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タイトル:公開特許公報(A)_日射反射率を算出するための分光反射率予測計算方法、及び、分光反射率予測計算装置、半導体チップ、回路基板、分光反射率予測プログラム、コンピュータシステム、並びに、分光反射率予測計算システム
出願番号:2006144115
年次:2007
IPC分類:G06F 17/50,C09D 201/00,G01J 3/46,G01N 21/27,C09D 7/14


特許情報キャッシュ

金森 博 JP 2007316829 公開特許公報(A) 20071206 2006144115 20060524 日射反射率を算出するための分光反射率予測計算方法、及び、分光反射率予測計算装置、半導体チップ、回路基板、分光反射率予測プログラム、コンピュータシステム、並びに、分光反射率予測計算システム 日本ペイント株式会社 000230054 伊東 忠彦 100070150 金森 博 G06F 17/50 20060101AFI20071109BHJP C09D 201/00 20060101ALI20071109BHJP G01J 3/46 20060101ALI20071109BHJP G01N 21/27 20060101ALI20071109BHJP C09D 7/14 20060101ALI20071109BHJP JPG06F17/50 612AC09D201/00G01J3/46 ZG01N21/27 BC09D7/14 20 25 OL 52 2G020 2G059 4J038 5B046 2G020AA08 2G020DA02 2G020DA03 2G020DA04 2G020DA12 2G020DA34 2G020DA45 2G059AA02 2G059BB10 2G059EE02 2G059EE12 2G059EE13 2G059HH02 2G059MM01 2G059MM09 2G059MM10 4J038LA06 4J038NA15 4J038NA19 4J038PB05 5B046AA03 5B046JA07 本発明は、日射反射率を算出するための分光反射率予測計算方法、及び、分光反射率予測計算装置、半導体チップ、回路基板、分光反射率予測プログラム、コンピュータシステム、並びに、分光反射率予測計算システムに係り、特に、塗膜構造体の日射反射率RSを算出するために必要な可視光波長域及びそれに隣接する非可視光波長域での波長λにおける分光反射率ρ(λ)を予測計算するための日射反射率を算出するための分光反射率予測計算方法、及び、分光反射率予測計算装置、半導体チップ、回路基板、分光反射率予測プログラム、コンピュータシステム、並びに、分光反射率予測計算システムに関する。 近年、省エネルギーの観点から、建築物などの屋根や外壁などに太陽熱高反射塗装が多く用いられているようになってきている。 太陽熱高反射塗料(遮熱塗料)は、高い日射反射率を有する塗料である。高日射反射率塗膜を構成・保持するための技術は多数報告されており、それらの技術を用いて遮熱塗料配合設計、日射反射率最適化積層仕様等が考えられるようになっている(特許文献1〜7参照)。このような、太陽熱高反射塗料を、日射の当たる建築物の屋根・壁面、或いは、道路面、車両、船舶等、日射による熱負荷の軽減が望まれる構造物表面に適用することによって、日射エネルギーを反射させ、温度上昇の緩和、空調負荷の低減が可能となる。特公平6−19061号特許第3484164号特許第2593968号特開2000−212475号公報特開2002−12825号公報特開2004−10853号公報特開2004−27241号公報 実際に遮熱塗料を適用する場合には、被塗物の用途、ユーザ(塗膜購入者)の希望に合わせ、塗膜色を調色して提供する。このため、遮熱塗料の原色を複数色用意し、その混色によって望む塗膜色を調色することが一般的である。 遮熱塗料では、「日射反射率RS」の高低がその機能の優劣を支配する重要な指標であるため、調色した遮熱塗料についての「日射反射率RS」を予めユーザに提示する必要がある。従来、日射反射率RSを計算により予測することは困難であり、実際に調色を実施し、塗膜を作成したのち分光光度計を用いて実測し、日射反射率RSを計算していた。 日射反射率RSの予測が困難である2つの理由を以下の実測例を用いて説明する。 第1の理由については、遮熱塗料の原色群から、図1(A)に示すようなホワイト原色と図1(B)に示すようなブルー原色との混色による実測例を用いて説明する。 この2原色を質量比50:50(等量混色)で混色すると図1(C)に示すような混色塗膜構造体を得る。 図1は、塗膜構造体の塗膜色について、可視光波長域(380〜780nm)における塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)の実測値を用いて、JIS Z 8722 (2000) 色の測定方法−反射及び透過物体色JIS Z 8729 (2004) 色の表示方法−L*a*b*表色系及びL*u*v*表色系(CIELAB表示系)JIS Z 8721 (1993) 色の表示方法−三属性による表示(マンセル表示系)に準じて計算した値と、 塗膜構造体の日射反射率RSについて、日射波長域(300〜2100nm)における塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)の実測値を用いて、JIS R 3106 (1998) 板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射取得率の試験方法に準じて計算した値を示している。 なお、試験片は、塗装下地としてJIS K 5600 (1999) 4.1.2に規定されている隠蔽率試験紙の白地部分を用い、上記塗料を6mil塗布した塗膜構造体を使用している。 一般に、塗膜色、分光反射率ρ(λ)の測定は、図2に示すような測定システム100により行われる。 測定システム100は、積分球111の透過側開口部121に光を入射し、反射側開口部122に配置された試験片101に光を照射し、試験片101で反射された光を積分球111により検出器112に集光して、検出器112によって試験片101の分光反射率ρ(λ)を測定する。 このような測定システムとして、島津紫外・可視・近赤外分光光度計UV-3600(島津製作所製)に、UV-3600/3100シリーズ用積分球付属装置ISR-3100(島津製作所製)を設置した測定システムがあり、本明細書中の実測値はこの測定システムを用いたものである。 また、試験片101の測定面に対する入射光の入射角については、JIS R 3106に、「15°を超えない入射角」との規定があるのでそれに準じる入射角8°で測定した。 上記の図1に示す実測例のように、塗膜構造体の日射反射率RSが90.2%であるホワイト原色と、日射反射率RSが29.3%であるブルー原色を等量混色した場合に、その混色塗膜構造体の日射反射率RSは、 90.2%×0.5 + 29.3%×0.5 = 59.75%とはならず、それよりも17.55ポイント低い42.2%となっている。 これは、「日射反射率RSには加法性が成立しない」ことを示しており、日射反射率RSが解っている原色同士の混色であっても、その結果は単純な足し算では予測できないことを示している。 第2の理由を、図1(A)に示したホワイト原色を、隠蔽率試験紙(黒地)の上に4、6、8、10milの厚さで塗布した塗膜構造体についての実測例を用いて説明する。この場合の各塗膜構造体についての日射反射率RSの推移を図3に示す。ここで、隠蔽率試験紙(黒地)の日射反射率RSは、5.3%であり、図3に示すように塗膜の日射反射率RSが、下地の影響を受け、塗布厚さの増加と共に、変化していくことが解る。 つまり、同じ塗料を用いても、塗膜構造体の日射反射率RSは、その下地の種類、塗布厚さによって異なるため、塗膜単独での日射反射率RSを考えることには現実的な意味が希薄である。よって、より現実的な日射反射率RSを考えるために被塗物となる下地、下塗り/中塗り/上塗り等の塗装仕様、及び、塗布量を総合的に勘案した値である必要がある。 本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、被塗物となる下地上に、調色された塗料を積層することによって形成される塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を予測計算することにより、塗膜構造体の日射反射率RSの正確、かつ、迅速な提示を可能とするための日射反射率予測方法、及び、日射反射率予測装置、半導体装置、回路基板、日射反射率予測プログラム、コンピュータシステム、並びに、日射反射率予測計算システムを提供することを目的とする。 本発明の分光反射率予測計算方法は、塗膜構造体の日射反射率RSを算出するために必要な可視光波長域及びそれに隣接する非可視光波長域での波長λにおける、塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を予測計算する分光反射率予測計算方法であって、下地の分光反射率ρg(λ)に基づいて下地の反射率Rg(λ)を算出する下地反射率算出手順と、下地に積層される塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚を取得する塗膜データ取得手順と、下地反射率算出手順で取得した下地の反射率Rg(λ)、及び、塗膜データ取得手順で取得された塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚に基づいて塗膜構造体の反射率R(λ)を算出し、これに基づいて塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を算出する塗膜構造体分光反射率算出手順とを有することを特徴とする。 また、本発明は、塗膜構造体分光反射率算出手順で算出された分光反射率ρ(λ)を下地の分光反射率ρg(λ)に設定する下地分光反射率設定手順を有し、下地反射率算出手順、及び、塗膜データ取得手順、並びに、塗膜構造体分光反射率算出手順を順次に繰り返すことにより、二種以上の塗料種積層によってなる塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を算出することを特徴とする。 さらに、本発明の分光反射率予測計算方法は、塗膜構造体分光反射率算出手順で算出された塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)に基づいて塗膜構造体の日射反射率RSを算出する日射反射率算出手順を有することを特徴とする。 また、本発明は、塗膜構造体分光反射率算出手順で求められた塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)の可視光波長域の部分に基づいて塗膜色を算出する塗膜色算出手順を有することを特徴とする。 また、本発明の分光反射率予測計算方法は、塗膜データ取得手順で取得した塗膜構造体の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚に基づいて、この塗膜構造体を形成する一層のみからなる単一塗膜層の日射透過率TSFF、日射反射率RSFF、及び日射吸収率ASFFを算出する単一塗膜層日射特性算出手順を有することを特徴とする。 さらに、下地反射率算出手順は、下地の分光反射率ρg(λ)をサンダーソン逆補正式に基づいて下地の反射率Rg(λ)へ補正する補正手順を有することを特徴とする。 また、本発明の分光反射率予測計算方法は、塗膜構造体分光反射率算出手順は、塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比からに基づいて吸収係数及び散乱係数を合成し、に基づいて塗膜構造体の反射率R(λ)を計算し、計算された塗膜構造体の反射率R(λ)をサンダーソン補正式に基づいて塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)へ補正することを特徴とする。 また、本発明の分光反射率予測計算装置は、塗膜構造体の日射反射率RSを算出するために必要な可視光波長域及びそれに隣接する非可視光波長域での波長λにおける、塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を予測計算する分光反射率予測計算装置であって、下地の分光反射率ρg(λ)に基づいて下地の反射率Rg (λ)を算出する下地反射率算出手段と、下地に積層される塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚を取得する塗膜データ取得手段と、下地反射率算出手段で取得した下地の反射率Rg(λ)、及び、塗膜データ取得手段で取得された塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚に基づいて塗膜構造体の反射率R(λ)を算出し、これに基づいて塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を算出する塗膜構造体分光反射率算出手段とを有することを特徴とする。 また、本発明の分光反射率予測計算装置は、塗膜構造体分光反射率算出手段で算出された分光反射率ρ(λ)を前記下地の分光反射率ρg(λ)に設定し、下地反射率算出手段、及び、塗膜データ取得手段、並びに、塗膜構造体分光反射率算出手段を順次に繰り返すことにより、二種以上の塗料種積層によってなる塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を算出することを特徴とする。 さらに、本発明の分光反射率予測計算装置は、塗膜構造体分光反射率算出手段で算出された塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)に基づいて塗膜構造体の日射反射率RSを算出する日射反射率算出手段を有することを特徴とする。 塗膜構造体分光反射率算出手段で求められた塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)の可視光波長域の部分に基づいて塗膜色を算出する塗膜色算出手段を有することを特徴とする。 塗膜データ取得手段で取得した塗膜構造体の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚に基づいて、この塗膜構造体を形成する一層のみからなる単一塗膜層の日射透過率TSFF、日射反射率RSFF、及び日射吸収率ASFFを算出する単一塗膜層日射特性算出手段を有することを特徴とする。 下地反射率算出手段は、前記下地の分光反射率ρg(λ)をサンダーソン逆補正式に基づいて下地の反射率Rg(λ)へ補正する補正手順を有することを特徴とする。 塗膜構造体分光反射率算出手段は、塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比からに基づいて吸収係数及び散乱係数を合成し、に基づいて塗膜構造体の反射率R(λ)を計算し、計算された塗膜構造体の反射率R(λ)をサンダーソン補正式に基づいて塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)へ補正することを特徴とする。 また、本発明のコンピュータシステムは、下地の分光反射率ρg(λ)に基づいて下地の反射率Rg(λ)を算出する下地反射率算出手段と、下地に積層される塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚を取得する塗膜データ取得手段と、下地反射率算出手段で取得した下地の反射率Rg(λ)、及び、塗膜データ取得手段で取得された塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚に基づいて塗膜構造体の反射率R(λ)を算出し、これに基づいて塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を算出する塗膜構造体分光反射率算出手段とを有し、塗膜構造体の日射反射率RSを算出するために必要な可視光波長域及びそれに隣接する非可視光波長域での波長λにおける、塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を予測計算することを特徴とする。 また、本発明の半導体チップは、下地の分光反射率ρg(λ)に基づいて前記下地の反射率Rg(λ)を算出する下地反射率算出手段と、下地に積層される塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚を取得する塗膜データ取得手段と、下地反射率算出手段で取得した下地の反射率Rg(λ)、及び、塗膜データ取得手段で取得された塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚に基づいて塗膜構造体の反射率R(λ)を算出し、これに基づいて塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を算出する塗膜構造体分光反射率算出手段とが半導体基板上に搭載され、塗膜構造体の日射反射率RSを算出するために必要な可視光波長域及びそれに隣接する非可視光波長域での波長λにおける、塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を予測計算することを特徴とする。 さらに、本発明の回路基板は、下地の分光反射率ρg(λ)に基づいて下地の反射率Rg(λ)を算出する下地反射率算出手段と、下地に積層される塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚を取得する塗膜データ取得手段と、下地反射率算出手段で取得した下地の反射率Rg(λ)、及び、塗膜データ取得手段で取得された塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚に基づいて塗膜構造体の反射率R(λ)を算出し、これに基づいて塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を算出する塗膜構造体分光反射率算出手段とが基板上に搭載され、塗膜構造体の日射反射率RSを算出するために必要な可視光波長域及びそれに隣接する非可視光波長域での波長λにおける、塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を予測計算することを特徴とする。 また、本発明の分光反射率予測プログラムは、コンピュータに、下地の分光反射率ρg(λ)に基づいて下地の反射率Rg(λ)を算出させる下地反射率算出手順と、下地に積層される塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚を取得させる塗膜データ取得手順と、下地反射率算出手順で取得された下地の反射率Rg(λ)、及び、塗膜データ取得手順で取得された塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚に基づいて塗膜構造体の反射率R(λ)を算出させ、これに基づいて塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を算出させる塗膜構造体分光反射率算出手順とを実行させ、塗膜構造体の日射反射率RSを算出するために必要な可視光波長域及びそれに隣接する非可視光波長域での波長λにおける、塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を予測計算することを特徴とする。 また、本発明のコンピュータシステムは、上記分光反射率予測プログラムがインストールされたことを特徴とする。 本発明の分光反射率予測計算システムは、上記分光反射率予測プログラムプログラムが記憶されたサーバと、サーバにネットワークを介して通信可能とされており、ネットワークを介してサーバに対して下地及び塗膜構造を指定し、指定した下地及び塗膜から構成される塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を取得する端末装置とを有することを特徴とする。 なお、塗膜構造体の日射反射率RSは、JIS R 3106に基づき、波長300〜2100nmの波長域での塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)から算出される塗膜構造体の日射反射率である。 また、単一塗膜層の日射透過率TSFF、日射反射率RSFF、及び日射吸収率ASFFは、上記の塗膜構造体の部分をなす塗膜1層のみをフリーフィルムとした単一塗膜層について、JIS R 3106に基づき、波長300〜2100nmの波長域での単一塗膜層の分光透過率τFF(λ)、分光反射率ρFF(λ)から算出される単一塗膜層の日射透過率、及び、日射反射率であり、このとき、単一塗膜層の日射吸収率は、ASFF =1−TSFF −RSFFである。 塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)は、積分球付属装置を用いた分光光度計で実測可能な塗膜構造体の波長λにおける反射率である。 塗膜構造体の反射率R(λ)は、上記の塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)の実測において、空気と塗膜との界面、或いは、塗膜と下地との界面で、屈折率の差に起因する反射が生じるが、これら界面での反射を無視した理論上での塗膜構造体の波長λにおける反射率である。 下地の分光反射率ρg(λ)は、積分球付属装置を用いた分光光度計で実測可能な被塗物としての下地の波長λにおける反射率である。 下地の反射率Rg(λ)は、上記の下地の分光反射率ρg(λ)の実測においては、空気と下地との界面で、屈折率の差に起因する反射が生じるが、これら界面での反射を無視した理論上での下地の波長λにおける反射率である。 本発明によれば、下地の分光反射率に基づいて下地の反射率を算出し、下地に積層される塗膜の吸収係数及び散乱係数を取得し、下地の反射率及び塗膜の吸収係数及び散乱係数に基づいて塗膜構造体の反射率を算出することにより、調色塗料の日射反射率の提示をコンピュータシステムによって迅速、かつ、正確に行える。 〔原理〕 まず、本発明の日射反射率の計算方法の原理について説明する。 〔日射反射率RS〕 塗膜の日射反射率RSは、JIS R 3106 (1998)「板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射取得率の試験方法」の「6.日射透過率・日射反射率及び日射吸収率の算定」に記載された計算方法に準じ計算することができる。 その理論的な基礎式は以下のように表される。 実際の計算上は、積分では煩雑なため、式(2)を用いる。 Eλ・Δλの値については、上述のJIS R 3106の付表2「日射透過率、日射反射率及び日射吸収率を計算するための重価係数」に記載されている。 図4は日射透過率、日射反射率及び日射吸収率を計算するための重価係数を説明するための図を示す。 図4には、波長300〜2500nmまでの重価係数が記載されているが、300〜2100nmまでを用いることを標準と規定しており、2100〜2500までの値も含めて計算に使用する場合には、「その旨を報告の数値に附記する」ことと規定している。 図5は、JIS R 3106に基づいて求められた直達日射相対値の標準スペクトル分布を示している。 図5において、 紫外線波長域:波長300〜380nm 可視光波長域:波長380〜780nm 赤外線波長域:波長780〜2100nmと区分することが一般的であり、通常、この波長域300〜2100nmについて式(2)の計算を実施し、日射反射率RSを求めることとなる。 ここで、上記の波長域それぞれについてを計算すると、その比は 紫外線波長域:1.7% 可視光波長域:50.2% 赤外線波長域:48.1%となり、この比が日射エネルギーの波長域別構成を表している。つまり、日射エネルギーの約半分は、赤外線波長域にあり、これを如何に反射するかによって日射反射率の高低が大きく変化することが解る。 また、可視光波長域の反射率は、塗膜色と密接な関係にあるため、その自由な変更が極めて困難であるのに対し、赤外線波長域は、目に見えないが故に、その高低は、塗膜色とは無縁であり、塗料設計上の自由度が大きく確保できるという利点となり、日射反射率RSを考える上ではとりわけ重要な波長域である。 また、日射反射率RSの算出方法については、上述のJIS R 3106以外にも、JIS A 5759(1998)「建築窓ガラス用フィルム」等にも規定があるが、いずれの規定においても重価係数の扱いが若干異なる程度であり、同様に計算することができる。 〔日射反射率RSの計算例〕 図6は、分光反射率ρ(λ)の実測例を示す図である。 図6では、遮熱塗料の原色群から、レッド、ブルー、エローの3原色について、図2に示すような測定システム100を用いて、波長300〜2500nmの波長域で塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を測定した実測例を示している。 なお、試験片は、塗装下地としてJIS K 5600 (1999) 4.1.2に規定されている隠蔽率試験紙の白地部分を用い、上記3原色塗料をそれぞれ6mil塗布した塗膜構造体を使用している。 以上のような測定で得られた分光反射率ρ(λ)と、図4に示すJIS R 3106の付表2「日射透過率、日射反射率RS及び日射吸収率を計算するための重価係数」に記載のEλ・Δλの数表を用いて、式(2)の計算を実施することによって、日射反射率RSを求めることができる。 図7は3原色の分光反射率ρ(λ)の測定値を用いて日射反射率RSの計算を行った結果を示す図である。 本実施例のように、塗膜構造体の日射反射率RSは、塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)の測定値から計算される。 次に、塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)の予測計算方法について説明する。 まず、紫外線〜可視光〜赤外線(300〜2100nm)に亘る波長域において、任意の下地上に、任意の調色配合塗料を1層塗布した場合の、塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)の予測計算方法について説明する。 〔クベルカ−ムンク理論〕 このような塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)についての研究としては、例えば、P.KubelkaとF.Munkが1931年に報告した塗膜層の光学的性質についての理論的な解析結果が知られており、一般に「クベルカ−ムンク理論」と呼ばれている。(P.Kubelka , F.Munk , Z.tech.Phys. , 12 , 593 (1931))。 図8はクベルカ−ムンク理論の概念図を示す。 この「クベルカ−ムンク理論」は、ある散乱係数Sと吸収係数Kを持った膜厚Xである均質な塗膜層が、反射率Rgである下地に上に密着(Optical Contact)して置かれたときの反射率Rを求めるものである。 〔ダンカンの混色理論〕 また、複数の原色を混色することによってなる調色塗膜の散乱係数Sと吸収係数Kについては、1962年にD.R.Duncanによって次のような報告がなされている。 ここで、原色1〜nのn種の原色を、配合比Ciで混色することによって得られる調色塗膜の散乱係数Sと吸収係数Kは以下のように表すことができる。 これは、散乱係数Sと吸収係数Kには加法則が成り立つということを示しており、調色塗膜のK/Sは次の式で表される。 この結果は、「ダンカンの混色理論」として知られている(D.R.Duncan, J. Oil.Colour.Chem.Assoc, 45 , 300 (1962))。 〔日射反射率計算手法〕 本実施例では、「クベルカ−ムンク理論」、及び、「ダンカンの混色理論」を基礎として、日射反射率を計算している。 このとき、本実施例では、分光反射率ρ(λ)の実測値と、「クベルカ−ムンク理論」での反射率Rを関係付ける補正を行っている。 図9は分光反射率ρ(λ)の実測値とクベルカ−ムンク理論での反射率Rを関係付ける補正を説明するための図を示す。 クベルカ−ムンク理論で扱う反射率R(λ)は、図9(A)に示すように均質な塗膜層131による理想状態での反射であるが、実測上は、図9(B)に示すように空気132と接するある屈折率を持つ塗膜層131での界面、或いは、塗膜層131と下地133との界面で、屈折率の差に起因する反射が生じる。 実測で得られる分光反射率ρ(λ)は、これら界面で生じる反射の影響を含む反射光全体についての値となるため、計算で得られる反射率R(λ)を実測状態での分光反射率ρ(λ)へ補正する必要がある。 このような補正を行う方法としては、1942年にJ.L.Saundersonが報告した「サンダーソン補正式」と呼ばれる補正式が知られている(J.L.Saunderson , J.Opt. Soc. Am. , 32 , 727 (1942))。 サンダーソン補正式は、で表される。 式(8)においてk1は、フレスネル反射係数である。 フレスネル反射係数k1は、塗膜面に垂直な入射光に対しては、で表せる。 式(9)において、n0=1.0003であるから、n1=1.5程度の樹脂では、k1=0.04程度と予想される。実際には、表面状態等の影響も受けるため、実験的に求めることとなるが、0.00〜0.05の値を用いることが多い。 また、式(8)において、k2は、内部拡散反射係数である。 内部拡散反射係数k2は、以下のような予測式が、数多く報告されているが、これについても、実際には、実験的に求めることが多く、0.3〜0.8の値を用いることが多い。 なお、k1、k2の値を求める方法の詳細については、例えば、「E.L.Cairns , D.A.Holtzen , D.L.Spooner Color Res. and Application , 1 , No.4 , 174 (1976)に記載がある。 さらに、式(8)において、klinは光学系に関する正反射成分であり、理論的には、正反射光を完全に含む測定の場合klin=k1正反射光を完全に含まない測定の場合klin=0.0と考えることができる。しかしながら、光学系・試験片の表面性状の影響を強く受けるため、これについても実験的に求めることが多く、0.00〜0.05の値を用いることが多い。 また、式(8)は、R(λ)をρ(λ)に補正する式となるが、この逆補正として分光反射率ρ(λ)を反射率R(λ)に補正する式(サンダーソン逆補正式)は以下のように表せる。 〔クベルカ−ムンク理論〕 次に、クベルカ−ムンク理論について説明する。 図10はクベルカ−ムンク理論のモデル図を示す。 図10に示すように均質な塗膜層131の中に微小厚さdxの層134を想定し、この層134の下方、上方から来る光束i、jを考える。 まず、下方に向かって通過する光束については、上方から来る光束iの変化量diは、微小層dxの吸収によってiKdx減少し、微小層dxの散乱によってiSdxだけ減少し、下方から来る光束jの微小層dxによる散乱によってjSdxだけ増加する。 また、上方に向かって通過する光束については、下方から来る光束jの変化量djは、微小層dxの吸収によってjKdxだけ減少し、微小層dxの散乱によってjSdxだけ減少し、上方から来る光束iの微小層dxによる散乱によってiSdxだけ増加する。 この様子を上方への変化を+の方向として微分方程式に纏めると次のように表すことができる。 式(12)、式(13)に示される微分方程式は以下のように解くことができる。 式(12)、式(13)の両辺をそれぞれi、jで割り辺々足し合わせると、 ここで、j/i=rとおき、両辺にr/Sを乗じて整理すると、 さらに、とおき、両辺にSを乗じて整理すると、 式(18)は積分することができて、その一般解は積分定数をCとして、 ここで、図10に示すモデルより、塗膜層131の厚さx=0のときr=j/i=RSであり、塗膜層131の厚さx=Xのときr=Rであると考えられるからその範囲で、式(18)を積分すると、となる。よって、図10に示すモデルの一般解は次式のように表記できる。 次に、塗膜層131の厚さが任意のXであったときの反射率Rを求める式を導出する。 式(22)でX=∞とすると、右辺は∞となる。このときの左辺が∞となるためには、RS=0と考えてよいため、に収束することになる。 したがって、X=∞のときの反射率RをR∞と表記することとすると、で表せる。また、その逆数をとると、で表せる。 これらを用いて式(22)の一般解を書き換えると、で表せる。 この式(27)によって、下地133の反射率Rg、厚さX=∞のときの(完全隠蔽のときの)反射率R∞、塗膜層131の散乱係数Sが既知であれば、任意の厚さXのときの反射率Rを求めることができる。 また、式(27)は、式(16)より、であるから、 式(27)と式(28)より、塗膜層131の散乱係数S、及び、吸収係数Kが既知であれば、反射率Rgの下地133の上に、この塗膜層131を任意の厚さXで密着させたときの反射率Rを求めることができることとなる。 このようにして導出された反射率R(λ)から、式(8)のサンダーソン補正を用いてρ(λ)を求め、これを式(2)に代入することにより日射反射率RSを計算することができる。 式(22)の一般解は式(27)以外の形にも書き下すことができる。 例えば、とおき、以下のような双曲線関数(hyperbolic cotangent)を用いると、で表せる。 また、式(22)より、で表せる。 この式(32)を用いても、式(27)と式(28)同様、塗膜層131の散乱係数S、及び、吸収係数Kが既知であれば、反射率RSの下地133の上に、この塗膜層131を任意の厚さXで密着させたときの反射率Rを求めることができる。 また、式(24)は、で表せる。 この式は、下地133の反射率Rgの影響を受けない無限大膜厚(完全隠蔽膜厚)のときの反射率R∞についての、クベルカ−ムンク理論の帰結としてよく知られている公式である。 しかし、前述のように、日射反射率予測計算は、下地133の反射率Rgの影響を前提としているため、式(33)から日射反射率を求めることは困難である(参考文献:財団法人日本色材研究所編 カラーマッチングの基礎と応用 日刊工業新聞社 (1991)/村田幸男 色彩技術ハンドブック 株式会社総合技術センター (1990))。 〔多層積層への展開〕 次に多層積層への展開方法について説明する。 図11は多重積層系の計算手順を説明するための図を示す。 上記の図10に示すように、クベルカ−ムンク理論は、反射率Rgである下地133の上に、1層の塗膜層131が密着(Optical Contact)して置かれたときの反射率Rを求めるものである。 しかし、実際の塗装系においては、鋼板、コンクリート等の様々な素材よりなる基材の上に、下塗り/中塗り/上塗り/クリヤー等の塗料を塗り重ねる場合や、既に何らかの塗装系が施工してある被塗物を、さらに、何らかの塗装系で塗り替える場合など、複数の色材による多層積層系となることが一般的である。 このような多層積層系となる場合であっても、図11に示すように下層より順を追って反射率Rを計算し、次に、この計算された反射率Rを下地の反射率Rgとして上層へ計算を進めていくことにより、反射率の計算は可能となる。 〔散乱係数S、及び、吸収係数K〕 次に、本発明の予測計算での基礎的なパラメータである、塗膜の単位厚さ当たりの散乱係数S、及び、吸収係数Kの求め方について説明する。 ここで、未知数は、塗膜層131の散乱係数S、及び、吸収係数Kの2つのみであるから、2種類の反射率の異なる下地133上に、塗膜層131を密着させて、2通りの反射率Rを測定することにより、式(27)を用いて連立二元方程式として解くことは可能である。 このような解法のうち、簡便な方法の一例として、「湊の方法」(湊 , 千葉大学工学部研究報告 19 , No.36 , 203 (1968))が知られている。 式(27)をSについて纏めると、で表せる。 ここで、白い下地と、黒い下地の2種類の下地を用い、同一塗料で同一膜厚の塗膜層を作成すると、この2つの試験片から計算される散乱係数Sは同じ値となるはずなので、で表せる。 この式の第2辺と第3辺をみると、Rg1、Rg2、R1、R2は実測できるから、この方程式での未知数はR∞のみとなる。 よって、式(35)より、以下のようにR∞を求めることができ、で表せる。 ここで、である。 こうしてR∞が求まったならば、式(35)に、R∞と、(Rg1、R1)または、(Rg2、R2)の何れかを代入して散乱係数Sを求めることができる。 吸収係数Kについては、式(33)を用いてとして求められる。 このように求められた散乱係数S、及び、吸収係数Kは、塗膜層131の単位厚さに対応する値となっており、これらの数値を用いて、上述の日射反射率の予測計算を実施することができる。 なお、下地133の影響を無視できる場合については、R∞について計算することが目的となるが、このときは、式(26)に示したように、散乱係数S、及び、吸収係数Kの比(K/S)がパラメータとなるので、散乱係数S、及び、吸収係数Kの単位厚さ当たりの値は必要ではなく、相対値でも計算可能となる。これに対し、下地133の影響を考慮する必要がある場合には、上述のように、塗膜層131の単位厚さに対応する絶対値として散乱係数S、及び、吸収係数Kを求めることが必須となる。 〔透過率の計算方法〕 クベルカ−ムンク理論では、塗膜層131の散乱係数S、及び、吸収係数Kが既知であれば、塗膜層131によって形成される厚さXの単一塗膜層の反射率、及び、透過率についても計算することができる。ここで、単一塗膜層とは、下地上に形成されていない、いわゆる、フリーフィルム状態を意味する。 一般的な多層積層系塗膜における日射反射率評価では、ある塗膜層の透過率の値そのものは重要性を持たない場合が多いが、下層の反射率の全体の日射反射率への影響度を評価する上では、各塗膜層の透過率は有用な指標となる。 透過率を実測する場合には単一塗膜層の透過率を測定することとなるので、実測される分光透過率をτFF(λ)、理論的に計算される透過率を透過率TFF(λ)、及び、実測される分光反射率をρFF(λ)、理論的に計算される反射率を反射率RFF(λ)とする。 クベルカ−ムンク理論からは、厚さXである単一塗膜層の透過率、及び、反射率について以下のように表記される。 式(39)は、hyperbolic sin関数、及び、hyperbolic cos関数を用いて以下のように表すこともできる。 ここで、a、bについては式(16)、式(29)と同様で、 である。 単一塗膜層の分光透過率測定の場合についても、理想状態の透過率TFF(λ)から実測状態の分光透過率τFF(λ)への補正が必要で、サンダーソン補正のときと同様にk1、k2を用いて、以下のように補正(Allen補正と呼ぶこととする)することができる。 この補正では、単一塗膜層の分光透過率τFF(λ)と、分光反射率ρFF(λ)を一組で補正することとなる。 E.Allen , Color Res and Appl. , 12 , 106 (1987)参照。 散乱係数S、及び、吸収係数Kを求める場合に、下地の反射率を変えたときの分光反射率ρ(λ)の測定値を用いて求める方法(湊の方法)を前段で紹介したが、この方法とは別に「透過率」を測定する方法であっても同様に散乱係数S、及び、吸収係数Kを求めることができる。 このような方法として、式(45)で表される透過率を厚さの異なる2枚の薄膜について測定し、未知数である散乱係数S、及び、吸収係数Kを求める、いわゆる、「Caldwellの方法」(B.P.Caldwell , J. Opt. Soc. Am. , 58 , 755 (1968))が知られている。 〔散乱係数S、及び、吸収係数Kの計算結果〕 ここで、散乱係数S、及び、吸収係数Kの計算例について説明する。 図12は散乱係数S及び吸収係数Kの計算結果の一例を示す図である。 図12は、ある遮熱塗料の原色群から、ホワイト原色について上述の「湊の方法」で得られた、散乱係数S、及び、吸収係数Kの計算結果を示しており、散乱係数S、及び、吸収係数Kは、塗膜の単位膜厚(μm)に対する値として計算した結果である。 試験片作成上は、均一膜厚を得るために、アプリケータ(厚さ単位はmilが一般的)を用いているが、通常の塗料施工の場合、塗布量m(塗布時の単位面積当たりの塗布重量:kg/m2)で管理することが多いため、これと、乾燥状態での膜厚である膜厚X(μm)との関係は予め実測してある。 この換算係数を膜厚換算係数(γ)とすると、と表され、測定に用いた遮熱塗料の場合は、γ≒383となる。 また、塗布量m(kg/m2)≒0.0164×塗布厚(mil)膜厚X(μm)≒383×塗布量(kg/m2)とした。 なお、計算は、JIS R 3106の日射反射率計算に必要な波長のみで実施している。 図12に示すように赤外線波長域では、ホワイト原色であっても、散乱係数Sは、長波長になるに連れて減少し、吸収係数Kは、ホワイト原色のバインダーとして用いられている有機樹脂による赤外線吸収帯の影響を受ける様子が確認できる。 〔日射反射率の予測計算結果〕 次に、日射反射率の予測計算結果について説明する。 前段のように各原色の散乱係数S、及び、吸収係数Kを求めると、これら原色の任意の混色によって得られる混色塗膜について、分光反射率ρg(λ)を持つ基材上に、任意の塗布厚さで塗布した場合の、積層塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)が求められることとなる。 そして、分光反射率ρ(λ)を用いて、JIS R 3106より日射反射率RSが計算される。 日射反射率の予測が困難である理由として、以下の2点を指摘したが、ここでは、この2点を考慮した場合について、日射反射率の計算予測値と実測値を比較することとする。 予測困難な理由:1.加法性が成立しない。2.塗布厚さによる変化が大きく、下地の影響を受ける。 図13はある遮熱塗料の原色のホワイト原色とブルー原色との混色による計算予測値と実測値との比較結果を示す図である。 なお、実測に用いた試験片は、隠蔽率試験紙の白地部分に上記塗料を6mil塗布したものを使用し、この条件に従って計算予測を実施した。6mil塗布は、塗布量0.98kg/m2に相当し、このときの膜厚は、約38μmとなる。 図13に示されるようにホワイト原色、及び、ブルー原色の分光反射率ρ(λ)の計算予測値が、実測値を再現しているのみならず、その2原色の等量混色についても精度よく計算されていることが解る。 日射反射率は、ここで計算された分光反射率ρ(λ)の計算予測値を用いて計算することができる。図14はホワイト/ブルー原色混色での日射反射率の比較結果を示す図である。 図15、図16は原色のホワイト原色を、隠蔽率試験紙の白地部分、黒地部分の2種類の下地の上に塗布したときの計算予測値と実測値との比較結果を示す図である。図15はある遮熱塗料の原色のホワイト原色を、隠蔽率試験紙の白地部分、黒地部分の2種類の下地の上に4milの膜厚で塗布した条件での計算予測値と実測値との比較結果を示している。図16は10milの膜厚で塗布した条件での計算予測値と実測値との比較結果を示している。 なお、4mil塗布は、塗布量0.07kg/m2に相当し、このときの膜厚は、約25μmとなる。10mil塗布は、塗布量0.16kg/m2に相当し、このときの膜厚は、約63μmとなる。 図15、図16に示されるようにホワイト原色の分光反射率ρ(λ)の膜厚による変化、及び、下地の影響による変化が、計算によって再現されていることが解り、この例でも日射反射率は下表のように計算することができる。 図17はホワイト原色の膜厚/下地による日射反射率の計算結果を示す図である。 顧客への日射反射率提示における要求精度については、公的な規定等は無いが、市場での実務上は±5points(最大目盛の5%)程度であればよいと考えられる。この要求精度を鑑み、上記の計算結果と実測値との比較を見ると、日射反射率の計算予測は充分良好に行うことができると判断できる。 なお、予測計算においては、サンダーソン補正係数k1=0.00、k2=0.60、klin=0.03を用いている。 〔塗膜色の予測計算〕 次に、塗膜色の予測計算の理論について説明する。 ここでは、日射反射率とは別に、分光反射率ρ(λ)から計算可能である「塗膜色」について説明する。 日射反射率計算の場合は、日射に含まれる波長域全体について計算する必要があるために、紫外線〜可視光〜赤外線に亘る300〜2100nmの波長域における分光反射率ρ(λ)を考慮したが、塗膜色計算は、可視光についてのみ計算すればよいため、上記の計算によって求めた分光反射率ρ(λ)のうち、380〜780nmのみの値を用いる。 分光反射率ρ(λ)から、塗膜色を計算する方法については、JIS Z 8722 (2000)「色の測定方法−反射及び透過物体色」に規定があり、これは、分光反射率ρ(λ)から、XYZ表色系の三刺激値X、Y、Zを計算するものである。 そのための基礎式は、 で与えられている。 標準イルミナント、補助イルミナント及び代表的な蛍光ランプの下での三刺激値計算の場合の重価係数の値は、JIS Z 8722 (2000)「色の測定方法−反射及び透過物体色」の付表1に観測者の視野及び波長間隔に応じた数表として記載されている。 図18は観測者の視野及び波長間隔に応じた数表を示す図である。図18は、建築物外装用塗膜の測色条件として比較的一般的な、C光源、2°視野の波長間隔5nmの数表を例示している。 なお、図2に示した測定条件は、JIS Z 8722で分類されている「照明及び受光の幾何学的条件」での条件d(n-D)[0/d]に相当するものである。 つまり、ρ(λ)の値が解れば、式(47)、式(48)より三刺激値X、Y、Zが計算されることとなる。 このようにして得られた三刺激値X、Y、Zで塗膜色の表記はなされたことになるのであるが、実際的には、このXYZ表色系から、L*a*b*表色系、或いは、三属性(色相H、明度V、及び、彩度C)のいわゆる、マンセル表示に変換した値を用いて塗膜色を表すことが行われている。 L*a*b*表色系への変換については、JIS Z 8729 (2004) 色の表示方法−L*a*b*表色系及びL*u*v*表色系にその方法が規定されており、三属性(色相H、明度V、及び、彩度C)への変換については、JIS Z 8721 (1993) 色の表示方法−三属性による表示 に規定がある。 ここでは、塗膜色の管理に多く用いられるL*a*b*表色系への変換について説明する。 これは物体色を、国際照明委員会(略称CIE)が1976年に推奨した3次元の近似的な均等色空間であるCIE(1976) L*a*b*空間(略記CIELAB)で表示しようとするものである。 この変換式は、以下のように規定されている。 CIE1976明度L*については、Y/Yn>0.008856のとき、となり、Y/Yn≦0.008856のとき、となる。 また、L*a*b*表色系の色座標a*、b*については、となる。 さらに、Xn、Yn、Znの値については、「JIS Z 8729 付表3 完全拡散反射体の標準イルミナント及び補助標準イルミナントによる三刺激値並びに色度座標」に記載されている数表3のようになる。図19は完全拡散反射体の標準イルミナント及び補助標準イルミナントによる三刺激値並びに色度座標の数表を示す図である。 〔塗膜色予測計算結果〕 次に、塗膜色の予測計算結果について説明する。 前段では、クベルカ−ムンク理論から予測計算された分光反射率ρ(λ)の可視光波長域380〜780nmの値を用いて、塗膜色をL*a*b*表色系で表示できることを述べたが、ここでは、このように予測計算されたL*a*b*の値と実測値とを比較する。 図20、図21は、塗膜色の実測値と予測計算との比較結果を示す図である。なお、図20、図21は上述の日射反射率の予測計算の例示として用いた条件について上述の塗膜色の予測計算結果を示している。また、色差は、JIS Z 8730 (2002) 色の表示方法−物体色の色差に準じて以下の式で計算した。 なお、C光源2°視野での計算値である。 また、建築物外装等での色差管理基準は、ΔE*ab≦0.5程度とする場合が一般的であり、これを鑑みると上記の塗膜色の予測計算は、良好に行うことができると判断できる。 次に、単一塗膜層の日射透過率の計算予測結果について説明する。 ここでは、単一塗膜層の日射透過率の計算例を示す。 単一塗膜層の日射透過率TSFFは、式(45)で求められる透過率τFF(λ)を、式(2)のρ(λ)と置き替えた以下の式で計算できる。 また、式(45)で、単一塗膜層の透過率τFF(λ)は、反射率ρFF(λ)と必ずセットで求められることとなるから、これより、日射反射率RSFFも次式を用いて計算することができる。 そして、実測される単一塗膜層の日射吸収率ASFFについても、以下の関係から求めることができる。 図22はフリーフィルムでの日射透過率予測計算結果を示す図である。 〔分光反射率予測計算システム〕 次に上記の理論を実現するための分光反射率予測計算システムについて説明する。 〔構成〕 図23は本発明の一実施例のシステム構成図を示す。 本実施例の分光反射率予測システム200は、入力装置211、処理装置212、メモリ213、表示装置214、出力装置215、プログラムファイル216、下地情報データベース217、塗料情報データベース218、計算結果出力ファイル219を含む、コンピュータシステムから構成されている。 入力装置211は、キーボード、マウスなどから構成されており、ユーザによって操作されてデータやコマンド入力の入力が行われる。 処理装置212は、CPUなどから構成されており、プログラムファイル216にインストールされた分光反射率予測計算プログラムに基づいてデータを処理する。メモリ213は、RAMなどの揮発性記憶装置から構成され、処理装置212の作業用記憶領域として用いられる。 表示装置214は、CRT、LCDなどであり、処理装置212での分光反射率予測計算プログラムの処理により取得される日射反射率予測結果などを表示する。出力装置215はプリンタであり、処理装置212での分光反射率予測計算プログラムの処理により取得される日射反射率予測結果などをプリントアウトする。 プログラムファイル216、下地情報データベース217、塗料情報データベース218、計算結果出力ファイル219は、ハードディスクドライブなどの記憶装置に設定された記憶領域である。 下地情報データベース217は、各種下地の分光反射率ρ(λ)、及びそれぞれのサンダーソン補正係数がデータベース化されたものであり、予め実測した鉄鋼、亜鉛メッキ鋼板等の各種鋼板素材や、モルタル、ALC等の各種コンクリート素材、或いは、木質外装材、アスファルトコンクリート等の基材や、既になんらかの塗装が施されている建築物の屋根・壁面、道路面、或いは、車両、船舶等、日射による熱負荷の軽減が望まれる構造物表面の分光反射率ρg(λ)の測定値が予め入力されている。 塗料情報データベース218は、各塗料各原色の散乱係数S、及び、吸収係数K、サンダーソン補正係数、並びに、膜厚換算係数がデータベース化されたものであり、前述の「湊の方法」等によって得られた各塗料各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数K、散乱係数Sのデータが予め入力されたものである。 また、この分光反射率予測計算システム200で計算された多層積層系の分光反射率ρ(λ)を下地情報データベース217、又は、塗料情報データベース218に再入力しておけば、この塗り替え時の塗装仕様における下地の反射率ρg(λ)として利用できる。 〔分光反射率予測計算プログラム〕 図25は分光反射率予測計算プログラムの処理フローチャートを示す。 まず、処理装置212において、ステップS1−1で下地反射率算出処理が実行される。 図26は下地反射率算出処理の処理フローチャートを示す。 処理装置212はステップS2−1でユーザによって下地の種類:jが指定されると、ステップS2−2で指定された下地をキーとして下地情報データベース217が参照されて、下地情報データベース217から指定された下地の分光反射率ρgj、サンダーソン補正係数k1、k2、k1inが読み出され、ステップS2−3でこのうち指定された下地の分光反射率ρgjが計算結果ファイル219に出力される。 また、処理装置212は、ステップS2−4で分光反射率ρgj及びサンダーソン補正係数k1、k2、k1inを用いて式(11)に示すサンダーソン逆補正により下地の反射率Rgjを計算し、ステップS2−5で計算した下地の反射率RgjをRgとおく。 以上により下地反射率算出処理は終了し、下地の分光反射率ρgjを取得することができる。 次に、処理装置212は、ステップS1−2で分光反射率算出処理を実行する。分光反射率算出処理は、塗膜データ取得処理S1−2−1及び塗膜構造体分光反射率算出処理S1−2−2を含む処理である。 図27は分光反射率算出処理の処理フローチャートを示す。 処理装置212は、ステップS3−1でユーザによって下地に積層されるn層の塗料p1〜pn、各層の塗料の原色配合比(例えば、塗料p1の原色数qであるときの原色配合比)c11〜c1q)、塗布量m1〜mqが入力されると、ステップS3−2で計算を実施する層iを1に設定する。なお、ステップS3−1は図25に示すステップS1−2−1の塗膜データ取得処理に相当する。処理装置212は、ステップS3−3でiが(n+1)層になるまで、ステップS3−4〜S3−13を繰り返す。なお、ステップS3−4〜S3−12は、図25に示すステップS1−2−2の塗膜構造体分光反射率算出処理に相当する。 処理装置212は、まず、ステップS3−4で第i層の塗料の散乱係数S及び吸収係数Kを式(4)〜(6)に基づいて合成し、合成した散乱係数Spi、吸収係数Kpiを算出する。 次に処理装置212は、ステップS3−5で式(46)に基づいて第i層の塗料の塗布量miから膜厚Xiを換算する。さらに、ステップS3−6で式(27)、(28)に散乱係数Spi、吸収係数Kpi、膜厚Xiを代入し、第1〜第i層までの反射率Riを計算する。 次に処理装置212は、ステップS3−7で式(8)に反射率Riを代入することにより第1層〜第i層までの分光反射率ρiを計算する。 処理装置212は、ステップS3−8で第1〜第i層までの分光反射率ρiを計算結果ファイル219に出力する。 次に処理装置212は、ステップS3−9で、各層の散乱係数Spi及び吸収係数Kpi、膜厚Xiから式(39)〜(41)に基づいて第i層の透過率TFFi、及び、反射率RFFiを求める。次に処理装置212は、ステップS3−10で第i層の透過率TFFi、及び、反射率RFFiから式(45)を用いて第i層の分光透過率τFFi、及び、分光反射率ρFFiを算出する。 処理装置212は、ステップS3−11で第i層の分光透過率τFFi、及び、分光反射率ρFFiを計算結果ファイル219に出力し、ステップS3−12で第1〜第n層までの反射率Riを次の塗膜の下地の反射率Rgとして設定し、ステップS3−13で(i+1)をiとしてステップS3−3に戻って処理を続ける。 上記処理により、第n層までの塗膜の分光反射率ρi、各塗膜の分光透過率τFFi、分光反射率ρFFiを取得することができる。 次に処理装置212は、ステップS1−3で日射反射率算出処理を実行する。 図28は日射反射率算出計算処理の処理フローチャートを示す。 処理装置212は、まず、ステップS4−1で下地の反射率Rgから式(8)を用いて下地の分光反射率ρを計算する。次に処理装置212は、ステップS4−2で分光反射率ρから式(2)を用いて日射反射率RSを算出し、ステップS4−3で算出した日射反射率RSを計算結果出力ファイル219に出力する。 次に処理装置212は、ステップS4−4で各層の分光透過率τFFi、分光反射率ρFFiから式(55)、(56)を用いて各層の日射透過率TSFFi、日射反射率RSFFiを計算するとともに、計算された日射透過率TSFFi、日射反射率RSFFiから式(57)を用いて各層の日射吸収率ASFFiを計算し、ステップS4−5で計算された各層の日射透過率TSFFi、及び、日射反射率RSFFi、並びに、日射吸収率ASFFiを計算結果出力ファイル219に出力する。 処理装置212は、ステップS1−4で塗膜色計算処理を実行する。 図29は塗膜色算出処理の処理フローチャートを示す。 処理装置212は、ステップS5−1でユーザにより光源種及び視野が入力されると、ステップS5−2で第n層までの分光反射率ρから式(47)、(48)を用いて三刺激値XYZを求める。 次に処理装置212は、ステップS5−3で三刺激値XYZから式(49)、(51)、(52)を用いてL*a*b*値を計算する。処理装置212は、ステップS5−4で第n層までの塗膜色を計算結果ファイル219に出力する。 処理装置212は、ステップS1−5で計算結果ファイル219に保持された第1〜第n層までの日射反射率RS、三刺激値XYZ、L*a*b*値、及び、各層の日射反射率RSFFi、日射透過率TSFFi、日射吸収率ASFFiを出力装置215によりプリントアウトする。 以上により、多層の日射反射率RS、及び、塗膜色を実測値に極めて近い値で算出できる。なお、図24に吸収係数K、散乱係数Sのデータを合成して求められた分光反射率ρ(λ)の数値計算結果の抜粋を示す図を示す。 なお、上記実施例では、本発明の分光反射率予測計算方法をコンピュータシステムによって実現した例について説明したが、これに限定されるものではない。 〔第1適用例〕 図30は本発明の第1適用例のブロック構成図を示す。 本適用例は、本発明の分光反射率予測計算方法を半導体チップにより実現した例を示す。 本適用例の半導体チップ300は、半導体基板311上に処理装置321、ROM322、RAM323、インタフェース回路324を搭載した構成とされている。 ROM322には、上記図25〜図29を用いて説明した分光反射率計算プログラムがインストールされている。処理装置321は、ROM322にインストールされた分光反射率プログラムに基づいて上記のように分光反射率を計算する処理を実行する。RAM323は、処理装置321の作業用記憶領域として用いられる。インタフェース回路324は、外部とのインタフェースを取り、入出力端子325を介してデータの入出力を行う。 このとき、計算に必要となる下地情報データベース217、塗料情報データベース218は、ROM322に予めインストールされている。なお、塗料情報データベース218は、外部の記憶装置に記憶するようにしてもよい。処理装置321は、必要に応じて外部記憶装置を参照しつつ計算を行う。計算結果出力ファイル219は、RAM323に設定したり、外部の記憶装置に持つようにしてもよい。 計算結果出力ファイル219は、RAM323に設定したり、外部の記憶装置に持つ。 以上のように、半導体チップ300によっても本発明の分光反射率予測方法を実現すること可能である。 〔第2適用例〕 本適用例は、本発明の分光反射率予測計算方法を回路基板により実現した例を示す。 図31は本発明の第2適用例のブロック構成図を示す。 本適用例の回路基板400は、プリント配線板411上に処理部421、ROM422、RAM423、インタフェース回路424などのICチップを搭載した構成とされ、例えば、コンピュータシステムのPCIインタフェースポートに装着されて、コンピュータシステムと協働して上記分法反射率計算処理を実行する。 ROM422には、上記図25〜図29を用いて説明した分光反射率計算プログラムがインストールされている。処理部421は、マイコンチップなどから構成されており、ROM422にインストールされた分光反射率プログラムに基づいて上記のように分光反射率を計算する処理を実行する。RAM423は、処理部421の作業用記憶領域として用いられる。インタフェース回路424は、外部とのインタフェースを取り、入出力ポート425を介してデータの入出力を行う。入出力ポート425は、例えば、プリント配線板411のエッジに形成された導電パターンであり、カードエッジコネクタなどによりPCIバスに接続される。 このとき、計算に必要となる下地情報データベース217、塗料情報データベース218は、ROM422に予めインストールされている。なお、塗料情報データベース218は、外部の記憶装置に記憶するようにしてもよい。処理部421は、必要に応じて外部記憶装置を参照しつつ計算を行う。計算結果出力ファイル219は、RAM423に設定したり、外部の記憶装置に持つようにしてもよい。 なお、回路基板400は、例えば、コンピュータシステムにPCIインタフェースポートなどに装着 以上のように、回路基板400によっても本発明の分光反射率予測方法を実現すること可能である。 なお、図30に示した半導体チップ300をプリント配線板411に搭載するようにしてもよい。 〔第3適用例〕 図32は本発明の第3適用例のブロック構成図を示す。 本適用例は、上記分光反射率予測計算方法を、ネットワークを用いて実現した例を示す。 本適用例のシステム500は、サーバ511と端末512とがネットワーク513を介して通信可能とされた構成とされている。 サーバ511は、コンピュータシステムから構成されており、ハードディスクドライブなどに上記図25〜図29を用いて説明した分光反射率計算プログラムが予めインストールされており、端末512により指定された各種データに基づいて分光反射率計算プログラムを実行し、計算結果を端末512に送信する。 端末512は、コンピュータシステムから構成されており、ネットワーク513を介してサーバ511に対して計算に必要な各種データを指定するとともに、サーバ511からその計算結果を受信してディスプレイ上に表示する。なお、ネットワーク513は、LAN、無線LAN、インターネット、携帯電話網、電話回線網などを含むものである。 また、本実施例では、サーバ511で分光反射率計算プログラムを実行したが、これに限定されるものではなく、サーバ511から端末512に所定の条件に従って分光反射率計算プログラム自体を提供して端末512で分光反射率計算プログラムを実行するようにしてもよい。 なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変形例が可能である。遮熱塗料の原色群からホワイト原色とブルー原色との混色による実測例を説明するための図である。測定装置のブロック構成図である。ホワイト原色を直接、隠蔽率試験紙(黒地)の上に4、6、8、10milの厚さで塗布した試験片の日射反射率の推移を示す図である。日射透過率、日射反射率及び日射吸収率を計算するための重価係数を説明するための図である。直達日射相対値の標準スペクトル分布図である。分光反射率の実測例を示す図である。3原色の分光反射率スペクトルを用いて日射反射率計算を行った結果を示す図である。クベルカ−ムンク理論の概念図を示す。分光反射率ρ(λ)の実測値とクベルカ−ムンク理論での反射率Rを関係付ける補正を説明するための図である。クベルカ−ムンク理論のモデル図である。多重積層系の計算手順を説明するための図である。散乱係数S及び吸収係数Kの計算結果の一例を示す図である。ある遮熱塗料の原色のホワイト原色とブルー原色との混色による計算予測値と実測値との比較結果を示す図である。ホワイト/ブルー原色混色での日射反射率RSの比較結果を示す図である。原色のホワイト原色を、隠蔽率試験紙の白地部分、黒地部分の2種類の下地の上に塗布したときの計算予測値と実測値との比較結果を示す図である。原色のホワイト原色を、隠蔽率試験紙の白地部分、黒地部分の2種類の下地の上に塗布したときの計算予測値と実測値との比較結果を示す図である。ホワイト原色の膜厚/下地による日射反射率の計算結果を示す図である。観測者の視野及び波長間隔に応じた数表を示す図である。完全拡散反射体の標準イルミナント及び補助標準イルミナントによる三刺激値並びに色度座標の数表を示す図である。塗膜色の実測値と予測計算との比較結果を示す図である塗膜色の実測値と予測計算との比較結果を示す図である。フリーフィルムでの日射透過率予測計算結果を示す図である。本発明の一実施例のシステム構成図を示す。吸収係数K、散乱係数Sのデータを合成して求められた分光反射率ρ(λ)の数値計算結果を示す図である。分光反射率予測計算プログラムの処理フローチャートである。下地反射率算出処理の処理フローチャートである。分光反射率算出処理の処理フローチャートである。日射反射率算出処理の処理フローチャートである。塗膜色算出処理の処理フローチャートである。本発明の第1適用例のブロック構成図である。本発明の第2適用例のブロック構成図である。本発明の第3適用例のブロック構成図である。符号の説明 100 測定システム、101 試験片 111 積分球、112 検出器 121 透過側開口部、122 反射側開口部 131 塗膜層、132 空気、133 下地 200 分光反射率予測システム、211 入力装置、212 処理装置 213 メモリ、214 表示装置、215 出力装置、216 プログラムファイル 217 下地情報データベース、218 塗料情報データベース 219 計算結果出力ファイル 300 半導体チップ 311 半導体基板 321 処理装置、322 ROM、323 RAM、324 インタフェース回路 325 入出力端子 400 回路基板 411 プリント配線板 421 処理部、422 ROM、423 RAM、424 インタフェース回路 425 入出力ポート 500 システム 511 サーバ、512 端末、513 ネットワーク塗膜構造体の日射反射率RSを算出するために必要な可視光波長域及びそれに隣接する非可視光波長域での波長λにおける、塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を予測計算する分光反射率予測計算方法であって、 下地の分光反射率ρg(λ)に基づいて前記下地の反射率Rg(λ)を算出する下地反射率算出手順と、 前記下地に積層される塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚を取得する塗膜データ取得手順と、 前記下地反射率算出手順で取得した前記下地の反射率Rg(λ)、及び、前記塗膜データ取得手順で取得された前記塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚に基づいて塗膜構造体の反射率R(λ)を算出し、これに基づいて塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を算出する塗膜構造体分光反射率算出手順とを有することを特徴とする分光反射率予測計算方法。前記塗膜構造体分光反射率算出手順で算出された前記分光反射率ρ(λ)を前記下地の分光反射率ρg(λ)に設定し、 前記下地反射率算出手順、及び、前記塗膜データ取得手順、並びに、前記塗膜構造体分光反射率算出手順を順次に繰り返すことにより、二種以上の塗料種積層によってなる塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を算出することを特徴とする請求項1記載の分光反射率予測計算方法。前記塗膜構造体分光反射率算出手順で算出された塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)に基づいて塗膜構造体の日射反射率RSを算出する日射反射率算出手順を有することを特徴とする請求項1記載の分光反射率予測計算方法。前記塗膜構造体分光反射率算出手順で求められた前記塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)の可視光波長域の部分に基づいて塗膜色を算出する塗膜色算出手順を有することを特徴とする請求項1記載の分光反射率予測計算方法。前記塗膜データ取得手順で取得した前記塗膜構造体の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚に基づいて、この塗膜構造体を形成する一層のみからなる単一塗膜層の日射透過率TSFF、日射反射率RSFF、及び日射吸収率ASFFを算出する単一塗膜層日射特性算出手順を有することを特徴とする請求項1記載の分光反射率予測計算方法。前記下地反射率算出手順は、前記下地の分光反射率ρg(λ)をサンダーソン逆補正式に基づいて下地の反射率Rg(λ)へ補正する補正手順を有することを特徴とする請求項1記載の分光反射率予測計算方法。前記塗膜構造体分光反射率算出手順は、前記塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比からに基づいて吸収係数及び散乱係数を合成し、に基づいて塗膜構造体の反射率R(λ)を計算し、計算された塗膜構造体の反射率R(λ)をサンダーソン補正式に基づいて塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)へ補正することを特徴とする請求項1記載の分光反射率計算方法。塗膜構造体の日射反射率RSを算出するために必要な可視光波長域及びそれに隣接する非可視光波長域での波長λにおける、塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を予測計算する分光反射率予測計算装置であって、 下地の分光反射率ρg(λ)に基づいて前記下地の反射率Rg(λ)を算出する下地反射率算出手段と、 前記下地に積層される塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚を取得する塗膜データ取得手段と、 前記下地反射率算出手段で取得した前記下地の反射率Rg(λ)、及び、前記塗膜データ取得手段で取得された前記塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚に基づいて塗膜構造体の反射率R(λ)を算出し、これに基づいて塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を算出する塗膜構造体分光反射率算出手段とを有することを特徴とする分光反射率予測計算装置。前記塗膜構造体分光反射率算出手段で算出された前記分光反射率ρ(λ)を前記下地の分光反射率ρg(λ)に設定し、 前記下地反射率算出手段、及び、前記塗膜データ取得手段、並びに、前記塗膜構造体分光反射率算出手段を順次に繰り返すことにより、二種以上の塗料種積層によってなる塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を算出することを特徴とする請求項8記載の分光反射率予測計算装置。前記塗膜構造体分光反射率算出手段で算出された塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)に基づいて塗膜構造体の日射反射率RSを算出する日射反射率算出手段を有することを特徴とする請求項8記載の分光反射率予測計算装置。前記塗膜構造体分光反射率算出手段で求められた前記塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)の可視光波長域の部分に基づいて塗膜色を算出する塗膜色算出手段を有することを特徴とする請求項8記載の分光反射率予測計算装置。前記塗膜データ取得手段で取得した前記塗膜構造体の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚に基づいて、この塗膜構造体を形成する一層のみからなる単一塗膜層の日射透過率TSFF、日射反射率RSFF、及び日射吸収率ASFFを算出する単一塗膜層日射特性算出手段を有することを特徴とする請求項8記載の分光反射率予測計算装置。前記下地反射率算出手段は、前記下地の分光反射率ρg(λ)をサンダーソン逆補正式に基づいて下地の反射率Rg(λ)へ補正する補正手順を有することを特徴とする請求項8記載の分光反射率予測計算装置。前記塗膜構造体分光反射率算出手段は、前記塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比からに基づいて吸収係数及び散乱係数を合成し、に基づいて塗膜構造体の反射率R(λ)を計算し、計算された塗膜構造体の反射率R(λ)をサンダーソン補正式に基づいて塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)へ補正することを特徴とする請求項8記載の分光反射率予測計算装置。下地の分光反射率ρg(λ)に基づいて前記下地の反射率Rg(λ)を算出する下地反射率算出手段と、 前記下地に積層される塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚を取得する塗膜データ取得手段と、 前記下地反射率算出手段で取得した前記下地の反射率Rg(λ)、及び、前記塗膜データ取得手段で取得された前記塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚に基づいて塗膜構造体の反射率R(λ)を算出し、これに基づいて塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を算出する塗膜構造体分光反射率算出手段とを有し、 塗膜構造体の日射反射率RSを算出するために必要な可視光波長域及びそれに隣接する非可視光波長域での波長λにおける、塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を予測計算することを特徴とするコンピュータシステム。下地の分光反射率ρg(λ)に基づいて前記下地の反射率Rg(λ)を算出する下地反射率算出手段と、 前記下地に積層される塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚を取得する塗膜データ取得手段と、 前記下地反射率算出手段で取得した前記下地の反射率Rg(λ)、及び、前記塗膜データ取得手段で取得された前記塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚に基づいて塗膜構造体の反射率R(λ)を算出し、これに基づいて塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を算出する塗膜構造体分光反射率算出手段とが半導体基板上に搭載され、 塗膜構造体の日射反射率RSを算出するために必要な可視光波長域及びそれに隣接する非可視光波長域での波長λにおける、塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を予測計算することを特徴とする半導体チップ。下地の分光反射率ρg(λ)に基づいて前記下地の反射率Rg(λ)を算出する下地反射率算出手段と、 前記下地に積層される塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚を取得する塗膜データ取得手段と、 前記下地反射率算出手段で取得した前記下地の反射率Rg(λ)、及び、前記塗膜データ取得手段で取得された前記塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚に基づいて塗膜構造体の反射率R(λ)を算出し、これに基づいて塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を算出する塗膜構造体分光反射率算出手段とが基板上に搭載され、 塗膜構造体の日射反射率RSを算出するために必要な可視光波長域及びそれに隣接する非可視光波長域での波長λにおける、塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を予測計算することを特徴とする回路基板。コンピュータに、 下地の分光反射率ρg(λ)に基づいて前記下地の反射率Rg(λ)を算出させる下地反射率算出手順と、 前記下地に積層される塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚を取得させる塗膜データ取得手順と、 前記下地反射率算出手順で取得された前記下地の反射率Rg(λ)、及び、前記塗膜データ取得手順で取得された前記塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚に基づいて塗膜構造体の反射率R(λ)を算出させ、これに基づいて塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を算出させる塗膜構造体分光反射率算出手順とを実行させ、塗膜構造体の日射反射率RSを算出するために必要な可視光波長域及びそれに隣接する非可視光波長域での波長λにおける、塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を予測計算することを特徴とするコンピュータ読み取り可能な分光反射率予測プログラム。請求項18記載のプログラムがインストールされたコンピュータシステム。請求項18記載のプログラムが記憶されたサーバと、 前記サーバにネットワークを介して通信可能とされており、前記ネットワークを介して前記サーバに対して下地及び塗膜構造を指定し、指定した下地及び塗膜から構成される塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を取得する端末装置とを有することを特徴とする分光反射率予測計算システム。 【課題】本発明は塗膜構造体の日射反射率RSを算出するために必要な可視光波長域及びそれに隣接する非可視光波長域での波長λにおける分光反射率ρ(λ)を予測計算するための分光反射率予測計算方法に関する。【解決手段】本発明は塗膜構造体の日射反射率RSを算出するために、下地の分光反射率ρg(λ)に基づいて下地の反射率Rg(λ)を算出する下地反射率算出手順と、下地に積層される塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚を取得する塗膜データ取得手順と、下地反射率算出手順で取得した下地の反射率Rg(λ)、及び、塗膜データ取得手順で取得された塗膜の各原色についての単位厚さ当たりの吸収係数及び散乱係数、原色配合比、膜厚に基づいて塗膜構造体の反射率R(λ)を算出し、これに基づいて塗膜構造体の分光反射率ρ(λ)を算出する塗膜構造体分光反射率算出手順とを有することを特徴とする。【選択図】図25


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