生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ヘリコバクター・ピロリの除菌方法及びその投与剤
出願番号:2006200134
年次:2008
IPC分類:A61K 38/17,A61K 31/43,A61K 31/7048,A61K 45/06,A61P 31/04,A61P 1/04,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

藤岡 利生 村上 和成 永井 敬之 鈴木 良雄 木村 修武 信田 幸雄 平本 茂 古田 隆久 杉本 光繁 小平 知世 白井 直人 瀬野尾 一孝 中島 洋 松下 文昭 熊谷 純一 JP 2008024662 公開特許公報(A) 20080207 2006200134 20060722 ヘリコバクター・ピロリの除菌方法及びその投与剤 国立大学法人 大分大学 304028726 日清ファルマ株式会社 301049744 国立大学法人浜松医科大学 504300181 藤岡 利生 村上 和成 永井 敬之 鈴木 良雄 木村 修武 信田 幸雄 平本 茂 古田 隆久 杉本 光繁 小平 知世 白井 直人 瀬野尾 一孝 中島 洋 松下 文昭 熊谷 純一 A61K 38/17 20060101AFI20080111BHJP A61K 31/43 20060101ALI20080111BHJP A61K 31/7048 20060101ALI20080111BHJP A61K 45/06 20060101ALI20080111BHJP A61P 31/04 20060101ALI20080111BHJP A61P 1/04 20060101ALI20080111BHJP A61P 43/00 20060101ALI20080111BHJP JPA61K37/16A61K31/43A61K31/7048A61K45/06A61P31/04A61P1/04A61P43/00 121 4 OL 9 特許法第30条第1項適用申請有り 4C084 4C086 4C084AA02 4C084AA07 4C084AA22 4C084BA27 4C084DC50 4C084MA02 4C084MA52 4C084NA04 4C084NA14 4C084ZA682 4C084ZB352 4C084ZC752 4C086AA01 4C086AA02 4C086CC04 4C086EA13 4C086MA02 4C086MA04 4C086MA52 4C086NA05 4C086NA14 4C086ZA38 4C086ZB35 4C086ZC75本発明は、ヘリコバクター・ピロリの除菌方法及びその投与剤に関する。ヘリコバクター・ピロリ(以下「ピロリ菌」ということがある。)は、螺旋型の微好気性グラム陰性桿菌であり、1983年にオーストラリアのMarshall B. JとWarren J. R.により、慢性胃炎患者の胃粘膜より分離された細菌である。ピロリ菌の感染は、胃炎を惹起するとともに、胃および十二指腸潰瘍の再発因子または慢性化因子として作用することが明らかとなっており、さらに胃癌と関連するという報告もされている。日本では、ピロリ菌感染が高率で起きていることが知られており、20〜30代の感染率は20〜40%、50歳以上では70%を超えていると言われている。そして、ピロリ菌保菌者は国内に6,000万人とも言われている。胃・十二指腸潰瘍の治療後、1年経過すると70〜80%の患者が再発すると言われている。胃・十二指腸潰瘍の再発率は、胃内のピロリ菌を除菌すると、0〜30%程度に激減することが報告されており、胃・十二指腸潰瘍の治療における、ピロリ菌除菌の重要性は非常に高い。従って、現在、胃・十二指腸潰瘍の根本的治療にはピロリ菌の除菌が不可欠であると考えられており、その除菌方法として抗生物質とプロトンポンプ阻害剤との併用療法が広く実施されている。ピロリ菌が一旦胃粘膜に定着すると、感染に対する免疫応答が強いにもかかわらず、除菌されず胃内に生息し続けるために、抗生物質による治療によって完全に除菌できない限り、投薬を中止すると約1ヶ月以内に治療前の感染状態に戻ってしまう。しかも胃内は塩酸によってpHが非常に低く保たれているので、多くの抗生物質は不活性化される。このような理由で、ピロリ菌の除菌には、胃酸分泌を強力に抑制するプロトンポンプ阻害剤と除菌薬としての抗生物質が併用の形で使用されている。現状ではピロリ菌の除菌には、アモキシシリンおよびクラリスロマイシンの抗生物質とランソプラゾール等のプロトンポンプ阻害剤による三投与剤併用療法が、日本における保険適用の治療法となっている。しかしながら、最近では抗生物質では除菌されない耐性菌が増え、保険適用されている三投与剤の組合せでは患者の半数程度しか除菌できないことが、複数の医療機関の調査で明らかとなっている。ピロリ菌の除菌ができなかった場合、再度1回だけ三投与剤併用療法が認められているが、ピロリ菌の除菌には至らないのがほとんどである。また、抗生物質を繰り返し用いると、さらに耐性菌が増える恐れがあると言われている。除菌を目的とした抗生物質の投与による耐性菌の増加などの問題を解決する手段として、現在、経口ワクチンによる免疫療法のアプローチが見られるが、ワクチンはあくまで予防を主体とするものであり、一旦ピロリ菌が感染した患者に対しては、効果は望めない。そのため、ピロリ菌に対する新たな抗菌剤を天然素材に求める研究も盛んに行われ、例えばフコイダンを含有するモズク抽出物等が提案されている。一方、ピロリ菌が胃粘膜に接着するのを阻害することで、ピロリ菌の感染に伴う疾患を予防するという提案があり、牛乳から乳脂肪およびカゼインを除去して得られる乳清由来のムチン(特許文献1)や糖とタンパク質の褐変反応生成物(特許文献2)がピロリ菌の消化管への接着を阻害しうることを開示している。特開2000−229865号公報WO03/063886国際公開パンフレット本発明の課題は、従来の三投与剤併用療法によるピロリ菌の除菌ができなかった患者に対し、有効であるヘリコバクター・ピロリ除菌方法および除菌投与剤を提供することである。本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、従来の三投与剤併用療法によるピロリ菌の除菌ができなかった患者に対し、ピロリ菌が胃粘膜に接着するのを阻害する糖とタンパク質の褐変反応生成物を、三投与剤に併用して投与すると、三投与剤併用療法では除菌できなかった患者に対して、極めて優れた除菌効果を示すことを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、アモキシシリンおよびクラリスロマイシンの抗生物質とプロトンポンプ阻害剤の三投与剤併用療法によるヘリコバクター・ピロリの除菌ができなかった患者に、糖とタンパク質の褐変反応生成物投与剤を、アモキシシリンおよびクラリスロマイシンの抗生物質とプロトンポンプ阻害剤の三投与剤と併用して投与することを特徴とする、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌方法に関する。更に本発明は、アモキシシリンおよびクラリスロマイシンの抗生物質とプロトンポンプ阻害剤の三投与剤併用療法によるヘリコバクター・ピロリの除菌ができなかった患者に対する除菌投与剤であって、前記アモキシシリンおよびクラリスロマイシンの抗生物質とプロトンポンプ阻害剤の三投与剤及び糖とタンパク質の褐変反応生成物投与剤とからなることを特徴とする、ヘリコバクター・ピロリの除菌投与剤に関する。そして前記、糖とタンパク質の褐変反応生成物は、乳糖とカゼインを含有する水溶液中で褐変反応して得られる乳カゼイン重合物であることを特徴とするヘリコバクター・ピロリの除菌方法及び除菌投与剤である。本発明のヘリコバクター・ピロリの除菌方法及び除菌投与剤は、従来の三剤併用療法ではピロリ菌を除菌できなかった患者に対し、ヘリコバクター・ピロリ菌を高確率で除菌し、胃潰瘍および十二指腸潰瘍等の消化性潰瘍、胃炎、慢性胃炎ならびに胃癌等の予防または治療することができる等の優れた効果を呈するものである。以下に本発明のヘリコバクター・ピロリの除菌方法および除菌投与剤について詳細に説明する。糖とタンパク質の褐変反応生成物は、ピロリ菌が宿主の胃粘膜に接着するための接着因子であるウレアーゼに結合するため、ピロリ菌がウレアーゼを介して胃粘膜表面の受容体であるムチンに結合することを強力に阻害する。そのため、本発明のヘリコバクター・ピロリの除菌方法及び除菌投与剤は、ピロリ菌に抗菌作用を示す抗生物質、胃酸分泌を抑制するプロトンポンプ阻害剤、およびピロリ菌が胃粘膜に接着する事を阻害する、糖とタンパク質の褐変反応生成物投与剤を併用する事により、非常に高いピロリ菌の除菌効果を示す。本発明において用いられる、糖とタンパク質との褐変反応生成物は、糖とタンパク質のアミノ−カルボニル反応の生成物である。褐変反応は、各種糖と、各種タンパク質とを混合した水溶液を加熱処理することにより実施できる。また、特許文献2に記載されている褐変反応生成物製造の手順を用いても良い。褐変反応は中性水溶液またはアルカリ水溶液中で行うことができるが、アルカリ水溶液中では褐変反応が促進されるので、アルカリ水溶液中で行うのが好ましい。アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム(重曹)、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどの種々のアルカリ水溶液が使用できる。添加するアルカリ水溶液の濃度は特に限定されないが、例えば0.05〜0.5規定のアルカリ水溶液を用いることができる。アルカリ水溶液の量は、糖とタンパク質の混合物、または糖とタンパク質を含む食品を十分に均一に懸濁できる量であればよく、例えば1〜100倍量、好ましくは5〜20倍量とする。褐変反応は、糖とタンパク質の混合物の5%水溶液における405nmの吸光度が0.01、好ましくは0.1以上になるまで行う。つまり405nmの吸光度が0.01以上であることは褐変反応が進行していることを意味するからである。吸光度は、例えば5%水溶液100μlをミクロプレートリーダーで測定する。褐変反応の条件としては、中性水溶液中で行う場合、反応温度は100℃以上、特に120℃以上が好ましく、反応時間は通常20分間以上であり、好ましくは30分〜10時間である。また、アルカリ水溶液中で褐変反応を行う場合は、反応温度は室温から100℃、特に40〜100℃が好ましく、反応時間は通常30分〜20時間、好ましくは2〜8時間である。上記により得られた褐変反応生成物は、そのまま用いてもよいが、慣用の精製手段、例えば限外濾過、イオン交換樹脂などを用いて未反応の糖の除去、脱塩をしてもよい。また、等電点沈殿、塩析、有機溶媒沈殿など、タンパク質の選択的沈殿に用いられる通常の手段により褐変反応生成物を沈殿させてもよい。褐変反応生成物は、製剤化や食品などへの添加を容易にするため、慣用の手段、例えば凍結乾燥または噴霧乾燥などの手段により乾燥させるのが好ましい。褐変反応を中性水溶液中で行った場合には、そのまま乾燥してもよいが、上記の手段により未反応の糖の除去、脱塩の後に乾燥させ粉末化するのが好ましい。褐変反応をアルカリ水溶液中で行った場合には、反応溶液を酸(無機酸および/または有機酸)により中和してもよい。また、中和後、そのまま乾燥してもよいが、上記の手段により未反応の糖の除去、脱塩の後に乾燥させ粉末化してもよい。褐変反応生成物に用いるタンパク質としては、経口摂取しうる任意のタンパク質が挙げられる。例えば、植物性タンパク質としては、アルブミンおよびグロブリン等の豆由来のタンパク質、グルテニンおよびアルブミン等の小麦由来のタンパク質、ゼイン等のトウモロコシ由来のタンパク質等が挙げられ、動物性タンパク質としては、カゼインまたはその塩、ラクトグロブリン、ラクトアルブミン、ラクトフェリン、アルブミンおよび免疫グロブリン等の乳由来のタンパク質、オボアルブミン、オボトランスフェリン、オボムコイド、オボムシンおよびリゾチーム等の卵由来のタンパク質、ミオシンおよびアクチン等の魚または肉由来のタンパク質等が挙げられる。本発明においては、褐変反応生成物に用いるタンパク質として、好ましくは乳由来、特に牛乳由来のタンパク質、より好ましくはカゼインまたはその塩、または好ましくは豆由来のタンパク質、より好ましくはアルブミンおよびグロブリンを用いることができる。カゼインの塩としては、飲食品分野で通常用いられるものを使用でき、特に制限されないが、例えば、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩等が挙げられ、好ましくはナトリウム塩を用いることができる。これらの各種タンパク質は、常法により精製したものを使用してもよいし、また市販のものをそのまま用いることもできる。これらのタンパク質は単独でも、また2種以上を組合せて使用してもよい。あるいは、これらタンパク質を含有する食品素材、例えば牛乳由来タンパク質を含む牛生乳、牛乳粉、脱脂粉乳、乳清や練乳などのタンパク質混合物をそのまま用いてもよい。褐変反応生成物に用いる糖としては、タンパク質と褐変反応生成物を生じうるものであれば前記効能に影響は無く特に制限されず、単糖類、二糖類、オリゴ糖類および多糖類のいずれでもよい。例えば、D−グルコース、D−フラクトース、D−マンノース、D−ガラクトース、D−キシロース、L−アラビノース、D−リボース、マルトースおよび乳糖などの種々の還元糖が挙げられる。本発明においては、褐変反応生成物に用いる糖として好ましくは二糖類、より好ましくは乳糖を用いることができる。これらの糖は、単独でも、また2種以上を組合せて使用してもよい。あるいは、これら糖を含有する食品素材、例えば乳糖を含む牛生乳、牛乳粉、脱脂粉乳、乳清や練乳などの糖の混合物をそのまま用いてもよい。以上の中でも、タンパク質としてカゼインまたはその塩、糖として乳糖を用いて反応させた褐変反応生成物(乳カゼイン重合物)が、生産性や製造効率の点で特に好ましい。褐変反応生成物における糖とタンパク質の質量比は任意であるが、通常は1:100〜10:1の範囲であり、好ましくは1:9〜1:1の範囲である。本発明において、褐変反応生成物は、糖とタンパク質とを混合して水溶液中で褐変反応させる代わりに、糖およびタンパク質を含有する食品、好ましくは糖およびタンパク質を上記の質量比で含有する食品、例えば牛生乳、牛粉乳、脱脂粉乳、乳清および練乳などをそのまま水溶液中で加熱処理などにより褐変反応を起こさせて得ることもできる。脱脂粉乳は、カゼインを主体とする各種牛乳タンパク質、および乳糖などの糖を含有している。脱脂粉乳は、常法により生乳より遠心分離により脂肪分を分離除去し、生じた脱脂乳を粉末化して得ることができるが、市販の脱脂粉乳を使用してもよい。乳清は、脱脂粉乳よりカゼインを除去したものであり、乳糖などの糖、およびβ-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン、血清アルブミン、免疫グロブリン、ラクトフェリンなどの乳清タンパク質を含有している。本発明において褐変反応生成物の原料として使用することができる乳清としては、常法により牛乳汁から調製してもよいし、市販の乳清(濃縮液、粉末など)をそのまま使用してもよい。本発明のヘリコバクター・ピロリ除菌方法および除菌投与剤においては、褐変反応生成物の成人1日当たり摂取量が、通常0.01〜10g(乾物量)、好ましくは0.5〜5gの範囲になるように調節すると、摂取が容易であり、また十分な効果が得られる。通常、褐変反応生成物の量は、剤および飲食品の形態により異なるが、錠剤(タブレット)、チュアブル錠、顆粒、カプセル(例えば、ハードカプセル)等の形態の場合は、総質量に対して0.01〜80質量%の範囲、好ましくは1〜50質量%の範囲であり、その他の飲食品の場合は、0.01〜10質量%の範囲、好ましくは0.1〜6質量%の範囲である。本発明においては、抗生物質の投与量は特に限定されず、医薬品として使用が許可された投与量を参考に適宜設定する事ができる。本発明で用いるプロトンポンプ阻害剤としては、ヒトに用いることのできる全てのプロトンポンプ阻害剤が挙げられ、例えばオメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールナトリウム等である。本発明で用いるプロトンポンプ阻害剤としては、特にオメプラゾールまたはランソプラゾールが好ましく用いられる。本発明においては、これらのプロトンポンプ阻害剤の投与量は特に限定されず、医薬品として使用が許可された投与量を参考に適宜設定する事ができる。本発明のヘリコバクター・ピロリ除菌方法および除菌投与剤において、抗生物質、酸分泌抑制剤および糖とタンパク質の褐変反応生成物を投与する経路は、特に制限されるものではないが、糖とタンパク質の褐変反応生成物については、経口、経鼻、あるいは栄養チューブ等を通して摂取するのが好ましい。また、抗生物質およびプロトンポンプ阻害剤は、経口投与、血管内投与等適宜選択することができる。本発明のヘリコバクター・ピロリ除菌方法および除菌投与剤においては、上記のようにして得られた糖とタンパク質の褐変反応生成物、抗生物質およびプロトンポンプ阻害剤をそのまま摂取してもよいし、必要に応じてこれらのそれぞれの単独あるいは混合物に溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を加えて、粉末剤、錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠等)、顆粒剤、丸剤、散剤、カプセル剤、ゲル剤、ソフトカプセル剤、ペースト、シロップ、懸濁液、乳化液、ドリンク剤などに加工して摂取しても良い。また、抗生物質および/またはプロトンポンプ阻害剤を医薬品として処方し、これと褐変反応生成物を組合せて一緒に、あるいは別々に摂取しても良い。さらに、褐変反応生成物は、一般飲食品のほか、特定保健用食品、健康食品、機能性食品などの食品および/ または飲料に含ませ、医薬品として処方された抗生物質および/または酸分泌抑制剤と一緒にあるいは別々に摂取する事もできる。そのような飲食品としては、パン、うどん、そば、パスタ、ご飯等主食となるもの、チーズ、ウインナー、ソーセージ、ハンバーグ、魚介加工品等の食品類、ソース類、クッキー、ケーキ、ゼリー、プリン、キャンディー、チューインガム、ヨーグルト、グミ、チョコレートなどの菓子類、清涼飲料水、酒類、栄養ドリンク、コーヒー、茶、牛乳など特に制限されるものではない。本発明のヘリコバクター・ピロリ除菌方法および除菌投与剤においては、効果を促進するためにビタミン類や殺菌剤、除菌剤、抗原虫剤などを配合、あるいは併用することもでき、これらの割合は本発明の効果を妨げない限り限定されず、適宜設定する事ができる。また、その他のピロリ菌除菌剤、ピロリ菌感染予防剤又は治療剤として使用されている食品素材を配合、あるいは併用することもできる。それらの例としては、ココア、マスティック、月見草エキス、甘草エキス、ポリフェノール類、乳酸菌(ヨーグルト) 、ブロッコリースプラウト、はちみつ、プロポリス、わさび(葉) 、シナモン、クランベリー(こけもも) 、海藻類、フコイダン、モズク抽出物、乳性由来のムチン、抗ピロリ菌ウレアーゼIgYなどが挙げられる。以下に、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例1は、本発明のヘリコバクター・ピロリの除菌投与剤における「糖とタンパク質の褐変反応生成物」の例をその製造方法例と共に紹介する。1.糖とタンパク質の褐変反応生成物(乳カゼイン重合物)の製造例乳糖170g、カゼイン1500gを反応釜に仕込み、精製水15Lを加えて溶解した後、NaOHを用いてpHを9に調製した。これを攪拌しながら90℃、5時間褐変反応を行った。反応終了後中和し、これを凍結乾燥して褐色粉末状の組成物1690gを得た。この組成物中には、褐変反応生成物が50%含まれていた。2.褐変反応生成物を含有する錠剤の製造製造例で得た組成物を用いて、下記表1の処方により湿式法で常法にしたがって顆粒を製造した。この顆粒を乾燥した後、打錠機を用いて打錠して投与錠剤を製造した。実施例2は、本発明の上記実施例1の褐変反応生成物を含有する投与錠剤を用いた「ヘリコバクター・ピロリの除菌方法」の試験例を紹介する。1.ヘリコバクター・ピロリを除菌できなかった患者に対する効果。アモキシシリンおよびクラリスロマイシンの抗生物質とプロトンポンプ阻害剤の三投与剤併用療法によってピロリ菌の除菌ができなかった患者に対し、2回目の前記三投与剤併用療法施行の際に、実施例1の褐変反応生成物投与剤(乳カゼイン重合物)を併用した際の効果を調べた。<1回目の除菌治療>ピロリ菌の除菌を目的とする患者に三投与剤併用療法を施行した。薬剤はクラリスロマイシン200mg、アモキシシリン750mg、ランソプラゾール30mgの組合せ薬剤(ランサップ400:武田薬品工業)を用い、投与期間は1週間、朝夕の食後に1日2回、合計14回服用させた。判定は三投与剤併用療法の終了4週後に呼気ウレアーゼ試験(UBT)を用いて行った。UBTが陽性であり、除菌に失敗した患者を選定した。<2回目の除菌治療>上記の三投与剤併用療法を行っても、ピロリ菌の除菌に失敗した患者に、再度2回目の三投与剤併用療法を行った。その際、実施例1で作成した褐変反応生成物を含有する投与錠剤を、三投与剤併用療法期間の空腹時(10時頃、15時頃、就寝前のいずれか2回)に摂取させた。ただし1錠あたりの褐変反応組成物量は500mgとし、1回に4錠(2g)、合計一日4gを摂取させた。判定は上記と同様に行った。結果を表2に示す。上記の結果より、従来の三投与剤併用療法による治療後もUBT試験が陽性でピロリ菌を除菌できなかった患者に対して、本発明のヘリコバクター・ピロリの除菌方法により治療を行ったところ、UBT試験は陰性となり高い除菌効果が得られる事がわかった。本発明のヘリコバクター・ピロリの除菌方法及び併用投与剤は、従来の三投与剤併用療法ではピロリ菌を除菌できなかった患者に対し、ヘリコバクター・ピロリ菌を高確率で除菌し、胃潰瘍および十二指腸潰瘍等の消化性潰瘍、胃炎、慢性胃炎ならびに胃癌等の予防または治療することができる等の優れた効果を呈するものである。これにより本発明のヘリコバクター・ピロリの除菌方法及び併用投与剤は、極めて有効に活用され多大な貢献を奏するものである。アモキシシリンおよびクラリスロマイシンの抗生物質とプロトンポンプ阻害剤の三投与剤併用療法によるヘリコバクター・ピロリの除菌ができなかった患者に、糖とタンパク質の褐変反応生成物投与剤を、アモキシシリンおよびクラリスロマイシンの抗生物質とプロトンポンプ阻害剤の三投与剤と併用して投与することを特徴とする、ヘリコバクター・ピロリの除菌方法。糖とタンパク質の褐変反応生成物が、乳糖とカゼインを含有する水溶液中で褐変反応して得られる乳カゼイン重合物である請求項1記載のヘリコバクター・ピロリの除菌方法。アモキシシリンおよびクラリスロマイシンの抗生物質とプロトンポンプ阻害剤の三投与剤併用療法によるヘリコバクター・ピロリの除菌ができなかった患者に対する除菌併用投与剤であって、前記アモキシシリンおよびクラリスロマイシンの抗生物質とプロトンポンプ阻害剤の三投与剤及び糖とタンパク質の褐変反応生成物投与剤とからなることを特徴とするヘリコバクター・ピロリの除菌投与剤。糖とタンパク質の褐変反応生成物は、乳糖とカゼインを含有する水溶液中で褐変反応して得られる乳カゼイン重合物であることを特徴とする請求項3に記載のヘリコバクター・ピロリの除菌投与剤。 【課題】従来の三投与剤併用療法によるピロリ菌の除菌ができなかった患者に対し、有効であるヘリコバクター・ピロリ除菌投与剤および除菌方法を提供する。【解決手段】アモキシシリンおよびクラリスロマイシンの抗生物質とプロトンポンプ阻害剤の三投与剤併用療法によるヘリコバクター・ピロリの除菌ができなかった患者に対する除菌方法及び除菌投与剤であって、前記アモキシシリンおよびクラリスロマイシンの抗生物質とプロトンポンプ阻害剤の三投与剤及び糖とタンパク質の褐変反応生成物投与剤とからなるヘリコバクター・ピロリの除菌投与剤とこれを投与する除菌方法。


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