タイトル: | 公開特許公報(A)_アミノピリジン類の製造方法 |
出願番号: | 2006235669 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C07D 213/74,C07B 61/00 |
船越 俊介 高橋 聡 JP 2008056612 公開特許公報(A) 20080313 2006235669 20060831 アミノピリジン類の製造方法 広栄化学工業株式会社 000167646 船越 俊介 高橋 聡 C07D 213/74 20060101AFI20080215BHJP C07B 61/00 20060101ALN20080215BHJP JPC07D213/74C07B61/00 300 1 OL 5 4C055 4H039 4C055AA01 4C055BA02 4C055BA27 4C055CA01 4C055DA01 4C055FA15 4H039CA71 4H039CD10 4H039CD20 本発明は、アミノピリジン類の製造方法に関し、更に詳しくは、ピリジン核のα位にハロゲン原子を有するピリジン類(以下、ハロピリジン類という。)をアンモニアと反応せしめてアミノピリジン類を製造する方法に関するものである。 アミノピリジン類は医薬、農薬、染料等の中間体として有用な化合物である。現在、ハロピリジン類をアンモニアと反応せしめてアミノピリジン類を製造する方法としては、塩化銅(I)等の銅触媒、テトラブチルアンモニウム=ブロミド、テトラブチルホスホニウム=ブロミド等の相間移動触媒を用いて行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。当該反応は、反応系内の圧力が2〜5MPa程度まで上昇するため、耐圧反応器(オートクレーブ)で行う必要があるが、ガラス製反応器は耐圧能力の問題から用いることができず、金属製の耐圧反応器を用いることが必要となる。 しかし、従来の銅触媒を用いる方法は、金属性耐圧反応器の材質の選定に大きな制限がかかる。なぜなら、銅は比較的イオン化傾向が小さいために、銅よりもイオン化傾向が大きい金属を材質とする耐圧反応器を用いると、金属の溶出による耐圧反応器の腐食の問題が生じ、銅よりもイオン化傾向が小さい金属は、銀、白金及び金であることから非常に高価となり、工業的には使用し難いためである。また、相間移動触媒を用いる方法は、該触媒の熱分解による副生成物(トリブチルアミン、トリブチルホスフィン等)が混入するおそれがある。 一方、よりイオン化傾向の大きい金属であるニッケルのハロゲン化物を触媒として用いることが、類似反応であるハロベンゼンをアンモニアと反応せしめてアニリンを製造する方法に試みられたが、反応が進行しないことが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。特開平06−293737J.Org.Chem.,40(16),2267(1975) 本発明は、従来製法に比べて、工業的に利用可能な金属製(例えばニッケル等)耐圧反応器を用いることができ、触媒の熱分解による副生成物が生成しない、ハロピリジン類をアンモニアと反応せしめてアミノピリジン類を製造する方法を提供することを課題とする。 本発明者等が上記課題を解決する為に鋭意検討したところ、驚くべきことに類似反応では反応が進行しないことが知られている、ハロゲン化ニッケルを用いることで、銅触媒を用いたときと同等乃至それ以上の収率でアミノピリジン類が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。 即ち本発明は、ハロピリジン類をアンモニアと反応せしめてアミノピリジン類を製造するにあたり、触媒としてハロゲン化ニッケルを用いることを特徴とするアミノピリジン類の製造方法に関する。 本発明によれば、ニッケルは銅よりもイオン化傾向が大きいので、銅触媒では使用できないニッケルクラッド耐圧反応器等の工業的に利用可能な耐圧反応器を用いることができ、かつ触媒の熱分解による副生成物も生じさせることなく、従来法と同等乃至はそれ以上の収率で、ハロピリジン類とアンモニアからアミノピリジン類が製造できるので、工業的利用価値が高い。 以下、本発明を具体的に説明する。 本発明に係るハロピリジン類は、ピリジン核のα位にハロゲン原子を有するピリジン類であり、中でも好ましくは式(1):(式中、Rはパーフルオロアルキル基、シアノ基及びニトロ基を示す。Xはハロゲン原子を示す。)で表されるハロピリジン類であり、さらに好ましくは式(2):(式中、Rは前記に同じ。)で表されるクロロピリジン類(以下、クロロピリジン類(1)という。)である。 式(1)中、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。式(1)及び式(2)中、パーフルオロアルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖状或いは分枝鎖状の脂肪族パーフルオロアルキル基が挙げられ、具体的には、例えばトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、トリデカフルオロヘキシル基等が挙げられる。 クロロピリジン類(1)の具体例としては、2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ピリジン、2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン、2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン、2−クロロ−6−(トリフルオロメチル)ピリジン、2−クロロ−3−(ペンタフルオロエチル)ピリジン、2−クロロ−4−(ペンタフルオロエチル)ピリジン、2−クロロ−5−(ペンタフルオロエチル)ピリジン、2−クロロ−6−(ペンタフルオロエチル)ピリジン、2−クロロ−3−(ヘプタフルオロプロピル)ピリジン、2−クロロ−4−(ヘプタフルオロプロピル)ピリジン、2−クロロ−5−(ヘプタフルオロプロピル)ピリジン、2−クロロ−6−(ヘプタフルオロプロピル)ピリジン、2−クロロ−3−(ノナフルオロブチル)ピリジン、2−クロロ−4−(ノナフルオロブチル)ピリジン、2−クロロ−5−(ノナフルオロブチル)ピリジン、2−クロロ−6−(ノナフルオロブチル)ピリジン、2−クロロ−3−シアノピリジン、2−クロロ−4−シアノピリジン、2−クロロ−5−シアノピリジン、2−クロロ−6−シアノピリジン、2−クロロ−3−ニトロピリジン、2−クロロ−4−ニトロピリジン、2−クロロ−5−ニトロピリジン、2−クロロ−6−ニトロピリジン等が挙げられる。 アミノピリジン類の具体例としては、2−アミノ−3−(トリフルオロメチル)ピリジン、2−アミノ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン、2−アミノ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン、2−アミノ−6−(トリフルオロメチル)ピリジン、2−アミノ−3−(ペンタフルオロエチル)ピリジン、2−アミノ−4−(ペンタフルオロエチル)ピリジン、2−アミノ−5−(ペンタフルオロエチル)ピリジン、2−アミノ−6−(ペンタフルオロエチル)ピリジン、2−アミノ−3−(ヘプタフルオロプロピル)ピリジン、2−アミノ−4−(ヘプタフルオロプロピル)ピリジン、2−アミノ−5−(ヘプタフルオロプロピル)ピリジン、2−アミノ−6−(ヘプタフルオロプロピル)ピリジン、2−アミノ−3−(ノナフルオロブチル)ピリジン、2−アミノ−4−(ノナフルオロブチル)ピリジン、2−アミノ−5−(ノナフルオロブチル)ピリジン、2−アミノ−6−(ノナフルオロブチル)ピリジン、2−アミノ−3−シアノピリジン、2−アミノ−4−シアノピリジン、2−アミノ−5−シアノピリジン、2−アミノ−6−シアノピリジン、2−アミノ−3−ニトロピリジン、2−アミノ−4−ニトロピリジン、2−アミノ−5−ニトロピリジン、2−アミノ−6−ニトロピリジン等が挙げられる。 本発明のアミノピリジン類を製造するには、ハロゲン化ニッケルの存在下で、ハロピリジン類をアンモニアと反応せしめればよい。このようにすれば、ニッケルクラッド耐圧反応器等の工業的に利用可能な耐圧反応器を用いることができ、かつ触媒の熱分解による副生成物も生じさせることなく、従来の銅触媒を用いた場合と同等乃至はそれ以上の収率で、アミノピリジン類が製造できる 本発明の製造方法に用いられるアンモニアとしては、通常アンモニア水が用いられるが、アンモニアガスを反応系内に導入しながら行ってもよい。アンモニアの使用量は、ハロピリジン類1モルに対して、通常1〜50モル、好ましくは5〜40モル、特に好ましくは10〜30モルである。 ハロゲン化ニッケルとしては、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル及びこれらの水和物等が挙げられる。かかるハロゲン化ニッケルの使用量は、ハロピリジン類1モルに対して、通常0.01モル以上、好ましくは0.03〜1モル、特に好ましくは0.05〜0.5モルである。 本発明の製造方法は、通常水溶媒中で行われる。かかる溶媒の使用量は、ハロピリジン類1重量部に対して、通常0.1〜10重量である。 反応温度は、通常60〜200℃であり、好ましくは80〜150℃である。 反応終了後、抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の所望の分離精製手段により、アミノピリジン類を得ることができる。 つぎに、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はなんらこれらに限定されるものではないことはいうまでもない。 実施例1 容量1Lのハステロイ製オートクレーブに、2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン130.0g(0.716モル)、塩化ニッケル・六水和物17.0g(71.6ミリモル)及び55重量%アンモニア水332.5g(アンモニア10.8モル、水149.6g)を仕込み、120℃で16時間反応した。反応中の内圧は、最大3.3MPaまで上昇した。反応終了後、冷却し、反応混合物に水325.0gを加えた後、トルエン(1回目520.0g、2回目190g)で抽出した。得られたトルエン層を、絶対検量線法を用いた高速液体クロマトグラフィー分析(以下、HPLC分析という。)をした結果、2−アミノ−5−(トリフルオロメチル)ピリジンが収率99%で得られていた。次いで、かかるトルエン層を蒸留し、純度99.8%の2−アミノ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン101.7g(蒸留得率88%)を得た。 実施例2 実施例1の反応時間16時間を8時間にかえた以外は、実施例1と同様にして反応を行い、トルエン層を得た。得られたトルエン層を、絶対検量線法を用いたHPLC分析をした結果、2−アミノ−5−(トリフルオロメチル)ピリジンが収率91%で得られていた。 実施例3 実施例2の反応温度120℃を130℃にかえた以外は、実施例2と同様にして反応を行い、トルエン層を得た。得られたトルエン層を、絶対検量線法を用いたHPLC分析をした結果、2−アミノ−5−(トリフルオロメチル)ピリジンが収率98%で得られていた。 実施例4 実施例2の55重量%アンモニア水に代えて40重量%アンモニア水459.0g(アンモニア10.8モル、水275.4g)を用いた以外は、実施例2と同様にして反応を行い、トルエン層を得た。得られたトルエン層を、絶対検量線法を用いたHPLC分析を分析した結果、2−アミノ−5−(トリフルオロメチル)ピリジンが収率82%で得られていた。 実施例5 実施例4の塩化ニッケル・六水和物17.0gに代えて塩化ニッケル・六水和物34.0gを用いた以外は、実施例4と同様にして反応を行い、トルエン層を得た。得られたトルエン層を、絶対検量線法を用いたHPLC分析をした結果、2−アミノ−5−(トリフルオロメチル)ピリジンが収率88%で得られていた。 ピリジン核のα位にハロゲン原子を有するピリジン類をアンモニアと反応せしめてアミノピリジン類を製造するにあたり、触媒としてハロゲン化ニッケルを用いることを特徴とするアミノピリジン類の製造方法。 【課題】 工業的に利用可能な金属製(例えばニッケル等)耐圧反応器を用いることができ、触媒の熱分解による副生成物が生成しない、ハロピリジン類をアンモニアと反応せしめてアミノピリジン類を製造する方法を提供すること。【解決手段】 ピリジン核のα位にハロゲン原子を有するピリジン類をアンモニアと反応せしめてアミノピリジン類を製造するにあたり、触媒としてハロゲン化ニッケルを用いることを特徴とするアミノピリジン類の製造方法。【選択図】 なし