せ薬剤。 有効量のシチコリンおよび少なくとも1種の第2の治療剤またはそれらのそれぞれの薬学上許容可能な塩を、薬学上許容可能な担体中に含んでなる、虚血性事象を経験した対象の治療用組成物。 前記有効量がシチコリン約100〜約1000mgおよび少なくとも1種の第2の治療剤約10〜約500mgの範囲である、請求項16記載の組成物。 前記少なくとも1種の第2の治療剤がt−PA、ストレプトキナーゼまたはウロキナーゼである、請求項16記載の組成物。 前記少なくとも1種の第2の治療剤がアスピリンまたはジピリダモールである、請求項16の組成物。 【課題】虚血性事象を経験した対象を治療するための組み合わせ薬剤を提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、シチコリンを虚血症状の発現後短時間内に投与し、かつ毎日の治療を約30日間まで、好ましくは少なくとも約6週間にわたって継続することにより、梗塞、特に脳虚血に続いて起こる脳梗塞の程度を低減する方法に関する。この方法は卒中および重症の頭部外傷患者の治療に有用であり、そして患者の完全なまたは実質的に完全な回復の機会を最大限に拡大する。組み合わせ治療レジュメも、そこで使用するための組成物と共に開示されている。【選択図】なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る