タイトル: | 公開特許公報(A)_環状非共役ジエン−ニッケル化合物の製造方法 |
出願番号: | 2006150146 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07C 5/00,C08F 4/80,C07C 13/263,C07F 15/04 |
福井 祥文 小林 万利子 JP 2007320863 公開特許公報(A) 20071213 2006150146 20060530 環状非共役ジエン−ニッケル化合物の製造方法 株式会社カネカ 000000941 福井 祥文 小林 万利子 C07C 5/00 20060101AFI20071116BHJP C08F 4/80 20060101ALI20071116BHJP C07C 13/263 20060101ALI20071116BHJP C07F 15/04 20060101ALN20071116BHJP JPC07C5/00C08F4/80C07C13/263C07F15/04 3 OL 6 4H006 4H050 4J015 4H006AA02 4H006AB40 4H006AC90 4H006BA09 4H006BB11 4H006BC10 4H006BE90 4H050AA02 4H050AD17 4H050BB11 4H050WB11 4H050WB21 4J015EA00 本発明は、環状非共役ジエン−ニッケル化合物の製造方法に関する。 ビス(シクロオクタジエン)ニッケルに代表される環状非共役ジエン−ニッケル化合物は、各種ニッケル化合物の前駆体として有効に活用されている。しかしながら、市販のビス(シクロオクタジエン)ニッケルに代表される環状非共役ジエン−ニッケル化合物は高価であり、低コスト化が期待されていた。 一方、環状非共役ジエン−ニッケル化合物の原料である2価のニッケル化合物の中には、Ni(acac)2やナフテン酸ニッケル等、市販品として安価なものがあり、それを利用したビス(シクロオクタジエン)ニッケルの合成が例示されている(例えば非特許文献1参照)。 しかしながら、上記では精製方法に再結晶を用いており、工業的スケールで利用する場合、操作が煩雑であり、安価とは言えなかった。実験科学講座第4版371頁 本発明の課題は、2価のニッケル化合物から調製される環状非共役ジエン−ニッケル化合物を簡単に精製する方法を提供することである。 上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、本発明を完成するにいたった。即ち本発明は、2価のニッケル化合物と環状非共役ジエンとトリアルキルアルミニウムとを脂肪族系化合物中で反応させることにより調製される環状非共役ジエン−ニッケル化合物を固液分離する環状非共役ジエン−ニッケル化合物の製造方法(請求項1)。 反応温度またはおよび固液分離を20度〜−20度で行うことを特徴とする請求項1の環状非共役ジエン−ニッケル化合物の製造方法(請求項2)。 脂肪族系化合物にて洗浄することを特徴とする請求項1、2の環状非共役ジエン−ニッケル化合物の製造方法(請求項3)。である。 安価な原料である2価のニッケル化合物を用い、本発明により簡単に精製させて得られる環状非共役ジエン−ニッケル化合物は、各種反応、例えばオレフィンの重合、特にオレフィンの水系重合の前駆体として使用しても、高活性を発現できる。以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、2価のニッケル化合物と環状非共役ジエンとトリアルキルアルミニウムとを脂肪族系化合物中で反応させることにより調製される環状非共役ジエン−ニッケル化合物を固液分離により製造する環状非共役ジエン−ニッケル化合物の方法に関する。 (2価のニッケル化合物) 本発明に用いることができる2価のニッケル化合物には特に制限はない。用いることができる2価のニッケル化合物の具体例としては例えば、Ni(acac)2、酢酸ニッケル、しゅう酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、ステアリン酸ニッケルがあるが、溶液状で入手可能なもの、およびまたは、脱水が容易という点から、特にナフテン酸ニッケルが好ましい。 (環状非共役ジエン) 本発明に用いることができる環状非共役ジエンにも特に制限はないが、用いることができる環状非共役ジエンの具体例としては例えば、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、1−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエンをあげることができる。その中でも、特に1,5−シクロオクタジエンが化合物の安定性を高めるという点から好ましい。 (トリアルキルアルミニウム) 本発明に用いることができるトリアルキルアルミニウムにも特に制限はない。ただし、アルキル基中の炭素数が大きくなるほどその発火性は穏やかになる傾向がある。一方で、アルキル基中の炭素数が小さいほどトリアルキルアルミニウム単位重量あたりのアルミニウム含量が高くなり、効率的な反応が可能となる。従って用いることができるトリアルキルアルミニウムの好ましい具体例としては例えば特にトリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムをあげることができ、その中でも殊にトリオクチルアルミニウムが好ましい。 (調製方法) 反応雰囲気は特に限定はないが、窒素やアルゴンなどの脱水・脱酸素雰囲気下で行うのがよい。本発明に用いることができる反応溶媒は脂肪族系化合物であることが特徴である。 中でも具体的にはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクナン、メチルブタン、メチルペンタン、メチルヘキサン、メチルヘプタン、ジメチルブタン、ジメチルペンタン、ジメチルヘキサン、ジメチルヘプタン、トリメチルブタン、トリメチルペンタン、ヘキサメチルエタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンが好ましくあげられ、殊にヘキサンが好ましい。生成物が析出して得られ易いためである。脂肪族エーテル系化合物も好ましく用いることができる。中でも特にジエチルエーテルが好ましい。芳香族系化合物、トルエン、キシレンなどが共存していてもよい。 脂肪族アルコール系化合物を用いると、アルコールがトリアルキルアルミニウムと反応するので脂肪族アルコール系化合物の使用は避ける必要がある。ブタジエンやイソプレンなどの共役ジエンを共存させてもよい。トリアルキルアルミニウムは溶液として用い、かつ、滴下するのが好ましい。 反応温度は20〜−20度、特に10度〜−10度、殊に5度〜−5度が好ましい。反応温度が高すぎると副反応により収率が低下する可能性があり、反応温度が低すぎると反応時間が長くなる可能性がある。反応時間は2〜24時間、特に4〜12時間が好ましい。 (精製方法) 本発明の製造方法は、2価のニッケル化合物と環状非共役ジエンとトリアルキルアルミニウムとを脂肪族系化合物中で反応させることにより調製される環状非共役ジエン−ニッケル化合物を固液分離により製造する方法であるが、反応が進行することにより系中に析出する目的物を簡単の為、デカンテーションさらには反応に用いた化合物と同じあるいは異なってもよい脂肪族系化合物で洗浄する方法をとって得ることができる。あるいはデカンテーションの前に一旦濃縮してもよい。 精製や洗浄の温度は上記の反応温度と同じでもあるいは異なっていてもよく、その温度は20〜−20度、特に10度〜−10度、殊に5度〜−5度が好ましい。高温では生成物の分解が進行しうるし、低温は特に工業的には経済的に不利である。 洗浄溶媒としては、反応に用いた脂肪族化合物と同じ化合物であっても異なっていてもよく、脂肪族系化合物を用いることが好ましく、中でも具体的にはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクナン、メチルブタン、メチルペンタン、メチルヘキサン、メチルヘプタン、ジメチルブタン、ジメチルペンタン、ジメチルヘキサン、ジメチルヘプタン、トリメチルブタン、トリメチルペンタン、ヘキサメチルエタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンが好ましく、殊にヘキサンが好ましい。脂肪族アルコール系化合物も好ましく用いることができる。中でもエタノール、メタノールが好ましく、殊にメタノールが好ましい。 脂肪族エーテル系化合物も好ましく用いることができる。中でも特にジエチルエーテルが好ましい。適宜そのままあるいは乾燥して次の反応や重合などに用いる。例えばオレフィンの重合、特にオレフィンの水系重合の前駆体として使用しても、高活性を発現できる。 以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。 (比較例1) 調製は通常のシュレンクテクニックを用いた。アルゴン雰囲気下、20mlシュレンクに脱水トルエン(関東化学(株)製)1mlとナフテン酸ニッケルトルエン溶液(Ni7%、strem製)0.172ml(200μmol)とシクロオクタジエン(和光純薬工業(株)製)0.1ml(800μmol)を混合した。溶液を0℃に冷やした状態でトリオクチルアルミニウム2mol/lトルエン溶液(東ソー・ファインケム(株)製)0.15mlを一滴ずつ滴下した。その後室温で2時間攪拌するとNi(cod)2の褐色の均一な溶液となった。 別の20mlシュレンクに配位子(C6F5−C(=PPh3)−C(=O)−CF3)13.5mg(25μmol)を脱水トルエン(関東化学(株)製)1mlに溶解し15分間攪拌した。それを調製したNi(cod)2トルエン溶液を半量にしたものに加え、脱水1−ヘキセン(和光純薬工業(株)製)1.5mlを加えた。室温で色の変化はなく、60℃で3分間加熱したところ、少し濃くなった。 ドデシル硫酸ナトリウム(Fuluka製)250mgを脱気蒸留水(和光純薬工業(株)製)7.5mlに溶解した水溶液に触媒溶液を加え、超音波ホモジナイザー(SMT company社製、超音波分散機 UH600)によって約10秒間乳化し、触媒乳化溶液を得た。 ドデシル硫酸ナトリウム(Fuluka製)2g、蒸留水(和光純薬工業(株)製)500ml、ヘキサデカン(和光純薬工業(株)製)5.1gを1L4つ口フラスコに入れ脱気し、脱水トルエン(関東化学(株)製)50mlを加えて超音波ホモジナイザーで2分間乳化し、乳化液を得た。乳化液をアルゴン置換した1Lオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製)に仕込み、65℃まで昇温した。触媒乳化溶液をフッ素樹脂製チューブを用いて迅速に導入し、750rpmで攪拌を開始した。 そこに脱酸素剤および脱水剤(ガスクリーンおよびドライカラム、それぞれ日化精工(株)製)で精製したエチレンガス(住友精化(株)社製)を導入し、オートクレーブ内を3MPaとし、70℃で2時間反応させた。エチレンはほとんど消費されなかった。2時間の反応後、未反応のエチレンガスを除去し固形分含量0.6%のポリエチレンラテックス550.23gを得た。ポリエチレンの合計収量は3.3gであり、TONは4700であった(TONは触媒の活性度を示し、単位触媒あたりのエチレンモノマー取り込み数を示す。TON=重合したエチレンのモル数/触媒のモル数(=配位子のモル数))。 (実施例1) 比較例1において、Ni(cod)2の合成をトルエンをヘキサンに変えて行った。ヘキサン溶液には沈殿物が析出し、上澄みヘキサン溶液を0℃でデカンテーションし、得られた沈殿物を乾燥して薄黄褐色粉体のNi(cod)2(100μmol)を使用した以外は比較例1と同様に行った結果、TONは48000に向上した。 (実施例2) 実施例1において、Ni(cod)2の合成を0℃・2時間攪拌して行った。その後攪拌を停止し0℃・一晩放置後、ヘキサン溶液には沈殿物が析出し、上澄みヘキサン溶液をデカンテーションして得られた沈殿物にさらにヘキサンを加えて洗浄(再分散)後ヘキサンをデカンテーション、その後沈殿物にメタノールを加えて洗浄(再分散)後メタノールをデカンテーションして精製した。乾燥した薄黄色粉体のNi(cod)2(100μmol)を使用した以外は比較例1と同様に行った結果、TONは21万と大きく向上した。 Ni(cod)2の合成、及び得られたNi(cod)2を用いた触媒を使用したエチレンの乳化重合のTON値を表1にまとめた。 2価のニッケル化合物と環状非共役ジエンとトリアルキルアルミニウムとを脂肪族系化合物中で反応させることにより調製される環状非共役ジエン−ニッケル化合物を固液分離する環状非共役ジエン−ニッケル化合物の製造方法。 反応温度またはおよび固液分離を20度〜−20度で行うことを特徴とする請求項1の環状非共役ジエン−ニッケル化合物の製造方法。 脂肪族系化合物にて洗浄することを特徴とする請求項1、2の環状非共役ジエン−ニッケル化合物の製造方法。 【課題】 本発明の課題は、2価のニッケル化合物から調製される環状非共役ジエン−ニッケル化合物を簡単に精製する方法を提供することである。【解決手段】 安価な原料である2価のニッケル化合物と環状非共役ジエンとトリアルキルアルミニウムを脂肪族系化合物中で反応させて、固液分離により簡単に精製させて環状非共役ジエン−ニッケル化合物を得る。このものは、各種反応、例えばオレフィンの重合、特にオレフィンの水系重合の前駆体として使用しても、高活性を発現できる。【選択図】 なし