生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ポリ乳酸の分解方法及び微生物
出願番号:2006152729
年次:2007
IPC分類:C12N 1/20,C08J 11/10,C12N 15/09,C12R 1/10


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徳山 真治 JP 2007319078 公開特許公報(A) 20071213 2006152729 20060531 ポリ乳酸の分解方法及び微生物 国立大学法人静岡大学 304023318 中島 淳 100079049 加藤 和詳 100084995 西元 勝一 100085279 福田 浩志 100099025 徳山 真治 C12N 1/20 20060101AFI20071116BHJP C08J 11/10 20060101ALI20071116BHJP C12N 15/09 20060101ALN20071116BHJP C12R 1/10 20060101ALN20071116BHJP JPC12N1/20 AC12N1/20 AC12N1/20 FC08J11/10C12N15/00 AC12N1/20 AC12R1:10 3 OL 9 4B024 4B065 4F401 4B024AA17 4B024CA01 4B024CA11 4B024CA20 4B065AA15X 4B065AC20 4B065BB40 4B065CA55 4F401AA22 4F401AA30 4F401AD07 4F401AD10 4F401CA77 本発明は、ポリ乳酸の分解方法及び微生物に関する。 近年、プラスチックの使用量が増加するにつれて、環境への配慮から天然環境下で分解可能な生分解性プラスチックの開発が進められている。例えばポリ乳酸は、水系環境下で加水分解可能な高分子であり、その分解には酵素が用いられることもある。またポリ乳酸を直接分解する微生物についてもいくつか同定されている。 ポリ乳酸分解能を有する微生物としては、例えば、土中から30℃で分離されたアミコラトプシス属放線菌、サッカロスリクス属放線菌、ストレプトマイセス属放線菌が知られている(例えば、特許文献1〜4)。また分子構造中にエステル結合を有するプラスチックの分解能を有するペニバチルス属細菌も、土中から30℃で分離されている(特許文献5)。これらの菌は、30℃4時間程度の処理でポリ乳酸を分解する。また、特許文献6〜7には、土中から50℃で分離されたバチルス・ズブチリス、バチルス・サーキュランス、バチルス・ステロサーモフィラス、アクチノマデュラ属放線菌、スタフィロコッカス属細菌が記載されている。これらの菌は、50℃における2週間程度の処理でポリ乳酸を分解する。特開平9−37776号公報特開2000−60540号公報特開2001−128693号公報特開平10−108669号公報特開2004−166542号公報特開平11−4680号公報特開平11−46755号公報 しかしながら、プラスチックの分解処理速度は一般に温度に依存して速くなるが、微生物の生育適温を超えると微生物による分解活性が低下する。一方、微生物のポリ乳酸の分解能は、その微生物種によって異なる。 従って、本発明は、ポリ乳酸を効率よく分解可能なポリ乳酸分解方法及びこれに利用可能な微生物を提供することを目的とする。 本発明のポリ乳酸の分解方法は、ポリ乳酸分解能を有する微生物バチルス・リケニフォルミス又はその破砕物を用いて、ポリ乳酸を分解することを特徴としている。 また前記バチルス・リケニフォルミスが、バチルス・リケニフォルミスT7−2(FERM AP−20920)であることが好ましい。 本発明の微生物は、バチルス・リケニフォルミスT7−2(FERM AP−20920)である。 本発明によれば、ポリ乳酸を効率よく分解可能なポリ乳酸分解方法及びこれに利用可能な微生物を提供することができる。 本発明のポリ乳酸の分解方法は、ポリ乳酸分解能を有する微生物バチルス・リケニフォルミス又はその破砕物を用いて、ポリ乳酸を分解することを特徴としている。 ポリ乳酸としては、乳酸を主成分とする重合体であればよく、ポリL−乳酸及びポリD−乳酸のようなホモポリマー、ポリL/D−乳酸、これらと他の成分から構成される共重合を挙げることができる。共重合体である場合には、乳酸成分は重量比率が10%以上のものであることが好ましい。また共重合体を構成する他の成分としては、ε−カプロラクトン、グリコリド、デプシペプチド等を挙げることができる。これらの他の成分は1種であっても、2種以上であってもよい。 本発明によって分解可能ポリ乳酸の分子量には特に制限はないが、例えば数平均分子量10,000〜100,000、分解速度の観点から好ましくは50,000〜300,000とすることができる。 本発明のポリ乳酸の分解方法に用いられる微生物は、バチルス・リケニフォルミスである。バチルス・リケニフォルミスであれば、いずれの菌株であってもよいが、特に、バチルス・リケニフォルミスT7−2株(茨城県つくば市東1−1−1中央第6、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター、受領番号FERM AP−20920、2006年5月22日付受領にて寄託)であることが分解活性の高さから好ましい。 バチルス・リケニフォルミスT7−2は、後述するように、森林土壌から、50℃の温度条件下でポリ乳酸を分解可能な微生物として分離された菌であり、グラム陽性を示し、TSB(Trypticase Soy Broth, Becton Dickinson)寒天培地、50℃で培養した栄養細胞は0.8×2〜3 μmの桿菌であり、楕円形の内生胞子を有する。R型のコロニーを形成し、その表面にはしわがあり、光沢はなく、ポリ乳酸の分解について優れた能力を有する。 本発明に用いられる微生物は、通常用いられる条件下で培養して、維持・増殖させることができる。このような培養条件としては、pH4〜10、生育速度の観点から好ましくはpH6.0〜8.0のpH,40〜60℃、生育速度の観点から好ましくは45〜55℃の培養温度とすることができる。 本発明に係る微生物を維持可能な培養用の基本培地(以下、単に「培地」という)としては、窒素源として例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムなど、その他無機塩類としては、例えばリン酸二カリウム、リン酸一ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸第一鉄、モリブデン酸ナトリウム、塩化マンガンなどを、それぞれ含むものであって、通常利用される固体又は液体培地であればいずれも好ましく使用できる。なお、培地には、上記成分の他、微生物の成育を促進させるための各種ビタミン、ミネラル、その他の栄養成分を含ませてもよい。 本微生物は、種々の形態でポリ乳酸の分解に用いられる。このような形態としては、微生物菌体、菌体の破砕物及び微生物の培養上清などの各形態から適宜選択することができる。菌体の場合には、その培養物から遠心分離等の集菌操作によって得られる生菌体、菌体を凍結乾燥した乾燥粉末、微生物を含む培養液のいずれであってもよい。破砕物としては、物理的手段又は化学的手段によって破砕されたものであればよく、物理的手段としては、物理的手段としては、超音波粉砕機、グラスビーズを用いた細胞破砕機などを挙げることができ、化学的手段としては、リゾチームなどの容菌酵素を挙げることができる。物理的手段又は化学的手段を用いて菌体を破砕する場合には、それぞれ破砕物の分解活性を損なわない穏和な条件下で行うことが好ましい。培養上清としては、前述した液体培地中で微生物を培養したものであればよく、培養上清における分解活性の強さから、好ましくは培養2日目以降、更に好ましくは培養3日以降の培養上清を使用することができる。 ポリ乳酸の分解処理は、適当な形態に調製された上記微生物を、好気条件下、処理されるべきポリ乳酸と接触させることによって行われる。分解処理時のpHは、pH4〜10、分解速度の観点から好ましくはpH6.0〜8.0とすることができる。また分解処理時の温度は、40℃〜60℃、ポリ乳酸の処理速度の観点から好ましくは45〜55℃とすることができる。処理時間は、5日間〜15日間、処理効率の観点から好ましくは7日間〜10日間とすることができる。 また、ポリ乳酸の分解処理を行う際のポリ乳酸の形態は、フィルム(シート)、成型体、破砕物、粉末、懸濁液などを挙げることができ、これらのいずれであってもよい。また分解処理時のポリ乳酸は、上述したようなポリ乳酸単独であってもよく、他のプラスチックとの混合物であってもよい。 分解処理におけるポリ乳酸の量は、対象となるポリ乳酸の形態及び処理に用いる微生物の形態によって異なるが、本菌培養液に100mlに対して、0.1〜5.0グラムとすることができ、分解速度の観点から0.5〜1.0グラムとすることができる。 処理は、培養槽に、基本培地、処理対象のポリ乳酸、分解能を有する微生物又はその破砕物を配合した粉末、錠剤、培養液を添加することによって行ってもよく、微生物を活性汚泥及びコンポストに組み込むことによって行ってもよい。 この他、ポリ乳酸の分解に適用可能な条件としては、本発明にかかる微生物の活性を損なわない限り、既知の条件をそのまま適用可能である。 以下に本発明の実施例について説明するが、これに限定されるものではない。 [実施例1]1. ポリ乳酸(PLA)を分解する微生物の分離(1) 表1に示す組成のポリ乳酸(PLA)含有基本培地を400ml調製し、それを等量に分け、一つには寒天を6g添加し加熱滅菌(120℃、20分間)する。加熱滅菌後、寒天を添加していない培地に16mlのジククロロメタンで溶解したPLA(レイシアH400、住友化学)を加え、超音波破砕機を用いて十分に乳化(10分間)させた。この乳化したPLAを、寒天を添加した培地に加え十分攪拌後、シャーレに分注し、PLA乳化寒天培地を作製した。(2) 森林土壌から、マイクロスパーテルを用いて少量の土壌サンプルを採取し、試験管に分注してある3mlの滅菌水に懸濁する。次に超音波洗浄機で試験管を30秒間処理して、さらに攪拌機を用いて十分(3分間)に懸濁する。この懸濁液0.1mlを、上記PLA乳化寒天培地に塗抹し、50℃で培養した。この結果、寒天培地上にPLA分解によるクリアゾーンを形成する微生物T7−2株を得た。2.微生物の同定 分離菌株(T7−2)をTSB(Becton Dickinson)平板培地に画線し、50℃にて24時間培養した。コロニーを楊枝でピックアップし、20μlの滅菌蒸留水に懸濁した。楊枝の先で、押しつぶしながら混ぜ、180μlのInstaGene Matrix(BIO-RAD社製)を加えた。手で軽く攪拌し、100℃で15分間加熱した。加熱後、10秒間以上攪拌し、12,000rpm(13,000×g)で2〜3分間遠心した。上澄み20μlを50μlスケールのPCRテンプレートとして用いた。 T7−2株の16SrDNA遺伝子の増幅は、後述する表4に記載した9F(配列番号1)及び1541R(配列番号2)をプライマーとして行った。サーマルサイクラーは、TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice Standard(タカラバイオ株式会社)を使用した。ポリメラーゼには、Hot Star Taq DNA polymerase(株式会社キアゲン)を使用した。反応液の組成は以下のとおりとし、PCR反応を、96℃5分間を1サイクル、97℃45秒間、50℃30秒間、74℃1分間の一連の処理を5サイクル、96℃45秒間、50℃30秒間、74℃1分間の一連の処理を25サイクルとして行い、PCR産物は、PCR Purification Kit -Spin Type- (BIONEX社製)を用いて精製した。 DNAシークエンスはダイターミネーター法により行った。塩基配列の決定には、ABI PRISM 3100 DNA Sequencer(Applied Biosystems社)を使用した。サイクルシークエンス、シークエンシング産物の精製、シークエンス条件についてはマニュアルの方法に従い、以下の方法で行った。 (1)シーケンスサンプルの調製 シーケンスサンプルの調製は、専用キットBigGye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社製)を使用し、シーケンスには、表4に記載した9F、785F(配列番号3)、802R(配列番号4)を使用した。サイクルシークエンス条件及びサンプル調製方法はマニュアルの方法を一部改変し、表3に示す反応液を用いて、PCR反応を行った。PCR条件は、96℃1分間を1サイクル、96℃10秒間、50℃5秒間、60℃4分間の一連の処理を25サイクルとした。 (2)シークエンシングサンプルの精製 上記で得られたサンプルに、Clean SEQ(Agencourt社製)10μlを混ぜながら添加した。62μlの85%エタノールを添加して、ピペッティング後、磁気プレート上に置き、3分間静止した。透明になっていることを確認して溶液を廃棄した。85%エタノールを100μl添加し、30秒静置した。溶液を廃棄し、同操作を繰り返した。37℃で10分間インキュベートし、0.1mM EDTA(pH8.0)を40μl加えて、5分間静置した。 16S rDNA部分塩基配列の決定および系統解析は以下のとおりに行った。各プライマーから得られた塩基配列は、Genetix-ATGC ver.10.1(Software development 社製)で編集し、16S rDNA部分塩基配列を決定した(図1)。決定された塩基配列を、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 日本DNAデータバンク(DDBJ:http://www.ddbj.nig.ac.jp/)よりBLAST検索を行った。BLAST検索の結果から、T7−2株はバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)と推定した。3.T7−2株によるPLA分解 上記で得られたT7−2株のPLA分解能を調べた。上記1で使用したPLA乳化寒天培地に、T7−2株を移植し、50℃で5日間培養した。結果を図2に示す。50℃5日間後の培地には、T7−2株による直径約3.1センチのクリアゾーンが形成された。 また、50℃3日間の培養では、T7−2株はPLA乳化寒天培地上に直径約2センチのクリアゾーンが形成した。従来のPLA分解活性性微生物(ストレプトアロテイカス・ヒンズスタヌス、サッカロモノスポラ・アズレア、キブデロスポランギウム・アリズム、サッカロポリスポラ・エリスラエ、サッカロポリスポラ・ホルデイ、ストレプトアロテイカス・ヒンズスタヌス、レントゼア・アルビドカピラタ、アクチノキネオスポラ・リパリア、アクチノポリスポラ・ハロフィラ、アクチノポリスポラ・モルチバリス、アクチノマデュラ・ビィリディス、ストレプトマイセス・ビオァセウスニガー、ストレプトマイセス・シアネス、アミコラトプシス・メディテラネイ)が同程度のクリアゾーンを形成するのに2週間かかることから、T7−2株によるPLA分解活性は従来の菌株よりも優れていることがわかる。本発明のT7−2株の16S rDNA部分塩基配列である。本発明のT7−2株によるPLA分解活性を示す写真である。 ポリ乳酸分解能を有する微生物バチルス・リケニフォルミス又はその破砕物を用いて、ポリ乳酸を分解することを特徴とするポリ乳酸の分解方法。 前記バチルス・リケニフォルミスが、バチルス・リケニフォルミスT7−2(FERM AP−20920)であることを特徴とする請求項1項記載のポリ乳酸の分解方法。 バチルス・リケニフォルミスT7−2(FERM AP−20920)。 【課題】ポリ酸を効率よく分解可能なポリ酸分解方法及びこれに利用可能な微生物を提供する。【解決手段】ポリ酸分解能を有する微生物バチルス・リケニフォルミス、特にバチルス・リケニフォルミスT7−2(FERM AP−20920)、又はその破砕物を用いて、生分解性プラスチックであるポリ乳酸を分解する。【選択図】なし配列表


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特許公報(B2)_ポリ乳酸の分解方法及び微生物

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タイトル:特許公報(B2)_ポリ乳酸の分解方法及び微生物
出願番号:2006152729
年次:2012
IPC分類:C12N 1/20,C12R 1/10


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徳山 真治 JP 4940427 特許公報(B2) 20120309 2006152729 20060531 ポリ乳酸の分解方法及び微生物 国立大学法人静岡大学 304023318 中島 淳 100079049 加藤 和詳 100084995 西元 勝一 100085279 福田 浩志 100099025 徳山 真治 20120530 C12N 1/20 20060101AFI20120510BHJP C12R 1/10 20060101ALN20120510BHJP JPC12N1/20 FC12N1/20 AC12N1/20 FC12R1:10C12N1/20 AC12R1:10 C12N 1/20 CA/BIOSIS/MEDLINE(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq SwissProt/PIR/GeneSeq PubMed WPI 特開平11−004680(JP,A) TOMITA,K. et al.,Isolation of thermophiles degrading poly(L-lactic acid).,J. Biosci. Bioeng.,1999年,Vol.87, No.6,pp.752-5 ODA,Y. et al.,Degradation of Polylactide by Commercial Proteases.,J. Polym. Environ.,2000年,Vol.8, No.1,pp.29-32 2 IPOD FERM P-20920 2007319078 20071213 9 20090508 幸田 俊希 本発明は、ポリ乳酸の分解方法及び微生物に関する。 近年、プラスチックの使用量が増加するにつれて、環境への配慮から天然環境下で分解可能な生分解性プラスチックの開発が進められている。例えばポリ乳酸は、水系環境下で加水分解可能な高分子であり、その分解には酵素が用いられることもある。またポリ乳酸を直接分解する微生物についてもいくつか同定されている。 ポリ乳酸分解能を有する微生物としては、例えば、土中から30℃で分離されたアミコラトプシス属放線菌、サッカロスリクス属放線菌、ストレプトマイセス属放線菌が知られている(例えば、特許文献1〜4)。また分子構造中にエステル結合を有するプラスチックの分解能を有するペニバチルス属細菌も、土中から30℃で分離されている(特許文献5)。これらの菌は、30℃4時間程度の処理でポリ乳酸を分解する。また、特許文献6〜7には、土中から50℃で分離されたバチルス・ズブチリス、バチルス・サーキュランス、バチルス・ステロサーモフィラス、アクチノマデュラ属放線菌、スタフィロコッカス属細菌が記載されている。これらの菌は、50℃における2週間程度の処理でポリ乳酸を分解する。特開平9−37776号公報特開2000−60540号公報特開2001−128693号公報特開平10−108669号公報特開2004−166542号公報特開平11−4680号公報特開平11−46755号公報 しかしながら、プラスチックの分解処理速度は一般に温度に依存して速くなるが、微生物の生育適温を超えると微生物による分解活性が低下する。一方、微生物のポリ乳酸の分解能は、その微生物種によって異なる。 従って、本発明は、ポリ乳酸を効率よく分解可能なポリ乳酸分解方法及びこれに利用可能な微生物を提供することを目的とする。 本発明のポリ乳酸の分解方法は、ポリ乳酸分解能を有する微生物バチルス・リケニフォルミス又はその破砕物を用いて、ポリ乳酸を分解することを特徴としている。 また前記バチルス・リケニフォルミスが、バチルス・リケニフォルミスT7−2(FERM AP−20920)であることが好ましい。 本発明の微生物は、バチルス・リケニフォルミスT7−2(FERM AP−20920)である。 本発明によれば、ポリ乳酸を効率よく分解可能なポリ乳酸分解方法及びこれに利用可能な微生物を提供することができる。 本発明のポリ乳酸の分解方法は、ポリ乳酸分解能を有する微生物バチルス・リケニフォルミス又はその破砕物を用いて、ポリ乳酸を分解することを特徴としている。 ポリ乳酸としては、乳酸を主成分とする重合体であればよく、ポリL−乳酸及びポリD−乳酸のようなホモポリマー、ポリL/D−乳酸、これらと他の成分から構成される共重合を挙げることができる。共重合体である場合には、乳酸成分は重量比率が10%以上のものであることが好ましい。また共重合体を構成する他の成分としては、ε−カプロラクトン、グリコリド、デプシペプチド等を挙げることができる。これらの他の成分は1種であっても、2種以上であってもよい。 本発明によって分解可能ポリ乳酸の分子量には特に制限はないが、例えば数平均分子量10,000〜100,000、分解速度の観点から好ましくは50,000〜300,000とすることができる。 本発明のポリ乳酸の分解方法に用いられる微生物は、バチルス・リケニフォルミスである。バチルス・リケニフォルミスであれば、いずれの菌株であってもよいが、特に、バチルス・リケニフォルミスT7−2株(茨城県つくば市東1−1−1中央第6、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター、受領番号FERM AP−20920、2006年5月22日付受領にて寄託)であることが分解活性の高さから好ましい。 バチルス・リケニフォルミスT7−2は、後述するように、森林土壌から、50℃の温度条件下でポリ乳酸を分解可能な微生物として分離された菌であり、グラム陽性を示し、TSB(Trypticase Soy Broth, Becton Dickinson)寒天培地、50℃で培養した栄養細胞は0.8×2〜3 μmの桿菌であり、楕円形の内生胞子を有する。R型のコロニーを形成し、その表面にはしわがあり、光沢はなく、ポリ乳酸の分解について優れた能力を有する。 本発明に用いられる微生物は、通常用いられる条件下で培養して、維持・増殖させることができる。このような培養条件としては、pH4〜10、生育速度の観点から好ましくはpH6.0〜8.0のpH,40〜60℃、生育速度の観点から好ましくは45〜55℃の培養温度とすることができる。 本発明に係る微生物を維持可能な培養用の基本培地(以下、単に「培地」という)としては、窒素源として例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムなど、その他無機塩類としては、例えばリン酸二カリウム、リン酸一ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸第一鉄、モリブデン酸ナトリウム、塩化マンガンなどを、それぞれ含むものであって、通常利用される固体又は液体培地であればいずれも好ましく使用できる。なお、培地には、上記成分の他、微生物の成育を促進させるための各種ビタミン、ミネラル、その他の栄養成分を含ませてもよい。 本微生物は、種々の形態でポリ乳酸の分解に用いられる。このような形態としては、微生物菌体、菌体の破砕物及び微生物の培養上清などの各形態から適宜選択することができる。菌体の場合には、その培養物から遠心分離等の集菌操作によって得られる生菌体、菌体を凍結乾燥した乾燥粉末、微生物を含む培養液のいずれであってもよい。破砕物としては、物理的手段又は化学的手段によって破砕されたものであればよく、物理的手段としては、物理的手段としては、超音波粉砕機、グラスビーズを用いた細胞破砕機などを挙げることができ、化学的手段としては、リゾチームなどの容菌酵素を挙げることができる。物理的手段又は化学的手段を用いて菌体を破砕する場合には、それぞれ破砕物の分解活性を損なわない穏和な条件下で行うことが好ましい。培養上清としては、前述した液体培地中で微生物を培養したものであればよく、培養上清における分解活性の強さから、好ましくは培養2日目以降、更に好ましくは培養3日以降の培養上清を使用することができる。 ポリ乳酸の分解処理は、適当な形態に調製された上記微生物を、好気条件下、処理されるべきポリ乳酸と接触させることによって行われる。分解処理時のpHは、pH4〜10、分解速度の観点から好ましくはpH6.0〜8.0とすることができる。また分解処理時の温度は、40℃〜60℃、ポリ乳酸の処理速度の観点から好ましくは45〜55℃とすることができる。処理時間は、5日間〜15日間、処理効率の観点から好ましくは7日間〜10日間とすることができる。 また、ポリ乳酸の分解処理を行う際のポリ乳酸の形態は、フィルム(シート)、成型体、破砕物、粉末、懸濁液などを挙げることができ、これらのいずれであってもよい。また分解処理時のポリ乳酸は、上述したようなポリ乳酸単独であってもよく、他のプラスチックとの混合物であってもよい。 分解処理におけるポリ乳酸の量は、対象となるポリ乳酸の形態及び処理に用いる微生物の形態によって異なるが、本菌培養液に100mlに対して、0.1〜5.0グラムとすることができ、分解速度の観点から0.5〜1.0グラムとすることができる。 処理は、培養槽に、基本培地、処理対象のポリ乳酸、分解能を有する微生物又はその破砕物を配合した粉末、錠剤、培養液を添加することによって行ってもよく、微生物を活性汚泥及びコンポストに組み込むことによって行ってもよい。 この他、ポリ乳酸の分解に適用可能な条件としては、本発明にかかる微生物の活性を損なわない限り、既知の条件をそのまま適用可能である。 以下に本発明の実施例について説明するが、これに限定されるものではない。 [実施例1]1. ポリ乳酸(PLA)を分解する微生物の分離(1) 表1に示す組成のポリ乳酸(PLA)含有基本培地を400ml調製し、それを等量に分け、一つには寒天を6g添加し加熱滅菌(120℃、20分間)する。加熱滅菌後、寒天を添加していない培地に16mlのジククロロメタンで溶解したPLA(レイシアH400、住友化学)を加え、超音波破砕機を用いて十分に乳化(10分間)させた。この乳化したPLAを、寒天を添加した培地に加え十分攪拌後、シャーレに分注し、PLA乳化寒天培地を作製した。(2) 森林土壌から、マイクロスパーテルを用いて少量の土壌サンプルを採取し、試験管に分注してある3mlの滅菌水に懸濁する。次に超音波洗浄機で試験管を30秒間処理して、さらに攪拌機を用いて十分(3分間)に懸濁する。この懸濁液0.1mlを、上記PLA乳化寒天培地に塗抹し、50℃で培養した。この結果、寒天培地上にPLA分解によるクリアゾーンを形成する微生物T7−2株を得た。2.微生物の同定 分離菌株(T7−2)をTSB(Becton Dickinson)平板培地に画線し、50℃にて24時間培養した。コロニーを楊枝でピックアップし、20μlの滅菌蒸留水に懸濁した。楊枝の先で、押しつぶしながら混ぜ、180μlのInstaGene Matrix(BIO-RAD社製)を加えた。手で軽く攪拌し、100℃で15分間加熱した。加熱後、10秒間以上攪拌し、12,000rpm(13,000×g)で2〜3分間遠心した。上澄み20μlを50μlスケールのPCRテンプレートとして用いた。 T7−2株の16SrDNA遺伝子の増幅は、後述する表4に記載した9F(配列番号1)及び1541R(配列番号2)をプライマーとして行った。サーマルサイクラーは、TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice Standard(タカラバイオ株式会社)を使用した。ポリメラーゼには、Hot Star Taq DNA polymerase(株式会社キアゲン)を使用した。反応液の組成は以下のとおりとし、PCR反応を、96℃5分間を1サイクル、97℃45秒間、50℃30秒間、74℃1分間の一連の処理を5サイクル、96℃45秒間、50℃30秒間、74℃1分間の一連の処理を25サイクルとして行い、PCR産物は、PCR Purification Kit -Spin Type- (BIONEX社製)を用いて精製した。 DNAシークエンスはダイターミネーター法により行った。塩基配列の決定には、ABI PRISM 3100 DNA Sequencer(Applied Biosystems社)を使用した。サイクルシークエンス、シークエンシング産物の精製、シークエンス条件についてはマニュアルの方法に従い、以下の方法で行った。 (1)シーケンスサンプルの調製 シーケンスサンプルの調製は、専用キットBigGye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社製)を使用し、シーケンスには、表4に記載した9F、785F(配列番号3)、802R(配列番号4)を使用した。サイクルシークエンス条件及びサンプル調製方法はマニュアルの方法を一部改変し、表3に示す反応液を用いて、PCR反応を行った。PCR条件は、96℃1分間を1サイクル、96℃10秒間、50℃5秒間、60℃4分間の一連の処理を25サイクルとした。 (2)シークエンシングサンプルの精製 上記で得られたサンプルに、Clean SEQ(Agencourt社製)10μlを混ぜながら添加した。62μlの85%エタノールを添加して、ピペッティング後、磁気プレート上に置き、3分間静止した。透明になっていることを確認して溶液を廃棄した。85%エタノールを100μl添加し、30秒静置した。溶液を廃棄し、同操作を繰り返した。37℃で10分間インキュベートし、0.1mM EDTA(pH8.0)を40μl加えて、5分間静置した。 16S rDNA部分塩基配列の決定および系統解析は以下のとおりに行った。各プライマーから得られた塩基配列は、Genetix-ATGC ver.10.1(Software development 社製)で編集し、16S rDNA部分塩基配列を決定した(図1)。決定された塩基配列を、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 日本DNAデータバンク(DDBJ:http://www.ddbj.nig.ac.jp/)よりBLAST検索を行った。BLAST検索の結果から、T7−2株はバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)と推定した。3.T7−2株によるPLA分解 上記で得られたT7−2株のPLA分解能を調べた。上記1で使用したPLA乳化寒天培地に、T7−2株を移植し、50℃で5日間培養した。結果を図2に示す。50℃5日間後の培地には、T7−2株による直径約3.1センチのクリアゾーンが形成された。 また、50℃3日間の培養では、T7−2株はPLA乳化寒天培地上に直径約2センチのクリアゾーンが形成した。従来のPLA分解活性性微生物(ストレプトアロテイカス・ヒンズスタヌス、サッカロモノスポラ・アズレア、キブデロスポランギウム・アリズム、サッカロポリスポラ・エリスラエ、サッカロポリスポラ・ホルデイ、ストレプトアロテイカス・ヒンズスタヌス、レントゼア・アルビドカピラタ、アクチノキネオスポラ・リパリア、アクチノポリスポラ・ハロフィラ、アクチノポリスポラ・モルチバリス、アクチノマデュラ・ビィリディス、ストレプトマイセス・ビオァセウスニガー、ストレプトマイセス・シアネス、アミコラトプシス・メディテラネイ)が同程度のクリアゾーンを形成するのに2週間かかることから、T7−2株によるPLA分解活性は従来の菌株よりも優れていることがわかる。本発明のT7−2株の16S rDNA部分塩基配列である。本発明のT7−2株によるPLA分解活性を示す写真である。 ポリ乳酸分解能を有する微生物バチルス・リケニフォルミスT7−2(FERM P−20920)又はその破砕物を用いて、ポリ乳酸を分解することを特徴とするポリ乳酸の分解方法。 バチルス・リケニフォルミスT7−2(FERM P−20920)。配列表


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