生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_大腸ポリープの予防または治療のための薬剤
出願番号:2006149906
年次:2007
IPC分類:A61K 38/16,A61P 1/00,A61P 1/04,A61P 35/00,A23L 1/30,A23L 1/305,A23G 3/00,A23G 3/34


特許情報キャッシュ

寺口 進 関根 一則 古屋 幸浩 JP 2007320860 公開特許公報(A) 20071213 2006149906 20060530 大腸ポリープの予防または治療のための薬剤 森永乳業株式会社 000006127 重兼 彰夫 300019386 寺口 進 関根 一則 古屋 幸浩 A61K 38/16 20060101AFI20071116BHJP A61P 1/00 20060101ALI20071116BHJP A61P 1/04 20060101ALI20071116BHJP A61P 35/00 20060101ALI20071116BHJP A23L 1/30 20060101ALN20071116BHJP A23L 1/305 20060101ALN20071116BHJP A23G 3/00 20060101ALN20071116BHJP A23G 3/34 20060101ALN20071116BHJP JPA61K37/14A61P1/00A61P1/04A61P35/00A23L1/30 AA23L1/305A23G3/00 5 OL 10 4B014 4B018 4C084 4B014GB08 4B014GE06 4B014GK06 4B014GL08 4B018LB01 4B018MD20 4B018MD69 4B018ME14 4C084AA02 4C084AA03 4C084DC50 4C084MA52 4C084NA14 4C084ZA661 4C084ZB261 本発明は、ラクトフェリンを有効成分とする大腸ポリープの拡大抑制または縮小等の効果を有する大腸ポリープの予防又は治療のための薬剤に関する。 大腸ポリープは40歳代から増えはじめ、年齢が上がるほどできやすくなり、60歳代になると2人に1人がポリープを持っているといわれている。近年、日本では大腸ポリープは増加の一途をたどっており、これは動物性たんぱく質や脂肪の過剰摂取、食物繊維の不足など日本人の食生活の欧米化が原因でないかと考えられている。この予防のためには食生活を改善し、また便秘を防ぐことが重要と考えられている。 大腸ポリープは、大きく「腫瘍」とそれ以外の「炎症性」「過形成性」のポリープに分けられる。「腫瘍」に分類されるタイプのポリープも、良性の腫瘍と悪性の腫瘍がある。悪性の腫瘍が「癌:がん」で、良性の腫瘍は「腺腫」と呼ばれている。大腸ポリープの中で最も多いのが腺腫性ポリープで、全体の80%を占め、一般にポリープという場合はこの腺腫を指す場合が多く、腺腫はがんになる手前の状態(前がん状態)といわれている(例えば、非特許文献1)。大腸や小腸、胃などの消化管に、ポリープが100個以上存在する状態は「消化管ポリポーシス」といわれ、ポリープと区別して扱われている。その多くは遺伝性の病気で、家族性大腸ポリポーシスは癌抑制遺伝子の不活性化が原因である。 ポリープの大きさは、5mm以下の小さなものから3cmを越えるものまである。中でも5mm以下のポリープの担がん率は0.1〜2%であるのに対し、6〜9mmのポリープでは担がん率は10%前後、10mm以上のポリープではさらに高いことが報告されている(例えば、非特許文献2)。また、5mm超のポリープの増大率は5mm以下のポリープに比べ有意に高いと報告されている(例えば、非特許文献3)。これらのことから5mm超の病変は担がん率が高く、生長速度が速いので内視鏡による摘出などの早期治療が必要とされている。一方、5mm以下のポリープについては、内視鏡治療の対象とはせず、経過観察することが一般的であり、そのため、治療について適応を受けている薬剤は現在のところない。実際に、大腸ポリープ抑制に対する研究が、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)を用いて進められているが、半年から数年に渡って薬剤を投与する必要があり、その結果として服薬コンプライアンスが悪く、副作用が多いということも指摘されている(例えば、非特許文献4)。なお、その他の大腸ポリープの予防または治療のための薬剤としては、消化管ポリープおよび/または消化管癌の予防治療剤(特許文献1)、モフェゾラクを有効成分とする、消化管ポリープおよび/または消化管がんの予防または治療のための薬剤(特許文献2)等が開示されている。 ラクトフェリンは、涙、唾液、末梢血、乳汁等に含まれ、分子量が、ウシ・ラクトフェリンが86,000ダルトン、ヒト・ラクトフェリンが88,000ダルトンである鉄結合蛋白質(1分子当たり2個の鉄イオンを結合可能)である。また、ラクトフェリンには、大腸菌、カンジダ菌、クロストリジウム菌等の有害微生物に対して抗菌作用を示すこと、ヒト及び動物の腸内にビフィズス菌、乳酸菌等の有用細菌を定着するのに有効であること、ビフィズス菌増殖因子であること、抗ウイルス作用、免疫賦活作用、細胞増殖作用、抗腫瘍作用等、様々な作用を有することが開示されている。 これまで、ラクトフェリンについては、大腸上皮細胞の更新を促進することを特徴とする腸管機能の低下の予防または改善作用を有することが開示されている(特許文献3)。また、発癌剤を用いた大腸発癌ラットモデルにおいて、ラクトフェリンを摂取させることにより大腸癌の発生頻度が抑制されることが報告されている(非特許文献5)。しかしながら、ラクトフェリンが前がん状態の大腸ポリープ、特に大腸腺腫を縮小させる効果については一切報告されていなかった。特開平9−286725号公報特開2002−363079号公報特開2002−104992号公報「大腸ポリープがあると言われたら読む本」、石川秀樹著、PHP研究所、第1版、第18頁、2001年早期大腸がん、第4巻、第263頁、2000年消化器外科、第6巻、第1362頁、1983年最新医学、第59巻、第2424頁、2004年フーズ・フード・イングレジエンツ・ジャーナル(Foods Food Ingredients Journal)、第200巻、第27〜35頁、2002年 油脂類・動物性食品の摂取の増加と穀類の摂取減少など、日本における食生活の欧米化に伴い、大腸癌の罹患率、死亡率は顕著に増加している。肥満や肉類、アルコール、脂肪摂取、食物繊維、ビタミン、ミネラルなど、様々な因子が大腸癌の発生や進展に関与しているが、未だ疫学的研究において一定の見解が得られないものや、動物実験などでの結果との乖離などの問題が生じている。 本発明者らは、前記問題点等に鑑み、予防の観点から研究を進める中で、大腸癌、とりわけ前がん状態の大腸ポリープについて着目し、そのポリープの縮小効果について検討した結果、ラクトフェリンを経口投与することにより、前がん状態の大腸ポリープ、特に大腸腺腫を縮小させる効果を見出し、本発明の薬剤を完成するに至った。 すなわち、本発明は副作用が少なく経口投与が可能な、ラクトフェリンを有効成分とする大腸ポリープ縮小効果を有する大腸ポリープの予防又は治療のための薬剤を提供することを目的としている。 前記課題を解決する本発明は、ラクトフェリンを有効成分とする大腸ポリープの予防または治療のための薬剤であって、大腸ポリープの予防または治療が大腸ポリープの拡大抑制または縮小であること、大腸ポリープの最大径が5mm以下であることを望ましい態様とし、大腸ポリープが大腸腺腫であることが特に望ましい。 また、前記薬剤の有効成分であるラクトフェリンが、1日あたり10〜1000mg/kg体重の割合で経口投与されることも望ましい態様としている。 本発明により、ラクトフェリンを有効成分とする、前がん状態の大腸ポリープ、特に大腸腺腫を縮小させる効果を有する大腸ポリープの予防または治療のための薬剤が提供される。本発明の薬剤は、従来の薬剤とは異なり、日常的に摂取されている乳由来の成分を有効成分とするものであって、長期間連続投与しても副作用が殆ど無く、作用機序の新しい薬剤として、臨床応用を考える上で非常に有用である。 次に、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。 本発明の大腸ポリープの予防又は治療のための薬剤(以下、「本発明の薬剤」と略記することがある。)は、大腸ポリープの予防または治療に効果を有するが、具体的には、大腸ポリープの縮小または拡大抑制に効果を有すること、特に5mm以下の大腸ポリープの大きさが縮小し、または大腸ポリープが5mm超になることを予防することが可能である。なお、本発明の薬剤は、抗大腸ポリープ剤、または抗大腸腺腫剤等と記載することも可能である。 ポリープは、一般的には「腫瘍」と「それ以外のポリープ(炎症性ポリープ、過形成ポリープ等)」に分類されるが、本発明の薬剤は、腫瘍の中でも良性の腫瘍、特にS状結腸や直腸にできる「腺腫」に対して予防または治療に著効を有する。なお、「腺腫」は、がんになる手前の状態、いわゆる前がん状態において、腺細胞が異常をきたして増殖したものを示す。 本発明の有効成分として使用するラクトフェリンは、市販品であってもよく、哺乳類(例えば、ヒト、ウシ、水牛、ウマ、ヤギ、ヒツジ等)の初乳、移行乳、常乳、末期乳等、これらの処理物である脱脂乳、ホエー等からイオン交換クロマトグラフィー等の常法により分離したラクトフェリン、ラクトフェリンから常法により鉄を除去したアポラクトフェリン、アポラクトフェリンに鉄、銅、亜鉛、マンガン等の金属を一部又は完全にキレートさせた金属非飽和ラクトフェリン、又は金属飽和ラクトフェリンのいずれであっても可能である。 また、組換えDNA技術により得られる組換え真菌、組換え乳牛(トランスジェニック・カウ)等により生産されるヒト・ラクトフェリン等も、同様に本発明に使用することができる。 本発明の薬剤は、公知の方法により種々の態様に製剤化され、経口投与することができる。本発明の薬剤の有効成分であるラクトフェリンの投与量は、剤型、症状、年齢、体重等によって異なるが、大腸ポリープの予防または治療を効果的に発揮させるためには、少なくとも1mg/kg体重/日の割合で経口投与、特に10〜1000mg/kg体重/日の割合で投与することが好ましい。 本発明の薬剤としては、例えば、ラクトフェリンを薬学的に許容され得る賦形剤等の任意の添加剤を用いて製剤化することにより製造できる。製剤化する場合、製剤中のラクトフェリンの含有量は、通常0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜10質量%である。製剤化にあたっては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤、注射剤用溶剤等の添加剤を使用できる。具体的製剤として、錠剤(糖衣錠、腸溶性コ−ティング錠、バッカル錠を含む。)、散剤、カプセル剤、(腸溶性カプセル、ソフトカプセルを含む。)、顆粒剤(コ−ティングしたものを含む。)、丸剤、トロ−チ剤、封入リポソーム剤、液剤、又はこれらの製剤学的に許容され得る徐放製剤等を例示することができる。 これらの製剤に用いる担体及び賦形剤としては、乳糖、ブドウ糖、白糖、マンニト−ル、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、結晶セルロ−ス、カンゾウ末、ゲンチアナ末など、結合剤としては例えば澱粉、ゼラチン、シロップ、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルエ−テル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロ−ス、エチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−ス等を例示することができる。 また、崩壊剤としては、澱粉、寒天、ゼラチン末、カルボキシメチルセルロ−スナトリウム、カルボキシメチルセルロ−スカルシウム、結晶セルロ−ス、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、及びアルギン酸ナトリウム等を、それぞれ例示することができる。 更に、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、水素添加植物油、及びマクロゴ−ル等、着色剤としては医薬品に添加することが許容されている赤色2号、黄色4号、及び青色1号等を、それぞれ例示することができる。 錠剤及び顆粒剤は、必要に応じ白糖、ヒドロキシプロピルセルロ−ス、精製セラック、ゼラチン、ソルビト−ル、グリセリン、エチルセルロ−ス、ヒドロキシプロピルセルロ−ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、ポリビニルピロリドン、フタル酸セルロ−スアセテ−ト、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−スフタレ−ト、メチルメタクリレ−ト、及びメタアクリル酸重合体等により被膜することもできる。 本発明の薬剤は、それのみで使用してもよいが、その他の大腸ポリープに効果を有する医薬組成物、又は飲食品と併用してもよい。併用によって、大腸ポリープの予防または治療の効果を高めることができる。併用する医薬組成物、又は飲食品は、本発明の薬剤中に有効成分として含有させてもよいし、本発明の薬剤中には含有させずに別個の薬剤、飲食品等として組み合わせて商品化してもよい。 本発明の薬剤は、副作用が殆ど無く、耐性菌が生じる心配が少ないことから、投与対象者として、大腸ポリーブ保有者、便秘がちの40歳以上の成人、大腸ポリープ切除等の手術後の患者、大腸がん発症リスクの高い者等を選択して使用することが好ましい。 また、本発明の薬剤は、飲食品に含有させて飲食品の形態で摂取させることも可能である。 本発明の薬剤を含有する飲食品は、飲料又は食品素材に、ラクトフェリンを含有させて製造することができる。飲食品として好ましい形態は、例えば、錠菓、清涼飲料、乳製品、健康食品、菓子類等を例示することができる。 また、本発明の有効成分であるラクトフェリンを飲食品に添加して、大腸ポリープの予防または治療の効果を利用するような種々の用途をとった飲食品として利用することも可能である。ラクトフェリンは食品成分で安全性が高いため、これを添加することによって、安全で、且つ健康維持及び健康増進に有用な飲食品を提供し得る。 その場合の飲食品は、大腸ポリープを改善するためとの用途が表示された飲食品、例えば「大腸ポリープ改善用と表示された、大腸ポリープ改善効果を有する飲食品」、「大腸ポリープ改善用と表示された、ラクトフェリンを含有する飲食品」、あるいは「大腸ポリープ予防用と表示された、ラクトフェリンを含有する飲食品」等として販売することが好ましい。 なお、以上のような表示を行うために使用する文言は、「大腸ポリープ改善用」あるいは「大腸ポリープ予防用」という文言のみに限られるわけではなく、それ以外の文言であっても、大腸ポリープを予防又は治療効果若しくは大腸ポリープが原因で引き起こされる疾患の予防又は治療効果を表す文言であれば、本発明の範囲に包含されることはいうまでもない。そのような文言としては、例えば、需要者に対して、大腸ポリープの予防効果及び/又は改善効果を認識させるような種々の用途に基づく表示も可能である。 前記「表示」の行為(表示行為)には、需要者に対して上記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、上記用途を想起・類推させうるような表示であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、すべて本発明の「表示」の行為に該当する。しかしながら、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により表示することが好ましい。具体的には、本発明の飲食品に係る商品又は商品の包装に上記用途を記載する行為を表示行為として挙げることができ、さらに商品又は商品の包装に上記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為、等を例示できる。 一方、表示される内容(表示内容)としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示)であることが好ましく、そのような表示内容を、包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。 また、例えば、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、医薬用部外品等としての表示を例示することができる。特に、厚生労働省によって認可される表示、例えば、特定保健用食品制度、これに類似する制度にて認可される表示を例示できる。後者の例としては、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク低減表示等を例示することができ、詳細にいえば、健康増進法施行規則(平成15年4月30日日本国厚生労働省令第86号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)、及びこれに類する表示が、典型的な例として列挙することが可能である。 次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。(ラクトフェリンを配合した錠菓の調製) 次の組成からなる大腸ポリープ縮小効果を有する錠菓を以下の方法により製造した。 ウシ・ラクトフェリン(ミライ社製) 20.0(%) ビフィドバクテリウム・ロンガム菌末(森永乳業社製) 15.0 ラクチュロース(森永乳業社製) 20.0 還元麦芽糖(東和化成工業社製) 26.4 ソルビトール(日研化学社製) 15.2 グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製) 1.8 フレーバー(長谷川香料社製) 0.4 ウシ・ラクトフェリン、ビフィドバクテリウム・ロンガム菌末、ラクチュロース、還元麦芽糖、グリセリン脂肪酸エステル、及びフレーバーを混合し、常法により打錠して1g当たりラクトフェリンを200mg含有する錠菓を得た。(ラクトフェリンを配合した錠剤の調製) 次の組成からなる錠剤の抗大腸ポリープ剤を以下の方法により製造した。 ウシ・ラクトフェリン(ミライ社製) 30.0(%) ソルビトール(東和化成工業社製) 15.0 コーンスターチ(加藤化学社製) 10.0 還元麦芽糖(東和化成工業社製) 31.6 グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製) 1.8 フレーバー(長谷川香料社製) 0.4 ウシ・ラクトフェリン、ソルビトール、コーンスターチ、還元麦芽糖、グリセリン脂肪酸エステル、及びフレーバーを混合し、常法により打錠して1g当たりラクトフェリンを300mgを含有する錠剤を得た。(カプセル入りラクトフェリンの調製) 乳糖(和光純薬工業社製)400g、トウモロコシデンプン(日清製粉社製)200g、結晶セルロース(和光純薬工業社製)200g、ビフィドバクテリウム・ロンガム菌末(森永乳業社製)600g、及びラクトフェリン(ミライ社製)600gを、それぞれ50メッシュ篩(ヤマト科学社製)により篩分けして厚さ0.5mmのポリエチレン製の袋に取り、転倒混合した。全自動カプセル充填機(Cesere Pedini社製。プレス式)を用い、前記粉末をカプセル(日本エランコ社製。1号ゼラチンカプセル、Op.Yellow No.6 Body、空重量75mg)に内容量275mgで充填し、ラクトフェリン82mg入りのカプセル剤(抗大腸腺腫剤)7000個を得た。 次に、本発明の薬剤を飲食品に含有させる場合について例示する。なお、以下の各参考例に基づいて、本発明の薬剤を特定保健用食品等に応用することが可能である。[参考例1](ラクトフェリンを含有するヨーグルトの製造) 乳脂肪含量3.5%、無脂乳固形分含量9.2%の生乳10kgを均質化し、80℃で10分間加熱殺菌した脱脂乳1kgに、記載通りに調製した市販のヨーグルトスターター(クリスチャンハンセン社、YB-15)を2%、ウシラクトフェリン(ミライ社)0.2g、及びビフィドバクテリウム・ロンガムの培溶液1%を添加混合し、100mlずつヨーグルトカップに分注した後、40℃で5時間静置して発酵させ、ヨーグルトを製造した。なお、本ヨーグルト中の牛ラクトフェリン濃度は200ppmであった。[参考例2](ラクトフェリンを添加した乳飲料の調製) 脱脂粉乳(森永乳業社製)90gを50℃の温湯800mlに溶解し、砂糖(日新製糖社製)30g、インスタントコーヒー粉末(ネスレ社製)14g、カラメル(昭和化工社製)2g、及びコーヒーフレーバー(三栄源FFI社製)0.01gを攪拌しながら順次添加して溶解し、10℃に冷却後、ラクトフェリン(ミライ社製)2g、ラクチュロース2gを添加して、ラクトフェリン約0.1%をを含有する乳飲料を調製した。[参考例3](ラクトフェリンを添加した乳酸菌飲料の製造) 乳脂肪含量3.5%、無脂乳固形分含量9.2%の生乳10kgを均質化し、90〜92℃で10分間加熱殺菌した。約42℃に冷却し、スターターとして市販のストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバシラス・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)の牛乳カルチャーをそれぞれ100gずつ添加した。発酵タンク内で充分に攪拌し、42〜45℃で4時間静置して発酵させた。この発酵乳を攪拌しながら5〜8℃に冷却し、次いでホモゲナイザーで均質化することによって均質化発酵乳を調製した。 次に、17%のグラニュウ糖(東洋精糖社製)液5kgにペクチン(三栄源FFI社製)60gを添加して、90〜92℃で10分間殺菌した後、5〜8℃に冷却して糖液を調製した。また、ラクトフェリン(ミライ社製)10gを水100gに溶解し、メンブラン・フィルター(ミリポア社製)で無菌濾過してラクトフェリン溶液を得た。 これらの方法で調製した均質化発酵乳、糖液、及びラクトフェリン溶液のそれぞれ全量をタンク内で十分に混合し、100gずつ紙容器に充填した後、密封してラクトフェリン添加の乳酸菌飲料100個を製造した。 次に試験例を示して本発明を詳細に説明する。[試験例1] 本試験は、本発明のラクトフェリンを含有する薬剤(錠菓)における大腸ポリープ縮小効果、とりわけ大腸腺腫に対する効果を調べるために行った。(1)被験者 大腸内視鏡検査右半結腸(上行結腸、横行結腸)、左半結腸(下行結腸から直腸まで)の各々、又はいずれかに5mm以下の腺腫を有し、家族性大腸ポリポーシス・遺伝性非ポリポーシス大腸がんと定義されない者108名を被験者とした。(2)試験薬剤(錠菓)の調製 試験薬剤として、ラクトフェリンを含む錠菓(試験群)、プラセボ錠菓(対照群)を以下の方法により調製した。a)ウシラクトフェリン3.0g/日摂取群の錠菓(ウシラクトフェリン500mg/錠含有:試験群) 一錠中にウシラクトフェリンを500mg、その他賦形剤(計1g)としてマルチトール、ソルビトール、コーンスターチ、乳化剤、香料、シュガーパウダー、天然色素を常法により打錠して一錠あたり1.5gの錠菓aを調製した。b)ウシラクトフェリン1.5g/日摂取群の錠菓(ウシラクトフェリン250mg/錠含有:試験群) 一錠中にウシラクトフェリンを250mgと、前記錠菓aにおけるその他の賦形剤と同様の成分について各々1.25倍量(賦形剤量1.25g)とを混合し、常法により打錠して一錠あたり1.5gの錠菓bを調製した。c)プラセボ錠菓(ウシラクトフェリン非含有錠菓:対照群) 前記錠菓aにおけるその他の賦形剤と同様の成分について各々1.5倍量を混合し、常法により打錠して一錠あたり1.5gのプラセボ錠菓を調製した。(3)試験方法 被験者108人を年齢、性別、腺腫の大きさ、腺腫の数、腺腫の存在部位を考慮した動的割付法を用いて割付して3群に分け、各群の被験者にそれぞれ錠菓a、錠菓b、プラセボ錠菓を1日6錠朝夕の2回に分け、12ヶ月間継続して摂取させた。 試験の評価は、摂取開始前及び摂取12ヶ月目に大腸内視鏡検査を実施した。具体的には、摂取開始前に検査右半結腸(上行結腸、横行結腸)、左半結腸(下行結腸から直腸まで)の最も口側に存在する5mm以下の腺腫(左右両側に存在の場合は2個、片側のみの場合は1個)の最大径を測定して、マーキングし、その後、摂取12ヶ月目にマーキングした腺腫の最大径を再度測定した。(4)試験結果 本試験の結果、不適格例2例を除いた106例について、摂取前後の腺腫径を比較した。その結果、ラクトフェリンを含有する錠菓a、錠菓bのうち、平均腺腫径は、錠菓aを摂取した群(34名)において、摂取開始前4.06mmであったものが、摂取12ヶ月目3.86mmとなり、錠菓bを摂取した群(37名)において、摂取開始前3.79mm、摂取12ヶ月目3.87mmとなり、それぞれ用量依存的に進展抑制効果を示すことが明らかとなった。一方、プラセボ錠菓を摂取した群(35名)においては、平均腺腫径は摂取開始前3.98mmであったものが、摂取12ヶ月目に4.24mmとなり、腺腫がやや大きくなることが確認された。 すなわち、ラクトフェリンにより大腸腺腫の拡大抑制または縮小等の効果が確認されたことから、大腸腺腫、すなわち大腸ポリープの予防または治療に有用であることが示された。 本発明により、ラクトフェリンを有効成分とする、前がん状態の大腸ポリープ、特に大腸腺腫を縮小させる効果を有する大腸ポリープの予防または治療のための薬剤は、従来の薬剤とは異なり、乳由来の成分を有効成分とするものであって、副作用が殆ど無く、長期間の投与が可能であり、医薬品だけでなく飲食品、特に、特定保健用食品や栄養機能食品等の健康の維持又は健康増進に有用な飲食品に適用することが可能である。 ラクトフェリンを有効成分とする大腸ポリープの予防または治療のための薬剤。 大腸ポリープの予防または治療が大腸ポリープの拡大抑制または縮小である請求項1に記載の薬剤。 大腸ポリープの最大径が5mm以下である請求項1または2に記載の薬剤。 大腸ポリープが大腸腺腫である請求項1〜3のいずれか一項に記載の薬剤。 ラクトフェリンが、1日あたり10〜1000mg/kg体重の割合で経口投与されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の薬剤。 【課題】 長期間の投与が可能な、ラクトフェリンを有効成分とする大腸ポリープ縮小効果を有する大腸ポリープの予防又は治療のための薬剤を提供する。【解決手段】 ラクトフェリンを有効成分とする大腸ポリープの予防または治療のための薬剤であって、大腸ポリープの予防または治療が大腸ポリープの拡大抑制または縮小であること、大腸ポリープの最大径が5mm以下であることを望ましい態様とし、大腸ポリープが大腸腺腫であることが特に望ましい。【選択図】 なし


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