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タイトル:公開特許公報(A)_グリシジルエーテル類の精製方法および高純度グリシジルエーテル類の製造方法
出願番号:2006139829
年次:2007
IPC分類:C07D 303/22,C07D 301/28,C07D 301/32,B01D 3/00


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大川 直 JP 2007308425 公開特許公報(A) 20071129 2006139829 20060519 グリシジルエーテル類の精製方法および高純度グリシジルエーテル類の製造方法 東レ・ダウコーニング株式会社 000110077 久保田 芳譽 100091579 大川 直 C07D 303/22 20060101AFI20071102BHJP C07D 301/28 20060101ALI20071102BHJP C07D 301/32 20060101ALI20071102BHJP B01D 3/00 20060101ALI20071102BHJP JPC07D303/22C07D301/28C07D301/32B01D3/00 A 6 OL 7 4C048 4D076 4C048AA01 4C048CC01 4C048JJ01 4C048JJ04 4C048KK01 4C048KK09 4D076AA16 4D076BB03 4D076FA02 4D076FA12 4D076HA20 4D076JA03本発明は合成時の原料残渣、副生物である有機塩素化合物を含有するグリシジルエーテル類の精製方法に関し、特に蒸留可能なグリシジルエーテル類の精製方法に関する。比較的低分子量であり蒸留可能なグリシジルエーテル類、特にメチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等のアルコールのグリシジルエーテル類は塩素系溶剤安定化剤、分散染料改質剤、エポキシ樹脂用反応性希釈剤、紙・繊維用改質剤、(水溶性)架橋剤、コーティング、接着剤等に好適に使用されている。これらのグリシジルエーテル類は、一般にアルカリ金属水酸化物の存在下でエピクロロヒドリンとアルコール類との反応によって製造されているが、この製造の際に、目的物であるグリシジルエーテル類に原料残渣であるエピクロルヒドリンおよび副生する有機塩素化合物が混在する。特にメチルグリシジルエーテルは、沸点が115〜117℃であり、原料のエピクロルヒドリンの沸点110〜111℃と極めて近く、精留による高純度化は極めて困難である。特許文献1には、エピクロロヒドリンとフェノール類もしくはアルコール類との反応によって製造されたエポキシ化合物中の有機塩素化合物を除去するために、不活性溶媒(例、トルエン、キシレン)中でエポキシ化合物と平均粒径300μm以下の粉末状アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)を加熱下撹拌し、反応後ろ過し、その濾液を減圧濃縮するという精製方法が開示されている。しかしながら、この方法は、不活性溶媒より沸点が低いアルキルグリシジルエーテルの精製方法には不適切である。特許文献2には、有機ハロゲンを100〜5000重量ppm含有するエポキシ化合物を精製して低ハロゲン化する方法であって、該エポキシ化合物を、非プロトン性極性溶媒を3〜20重量%含む有機混合溶媒系に混合または溶解し、アルカリ金属水酸化物の第2級アルコール溶液を添加後、20〜100℃で0.5〜5時間撹拌して有機ハロゲンの分解反応を行い、反応後、反応混合液に水を短時間で投入することにより反応を停止し、その後、水溶性不純物及び非プロトン性極性溶媒を水洗により除去し、さらに有機溶媒を除去することにより、精製されたエポキシ化合物を回収することを特徴とする、エポキシ化合物の精製方法が開示されている。しかしながら、この方法は加熱処理、水洗、分液、溶剤留去といった煩雑な操作が必要であり、非プロトン性極性溶媒より沸点が低いアルキルグリシジルエーテルの精製方法には不適切である。また、非プロトン性極性溶媒を含む有機混合溶媒、第2級アルコールおよび水の使用が必須である。特開平4−5284号公報特開2000−239346号公報本発明者は上記問題点を解決すべく鋭意研究した結果、合成時の原料残渣、副生物であるグリシジルエーテル類中の有機塩素化合物含有率を効率的に低減させて高純度のグリシジルエーテル類を得るという、グリシジルエーテル類の精製方法を発明するに至った。本発明の目的は、グリシジルエーテル類合成時の原料残渣、副生物である有機塩素化合物含有率を、簡便な方法と少ない原料を使用して効率的に低減させて高純度のグリシジルエーテル類を得る方法を提供することにある。上記目的は、「[1] 合成時の原料残渣、副生物である有機塩素化合物を含有するグリシジルエーテル類に、塩基性を示すアルカリ金属化合物を作用させて該有機塩素化合物中の塩素をアルカリ金属塩化物とした後、蒸留してグリシジルエーテル類を分取することを特徴とするグリシジルエーテル類の精製方法。[2] 合成がアルカリ金属水酸化物存在下でのエピクロルヒドリンと蒸留可能なアルコール類もしくはアルキルフェノール類との反応であり、塩基性を示すアルカリ金属化合物がアルカリ金属水酸化物である[1] 記載の精製方法。[3] アルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウムであり、アルコール類がメチルアルコールであり、グリシジルエーテル類がメチルグリシジルエーテルである[2] 記載の精製方法。[4] 合成時の原料残渣、副生物である有機塩素化合物を含有するグリシジルエーテル類と塩基性を示すアルカリ金属化合物を加熱し、生成した塩化アルカリ金属を濾別し、濾液を蒸留してグリシジルエーテル類を採取することを特徴とする高純度グリシジルエーテル類の製造方法。[5] 合成がアルカリ金属水酸化物存在下でのエピクロルヒドリンと蒸留可能なアルコール類もしくはアルキルフェノール類との反応であり、塩基性を示すアルカリ金属化合物がアルカリ金属水酸化物である[4] 記載の製造方法。[6] アルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウムであり、アルコール類がメチルアルコールであり、グリシジルエーテル類がメチルグリシジルエーテルである[5] 記載の製造方法。」により達成される。本発明によれば、グリシジルエーテル類合成時の原料残渣、副生物である、グリシジルエーテル類中の有機塩素化合物の含有率を、簡便な方法と少ない原料を使用して効率的に低減させて高純度のグリシジルエーテル類を得ることができる。精製の対象となるグリシジルエーテル類は蒸留可能なグリシジルエーテル類であり、特には、合成時の原料残渣、副生物である有機塩素化合物との沸点差が小さくて分留による精製が困難なグリシジルエーテル類である。蒸留可能なグリシジルエーテル類として、0.1mmHgの減圧度における沸点が150℃以下のものが挙げられる。このようなグリシジルエーテル類として、具体的にはメチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル;p−(sec−ブチル)フェニルグリシジルエーテル、p−(tert−ブチル)フェニルグリシジルエーテル等のアルキルフェニルグリシジルエーテルが例示される。しかも、合成時の原料残渣、副生物である有機塩素化合物を含有するグリシジルエーテル類である。かかるグリシジルエーテル類は、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)存在下でエピクロルヒドリンとアルコールもしくはアルキルフェノールとを反応させることにより製造されるが、反応が100%完結することは困難であり、原料であるエピクロルヒドリンが残存することがある。また、式R-OCH2-CH(OH)-CH2Cl、式R-OCH(-CH2Cl) (-CH2OH) 、式R-OCH2 (-CHECH2Cl) (式中、Rはアルキル基またはアルキルフェニル基であり、Eはグリシジロキシ基である)等で示される有機塩素化合物が副生して、これらを含有することが多い。エピクロルヒドリンとアルコールもしくはアルキルフェノールとを反応させることにより製造されるグリシジルエーテル類中には、有機塩素化合物が塩素換算で100〜20,000ppm位含まれている。合成時の原料残渣、副生物である有機塩素化合物を含有するグリシジルエーテル類と反応させるのに使用される、塩基性を示すアルカリ金属化合物としては、水酸化リチウム,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物;リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、セシウムメトキシド、セシウムエトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、カリウムフェノキシド、セシウムフェノキシドなどのアルカリ金属アリーロキシド;リチウムハイドライド、ナトリウムハイドライド、カリウムハイドライド、セシウムハイドライドなどのアルカリ金属ハイドライドが好ましいが、エポキシ基を開環することなく有機塩素化合物のみを不活性するためには水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、リチウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシドが好ましく、入手のし易さ、経済性および精製反応後の副生成物の除去しやすさを考え合わせると水酸化ナトリウムが特に好ましい。これらのアルカリ性を示す金属化合物は、接触面積を増やし、反応性を向上させるために、粉末状や粒子状であることが好ましいが、著しく細かくなければならないということはなく、例えば特開平4-5284号で提案されているように300μm以下の平均粒径である必要はない。またアルカリ金属水酸化物は高純度であることが好ましいが、これは不純物として含まれる水分が精製反応時にエポキシ基と反応するという副反応を起し、これにより収率が低下するからである。しかしながら、市販品程度の水分含有量(純度)があれば実用上十分である。グリシジルエーテル類と塩基性を示すアルカリ金属化合物との反応は通常無溶媒下で行うが、有機溶媒中で行なうこともできる。そのための有機溶媒として各種の不活性溶媒、例えば、ベンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタン,シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;テトラヒドロフラン,ジオキサン,エチレングリコールジメチルエーテル,エチレングリコールジエチルエーテル,エチレングリコールジブチルエーテル,ジエチレングリコールジメチルエーテル,ジエチレングリコールジエチルエーテル,ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類が例示される。グリシジルエーテル類と塩基性を示すアルカリ金属化合物との反応は、好ましくはグリシジルエーテル類を不活性溶媒中で塩基性を示すアルカリ金属化合物と混合し、20〜150℃、好ましくは70〜140℃に加温して0.5〜10時間、通常1〜5時間撹拌することによって行われる。アルカリ金属化合物は、これを固体状(例えば、粉末状、粒子状)のまま用いてもよいし、上記有機溶媒のスラリーとして用いてもよい。上記反応によって、グリシジルエーテル類中の、合成時の原料残渣、副生物である有機塩素化合物中の加水分解性塩素及び非加水分解性の塩素は、アルカリ金属化合物と反応してアルカリ金属塩化物となる。このアルカリ金属塩化物は事実上揮発しないので、反応混合物を蒸留することにより、あるいは反応混合物を濾過後に、濾液を蒸留することにより有機塩素化物含有率が著しく低いか、皆無という高純度のグリシジルエーテル類が得られる。なお、蒸留は、常温下での蒸留、加熱下での蒸留、常温下での減圧蒸留および加熱下での減圧蒸留があり得る。グリシジルエーテル類の沸点、蒸気圧に応じて使い分けるとよい。[実施例1]合成時の原料残渣、副生物である有機塩素化合物を含有する市販のメチルグリシジルエーテルを13C核磁気共鳴(NMR)分析したところ、エピクリルヒドリン相当で3.4モル%の有機塩素化合物(13700ppmの塩素)を含有していることがわかった。還流冷却器付きの4つ口フラスコに上記メチルグリシジルエーテル500グラムとハンマーで砕いた水酸化ナトリウム粉末(平均粒径300μm以上)25グラムを投入し、窒素ガス雰囲気下に80℃で3時間撹拌した。ついで、40〜50mmHgの減圧度で単蒸留を行って360グラムの留分を得た。この留分をNMR分析したところメチルグリシジルエーテルの純度は99.9重量%であり、不純物に由来するシグナルは観察されなかった。[応用例1]還流冷却器付きの4つ口フラスコに、実施例1で得られた純度99.9%のグリシジルメチルエーテルを5重量%のモレキュラーシーブス4Aで乾燥させたもの20グラム(227ミリモル)、エチレングリコールモノアリルエーテル1.86グラム(18.2ミリモル)および水酸化カリウム0.05グラム(0.88ミリモル)を投入し、120℃で3時間撹拌した。室温まで冷却し、酢酸0.06グラム(1ミリモル)を投入して反応を停止させ、トルエンを添加した後、副生した塩を濾別し、濾液を加熱下減圧留去して21.4グラムの透明な液状ポリマーを得た。この液状ポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分析したところ、標準ポリスチレン換算の数平均分子量は1638であり、分散度は1.063であった。この液状ポリマーについて13CNMR分析したところ、下記の片末端アリロキシエチル基封鎖ポリ(グリシジルメチルエーテル)であり、その平均重合度は12.3であることがわかった。この液状ポリマーは水に均一に溶解した。[応用比較例1]実施例1で使用した市販のグリシジルメチルエーテルを5重量%のモレキュラーシーブス4Aで乾燥したものを使用するほかは応用例1と同一条件で重合を試みた。しかしながら反応液は白濁し、塩化カリウムの生成を示した。この反応液のpHは塩基性ではなく、添加した水酸化カリウムがグリシジルメチルエーテル中の有機塩素化合物により完全に中和されたことを示していた。メチルグリシジルエーテルの重合は全く起こっていなかった。[応用比較例2]還流冷却器付きの4つ口フラスコに実施例1で使用した市販のメチルグリシジルエーテルを5重量%のモレキュラーシーブス4Aで乾燥したもの20グラム(227ミリモル)、エチレングリコールモノアリルエーテル1.86グラム(18.2ミリモル)、水酸化カリウム1.0グラム(17.9ミリモル)を投入して混合し、窒素ガス雰囲気下120℃で3時間撹拌した。室温まで冷却し、酢酸1.09グラム(18.2ミリモル)を投入して反応を停止させ、トルエンを添加した後、副生した塩化カリを濾別し、濾液を加熱下減圧留去して20.5グラムの透明なポリマーを得た。このポリマーを水に投入すると乳濁し、透明に溶解しなかった。本発明の精製方法は、合成時の原料残渣、副生物である有機塩素化合物を含有するグリシジルエーテル類を精製するのに有用であり、本発明の製造方法は、合成時の原料残渣、副生物である有機塩素化合物を含有するグリシジルエーテル類から高純度のグリシジルエーテル類を製造するのに有用である。精製されたグリシジルエーテル類は、アニオン開環重合反応用モノマーとして好適に用いることができる。図1は市販のメチルグリシジルエーテルの13CNMRチャートである。図2は実施例1で得られた高純度のメチルグリシジルエーテルの13CNMRチャートである。合成時の原料残渣、副生物である有機塩素化合物を含有するグリシジルエーテル類に、塩基性を示すアルカリ金属化合物を作用させて該有機塩素化合物中の塩素をアルカリ金属塩化物とした後、蒸留してグリシジルエーテル類を採取することを特徴とするグリシジルエーテル類の精製方法。合成がアルカリ金属水酸化物存在下でのエピクロルヒドリンと蒸留可能なアルコール類もしくはアルキルフェノール類との反応であり、塩基性を示すアルカリ金属化合物がアルカリ金属水酸化物である請求項1記載の精製方法。アルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウムであり、アルコール類がメチルアルコールであり、グリシジルエーテル類がメチルグリシジルエーテルである請求項2記載の精製方法。合成時の原料残渣、副生物である有機塩素化合物を含有するグリシジルエーテル類と塩基性を示すアルカリ金属化合物を加熱し、生成した塩化アルカリ金属を濾別し、濾液を蒸留してグリシジルエーテル類を採取することを特徴とする高純度グリシジルエーテル類の製造方法。合成がアルカリ金属水酸化物存在下でのエピクロルヒドリンと蒸留可能なアルコール類もしくはアルキルフェノール類との反応であり、塩基性を示すアルカリ金属化合物がアルカリ金属水酸化物である請求項4記載の製造方法。アルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウムであり、アルコール類がメチルアルコールであり、グリシジルエーテル類がメチルグリシジルエーテルである請求項5記載の製造方法。 【課題】グリシジルエーテル類中の有機塩素化合物含有率を効率的に低減させるグリシジルエーテル類の精製および高純度グリシジルエーテル類の製造方法を提供する。【解決手段】合成時の原料残渣、副生物である有機塩素化合物を含有するグリシジルエーテル類に塩基性を示すアルカリ金属化合物を作用させた後、該グリシジルエーテル類を蒸留する。【選択図】 なし


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