生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_殺菌性/透過性増強タンパク質(BPI)タンパク質産物を含む、改良された治療用組成物
出願番号:2006222809
年次:2006
IPC分類:A61K 38/00,A61K 47/34,A61P 31/04,A61P 31/10,C07K 14/47


特許情報キャッシュ

ルイス エイチ. ランバート ジュニア JP 2006321816 公開特許公報(A) 20061130 2006222809 20060817 殺菌性/透過性増強タンパク質(BPI)タンパク質産物を含む、改良された治療用組成物 ゾーマ・コーポレイション 594075802 XOMA CORPORATION 山本 秀策 100078282 ルイス エイチ. ランバート ジュニア US 08/372,104 19950113 US 08/530,599 19950919 A61K 38/00 20060101AFI20061102BHJP A61K 47/34 20060101ALI20061102BHJP A61P 31/04 20060101ALI20061102BHJP A61P 31/10 20060101ALI20061102BHJP C07K 14/47 20060101ALN20061102BHJP JPA61K37/02A61K47/34A61P31/04A61P31/10C07K14/47 1 1996521883 19960116 OL 60 4C076 4C084 4H045 4C076AA12 4C076BB11 4C076BB13 4C076CC31 4C076DD23D 4C076DD43Z 4C076DD51 4C076EE23 4C076EE23F 4C076FF11 4C076FF14 4C076FF16 4C076FF70 4C076GG41 4C076GG46 4C084AA01 4C084AA02 4C084BA01 4C084BA08 4C084BA22 4C084BA23 4C084CA18 4C084CA26 4C084CA36 4C084DC50 4C084MA01 4C084MA05 4C084MA17 4C084MA66 4C084NA05 4C084NA14 4C084ZB35 4H045AA30 4H045BA09 4H045CA40 4H045EA29 4H045FA74 殺菌性/透過性増強タンパク質(BPI)タンパク質産物を含む、改良された治療用組成物 本出願は、1995年1月13日に出願せる米国出願第08/372,104号の一部継続出願である、1995年9月19日に出願せる米国出願第08/530,599号の一部継続出願であり、双方とも引用することによりその内容を本明細書に組み入れる。 発明の背景 本発明は、概して、殺菌性/透過性増強タンパク質(BPI)タンパク質産物の活性を増強するためのポロキサマー(ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体)界面活性剤を利用した、改良された治療用組成物及び処置方法に関する。 BPIは、侵入してくる微生物に対する防御において必須の血液細胞である、哺乳動物の多形核白血球(PMNまたは好中球)の顆粒から単離されたタンパク質である。ヒトBPIタンパク質は、イオン交換クロマトグラフィー[Elsbach、J.Biol.Chem.、254巻、11000頁(1979)]または大腸菌アフィニティークロマトグラフィー[Weissら、Blood、69巻、652頁(1987)]のいずれかと、酸抽出とを併用して、PMNから単離されている。このようにして得られたBPIは、本明細書中で天然BPIとして言及され、広範囲にわたるグラム陰性細菌に対して強力な殺菌活性を有することが示されている。ヒトBPIの分子量はおよそ55,000ダルトン(55kD)である。ヒトBPIタンパク質全体のアミノ酸配列、及び当該タンパク質をコードするDNAの核酸配列は、Glayら、J.Biol.Chem.、264巻、9505頁(1989)の図1に報告されており、かかる文献を引用することにより、本明細書に組み入れることとする。Grayらのアミノ酸配列は、本明細書中、配列番号:1で示される。米国特許第5,198,541号には、BPIホロタンパク質及びBPIの断片を包含するBPIタンパク質をコードする組換え遺伝子及びそれらの発現のための方法を開示している。 BPIは、強い陽イオン性を有するタンパク質である。BPIのN末端半分は、高い実効電荷の原因となり、一方、分子のC末端半分は、−3の実効電荷を有する。[Elsbach及びWeiss(1981)、前出]。約25 kDの分子量を有する、BPIのタンパク質分解によるN末端断片は、疎水性領域と親水性領域とを交互に含み、両親媒性の特徴を有する。ヒトBPIのこのN末端断片は、天然に由来する55 kDのヒトBPIホロタンパク質の抗細菌的効力を保有している。[Ooiら、J.Biol.Chem.、262巻、14891〜14894頁(1987)]。N末端部分とは対照的に、単離されたヒトBPIタンパク質のC末端領域は、グラム陰性生物に対してほんのわずかに検出可能な抗細菌活性を呈するに過ぎない。[Ooiら、J.Exp.Med.、174巻、649頁(1991)]。「rBPI23」と称される、およそ23 kDのN末端BPI断片が、組換え法によって製造されており、これもまたグラム陰性生物に対して抗細菌活性を保持するものである。Gazzano−Santoroら、Infect.ImEun.、60巻、4754〜4761頁(1992)。 BPIの殺菌効果は、例えばElsbach及びWeiss、Inflammation:Basic Principles and Clinical Correlates、Gallinら編、30章、Raven Press,Ltd.(1992)におけるごとく、グラム陰性の種に特異性が高いとの報告がなされている。BPIは、酵母を包含する他の微生物や、さらに高等な真核細胞に対して、通常非毒性であると考えられている。Elsbach及びWeiss、(1992)、前出は、10−8から10−9M程度の低濃度で、BPIが広範囲のグラム陰性細菌に対して抗細菌活性を呈するものの、それより100から1,000倍高い濃度のBPIが、同時に調べたグラム陽性細菌種、酵母、及びさらに高等な真核細胞のすべてに対して、非毒性であったことを報告している。グラム陽性生物である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus、4つの株)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・ファエカリス(Streptococcus faecalis)、バシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)、ミクロコッカス・リソデイクチカス(Mjcrococcus lysodeikticus)、及びリステリア・モノサイトゲンス(Listeria monocytogenes)に対して、pH7.0または5.5のいずれかで調べた場合、10−6Mまたは160μg/mlの濃度で、BPIは毒性効果を有しないことが報告された。報告によれば、pH7.0または5.5において、BPIは10−6Mにて真菌であるカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)及びカンジダ・パラシロシス(Candida parasilosis)に対する毒性効果を有さず、ヒト、ウサギ及びヒツジ赤血球細胞ならびに種々のヒト腫瘍細胞系に対して非毒性であった。やはりElsbach及びWeissの、Advances in Inflammation Research、G.Weissmann編、2巻、95〜113頁、Raven Press(1981)を参照されたい。このように報告された標的細胞の特異性は、リポ多糖(LPS)に対するBPIの強い誘引力の結果であると考えられていた。LPSは、グラム陰性生物の外膜(あるいはエンベロープ)に独特のものである。 BPIのグラム陰性細菌殺傷における正確な機構はいまだ完全には解明されていないが、まず、陽イオン性BPIタンパク質とLPS上の陰性に荷電した部位との間の静電気的相互作用及び疎水性相互作用を通して、細菌の表面にBPIが結合しなければならないと考えられている。LPSは、それが刺激する強い炎症応答(すなわち、回復不能の内毒性ショックを最終的には惹起こしうる宿主炎症細胞によるメディエータの放出)のゆえに、「内毒素」と称されている。BPIはリピドAに結合するのであるが、これはLPSの最も毒性が強く、且つ最も生物学的活性を有する成分であると報告されている。 感受性のグラム陰性細菌において、BPIの結合はLPS構造を崩壊させ、リン脂質及びペプチドグリカンを分解する細菌酵素の活性化を惹起こし、細胞外膜の透過性を変化せしめ、最終的には細胞死へと導く事象を開始させると考えられる。[Elsbach及びWeiss(1992)、前出]。BPIは2段階にて作用すると考えられる。第一は、即時的生育停止、外膜の透過性亢進(permeabilization)ならびにリン脂質及びペプチドグリカンを加水分解する細菌酵素の選択的な活性化によって特徴付けられる亜致死的段階である。この段階での細菌は、血清アルブミンを追加した培地中で生育させることにより救助できる[Mannionら、J.Clin.Invest.、85巻、853〜860頁(1990)]。第二段階は、血清アルブミンで回復しえない生長阻害により規定されるものであるが、細菌をさらに長い間BPIに曝した後に起こるものであり、細胞質内膜への明白な損傷を含む、広範囲の生理学的及び構造的変化により特徴付けられる。 BPIがLPSにまず結合して、正常時においてMg++及びCa++の結合を通して外膜を安定化させる、LPSのKDO領域中の陰イオン性基への結合におそらくは起因した、組織的な変化が惹起こされる。グラム陰性細菌の外膜へのBPIの付着により、アクチノマシンDなどの疎水性剤への外膜の迅速な透過性亢進がなされる。BPIの結合及びそれに続くグラム陰性細菌殺傷は、少なくとも部分的にLPS多糖の鎖長に依存するものであり、長いO−鎖を持っている「スムーズ」生物は、短いO−鎖を持っている「ラフ」生物よりもBPIの殺菌効果に対して耐性である[Weissら、J.Clin.Invest.、65巻、619〜628頁(1980)]。このBPIの作用の第一段階であるグラム陰性外側エンベロープの透過性亢進は、BPIの解離に際しては可逆性であり、これは、二価陽イオンの存在及び新規LPSの合成を必要とするプロセスである[Weissら、J.Immunol.、132巻、3109〜3115頁(1984)]。しかしながら、グラム陰性細菌の生育力喪失は、エンベロープの完全性を修復するプロセスによっては回復せず、従って殺菌作用は標的生物に誘導される付加的な障害により媒介されるのであり、それは細胞質膜に位置するかもしれないことが示唆される(Mannionら、J.Clin.Invest.、86巻、631〜641貞(1990))。この可能性を特に精査して、モルベースで、BPIは少なくともポリミキシンBと同等に細胞質膜小胞機能を阻害することが示されている(In’tVeldら、Infection and Immunity、56巻、1203〜1208貞(1988))ものの、正確な機構ならびに、このような小胞と無傷の生物の研究との関連は、いまだ解明されていない。 BPIは、その結合対象であるLPSの内毒素特性を中和することもできる。グラム陰性生物に対する殺菌特性及びLPSを中和する能力のゆえに、BPIは、菌血症または敗血症などの、グラム陰性細菌によって惹き起こされる疾患に罹患した哺乳類の処置のために利用することができる。 ポロキサマー(ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体)界面活性剤は、疎水性のポリオキシプロピレン(POP)の単一ブロックに隣接する親水性のポリオキシエチレン(POE)の2つのブロックまたは鎖で構成される構造を有している、非イオン性のブロック共重合体である。 本発明にとって興味深いのは、BPIタンパク質産物と、ポロキサマー界面活性剤単独、またはポリソルベート界面活性剤と組み合わせたいずれかとを含有する医薬組成物の、可溶化または安定性の改良を記載した、共有で係属中の、許可された米国特許出願第08/190,869号(PCT 出願公開 No.WO 94/17819)であり、これは参照することによって本明細書に組み入れることとする。 また、さらに本発明にとって興味深いのは、ウイルス、マイコバクテリウム及びコクシジオイデス感染症の処置において、「旧来の」抗生物質と共に、及び抗生物質なしでポロキサマー界面活性剤を使用することを記している、PCT 出願公開 No.WO88/06038 及び米国特許第5,183,687号である。 当該技術分野において、BPIタンパク質産物などの殺菌剤の治療上の有効性を改良することができる方法及び組成物への要望がある。かかる方法及び組成物は、所望の治療効果を成し遂げるために必要とされる薬剤の投与量を理想的に低減することができよう。 本発明によって以下が提供される:(1)BPIタンパク質産物及び安定化ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体(ポロキサマー)界面活性剤を含む治療用組成物において、殺菌活性増強ポロキサマー界面活性剤を含む、改良された治療用組成物。(2)さらにEDTAを含む項目1に記載の治療用組成物。(3)前記殺菌活性増強ポロキサマー界面活性剤が、ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335、及びポロキサマー403よりなる群から選択される、項目1に記載の改良された組成物。(4)EDTAをさらに含む請求項3記載の治療用組成物。(5)BPIタンパク質産物及び安定化ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体(ポロキサマー)界面活性剤の組成物を投与することを含む細菌感染を処置するための方法において、BPIタンパク質産物及び殺菌活性増強ポロキサマー界面活性剤を含有する治療用組成物を投与することを含む改良された方法。(6)前記治療用組成物がさらにEDTAを含む項目5に記載の改良された方法。(7)殺菌活性を増強するポロキサマー界面活性剤が、ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335、及びポロキサマー403よりなる群から選択される、項目5に記載の改良された方法。(8)抗生物質を投与することをさらに含む項目5に記載の改良された方法。(9)BPIタンパク質産物ならびに細菌及び真菌の生育阻害増強ポロキサマー界面活性剤を含む、細菌及び真菌の生育を阻害するための組成物。(10)さらにEDTAを含む項目9に記載の組成物。(11)前記細菌及び真菌の生育阻害増強ポロキサマー界面活性剤が、ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335、及びポロキサマー403よりなる群から選択される、項目9に記載の組成物。(12)BPIタンパク質産物ならびに細菌及び真菌を含有する生育阻害を増強するポロキサマー界面活性剤の組成物を用いて、細菌または真菌を処置することを含む、細菌及び真菌の生育を阻害するための方法。(13)前記組成物がさらにEDTAを含む項目12に記載の方法。(14)前記細菌及び真菌の生育阻害を増強するポロキサマー界面活性剤が、ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335、及びポロキサマー403よりなる群から選択される、項目12に記載の方法。 発明の要約 本発明は、改良された抗微生物性組成物及び処置方法を提供する。本発明の一つの特徴によれば、BPIタンパク質産物と、BPIタンパク質産物の抗細菌活性を増強するポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体(ポロキサマー)界面活性剤を含む、改良された治療用組成物が提供される。現在のところ好ましい殺菌活性増強ポロキサマー界面活性剤には、ポロキサマー333(PLURONIC 103、BASF、Parsippany、ニュージャージー州)、ポロキサマー334(PLURONIC 104、BASF)、ポロキサマー335(PLURONIC 105、BASF)、またはポロキサマー403(PLURONIC P123、BASF)が包含される。本発明で使用されるポロキサマーは、組成物に配合する前に随意に熱処理してもよい。特に好ましいのは、ポロキサマー333またはポロキサマー403を含む組成物である。本発明のこの特徴は、BPIタンパク質産物と前掲のポロキサマー界面活性剤の一つとの組合せによって、in vitro 及び in vivoの双方で、BPIタンパク質産物の殺菌活性が予測できないほど増強されることを知見したことに基づいている。本発明の改良された治療用組成物は、さらにエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含んでもよい。本発明のこの特徴は、BPIタンパク質産物と殺菌活性増強ポロキサマー界面活性剤(ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335またはポロキサマー403など)とを含有する治療用組成物にEDTAを添加すると、BPIタンパク質産物の殺菌活性のさらなる増強が導かれるという発見に基づいている。 細菌感染を処置するための、前記に対応する改良された方法も提供され、その改良された方法には、感染が疑われるかまたは確認された患者に対して、BPIタンパク質産物及び殺菌活性増強ポロキサマー、そして随意にEDTAを含む治療用組成物を投与することが含まれている。本発明はさらに、細菌感染の処置のための医薬製造のために、BPIタンパク質産物と、随意にEDTAと共に、殺菌活性増強ポロキサマー界面活性剤(ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335またはポロキサマー403など)を使用することも企図するものである。 本発明は、BPIタンパク質産物ならびに細菌及び真菌の生育阻害を増強するポロキサマー界面活性剤、そして随意にEDTAを含む、細菌及び真菌の生育を阻害するための改良された組成物を、さらに提供するものである。本発明のこの特徴は、BPIタンパク質産物と細菌及び真菌の生育阻害を増強するポロキサマー界面活性剤との組合せで、予測できないほどにBPIタンパク質産物の生育阻害活性が増強されるという発見に基づいている。細菌または真菌を殺傷またはそれらの生育を阻害する、前記に対応する方法が提供される。その方法には、BPIタンパク質産物と、細菌及び真菌の生育阻害を増強するポロキサマー界面活性剤、そして随意にEDTAを含む組成物を、生物に接触させることが含まれている。現在のところ好ましい細菌及び真菌の生育阻害を増強するポロキサマー界面活性剤には、ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335、及びポロキサマー403が包含される。 前記の細菌感染を処置するための改良された方法に関しては、細菌感染を処置するために抗生物質の治療的有効性を改良する方法も提供される。この方法によれば、BPI活性増強ポロキサマー界面活性剤(ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335またはポロキサマー403など)及び随意に用いられるEDTAで製剤化されたBPIタンパク質産物を含む組成物と、抗生物質が同時に投与される。本発明のこの特徴は、BPIタンパク質産物を添加した場合に認められる、抗生物質の治療的有効性の改良が、様々なポロキサマー製剤によってさらに増強できるという発見、ならびに、BPIタンパク質産物/ポロキサマー製剤にEDTAを追加するとより一層抗生物質の治療的有効性が増強されるという発見に基づいている。本発明のこの特徴は、抗生物質を用いた細菌感染の共同処置用の、BPIタンパク質産物を含有する医薬の製造のための、随意にEDTAを併用するポロキサマー界面活性剤(ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335またはポロキサマー403など)の使用をも提供する。 以下の知見は、本発明のこの特徴を例証するものである。シュードモナス種については、ポロキサマー333、ポロキサマー335、またはポロキサマー403を含有するBPIタンパク質産物製剤によって、セフチゾキシムの改良された治療的有効性が増強され;ポロキサマー333、ポロキサマー335、またはポロキサマー403を含有するBPIタンパク質産物製剤によって、セフトリアキソンに対する増強がなされ;そして、ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335、またはポロキサマー403を含有するBPIタンパク質産物製剤によって、クロラムフェニコールに対する増強がなされた。アシネトバクター(Acinetobacter)種については、ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335、またはポロキサマー403を含有するBPIタンパク質産物製剤によって、セフタチジム(ceftazidime)に対する増強がなされ;ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335、またはポロキサマー403を含有するBPIタンパク質産物製剤によって、セフトリアキソンに対する増強がなされ;そしてポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335、またはポロキサマー403を含有するBPIタンパク質産物製剤によって、クロラムフェニコールに対する増強がなされた。 ストレプトコッカス種については、ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335、またはポロキサマー403を含有するBPIタンパク質産物製剤によって、オキサシリンに対する増強がなされた。エンテロコッカス種については、ポロキサマー335またはポロキサマー403を含有するBPIタンパク質産物製剤によって、リファンピシンに対する増強がなされ;そしてポロキサマー333を含有するBPIタンパク質産物製剤によって、シプロフロキサシン(ciprofloxacin)に対する増強がなされた。 シュードモナス種については、ポロキサマー403を含有するBPIタンパク質産物製剤によって、様々な抗生物質の治療的有効性の増強がなされ、そしてBPI/ポロキサマー403製剤に増加濃度のEDTAを添加することによって、より一層の増強がなされた。 本発明の現在のところ好ましい実施態様を記載した、以下の発明の詳細な説明をもとに考慮すれば、当業者には、本発明の多くの付加的な特徴及び利点が明らかになるであろう。 詳細な説明 本発明は、改良された抗微生物性組成物及び処置方法を提供する。改良された方法及び組成物は、細菌感染及びそれに関連するかそれに起因する感染症及び状態(敗血症及び菌血症など)を処置するために有用であるのみならず、例えば、腹部もしくは尿生殖器手術を行う予定の患者、または外傷の罹患者などの、細菌感染の危険性が高い状態にある患者の予防のためにも有用である。 特に、本発明は、BPIタンパク質産物及び安定化ポロキサマー界面活性剤を含む治療用組成物の改良において、ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335、またはポロキサマー403などの殺菌活性増強ポロキサマー界面活性剤を含むという点が改良されている。本発明は、BPIタンパク質産物と、前掲のポロキサマー界面活性剤の一つとの組合せによって、in vitro 及び in vivoの双方において予測できないほどにBPIタンパク質産物の殺菌活性が増強されるという知見に基づいている。本発明の改良された治療用組成物は、さらにEDTAを含んでもよい。本発明のこの特徴は、BPIタンパク質産物及び、ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335、またはポロキサマー403などの殺菌活性増強ポロキサマー界面活性剤を含有する、ある治療用組成物にEDTAを添加すると、BPIタンパク質産物の殺菌活性のさらなる増強がなされるという発見に基づくものである。かかる組成物は、医薬的に容認しうる希釈剤、佐剤または担体を随意に含んでもよい。本発明には、天然BPIタンパク質、組換えBPIタンパク質、BPI断片、BPI類似体、BPI変異体、及びBPIペプチドを包含する、当該技術分野において既知の、多岐にわたるBPIタンパク質産物のいかようなものであっても利用される。 細菌感染を処置するための、対応する改良された方法も提供され、その改良された方法には、感染が疑われるかまたは確認された患者に対して、BPIタンパク質産物及び殺菌活性増強ポロキサマー、そして随意にEDTAを含む治療用組成物を投与することが含まれている。本発明はさらに、細菌感染の処置用の医薬の製造のために、BPIタンパク質産物と、随意にEDTAと共に、殺菌活性増強ポロキサマー界面活性剤(ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335またはポロキサマー403など)を使用することも企図するものである。EDTAを含むかまたは含まない、BPIタンパク質産物及びポロキサマー界面活性剤の治療用組成物は、細菌感染の疑いがあるか、または感染が確認された披験者に対して、全身または局所投与することができる。 ポロキサマー333は、BASF(Parsippany、NJ)により、PLURONIC P103の商品名で販売されており、4950の分子量、そして7〜12の親水性/親油性バランス(HLB)価を有している。ポロキサマー334は、BASFにより、PLURONIC P104の商品名で販売されており、5900の分子量、そして12〜18のHLB価を有している。ポロキサマー335は、BASFにより、PLURONIC P105の商品名で販売されており、6500の分子量、そして12〜18のHLB価を有している。ポロキサマー403は、BASFにより、PLURONIC P123の商品名で販売されており、5750の分子量、そして7〜12のHLB価を有している。現在のところ好ましい殺菌活性増強ポロキサマー界面活性剤には、ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335またはポロキサマー403が包含される。特に好ましいのは、ポロキサマー333またはポロキサマー403を包含する組成物である。 本発明において使用されるポロキサマーは、組成物に配合するに先駆けて、随意に熱処理を行ってもよい。好ましい熱処理の方法は以下の通りである:(1)脱イオン水にてポロキサマーの溶液をつくり、(2)沸騰するまでその溶液を加熱し、(3)熱源から溶液を離し、(4)室温にまで冷却させ、(5)ポロキサマーが完全に可溶化するまで攪拌する。あるいは、加熱工程(2)において、溶液を30分以上まで煮沸してもよい。 本発明は、BPIタンパク質産物ならびに細菌及び真菌の生育阻害を増強するポロキサマー界面活性剤、そして随意にEDTAを含む、細菌及び真菌の生育を阻害するための改良された組成物を、さらに提供するものである。本発明のこの特徴は、細菌及び真菌の生育阻害を増強するポロキサマー界面活性剤が、予測できないほどにBPIタンパク質産物の生育阻害活性を増強するという発見、そして、かかるポロキサマー界面活性剤及びBPIタンパク質産物を含む改良された組成物が、優れた生育阻害、保存効果を呈するという発見に基づいている。細菌または真菌を殺傷またはそれらの生育を阻害する、前記組成物に対応する方法が提供される。その方法には、BPIタンパク質産物と、細菌及び真菌の生育阻害を増強するポロキサマー界面活性剤、そして随意にEDTAを含む組成物を、生物に接触させることが含まれている。現在のところ好ましい細菌及び真菌の生育阻害を増強するポロキサマー界面活性剤には、ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335、及びポロキサマー403が包含される。 これらの方法は、保存薬としての使用、流体及び表面の汚染除去のための使用、または手術用及び他の医療機器ならびに人工関節を包含する移植可能な器具等を滅菌するための使用など、in vivoまたは様々なin vitroでの使用において実施することができる。これらの方法は、しばしば感染の病巣である、静脈内ライン及びカテーテルなどの内在させる侵入器具のin situ滅菌のため、ならびに細胞用生育培地の調製においても用いることができる。細菌及び真菌の生育を阻害するための改良された組成物の有効性は、後記の実施例8におけるアッセイ、または共有で係属中の特許出願(Cohenら)である、1993年9月22日に出願された米国特許出願第08/125,651号、そしてその一部継続出願である、1994年7月11日に出願された米国特許出願第08/273,401号、そしてその一部継続出願である、1994年9月22日に出願された来国特許出願第08/311,611号、そして対応のPCT 出願 第PCT/US94/11225、そして共有で係属中の特許出願(Littleら)である、1994年1月14日に出願された米国特許出願第08/183,222号、そしてその一部継続出願である、1994年3月11日に出願された米国特許出願第08/209,762号、そしてその一部継続出願である(Horwitzら)1994年7月11日に出願された米国特許出願第08/274,299号、そしてその一部継続出願である、1995年1月13日に出願された米国特許出願第08/372,783号、そして対応の PCT 出願 第PCT/US95/00656、そして共有で係属中の特許出願(Littleら)である、1994年1月14日に出願された米国特許出願第08/183,222号、そしてその一部継続出願である、1994年3月11日に出願された米国特許出願第08/209,762号、そしてその一部継続出願である、1994年7月11日に出願された米国特許出願第08/273,540号、そしてその一部継続出願である、1995年1月13日に出願された米国特許出願第08/372,105号、そして対応の PCT 出願 No.PCT/US95/00498(これらはすべて、引用することによりその内容を本明細書の一部とする)に記載される種々のアッセイによっても評価することができる。 BPIタンパク質産物は、補体、p15及びLBP、ならびに他の細胞及び免疫系の成分を包含する、全血または血清中に存在する様々な宿主防御要素と相互作用すると考えられる。かかる相互作用に起因して、BPIタンパク質産物の活性が強化されるのかもしれない。これらの相互作用のゆえに、BPIタンパク質産物はin vitroよりもin vivoで一層強い活性を発揮することが予測できる。しかして、in vitro の試験はin vivoでの有用性を予見させるものであるが、in vitroで活性がないことが必ずしもin vivoで活性がないことを示唆するとは限らない。例えば、BPIは、旧来の培地を用いたアッセイにおけるよりも、全血または血漿アッセイで、グラム陰性細菌に対してより大きな殺菌効果を呈することが観察されている。[Weissら、J.Clin.Invest.90巻、1122〜1130頁(1992)]。このことは、in vivoでの動物実験にも示される(例えば、共有で係属中の、1994年9月22日に出願された米国出願(Cohenら)である、米国特許出願第08/311,611号、そして対応の PCT 出願 No.PCT/US94/11225(これらはすべて、引用することにより本明細書の一部とする)を参照されたい)。これは、旧来のin vitro系が、in vivoにおけるBPIの機能を助長するかもしくは強化する血液成分を欠くためか、または、旧来の培地がBPIタンパク質産物の抗細菌活性の典型的に阻害剤たるマグネシウム及びカルシウムを生理学的濃度よりも多量に含有しているからかもしれない。さらに、宿主において、BPIタンパク質産物は、ストレスで誘導されるグラム陰性細菌の転位から、あるいはグラム陰性細菌の抗生物質を用いた処置から、等を包含する宿主感染の際に放出される内毒素を中和するために使用可能であり、in vitro試験において認められない、またはこれによって予測されない、さらなる臨床上の利益を提供する。 BPIタンパク質産物が、BPIタンパク質産物の活性を強化する他の産物と共に投与されることも企図される。例えば、血清補体は、BPIタンパク質産物の殺グラム陰性細菌活性を強化し、BPIタンパク質産物と血清補体との組合せによって、相乗的な殺細菌/生育阻害効果が提供される。例えば、BPI抗細菌活性を強化する、天然に存在する15 kDタンパク質について述べられている、Ooiら、J.Biol.Chem.、265巻、15956頁(1990)、及びLevyら、J.Biol.Chem.、268巻、6038〜6083頁(1993)を参照されたい。また、1993年7月14日に出願された米国特許出願第08/093,201号の一部継続出願として1994年7月11日に出願された米国特許出願第08/274,303号に対応する、共有で係属中である、1994年7月13日に出願されたPCT出願No.US94/07834も参照されたい。これらの出願は、参照することによって本明細書に含まれるものとするが、リポ多糖結合タンパク質(LBP)及びLBPタンパク質産物を投与することによって、BPIタンパク質産物の殺グラム陰性細菌活性を強化するための方法が記載されている。CD−14免疫刺激特性を欠くLBPタンパク質誘導体及び誘導体ハイブリッドが、1993年6月17日に出願された米国特許出願第08/079,510号の一部継続出願として1994年6月17日に出願された、共有で係属中である米国特許出願第08/261,660号に対応する、1994年6月17日に出願されたPCT出願 No.US94/06931に記載されており、これらの出願は、すべて引用することによってその開示が本明細書に含まれるものである。 本発明によって提供される利点は、BPIタンパク質産物の、より有効な細菌及び真菌の殺傷または生育阻害、ならびに増強された抗細菌または抗真菌活性を提供できることにある。 BPIタンパク質産物及びBPIの抗微生物活性を増強するポロキサマー界面活性剤を含み、そして随意にEDTAを含有する治療用組成物は、全身に、あるいは局所に投与することができる。全身投与の経路には、経口、静脈内、筋肉もしくは皮下注射(長時間放出用のデポ剤に含有せしめられる)、眼内または眼球後部、鞘内、腹膜組織内(例えば腹腔組織内灌流による)、エアロゾル化もしくは霧状にした薬物を用いた経肺、または経皮経路が包含される。例えば、非経口的に与えられる場合、BPIタンパク質産物組成物は、通例、1日当たり1μg/kgから100 mg/kgの範囲の投与量で、そして好ましくは、1日当たり0.1 mg/kgから20 mg/kgの投与量で注射される。処置する医師の裁量によって、例えば1日から3日間、またはさらに長期間、1日当たりの投与量を同じか、または増減して、処置を継続してもよい。局所経路には、軟膏、眼用滴剤、耳用滴剤、潅注液(例えば傷の潅注用)または薬用シャンプーの剤形での投与が包含される。例えば、滴剤の剤形で局所投与するためには、約10から200 μLのBPIタンパク質産物組成物が処置に当たる医師の裁量に基づき、1日当たり1回以上適用すればよい。当業者であれば、良好な医薬実務及び個々の患者の臨床状態によって決定される通り、BPIタンパク質産物及びBPIの殺菌活性を増強するポロキサマー界面活性剤を含み、そして適宜にEDTAを含有する治療用組成物のための、有効投与量及び投与に際した規制をたやすく至適化することができる。 前記の細菌感染を処置するための改良された方法に関して、細菌感染の処置用の抗生物質の治療的有効性を改良する方法もまた提供される。この方法によれば、BPI活性増強ポロキサマー界面活性剤(ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335、またはポロキサマー403など)を用いて、そして随意にEDTAを配合した、製剤化されたBPIタンパク質産物を含む組成物と共に、抗生物質が同時に投与される。本発明のこの特徴により、BPIタンパク質産物の添加に伴って認められる抗生物質の治療的有効性の改良を、様々なポロキサマー製剤によって増強することができるという発見、そしてBPIタンパク質産物/ポロキサマー製剤にEDTAを添加すると、抗生物質の治療的有効性がさらに一層増強されるという発見に基づいている。本発明のこの特徴は、抗生物質を用いた細菌感染の共同処置用の、BPIタンパク質産物を含有する医薬の製造のための、ポロキサマー界面活性剤(ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335、またはポロキサマー403など)と随意にEDTAとの使用も提供されるものである。 本発明のこの特徴のために、BPIタンパク質産物との同時投与に際して認められる抗生物質の改良された治療的有効性を、数多くの方法で観察することができる。例えば、BPIタンパク質産物は、臨床上抗生物質に対して耐性を有する生物を臨床上抗生物質に対して感受性の生物に変換するか、あるいは場合によっては、かかる生物の抗生物質への感受性を改良するかもしれない。BPIタンパク質産物及び抗生物質は、単一の治療的有効性のために充分な量を下回る投与量で双方を与えた場合に、治療的効果を有するかもしれない。BPIタンパク質産物製剤に、BPI活性増強ポロキサマー界面活性剤を配合すると、これらの活性がさらに増強される。1993年9月22日に出願された、共有で係属中の特許出願(Cohenら)である米国特許出願第08/125,651号、そしてその一部継続出願である、1994年7月11日に出願された米国特許出願第08/273,401号、そしてその一部継続出願である、1994年9月22日に出願された米国特許出願第08/311,611号、そして対応の PCT出願 No.PCT/US94/11225、そして共有で係属中の特許出願(Littleら)である、1994年1月14日に出願された米国特許出願第08/183,222号、そしてその一部継続出願である、1994年3月11日に出願された米国特許出願第08/209,762号、そしてその一部継続出願(Horwitzら)である、1994年7月11日に出願された米国特許出願第08/274,299号、そしてその一部継続出願である、1995年1月13日に出願された米国特許出願第08/372,783号、そして対応のPCT出願 No.PCT/US95/00656(これらはすべて、引用することにより本明細書に含まれるものとする)は、抗微生物剤としてのBPIの使用を評価するための方法、及び抗生物質の有効性を増強するための方法を開示している。 抗生物質の改良された治療的有効性は、in vivoの動物モデルで実証してもよいし、あるいは、以下の試験を包含する様々なin vitro試験を基礎として予測してもよい。かかる試験は、(1)24時間でグラム陰性生物の成育を阻害するのに必要な抗生物質の最小阻害濃度(MIC)の測定、(2)グラム陰性生物の動的生育曲線に対する抗生物質の効果の測定、(3)抗生物質の連続希釈液単独で、またはBPIタンパク質産物の連続希釈液と組み合わせての、MICのチェッカー板アッセイを包含するものである。上記の改良された有効性は、(a)生物の数の減少、(b)MICの低減、及び/または(c)抗生物質に対する生物の耐性の逆転によって実証されるかもしれない。例示的なモデルまたは試験は、Antibiotics in Laboratory Medicine、第3版(Lorian,V.編)、432〜492頁、Williams and Wilkins、Baltimore MD(1991)の「Eliopoulos and Moellering」に記載されている。 本明細書中で使用される「同時投与」あるいは「共同処置」には、薬剤を併用すなわち組み合わせて、一緒にまたは相前後して投与することが包含される。BPIタンパク質産物(活性増強ポロキサマーを用いて製剤化されたもの)及び抗生物質は、異なる経路によって投与されてもよい。例えば、製剤化したBPIタンパク質産物を静脈内投与し、一方抗生物質を筋肉、静脈内、皮下、経口または腹膜組織内に投与してもよい。あるいは、製剤化したBPIタンパク質産物を腹腔組織内に投与し、一方抗生物質を腹腔組織内もしくは静脈内に投与したり、または製剤化したBPIタンパク質産物をエアロゾルもしくは霧状の剤形にて投与し、一方抗生物質を例えば静脈内投与してもよい。製剤化したBPIタンパク質産物及び抗生物質は、好ましくは双方とも静脈内投与される。製剤化したBPIタンパク質産物及び抗生物質は、同じ静脈内ラインを介して(間に水洗をした後)引き続き与えるか、または異なる静脈内ラインを介して与えてもよい。製剤化したBPIタンパク質産物及び抗生物質は、双方の薬剤とも感染の部位において有効濃度に達することを許容するに充分なように与えられる限りにおいて、同時にまたは引き続き投与することができる。 製剤化したBPIタンパク質産物及び抗生物質の同時投与によって、細菌感染のさらに効果的な処置が提供されると予測される。2つの薬剤の同時投与で、どちらかの薬剤を単独で投与した場合よりも、in vivoにおいて一層大きな治療効果が提供されるかもしれない。それによって、同等の治療効果を達成しつつ、一方または双方の薬剤の投与量を低減させることが可能となるかもしれない。あるいは、同時投与によって、いずれかの薬剤を単独で用いた場合に達成可能な効果よりもさらに迅速または完全な殺菌/静菌効果が生み出されるかもしれない。 治療的有効性は、首尾良い臨床上の成果に相関するものであり、感染に関わる生物の100%が抗微生物剤または複数の薬剤により死滅せしめられることが必要なわけではない。成功は、宿主にとって利となるようにバランスを傾けるよう、細菌を阻害するに充分な、感染部位における抗細菌活性のレベルを達成することに依存している。宿主の防御が最高度に有効である場合には、必要な抗細菌効果は、低くてもよい。1の対数(底(factor)10)にまで生物への負荷量を減じてでさえも、感染を制御するための宿主自身の防御が許容されるかもしれない。加えて、初期の殺菌/静菌効果を増大させることが、長期間の殺菌/静菌効果よりも重要でありうる。これらの初期の成果によって、宿主の防御機構を活性化する時間が与えられるので、このような初期成果は重要であり、治療の成功に決定的な部分である。殺菌の速度を増大させることは、髄膜炎、骨または関節の感染などの感染症に[Stratton、Antibiotics in Laboratory Medicine、第3版(Lorian,V.編)、849〜879頁、Williams and Wilkins、Baltimore MD(1991)]、あるいは、抗生物質に対する感受性が低下しているのかもしれない、生育の遅い生物に関わる感染症にも特に重要であるかもしれない。 本明細書において用いられる「BPIタンパク質産物」には、天然にて及び組換えにより製造されるBPIタンパク質;天然、合成、及び組換えの、BPIタンパク質の生物学的に活性を有するポリペプチド断片;ハイブリッド融合タンパク質及びダイマーを含む、BPIタンパク質またはその断片の生物学的に活性を有するポリペプチド変異体;システインで置換された類似体を含む、BPIタンパク質またはその断片または変異体の、生物学的に活性を有するポリペプチド類似体;ならびにBPI由来ペプチドが包含される。本発明に従って投与されるBPIタンパク質産物は、当該技術分野において知られているいかなる手段によって生産及び/または単離してもよい。引用することによりその開示が本明細書に含まれるものである、米国特許第5,198,541号にrBPI50と称される組換えBPIホロタンパク質及びBPIの組換え断片を包含するBPIタンパク質をコードする組換え遺伝子、及びその発現のための方法が開示されている。共有であり係属中の米国特許出願第07/885,501号及びその一部継続出願である1993年5月19日に出願された米国特許出願第08/072,063号そして1993年5月19日に出願された、対応のPCT 出願 No.93/04752は、すべて引用することによりその開示が本明細書に含まれるものであるが、遺伝的に形質転換した培養中の哺乳動物宿主細胞において発現し、且つその細胞から分泌される組換えBPIタンパク質産物の精製のための新規な方法を開示しており、また、安定で均質な医薬調剤に配合するのに好適な、大量の組換えBPI産物をどのように製造するかを開示している。 BPIの生物学的に活性を有する断片(BPI断片)には、その断片分子が、ホロタンパク質のアミノ末端アミノ酸、内部アミノ酸、及び/またはカルボキシ末端アミノ酸を欠くことを除いては、天然のヒトBPIホロタンパク質と同じかまたは類似のアミノ酸配列を有する、生物学的に活性を有する分子が包含される。このような断片の例に、Ooiら、J.Exp.Med.、174巻、649頁(1991)に記載されるおよそ25 kDの天然ヒトBPIのN−末端断片、及び Gazzano−Santoroら、Infect.Immun.60巻、4754〜4761頁(1992)に記載され、rBPI23と称されている天然ヒトBPIの第1位よりおよそ第193または199位までのN−末端アミノ酸をコードするDNAの組換え発現産物が包含されるが、これらに限定されるものではない。かかる出版物において、Grayら、前出の図1に示されるごとき、31残基のシグナル配列及び成熟ヒトBPIのN−末端の最初の199アミノ酸を有する組換え発現産物(rBPI23)をコードするDNA(第151位のバリンがGTCでなくGTGで特定され、第185位の残基がリジン(AAGで特定される)でなくグルタミン酸(GAGで特定される)であるという例外を含む)の供給源として、発現ベクターが用いられた。Grayら、前出の図1に示される配列(配列番号:1及び2、rBPI23について注解した例外及び第417位の残基がバリン(GTTで特定される)でなくアラニン(GCTで特定される)であるという点は異なる)を有する組換えホロタンパク質(rBPI)も製造されている。他の例には、共有であり係属中の、1994年3月11日に出願された米国特許出願第08/212,132号及び対応するPCT出願 No.PCT/US95/03125号(引用することによりそれらの開示が本明細書に含まれるものである)に記載されるごとき、BPI断片のダイマー型が包含される。好ましいダイマー産物には、モノマーが、BPIホロタンパク質のおよそ第1〜175から、およそ第1〜199までのN−末端残基を有するアミノ末端BPI断片である、ダイマーBPIタンパク質産物が包含される。特に好ましいダイマー産物は、rBPI42ダイマーと名付けられた、N−末端残基第1から193までを有するBPI断片のダイマー型である。 BPIの生物学的に活性を有する変異体(BPI変異体)には、BPIホロタンパク質またはその生物学的に活性を有する断片及び少なくとも一つの他のポリペプチドの少なくとも一部を含む組換えハイブリッド融合タンパク質、ならびにBPI変異体のダイマー型が包含されるが、これらに限定されない。このようなハイブリッド融合タンパク質及びダイマー型の例は、共有であり係属中の米国特許出願第07/885,911号(Theofanらによる)及びその一部継続出願である1993年5月19日に出願された米国特許出願第08/064,693号及び対応する1993年5月19日に出願されたPCT出願第 No.US93/04754号(すべて引用することによりその開示が本明細書に含まれるものである)に記載されておりアミノ末端端部でBPIタンパク質またはその生物学的活性を有する断片、及びカルボキシ末端端部で少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖の定常ドメインまたはその対立変異体を含む、ハイブリッド融合タンパク質を包含する。同様に形成した、リポ多糖結合タンパク質(LBP)の一部またはすべてを包含するハイブリッド融合タンパク質もまた、本発明における使用に企図されている。 BPIの生物学的に活性を有する類似体(BPI類似体)には、1以上のアミノ酸残基が異なるアミノ酸に置換されているBPIタンパク質産物が包含されるが、これらに限定されない。例えば、共有であり係属中の1993年2月2日に出願された米国特許出願第08/013,801号及び対応する1994年2月2日に出願されたPCT出願 No.US94/01235号(すべて引用することによりその開示が本明細書に含まれるものである)に、システイン残基が異なるアミノ酸で置換されたBPI及びBPI断片のポリペプチド類似体が開示されている。この出願に記載された好ましいBPIタンパク質産物は、BPIホロタンパク質のN−末端アミノ酸の第1アミノ酸からおよそ第193または199までのアミノ酸をコードするDNAの発現産物(但し、第132番目の残基のシステインがアラニンで置換されており、rBPI21ΔcysまたはrBPI21と名付けられている)である。他の例としては、BPI類似体のダイマー型が包含される。例えば、共有であり係属中の1994年3月11日に出願された米国特許出願第08/212,132号及び対応するPCT出願 No.PCT/US95/03125(引用することによりその開示が本明細書に含まれるものである)。 本発明の方法に有用な他のBPIタンパク質産物は、共有で係属中の、1995年7月20日に出願された米国特許出願第08/504,841号、及び1994年9月15日に出願された米国特許出願第08/306,473号に対応する、共有であり係属中の1994年9月15日に出願されたPCT出願第US94/010427号、及び、1993年3月12日に出願された米国特許出願第08/030,644号の一部継続出願である、1993年7月15日に出願された米国特許出願第08/093,202号(これに対応する国際出願は、1994年3月11日に出願されたPCT出願第US94/02401号である)の一部継続出願である、1994年1月14日に出願された米国特許出願第08/183,222号の一部継続出願である、1994年3月11日に出願された米国特許出願第08/209,762号に対応する、1994年3月11日に出願されたPCT出願第US94/02465号(これらはすべて引用することによりその開示が本明細書に含まれるものである)に記載されるものなどの、組換えまたは合成手段により生産されるBPI由来のまたはそれらBPIに基づくペプチド(BPI由来ペプチド)である。 現在のところ好ましいBPIタンパク質産物には、組換えによって生産されたBPIのN−末端断片、特にrBPI23またはrBPI21などの、およそ21から25 kDのあいだの分子量を有するもの、もしくは、これらN−末端断片のダイマー型(例えばrBPI42ダイマー)が包含される。加うるに、好ましいBPIタンパク質産物には、rBPI50及びBPI由来ペプチドが包含される。 BPIタンパク質産物の投与は、好ましくはBPIタンパク質産物及び医薬的に容認されうる希釈剤、佐剤または担体を含む、医薬組成物を用いて成し遂げられる。BPIタンパク質産物は、既知の界面活性剤、他の化学療法剤または付加的な既知の抗微生物剤と併用してまたは併用せずに投与することができる。BPIタンパク質産物(例えば、rBPI50、rBPI23)を含有する医薬組成物の一つは、0.1重量%のポロキサマー188(Pluronic F−68、BASF Wyandotte、Parsippany、ニュージャージー州)及び0.002重量%のポリソルベート80(Tween 80、ICI Americans Inc.、Wilmington、デラウェア州)を含むクエン酸緩衝性生理食塩水(5または20 mMクエン酸塩、150 mM NaCl、pH 5.0)中に、1 mg/mlの濃度でBPIタンパク質産物を含むものである。BPIタンパク質産物(例えばrBPI21)を含有する他の医薬組成物は、5 mMクエン酸塩、150 mM NaCl、0.2%ポロキサマー188及び0.002%ポリソルベート80中に2 mg/mlの濃度でBPIタンパク質産物を含むものである。このような組合せが、1994年2月2日に出願された米国特許出願第08/190,896号及び1993年2月2日に出願された米国特許出願第08/012,360号に対応する、共有で係属中の、1994年2月2日に出願されたPCT出願第US94/01239号に記載されており、これらはすべて引用することによりその開示が本明細書に含まれるものである。 本発明の他の特徴及び利点は、以下の例示的な実施例を考慮すれば明らかになるであろう。実施例1には、S.aureus(スタフィロコッカス・アウレウス)またはA.baumannii(アシネトバクター・バウマニー、旧称はA.anitratus(エー・アニトラタス))に対する、水中でのBPIタンパク質産物の殺菌活性へのポロキサマー403またはポロキサマー334の効果を述べる。実施例2には、A.baumannii、S.aureus、N.meningiditis(ナイセリア・メニンギディティス)または P.aeruginosa(シュードモナス・アエルギノーサ)に対する、血清、ブロスまたは水中での非製剤化または製剤化BPIタンパク質産物の殺菌活性へのポロキサマー333またはポロキサマー403の効果を表す。実施例3は、S.pneumoniae(ストレプトコッカス・ニューモニエ)、S.aureus、E.faecium(イー・ファエシウム)またはA.baumanniiに対する水中でのBPIタンパク質産物の殺菌活性へのポロキサマー333またはポロキサマー403の効果を表す。実施例4は、他のポロキサマーの使用に関する。実施例5には、A.baumannii、S.aureus、S.Pneumoniae、E.faecium、またはP.aeruginosaに対する、血清、Mueller−Hintonブロス、トリプシン・ダイズ・ブロス、または水の中におけるBPIタンパク質産物の殺菌活性へのポロキサマー188、333、334、335、または403(EDTAを添加または添加せず)の効果を表す。実施例6には、抗生物質に対する様々な生物の感受性への、EDTAの存在下または非存在下におけるBPIタンパク質産物及びポロキサマー188、333、334、335、または403を含有する組成物の効果を表す。実施例7には、BPIタンパク質産物及び抗細菌活性増強ポロキサマー界面活性剤を含有する組成物の、角膜損傷及び潰瘍形成のウサギモデルにおける効果を表す。実施例8には、EDTAの存在下または非存在下での、様々な細菌及び真菌の生育に対する、BPIタンパク質産物及びポロキサマー188または403を含有する組成物の効果を表す。 実施例1 S.aureusまたはA.baumanniiに対する、水中でのBPIタンパク質産物及びポロキサマー403またはポロキサマー334を含有する組成物の殺菌活性 BPIタンパク質産物と、ポロキサマー403(PLURONIC P123、BASF Wyandotte Corp.、Parsippany、ニュージャージー州)、熱処理したPLURONIC 123、または熱処理したポロキサマー334(PLURONIC P104、BASF Wyandotte Corp.)のうちのいずれかとを含む治療用組成物の殺菌活性を、Microscan(登録商標)ライブラリー(Dade Microscan、West Sacramento、カリフォルニア州)からの細菌の臨床分離株に対して評価した。1 mg/mLのrBPI21及び0.1%(重量/容量)のPLURONIC P123または熱処理したPLURONIC P123を含む治療用組成物を、「非製剤化」rBPI21の2 mg/mL溶液(5 mMクエン酸ナトリウム及び150 mM NaClを含み、全く界面活性剤を含まないの緩衝液中)を、PLURONIC P123の0.2%溶液と1:2の割合で希釈することにより製剤化した。2 mg/mLのrBPI21及び0.1%(重量/容量)の熱処理したPLURONIC P104を含む治療用組成物を調製した。0.1%のPLURONIC P123または0.1%の熱処理したPLURONIC P123のみを含有し、rBPI21を含まないポロキサマー対照溶液も調製した。 1.0% PLURONIC P123の滅菌保存溶液は、PLURONIC P123を脱イオン水中で溶解するまで攪拌し、その溶液を0.22μm Nalgeneフィルターユニット(Nalgene Co.、Rochester、ニューヨーク州)を通して濾過することにより調製した。熱処理したPLURONIC P123の滅菌保存溶液は、以下の方法を使用して調製した。すなわち、(1)脱イオン水で、PLURONIC P123の1.0%(重量/容量)溶液をつくり、(2)沸騰するまでその溶液を加熱し、(3)溶液を熱源から離し、(4)室温にまで冷却させ、(5)PLURONIC P123が完全に可溶化するまで攪拌し、そして(6)滅菌のために、溶液を0.22μm Nalgeneフィルターユニットに通して濾過した。あるいは、保存溶液を滅菌するためにオートクレーブにかけてもよい。熱処理したPLURONIC P104は、同様に調製した。 アッセイにおいて使用されるべき細菌、すなわち、S.aureus(Microscan(登録商標)、ID番号052−106)及びA.baumannii(Microscan(登録商標)、ID番号12291)は、トリプシン・ダイズ寒天(TSA)プレート(Remel、カタログ #01−920、Lenexa、KN)で24時間生育した。約4から7 x 104細胞/mLの細菌保存懸濁液は、注射用滅菌水(Kendall McGawLaboratory、Irvine、カリフォルニア州)中の細菌コロニーを、0.5 McFarland 標準液に懸濁して、さらに水で1:10に希釈することにより調製した。アッセイは、944μLの注射用滅菌水を4.5 mLのポリプロピレンチューブ(Nalgene Cryovial、Nalge Co.、Rochester、ニューヨーク州)に添加し、次いで 40μLの細菌懸濁液、続いて16μLの1 mg/mL rBPI21/0.1% PLURONIC P123治療用組成物またはポロキサマー対照溶液(または8μLの2 mg/mL rBPI21/0.1% PLURONIC P104治療用組成物)を添加することによって行った。チューブを反転させて混合し、そして37℃にて30分間インキュベートした。インキュベーションの後、各々のチューブからの10μLをTSAプレートに播種して10−2の希釈率にて、及び各々のチューブからの10μLをTSAプレートに1:100の希釈率で播種することにより10−4の希釈率にて残存するコロニー形成単位(CFU)を計数した。TSAプレートは、37℃にて18時間インキュベートし、細菌コロニーの数を目視下に計数した。結果を以下の表1及び2に示す。 実施例2 S.AUREUS 及び A.BAUMANNIIに対する血清、ブロス及び水中における、BPIタンパク質産物及びポロキサマー333を含有する組成物の殺菌活性 BPIタンパク質産物と、ポロキサマー333(PLURONIC P103、BASF Wyandotte Corp.)または熱処理したPLURONIC P103のいずれかとを含む治療用組成物の殺菌活性を、実施例1の臨床分離株に対して評価した。160μg/mLのrBPI21と、様々な濃度のPLURONIC P103または熱処理したPLURONIC P103のいずれかを含む治療用組成物は、「非製剤化」rBPI21の2 mg/mL溶液(5 mM クエン酸ナトリウム及び150 mM NaClを含み、界面活性剤を全く含まない緩衝液中)を、適量のPLURONIC P103または熱処理したPLURONIC P103溶液で共に希釈することによって製剤化した。2 mg/mLの rBPI21、0.2%ポロキサマー188(PLURONIC F68、BASF Wyandotte Corp.)、0.002% TWEEN 80(ポリソルベート 80、ICI Americas、Wilmington、デラウェア州)、5 mM クエン酸ナトリウム及び 150 mM NaClを含有する「製剤化した」rBPI21溶液も、比較用に試験した。0.1% PLURONIC P103または0.1%の熱処理したPLURONIC P103を含有し、rBPI21を含まないポロキサマー対照溶液も調製した。 PLURONIC P103の0.1%(重量/容量)溶液は、脱イオン水中でPLURONIC P103が溶解するまで攪拌し、そして、その溶液を0.22μm セルロースアセテートポリスチレンフィルターユニット(Corning Inc.、Corning、ニューヨーク州)を通して濾過することにより調製した。熱処理したPLURONIC P103の滅菌保存溶液は、以下の方法を使用して調製した。すなわち、(1)脱イオン水で、PLURONIC P103の0.1%(重量/容量)溶液をつくり、(2)その溶液を30分間沸騰させ、(3)室温にまで冷却させ、(4)PLURONIC P103が完全に可溶化するまで攪拌し、そして(5)滅菌のために溶液を0.22μm Acrodiscフィルターユニット(Gelman Sciences、Ann Arbor、ミシガン州)に通して濾過した。 アッセイにおいて使用されるべき細菌は、トリプシン・ダイズ寒天(TSA)プレート(Remel、カタログ #01−920、Lenexa、KN)で24時間生育した。S.aureusは、Fildes富化培地中でさらに2時間生育した。細菌の保存懸濁液は、滅菌脱イオン水中に、Microscan(登録商標)Turbidity Meter(Dade Microscan、West Sacramento、カリフォルニア州)によって測定して、およそ2.2から3.8 x 108コロニー形成単位(CFU)/mLになるように懸濁させ、さらに水で1:10に希釈することにより調製した。アッセイは、96ウエル平底ミクロタイタープレート(Corning、カタログ# 25860−96)にて、各ウエルに170μLの血清(Sigma #S1764、St.Louis、ミズーリ州)、トリプシン・ダイズ・ブロス(TSB、 Remel、カタログ #08−942、Lenexa、KN)または注射用滅菌水(Kendall McGaw);10μLの細菌懸濁液(または対照として水);20μLの示された通りの160μg/mLのrBPI21/ポロキサマー治療用組成物(または対照としてポロキサマー対照溶液または水単独)を添加することによって行った。各ウエル中の細菌の最終濃度は、約4から7 x 105 CFU/mLであった。ウェルの中身を混合し、プレートを37℃にて4時間インキュベートした。インキュベーションに続いて、各ウェルに残存するコロニー形成単位(CFU)を、各々のウェルからの10μLをTSAプレートに播種して10−2の希釈率にて計数した。TSAプレートは、37℃にて24時間インキュベートし、細菌コロニーの数を目視下に計数した。結果を以下の表3に示す。対照ウェルについてのコロニー計数は、以下の表4及び5に示す。 追加の実験を行って、熱処理したPLURONIC P104溶液を用いた様々な製剤化されたBPIタンパク質産物を希釈することにより調製し、そして血清で連続的に2倍に希釈したA.baumanniiに対する試験をした治療用組成物を調べた。これらの実験において、低血清濃度にてある程度の殺菌活性が観察されることが認められた(血清濃度を連続的に2倍に低減することに呼応した、CFUの連続的な50%の減少で実証される)。rBPI23については、血清濃度12.5%以下で殺菌活性が観察された。rBPI21については、血清濃度6.25%以下で殺菌活性が観察された。rBPI42ダイマー及びrBPI50については、1.6%以下の希釈率にて殺菌活性が観察された。 Microscan(登録商標)Pluronic Inoculum Water(Dade Microscan、West Sacramento、カリフォルニア州)を用いて同様に行った別の実験では、この産物は殺菌活性を増強する効果を呈した。ポロキサマー335(PLURONIC P105、BASF Wyendotte Corp.)を用いて同様に実施した予備実験において、このポロキサマーもまた、ある程度の殺菌活性増強効果を有することが観察された。 さらなる実験で、BPIタンパク質産物及びポロキサマー界面活性剤を含む治療用組成物の殺菌活性を、Neisseria meningiditis(C型)(Microscan(登録商標)ID番号410−001)、Pseudomonas aeruginosa(12.4.4株、S.M.Opal、 Brown University、Providence、Rhode Islandより提供;Ammons ら、J.Infect.Diseases、170:1473〜82頁(1994)に参照されている)、及び Acinetobacter baumannii(Microscan(登録商標)ID番号12300)の臨床分離株に対して評価した。以下の治療用組成物を調製した。すなわち、2 mg/mL rBPI21;(a)ポロキサマー188(PLURONIC F68)、(b)ポロキサマー333(PLURONIC P103)、(c)ポロキサマー334(PLURONIC P104)、(d)ポロキサマー335(PLURONIC P105)または(e)ポロキサマー403(PLURONIC P123)のいずれか 0.2%;0.002% ポリソルベート80(TWEEN 80);5mM クエン酸ナトリウム;及び150 mM NaClを含む治療用組成物を調製した。0.2% PLURONIC P123、P103またはF68のみを含有し、rBPI21を含まないポロキサマーの対照溶液も調製した。 これらのさらなるアッセイにおいて使用すべき細菌は、P.aeruginosa または A.baumanniiについてはトリプシン・ダイズ寒天(TSA)プレート(Remel、カタログ #01−920、Lenexa、KN)そして、N.meningiditisついてはチョコレート寒天プレート(Remel、カタログ #01−301、Lenexa、 KN)でおよそ24時間生育した。細菌保存懸濁液は、滅菌生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム潅注水、Kendall McGaw Laboratory、Irvine、カリフォルニア州)中に、Microscan(登録商標)Turbidity Meter(Dade Microscan、West Sacramento、カリフォルニア州)によって測定して、0.5 McFarland 標準液と同等にまで細菌コロニーを懸濁させ、さらに生理食塩水で1:10に希釈することによって調製した。アッセイは、4.5 mLのポリプロピレンチューブ(Nalgene Cryovial、 Nalge Co.、Rochester、ニューヨーク)に、最終容量1 mLにて、N.meningitidisについては2% Fildes Enrichment(Remel、カタログ #06−1496、Lenexa、KN)を含むMueller−Hinton Broth、または、P.aeruginosaについてはMueller−Hinton Broth プラス Cations(CSMHB、Remel)の982μLまたは974μL、次いで、10μLの細菌懸濁液(または対照としてブロス培地);そして8または16μLの、2 mg/mL rBPI21/ポロキサマー治療用組成物を添加して行った。チューブを渦流形成(ボルテックス)によって混合し、37℃にて8時間インキュベートした。インキュベーションに続いて、残存するコロニー形成単位(CFU)を、適切な希釈液の10μLまたは100μLをチョコレート寒天またはTSAプレートに播種して、様々な希釈率(10−2から10−7)にて計数した。チョコレート寒天またはTSAプレートは、37℃にておよそ24時間インキュベート(N.meningitidisのプレートについては、5%CO2で)し、そして細菌コロニーの数を目視下に計数した。結果を以下の表6及び7に示す。 実施例3 水中における、BPIタンパク質産物及びポロキサマー333またはポロキサマー334を含有する組成物の様々な細菌に対する殺菌活性 BPIタンパク質産物及び熱処理したPLURONIC P103または熱処理したPLURONIC P104 を含む治療用組成物の殺菌活性を、実施例1の S.aureus 及び A.baumannii 臨床分離株ならびにさらなる生物である S.pneumoniae(Microscan(登録商標)ID番号145)及び E.faecium(Microscan(登録商標)ID番号 15773)に対して評価した。0.075%(重量/容量)濃度の熱処理したPLURONIC P103または熱処理したPLURONIC P104のいずれかの中に、500μg/mLのrBPI21を含む治療用組成物は、適量の0.1%熱処理PLURONIC P103または熱処理PLURONIC P104溶液を用いて「非製剤化」rBPI21または「製剤化」rBPI21の2 mg/mL 溶液を希釈することによって製剤化した。水のみ(ポロキサマーをまったく含まない)での500μg/mLの非製剤化rBPI21を含む組成物、及び0.1%の熱処理P103または熱処理P104のみを含有する(且つrBPI21を含まない)ポロキサマー対照溶液も調製した。1 mg/mL rBPI23、0.1% PLURONIC F68 及び 0.002% TWEEN 80 を含有する「製剤化した」rBPI23の治療用組成物も、比較のために試験した。 熱処理したPLURONIC P103または熱処理したPLURONIC P104の滅菌保存溶液は、以下の方法を用いて調製した。すなわち、(1)脱イオン水で、ポロキサマーの0.1%(重量/容量)溶液をつくり、(2)その溶液を沸騰するまで加熱し、(3)室温にまで冷却させ、(4)PLURONIC P103が完全に可溶化するまで攪拌し、そして(5)滅菌のために、溶液を0.22μm Nalgeneフィルターに通して濾過する。 S.aureus、E.faecium 及び A.baumannii 細菌は、TSAプレート(Remel、カタログ #01−920、Lenexa、KN)で、S.pneumoniaeは、5%ヒツジ血液寒天プレート(Remel、カタログ #01−200、Lenexa、KN)で、24時間生育した。細菌保存懸濁液は、滅菌脱イオン水にて、Microscan(登録商標)Turbidity Meterによって測定して、およそ2.2から3.8 x 108 CFU/mLになるように懸濁させ、さらに水で1:10に希釈することにより調製した。rBPI21治療用組成物に対するアッセイは、96ウェル平底ミクロタイタープレート(Corning、カタログ #25860−96)にて、各ウェルに185μLのTSB(Remel、カタログ #08−942、Lenexa、KN)または注射用滅菌水(Kendall McGaw);8μLの細菌懸濁液;6.3μLの示された通りの500μg/mLのrBPI21/ポロキサマー治療用組成物(またはポロキサマー対照溶液または水単独)を添加して行った。各ウェル中の細菌の最終濃度は、約4から7 x 105 CFU/mLであった。rBPI23治療用組成物に対するアッセイは、178μLのブロスまたは水及び13μLの500μg/mLのrBPI23組成物を添加したことを除いて、同様に行った。ウェルの中身を混合し、プレートを37℃にてインキュベートした。インキュベーション後30分及び3時間に、各ウエル中のCFUを、10−2及び10−4の希釈率にて計数した。30分及び3時間における結果を、それぞれ表8及び9に示す。 rBPI21及び熱処理したPLURONIC P104を含有する医療用組成物を使用した予備実験において、細菌を添加する前、希釈(例えば水で)直後に治療用組成物を添加すると、細菌を添加した後に同じ治療用組成物を添加した場合に比較してより一層、rBPI21の殺菌活性の増強がなされることが認められた。同じグラム陽性及びグラム陰性生物を使用して、PLURONIC P103 及びPLURONIC P104 溶液で非製剤化rBPI21を希釈することにより調製した治療用組成物で実施した別の予備実験において、ブロス中でrBPI21治療用組成物が64μg/mLの濃度までで、グラム陽性生物に対する殺菌活性は観察されなかった。 実施例4 BPIタンパク質産物及び他のポロキサマー界面活性剤を含有する組成物の殺菌活性 ポロキサマー101、ポロキサマー105、ポロキサマー108、ポロキサマー122、ポロキサマー123、ポロキサマー124、ポロキサマー181、ポロキサマー182、ポロキサマー183、ポロキサマー184、ポロキサマー185、ポロキサマー188、ポロキサマー212、ポロキサマー215、ポロキサマー217、ポロキサマー231、ポロキサマー234、ポロキサマー235、ポロキサマー237、ポロキサマー238、ポロキサマー282、ポロキサマー284、ポロキサマー288、ポロキサマー331、ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335、ポロキサマー338、ポロキサマー401、ポロキサマー402、ポロキサマー403、またはポロキサマー407[例えば、CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary、Cosmetic,Toiletry and Fragrance Association、Inc.、Washington、DC(1991)を参照されたい]、特に、447〜451頁]を包含する他のポロキサマー界面活性剤とBPIタンパク質産物とを含む治療用組成物を調製し、実施例1、2及び3に前記した通りにBPIタンパク質産物の殺菌活性を増強する能力について試験する。 実施例5 血清、MUELLER−HINTONブロス、トリプシン・ダイズ・ブロス または水中での、EDTAを含むかまたは含まない、ポロキサマーで製剤化したBPIタンパク質産物を含有する組成物の殺菌活性 BPIタンパク質産物及びPLURONIC F68、P103、P104、P105 または P123を含む治療用組成物の殺菌活性を、実施例1のS.aureus 及び A.baumannii 生物、実施例3のS.pneumoniae 生物、E.faecium 生物(Microscan(登録商標)ID番号 16866)、及び American Type Culture Collectionからの P.aeruginosa の株(ATCC受託番号19660)に対して評価した。治療用組成物は、所望の0.2%(重量/容量)ポロキサマー濃度となるように、2.2 mg/mLのrBPI21保存溶液(ポロキサマーを含まない、5 mMクエン酸ナトリウム、150 mM NaCl)に、適量のポロキサマーを添加し、次いで濾過滅菌することによって調製した。製剤化した産物は、6カ月を上限として、2〜8℃にて保存した。ポロキサマーの滅菌保存溶液は、ポロキサマーペーストを、室温にて1〜5%の濃度(重量/容量)に混合して注射用滅菌水(WFI、Kendall−McGaw)に溶解させ、次いで濾過滅菌することにより作製した。アッセイは、生育培地としてWFI、トリプシン・ダイズ・ブロス(TSB、Remel、Lenexa、KK)、Mueller−Hinton Broth プラス Cations(CSMHB、Remel)、または CSMHBにプールした40%ヒト血清(Sigma、St.Louis、ミズーリ州)を用い、96ウェルのミクロタイタープレートで、実施例2及び3に前記した一般的な方法に従って行った。結果(24時間のインキュベーション後のコロニー形成単位で示す)を、以下の表10に表すが、ポロキサマーがBPIタンパク質産物の殺菌活性を増強できることが確認される。 追加の実験で、BPIタンパク質産物とポロキサマー界面活性剤を含み、さらに様々な濃度のEDTAを含む治療用組成物の殺菌活性を、P.aeruginosa(ATCC 19660)に対して評価した。前記のごとく治療用組成物を製剤化して、5 mM クエン酸ナトリウム、150 mM NaCl 及び 0.002% ポリソルベート 80の緩衝液中、所望の濃度のポロキサマー及びrBPI21とした。アッセイは、P.aeruginosa 及び A.baumannii について実施例2に前記したと概して同様に実施した。およそ24時間インキュベートした後のコロニー形成単位の結果を、以下の表11に表すが、EDTAの添加によって、PLURONIC P123で製剤化したBPIタンパク質産物の殺菌活性がさらに増強できることが示されている。 実施例6 EDTAの存在下または非存在下での、BPIタンパク質産物及びポロキサマーを含有する組成物による、様々な生物の抗生物質に対する感受性への効果 EDTAを含むかまたは含まない、ポロキサマーで製剤化したrBPI21の治療用組成物を、複数の薬剤に耐性な、実施例5のA.baumannii、 S.pneumoniae、E.faecium 及び P.aeruginosa の生物の抗生物質への感受性について評価した。治療用組成物は、0.2%(重量/容量)の濃度のPLURONIC F68、P103、P104、P105 または P123 と共に 2 mg/mLのrBPI21(5 mM クエン酸ナトリウム、150 mM NaCl)を含有するものを調製した。抗生物質への生物の感受性に対する効果は、Mueller−Hinton Broth プラス Cations(CSMHB、Remel)、または CSMHBにプールした40%ヒト血清(Sigma、St.Louis、ミズーリ州)において、以下の通りに判定した。 一晩の培養物から単離した生物のコロニーを、Microscan(登録商標)濁度計を使用して測定して0.5 McFarland 標準液(およそ 1 x 108 CFU/ml)と同等の濃度にまで、Microscan(登録商標)Inoculum Water中に懸濁した。アリコートを、CSMHB または CSMHBにプールした40%ヒト血清のいずれかに移した。各チューブには、最終濃度16μg/mLのrBPI21または等容量の対照緩衝液のいずれかが含まれていた。試験した各抗生物質に対する最小阻害濃度(MIC)、すなわち、目視可能な生育を阻害する抗生物質の最低濃度は、グラム陰性(MB 及び MC)ならびにグラム陽性(MA)Sensititre Trays(Radiometer America、Westlake、オハイオ州)を使用して測定した。これによって、広範囲にわたる標準抗生物質の迅速な、そして同時の調査が許容される。Microscan(登録商標)(Dade Microscan、sacramento、カリフォルニア州)、Pasco(DIFCO、Detroit、 ミシガン州)及び Alamar(Alamar、Sacramento、カリフォルニア州)システムなどの、当該技術分野において知られた他のいかなる抗微生物パネルシステムを、抗生物質感受性についてアッセイするために選択的に使用してもよい。 以下の表12〜15に、示されたとおりのrBPI21治療用組成物の存在下に調べた抗生物質のMICとして、各株の検査について報告した、抗生物質スクリーニングパネルの結果の要約を表す。試験した生物に適用可能な抗生物質感受性の基準(NCCLSの基準に従って、臨床的に耐性(R)、中間(I)または感受性(S)としてMICが解釈される)を、MICの次の肩付き文字で表す。これらの結果、BPIタンパク質産物の添加によって認められる抗生物質の治療的有効性の改良が、様々なポロキサマー製剤によってさらに一層増強されうることが示唆される。 さらなる実験で、BPIタンパク質産物であるrBPI21を、抗微生物活性を増強するポロキサマー、特にPLURONIC P123を用いて、様々な濃度のEDTAと共に製剤化し、そして Pseudomonas aeruginosa(ATCC 19660)の抗生物質感受性に対する効果について評価した。抗生物質感受性は、数多くの異なる抗生物質について最小阻害濃度の同時測定が可能である、Microscan(登録商標)パネルプレート(Dade Microscan、West Sacramento、カリフォルニア州)を使用して測定した。 Microscan(登録商標)パネルプレートで実施した抗微生物感受性試験は、ブロス希釈感受性試験を小型簡略化したものである。抗微生物薬剤は、Mueller−Hintonブロス(カルシウム及びマグネシウムを、またはオキサシリン用には塩化ナトリウムを、またはトリメトプリム、スルファメトキサゾール及びトリメトプリム/スルファメトキサゾール用にはチミジンホスフォリラーゼを補充)にて、その濃度を臨床的に興味ある範囲になるように、連続的に希釈する。96ウェルのMicroscan(登録商標)プレートの1つのウェルは、脱水したブロスのみを含む生育対照のウェルである。残りのウェルは、脱水したブロス及び抗生物質(またはブロス及び生化学試薬の指示薬)を含み、これは、試験生物の標準化した懸濁液を接種することにより所望の濃度にまで再水和される。色素生産性である生化学試薬の指示薬は、pH変化及び基質利用の検出に基づいて細菌の種を同定及び特徴付けするために使用される。一晩インキュベートした後、試験生物に対する抗生物質の最小阻害濃度(MIC)が、生育の阻害を示すウェルで抗生物質の最低濃度を有するものを観察することによって決定される。グラム陰性及びグラム陽性生物を、Microscan(登録商標)パネルプレート(Microscan(登録商標)、Dade Microscan、West Sacramento、カリフォルニア州)のいずれのものを使用して試験してもよい。P.aeruginosaについてのこれらの実験では、MIC Plus Type 2 パネルプレートを使用した。このパネルプレートにて調べた抗生物質の濃度を、以下の表16に示す。各パネルプレートにて試験されうるグラム陰性生物に適用可能な抗生物質感受性の基準(Microscan(登録商標)の NCCLSに由来する基準に従う、耐性、中間または感受性としてのMICの解釈)を、以下の表16Aに表す。 P.aeruginosaに用いたこれらの実験のために、以下の方法を実施した。生物をTSA プレート(Remel、Lenexa、KN)に塗布し、そして一晩、18〜24時間インキュベートした。プレートから、よく単離されたコロニーを、最終濁度が 0.5 McFarland硫酸バリウム標準液と同等になるように、3 mlの滅菌Inoculum Water(カタログ番号B1015−2、MicroScan(登録商標)システム、Dade Microscan、west sacramento、カリフォルニア州)に懸濁した。この細胞懸濁液は、2から3秒間渦流形成し、その100μLを、Pluronic−D を含む 25 mlの Inoculum Water(カタログ番号B015−7、MicroScan(登録商標)システム、Dade Microscan、West Sacramento、カリフォルニア州)(以下、「Pluronic Inoculum Water」と称する)、または、0.2% PLURONIC P123、0.002% TWEEN 80、5mM クエン酸ナトリウム、150 mM NaCl中のrBPI21(「rBPI21/P123」)が64μg/mlのrBPI21に希釈されていた25 mlのPluronic Inoculum Waterを含有するガラスチューブに移した。 rBPI21を含有するこの接種物25 mlを反転することによって混合し、トレーに注加した。接種物は、Microscan(登録商標)パネルプレートシステムでの使用のために設計された手動式96ウェルピペッティングシステム(RENOK(登録商標)再水和−接種システム、Dade Microscan、West Sacramento、カリフォルニア州)に吸い上げ、そして接種物のうち110μlを、Microscan(登録商標)MIC Plus Type 2パネルプレートの各々のウエルに入れた。ウェルに添加すると、この接種物によって 4 x 105から 7 x 105 CFU/ml の最終細菌濃度が得られた。パネルプレートを、次いで35℃にて15〜24時間インキュベートし、そして細胞の生育について目視的に読み取った。 ウェル内がわずかに白いか、またはブロスが透明である場合、生育なしと規定した。生育は、ウェル全体の白濁、ウェル中央の白い粒、またはウェル全体の微細顆粒の生育の形状をとりうる、濁りとして現れた。すべてのウェルを、黒色の間接的に照明した背景を背にして読み取った。生化学的反応の目視下の結果を、細菌同定用データベースに読み取らせた。試験した各抗生物質に対するMICは、目視可能な生育を阻害する抗生物質の最低濃度を同定することによって決定した。 以下の表17に、抗生物質スクリーニングパネルの結果を要約する。Microscan(登録商標)の NCCLSに由来する基準に従う、耐性、中間または感受性としてのMICの解釈である、抗生物質感受性基準は、表16において、肩付き文字のR、I及びSでそれぞれ示されている。これらのデータから、試験したP.aeruginosa株のセフォニシド、セフォテタン、セファマンドール、クロラムフェニコール、アンピシリン/スルバクタム、及びアモキシシリン/kクラブラネートへの耐性を反転させることことによって、また、試験したP.aeruginosa株のセフチゾキシム、セフォタキシム、セフトリアキソン、及びアズトレオナムへの感受性を高めることによって、rBPI21/P123製剤の抗細菌活性をEDTAがさらに増強させることが示される。 実施例7 BPIタンパク質産物及びポロキサマー188またはポロキサマー403を含有する組成物の、ウサギ角膜潰瘍形成モデルにおけるPSEUDOMONAS感染に対する抗細菌活性 ポロキサマー界面活性剤と共にBPIタンパク質産物を含む治療用組成物の抗細菌活性を、角膜感染/潰瘍形成ウサギモデルにおけるPseudomonas感染の感染前及び感染後の双方での投与情況において評価した。 これらの実験用には、感染性生物に、American Type Culture Collection(ATCC、Rockville、メリーランド州)から入手したPseudomonas aeruginosa 19660の株を用いた。凍結乾燥した生物を、普通(nutrient)ブロス(Difco、Detroit、ミシガン州)に再懸濁し、そして18時間振盪しながら37℃にて生育した。培養物は、ペレットを採集し洗浄するために、インキュベーション後に遠心した。洗浄した生物を、培養物の純度を確認するためにグラム染色した。前記と同様の技術を用いて、第2世代を培養した。第2世代の細胞懸濁液は、普通ブロスにて希釈し、600 nmでの吸光度が1.524となるよう(およそ 6.55 X 109 CFU/mlの濃度)に調整した。最終的に普通ブロスで 1.3 X 106倍希釈すると、5000 CFU/mL すなわち 1.0 X 102 CFU/0.02 mLとなった。CFU測定のためのプレート計数は、普通寒天プレートに100μLの希釈細胞懸濁液を付し、そしてそれらを37℃にて24〜48時間インキュベートすることによって行った。 使用した動物は、ニュージーランド白色ウサギであり、SERI指針及び研究における動物の使用上のARVO決議の双方に厳密に従って飼育した。眼の健康を確かめるために、すべての眼の基礎実験を注射に先駆けて行った。すべての眼が、正常のウサギの眼に特徴的に認められる、穏やかな拡散性の蛍光染色を呈した。すべての眼の健康状態は、正常の限度内にあった。2.5から3.0 kgの間の体重のウサギに、0.5〜0.7 mL/kg の齧歯類カクテル(rodent cocktail:100 mg/mL ケタミン、20 mg/mL キシラジン、及び 10 mg/mL アセプロマジン)を筋肉内注射することによって麻酔をかけた。注射の前に、1滴のプロパラカイン塩酸塩(0.5% Ophthaine、Bristol−Myers Squibb)を眼に適用した。前記のごとくに調製した20μLの細菌懸濁液(1 X 102 CFU)を、無作為に指定した眼の中央角膜基質に注射し、一方、別の眼は末処置のままにした。注射、角膜上皮の模擬穿孔は、30ゲージ、1/2インチの針及び100μLシリンジを使用して実施した。 最初の実験系列については、BPIタンパク質産物(試験薬物)の5日間の投与規制は以下の通りであった。すなわち、検査第0日には、基質内への細菌注射(0時)の2時間前(−2)及び1時間前(−1)に、40μLの試験薬物または媒体対照を試験する眼に入れ、次いで、注射後それぞれ10時間ごとに(0から+9時間)合計12回投与(40μL/投与)すなわち、試験の1〜4日の各日に、試験する眼にそれぞれ10時間ごとに40μLの試験薬物または媒体を入れた(例えば、午前8時から午後5時までというように、毎日同じ時間に与えた)。これらの実験について、ポロキサマー188含有治療用組成物を試験するために、5羽の動物を、rBPI21(5 mM クエン酸塩、150 mM NaCl、0.2% ポロキサマー188、0.002% ポリソルベート80中、2 mg/mL)を用いて処置し、そして5羽を緩衝性媒体で処置し、またポロキサマー103含有治療用組成物を試験するために、5羽の動物を、rBPI21(5 mMクエン酸塩、150 mM NaCl、0.2% ポロキサマー403、0.002% ポリソルベート80中、2 mg/mL)を用いて処置し、そして5羽を偽薬(5 mMクエン酸塩、150 mM NaCl、 0.2%ポロキサマー403、0.002% ポリソルベート80)で処置した。 臨床的徴候を認知すべく、各々5日の試験期間中、毎日2回スリットランプ生物顕微鏡を介して眼の実験を行った。結膜充血、結膜水腫及び催涙、粘液分泌を採点した。充血に対する採点の尺度は、0(なし);1(軽度);2(中度);及び3(重度)であった。結膜水腫を採点するための尺度は、0(なし);1(スリットランプで目視可能);2(軽度の分離);及び3(重度の膨張)であった。粘液分泌を採点するための尺度は、0(なし);1(わずかな蓄積);2(肥厚分泌);及び3(離散したストランド)であった。羞明は、その有無にて記録した。催涙は、その有無にて記録した。角膜の潰瘍が存在する場合、高さ(mm)、幅(mm)、及び深さ(角膜の厚みの%)について評価した。新血管新生は、冒された角膜経線について図示した。フォトドキュメンテーションは、実験手順全体にわたって進行する症候として毎日実施した。 5日間の検査期間終了時に、すべてのウサギを致死量のフェノバルビタールナトリウム(6グラム/mL)を用いて屠殺した。角膜を採集し、2分の1強度のKarnovskyの固定液中で固定した。角膜は、微生物の存在をアッセイするためにグラム染色を用いて、また細胞浸潤についてアッセイするためにヘマトキシリン及びエオシンを使用して、光学顕微鏡用に処理した。 実験は、Pseudomonas を注射した後、4、24、28、48、52、72、76、及び96時間に行った。これらの実験の結果を、最も強力な効果が提供されたポロキサマー403と共にrBPI21を含む治療用組成物について、表18に示す。表18に示される結果から、眼に穿孔による損傷を与え、そしてPseudomonas の注射を行う前後に処置を行うことによって、充血、結膜浮腫、及び粘液形成の減少、さらには角膜潰瘍の発生率及び重症度の軽減に伴う新血管新生の発生の減少における、実質的な利点が提供されることが明らかである。Pseudomonas を注射して4時間後に、処置及び対照の双方の動物に角膜の蛍光染色を行うと、注射(穿孔)による損傷に一致して小さな領域で染色されることが明らかになった。注射後28時間で、rBPI21/ポロキサマー403で処置した眼は、清澄な眼球表面を呈し、そして典型的に、充血、結膜浮腫及び粘液分泌の証明となるものはなく、一方媒体で処置した眼は、角膜水腫及び白血球の浸潤に起因する眼球表面の曇りを示した。注射後28時間で、媒体で処置した眼に虹彩炎が顕著に認められ、そして蛍光染色剤を適用すると、活力喪失した上皮の領域が典型的に明示され、重度の充血及び中度から重度の結膜浮腫及び粘液分泌がさらに認められた。注射後48時間で、rBPI21/ポロキサマー403処置した眼で時折軽度の充血が認められたが、粘液分泌及び結膜浮腫はなかった。rBPI21/ポロキサマー403処置した角膜は、他の点では典型的に清澄で健常な様子であり、これは蛍光染色剤の適用によって立証されるものであった。媒体で処置した眼は注射後48時間で、重度の充血、結膜浮腫及び粘液分泌を呈し、角膜のあるものは、水腫、細胞浸潤及びフィブリン沈積の結果曇りが生じた潰瘍形成領域と共に、角膜の溶解及び細薄化(thinning)を呈した。注射後52時間で、rBPI21/ポロキサマー403処置した眼は、蛍光を用いた染色に耐性を有する、清澄で健常な角膜を呈しており、製剤が安全で角膜上皮に対して無毒であることを示唆していた。媒体で処置した眼は注射後52時間で、角膜上皮の痂皮形成が顕著であり、一方結膜浮腫は減少して充血が重篤であった。これらの実験において、媒体で処置したいくつかの眼は、新血管新生を呈しており、血管が角膜中心に向かって内側に成長していた。かかる明示は、rBPI21/ポロキサマー403で処置した眼のいずれにも認められなかった。 ヘマトキシリン及びエオシンで染色した、rBPI21/ポロキサマー403で処置した角膜の病理組織学的評価によって、健常な、無傷の上皮及び基質であることが明らかになり、組織に白血球の浸潤はなかった。これと対照的に、媒体で処置した角膜の評価によって、上皮の欠如及び角膜基質内への白血球の広範囲にわたる浸潤が明らかになった。 トルイジンブルーで染色した、rBPI21/ポロキサマー403で処置した角膜のさらなる病理組織学的評価によって、やはり、健常で無傷の上皮及び基質であることが明らかになり、さらに、角膜組織にPseudomonas 生物が存在しないことも明らかになった。対照的に、媒体で処置した角膜の評価によって、この組織に桿状のPseudomonas 生物が認められ、当該組織内の生物に向かって進んでいる白血球細胞の存在が明らかになった。これらの結果から、rBPI21/ポロキサマー403の有効な角膜透過、及び新血管新生を伴わずに組織の有効な滅菌がなされることが示唆される。 これらの実験において試験されたrBPI21/ポロキサマー403治療用組成物は、この重度のPseudomonas による損傷/感染のウサギモデルにて試験したrBPI21/ポロキサマー188治療用組成物の効果に比較して、最も劇的で有益な抗微生物及び抗血管形成効果を達成した。rBPI21/ポロキサマー188組成物を用いた処置については、新血管新生の抑制という点での利点は認められたものの、充血、結膜浮腫、粘液形成及び催涙の低減においては、有意な効果が認められなかった。これらの実験で、rBPI21/ポロキサマー403組成物の有効性と、それより劣るrBPI21/ポロキサマー188組成物の有効性との対比によって、製剤の成分、投与量及び投与規則のすべてが、本発明の方法にかかる有益な効果を至適化するうえで重要な役割を果たすかもしれないことが示唆された。 実施例8 EDTAの存在下または非存在下での、BPIタンパク質産物及びポロキサマー188または403を含有する組成物の細菌及び真菌生育阻害活性 Escherichia coli(大腸菌、ATCC受託番号8739)、Pseudomonas aeruginosa(ATCC受託番号9027)、Staphylococcus aureus(ATCC受託番号6538)、Candida albicans(カンジダ・アルビカンス、ATCC受託番号10231)及び Aspergillus niger(アスペルギルス・ニガー、ATCC受託番号16404)の、標準細菌及び真菌の試験微生物に対して、U.S.Pharmacopeia(USP)微生物試験プロトコル(USP 23、[51]Antimicrobial Preservatives−Effectiveness、1681頁)に従って、BPIタンパク質産物及びポロキサマー界面活性剤を含む治療用組成物の抗微生物保存的効果を評価した。 これらの実験のために、USPプロトコルに従って調製した5種の試験微生物の各々からの少量の培養液を、2 mg/ml rBPI21、0.2% ポロキサマー188(PLURONIC F68)またはポロキサマー403(PLURONIC P123)、0.002% TWEEN 80、5mM クエン酸ナトリウム及び 150 mM 塩化ナトリウムの溶液を入れた滅菌容器に添加した。ある実験では、これらの溶液にさらに様々な濃度のEDTAを含有させた。微生物を接種した後様々な時点で(すなわち、7、14、21及び28日)、試験溶液のアリコートを容器から取り出し、5種の各微生物のコロニー形成単位(CFU)を測定するために播種した。USPの標準に従うと、(a)14日目までに初期濃度の0.1%以下まで、生存能力のある細菌の濃度が低下している;(b)最初の14日の間に、生存能力のある真菌の濃度が初期濃度以下になっている;ならびに(c)残り28日の試験期間の間に各試験微生物の濃度が、これらの指示値以下のままになっているのであれば、産物の有効性が示される。 rBPI21/ポロキサマー188及びrBPI21/ポロキサマー403組成物の最初の試験の結果を、以下の表19A〜19Bに示す。 前記のように、rBPI21/ポロキサマー403のさらなる組成物を0.01%、0.05% 及び 0.1%の濃度のEDTAを配合して調製し、そして前記表19Bに示す実験におけると同様に試験すると、得られた結果はすべての生物について、表19Bに示される結果に匹敵するものであった。 さらなる実験において、0.05% EDTAを含むかまたは含まない、2mg/mL rBPI21、0.2% PLURONIC P123、0.002% TWEEN 80、5mM クエン酸ナトリウム、150 mM 塩化ナトリウムを含有する他の組成物を、前記のごとき有効性について評価した。結果を以下の表20に示す。これらの実験で、0.05%のEDTAにより、rBPI21/ポロキサマー403組成物の抗微生物の有効性がさらに増強されていた。 前記発明の数多くの修飾及び変更が、当業者に想起されることが予想される。従って、本発明は、以下の請求の範囲によってのみ限定されるものである。(配列表)BPIタンパク質産物及び安定化ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体(ポロキサマー)界面活性剤を含む治療用組成物において、殺菌活性増強ポロキサマー界面活性剤を含む、改良された治療用組成物。 【課題】改良された抗微生物性組成物及び処置方法を提供することであって、より具体的には、BPIタンパク質産物と、BPIタンパク質産物の抗細菌活性を増強するポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体(ポロキサマー)界面活性剤を含む、治療用組成物の改良すること。【解決手段】BPIタンパク質産物及び安定化ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体(ポロキサマー)界面活性剤を含む治療用組成物において、殺菌活性増強ポロキサマー界面活性剤を含む、改良された治療用組成物。【選択図】なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る