生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_水溶性高分子のランピング防止剤
出願番号:2006135465
年次:2007
IPC分類:A23L 1/05,A61K 9/16,A61K 47/36


特許情報キャッシュ

高橋 由美子 JP 2007300895 公開特許公報(A) 20071122 2006135465 20060515 水溶性高分子のランピング防止剤 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 000175283 高橋 由美子 A23L 1/05 20060101AFI20071026BHJP A61K 9/16 20060101ALI20071026BHJP A61K 47/36 20060101ALI20071026BHJP JPA23L1/04A61K9/16A61K47/36 4 OL 9 4B041 4C076 4B041LC10 4B041LD01 4B041LE01 4B041LH09 4B041LP14 4C076AA31 4C076BB01 4C076CC40 4C076EE30E 4C076FF15 本発明は増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子のランピングを防止する、水溶性高分子のランピング防止剤、及び水溶性高分子のランピングが防止された易溶性顆粒状組成物の製造方法に関する。詳細には、スパーテルなどによる手撹拌といった弱い撹拌条件においても、水溶性高分子がランピングを起こさずに、容易に水に溶解する易溶性顆粒状組成物の製造方法に関する。 キサンタンガム、グァーガムなどの増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子を水ないしは液状食品に粉末のまま溶解させる際に、いわゆるランピングが生じて、液体に粉末が非常に溶解しにくくなることが知られている。ランピングとは、粉末を水溶液中に添加した時、当該粉末の集合体の表面部分だけが水和、溶解し、当該集合体の内部まで水分が移行しないことにより形成されるもので、別名、ママコ、ダマなどと呼ばれている。このようなランピングが起こると、なかなか水に溶解せず、完全に溶解させるには、攪拌強度を上げたり、時間を長くしたりといったことが必要である。 こういった水溶性高分子のランピングを防止した糊料として、特許文献1には、アラビアガム、プルラン、大豆多糖類及びアラビノガラクタンのうち少なくとも一種以上の多糖類を含有した糊料が開示されている。しかし、特許文献1にはガティガムの記載は一切なく、また、上記多糖類を使用した場合であっても、手撹拌などの弱い撹拌形態では、水溶性高分子のランピングを防止することはできなかった。 また、特許文献2には、水溶性ヘミセルロースと水溶性高分子多糖類を粉末化基材として使用した粉末香料の製造法が開示されており、水溶性高分子多糖類としてガティガムが開示されている。しかし、特許文献2において水溶性ヘミセルロースと水溶性高分子多糖類は香料の香味劣化の防止を目的として使用されており、ガティガムが水溶性高分子多糖類のランピングを防止できることについては一切記載されていない。 一方で、ガティガムを用いたミネラル分散剤が開示されている。例えば、特許文献3には、カルボキシメチルセルロース塩と増粘多糖類を、特定の比率で配合してなることを特徴とするミネラル分散剤が記載されている。また、特許文献4には、スラリー中の乳清カルシウム粒子が互いに縮合しないように、ガティガムを始めとする1種以上をコーティング剤として使用した高分散性カルシウム組成物の製造方法が記載されている。 しかし、特許文献3において使用されるミネラル分散剤はカルボキシメチルセルロース塩を必須成分としており、あくまでガティガムの使用は、カルボキシルメチルセルロース塩の分散効果を高めるための使用に留まっている。また、特許文献4においても、ガティガムはコーティング剤として開示されている増粘多糖類や澱粉加水分解物類、タンパク質類、乳化剤の一種として羅列されているのみであり、また、粒子を造粒することについても一切記載されていない。更には、特許文献3、4は水溶性高分子ではなく、もっぱらカルシウムなどの水難溶性物質を分散することを特徴としており、水溶性高分子についての記載はない。一方、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子は、高粘性で且つ親水性が強いために、カルシウムなどの水難溶性物質に比べ、特に水に溶解した際にランピングが多発するといった問題を抱えており、水溶性高分子がランピングを起こさず容易に水に溶解する方法が望まれていた。特開2001−275584号公報特開平7−102279号公報特開2003−339354号公報特開2005−73695号公報 本発明はかかる事情に鑑みて開発されたものであり、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子のランピング防止剤、及び水溶性高分子がランピングを起こさず容易に水に溶解する、水溶性高分子のランピング防止方法を提供することを目的とする。更には、スパーテルなどによる手撹拌といった弱い撹拌条件においても、水溶性高分子がランピングを起こさず容易に水に溶解する、易溶性顆粒状組成物を提供することを目的とする。 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子にガティガムを添加することにより、当該水溶性高分子のランピングを顕著に防止できることを見出して本発明に至った。また、更に当該水溶性高分子とガティガムを含有した易溶性顆粒状組成物の製造工程中、造粒工程をとることにより、手攪拌といった弱い攪拌条件においても水溶性高分子がランピングを起こさず容易に水に溶解することを見出して本発明に至った。 本発明は、以下の態様を有する増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子のランピング防止剤、及び当該ランピング防止剤を使用することを特徴とする、水溶性高分子のランピングが防止された易溶性顆粒状組成物の製造方法、更にはランピング防止方法に関する;項1.ガティガムを含有することを特徴とする、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子のランピング防止剤。項2.増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子と、項1に記載のランピング防止剤を含む易溶性組成物の製造工程中に造粒工程を含む、ランピングが防止された易溶性顆粒状組成物の製造方法。 なお、本発明の易溶性顆粒状組成物の製造方法には、以下の態様が含まれる。(a)水溶性高分子と項1に記載のランピング防止剤を粉体混合した後に造粒工程をとることを特徴とする、項2記載の易溶性顆粒状組成物の製造方法。(b)項1に記載のランピング防止剤を含有する水溶液をバインダーとして水溶性高分子を造粒することを特徴とする、項2記載の易溶性顆粒状組成物の製造方法。 項3.項1に記載のランピング防止剤を用いた、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子のランピング防止方法において、水溶性高分子を含有する易溶性顆粒状組成物の製造工程中に造粒工程を含む、水溶性高分子のランピング防止方法。 なお、本発明のランピング防止方法には、以下の態様が含まれる。(a)水溶性高分子と項1に記載のランピング防止剤を粉体混合した後に造粒工程をとることを特徴とする、項3記載のランピング防止方法。(b)項1に記載のランピング防止剤を含有する水溶液をバインダーとして水溶性高分子を造粒することを特徴とする、項3記載のランピング防止方法。 項4.項2記載の方法で製造された、水溶性高分子のランピングが防止された易溶性顆粒状組成物。 本発明により、スパーテルなどによる手撹拌といった弱い撹拌条件においても、ランピングを起こさずに、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子を水に容易に溶解させることができる。 本発明は、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子のランピング防止剤としてガティガムを含有することを特徴とする。そして、本発明により、水溶性高分子が水中でランピングを起こさずに容易に溶解するようになる。なお、当該水溶性高分子のランピング現象は、加熱していない低温〜常温の水中でも起こるが、加熱した水においても起こりうる。ここで本発明は、0〜100℃の加熱・非加熱の水に関わらず、従来起こっていた水溶性高分子のランピングを顕著に防止できる方法である。また、糖類や他の添加物などを含む溶液に添加した場合であっても、本発明では水溶性高分子のランピングを防止することができる。 本発明で使用する増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子としては、特に限定されずに上記性質を有する水溶性高分子を用いることができる。この様な水溶性高分子として具体的には、キサンタンガム、ガラクトマンナン(グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム等)、カラギナン、カシアガム、グルコマンナン、ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、タマリンドシードガム、ペクチン、サイリウムシードガム、ゼラチン、トラガントガム、カラヤガム、アラビアガム、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、寒天、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、カードラン、プルラン、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)等のセルロース誘導体、水溶性ヘミセルロース、大豆多糖類、加工・化工でん粉、未加工でん粉(生でん粉)、デキストリンなどから選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。 中でも、キサンタンガムや、グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム等のガラクトマンナン及びカラギナンから選ばれる1種又は2種以上を使用するのが好ましい。更には、本発明の効果が顕著にあらわれることからも、特にキサンタンガムを使用することが好ましい。 また、本発明のランピング防止剤に使用するガティガムは、シクンシ科ガティノキ(Anogeissus Latifolia WALL.)の幹の分泌液を乾燥して得られる、多糖類を主成分とするものである。ガティガムは、商業的に入手することができ、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のガティフォーリアSDを挙げることができる。 そして、本発明に係る水溶性高分子のランピング防止剤を、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子に添加することにより、水溶性高分子のランピングを防止することができる。ここで、水溶性高分子のランピング防止剤は、粉末状、フレーク状、粒状、ペースト状、液状いずれの形態でも用いることができる。また、本発明のランピング防止剤には本発明の効果を妨げない範囲で各種成分、例えば増粘多糖類、乳化剤、香料、色素等を添加することができる。 また、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子とランピング防止剤の添加方法であるが、当該水溶性高分子とガティガムが、最終的に粉末の混合状態にあれば特に添加方法に限定はなく、従来公知の方法をとることができる。例えば、(1)ランピング防止剤と水溶性高分子を粉体混合する方法、(2)水溶性高分子とランピング防止剤を溶液状態で混合した後に乾燥する方法、(3)水溶性高分子にランピング防止剤を含有した溶液を噴霧させ、乾燥する方法といった各種方法が挙げられる。なかでも、水溶性高分子のランピングを有意に防止できることからも、(3)の方法を用いることが好ましい。 また、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子への本発明のランピング防止剤の添加量であるが、ガティガムを水溶性高分子100重量部に対して、1〜200重量部、好ましくは5〜80重量部となるように添加することが好ましい。ここで、ガティガムの添加量が1重量部より少ないと、水に溶解した際のランピングを十分に抑制することができない場合がある。 また、本発明は、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子のランピングを防止する方法、ひいては水溶性高分子のランピングが防止された易溶性組成物の製造方法を提供するものである。そして当該方法は、前述するように、ガティガムを含有するランピング防止剤を、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子に添加することにより実施することができる。そして、ガティガムを含有するランピング防止剤を水溶性高分子に添加する方法としては、上述の方法を取ることができる。 そして、本発明に係るランピングを防止する方法、及び水溶性高分子のランピングが防止された易溶性組成物の製造方法は、更に造粒工程をとることが好ましい。なお、造粒工程は、最終的にランピング防止剤及び/又は水溶性高分子が造粒されていれば、ランピング防止剤の添加時期に関わらず、任意の時期に行うことができる。例えば、(1)水溶性高分子、ランピング防止剤をそれぞれ造粒したものを混合する方法、(2)水溶性高分子にランピング防止剤を添加した後に造粒する方法、(3)水溶性高分子又はランピング防止剤のいずれか一方を造粒した後に、造粒していないもう一方と混合する方法などが挙げられる。また、(4)ランピング防止剤を含有する水溶液をバインダーとして水溶性高分子を造粒することもでき、中でも水溶性高分子のランピング防止効果が高まることからも、(2)若しくは(4)の方法によって造粒工程をとることが好ましい。また、(2)の方法を用いる場合は、特に、水溶性高分子とランピング防止剤を粉体混合したものを造粒する方法を用いることが好ましい。このように造粒工程をとることにより、手攪拌といった弱い攪拌条件においても、水溶性高分子のランピングが抑制された易溶性顆粒状組成物を製造することができ、また水溶性高分子のランピングを顕著に抑制することができる、ランピング防止方法を提供することができる。 ここで、造粒方法としては、食品や医薬の分野で一般に行われている攪拌造粒、押出造粒、転動造粒、流動層造粒などの方法を用いて行うことができる。本発明では中でも、流動層造粒により造粒を行うことが好ましい。流動層造粒による造粒方法として、以下の方法を例示することができる。例えば、粉体を造粒機に入れ、下方から熱風を送り込むことで、粉体を流動させる。この流動層にバインダー液をノズル噴射し、粉体表面に均一にバインダー液を付着させ、凝集粒をつくり、これを乾燥させることにより顆粒を製造する方法を挙げることができる。 ここで、造粒工程の際に使用するバインダーとしては、特には限定されず通常使用されるバインダーを含有した水溶液を用いることができる。具体的には、デキストリン、アミロデキストリン、エリトロデキストリン、アクロデキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン等のデキストリン、トウモロコシ、モチトウモロコシ、馬鈴薯、甘藷、小麦、米、餅米、タピオカ、サゴヤシ等由来の生澱粉や、当該澱粉に物理的又は、化学的処理を施した加工澱粉(酸分解澱粉、酸化澱粉、α化澱粉、グラフト化澱粉、カルボキシメチル基、ヒドロキシアルキル基等を導入したエーテル化澱粉、アセチル基等を導入したエステル化澱粉、澱粉の2カ所以上の水酸基間に多官能基を結合させた架橋澱粉、オクテニルコハク酸基のような疎水基を導入した乳化性澱粉、湿熱・乾熱処理澱粉等)等の澱粉、ショ糖、果糖、ぶどう糖、麦芽糖、澱粉糖化物、還元澱粉水飴、トレハロース等の糖類などが挙げられる。中でも、デキストリンを好適に使用することができ、一方で上記バインダーを含有せずに水をバインダー液として使用することもできる。 また、ランピング防止剤を含有する水溶液をバインダーとして水溶性高分子を造粒する場合のランピング防止剤の添加量は、特には限定されないが、一例としてガティガムが水溶性高分子100重量部に対して、1〜25重量部、好ましくは5〜20重量部となるように使用することができる。ここで、ガティガムの添加量が1重量部より少ないと、水に溶解した際のランピングを十分に抑制することができない場合がある。また、バインダー中のガティガムの濃度としては、0.5〜20重量%、好ましくは5〜15重量%を例示することができる。ここでバインダー中のガティガムの添加量が0.5重量%未満であると造粒に時間がかかる場合があり、一方で20重量%を超えると高粘度溶液となり、バインダーとして好ましくないからである。 更に本発明は、前述の方法により製造された、水溶性高分子のランピングが防止された顆粒状組成物に関する。 本発明の易溶性顆粒状組成物は、少なくとも前記成分を含有するものであればよいが、本発明の効果を奏する限りにおいて、他に任意の成分を配合することもできる。 本発明の易溶性顆粒状組成物には、食品原材料は無論のこと、効果を妨げない範囲において、他の食品添加物、例えば、L-グルタミン酸ナトリウム、L-アスパラギン酸ナトリウム等のアミノ酸またはその塩、5'-イノシン酸二ナトリウム等の核酸またはその塩、クエン酸一カリウム等の有機酸またはその塩、および塩化カリウム等の無機塩類に代表される調味料;カラシ抽出物、ワサビ抽出物、およびコウジ酸等の日持向上剤;シラコたん白抽出物、ポリリシン、およびソルビン酸、安息香酸等の保存料;α、βアミラーゼ、α、βグルコシダ−ゼ、パパイン等の酵素;クエン酸、フマル酸、コハク酸等のpH調整剤;ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、レシチン等の乳化剤;香料;β-カロチン、アナトー色素等の着色料:膨張剤;乳清たん白質、大豆たん白質等のたん白質;ショ糖、果糖、還元デンプン糖化物、エリスリトール、キシリトール等の糖類;スクラロース、ソーマチン、アセスルファムカリウム、アスパルテーム等の甘味料;ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK等のビタミン類;鉄、カルシウム等のミネラル類等を添加することができる。 例えば、キサンタンガムのような増粘性を示す水溶性高分子粉末を使用して造粒した易溶性顆粒状組成物を水や既存の液状食品に添加すると、常温の液状食品にも容易に溶解し、急激に高い粘度を発現する。しかも、保水性に優れ、食塊形成能(口中での食品のまとまりやすさ)がよく、付着性の少ない物性を持った食品とすることができる。即ち、食品に添加する咀嚼・嚥下困難者用補助組成物として、これらの性質は咀嚼・嚥下困難者用食品に要求される食感的および機能的性質を十分に満足するものであり、咀嚼・嚥下困難者用食品に適した易溶性顆粒状組成物となる。 本発明の易溶性顆粒状組成物を添加する対象食品として、例えば、水、牛乳、乳飲料、乳酸菌飲料、果汁入り清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、菜汁飲料、茶飲料、スポーツ飲料、機能性飲料、ビタミン補給飲料、栄養補給バランス飲料、粉末飲料、赤ワイン等の果実酒、コンソメスープ、ポタージュスープ、クリームスープ、中華スープ等の各種スープ、味噌汁、清汁、シチュウ、カレー、グラタンなどのスープ類等の液状の最終食品を挙げることができ、これらに直接添加して増粘させることができる。 更には、各種加工食品の製造時に本発明の易溶性顆粒状組成物を添加することもできる。例えば、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、シャーベット、氷菓等の冷菓類;カスタードプリン,ミルクプリン及び果汁入りプリン等のプリン類、ゼリー、ババロア及びヨーグルト等のデザート類;チューインガムや風船ガム等のガム類(板ガム、糖衣状粒ガム);マーブルチョコレート等のコーティングチョコレートの他、イチゴチョコレート、ブルーベリーチョコレート及びメロンチョコレート等の風味を付加したチョコレート等のチョコレート類;ソフトキャンディー(キャラメル、ヌガー、グミキャンディー、マシュマロ等を含む)、タフィ等のキャラメル類;ソフトビスケット、ソフトクッキー等の菓子類;セパレートドレッシングやノンオイルドレッシングなどのドレッシング、ケチャップ、たれ、ソースなどのソース類;ストロベリージャム、ブルーベリージャム、マーマレード、リンゴジャム、杏ジャム、プレザーブ等のジャム類;シロップ漬のチェリー、アンズ、リンゴ、イチゴ等の加工用果実;ハム、ソーセージ、焼き豚等の畜肉加工品;魚肉ハム、魚肉ソーセージ、魚肉すり身、蒲鉾、竹輪、はんぺん、薩摩揚げ、伊達巻き、鯨ベーコン等の水産練り製品;うどん、冷麦、そうめん、ソバ、中華そば、スパゲッティ、マカロニ、ビーフン、はるさめ及びワンタン等の麺類;その他、各種総菜及び蒲鉾、麩、田麩等、種々の食品及びこれらの食品を更に加工した、加工食品等も挙げることができる。 また、このような一般食品に加えて、蛋白質・リン・カリウム調整食品、塩分調整食品、油脂調整食品、整腸作用食品、カルシウム・鉄・ビタミン強化食品、低アレルギー食品、濃厚流動食、ミキサー食、及びキザミ食等の特殊食品や治療食を挙げることができる。 以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。また、特に記載のない限り「部」とは、「重量部」を意味するものとする。文中*印のものは、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、文中※印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。実験例1 易溶性顆粒状組成物の調製(1)(1)易溶性顆粒状組成物の調製 表1に示す処方に従って易溶性顆粒状組成物を調製した。詳細には、キサンタンガム(ビストップ※D−3000−DF−C*)30%及びランピング防止剤として、粉末状のガティガム(ガティフォーリアSD*)15%、デキストリン55%の割合で混合した粉体500gを、流動層造粒機(株式会社パウレック製)に投入し、バインダーとしてイオン交換水150mLを使用して、流動層造粒を行い、易溶性顆粒状組成物を得た(実施例1)。また、比較例としてガティガムを含有するランピング防止剤の代わりに表1に示す多糖類を用いて、実施例1と同様に易溶性顆粒状組成物を調製した(比較例1〜2)。また、コントロールとして、ランピング防止剤を含有しない比較例3を調製した。(2)水への溶解試験 200mlのビーカーに20℃のイオン交換水各100mlを用意した。そして、各ビーカーに易溶性顆粒状組成物2gを加え、10秒間静置させた後にスパーテルで30秒間攪拌し、攪拌後の溶液の状態を観察した。表1に攪拌後のランピングの状態を示す。なお、評価は表2の基準に従って行った。 表1より、ガティガムを含有したランピング防止剤とキサンタンガムを粉体混合して造粒した易溶性顆粒状組成物は、手攪拌といった弱い攪拌条件においても、ランピングを起こすことなく良好な溶解性を示した。一方、比較例1〜2の多糖類を使用した場合は、コントロール(比較例3)の場合と同様に、ダマが多く、水溶性高分子(キサンタンガム)を十分に溶解することができなかった。実験例2 易溶性顆粒状組成物の調製(2)(1)易溶性顆粒状組成物の調製 キサンタンガム(ビストップ※D−3000−DF−C*)30%及びデキストリン70%の割合で混合した粉体500gを、流動層造粒機(株式会社パウレック製)に投入し、バインダーとして表3に記載の各ランピング防止剤をバインダーとして使用し、流動層造粒を行い、易溶性顆粒状組成物を得た。(2)水への溶解試験 200mlのビーカーに20℃のイオン交換水100mlを用意し、各ビーカーに易溶性顆粒状組成物2gを加え、10秒間静置させた後にスパーテルで30秒間攪拌した。攪拌後の溶液の状態を観察した。表3に攪拌後のランピングの状態を示す。なお、評価は表2の基準に従って行った。 表3より、ガティガムを含有するランピング防止剤をバインダーとして用いることにより、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子がランピングを起こすことなく、分散性が顕著に改善された易溶性顆粒状組成物を調製することができた。それに対し、アラビアガム、デキストリンを含有するランピング防止剤をバインダー液として使用した場合は、水溶性高分子のランピングを防止することができなかった。 本発明により、水溶性高分子がランピングを起こさず容易に水に溶解する方法を提供する。更には、本発明に係る方法を用いることにより、スパーテルなどによる手撹拌といった弱い撹拌条件においても、ランピングを起こさずに、容易に水に溶解する易溶性組成物を提供する。ガティガムを含有することを特徴とする、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子のランピング防止剤。増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子と、請求項1に記載のランピング防止剤を含む組成物の製造工程中に造粒工程を含む、ランピングが防止された易溶性顆粒状組成物の製造方法。請求項1に記載のランピング防止剤を用いた、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子のランピング防止方法において、水溶性高分子を含有する組成物の製造工程中に造粒工程を含む、水溶性高分子のランピング防止方法。請求項2記載の方法で製造された、水溶性高分子のランピングが防止された易溶性顆粒状組成物。 【課題】スパーテルなどによる手撹拌といった弱い撹拌条件においても、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子がランピングを起こさず容易に水に溶解する方法を提供する。【解決手段】増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子に、ガティガムを含有することを特徴とするランピング防止剤を添加する。更には、造粒工程を取る。【選択図】なし


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特許公報(B2)_水溶性高分子のランピング防止剤

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タイトル:特許公報(B2)_水溶性高分子のランピング防止剤
出願番号:2006135465
年次:2011
IPC分類:A23L 1/05,A61K 9/16,A61K 47/36


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高橋 由美子 JP 4672596 特許公報(B2) 20110128 2006135465 20060515 水溶性高分子のランピング防止剤 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 000175283 高橋 由美子 20110420 A23L 1/05 20060101AFI20110331BHJP A61K 9/16 20060101ALI20110331BHJP A61K 47/36 20060101ALI20110331BHJP JPA23L1/04A61K9/16A61K47/36 A23L 1/05−09 A61K 9/16 A61K 47/36 WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) G−Search 食品関連文献情報(食ネット) 特開2004−024182(JP,A) 特開2004−147567(JP,A) 特開平01−273550(JP,A) 特開2003−213037(JP,A) 特開2004−344165(JP,A) 特開2004−350679(JP,A) 特開2002−186458(JP,A) 特開2001−275584(JP,A) 特開2003−339354(JP,A) New Food Ind Vol.34 No.4 Page.53-61 (1992.04) Confect Prod Vol.40 No.11 Page.509-511 (1974) FFIジャーナル(2003.03.01)Vol.211, No.3, p.275-280 Lebensm Wiss Technol Vol.14 No.6 Page.317-322 (1981.12) 4 2007300895 20071122 10 20090428 山本 匡子 本発明は増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子のランピングを防止する、水溶性高分子のランピング防止剤、及び水溶性高分子のランピングが防止された易溶性顆粒状組成物の製造方法に関する。詳細には、スパーテルなどによる手撹拌といった弱い撹拌条件においても、水溶性高分子がランピングを起こさずに、容易に水に溶解する易溶性顆粒状組成物の製造方法に関する。 キサンタンガム、グァーガムなどの増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子を水ないしは液状食品に粉末のまま溶解させる際に、いわゆるランピングが生じて、液体に粉末が非常に溶解しにくくなることが知られている。ランピングとは、粉末を水溶液中に添加した時、当該粉末の集合体の表面部分だけが水和、溶解し、当該集合体の内部まで水分が移行しないことにより形成されるもので、別名、ママコ、ダマなどと呼ばれている。このようなランピングが起こると、なかなか水に溶解せず、完全に溶解させるには、攪拌強度を上げたり、時間を長くしたりといったことが必要である。 こういった水溶性高分子のランピングを防止した糊料として、特許文献1には、アラビアガム、プルラン、大豆多糖類及びアラビノガラクタンのうち少なくとも一種以上の多糖類を含有した糊料が開示されている。しかし、特許文献1にはガティガムの記載は一切なく、また、上記多糖類を使用した場合であっても、手撹拌などの弱い撹拌形態では、水溶性高分子のランピングを防止することはできなかった。 また、特許文献2には、水溶性ヘミセルロースと水溶性高分子多糖類を粉末化基材として使用した粉末香料の製造法が開示されており、水溶性高分子多糖類としてガティガムが開示されている。しかし、特許文献2において水溶性ヘミセルロースと水溶性高分子多糖類は香料の香味劣化の防止を目的として使用されており、ガティガムが水溶性高分子多糖類のランピングを防止できることについては一切記載されていない。 一方で、ガティガムを用いたミネラル分散剤が開示されている。例えば、特許文献3には、カルボキシメチルセルロース塩と増粘多糖類を、特定の比率で配合してなることを特徴とするミネラル分散剤が記載されている。また、特許文献4には、スラリー中の乳清カルシウム粒子が互いに縮合しないように、ガティガムを始めとする1種以上をコーティング剤として使用した高分散性カルシウム組成物の製造方法が記載されている。 しかし、特許文献3において使用されるミネラル分散剤はカルボキシメチルセルロース塩を必須成分としており、あくまでガティガムの使用は、カルボキシルメチルセルロース塩の分散効果を高めるための使用に留まっている。また、特許文献4においても、ガティガムはコーティング剤として開示されている増粘多糖類や澱粉加水分解物類、タンパク質類、乳化剤の一種として羅列されているのみであり、また、粒子を造粒することについても一切記載されていない。更には、特許文献3、4は水溶性高分子ではなく、もっぱらカルシウムなどの水難溶性物質を分散することを特徴としており、水溶性高分子についての記載はない。一方、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子は、高粘性で且つ親水性が強いために、カルシウムなどの水難溶性物質に比べ、特に水に溶解した際にランピングが多発するといった問題を抱えており、水溶性高分子がランピングを起こさず容易に水に溶解する方法が望まれていた。特開2001−275584号公報特開平7−102279号公報特開2003−339354号公報特開2005−73695号公報 本発明はかかる事情に鑑みて開発されたものであり、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子のランピング防止剤、及び水溶性高分子がランピングを起こさず容易に水に溶解する、水溶性高分子のランピング防止方法を提供することを目的とする。更には、スパーテルなどによる手撹拌といった弱い撹拌条件においても、水溶性高分子がランピングを起こさず容易に水に溶解する、易溶性顆粒状組成物を提供することを目的とする。 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子にガティガムを添加することにより、当該水溶性高分子のランピングを顕著に防止できることを見出して本発明に至った。また、更に当該水溶性高分子とガティガムを含有した易溶性顆粒状組成物の製造工程中、造粒工程をとることにより、手攪拌といった弱い攪拌条件においても水溶性高分子がランピングを起こさず容易に水に溶解することを見出して本発明に至った。 本発明は、以下の態様を有する増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子のランピング防止剤、及び当該ランピング防止剤を使用することを特徴とする、水溶性高分子のランピングが防止された易溶性顆粒状組成物の製造方法、更にはランピング防止方法に関する;項1.ガティガムを含有することを特徴とする、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子のランピング防止剤。項2.増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子と、項1に記載のランピング防止剤を含む易溶性組成物の製造工程中に造粒工程を含む、ランピングが防止された易溶性顆粒状組成物の製造方法。 なお、本発明の易溶性顆粒状組成物の製造方法には、以下の態様が含まれる。(a)水溶性高分子と項1に記載のランピング防止剤を粉体混合した後に造粒工程をとることを特徴とする、項2記載の易溶性顆粒状組成物の製造方法。(b)項1に記載のランピング防止剤を含有する水溶液をバインダーとして水溶性高分子を造粒することを特徴とする、項2記載の易溶性顆粒状組成物の製造方法。 項3.項1に記載のランピング防止剤を用いた、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子のランピング防止方法において、水溶性高分子を含有する易溶性顆粒状組成物の製造工程中に造粒工程を含む、水溶性高分子のランピング防止方法。 なお、本発明のランピング防止方法には、以下の態様が含まれる。(a)水溶性高分子と項1に記載のランピング防止剤を粉体混合した後に造粒工程をとることを特徴とする、項3記載のランピング防止方法。(b)項1に記載のランピング防止剤を含有する水溶液をバインダーとして水溶性高分子を造粒することを特徴とする、項3記載のランピング防止方法。 項4.項2記載の方法で製造された、水溶性高分子のランピングが防止された易溶性顆粒状組成物。 本発明により、スパーテルなどによる手撹拌といった弱い撹拌条件においても、ランピングを起こさずに、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子を水に容易に溶解させることができる。 本発明は、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子のランピング防止剤としてガティガムを含有することを特徴とする。そして、本発明により、水溶性高分子が水中でランピングを起こさずに容易に溶解するようになる。なお、当該水溶性高分子のランピング現象は、加熱していない低温〜常温の水中でも起こるが、加熱した水においても起こりうる。ここで本発明は、0〜100℃の加熱・非加熱の水に関わらず、従来起こっていた水溶性高分子のランピングを顕著に防止できる方法である。また、糖類や他の添加物などを含む溶液に添加した場合であっても、本発明では水溶性高分子のランピングを防止することができる。 本発明で使用する増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子としては、特に限定されずに上記性質を有する水溶性高分子を用いることができる。この様な水溶性高分子として具体的には、キサンタンガム、ガラクトマンナン(グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム等)、カラギナン、カシアガム、グルコマンナン、ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、タマリンドシードガム、ペクチン、サイリウムシードガム、ゼラチン、トラガントガム、カラヤガム、アラビアガム、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、寒天、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、カードラン、プルラン、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)等のセルロース誘導体、水溶性ヘミセルロース、大豆多糖類、加工・化工でん粉、未加工でん粉(生でん粉)、デキストリンなどから選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。 中でも、キサンタンガムや、グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム等のガラクトマンナン及びカラギナンから選ばれる1種又は2種以上を使用するのが好ましい。更には、本発明の効果が顕著にあらわれることからも、特にキサンタンガムを使用することが好ましい。 また、本発明のランピング防止剤に使用するガティガムは、シクンシ科ガティノキ(Anogeissus Latifolia WALL.)の幹の分泌液を乾燥して得られる、多糖類を主成分とするものである。ガティガムは、商業的に入手することができ、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のガティフォーリアSDを挙げることができる。 そして、本発明に係る水溶性高分子のランピング防止剤を、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子に添加することにより、水溶性高分子のランピングを防止することができる。ここで、水溶性高分子のランピング防止剤は、粉末状、フレーク状、粒状、ペースト状、液状いずれの形態でも用いることができる。また、本発明のランピング防止剤には本発明の効果を妨げない範囲で各種成分、例えば増粘多糖類、乳化剤、香料、色素等を添加することができる。 また、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子とランピング防止剤の添加方法であるが、当該水溶性高分子とガティガムが、最終的に粉末の混合状態にあれば特に添加方法に限定はなく、従来公知の方法をとることができる。例えば、(1)ランピング防止剤と水溶性高分子を粉体混合する方法、(2)水溶性高分子とランピング防止剤を溶液状態で混合した後に乾燥する方法、(3)水溶性高分子にランピング防止剤を含有した溶液を噴霧させ、乾燥する方法といった各種方法が挙げられる。なかでも、水溶性高分子のランピングを有意に防止できることからも、(3)の方法を用いることが好ましい。 また、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子への本発明のランピング防止剤の添加量であるが、ガティガムを水溶性高分子100重量部に対して、1〜200重量部、好ましくは5〜80重量部となるように添加することが好ましい。ここで、ガティガムの添加量が1重量部より少ないと、水に溶解した際のランピングを十分に抑制することができない場合がある。 また、本発明は、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子のランピングを防止する方法、ひいては水溶性高分子のランピングが防止された易溶性組成物の製造方法を提供するものである。そして当該方法は、前述するように、ガティガムを含有するランピング防止剤を、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子に添加することにより実施することができる。そして、ガティガムを含有するランピング防止剤を水溶性高分子に添加する方法としては、上述の方法を取ることができる。 そして、本発明に係るランピングを防止する方法、及び水溶性高分子のランピングが防止された易溶性組成物の製造方法は、更に造粒工程をとることが好ましい。なお、造粒工程は、最終的にランピング防止剤及び/又は水溶性高分子が造粒されていれば、ランピング防止剤の添加時期に関わらず、任意の時期に行うことができる。例えば、(1)水溶性高分子、ランピング防止剤をそれぞれ造粒したものを混合する方法、(2)水溶性高分子にランピング防止剤を添加した後に造粒する方法、(3)水溶性高分子又はランピング防止剤のいずれか一方を造粒した後に、造粒していないもう一方と混合する方法などが挙げられる。また、(4)ランピング防止剤を含有する水溶液をバインダーとして水溶性高分子を造粒することもでき、中でも水溶性高分子のランピング防止効果が高まることからも、(2)若しくは(4)の方法によって造粒工程をとることが好ましい。また、(2)の方法を用いる場合は、特に、水溶性高分子とランピング防止剤を粉体混合したものを造粒する方法を用いることが好ましい。このように造粒工程をとることにより、手攪拌といった弱い攪拌条件においても、水溶性高分子のランピングが抑制された易溶性顆粒状組成物を製造することができ、また水溶性高分子のランピングを顕著に抑制することができる、ランピング防止方法を提供することができる。 ここで、造粒方法としては、食品や医薬の分野で一般に行われている攪拌造粒、押出造粒、転動造粒、流動層造粒などの方法を用いて行うことができる。本発明では中でも、流動層造粒により造粒を行うことが好ましい。流動層造粒による造粒方法として、以下の方法を例示することができる。例えば、粉体を造粒機に入れ、下方から熱風を送り込むことで、粉体を流動させる。この流動層にバインダー液をノズル噴射し、粉体表面に均一にバインダー液を付着させ、凝集粒をつくり、これを乾燥させることにより顆粒を製造する方法を挙げることができる。 ここで、造粒工程の際に使用するバインダーとしては、特には限定されず通常使用されるバインダーを含有した水溶液を用いることができる。具体的には、デキストリン、アミロデキストリン、エリトロデキストリン、アクロデキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン等のデキストリン、トウモロコシ、モチトウモロコシ、馬鈴薯、甘藷、小麦、米、餅米、タピオカ、サゴヤシ等由来の生澱粉や、当該澱粉に物理的又は、化学的処理を施した加工澱粉(酸分解澱粉、酸化澱粉、α化澱粉、グラフト化澱粉、カルボキシメチル基、ヒドロキシアルキル基等を導入したエーテル化澱粉、アセチル基等を導入したエステル化澱粉、澱粉の2カ所以上の水酸基間に多官能基を結合させた架橋澱粉、オクテニルコハク酸基のような疎水基を導入した乳化性澱粉、湿熱・乾熱処理澱粉等)等の澱粉、ショ糖、果糖、ぶどう糖、麦芽糖、澱粉糖化物、還元澱粉水飴、トレハロース等の糖類などが挙げられる。中でも、デキストリンを好適に使用することができ、一方で上記バインダーを含有せずに水をバインダー液として使用することもできる。 また、ランピング防止剤を含有する水溶液をバインダーとして水溶性高分子を造粒する場合のランピング防止剤の添加量は、特には限定されないが、一例としてガティガムが水溶性高分子100重量部に対して、1〜25重量部、好ましくは5〜20重量部となるように使用することができる。ここで、ガティガムの添加量が1重量部より少ないと、水に溶解した際のランピングを十分に抑制することができない場合がある。また、バインダー中のガティガムの濃度としては、0.5〜20重量%、好ましくは5〜15重量%を例示することができる。ここでバインダー中のガティガムの添加量が0.5重量%未満であると造粒に時間がかかる場合があり、一方で20重量%を超えると高粘度溶液となり、バインダーとして好ましくないからである。 更に本発明は、前述の方法により製造された、水溶性高分子のランピングが防止された顆粒状組成物に関する。 本発明の易溶性顆粒状組成物は、少なくとも前記成分を含有するものであればよいが、本発明の効果を奏する限りにおいて、他に任意の成分を配合することもできる。 本発明の易溶性顆粒状組成物には、食品原材料は無論のこと、効果を妨げない範囲において、他の食品添加物、例えば、L-グルタミン酸ナトリウム、L-アスパラギン酸ナトリウム等のアミノ酸またはその塩、5'-イノシン酸二ナトリウム等の核酸またはその塩、クエン酸一カリウム等の有機酸またはその塩、および塩化カリウム等の無機塩類に代表される調味料;カラシ抽出物、ワサビ抽出物、およびコウジ酸等の日持向上剤;シラコたん白抽出物、ポリリシン、およびソルビン酸、安息香酸等の保存料;α、βアミラーゼ、α、βグルコシダ−ゼ、パパイン等の酵素;クエン酸、フマル酸、コハク酸等のpH調整剤;ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、レシチン等の乳化剤;香料;β-カロチン、アナトー色素等の着色料:膨張剤;乳清たん白質、大豆たん白質等のたん白質;ショ糖、果糖、還元デンプン糖化物、エリスリトール、キシリトール等の糖類;スクラロース、ソーマチン、アセスルファムカリウム、アスパルテーム等の甘味料;ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK等のビタミン類;鉄、カルシウム等のミネラル類等を添加することができる。 例えば、キサンタンガムのような増粘性を示す水溶性高分子粉末を使用して造粒した易溶性顆粒状組成物を水や既存の液状食品に添加すると、常温の液状食品にも容易に溶解し、急激に高い粘度を発現する。しかも、保水性に優れ、食塊形成能(口中での食品のまとまりやすさ)がよく、付着性の少ない物性を持った食品とすることができる。即ち、食品に添加する咀嚼・嚥下困難者用補助組成物として、これらの性質は咀嚼・嚥下困難者用食品に要求される食感的および機能的性質を十分に満足するものであり、咀嚼・嚥下困難者用食品に適した易溶性顆粒状組成物となる。 本発明の易溶性顆粒状組成物を添加する対象食品として、例えば、水、牛乳、乳飲料、乳酸菌飲料、果汁入り清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、菜汁飲料、茶飲料、スポーツ飲料、機能性飲料、ビタミン補給飲料、栄養補給バランス飲料、粉末飲料、赤ワイン等の果実酒、コンソメスープ、ポタージュスープ、クリームスープ、中華スープ等の各種スープ、味噌汁、清汁、シチュウ、カレー、グラタンなどのスープ類等の液状の最終食品を挙げることができ、これらに直接添加して増粘させることができる。 更には、各種加工食品の製造時に本発明の易溶性顆粒状組成物を添加することもできる。例えば、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、シャーベット、氷菓等の冷菓類;カスタードプリン,ミルクプリン及び果汁入りプリン等のプリン類、ゼリー、ババロア及びヨーグルト等のデザート類;チューインガムや風船ガム等のガム類(板ガム、糖衣状粒ガム);マーブルチョコレート等のコーティングチョコレートの他、イチゴチョコレート、ブルーベリーチョコレート及びメロンチョコレート等の風味を付加したチョコレート等のチョコレート類;ソフトキャンディー(キャラメル、ヌガー、グミキャンディー、マシュマロ等を含む)、タフィ等のキャラメル類;ソフトビスケット、ソフトクッキー等の菓子類;セパレートドレッシングやノンオイルドレッシングなどのドレッシング、ケチャップ、たれ、ソースなどのソース類;ストロベリージャム、ブルーベリージャム、マーマレード、リンゴジャム、杏ジャム、プレザーブ等のジャム類;シロップ漬のチェリー、アンズ、リンゴ、イチゴ等の加工用果実;ハム、ソーセージ、焼き豚等の畜肉加工品;魚肉ハム、魚肉ソーセージ、魚肉すり身、蒲鉾、竹輪、はんぺん、薩摩揚げ、伊達巻き、鯨ベーコン等の水産練り製品;うどん、冷麦、そうめん、ソバ、中華そば、スパゲッティ、マカロニ、ビーフン、はるさめ及びワンタン等の麺類;その他、各種総菜及び蒲鉾、麩、田麩等、種々の食品及びこれらの食品を更に加工した、加工食品等も挙げることができる。 また、このような一般食品に加えて、蛋白質・リン・カリウム調整食品、塩分調整食品、油脂調整食品、整腸作用食品、カルシウム・鉄・ビタミン強化食品、低アレルギー食品、濃厚流動食、ミキサー食、及びキザミ食等の特殊食品や治療食を挙げることができる。 以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。また、特に記載のない限り「部」とは、「重量部」を意味するものとする。文中*印のものは、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、文中※印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。実験例1 易溶性顆粒状組成物の調製(1)(1)易溶性顆粒状組成物の調製 表1に示す処方に従って易溶性顆粒状組成物を調製した。詳細には、キサンタンガム(ビストップ※D−3000−DF−C*)30%及びランピング防止剤として、粉末状のガティガム(ガティフォーリアSD*)15%、デキストリン55%の割合で混合した粉体500gを、流動層造粒機(株式会社パウレック製)に投入し、バインダーとしてイオン交換水150mLを使用して、流動層造粒を行い、易溶性顆粒状組成物を得た(実施例1)。また、比較例としてガティガムを含有するランピング防止剤の代わりに表1に示す多糖類を用いて、実施例1と同様に易溶性顆粒状組成物を調製した(比較例1〜2)。また、コントロールとして、ランピング防止剤を含有しない比較例3を調製した。(2)水への溶解試験 200mlのビーカーに20℃のイオン交換水各100mlを用意した。そして、各ビーカーに易溶性顆粒状組成物2gを加え、10秒間静置させた後にスパーテルで30秒間攪拌し、攪拌後の溶液の状態を観察した。表1に攪拌後のランピングの状態を示す。なお、評価は表2の基準に従って行った。 表1より、ガティガムを含有したランピング防止剤とキサンタンガムを粉体混合して造粒した易溶性顆粒状組成物は、手攪拌といった弱い攪拌条件においても、ランピングを起こすことなく良好な溶解性を示した。一方、比較例1〜2の多糖類を使用した場合は、コントロール(比較例3)の場合と同様に、ダマが多く、水溶性高分子(キサンタンガム)を十分に溶解することができなかった。実験例2 易溶性顆粒状組成物の調製(2)(1)易溶性顆粒状組成物の調製 キサンタンガム(ビストップ※D−3000−DF−C*)30%及びデキストリン70%の割合で混合した粉体500gを、流動層造粒機(株式会社パウレック製)に投入し、バインダーとして表3に記載の各ランピング防止剤をバインダーとして使用し、流動層造粒を行い、易溶性顆粒状組成物を得た。(2)水への溶解試験 200mlのビーカーに20℃のイオン交換水100mlを用意し、各ビーカーに易溶性顆粒状組成物2gを加え、10秒間静置させた後にスパーテルで30秒間攪拌した。攪拌後の溶液の状態を観察した。表3に攪拌後のランピングの状態を示す。なお、評価は表2の基準に従って行った。 表3より、ガティガムを含有するランピング防止剤をバインダーとして用いることにより、増粘及び/又はゲル化する性質を有する水溶性高分子がランピングを起こすことなく、分散性が顕著に改善された易溶性顆粒状組成物を調製することができた。それに対し、アラビアガム、デキストリンを含有するランピング防止剤をバインダー液として使用した場合は、水溶性高分子のランピングを防止することができなかった。 本発明により、水溶性高分子がランピングを起こさず容易に水に溶解する方法を提供する。更には、本発明に係る方法を用いることにより、スパーテルなどによる手撹拌といった弱い撹拌条件においても、ランピングを起こさずに、容易に水に溶解する易溶性組成物を提供する。 ガティガムを含有する水溶液をバインダーとして、増粘及び/又はゲル化する性質を有する粉体の水溶性高分子を造粒することを特徴とする、水溶性高分子のランピング防止方法。 水溶性高分子100重量部に対するガティガムの添加量が1〜25重量部である、請求項1に記載の水溶性高分子のランピング防止方法。 水溶性高分子がキサンタンガムである、請求項1又は2に記載のランピング防止方法。 ガティガムを含有する水溶液をバインダーとして、増粘及び/又はゲル化する性質を有する粉体の水溶性高分子を造粒することを特徴とする、ランピングが防止された易溶性顆粒状組成物の製造方法。


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