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タイトル:公開特許公報(A)_蒸留系の制御方法、制御システム及び制御プログラム
出願番号:2006228338
年次:2008
IPC分類:C07C 7/04,B01D 3/14,B01D 3/42,C10G 7/12,C10G 9/36,C07C 9/00,C07C 9/02,C07C 11/02,C07C 11/04,C07C 11/06


特許情報キャッシュ

天野 壮一 江本 源一 江原 誠二 江藤 正治 太田 好則 JP 2008050303 公開特許公報(A) 20080306 2006228338 20060824 蒸留系の制御方法、制御システム及び制御プログラム 三菱化学株式会社 000005968 真田 有 100092978 天野 壮一 江本 源一 江原 誠二 江藤 正治 太田 好則 C07C 7/04 20060101AFI20080208BHJP B01D 3/14 20060101ALI20080208BHJP B01D 3/42 20060101ALI20080208BHJP C10G 7/12 20060101ALI20080208BHJP C10G 9/36 20060101ALI20080208BHJP C07C 9/00 20060101ALI20080208BHJP C07C 9/02 20060101ALI20080208BHJP C07C 11/02 20060101ALI20080208BHJP C07C 11/04 20060101ALI20080208BHJP C07C 11/06 20060101ALI20080208BHJP JPC07C7/04B01D3/14 AB01D3/42C10G7/12C10G9/36C07C9/00C07C9/02C07C11/02C07C11/04C07C11/06 11 1 OL 29 4D076 4H006 4H029 4D076AA13 4D076AA23 4D076BB03 4D076CA11 4D076EA02X 4D076EA02Y 4D076EA02Z 4D076EA03X 4D076EA03Y 4D076EA03Z 4D076EA11Y 4D076EA12X 4D076EA12Y 4D076EA16X 4D076EA16Y 4D076EA16Z 4D076EA17X 4D076EA17Y 4D076EA20X 4D076EA20Y 4D076EA31 4D076EA45 4D076HA20 4D076JA03 4H006AA02 4H006AD11 4H006BC50 4H006BC51 4H006BD60 4H006BD82 4H006BD84 4H029AA02 4H029AB03 本発明は、蒸留系の制御方法、制御システム及び制御プログラムに関する。 具体的に、本発明は、重質石油留分及び軽質石油留分を含有する分解ガスから、重質石油留分及び軽質石油留分を除去する蒸留系を制御する方法、及び、当該蒸留系を制御するためのコンピュータプログラムに関する。 なお、本明細書では、蒸留塔及びそれに関連する構成要素を併せて「蒸留系」と総称するものとする。 一般的に、エチレン製造プラントでは、ナフサ等の原料を分解炉で熱分解し、分離・精製を重ね、主製品であるエチレン、プロピレン等を得ている。 具体的に説明すると、ナフサ等の原料は、まず、分解炉にて熱分解される。その結果、重軽質石油留分(重質石油留分及び軽質石油留分)及び低沸成分(主に炭素数4以下の炭化水素系化合物)を含有する分解ガスが得られる。この分解ガスは、気体状、或いは気体及び液体の混合状態(以下「気液混合状態」という。)である。 分解炉にて得られた分解ガスは、続いて、初留塔(以下「ガソリン精留塔」という場合もある。)という蒸留塔にかけられる。その結果、重軽質石油留分が除去され、低沸成分を含有する混合成分が得られる。 以下、一般的な初留塔(ガソリン精留塔)を含む蒸留系(以下「初留系」又は「ガソリン精留系」という場合もある。)の構成について、簡単に説明する。 分解ガスは、初留塔の塔下段にフィードされる。 初留塔の塔下段からは塔底液が抜き出される。塔底液の一部は重質石油留分として排出される。塔底液の残りは熱交換器(以下「下段熱交換器」という場合がある。)で除熱された後、分解ガスと混合され、気液混合成分として初留塔の塔下段に再フィードされる。 初留塔の塔中段からは、液状の塔中段成分が抜き出される。塔中段成分は熱交換器(以下「中段熱交換器」という場合がある。)で除熱された後、初留塔の中段成分の抜き出し位置よりも上の位置に再フィードされる。 初留塔の塔上段からは、気体状の塔頂成分(この塔頂成分を「分解ガソリン」という場合がある。)が抜き出され、後流の蒸留塔において水で冷却された後、気液分離される。分離された気体成分は後流のプロセスへ送られる。液体成分は油水分離器で油水分離され、分離された油成分は初留塔の塔上段に還流される。 更に、初留塔の塔上段や塔中段から塔内液が抜き出され、燃料油ストリッパーにおいて水蒸気により直蒸されて気液分離される。分離された気体成分は初留塔の塔中段に再フィードされる。液体成分は軽質石油留分として排出される。 初留塔では主に、下段及び中段の還流経路にそれぞれ設けられた熱交換器(下段熱交換器、中段熱交換器)によって熱回収がなされている。 また、初留系の運転時には、初留系の様々な部位において、各成分や塔内の温度、成分の流量、成分の組成、塔内の液面高さ等、各種因子(制御ファクター)が測定され、初留系の制御に用いられる。 特に、初留系においては、通常の蒸留系とは異なり、フィードされる分解ガスを熱源とし、熱量の大きい塔底液から多くの熱回収を行なうことが、効率のよい運転とされている。そのため、上述の各種ファクターを用いて、下段熱交換器での熱回収効率を向上させる試みがされてきている(例えば非特許文献1参照)。 しかしながら、初留系では、運転時に様々な制約条件が存在する。具体的に、初留塔の運転時の制約条件としては、塔内の組成分布(重質成分が溜まり込むと閉塞が発生する。例えば特許文献1、非特許文献2参照。)、塔頂温度(分解ガソリンの性状に影響を与える。)、塔底液面等が挙げられる。 また、初留系では、これらの制約条件や上述の制御ファクターが、相互に複雑に絡み合っている。 このため、初留系では、通常の制御では系が安定せず、制御ファクターを操作すれば予想できない挙動を示すため、制約を守りながら効率的な運転制御を行なうということは、非常に困難であった。特開2002−309271号公報F. G. Shinskey, "Distillation Control for Productivity and Energy Conservation", McGraw-Hill (1977)M. Sprague, A. Bernard, P. Herrera, A. Breathat and T. Salari, "Performance Evaluation and Fouling Mitigation in a Gasoline Fractionator", AICHE Spring National Meeting (2006) 本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。 即ち、本発明の目的は、重質石油留分及び軽質石油留分を含有する分解ガスから、重質石油留分及び軽質石油留分を除去する蒸留系において、制約条件を守りながら効率的な運転を行なうことが可能な、蒸留系の制御方法、制御システム及び制御プログラムを提供することに存する。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、塔中段から塔下段に再フィードされる塔内液体成分のフィード量(塔下段下降液量)を、所定の管理値に基づいて制御するという、非常に簡単な手法により、蒸留系全体が安定化し、他の制約条件を守りながら効率的な運転・制御を行なうことが可能となることを見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明の要旨は、重質石油留分及び軽質石油留分を含有する分解ガスから重質石油留分及び軽質石油留分を除去する蒸留系であって、塔上段、塔中段及び塔下段に分かれ、該塔中段と該塔下段とがチムニートレイにより区切られた蒸留塔を備えるとともに、該蒸留塔の該塔下段に分解ガスがフィードされ、該蒸留塔の該塔下段から塔底成分が抜き出され、塔底成分の一部は重質石油留分として排出されるとともに、塔底成分の残りは下段熱交換器で除熱され、分解ガスと混合されて該蒸留塔の該塔下段に再フィードされ、該蒸留塔の該塔中段から中段成分が抜き出され、中段成分の一部が中段熱交換器で除熱され、該蒸留塔の中段成分の抜き出し位置よりも上の位置に再フィードされるとともに、中段成分の残りは該蒸留塔の該塔下段に再フィードされ、該蒸留塔の該塔上段から塔頂成分が抜き出され、後流の蒸留塔によって液体成分と気体成分とに分離され、気体成分が回収されるように構成された蒸留系について、その運転を制御する方法であって、該蒸留塔の該塔下段に再フィードされる中段成分の量を、所定の管理値に基づいて調整することにより、該蒸留塔の塔頂温度及び塔底成分の組成を制御する工程を有することを特徴とする、蒸留系の制御方法に存する(請求項1)。 ここで、該蒸留塔の該塔中段に再フィードされる中段成分の量を調整することにより、該蒸留塔の該塔下段に再フィードされる中段成分の量を制御する工程を有することが好ましい(請求項2)。 また、該蒸留塔の該塔中段に再フィードされる中段成分の温度を調整することにより、該蒸留塔の該塔下段に再フィードされる中段成分の量を制御する工程を有することが好ましい(請求項3)。 また、該蒸留塔の該塔下段から抜き出された塔底成分の一部が下段熱交換器によって除熱され、該蒸留塔の該塔下段に再フィードされるように、該蒸留系が構成されるとともに、該下段熱交換器によって回収される熱量を制約条件として該蒸留塔の該塔下段に再フィードされる塔底成分の温度を調整することにより、該蒸留塔の該塔中段に再フィードされる中段成分の温度、及び/又は、該蒸留塔の該塔中段に再フィードされる中段成分の量を制御する工程を有することが好ましい(請求項4)。 また、該後流の蒸留塔によって分離された液体成分が油水分離器によって油水分離され、分離された油成分が該蒸留塔の該塔上段に還流されるように、該蒸留系が構成されるとともに、該蒸留塔の該塔上段に還流される油分の量を調整することにより、該蒸留塔の該塔下段に再フィードされる中段成分の量を制御する工程を有することが好ましい(請求項5)。 この場合、該後流の蒸留塔によって回収される気体成分の量と、該蒸留塔の該塔上段に還流される油成分の量との比である還流比を制約条件として、該蒸留塔の該塔上段に還流される油成分の量を調整することが特に好ましい(請求項6)。 また、該蒸留塔の該塔下段にフィードされる分解ガスの組成、該蒸留塔の塔頂温度及び塔底成分の組成を制約条件として、該蒸留塔の該塔下段に再フィードされる中段成分の量を調整することが好ましい(請求項7)。 また、該蒸留塔の該塔上段及び/又は該塔中段から液体成分が抜き出され、燃料油ストリッパーによって液体成分と気体成分とに分離され、気体成分は該蒸留塔の該塔上段及び/又は該塔中段に再フィードされ、液体成分は軽質石油留分として、前記重質石油留分と混合され、重軽質石油留分として排出されるように、該蒸留系が構成されるとともに、前記軽質石油留分の量と前記重質石油留分の量との比を調整することにより、排出される重軽質石油留分の粘度を制御する工程を有することが好ましい(請求項8)。 また、多変数制御を用いることが好ましい(請求項9)。 また、本発明の別の要旨は、重質石油留分及び軽質石油留分を含有する分解ガスから重質石油留分及び軽質石油留分を除去する蒸留系であって、塔上段、塔中段及び塔下段に分かれ、該塔中段と該塔下段とがチムニートレイにより区切られた蒸留塔を備えるとともに、該蒸留塔の該塔下段に分解ガスがフィードされ、該蒸留塔の該塔下段から塔底成分が抜き出され、塔底成分の一部は重質石油留分として排出されるとともに、塔底成分の残りは下段熱交換器で除熱され、分解ガスと混合されて該蒸留塔の該塔下段に再フィードされ、該蒸留塔の該塔中段から中段成分が抜き出され、中段成分の一部が中段熱交換器で除熱され、該蒸留塔の中段成分の抜き出し位置よりも上の位置に再フィードされるとともに、中段成分の残りは該蒸留塔の該塔下段に再フィードされ、該蒸留塔の該塔上段から塔頂成分が抜き出され、後流の蒸留塔によって液体成分と気体成分とに分離され、気体成分が回収されるように構成された蒸留系について、その運転を制御するシステムであって、該蒸留塔の該塔下段に再フィードされる中段成分の量を、所定の管理値に基づいて調整することにより、該蒸留塔の塔頂温度及び塔底成分の組成を制御する手段を有することを特徴とする、蒸留系の制御システムに存する(請求項10)。 また、本発明の別の要旨は、上述の蒸留系の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、上述の蒸留系の制御方法が有する各工程を実施する手段として、該コンピュータを機能させることを特徴とする、蒸留系の制御プログラムに存する(請求項11)。 本発明の蒸留系の制御方法、制御システム及び制御プログラムによれば、重質石油留分及び軽質石油留分を含有する分解ガスから重質石油留分及び軽質石油留分を除去する蒸留系において、制約条件を守りながら効率的な運転を行なうことが可能となる。 以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内であれば種々に変更して実施することができる。 本発明の蒸留系の制御方法(以下適宜「本発明の制御方法」と略称する。)は、重質石油留分及び軽質石油留分を含有する分解ガスから重質石油留分及び軽質石油留分を除去する、特定の構成の蒸留系に適用されるものである。 以下の記載では、まず、本発明の制御方法が適用される蒸留系の一例として、エチレン製造プラントの初留系(ガソリン精留系)を挙げ、その構成について説明した上で、本発明の制御方法についての説明に移るものとする。[I.蒸留系(初留系)] [I−1.蒸留系(初留系)の構成] 図1は、本発明の制御方法が適用される蒸留系の一例である、エチレン製造プラントにおける初留系(ガソリン精留系)の構成を示す模式図である。なお、図1において、直線矢印は各成分の流れを示し、一点鎖線矢印は水又は水蒸気の流れを示す。また、図中の各構成要素や各成分等には符号を付し、以下の記載中でこれらの構成要素や成分等に言及する際には、対応する符号を括弧付きで併記することにする。なお、図中の二重円中の符号や点線の定義については後述する。 図1に示す初留系(ガソリン精留系)(100)は、分解炉にて得られた重軽質石油留分及び低沸成分(主に炭素数4以下の炭化水素系化合物)を含有する分解ガスから重軽質石油留分を除去する蒸留系であって、初留塔(ガソリン精留塔)(10)を備えている。 初留塔(10)は、塔上段、塔中段及び塔下段を有し、塔中段と塔下段とがチムニートレイ(11)により区切られている。チムニートレイ(11)は、蒸気を通過させるが液体を通過させない、特殊なトレーである。初留塔(10)の内部がチムニートレイ(11)で区切られることにより、塔下段から塔中段への蒸気の通過は許容されるが、塔中段から塔下段への液体の通過は遮られ、下降液の発生が抑制されるようになっている。 そして、気体状の分解ガス(a)が、クエンチフィッティング(12)において後述の塔底成分の一部(g)と混合され、気液混合成分(b)として初留塔(10)の塔下段にフィードされるようになっている。 また、初留塔(10)の塔下段(通常は塔底部)からは、液体状の塔底成分(c)が抜き出される。 抜き出された塔底成分の一部(d)(重質石油留分)は、後述の気液分離器(18)で分離された液体成分(u)(軽質石油留分)と混合され、重軽質石油留分(e)として排出される。 一方、塔下段から抜き出された塔底成分の残り(f)は、下段熱交換器(13)に送られて除熱され、熱回収がなされる。除熱後の塔底成分(g)は、クエンチフィッティング(12)において上述の分解ガス(a)と混合され、気液混合成分(b)として初留塔(10)の塔下段に再フィードされるようになっている。 なお、初留塔(10)の塔下段から抜き出された塔底成分(c)のうち、軽質石油留分(u)と混合される塔底成分(d)と、下段熱交換器(13)に送られる塔底成分(f)との比は、塔底成分(c)に対する塔底成分(d)の重量比の値で、通常0.05重量%以上、好ましくは0.08重量%以上、また、通常99.95重量%以下、好ましくは99.92重量%以下の範囲である。 また、初留塔(10)の塔中段からは、液状の塔中段成分(h)が抜き出される。 抜き出された塔中段成分の一部(i)は、中段熱交換器(14)に送られて除熱され、熱回収がなされる。除熱された塔中段成分(j)は、初留塔(10)の前記中段成分(h)の抜き出し位置よりも上の位置に再フィードされる。 一方、塔中段から抜き出された塔中段成分の残り(k)は、初留塔(10)の塔下段(チムニートレイ(11)の下側)に再フィードされるようになっている。 なお、初留塔(10)の塔中段から抜き出された塔中段成分(h)のうち、中段熱交換器(14)に送られる塔中段成分(i)と、初留塔(10)の塔下段に再フィードされる塔中段成分(k)との比は、塔中段成分(h)に対する塔中段成分(i)の重量比の値で、通常15重量%以上、好ましくは20重量%以上、また、通常85重量%以下、好ましくは80重量%以下の範囲である。 また、初留塔(10)の塔上段(通常は塔頂部)からは、気体状の塔頂成分(l)が抜き出されて後流の蒸留塔(15)に送られ、水(m)によって冷却されて気液分離される。分離された気体成分(主に炭素数4以下の炭化水素系化合物からなる。これを本明細書では「低沸成分」という場合がある。)(n)は、後流へ送られる。液体成分(o)は油水分離器(16)に送られて、油水分離される。分離された油成分(p)は初留塔(10)の塔上段に還流される。分離された水(q)は熱交換器(17)で除熱された後、後流の蒸留塔(15)に送られて再利用される。 また、初留塔(10)の塔上段又は塔中段から、液状の塔内成分(r)が抜き出されて燃料油ストリッパー(18)に送られ、水蒸気(s)によって直蒸されて気液分離される。気液分離器(18)で分離された気体成分(t)は、初留塔(10)の塔上段又は塔中段に再フィードされる。液体成分(u)(軽質石油留分)は、液体成分(d)(重質石油留分)と混合され、重軽質石油留分(e)として排出される。 なお、初留塔(10)における「塔上段」、「塔中段」及び「塔下段」の定義は、初留塔(10)の具体的な構成や用途を考慮して適宜決定すればよい。一般的には、例えば、初留塔(10)の塔頂から塔中段成分(j)の再フィード位置までの部分を初留塔(10)の「塔上段」と定義し、初留塔(10)の塔中段成分(j)の再フィード位置からチムニートレイ(11)までの部分を初留塔(10)の「塔中段」と定義し、初留塔(10)のチムニートレイ(11)から塔底までの部分を初留塔(10)の「塔下段」と定義することが可能である。 ここで、初留塔(10)におけるチムニートレイ(11)の設置位置、及び、塔中段成分(j)の再フィード位置は、初留塔(10)の具体的な構成や用途を考慮して適宜決定されるが、例えば以下の通りである。・チムニートレイ(11)の設置位置は、初留塔(10)の塔底から1段(理論段数の1段分)以上上方の位置と、初留塔(10)の下(塔底)から理論段数の1/3の位置との間の領域から選択される。・塔中段成分(j)の再フィード位置は、チムニートレイ(11)から2段(理論段数の2段分)以上上方の位置と、初留塔(10)の上(塔頂)から理論段数の1/3の位置との間の領域から選択される。 なお、図1に示す構成は、あくまでも一般的な初留系(ガソリン精留系)の要部の構成である。実際の初留系(ガソリン精留系)には必要に応じて種々の変形が加えられる場合がある。 例として、図1に示す初留系(100)では、初留塔(10)の塔下段から抜き出された塔底成分の一部(d)がそのまま重質石油留分として、軽質石油留分(u)と混合される様に構成されているが、この塔底成分を気液分離する気液分離器が更に設けられる場合もある(例えば、特開平11−158086号公報参照)。このような構成の初留系の場合、気液分離器によって分離された液体成分のみが、重質石油留分として軽質石油留分と混合され、重軽質石油留分として排出される。また、気液分離器によって分離された気体成分は、初留塔に再フィードされることになる。 また、図1に示す初留系(100)では、初留塔(10)からの塔内成分の抜き出し箇所や、初留塔(10)への各成分のフィード・再フィード箇所を、何れも一箇所ずつであるとして記載しているが、これらを二箇所以上に分けて設けてもよい。例えば、初留塔(10)からの塔内成分(r)の抜き出し箇所を、塔上段と塔中段の二箇所に分けて設けてもよい。 その他にも、図示しない油水分離器や熱交換器等の構成要素が設けられたり、流量調整バルブやポンプ等の追加構成要素が設けられたり、分流経路やバイパス経路等が設けられたりする等、様々な変形が考えられる。 しかし、このような変形が加えられた初留系であっても、図1に示す構成を基本構成として有する限り、本発明の制御方法を適用することが可能である。 [I−2.蒸留系(初留系)に関する因子] 図1の初留系(100)の運転時には、初留系(100)の様々な部位において、各成分や塔内の温度、成分の流量、成分の組成、塔内の液面高さ等の各種因子が測定される。 図1の初留系(100)において測定されるこのような因子の例を、その略号とともに下記表1に示す。 これらの因子について、以下、具体的に説明する。 塔下段循環液量(FC1)は、初留塔(10)の塔下段に再フィードされる塔底成分(g)の量を表わす。 塔中段循環液量(FC2)は、初留塔(10)の塔中段に再フィードされる塔中段成分(j)の量を表わす。 重質石油留分抜出液量(FC3)は、軽質石油留分(u)と混合される塔底成分(d)(重質石油留分)の量を表わす。 還流量(FC4)は、初留塔(10)の塔上段に還流される塔頂成分(p)の量を表わす。 軽質石油留分抜出液量(FC5)は、重質石油留分(d)と混合される塔上段成分又は塔中段成分(u)(軽質石油留分)の量を表わす。 塔頂成分抜出量(FP)は、初留塔(10)の塔上段から抜き出される塔頂成分(l)(水蒸気を含む分解ガソリン)の量を表わす。 重軽質石油留分比率(FR)は、重軽質石油留分(e)における軽質石油留分(u)と重質石油留分(d)との比率を表わす。 塔下段温度(TC1)は、初留塔(10)の塔下段から抜き出された塔底成分(f)の温度を表わす。 塔中段温度(TC2)は、初留塔(10)の塔中段に再フィードされる塔中段成分(j)の温度を表わす。 初留塔液面高さ(LC1)は、初留塔(10)の塔内液の液面高さを表わす。 塔下段下降液量(FI)は、初留塔(10)の塔中段に再フィードされる塔中段成分(j)の温度を表わす。 還流比(RI)は、還流量(FC4)と塔頂成分抜出量(FP)との比率を表わす。 塔頂温度(TI)は、初留塔(10)の塔頂の温度を表わす。 塔底管理組成(AI)は、初留塔(10)の塔下段から抜き出された塔底成分(g)の組成を表わす。通常は、塔底成分(g)をその沸点の範囲に応じて複数の成分に分けた場合における、各沸点範囲に属する成分の比率で表わす。 分解ガス組成(PI)は、初留塔(10)の塔下段にフィードされる分解ガス(a)の組成を表わす。通常は、分解ガス(a)をその沸点の範囲に応じて複数の成分に分けた場合における、各沸点範囲に属する成分の比率で表わす。 重軽質石油留分粘度(VI)は、重軽質石油留分(e)の粘度を表わす。 下段回収熱量(Q)は、下段熱交換器(13)で回収される熱量を表わす。 ここで、本発明の制御方法における基本的な考え方と、上述の「因子」に関する用語の定義について説明する。 まず、本明細書では、ある因子を介して他の因子を間接的に調整することを、「制御」という。 また、ある因子を調整することにより、他の因子が制御される関係にある場合、前者の因子を「操作因子」といい、後者の因子を「制御因子」という場合がある。 また、ある因子を制約条件として、他の因子が調整又は制御される関係にある場合、前者の因子を「制約因子」という場合がある。 本発明の制御方法は、上述の各因子を操作因子、制御因子、及び/又は、制約因子として用いて、蒸留塔(初留塔)の制御を行なうものである。 各因子の測定を行なう具体的な手法は特に限定されないが、通常は、初留系(100)の適切な部位に設けられた計測機器類(例えば、流量の場合は流量計、温度の場合は温度計、液面高さの場合は液面計等)によって測定が行なわれる。 但し、因子の種類によっては、他の因子の測定結果に基づいて求められる場合もある(例えば、還流比(RI)は、還流量(FC4)と塔頂成分抜出量(FP)との比率として求められる。)。 また、各因子のうち少なくとも操作因子として用いられる因子は、その値を調整できるように構成される。 各因子の調整を行なう具体的な手法は特に限定されないが、通常は、図1に記載されている各種の機器類(例えば熱交換器等)や、図示されていない各種の機器類(例えば流量調節バルブ、バイパス経路等)によって調整が行なわれる。なお、各因子の調整を行なうために用いられる各種の機器類を、以下の記載では「操作機器類」という場合がある。 なお、各因子の調整を安定して行なうために、各因子の測定結果をその因子の調整目標値に反映させる、いわゆるフィードバック制御等の機構を設けてもよい。フィードバック制御の方式としては、PID(Proportional-Integral-Derivative)制御等が挙げられる。 なお、図1における各二重円内の符号は、上記表1に示す各因子の略号を表わす。図2以降の図についても同様とする。 また、図1における各二重円の位置は、各因子の測定が行なわれる主な部位を表わす。但し、各因子の測定が行なわれる部位は、図1において各二重円が記載されている部位に制限されるものではなく、初留系(100)中の他の部位であってもよい。 また、図1における点線矢印は、ある因子(矢印始点の二重円に示す因子)に基づいて他の因子(矢印終点の二重円に示す因子)が求められる関係を表わす。[II.蒸留系(初留系)の制御方法] [II−1.制御方法の概要] 続いて、本発明の制御方法の概要について、図2を参照しながら説明する。 なお、図2は、本発明の制御方法の概要を説明するための概念図である。 図2における直線矢印は、ある因子(矢印始点の二重円に示す因子)を調整することにより他の因子(矢印終点の二重円に示す因子)が制御される関係を表わす。即ち、直線矢印の始点の因子が「操作因子」に相当し、終点の因子が「制御因子」に相当する。 図2における点線矢印は、ある因子(矢印始点の二重円に示す因子)を制約条件として他の因子(矢印終点の二重円に示す因子)が調整又は制御される関係を表わす。即ち、直線矢印の始点の因子が「制約因子」に相当する。 図2における一点鎖線は、二つの因子(その線で結ばれる二つの二重円に示す因子)が、上述の直線矢印及び点線矢印で表わされる関係以外の関係を有することを表わす。 上述のように、初留系では、様々な因子が相互に複雑に絡み合っている。このため、従来の制御の手法(初留系の運転条件を一定とする手法や、初留系の運転員の経験に頼って運転条件を調整する手法等)では、初留系を安定させつつ、制約条件を守りながら効率的な運転制御を行なうことは、非常に困難であった。 これに対し、本発明者らは、鋭意検討の結果、塔下段循環液量(FI)が塔頂温度(TI)及び塔底管理組成(AI)との間に強い相関を示すことを見出した。そして、この塔下段循環液量(FI)について所定の管理値を設定し、この管理値に基づいて塔下段循環液量(FI)を調整することにより、初留系を安定させつつ、制約条件を守りながら、効率的な運転制御を行なうことが可能となることを見出した。 更に、この塔下段循環液量(FI)を中心として、各種の因子の相関関係をモデル化し、本発明を完成させたのである。 具体的に、本発明の制御方法では、以下の工程(i)〜(vi)、(i')、(iv')、(v')を実施することにより、初留系の制御を行なう。 なお、図2では、以下の工程に対応する矢印に、各工程の符号(i)〜(vi)、(i')、(iv')、(v')を付して表わしている。・工程(i): 塔下段循環液量(FI)について所定の管理値を設定し、この管理値に基づいて塔下段循環液量(FI)を調整することにより、塔頂温度(TI)及び塔底管理組成(AI)のうち少なくとも一方を制御する(これを適宜「工程(i)」という。)。 本工程によれば、塔下段循環液量(FI)を管理値に基づいて調整するという極めて簡単な手法により、塔頂温度(TI)及び/又は塔底管理組成(AI)を安定的に制御することができる。 ひいては、初留系全体が安定化し、他の制約条件を守りながら、効率的な運転・制御を行なうことが可能となる。・工程(i'): 工程(i)において、分解ガス組成(PI)に応じて、塔頂温度(TI)及び/又は塔底管理組成(AI)を制約条件として、塔下段循環液量(FI)を調整する(これを適宜「工程(i')」という。)。 上述のように、分解ガス組成(PI)が変化する場合、従来の制御の手法では、初留系を安定させつつ効率的な運転制御を行なうことは、極めて困難であった。 それに対し、本工程によれば、分解ガス組成(PI)を考慮しつつ、塔頂温度(TI)及び/又は塔底管理組成(AI)を制約条件として塔下段循環液量(FI)を調整することにより、初留系を安定化させ、効率的な運転・制御を行なうことが可能となる。・工程(ii): 塔中段循環液量(FC2)について所定の管理値を設定し、この管理値に基づいて塔中段循環液量(FC2)を調整することにより、塔下段循環液量(FI)を制御する(これを適宜「工程(ii)」という。)。 本工程によれば、塔中段循環液量(FC2)を介して、塔下段循環液量(FI)を効率的に制御することができる。 その結果、初留系をより安定化させ、効率的な運転・制御を行なうことが可能となる。・工程(iii): 塔中段温度(TC2)について所定の管理値を設定し、この管理値に基づいて塔中段温度(TC2)を調整することにより、塔下段循環液量(FI)を制御する(これを適宜「工程(iii)」という。)。 本工程によれば、塔中段温度(TC2)を介して、塔下段循環液量(FI)を適切に制御することができる。 その結果、初留系をより安定化させ、効率的な運転・制御を行なうことが可能となる。・工程(iv): 塔下段温度(TC1)について所定の管理値を設定し、この管理値に基づいて塔下段温度(TC1)を調整することにより、塔中段温度(TC2)及び/又は塔中段循環液量(FC2)を制御する(これを適宜「工程(iv)」という。)。 本工程によれば、塔下段温度(TC1)を介して塔中段温度(TC2)及び/又は塔中段循環液量(FC2)を適切に制御することができる。 その結果、初留系をより安定化させ、効率的な運転・制御を行なうことが可能となる。・工程(iv'): 工程(iv)において、下段回収熱量(Q)を制約条件として、塔下段温度(TC1)を調整する(これを適宜「工程(iv')」という。)。 上述のように、初留系においては、下段熱交換器での熱回収効率を向上させることが求められているが、本工程によれば、下段回収熱量(Q)を制約条件として考慮しながら塔下段温度(TC1)を調整することにより、塔下段温度(TC1)を適切に制御することができる。 その結果、下段熱交換器での熱回収効率を向上させつつ、初留系を安定化させ、効率的な運転・制御を行なうことが可能となる。・工程(v): 還流量(FC4)について所定の管理値を設定し、この管理値に基づいて還流量(FC4)を調整することにより、塔下段循環液量(FI)を制御する(これを適宜「工程(v)」という。)。 本工程によれば、還流量(FC4)を介して、塔下段循環液量(FI)を適切に制御することができる。 その結果、初留系をより安定化させ、効率的な運転・制御を行なうことが可能となる。・工程(v'): 工程(v)において、塔頂成分抜出量(FP)と還流量(FC4)との比である還流比(RI)を制約条件として、還流量(FC4)を調整する(これを適宜「工程(v')」という。)。 本工程によれば、還流比(RI)を制約条件として考慮しながら還流量(FC4)を調整することにより、還流量(FC4)を適切に制御することができる。 その結果、下段熱交換器での熱回収効率を向上させつつ、初留系を安定化させ、効率的な運転・制御を行なうことが可能となる。・工程(vi): 軽質石油留分抜出液量(FC5)と重質石油留分抜出液量(FC3)との比である重軽質石油留分比率(FR)について、所定の管理値を設定し、この管理値に基づいて重軽質石油留分比率(FR)を調整することにより、排出される重軽質石油留分粘度(VI)を制御する(これを適宜「工程(vi)」という。)。 従来の初留塔においては、重質石油留分と軽質石油留分との混合比率については、特に注意が払われていなかった。そのため、重質石油留分と軽質石油留分とを別々に排出するか、或いは重質石油留分と軽質石油留分とを任意の比率で混合して、重軽質石油留分として排出していた。 しかし、この様な従来の手法では、排出される成分の性状が安定せず、結果として経路の閉塞が生じる可能性があった。 これに対し、本工程(vi)によれば、重軽質石油留分粘度(VI)を制約条件として考慮しながら重軽質石油留分率(FR)を調整することにより、排出される重軽質石油留分の粘度(VI)を適切に制御することができる。 その結果、重軽質石油留分の性状を維持しつつ、初留系を安定化させ、効率的な運転・制御を行なうことが可能となる。 以上、工程(i)〜(vi)、(i')、(iv')、(v')について説明したが、以上の説明中の「管理値」とは、各因子を調整する際の管理基準として設けられる値をいう。 管理値の例としては、上限値、下限値、目標値等が挙げられる。ある因子に対して設けられる管理値が上限値の場合、その上限値を超えないようにその因子を調整する。管理値が下限値の場合、その下限値を下回らないようにその因子を調整する。管理値が目標値の場合、その目標値に近づくようにその因子を調整する。これらの管理値の種類は、各因子の種類に応じて適当に選択すればよい。 また、各因子に対して複数種の管理値を設けてもよい。例えば、ある因子に対して管理値として上限値及び下限値が設けられた場合、それらの下限値及び上限値との間の範囲内に収まるように、その因子を調整することになる。 また、初留塔の制御時を通じて一定の管理値を使用してもよいが、初留塔の制御中に管理値を変更してもよい。 具体的に、各因子の調整に用いる所定の管理値には、管理するプロセス上の組成、温度等の因子に関する安全基準から決まるものと、その因子や関連する因子との関係を考慮して決められるものとがある。各因子との関係を考慮して管理値を決める手法は特に制限されないが、好ましい例としては、統計解析による手法が挙げられる。 具体的には、PLS(partial least squares)法(部分最小二乗法)等の統計解析的モデリング手法を用いることが好ましい。 なお、本発明の制御方法では、上述の各工程のうち少なくとも工程(i)を実施すればよく、他の工程(ii)〜(vi)、(i')、(iv')、(v')は必須ではない。 但し、本発明の制御方法においては、工程(i)に加えて、工程(i')、(ii)、(iii)、(v)のうち少なくとも一つを実施することが好ましい。 中でも、本発明の制御方法では、工程(i)〜(vi)、(i')、(iv')、(v')の全てを実施することが特に好ましい。 また、本発明の制御方法では、初留塔(100)の制御中、上述の各工程(i)〜(vi)、(i')、(iv')、(v')を繰り返し実施する。各工程の繰り返しのタイミングは特に制限されないが、通常は一定間隔毎に周期的に行なう。各工程を周期的に実施する場合、繰り返しの周期も特に制限されない。また、各工程(i)〜(vi)、(i')、(iv')、(v')を同じタイミングで実施してもよく、異なるタイミングで実施してもよい。 [II−2.制御方法の具体的な態様] 本発明の制御方法を実現するための具体的な手法は特に制限されない。PID制御等の単変数制御を用いてもよく、多変数制御を用いてもよく、これらを組み合わせてもよい。中でも、少なくとも多変数制御を用いることが好ましく、一種以上の含む多変数制御を複数の制御手法を、因子の種類に応じて組み合わせて実施することがより好ましい。 多変数制御の例としては、多重ループ制御(PID制御に基づく多変数制御)、非干渉制御、比率制御、多変数モデル予測制御、最適化制御、ファジー制御、ニューラルネットワーク、適応制御、多変数レギュレータ、内部モデル制御等が挙げられる。これらの多変数制御は、何れか一種を単独で用いてもよいが、二種以上を任意の組み合わせで併用してもよい。 以下、PID制御、多変数モデル予測制御及び最適化制御を組み合わせた、本発明の制御方法の具体的な態様の一例について、図3を参照しながら説明する。なお、図3は、本発明の制御方法の具体的な態様の一例を説明するための概念図である。 図3において、因子間を結ぶ直線矢印は、ある因子(矢印始点の二重円に示す因子)を調整することにより他の因子(矢印終点の二重円に示す因子)が制御される関係を表わす。これらの因子は、制御に使用できる不変的な関係にある。 一方、因子間を結ぶ点線も、これらの因子間に関係が有ることを表わしているが、これらの因子は、状況に応じて変化する可変的な関係にある。 また、図3において、PID制御に関与する因子、多変数モデル予測制御に関する因子、及び最適化制御に関する因子を、それぞれ「PID制御」、「多変数モデル予測制御」、及び「最適化制御」と名称を付した囲み線で囲って示している。なお、ある因子がある制御に「関与する」とは、当該因子が当該制御において操作因子、制御因子、制約因子等として用いられることを示す。 本態様においては、図3に示すように、PID制御、多変数モデル予測制御及び最適化制御を、次のように組み合わせて実施する。 即ち、塔下段循環液量(FC1)、塔中段循環液量(FC2)、重質石油留分抜出液量(FC3)、還流量(FC4)、軽質石油留分抜出液量(FC5)、塔下段温度(TC1)、塔中段温度(TC2)については、各々PID制御により個別に制御を行なう。 また、特に塔下段温度(TC1)については、塔下段循環液量(FC1)等を操作変数として、PID制御に基づく多重ループ制御により制御を行なう。 また、塔下段下降液量(FI)、還流比(RI)、塔頂温度(TI)については、塔中段循環液量(FC2)、還流量(FC4)、塔中段温度(TC2)、塔頂成分抜出量(FP)等を操作変数として、多変数モデル予測制御により制御を行なう。 また、塔底管理組成(AI)、初留塔液面高さ(RI)、重軽質石油留分粘度(VI)については、塔下段下降液量(FI)、重質石油留分抜出液量(FC3)、塔下段温度(TC1)、重軽質石油留分比率(FR)等を操作変数として、最適化制御により制御を行なう。 PID制御、多変数モデル予測制御及び最適化制御による制御動作(上述の各工程(i)〜(vi)、(i')、(iv')、(v')に相当する動作)の繰り返しのタイミングは、特に制限されるものではないが、何れも一定間隔毎に周期的に行なうことが好ましい。繰り返しの周期も特に制限されないが、PID制御は短い周期(例えば1秒間隔)で行ない、最適化制御は長い周期(例えば1時間間隔)で行ない、多変数モデル予測制御はその中間の周期(最適化制御より短く、PID制御より長い周期。例えば3分間隔)で行なうことが好ましい。 本態様におけるPID制御、多変数モデル予測制御及び最適化制御の詳細について、以下に説明する。・PID制御: 液量(FC1〜FC5等)、温度(TC1、TC2等)、液面高さ等の因子は、蒸留系を制御する上で基本的な状態量であるため、局所的な変動を早期に抑え込むことが望ましい。よって、これらの因子については、高周期(短周期)で処理を行なう自立型コントローラ(Regulatory Controller)を用いて、PID制御により個別に制御を行なう。 一般的に、流量については、ポンプでの圧力変動等の局所的な外乱が考えられる。自立型コントローラを用いれば、この様な外乱に対しても有効に機能し、変動があった場合にも流量一定での制御を継続することが可能となる。 温度については、局所的な熱伝達の変化による外乱が考えられる。バイパス調整により温度制御を行なう場合には、三方弁を直接操作し、熱量変化を吸収することになる。循環流量で熱交換量を制御する場合には、まず循環量を制御し、その循環量の設定を変える温度コントローラを上位に持たせた構成(多重ループ制御)を採用することが好ましい。 液面については、蒸発量の一時的な変化に伴う液面の急変が局所的な外乱として表われる。蒸留塔や気液分離器等のバッファが小さい場合は、時々刻々変化する液面変動を抑える上で、自立型コントローラが有効に機能し、変動があった場合にも液位を許容範囲で制御することが可能となる。また、蒸留塔や気液分離器等の抜出箇所等に流量計がある場合には、多重ループ制御が有効である。 以上のような背景から、上述した基本的な状態量については、局所的な外乱を吸収するため、自立型コントローラを用いて、PID制御により個別に制御を行なう。・多変数モデル予測制御: 一般的に、多変数モデル予測制御は、制御対象に対して操作の影響が複数ある場合に有効である。また、干渉を考慮し大局的なバランスを調整するコントローラであるため、PID制御に比べてより低周期(長周期)の制御となる。 塔下段下降液量(FI)は、還流量(FC4)、塔中段循環液量(FC4)、塔中段温度(TC2)の操作に影響を与えることから、これを多変数モデル予測制御の制御変数として選定する。 操作する還流量(FC4)、塔中段循環液量(FC4)、塔中段温度(TC2)はそれぞれ動作幅が決まっており、それぞれが動作できる範囲内で操作を行ない、塔下段下降液量(FI)を狭い上下限設定内(上限値と下限値との間の範囲内)に抑えるように制御する。 ここにおいて、還流量(FC4)を増やし過ぎると系外への放熱となり、熱回収ロスとなってしまうため、還流量(FC4)にコスト設定を行ない、プロセスの余裕見合いでなるべく下げるような重み付けをすることが好ましい。 この操作の制約としては、還流量(FC4)自体の下限値の他に、還流比(RI)の下限値がある。還流比(RI)の下限値はプロセス設計条件からの推奨値であり、この下限が守れなければ、高沸成分を分離することが困難になる。還流比(RI)を多変数モデル予測制御の制御変数とすることで、プロセス上の下限制約を加味した上で経済性(熱回収量)の高い運転を実現することが可能となる。なお、線形計画法に基づき、プロセスの制約を加味したコスト最適点で制御を行なうことが好ましい。 また、塔下段下降液量(FI)及び還流比(RI)を同一の制御手法で(同一のコントローラ上で)制御することによって、プロセスに余裕がある場合(塔中段循環液量(FC2)、塔中段温度(TC2)の操作によって塔下段下降液量(FI)を狭い上下限範囲内に抑えられる場合)には、還流比(RI)を下限で制御する一方で、プロセスに余裕が無い場合には、還流比(RI)を下限で制御するのではなく、還流量(FC4)の操作によって塔下段下降液量(FI)の制御を助けるように機能させることが可能となる。 また、同一の制御手法において(同一のコントローラ上で)更に塔頂温度(TI)を制御変数とすれば、塔中段温度(TC2)の動作制約についても考慮することが可能となる。具体的な塔中段温度(TC2)の動作は、塔頂温度(TI)が上下限内(塔下段下降液量(FI)に比べて広い範囲内)にある間は塔下段下降液量(FI)の制御を助け、塔頂温度(TI)が上下限付近では塔頂温度(TI)の制御を重視するようになっている。 また、塔下段下降液量(FI)の変化は塔頂温度(TI)にも影響があるため、塔下段下降液量(FI)を狭い範囲内で制御することにより、塔頂温度(TI)が安定するといった複合的な効果もある。・最適化制御: 塔底管理組成(AI)、初留塔液面高さ(LC1)、重軽質石油留分粘度(VI)は、何れもフィード原料中の微量成分の蓄積によって変化するものであり、その変化は比較的緩やかである。このため、多変数モデル予測制御よりも更に低周期(長周期)の制御である最適化制御により制御を行なう。 塔底管理組成(AI)は、通常、プロセスデータの1時間の移動平均値からソフトセンサーを用いて算出される推定組成により制御を行なう。操作は、モデル予測制御上にある塔下段下降液量(FI)の狭い制約範囲内(上限値及び下限値との間の範囲内)をゆっくりと調整することにより行なう。 ここで、塔下段下降液量(FI)を減らせば減らすほど、下段回収熱量(Q)が増える一方で、塔底管理組成(AI)は濃縮するというトレードオフの関係がある。この関係を用いて、線形計画法により、塔底管理組成(AI)を上限制約として、余裕見合いで下段回収熱量(Q)を最大化する(即ち、塔下段下降液量(FI)を最小化する)最適化制御を行なう。 初留塔液面高さ(LC1)の変化としては、塔下段下降液量(FI)の変化からくる緩やかな変化の外に、フィード熱量の変化に伴う急激な変化がある。後者の変化に合わせて重質石油留分抜出液量(FC3)を調整すると、過剰な操作を行なってしまうことになるので、あえてPID制御を行なわず、最適化制御によりゆっくりとした操作を行なう。 重軽質石油留分粘度(VI)の調整も、上記の調整と併せて行なうことが好ましいため、最適化制御上でゆっくりとした操作を行なう。[III.蒸留系(初留系)の制御システム及び制御プログラム] 本発明の制御方法を実施するためのシステムは特に制限されないが、通常は、CPU、RAM、ハードディスクや各種周辺機器等を備えた一般的な構成のコンピュータシステム(例えば各種ネットワークサーバ、ワークステーション、パーソナルコンピュータ等)を用いることによって、容易に実現することができる。 具体的に、こうしたコンピュータシステムでは、CPUがハードディスク等に記憶されたコンピュータプログラムに従って各種の演算処理を実行するとともに、CPUの各種演算処理に必要なデータがRAMに適宜記憶・更新される。 また、こうしたコンピュータシステムには、更に各種の機器(キーボード、マウス等の入力機器、ディスプレイ、プリンタ等の出力機器、CD−ROMドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ等の記憶媒体読取・書込装置、通信ネットワークとのインターフェースなど)が内蔵又は接続され、CPUの演算処理によって制御される。 すなわち、これらCPU、RAM、ハードディスク等や各種周辺機器等の機能によって、以下の各手段が実現される。 以下、本発明の制御方法を実施するためのシステム(以下「本発明の制御システム」と略称する場合がある。)について、具体的な実施の形態を挙げて図4及び図5を用いて説明し、更にはこのシステムを実施するためのプログラム(以下「本発明の制御プログラム」と略称する場合がある。)についても説明する。なお、図中の各構成要素や各成分等には符号を付し、以下の記載中でこれらの構成要素や成分等に言及する際には、対応する符号を括弧付きで併記することにする。 [III−1.第1実施形態の制御システム] 図4は、本発明の第1実施形態に係る制御システム(以下「第1実施形態の制御システム」等と略称する。)の要部構成を示す機能ブロック図である。図4に示す第1実施形態の制御システム(1)は、制御対象となる蒸留塔(初留系)(100)に設けられ、上述の本発明の制御方法を実施することにより、その制御を行なうものである。 第1実施形態の制御システム(1)は、その機能要素として、制御演算処理部(2)と、因子測定値取得部(3)と、因子調整部(4)と、情報入出力部(5)とを備えて構成される。 制御演算処理部(2)は、初留系(100)の制御に関する各種の演算処理を行なうものである。特に、制御演算処理部(2)は、後述の因子測定値取得部(3)を介して取得された初留系(100)の各因子の測定値を用いて演算処理を行なうことにより、初留系(100)の各因子(操作因子)を調整するために必要な操作量を算出する機能を有する。上記[II−1.制御方法の概要]において説明したように、調整対象となる各因子(操作因子)には管理値が設定されており、操作量の算出はこの管理値に基づいて行なわれる。また、各因子(操作因子)の操作量の算出には、他の因子(制御因子、制約因子)の測定値が考慮される。この制御演算を行なうための具体的な手法としては、上記[II−2.制御方法の具体例]において説明した各種の手法(PID制御、多変数制御等)が挙げられる。この制御演算処理部(2)は、例えば、コンピュータシステムのCPU、RAM及びハードディスクと、ハードディスク等に記憶されたコンピュータプログラム等との協動によって実現される。 因子測定値取得部(3)は、初留系(100)における各因子の測定値を初留系(100)から取得し、制御演算処理部(2)に入力するものである。具体的に、この因子測定値取得部(3)は、有線又は無線の通信手段を介して、初留系(100)に設けられた各種の測定機器類と通信可能に構成され、これらの測定機器類から各因子の測定値を取得できるようになっている。この因子測定値取得部(3)は、例えば、コンピュータシステムに設けられたCD−ROMドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ等の記憶媒体読取・書込装置、通信ネットワークとのインターフェース等によって実現される。 因子調整部(4)は、制御演算処理部(2)において得られた各因子の操作量に基づいて、初留系(100)の各因子を調整するものである。具体的に、この因子調整部(4)は、有線又は無線の通信手段を介して、初留系(100)に設けられた各種の操作機器類と通信可能に構成され、これらの操作機器類の設定値を各因子の操作量に基づいて調節する等の手段により、各因子を調整できるようになっている。この因子調整部(4)は、例えば、コンピュータシステムに設けられたCD−ROMドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ等の記憶媒体読取・書込装置、通信ネットワークとのインターフェース等によって実現される。 情報入出力部(5)は、制御演算処理部(2)における各種の演算処理に関する情報を制御演算処理部(2)に入力し、或いは制御演算処理部(2)から出力するものである。この情報入出力部(5)は、例えば、コンピュータシステムに設けられたキーボード、マウス等の入力機器、ディスプレイ、プリンタ等の出力機器、CD−ROMドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ等の記憶媒体読取・書込装置、通信ネットワークとのインターフェース等によって実現される。 上記構成を有する第1実施形態の制御システム(1)の基本動作は以下の通りである。 まず、因子測定値取得部(3)が、初留系(100)において得られた各因子の測定値を取得し、制御演算処理部(2)に入力する。 次いで、制御演算処理部(2)が、因子測定値取得部(3)から入力された各因子の測定値に基づいて演算処理を行なうことにより、初留系(100)の各因子(操作因子)を調整するために必要な操作量を算出する。 続いて、因子調整部(4)が、制御演算処理部(2)で算出された各因子の操作量に基づいて、初留系(100)の各因子の調整を行なう。 なお、以上の基本動作の際には、制御演算処理部(2)における各種の演算処理に関する情報が、情報入出力部(5)を介して入出力される。制御システム(1)のオペレータは、この情報入出力部(5)を用いて制御システム(1)を運用することができる。 制御システム(1)は、以上の基本動作に従って初留系(100)の各因子(操作因子)を調整することにより、本発明の制御方法を構成する上述の各工程(i)〜(vi)、(i')、(iv')、(v')を実施する。その結果、本発明の制御方法が実現されることになる。 制御システム(1)は、各工程(i)〜(vi)、(i')、(iv')、(v')について、上述の基本動作を繰り返し実施する。基本動作の繰り返しのタイミングは特に制限されないが、通常は一定間隔毎に周期的に行なう。基本動作を周期的に行なう場合、繰り返しの周期も特に制限されない。また、各工程(i)〜(vi)、(i')、(iv')、(v')に相当する基本動作を、同じタイミングで実施してもよく、異なるタイミングで実施してもよい。 なお、本発明の制御システム(1)は、言い換えれば、上述の工程(i)〜(vi)、(i')、(iv')、(v')に対応する、以下の手段(i)〜(vi)、(i')、(iv')、(v')を有することにより、初留系の制御を行なうシステムである。・手段(i): 塔下段循環液量(FI)について所定の管理値を設定し、この管理値に基づいて塔下段循環液量(FI)を調整することにより、塔頂温度(TI)及び塔底管理組成(AI)のうち少なくとも一方を制御する(これを適宜「手段(i)」という。)。・手段(i'): 手段(i)において、分解ガス組成(PI)に応じて、塔頂温度(TI)及び/又は塔底管理組成(AI)を制約条件として、塔下段循環液量(FI)を調整する(これを適宜「手段(i')」という。)。・手段(ii): 塔中段循環液量(FC2)について所定の管理値を設定し、この管理値に基づいて塔中段循環液量(FC2)を調整することにより、塔下段循環液量(FI)を制御する(これを適宜「手段(ii)」という。)。・手段(iii): 塔中段温度(TC2)について所定の管理値を設定し、この管理値に基づいて塔中段温度(TC2)を調整することにより、塔下段循環液量(FI)を制御する(これを適宜「手段(iii)」という。)。・工程(iv): 塔下段温度(TC1)について所定の管理値を設定し、この管理値に基づいて塔下段温度(TC1)を調整することにより、塔中段温度(TC2)及び/又は塔中段循環液量(FC2)を制御する(これを適宜「手段(iv)」という。)。・手段(iv'): 手段(iv)において、下段回収熱量(Q)を制約条件として、塔下段温度(TC1)を調整する(これを適宜「手段(iv')」という。)。・手段(v): 還流量(FC4)について所定の管理値を設定し、この管理値に基づいて還流量(FC4)を調整することにより、塔下段循環液量(FI)を制御する(これを適宜「手段(v)」という。)。・手段(v'): 手段(v)において、塔頂成分抜出量(FP)と還流量(FC4)との比である還流比(RI)を制約条件として、還流量(FC4)を調整する(これを適宜「手段(v')」という。)。・手段(vi): 軽質石油留分抜出液量(FC5)と重質石油留分抜出液量(FC3)との比である重軽質石油留分比率(FR)について、所定の管理値を設定し、この管理値に基づいて重軽質石油留分比率(FR)を調整することにより、排出される重軽質石油留分粘度(VI)を制御する(これを適宜「手段(vi)」という。)。 なお、本発明の制御システムは、上述の各手段のうち少なくとも手段(i)を有していればよく、他の手段(ii)〜(vi)、(i')、(iv')、(v')は必須ではない。 但し、本発明の制御システムは、手段(i)に加えて、手段(i')、(ii)、(iii)、(v)のうち少なくとも一つを有していることが好ましい。 中でも、本発明の制御システムは、手段(i)〜(vi)、(i')、(iv')、(v')の全てを有していることが特に好ましい。 [III−2.第2実施形態の制御システム] なお、複数の制御の手法を併用して本発明の制御方法を実施する場合には、各制御の手法毎に個別のシステムを設け、これらのシステムの組み合わせとして本発明の制御システムを構成してもよい。ここでは、図3を用いて説明した、PID制御、多変数モデル予測制御及び最適化制御を併用した制御方法を例として、この制御方法を実施するための制御システムについて図5を用いて説明する。 図5は、本発明の第2実施形態に係る制御システム(以下「第2実施形態の制御システム」等と略称する。)の要部構成を示す機能ブロック図である。図5に示す第2実施形態の制御システム(1−0)は、制御対象となる蒸留塔(初留系)(100)に設けられ、上述の本発明の制御方法を実施することにより、その制御を行なうものである。 第2実施形態の制御システム(1−0)は、最適化制御システム(1−1)、多変数モデル予測制御システム(1−2)、PID制御システム(1−3)、ネットワーク(9)から構成される。 最適化制御システム(1−1)は、機能要素として、最適化制御演算処理部(2−1)と、因子測定値取得部(3−1)と、因子調整部(4−1)と、情報入出力部(5−1)とを備えて構成される。これらの最適化制御演算処理部(2−1)、因子測定値取得部(3−1)、因子調整部(4−1)及び情報入出力部(5−1)の機能及び構成は、制御の手法として最適化制御を用い、最適化制御に関与する因子を主に扱う点を除けば、図4の制御システム(1)が有する制御演算処理部(2)、因子測定値取得部(3)、因子調整部(4)及び情報入出力部(5)の機能及び構成と基本的に同じである。 多変数モデル予測制御システム(1−2)は、機能要素として、多変数モデル予測制御演算処理部(2−2)と、因子測定値取得部(3−2)と、因子調整部(4−2)と、情報入出力部(5−2)とを備えて構成される。これらの多変数モデル予測制御演算処理部(2−2)、因子測定値取得部(3−2)、因子調整部(4−2)及び情報入出力部(5−2)の機能及び構成は、制御の手法として多変数モデル予測制御を用い、多変数モデル予測制御に関与する因子を主に扱う点を除けば、図4の制御システム(1)が有する制御演算処理部(2)、因子測定値取得部(3)、因子調整部(4)及び情報入出力部(5)の機能及び構成と基本的に同じである。 PID制御システム(1−3)は、機能要素として、PID制御演算処理部(2−3)と、因子測定値取得部(3−3)と、因子調整部(4−3)と、情報入出力部(5−3)とを備えて構成される。これらのPID制御演算処理部(2−3)、因子測定値取得部(3−3)、因子調整部(4−3)及び情報入出力部(5−3)の機能及び構成は、制御の手法としてPID制御を用い、PID制御に関与する因子を主に扱う点を除けば、図4の制御システム(1)が有する制御演算処理部(2)、因子測定値取得部(3)、因子調整部(4)及び情報入出力部(5)の機能及び構成と基本的に同じである。 即ち、図5の制御システム(1−0)における、最適化制御演算処理部(2−1)、多変数モデル予測制御演算処理部(2−2)及びPID制御演算処理部(2−3)から構成される群(これを「制御演算処理部群(2−0)」という場合がある。)が、図4の制御システム(1)における制御演算処理部(2)に相当することになる。 また、図5の制御システム(1−0)における、因子測定値取得部(3−1)、(3−2)、(3−3)から構成される群(これを「因子測定値取得部群(3−0)」という場合がある。)が、図4の制御システム(1)における因子測定値取得部(3)に相当することになる。 また、図5の制御システム(1−0)における、因子調整部(4−1)、(4−2)、(4−3)から構成される群(これを「因子調整部群(4−0)」という場合がある。)が、図4の制御システム(1)における因子調整部(4)に相当することになる。 また、図5の制御システム(1−0)における、情報入出力部(5−1)、(5−2)、(5−3)から構成される群(これを「情報入出力部群(5−0)」という場合がある。)が、図4の制御システム(1)における情報入出力部(5)に相当することになる。 また、これらの最適化制御システム(1−1)、多変数モデル予測制御システム(1−2)、PID制御システム(1−3)は、何れも情報入出力部(5−1)、(5−2)、(5−3)を介してネットワーク(9)に接続されており、このネットワーク(9)を通じて各種情報を互いに送受信することが可能に構成されている。 上記構成を有する制御システム(1−0)において、最適化制御システム(1−1)、多変数モデル予測制御システム(1−2)及びPID制御システム(1−3)は、それぞれ以下の基本動作を行なう。 最適化制御システム(1−1)においては、まず、因子測定値取得部(3−1)が、初留系(100)において得られた各因子の測定値を取得し、最適化制御演算処理部(2−1)に入力する。 次いで、最適化制御演算処理部(2−1)が、因子測定値取得部(3−1)から入力された各因子の測定値に基づいて演算処理を行なうことにより、初留系(100)の各因子(操作因子)を調整するために必要な操作量を算出する。 続いて、因子調整部(4−1)が、最適化制御演算処理部(2−1)で算出された各因子の操作量に基づいて初留系(100)の各因子を調整する。 多変数モデル予測制御システム(1−2)においては、まず、因子測定値取得部(3−2)が、初留系(100)において得られた各因子の測定値を取得し、多変数モデル予測制御演算処理部(2−2)に入力する。 次いで、多変数モデル予測制御演算処理部(2−2)が、因子測定値取得部(3−2)から入力された各因子の測定値に基づいて演算処理を行なうことにより、初留系(100)の各因子(操作因子)を調整するために必要な操作量を算出する。 続いて、因子調整部(4−2)が、多変数モデル予測制御演算処理部(2−2)で算出された各因子の操作量に基づいて初留系(100)の各因子を調整する。 PID制御システム(1−3)においては、まず、因子測定値取得部(3−3)が、初留系(100)において得られた各因子の測定値を取得し、PID制御演算処理部(2−3)に入力する。 次いで、PID制御演算処理部(2−3)が、因子測定値取得部(3−3)から入力された各因子の測定値に基づいて演算処理を行なうことにより、初留系(100)の各因子(操作因子)を調整するために必要な操作量を算出する。 続いて、因子調整部(4−3)が、PID制御演算処理部(2−3)で算出された各因子の操作量に基づいて初留系(100)の各因子を調整する。 なお、以上の基本動作の際には、各制御演算処理部(2−1)、(2−2)、(2−3)における各種の演算処理に関する情報が、各情報入出力部(5−1)、(5−2)、(5−3)を介して入出力される。各制御システム(1−1)、(1−2)、(1−3)のオペレータは、これらの情報入出力部(5−1)、(5−2)、(5−3)を用いて、各制御システム(1−1)、(1−2)、(1−3)を運用することができる。 制御システム(1−0)を構成する最適化制御システム(1−1)、多変数モデル予測制御システム(1−2)及びPID制御システム(1−3)は、以上の基本動作に従って初留系(100)の各因子(操作因子)を調整することにより、本発明の制御方法を構成する上述の各工程を実施する。その結果、本発明の制御方法が実現されることになる。 第2実施形態における、最適化制御システム(1−1)、多変数モデル予測制御システム(1−2)及びPID制御システム(1−3)による基本動作の繰り返しのタイミングは、第1実施形態の場合と同様、特に制限されるものではないが、何れも一定間隔毎に周期的に行なうことが好ましい。繰り返しの周期も特に制限されないが、最適化制御システム(1−1)による最適化制御は比較的長周期(例えば1時間間隔)で行なうことが好ましく、PID制御システム(1−3)によるPID制御は比較的短周期(例えば1秒間隔)で行なうことが好ましく、多変数モデル予測制御システム(1−2)による多変数モデル予測制御は最適化制御より短く、PID制御より長い周期(例えば3分間隔)で行なうことが好ましい。 以上、本発明の制御システムの実施形態について、2つの実施形態を挙げて説明したが、本発明の制御システムの構成はこれらの実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、任意の変更を加えて実施することが可能である。 [III−3.制御プログラム] 続いて、上述の本発明の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、或いは、上述の本発明の制御システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラム(本発明の制御プログラム)について説明する。 本発明の一実施の形態に係る制御プログラムは、上述の本発明の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、具体的には、本発明の制御方法が有する上述の各工程(工程(i)〜(vi)、(i')、(iv')、(v'))を実施する手段として、コンピュータを機能させるものである。なお、上記[II.蒸留系(初留系)の制御方法]の欄で説明した様に、工程(i)以外の工程については任意である。 また、本発明の別の実施の形態に係る制御プログラムは、上述の本発明の制御システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであり、具体的には、本発明の制御システムが有する上述の機能要素(制御演算処理部、因子測定値取得部、因子調整部、情報入出力部)、或いは、上述の各手段(手段(i)〜(vi)、(i')、(iv')、(v'))として、コンピュータを機能させるものである。なお、上記の[III−1.第1実施形態]の欄で説明した様に、手段(i)以外の手段については任意である。 そして、本発明の制御プログラムをコンピュータのRAMに読み出し、これを起動してCPUで実行することにより、上述の各工程(工程(i)〜(vi)、(i')、(iv')、(v'))、上述の各機能要素(制御演算処理部、因子測定値取得部、因子調整部、情報入出力部)、或いは、上述の各手段(手段(i)〜(vi)、(i')、(iv')、(v'))が、CPUの動作として、又はCPUとRAM、ハードディスク、各種周辺機器等との協動動作として実現される。 なお、本発明の制御システムを、複数の制御システムの組み合わせとして実現する場合には、個々の制御システムを個別の制御プログラムにより実現してもよい。 例えば、図5の制御システム(1−0)(本発明の第2実施形態に係る制御システム)は、最適化制御システム(1−1)、多変数モデル予測制御システム(1−2)、PID制御システム(1−3)から構成されていた。この制御システム(1−0)は、単一の制御プログラムを用いて実現することも可能であるが、最適化制御システム(1−1)を実現する制御プログラムと、多変数モデル予測制御システム(1−2)を実現する制御プログラムと、PID制御システム(1−3)を実現する制御プログラムとを別に用意し、各々をコンピュータシステム(同一のコンピュータシステムであっても、制御プログラム毎に別のコンピュータシステムであってもよい)上で実行することにより、実現することも可能である。 この場合、最適化制御システム(1−1)を実現する制御プログラム(最適化制御プログラム)は、最適化制御演算処理部(2−1)と、因子測定値取得部(3−1)と、因子調整部(4−1)と、情報入出力部(5−1)として、コンピュータを機能させるものである。 また、多変数モデル予測制御システム(1−2)を実現する制御プログラム(多変数モデル予測制御プログラム)は、多変数モデル予測制御演算処理部(2−2)と、因子測定値取得部(3−2)と、因子調整部(4−2)と、情報入出力部(5−2)として、コンピュータを機能させるものである。 また、PID制御システム(1−3)を実現する制御プログラム(PID制御プログラム)は、PID制御演算処理部(2−3)と、因子測定値取得部(3−3)と、因子調整部(4−3)と、情報入出力部(5−3)として、コンピュータを機能させるものである。 これらの最適化制御プログラム、多変数モデル予測制御プログラム、PID制御プログラムについても、本発明の制御プログラムに含まれるものとする。 本発明の制御プログラムは、コンピュータのハードディスクに記憶しておいてもよいが、例えばCD−ROM、DVD−ROM、MOディスク等のコンピュータ読取可能な各種の記憶媒体に記録しておき、必要に応じて随時、コンピュータシステムが有する記憶媒体読取装置を通じて、これを直接、又はハードディスクにインストールして使用するのが好ましい。 或いは、コンピュータシステムから情報通信ネットワークを通じてアクセス可能な外部記憶領域(他のコンピュータ等)に本発明の制御プログラムを記録しておき、必要に応じて随時、前記の外部記憶領域から情報通信ネットワークを通じてこれを直接、又はハードディスクにインストールして使用するのも好ましい。[IV.その他] 以上、本発明の制御方法について、図1に示すエチレン製造プラントの初留系(ガソリン精留系)(100)を制御対象とする場合を例として説明した。 しかし、本発明の制御方法の適用対象は、図1に示す初留系(100)に限られるものではなく、その趣旨を超えない限りにおいて、任意の蒸留系に適用することが可能である。 例えば、図1に示す初留系(100)には、上述のように、様々な変形が加えられる場合がある。しかし、このような変形が加えられた初留系であっても、図1に示す構成を基本構成として有する限り、本発明の制御方法を適用することが可能である。 また、エチレン製造プラントの初留系(ガソリン精留系)以外の蒸留系であっても、図1に示す構成を基本構成として有する蒸留系であれば、本発明の制御方法を適用することが可能である。 図1に示す基本構成を有する初留塔(100)を制御対象として、図5に示す構成の制御システムを用い、図3に示す態様に基づいて本発明の制御方法を実施し、各因子(制御因子)の変動を評価した。 なお、PID制御の繰返し周期は1秒間隔とし、多変数モデル予測制御制御の繰返し周期は3分間隔とし、最適化制御の繰返し周期は1時間間隔とした。 また、初留塔(100)における各因子の測定値は、基本的に初留塔(100)に設けられた各測定機器を介して取得したが、塔底管理組成(AI)についてはソフトセンサーを用いて予測した値を測定値として代用し、適宜実際に測定を行なってその予測制度を確認した。 図6(a)〜(d)は何れも、本発明の制御方法の未実施時及び実施時における各因子(制御因子)の変動を示すグラフであり、図6(a)は還流比(RI)の変動を、図6(b)は塔下段下降液量(FI)の変動を、図6(c)は塔頂温度(TI)の変動を、図6(d)は塔底管理組成(AI)の変動をそれぞれ示している。 なお、何れの図においても、グラフの横軸は時間を表わし、右側が時間の進行方向となる。また、グラフの縦軸は各因子の測定値を表わし、上側ほど測定値が大きくなる。 また、何れの図においても、長点線からなる直線は、制御に用いた管理値を表わす。 具体的に、図6(a)に示す還流比(RI)の制御時、及び、図6(d)に示す塔底管理組成(AI)の制御時には、管理値として一定の目標値を用いた。 また、図6(b)に示す塔下段下降液量(FI)の制御時にも、管理値として目標値を用いているが、グラフの前半と後半とで目標値を変更した。 また、図6(c)に示す塔頂温度(TI)の制御時には、管理値として上限値及び下限値を用いた。 また、何れの図においても、短点線からなるグラフ(図中「実施前の測定値」と記す。)は、本発明の制御方法の未実施時における測定値を表わす。 また、実線からなるグラフ(図中「実施後の測定値」と記す。)は、本発明の制御方法の実施時における測定値を表わす。 図6(a)〜(d)の結果から、本発明の制御方法の実施時には、制約である還流比(RI)が下限、塔下段下降液量(FI)が目標値一定、塔頂温度(TI)が上下限範囲内で運転されていることが確認できる。また、塔下段下降液量(FI)一定運転時は、塔底管理組成(AI)も安定し、上限制約を超えることが無くなったことが分かる。 図7は、本発明の制御方法の実施時における、塔下段下降液量(FI)及び塔底管理組成(AI)の変動を示すグラフである。 なお、本グラフにおいて横軸は時間を表わし、縦軸は各因子の測定値を表わしている。 また、塔下段下降液量(FI)については、ソフトセンサーによる予測値(測定値の代用値)と実測値とを併せて示している。 また、網掛けで示す期間(符号「S」で示す期間)は、プラントの停止期間である。 図7の結果から、塔下段下降液量(FI)を低下させると、下段の高沸油が濃縮し、及び塔底管理組成(AI)が上昇してくることが確認できる。また、PLSにより作成したソフトセンサーは、手分析値の推移を良好に予測していることが確認できる。 図8(a)、(b)は何れも、本発明の制御方法の実施時における、塔下段温度(TC1)と他の因子との関係を示すグラフであり、図8(a)は、塔下段温度(TC1)と下段回収熱量(Q)との関係を、図8(b)は、塔下段温度(TC1)と塔下段循環液量(FC1)との関係を示している。 なお、各グラフにおいて、横軸は塔下段温度(TC1)を表わし、縦軸は下段回収熱量(Q)又は塔下段循環液量(FC1)の測定値を表わしている。 また、各グラフにおいて、各塔下段温度(TC1)に対応する下段回収熱量(Q)又は塔下段循環液量(FC1)の測定値をドットとして示すとともに、そこから求めた近似直線を点線で示す。 一般に、下段回収熱量(Q)は塔下段温度(TC1)の設定に依存することから、適切な温度設定をすることが望まれる。 図8(a)、(b)の結果から、塔下段温度(TC1)を高くし過ぎると塔下段循環液量(FC1)が減少し、下段回収熱量(Q)が低下する一方で、塔下段温度(TC1)を低くし過ぎると下段熱交換器(13)での温度差が減少し、やはり下段回収熱量(Q)が低下することが分かる。 ここから、塔下段温度(TC1)に対する下段回収熱量(Q)の比率には極大値(図8(a)中の矢印Rで示される点)があり、塔下段温度(TC1)にとって最適な温度設定があることが確認できる。 本発明の蒸留系の制御方法は、各種の蒸留系の制御分野、特に、エチレン製造プラントにおける初留系(ガソリン精留系)等の制御分野において、好適に用いられる。本発明の制御方法が適用される蒸留系の一例である、エチレン製造プラントにおける初留系(ガソリン精留系)の構成を示す模式図である。本発明の制御方法の概要を説明するための概念図である。本発明の制御方法の具体的な態様の一例を説明するための概念図である。本発明の第1実施形態に係る制御システムの要部構成を示す機能ブロック図である。本発明の第2実施形態に係る制御システムの要部構成を示す機能ブロック図である。(a)〜(d)は何れも、実施例における、本発明の制御方法の未実施時及び実施時の各因子(制御因子)の変動を示すグラフであり、(a)は還流比(RI)を、(b)は塔下段下降液量(FI)を、(c)は塔頂温度(TI)を、(d)は塔底管理組成(AI)をそれぞれ示している。実施例における、本発明の制御方法の実施時の塔下段下降液量(FI)及び塔底管理組成(AI)の変動を示すグラフである。(a)、(b)は何れも、実施例における、本発明の制御方法の実施時の塔下段温度(TC1)と他の因子との関係を示すグラフであり、(a)は、塔下段温度(TC1)と下段回収熱量(Q)との関係を、(b)は、塔下段温度(TC1)と塔下段循環液量(FC1)との関係を示している。符号の説明1、1−0 制御システム1−1 PID制御システム1−2 多変数モデル予測制御システム1−3 最適化制御システム2 制御演算処理部2−0 制御演算処理部群2−1 PID制御演算処理部2−2 多変数モデル予測制御演算処理部2−3 最適化制御演算処理部3、3−1、3−2、3−3 因子測定値取得部3−0 因子測定値取得部群4、4−1、4−2、4−3 因子調整部4−0 因子調整部群5、5−1、5−2、5−3 情報入出力部5−0 情報入出力部群9 ネットワーク10 初留塔(ガソリン精留塔)11 チムニートレイ12 クエンチフィッティング13 下段熱交換器14 中段熱交換器15 後流の蒸留塔16 油水分離器17 上段熱交換器18 燃料油ストリッパー100 初留系(ガソリン精留系) 重質石油留分及び軽質石油留分を含有する分解ガスから重質石油留分及び軽質石油留分を除去する蒸留系であって、 塔上段、塔中段及び塔下段に分かれ、該塔中段と該塔下段とがチムニートレイにより区切られた蒸留塔を備えるとともに、 該蒸留塔の該塔下段に分解ガスがフィードされ、 該蒸留塔の該塔下段から塔底成分が抜き出され、塔底成分の一部は重質石油留分として排出されるとともに、塔底成分の残りは下段熱交換器で除熱され、分解ガスと混合されて該蒸留塔の該塔下段に再フィードされ、 該蒸留塔の該塔中段から中段成分が抜き出され、中段成分の一部が中段熱交換器で除熱され、該蒸留塔の中段成分の抜き出し位置よりも上の位置に再フィードされるとともに、中段成分の残りは該蒸留塔の該塔下段に再フィードされ、 該蒸留塔の該塔上段から塔頂成分が抜き出され、後流の蒸留塔によって液体成分と気体成分とに分離され、気体成分が回収されるように構成された蒸留系について、その運転を制御する方法であって、 該蒸留塔の該塔下段に再フィードされる中段成分の量を、所定の管理値に基づいて調整することにより、該蒸留塔の塔頂温度及び塔底成分の組成を制御する工程を有することを特徴とする、蒸留系の制御方法。 該蒸留塔の該塔中段に再フィードされる中段成分の量を調整することにより、該蒸留塔の該塔下段に再フィードされる中段成分の量を制御する工程を有することを特徴とする、請求項1記載の蒸留系の制御方法。 該蒸留塔の該塔中段に再フィードされる中段成分の温度を調整することにより、該蒸留塔の該塔下段に再フィードされる中段成分の量を制御する工程を有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の蒸留系の制御方法。 該蒸留塔の該塔下段から抜き出された塔底成分の一部が下段熱交換器によって除熱され、該蒸留塔の該塔下段に再フィードされるように、該蒸留系が構成されるとともに、 該下段熱交換器によって回収される熱量を制約条件として該蒸留塔の該塔下段に再フィードされる塔底成分の温度を調整することにより、該蒸留塔の該塔中段に再フィードされる中段成分の温度、及び/又は、該蒸留塔の該塔中段に再フィードされる中段成分の量を制御する工程を有することを特徴とする、請求項2又は3記載の蒸留系の制御方法。 該後流の蒸留塔によって分離された液体成分が油水分離器によって油水分離され、分離された油成分が該蒸留塔の該塔上段に還流されるように該蒸留系が構成されるとともに、 該蒸留塔の該塔上段に還流される油分の量を調整することにより、該蒸留塔の該塔下段に再フィードされる中段成分の量を制御する工程を有することを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の蒸留系の制御方法。 該後流の蒸留塔によって回収される気体成分の量と、該蒸留塔の該塔上段に還流される油成分の量との比である還流比を制約条件として、該蒸留塔の該塔上段に還流される油成分の量を調整することを特徴とする、請求項5記載の蒸留系の制御方法。 該蒸留塔の該塔下段にフィードされる分解ガスの組成、該蒸留塔の塔頂温度及び塔底成分の組成を制約条件として、該蒸留塔の該塔下段に再フィードされる中段成分の量を調整することを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載の蒸留系の制御方法。 該蒸留塔の該塔上段及び/又は該塔中段から液体成分が抜き出され、燃料油ストリッパーによって液体成分と気体成分とに分離され、気体成分は該蒸留塔の該塔上段及び/又は該塔中段に再フィードされ、液体成分は軽質石油留分として、前記重質石油留分と混合され、重軽質石油留分として排出されるように、該蒸留系が構成されるとともに、 前記軽質石油留分の量と前記重質石油留分の量との比を調整することにより、排出される重軽質石油留分の粘度を制御する工程を有することを特徴とする、請求項1〜7の何れか一項に記載の蒸留系の制御方法。 多変数制御を用いることを特徴とする、請求項1〜8の何れか一項に記載の蒸留系の制御方法。 重質石油留分及び軽質石油留分を含有する分解ガスから重質石油留分及び軽質石油留分を除去する蒸留系であって、 塔上段、塔中段及び塔下段に分かれ、該塔中段と該塔下段とがチムニートレイにより区切られた蒸留塔を備えるとともに、 該蒸留塔の該塔下段に分解ガスがフィードされ、 該蒸留塔の該塔下段から塔底成分が抜き出され、塔底成分の一部は重質石油留分として排出されるとともに、塔底成分の残りは下段熱交換器で除熱され、分解ガスと混合されて該蒸留塔の該塔下段に再フィードされ、 該蒸留塔の該塔中段から中段成分が抜き出され、中段成分の一部が中段熱交換器で除熱され、該蒸留塔の中段成分の抜き出し位置よりも上の位置に再フィードされるとともに、中段成分の残りは該蒸留塔の該塔下段に再フィードされ、 該蒸留塔の該塔上段から塔頂成分が抜き出され、後流の蒸留塔によって液体成分と気体成分とに分離され、気体成分が回収されるように構成された蒸留系について、その運転を制御するシステムであって、 該蒸留塔の該塔下段に再フィードされる中段成分の量を、所定の管理値に基づいて調整することにより、該蒸留塔の塔頂温度及び塔底成分の組成を制御する手段を有することを特徴とする、蒸留系の制御システム。 請求項1〜9の何れか一項に記載の蒸留系の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、 請求項1〜9の何れか一項に記載の蒸留系の制御方法が有する各工程を実施する手段として、該コンピュータを機能させることを特徴とする、蒸留系の制御プログラム。 【課題】分解ガスから重質石油留分及び軽質石油留分を除去する蒸留系(100)において、制約条件を守りながら効率的な運転を行なう。【解決手段】塔中段と塔下段がチムニートレイ(11)で区切られた蒸留塔(10)の塔下段に分解ガスをフィードし、塔下段から塔底成分を抜き出し、一部を重質石油留分として排出し、残りを分解ガスと混合して塔下段に再フィードし、塔中段から中段成分を抜き出し、中段成分の一部を中段熱交換器(14)で除熱して中段成分の抜き出し位置よりも上に再フィードするとともに、中段成分の残りを塔下段に再フィードし、塔上段から塔頂成分を抜き出し、気液分離器(16)で液体成分と気体成分とに分離し、気体成分を回収するように構成した蒸留系(100)について、蒸留塔(10)の塔下段に再フィードされる中段成分の量を所定の管理値に基づいて調整することにより、蒸留塔(10)の塔頂温度及び塔底成分の組成を制御する。【選択図】図1


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