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タイトル:公開特許公報(A)_微量成分のクロマトグラフィによる定量方法及び固相マイクロ抽出用サンプリングユニット
出願番号:2006193319
年次:2007
IPC分類:G01N 30/06,G01N 30/88


特許情報キャッシュ

小▲やなぎ▼ 綾子 JP 2007047156 公開特許公報(A) 20070222 2006193319 20060713 微量成分のクロマトグラフィによる定量方法及び固相マイクロ抽出用サンプリングユニット 大日本インキ化学工業株式会社 000002886 志賀 正武 100064908 高橋 詔男 100108578 渡邊 隆 100089037 青山 正和 100101465 鈴木 三義 100094400 西 和哉 100107836 村山 靖彦 100108453 小▲やなぎ▼ 綾子 JP 2005205544 20050714 G01N 30/06 20060101AFI20070126BHJP G01N 30/88 20060101ALI20070126BHJP JPG01N30/06 EG01N30/88 C 6 1 OL 11 本発明は、クロマトグラフィによる微量成分の定量方法及びかかる方法に用いる固相マイクロ抽出用サンプリングユニットに関する。 近年、ポリマーの製造方法として、水中にモノマーを分散させ、水溶性の開始剤を用いてラジカル重合させる乳化重合が主流となっている。かかる乳化重合においては、反応が完全に完了しているか、すなわち、不快なにおい等を発生させる残存成分がないかが問題となる場合がある。不快なにおい等の成分は、ppbレベルで人間が感知し得るため、微量な分析方法の確立が必要とされる。かかる微量成分を定量する手段として、ガスクロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ等が知られている。 ところで、例えば、カルボキシ基を含有する(メタ)アクリル酸等は、ガスクロマトグラフィに対する感度が悪いため、(メタ)アクリル酸の微量成分を定量するためには、試料の予備調製が必要である。ところが、従来の試料調製方法では、多量の試料や多量の有機溶媒等を必要としたり、操作が複雑で多くの時間を要することが多いという問題を有する。 かかる問題を解決するため、近年、固相マイクロ抽出(SPME)法とよばれるクロマトグラフィ分析用の試料抽出・濃縮・導入用調製法が開発された。SPMEサンプリングユニットは、第1の端部、第2の端部を有する注射器バレル、注射器バレルの内部を滑動可能なプランジャを有し、プランジャが注射器バレルの第1の端部から伸びたハンドルを有する注射器、及び注射器バレルの第2の端部から伸びた、周囲がSPME針によって保護されたファイバーを有している。ファイバーは、表面に吸着剤が固定化されており、ここに気化した試料を吸着することができる。SPME針は、内蔵するファイバーを保護しつつ、試料バイアルのセプタムやガスクロマトグラフィ気化室セプタムを通過させるものである。プランジャを押し込むことにより、ファイバーはSPME針から露出され、気化した試料を吸着する。 かかるSPMEサンプリングユニットを用いて、ガスクロマトグラフィ分析を行う方法について説明する。まず、微量成分を入れたセプタム付きバイアルを適宜加熱し、定量したい微量成分を気化させる。微量成分を入れたセプタム付きバイアルに、ファイバーを収納した状態でSPME針を貫通させる。プランジャを押し下げ、ファイバーを気相中に露出させ、ファイバーに試料を吸着させる。プランジャをもどして、SPME針内にファイバーを収納する。SPME針をバイアルより引き抜く。次に、ファイバーを収納したまま、SPME針をガスクロマトグラフィセプタムに貫通させる。プランジャを押し下げ、ファイバーを気化室内で露出させ、試料の熱脱離、カラム移送を行う。 しかしながら、SPME法を用いても、(メタ)アクリル酸等のように、ガスクロマトグラフィに対して感度の悪い微量成分を定量するには、なお濃縮が不十分であった。 したがって、本発明は、クロマトグラフィに対して感度の悪い微量成分を簡易かつ正確に定量できる、微量成分のクロマトグラフィによる定量方法を提供することを目的とする。 また、本発明は、かかる定量方法に用いるSPME用サンプリングユニットを提供することを目的とする。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、微量成分のシリル化に着目した。試料中の成分は、そのままでガスクロマトグラフィ分析できるものも多いが、試料中の難揮発性成分はそのままではガスクロマトグラフィ分析できない場合が多い。特に、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル酸等は、テーリングを起こしやすいため、当該成分はもちろん、隣接成分との分離も十分でなく、定量の精度を低下させることになる。この場合、適当なシリル化剤でシリル化体に変化させることによって、対称的な鋭いピークを描かせることができる。また、ガスクロマトグラフィでは、熱に不安定な化合物はそのままでは分析できないが、これも適当なシリル化体に変化させることによって、定量できる場合が多い。 しかしながら、シリル化は、一般には溶液中で行うため、SPME法である程度濃縮した微量成分が再び多量の溶媒中に希釈されてしまい、微量成分の定量には利用できなかった。また、トリメチルシリル化体は、水や水酸基を有する化合物を含有している場合、比較的不安定であるため、乳化重合によるポリマー製造中の微量成分の分析には適さない、と考えられていた。 そこで、本発明者らは、さらに検討を重ねた結果、SPME用サンプリングユニットの気体を吸着するファイバーに、シリル化剤を吸着させ、前記ファイバーに吸着された微量成分と、当該ファイバーで反応させてシリル化体とするか、あるいはその後のカラムへの移送を行う工程で加熱してシリル化体とすることにより、クロマトグラフィに対して感度の悪い微量成分を容易にかつ正確に定量することができることを見出し、本発明を完成した。 即ち、本発明の第1の発明は、微量成分をクロマトグラフィによって定量する方法であって、SPME法を用いて、気化させた前記微量成分をSPME用サンプリングユニットのファイバーに吸着させる第1工程、シリル化剤を気化させて前記ファイバーに吸着させる第2工程、ファイバー上又はファイバーから気化した気相中で前記微量成分をシリル化する第3工程、クロマトグラフィにより前記微量成分を定量する第4工程、を有することを特徴とする微量成分のクロマトグラフィによる定量方法を提供するものである。また、本発明の第2の発明は、微量成分をクロマトグラフィによって定量する方法であって、シリル化剤を気化させて、SPME用サンプリングユニットのファイバーに吸着させる第1工程、前記微量成分を気化させて、前記ファイバーに吸着させる第2工程、ファイバー上又はファイバーから気化した気相中で前記微量成分をシリル化する第3工程、クロマトグラフィにより前記微量成分を定量する第4工程、を有することを特徴とする微量成分のクロマトグラフィによる定量方法を提供するものである。 また、本発明の第3の発明は、第1の端部、第2の端部を有する注射器バレル、前記注射器バレルの内部を滑動可能なプランジャ、を有し、前記プランジャが前記注射器バレルの第1の端部から伸びたハンドルを有する注射器、及び前記注射器バレルの第2の端部から伸びた、周囲がSPME針によって保護されたファイバーを有し、微量成分をクロマトグラフィによって定量するためのSPME用サンプリングユニットであって、前記ファイバーが、気化したシリル化剤を吸着していることを特徴とするSPME用サンプリングユニットを提供するものである。 本発明の方法を用いれば、クロマトグラフィに対して感度の悪い微量成分を簡易かつ正確に定量できる。また、本発明のSPME用サンプリングユニットを用いれば、上記定量を容易に行うことができる。 図1、図2は、本発明の第3の発明のSPMEサンプリングユニットの一実施形態の概略図である。図1はファイバーを収納した状態、図2はファイバーを露出した状態を示す。 SPMEサンプリングユニット1は、SPMEホルダー(i)とファイバーアセンブリー(ii)で構成される。SPMEサンプリングユニット1は、ファイバー2に固定された抽出相で試料を抽出、濃縮する。SPME針3は、内蔵されたファイバー2を保護しつつ、試料バイアルのセプタムやガスクロマトグラフィ気化室セプタムを貫通させるためのものである。プランジャー4の押し込みによりファイバー2はSPME針3から露出され、抽出、脱離を行う。SPMEホルダー(i)は、内部にファイバーアセンブリー(ii)を取り付けるためのホルダーである。繰り返し使用が可能である。ファイバーアセンブリー(ii)は、抽出に用いる液相や吸着剤が固定されたファイバー2が先端についたワイヤー5がSPME針3内に収納されている。ワイヤー5にはスプリングがついてプランジャー4と連動している。 ファイバーへのシリル化剤の吸着は、例えば、以下のようにして行うことができる。セプタム付きバイアルにシリル化剤を添加し、室温又は加熱しシリル化剤を気化させる。これに、ファイバーを収納したSPME針を貫通させる。プランジャを押し下げ、ファイバーをバイアル中に露出させ、所定時間シリル化剤をファイバーに吸着させる(抽出)。次いで、プランジャをもどしてファイバーをSPME針内に収納する。SPME針をバイアルより引き抜く。 これにより、シリル化剤が吸着されたSPME用サンプリングユニットが得られる。 かかるSPME用サンプリングユニットは、特にガスクロマトグラフィに対して感度が悪い、エマルション等の水系に含まれる(メタ)アクリル酸のような微量成分を、ガスクロマトグラフィを用いて定量する場合に特に有用である。 なお、(メタ)アクリル酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。 最も一般的なシリル化反応は、トリメチルシリル化であり、トリメチルシリル化剤は、緩和な条件で活性プロトンと反応してトリメチルシリル化体を形成する。 シリル化剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA)、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)、N−トリメチルシリルイミダゾール(TSIM)、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、tert−ブチルジメチルシリルクロリド、エチルジメチルシリルイミダゾール、n−プロピルジメチルシリルイミダゾール、トリフルオロプロピルジメチルシリルイミダゾール、ヘプタフルオロペンチルジメチルシリルイミダゾール等が挙げられる。このうち、強いトリメチルシリル化能を有する点で、BSA、BSTFAが好ましい。さらに、揮発性が高く、ファイバーへの吸着が容易である点で、BSTFAが特に好ましい。 本発明の第3の発明のSPMEサンプリングユニットは、本発明の第2の発明の実施に有用である。 本発明の第2の発明は、第1工程として、シリル化剤を気化させて、SPME用サンプリングユニットにシリル化剤を吸着させるのであるが、本発明の第3の発明のSPMEサンプリングユニットを用いれば、かかる第1工程を省略することができる。 本発明の第2の発明の第2工程は、微量成分を気化させてファイバーに吸着させる。ファイバーへの微量成分の吸着は、例えば以下のように行うことができる。セプタム付きバイアルに定量したい微量成分を含む試料を添加し、加熱して微量成分を気化させる。試料が、乳化重合等によりポリマーを製造した後の乳化重合物(エマルション)である場合、外挿法を用いて定量を行う点から、エマルションに同量程度以下の水を添加しておくことが好ましい。次いで、このバイアルを加熱して微量成分を気化させる。定量したい微量成分が例えば(メタ)アクリル酸である場合、加熱条件は、80〜100℃で10分〜4時間、特に85〜95℃で1〜3時間が好ましい。微量成分を気化させたセプタム付きバイアルに、ファイバーを収納した状態でSPME針を貫通させる。次いで、プランジャを押し下げ、ファイバーをバイアル中に露出させ、気化した微量成分をファイバーに吸着させる。ここで、ファイバーには微量成分とシリル化剤とが吸着された状態となる。次いで、プランジャをもどしてファイバーをSPME針内に収納する。SPME針をバイアルより引き抜く。 なお、微量成分をファイバーに効率よく吸着(抽出)するためには、(i)定量したい微量成分の極性、沸点等の特性に応じて、大きな分配係数が得られるファイバーを選択したり、ファイバーの膜厚を選択する。(ii)例えば食塩を添加する等の手段を用いて、定量したい微量成分の試料溶解性を低下させる。(iii)塩酸、リン酸等の酸類、アンモニア、水酸化ナトリウム等のアルカリ等を用いて試料のpH調整を行い、分配係数を向上させる。(iv)バイアル中の空間容量をできるだけ小さくする。(v)マグネチックスターラー等を用いて強制的な撹拌を行い、物質の移動を促進する。等の手段を講じることが好ましい。 本発明の第2の発明の第3工程は、ファイバー上又はファイバーから気化した気相中で前記微量成分をシリル化する。ファイバー上でシリル化するとは、バイアル内をシリル化反応が起こる温度に加熱して、ファイバーに吸着した微量成分とシリル化剤を反応させることをいう。この場合、ファイバーを針内に収納し、針をバイアルから引き抜く前にシリル化反応を行う。また、ファイバーから気化した気相中でシリル化するとは、例えばガスクロマトグラフィの場合、微量成分とシリル化剤を吸着させたファイバーを収納したままSPME針をガスクロマトグラフィ注入槽(気化室)に貫通させ、プランジャを押し下げてファイバーを注入槽内で露出し、吸着させた微量成分とシリル化剤を気化させて反応させ、微量成分をシリル化することをいう。このとき、注入槽内は、シリル化反応が進行する温度に保持しておく。 本発明の第2の発明の第4工程は、クロマトグラフィを用いて微量成分を定量する工程であり、常法に従って定量することができる。 このように、SPME法によりファイバー(固相)に吸着した微量成分とシリル化剤とをファイバー(固相)上又はこれらをファイバーから気化させた気相上でシリル化させるので、溶媒を用いる場合と異なり、微量成分が希釈化されることがないため、クロマトグラフィに感度が悪い微量成分であっても、定量が可能である。 本発明の第1の発明は、第2の発明の第1工程と第2工程の順序を入れ替えたものである。すなわち、本発明の第1の発明の第1工程において、微量成分をファイバーに吸着させ、第2工程において、シリル化剤をファイバーに吸着させる。それ以外の工程は、本発明の第2の発明と同一である。 本発明は、例えば、エマルション等の水系に含まれる(メタ)アクリル酸等のように、クロマトグラフィ、特にガスクロマトグラフィの分析に感度が悪い化合物の分析に特に有効である。 次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。特に断らない限り、「%」は質量%、「部」は質量部をそれぞれ示す。(アクリル系重合体エマルジョンの製造) 撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水75部を入れ、窒素を吹き込みながら80℃まで昇温した。撹拌下、過硫酸カリウム0.02部を添加し、続いてブチルアクリレート40部、メチルメタクリレート58部、メタクリル酸2部からなる単量体混合物に、ラテムルE−118B(花王(株)製:有効成分25%)8部と脱イオン水15部を加えて乳化させたモノマープレエマルジョン(前記単量体混合物と乳化剤と水でモノマーを乳化状態にしたものを云う)の一部(3部)を添加し、反応容器内温度を80℃に保ちながら30分間で重合させた。引き続き、反応容器内温度を80℃に保ちながら、残りのモノマープレエマルジョン(120部)と、過硫酸カリウムの水溶液(有効成分0.5%)30部を、各々別の滴下漏斗を使用して、反応容器内温度を80℃に保ちながら180分間かけて滴下して重合せしめた。滴下終了後、同温度にて120分間撹拌して、本発明のアクリル系重合体エマルジョンを得た。 本発明の第1の発明によるメタクリル酸の定量 ガスクロマトグラフィ/質量分析装置(GC/MS)は島津製作所製GC−MS QP5050を、GCカラムはジーエルサイエンス社製InertCap5MS/Sil(長さ30m、内径0.25mm、膜厚1.0μm)を用いた。GC温度条件は、60℃(1min)−10℃/min−300℃で行った。GC注入口温度は280℃とし、キャリアガスはヘリウムを用い、カラム流量は1.2mL/minとし、スプリット法(スプリット比1:10)で測定を行った。質量分析装置のインターフェースの温度は250℃とした。SPME用セットはスペルコ社製SPMEユニットとテフロン(登録商標)/シリコン付きバイアル瓶(17mL)を用いた。SPME用ファイバーは、Carboxen/PDMS、膜厚75μmを用いた。トリメチルシリル化剤はBSTFAを用いた。 上記アクリル系重合体エマルジョン1g及び水1gをバイアル瓶に加え、密栓してよく混合した後、90℃のオーブンで2時間加熱し、メタクリル酸を含む成分を気化させた。このバイアルに、ファイバーを収納した状態でSPME針を貫通させた。次いで、プランジャを押し下げ、ファイバーをバイアル中に10分間露出させ、気化した成分をファイバーに吸着させた(抽出)。次いで、プランジャをもどしてファイバーをSPME針内に収納し、SPME針をバイアルより引き抜いた。次に、上記とは別のバイアルに、BSTFAを2μl添加して、室温で気化させた。このバイアルに、気化した成分を吸着させたファイバーを収納したSPME針を貫通させた。プランジャを押し下げ、ファイバーをバイアル中に2分間露出させ、BSTFAをファイバーに吸着させた(抽出)。次いで、プランジャをもどしてファイバーをSPME針内に収納し、SPME針をバイアルより引き抜いた。この時点では、ファイバーには、気化した成分とシリル化剤が吸着されているが、まだ反応はしていない。次に、SPME針をガスクロマトグラフィの注入口に挿入し、GC/MS分析を行った。注入口の温度280℃は、メタクリル酸とBSTFAが反応してメタクリル酸がシリル化される温度である。同じ条件でGC/MS分析を3回行った。 SPME法により抽出を行うと、共存物により測定値が変動する。そこで、上記エマルションに既知濃度のメタクリル酸水溶液を添加し、外挿法により定量値を求めた。エマルション1gにメタクリル酸水溶液(25ppm、50ppm、100ppmの3種類)を1gずつ加え、上記と同条件で加熱、吸着(抽出)を行ってピーク面積を測定し、検量線を作成した。同条件で3つの検量線を作成した。図3に得られた3本の検量線を示す。検量線は、いずれも良好な直線性を示し、本発明による定量分析が可能であることが確認された。得られた3本の検量線から外挿法により求めたメタクリル酸の定量値と再現性を表1に示した。試料エマルション中の残存メタクリル酸量は26ppmであり、シリル化をする前に定量した場合と比較して、感度が約10倍アップした。また、再現性も良好であった。 実施例1において、BSTFAの代わりにDFDを用いた以外は、実施例1と同様にしてメタクリル酸の定量を行った。シリル化をする前に定量した場合と比較して、感度が約3倍アップした。また、再現性も良好であった。(比較例1) ガスクロマトグラフィ/質量分析装置(GC/MS)は島津製作所製GC−MS QP5050を、GCカラムはJ&Wサイエンティフィック社製DB−WAX(長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用いた。GC温度条件は、100℃(1min)−10℃/min−250℃(5min)で行った。GC注入口温度は250℃とし、キャリアガスはヘリウムを用い、カラム流量は1.3mL/minとし、スプリット法(スプリット比1:10)で測定を行った。質量分析装置のインターフェースの温度は250℃とした。 実施例1と同じエマルション0.3gを遠心管(10mL)に入れ、アセトンを加えて5mLにメスアップした。これをよく撹拌し、10分間超音波をかけ、樹脂を沈澱させた。その後、上澄み液1μlをGC/MSに注入した。GCカラムは、メタクリル酸のテーリングを抑えるため、極性カラムであるJ&Wサイエンティフィック社製DB−WAXを用いた。シリル化は行わなかった。その他は実施例1と同様に行った。 定量値は、実施例1の場合とほぼ一致する28ppmであった。しかしながら、溶媒を多量に加えたため、実施例1のような微量分析は不可能であり、10ppmレベルが定量限界である。また、メタクリル酸を完全に抽出する必要があるため、抽出溶媒として極性溶媒であるアセトンを用いた。このため、エマルションの溶媒である水もアセトンに多量に抽出されてしまい、シリル化は困難である。(比較例2) SPME法を用いた気化成分の吸着は実施例1と同様に行った。その後気化成分が吸着されたファイバーを、BSTFA5μlが0.5mLに溶解された溶液に分散し、160℃で5分間撹拌した。その後、実施例1と同様にして定量を行った。 比較例2では、液中でシリル化を行ったため、ファイバーに吸着された気化成分が希釈されてしまい、ガスクロマトグラフィによる感度は非常に不良であった。(試験例1) メタクリル酸100ppm水溶液を用いて、メタクリル酸をファイバーに吸着させる際に、エマルションに以下の処理を行った。(i)未処理(pH4.3)、(ii)300rpmで撹拌、(iii)リン酸を添加してpHを2.2に調整、(iv)NaClを飽和量添加、(v)300rpmで撹拌しながら、リン酸を添加してpHを2.2に調整、(vi)300rpmで撹拌しながら、リン酸を添加してpHを2.2に調整し、かつNaClを飽和量添加。上記処理を行った後、メタクリル酸の抽出量を測定した。結果を図4に示す。 図4から明らかなように、未処理((i))に比べ、(ii)〜(vi)の処理を行った場合、いずれもメタクリル酸の抽出量が増加した。特に(vi)は10倍以上増加した。この結果から、本発明の方法により、ppbレベルでの微量成分の検出が可能であると考えられる。 本発明は、クロマトグラフィによる微量分析の分野で利用が可能である。本発明の第3の発明のSPMEサンプリングユニットの一実施形態の概略図であって、ファイバーが収納された状態を示している。本発明の第3の発明のSPMEサンプリングユニットの一実施形態の概略図であって、ファイバーが露出した状態を示している。実施例1のメタクリル酸のシリル化の検量線を示す図である。試験例1において、各処理を行った場合のメタクリル酸の抽出量を示す図である。符号の説明1 SPMEサンプリングユニット2 ファイバー3 SPME針4 プランジャー5 ワイヤー 微量成分をクロマトグラフィによって定量する方法であって、 固相マイクロ抽出(SPME)法を用いて、気化させた前記微量成分をSPME用サンプリングユニットのファイバーに吸着させる第1工程、 シリル化剤を気化させて前記ファイバーに吸着させる第2工程、 ファイバー上又はファイバーから気化した気相中で前記微量成分をシリル化する第3工程、 クロマトグラフィにより前記微量成分を定量する第4工程、を有することを特徴とする微量成分のクロマトグラフィによる定量方法。 微量成分をクロマトグラフィによって定量する方法であって、 シリル化剤を気化させて、固相マイクロ抽出(SPME)用サンプリングユニットのファイバーに吸着させる第1工程、 前記微量成分を気化させて、前記ファイバーに吸着させる第2工程、 ファイバー上又はファイバーから気化した気相中で前記微量成分をシリル化する第3工程、 クロマトグラフィにより前記微量成分を定量する第4工程、を有することを特徴とする微量成分のクロマトグラフィによる定量方法。 前記微量成分が、(メタ)アクリル酸である請求項1又は2に記載の微量成分のクロマトグラフィによる定量方法。 クロマトグラフィがガスクロマトグラフィである請求項1〜3のいずれか1項に記載の微量成分のクロマトグラフィによる定量方法。 第1の端部、第2の端部を有する注射器バレル、前記注射器バレルの内部を滑動可能なプランジャ、を有し、前記プランジャが前記注射器バレルの第1の端部から伸びたハンドルを有する注射器、 及び前記注射器バレルの第2の端部から伸びた、周囲がSPME針によって保護されたファイバー を有し、微量成分をクロマトグラフィによって定量するための固相マイクロ抽出(SPME)用サンプリングユニットであって、 前記ファイバーが、気化したシリル化剤を吸着していることを特徴とするSPME用サンプリングユニット。 クロマトグラフィがガスクロマトグラフィである請求項5に記載のSPME用サンプリングユニット。 【課題】クロマトグラフィに対して感度の悪い微量成分を簡易かつ正確に定量できる、微量成分のクロマトグラフィによる定量方法の提供、及びかかる定量方法に用いる固相マイクロ抽出(SPME)用サンプリングユニットの提供。【解決手段】微量成分をクロマトグラフィによって定量する方法であって、シリル化剤を気化させて、SPME用サンプリングユニットのファイバーに吸着させる第1工程、前記微量成分を気化させて、前記ファイバーに吸着させる第2工程、ファイバー上又はファイバーから気化した気相中で前記微量成分をシリル化する第3工程、クロマトグラフィにより前記微量成分を定量する第4工程、を有することを特徴とする微量成分のクロマトグラフィによる定量方法;かかる第1工程を実施するためのSPME用針。なお、上記第1工程と第2工程は順番を相互に入れ替えてもよい。【選択図】図1


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