生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_偏光イメージングカメラを具備する偏光顕微鏡
出願番号:2006205753
年次:2008
IPC分類:G02B 21/00,G01N 21/23


特許情報キャッシュ

井上 喜彦 川上 彰二郎 佐藤 尚 川嶋 貴之 JP 2008032969 公開特許公報(A) 20080214 2006205753 20060728 偏光イメージングカメラを具備する偏光顕微鏡 株式会社フォトニックラティス 302060650 井上 喜彦 川上 彰二郎 佐藤 尚 川嶋 貴之 G02B 21/00 20060101AFI20080118BHJP G01N 21/23 20060101ALI20080118BHJP JPG02B21/00G01N21/23 5 1 OL 8 2G059 2H052 2G059AA02 2G059BB08 2G059BB14 2G059BB15 2G059EE05 2G059FF01 2G059FF03 2G059HH02 2G059JJ03 2G059JJ11 2G059JJ13 2G059JJ19 2G059JJ20 2G059JJ22 2G059KK04 2G059MM01 2H052AA01 2H052AB10 2H052AB24 2H052AC05 2H052AD34 2H052AF14 2H052AF21 本発明は,従来の偏光顕微鏡よりも詳細に偏光情報を取得・解析することのできる光学顕微鏡に関する。 透明な物質で構成された観察対象、例えば生体細胞などを顕微鏡観察するなどの目的で、偏光顕微鏡が利用される。これは、観察対象の屈折率変化や複屈折性などを利用しており、生きたままの細胞などを無染色で観察したい場合などに用いられる。佐藤他、秋季応用物理学会学術講演会7pZR-14 従来の偏光顕微鏡などで観察された像は観察対象の複屈折性などを反映したものではあっても、観察対象の光学特性の波長分散性など複数の要素の複雑な影響を受けた画像であった。従って、これを詳細な定量解析に用いることは困難であり、観察のみが目的とされる用途に限定されることが多かった。 これを解決する手段として、従来液晶素子を用いた偏光顕微鏡システムがポルスコープPolScopeという商品名で米Cambridge Research & Instrumentation, Inc. (CRi) 社より商品化されている。しかしながら、本製品では画像の偏光情報を取得する為に液晶の配向を一回転させる操作が必要であり、そのために数秒時間を要していた。従って、例えば高速に移動する観察対象の偏光情報を取得することが極めて困難であった。 本発明は、従来の顕微鏡ユニットに偏光イメージングカメラを取り付けることにより、観察対象の光学異方性軸方位や位相変化量などの光学的特長を高速に観察及び定量評価することができることを特徴とする顕微鏡システムに関わる。 前記偏光イメージングカメラとは、方位を異とする自己クローニングフォトニック結晶や細線状または薄いリボン上の金属列を持つ偏光子(以下ワイヤーグリッド偏光子と称する)などにより作製された領域分割偏光子アレイもしくは波長板アレイのうち少なくても一つをCCDやCMOSなどの撮像素子の前段に配置することにより、撮影画像の偏光状態の面内分布を(非特許文献1の原理により)定量解析できることを特徴とするカメラである。または、プリズムなどのハーフミラーを用いて3つ以上の撮像素子で同時に撮影するタイプの撮像ユニットの各撮像素子の前段に偏光子を設置することにより、撮影画像から偏光情報の面内分布を取得できることを特徴とするカメラでも良い。 顕微鏡においては照射光の偏光状態を任意に設定することが可能であることから、照射光を任意の偏光状態に規定しておき、観察像の面内偏光分布の定量評価と比較することにより、観察対象の複屈折軸方位や位相差量などの光学的特長を詳細に定量評価することが可能になる。 前記偏光イメージングカメラを具備する光学顕微鏡を用いることで、観察対象の光学的特徴の面内分布を、撮像素子の撮像速度で取得することが可能になる。例えば一秒間に30枚の画像撮影が可能な撮像素子を用いれば、毎秒30フレームの偏光情報の動画を取得することが可能になり、また一秒間に1万枚の高速撮像素子を用いれば、毎秒1万フレームの偏光情報動画を取得することが可能になる。 従って、本発明の光学顕微鏡を用いることにより、光学的異方性を有する観察物が高速に運動している様子を観察することや、瞬時に完了する化学反応の進行を偏光情報の面内分布の時間変化から解析することなどが可能になる。とくにこの機能は顕微鏡技術において重要である。前述のポルスコープは生体の微小な構造の観察において優れ、細胞分裂時の染色体のような微小構造の主軸・複屈折位相差を複屈折利用により生きたままの形で観察できるが即応性・同時性に書ける。本発明によってはじめて即応性のある微小複屈折の主軸・複屈折位相差計測が可能になり、例えばバイオサイエンスにおける研究手段として効果は絶大である。 以下、図面に従って、本発明を詳細に説明する。図1は偏光イメージングカメラを具備した光学顕微鏡の装置構成例である。図1の顕微鏡では,ランプハウス11において集光レンズ12にて集光され水平に出力された光が顕微鏡下部のミラー13により上方に曲げられ,偏光子14,1/4波長板15 を通過後、コンデンサレンズ16,観察試料17,対物レンズ18の順に通過する。そして,偏光イメージングカメラ19を介して,コンピュータ20のモニター画面上に偏光画像が得られる。 観察試料を照射する光は、偏光子14、1/4波長板15の順に通過することにより、円偏光もしくは円偏光に近い楕円偏光に変換される。従って、観察試料の複屈折性が小さい場合にも、偏光の主軸方位の違いによって複屈折の方位を検出することが容易になる。 図2は本発明に用いられる偏光イメージングカメラの受光部の部品構成例である。撮像素子の一画素以上の領域に一様な透過軸方位を有する偏光子が配置され、複数の偏光子が配置されたアレイ状素子と撮像素子とが一体化した構成を有する。透過軸方位の一様な偏光子領域を少なくても3つ以上透過した光の強度を撮像素子にて取得し、これらを比較・演算することにより演算に用いた領域の平均的な偏光情報を得ることができる。 前記アレイ状偏光子は、自己クローニング型フォトニック結晶にて作製することができる。また、ワイヤーグリッド型偏光子をもちいて作製することができ、いずれの形態でもかまわない。 また、アレイ状偏光子に加えてアレイ状の波長板素子を有する構成や、アレイ状の波長板と一様な偏光子を有する構成により実現される偏光イメージングカメラのいずれでも良い。1.偏光イメージングカメラ 本発明の光学顕微鏡ユニットを実施する為に、自己クローニングフォトニック結晶による偏光子アレイを有する偏光イメージングカメラを用いた。この偏光イメージングカメラは、100万画素のCCDの1画素に対応する領域に、4種類の透過軸方位の偏光子が敷き詰められた偏光子アレイを有し、隣接する4画素の輝度値を演算することにより、この4がその領域の平均偏光情報を取得することができる。またこの偏光イメージングカメラは、USBケーブル20を介してパーソナルコンピューターに接続されており、このモニター画面上に偏光情報を映し出したり計算したりすることができる。2.顕微鏡構成 図3は実施した偏光イメージングカメラを具備した光学顕微鏡の装置構成である。図3の顕微鏡では,ランプハウス11において集光レンズ12にて集光され水平に出力された光は波長500nmから560nmの範囲の光を透過するバンドパスフィルター22を通過後に顕微鏡下部のミラー13により上方に曲げられ,偏光子14,1/4波長板15 を通過後、コンデンサレンズ16,観察試料17,対物レンズ18の順に通過する。そして,自己クローニング型フォトニック結晶による偏光子アレイ23とCCD24を有する偏光イメージングカメラ19を介して,コンピュータ21のモニター画面上に偏光画像が得られる。3.偏光情報解析 観察試料を照射する光は、偏光子14、1/4波長板15の順に通過することにより、円偏光もしくは円偏光に近い楕円偏光に変換される。従って、観察試料の複屈折性が小さい場合にも、偏光の主軸方位の違いによって複屈折の方位を検出することが容易になる。 例えば照射光が円偏光であった場合、観察画像中の隣接する4種類の向きに透過軸を有する偏光子領域を透過した光を受けるCCDの4画素の輝度情報をフーリエ変換して得た、前記4画素領域の平均的な偏光状態のうち、楕円偏光の主軸方位は観察試料の複屈折軸方向から45度回転した方位を指し、楕円率は複屈折の強さを指す。 また、観察画像全体に複屈折性が分布している場合、観察画像全体の平均が円偏光に近くなるような観察試料照射光の偏光状態にすると、偏光状態の前記平均値からの変化が主軸方位として高感度に検出することが出来て好適である。 本発明の光学顕微鏡システムで取得したデンプンの偏光情報を用いて、偏光の主軸方位によって色分けすることが可能であり、図4に画像の一例をモノクロ表示した画像である。比較の為、輝度情報のみの画像を図5に示す。照射光は円偏光であり、取得画像の中で円偏光に近いほど輝度が低くなるような処理を施している。図4の偏光解析画像の色と、観察試料の複屈折軸の方向との対応を示したもののモノクロ画像を、図6に示す。 本試作で用いたフレームレート1/30秒のCCDの1ショットの偏光画像による、前記デンプンの偏光情報の定量解析した結果を図8に示す。図8のグラフの横軸は、図7に示した画像中の太い矢印の位置を表し、縦軸1は偏光の主軸方位の変化を、縦軸2は偏光の強さを表す。また、図7中の細い矢印は、解析により明らかになった前記デンプン中の複屈折軸方位分布を示す。このように、従来取得することが困難であった偏光の様々な情報が、定量的に、且つ高速に取得することが可能になった。 本発明の光学顕微鏡システムは、観察対象の偏光情報や構造を検出・観察することを目的とするあらゆる顕微鏡にて利用されうる。特に生体観察や液晶材料の観察など、観察対象の偏光特性の時間変化を詳細に解析する目的に利用されうる。図1は,偏光イメージングカメラを具備する光学顕微鏡の装置構成例を示す図2は、偏光イメージングカメラの受光部の部品構成例を示す。図3は、集光レンズとミラーとの間にバンドパスフィルタを設けた、偏光イメージングカメラを具備する光学顕微鏡の実施例の装置構成図である。図4は、偏光イメージングカメラで撮影したデンプンの主軸方位画像による図面代用写真である。図5は、通常のカメラと同じ輝度情報のみで作製した比較画像による図面代用写真である。図6は、材料の複屈折軸方位と表示色の関係をしめす図面代用写真である。図7は、図8のグラフの横軸を示した偏光画像をしめす図面代用写真である。図8は、偏光イメージングカメラで取得したデータから作製した偏光情報のグラフを示す図面代用写真である。符号の説明11 ランプハウス12 集光レンズ13 ミラー14 偏光子15 1/4波長板16 コンデンサレンズ17 観察試料18 対物レンズ19 偏光イメージングカメラ20 接続ケーブル21 コンピューター22 バンドパスフィルタ23 偏光子アレイ24 撮像素子 自己クローニングフォトニック結晶により作製された、透過軸方位の異なる領域に分割された領域分割偏光子もしくは異方性軸の異なる領域に分割された領域分割波長板のうち少なくとも一つを、CCDやCMOSなどの撮像素子の前段に、前記領域のそれぞれを前記撮像素子の画素1個もしくは複数個に対応付けて設置することにより、前記撮影画像から偏光情報の面内分布を1フレームの取得画像から解析できることを特徴とする、偏光イメージングカメラを具備した光学顕微鏡システム。 透過軸方位の異なる領域に分割された細線状または薄いリボンの金属列を有する領域分割偏光子をCCDやCMOSなどの撮像素子の前段に設置することにより、撮影画像から偏光情報の面内分布を1フレームの取得画像から解析できることを特徴とする、偏光イメージングカメラを具備することを特徴とする光学顕微鏡システム。 プリズムなどのハーフミラーにより光路を3つ以上に分割し、その各々に対して透過軸方位の異なる偏光子と撮像素子とが順に配置された、複数撮像素子を用いるタイプの偏光イメージングカメラを具備することを特徴とする光学顕微鏡システム。 観察試料の照射光の偏光状態が一様に規定されるような構成であることを特徴とする請求項1または2または3の光学顕微鏡システム。 観察試料の照射光の偏光情報と観察像の偏光情報とを比較演算することにより、光学異方性軸方位や複屈折位相差などの観察対象の光学特性を算出し、画像表示もしくは数値表示することができる機能を有する顕微鏡偏光画像解析ソフトウェアと一体化されていることを特徴とする請求項4の光学顕微鏡システム。 【課題】顕微鏡で観察する対象物の偏光情報や光学異方性情報を撮像素子のフレームレートで取得することができるカメラ付き顕微鏡システムを提供する。【解決手段】自己クローニング法もしくはワイヤーグリッドなどによる偏光子アレイをCCDなどの撮像素子の前段に設置した偏光イメージングカメラを具備することにより、課題は解決される。また、観察試料の照射光の偏光状態を規定するための装置構成を併せ持つことにより、観察対象の光学的特性の詳細な解析を実現することができる。【選択図】図1


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