生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_金属部材のクリープ余寿命の予測方法
出願番号:2006133239
年次:2007
IPC分類:G01N 17/00


特許情報キャッシュ

矢野 芳則 福島 一夫 国房 滋 手塚 英志 JP 2007303980 公開特許公報(A) 20071122 2006133239 20060512 金属部材のクリープ余寿命の予測方法 住友金属テクノロジー株式会社 592244376 東京電力株式会社 000003687 穂上 照忠 100083585 杉岡 幹二 100093469 千原 清誠 100134980 矢野 芳則 福島 一夫 国房 滋 手塚 英志 G01N 17/00 20060101AFI20071026BHJP JPG01N17/00 2 2 OL 11 2G050 2G050AA01 2G050BA10 2G050BA12 2G050DA02 2G050EA01 2G050EB01 2G050EC05 本発明は、高温下で使用される金属部材、例えば、発電プラントのボイラ管等のクリープ余寿命を精度良く予測する方法に関する。 経済の低成長時代になってから、高温、高圧環境下で稼働する設備、例えば火力発電設備の新設が少なくなり、建設後30年以上を経てなお稼働している設備が大半を占めるようになった。このような設備では、設備も構成部材、例えば発電設備であればボイラ管のような部材の余寿命をできるだけ正確に予測して、その結果を保全計画に反映させることがきわめて重要である。 高温環境下において応力が負荷された状態で長時間使用される金属材料にはクリープ変形が生じ、ついには破断に到る。したがって、設備の保全を適切に行って安全を確保するためには、使用中の金属材料のクリープ変形が、どの程度まで進行しているかを測定し、破断に到るまでの時間(余寿命)を予測することが必須である。 クリープ寿命を比較的精度良く推定する方法の一つは、対象材料から試験片を採取し、クリープ破断試験を実施する方法である。そして、短時間の試験結果からラーソン・ミラー法やIso-stress 法によって外挿し、実機使用条件下での破断時間を予測する方法がこれまで採用されてきた。 上記の方法では、許される外挿時間は、試験時間の3倍程度、長くても10倍までと言われているが、実際には50倍以上の外挿がなされており、正確な破断時間を予測しているとは言い難い。 一方、クリープ変形特性をクリープ寿命の評価に反映させるΩ法(オメガ法)が、例えば下記の非特許文献1によって紹介されている。「材料」Vol.46、No.4、pp.438-442 Ω法の原理は下記のとおりである。なお、図1は上記の非特許文献に記載されている図である。 図1の(a)はクリープ曲線である。クリープ速度を「εドット」とし、その対数「lnεドット」とクリープひずみεとの関係を示したのが図1の(b)である。ここで、ε=0のときの仮想クリープ速度を「εドット0」とすれば、 lnεドット=Ω・ε+lnεドット0となる。Ωは図1(b)の直線の傾きである。この式を変形すると、 εドット=εドット0exp(Ω・ε)となり、これを積分し、t=0、ε=0とすると次の(1)式が得られる。 ε=−(1/Ω)ln(1−εドット0・Ω・t) ・・・(1)この(1)式でε=∞を破断と定義すると、破断までの時間、即ち、余寿命trは、 tr=1/(εドット0・Ω) ・・・(2)となる。したがって、εドット0とΩの値がわかれば、上記の(2)式を用いて、余寿命予測開始時点から破断までの時間、即ち、余寿命trが算出できる。 材料の変形特性は、破断特性に較べてバラツキが少ないので、Ω法を用いれば余寿命の推定精度が飛躍的に向上すると考えられ、実用材料のクリープ余寿命の予測への適用が大いに期待できる。しかしながら、Ω法の実用化にあたっては下記の問題点がある。 (a) 運転中の実機は高温に保持されているから、非破壊法でクリープひずみ(前記のε)を計測してひずみ速度(前記のεドット)を求めるのは困難である。なお、高温ひずみゲージを使用する方法もあるが、それで測定できるのはせいぜい1%程度のひずみであって、実用には不十分である。 (b) 実機の材料で余寿命を律速するのは溶接熱影響部(溶接熱によって金属組織等に変化の生じた部分)である。しかし、溶接熱影響部という局所的な微小な部分のひずみを測定するのは困難である。 (c) 短軸クリープ試験で得られるクリープ曲線と、内圧が作用する実機の材料のクリープ曲線とは、異なる可能性がある。 (d) Ωの値は、温度および応力の関数であるから、使用条件下におけるΩの値を求める必要がある。また、一つのクリープ破断試験で求めたΩの値が、異なる温度および応力の下でのクリープにも共通して適用できるのか不明である。さらに、Ωの値は材料の製造履歴の影響を受けるのではないかという疑問がある。 本発明の目的は、上記の問題点を解決し、Ω法を利用して金属材料のクリープ余寿命を精度良く予測する方法を提供することにある。 本発明の要旨は、下記(1)および(2)の金属部材のクリープ余寿命の予測方法にある。 (1)金属部材の表面に設けた耐酸化性金属の薄層のひずみを測定して、金属部材のひずみを求め、金属部材のクリープ余寿命を予測する方法であって、下記の工程1-1から工程1-4までを特徴とする金属部材のクリープ余寿命の予測方法。以下、これを「第1の方法」という。 工程1-1:被測定部材の表面の所定位置に耐酸化性金属の薄層を設ける。 工程1-2:被測定部材の使用経過時間中の複数の時点において上記耐酸化性金属の薄層のひずみ(ε)を測定し、その測定値から使用経過時間(t)とひずみ(ε)との関係を示す曲線Aを描く。 工程1-3:下記の(1)式のΩとεドット0を様々に変化させて使用経過時間(t)とひずみ(ε)との関係を表す仮想曲線を描き、その仮想曲線の中で上記の曲線Aに最も近似した曲線Bを求める。 工程1-4:上記の曲線Bから、余寿命予測の開始時点でのεドット0とΩを見出し、それらの値を下記の(2)式に代入して、余寿命(tr)を算出する。 ε=−(1/Ω)ln(1−εドット0・Ω・t) ・・・(1) tr=1/(εドット0・Ω) ・・・(2) ただし、εドット0は、ε=0のとき、即ち、余寿命予測開始時点での仮想クリープ速度である。 (2)金属部材の表面に設けた耐酸化性金属の薄層のひずみを測定して、金属部材のひずみを求め、金属部材のクリープ余寿命を予測する方法であって、下記の工程2-1から工程2-4までを特徴とする金属部材のクリープ余寿命の予測方法。以下、これを「第2の方法」という。 工程2-1:被測定部材の表面の複数箇所に耐酸化性金属の薄層を設ける。 工程2-2:被測定部材の使用経過時間中の複数の時点において上記複数箇所のそれぞれにおいて耐酸化性金属の薄層のひずみ(ε)を測定し、それらの測定値の中で最大の値から順に5〜10番目までのひずみの平均値を求め、その平均値と使用経過との関係を示す曲線Aを描く。 工程2-3:上記の工程2-2において複数箇所のそれぞれで得た曲線Aの中で最大ひずみの曲線Amaxを対象として、下記の(1)式のΩとεドット0を様々に変化させて使用経過時間(t)とひずみ(ε)との関係を表す仮想曲線を描き、その中で上記の曲線Amaxに最も近似した曲線Bを求める。 工程2-4:上記の曲線Bから、余寿命予測の開始時点でのεドット0とΩを見出し、それらの値を下記の(2)式に代入して、余寿命(tr)を算出する。 ε=−(1/Ω)ln(1−εドット0・Ω・t) ・・・(1) tr=1/(εドット0・Ω) ・・・(2) ただし、εドット0は、ε=0のとき、即ち、余寿命予測開始時点での仮想クリープ速度である。 なお、工程2-2におけるひずみ測定箇所は、単位長さが50μmから1mmまでというような微小部分であることが望ましい。 本発明方法において、ひずみ(ε)とは真ひずみのことで、ε=ln(変形後の長さ/変形前の長さ)で表されるものである。 本発明方法によれば、金属材料の実際の使用途中において、残りのクリープ寿命を精度良く予測することができる。そして、その予測結果に基づいて的確に設備の保全計画を立てることが可能になる。 上記の第2の方法では、被測定部材の最もひずみ速度の大きい位置において余寿命予測を行うことになる。通常、部材はひずみ速度が最も大きい箇所で破断するから、その位置で余寿命を予測することにより部材の余寿命予測の精度が一段と高まる。 以下、発電設備のボイラ管を例として本発明方法の具体的な実施形態を説明する。 (1)第1の方法について 工程1-1:耐酸化性金属の薄層の取付 使用に先立って、被測定部材(以下、ボイラ管で代表させる)の表面に耐酸化性の金属の薄層を設ける。ボイラ管自体の表面は、ボイラ管の高温での使用中に酸化されて表面にスケールが発生し、後述のスペックルパターン解析が困難になる。したがって、ボイラ管の表面に耐酸化性に優れた金属の薄層を設け、その表面のひずみを測定するのである。 上記のようにして設けられた耐酸化性の金属薄層は、ボイラ管のクリープ変形に伴って変形する。従って、この金属薄層のひずみは、ボイラ管自体のひずみに相当することになる。言い換えれば、金属薄層のひずみの測定は、事実上、ボイラ管のひずみの測定に相当するのである。 耐酸化性の金属の薄層としては、金属箔やめっき層のようなコーティング層が使用できる。金属としては金やパラジウムも使用できるが、入手の容易性などから、白金が望ましい。 耐酸化性の金属の薄層を設ける方法としては、本出願人の一人が先に提案した特許文献1に開示の方法が望ましい。即ち、ボイラ管の表面のスケールを除去した後、まず、ニッケルの薄層を設け、その上に耐酸化性に優れた金属の箔を貼付するのである。特開2005−291979号公報 金属薄層は、例えば一辺が5〜20mmの矩形、あるいは面積が20〜400mm2の多角形や円形であればよい。厚さは0.1〜0.5mm程度でよい。 ニッケルの薄層は、0.04〜0.1mm程度のめっき層、あるいはその程度の厚さのニッケル箔でよい。めっきは電気メッキ等で施すことができる。また、ニッケル箔は耐酸化性の金属箔と重ね合わせてボイラ管の表面にスポット溶接やシーム溶接で貼付することができる。ニッケルのめっき層の上に耐酸化性の金属箔を貼付するのも上記の溶接で実施する。ボイラ管の表面と耐酸化性の金属箔との間にニッケル薄層を介在させると、ボイラ管の使用中に耐酸化性の金属箔が剥離することがなく、ひずみの測定がより正確に実施できる。 工程1-2:ひずみの測定 ひずみの測定は、ボイラ管の使用中に複数回行う。その測定は、耐酸化性金属の薄層の表面の凹凸を、例えばスペックルパターン法で画像解析して行うことができる。スペックルパターン法とは、物体の表面の細かい凹凸(speckle pattern)からの反射光映像を撮影し、その映像の変化からひずみを知る方法である。この反射光映像の撮影は、例えば、オランダのKEMA社のSPICA装置(Speckle Image Correlation Analysis装置)で行うことができる。また、金属の薄層に微細なきずをつけておく方法や硬さ試験機等で圧痕をつけておくといった方法でもひずみの測定が可能である。 耐酸化性金属の薄層のひずみ(ε)は、ボイラ管のひずみを忠実に反映しているので、上記金属薄層のひずみ(ε)をボイラ管のクリープひずみとみなすことができる。 クリープ歪みの測定を複数回(望ましくは5回以上)実施して、その測定時点と測定値とからボイラ管の使用の「経過時間(t)とひずみ(ε)との関係を示す曲線」を描く。 図2は、後述するJISのSTPA24の鋼を用いて行った実験によって得たグラフであり、同図に示す曲線Aが上記の「経過時間と真ひずみ(ε)との関係を示す曲線」の例である。 (3)工程1-3:仮想曲線の決定 下記の(1)式のΩとεドット0を様々に変化させて、仮想曲線(経過時間とひずみとの関係を示す仮想曲線)を作成する。その仮想曲線の中で、上記の曲線Aと最も近似する曲線B(図2の曲線B)を決定する。 ε=−(1/Ω)ln(1−εドット0・Ω・t) ・・・(1) 工程1-4:εドット0およびΩの決定と余寿命の予測 上記の曲線Bから、余寿命予測の実施時点でのΩとεドット0を決定する。曲線BからΩとεドット0を決定するのは次の手順による。 図2の曲線Bは、上記の式(1)で表すことができる。その曲線Bから、余寿命予測の開始時点でのεドット0とΩを見出し、それらの値を下記の(2)式に代入して、余寿命(tr)を算出する。 tr=1/(εドット0・Ω) ・・・(2) 以上は、新材の使用開始から任意の時間tが経過した時点での余寿命の予測方法である。即ち、t時間経過した時点で、前述の仮想曲線Bを作成して、上述の作業を行い、使用開始時点からの余寿命を予測する。 しかし、実機の場合、新材から測定することは少なく、ある程度の時間使用されてから測定することが多い。その場合は、その時点からひずみの測定を開始し、任意の時間tを経過した時点までで前述の仮想曲線Bを作成し、その曲線から同じようにΩとεドット0の値を見出し、(2)式を用いてひずみ測定開始点からの残存余寿命を予測するのである。 上記のとおり、余寿命を予測しようとする時点ごとに仮想曲線Bを決定すれば、それ以降は同じ操作で余寿命予測が実施できる。即ち、使用経過時間の如何にかかわらず、同じ手順で余寿命の予測ができるのである。 2.第2の方法について 第2の方法の工程2-1では、耐酸化性金属の薄層を被測定部材の複数の箇所に設ける。この複数の箇所の中には、最もクリープひずみ速度が大きいと予想される位置、例えば、溶接熱影響部を含める。そして、工程2-2では、その複数の箇所におけるそれぞれの曲線Aを求める。 例えば、1本のボイラ管において、クリープひずみは、その管の各位置で等しく生じるとは言えない。例えば、溶接箇所があると、溶接熱の影響を受けた部分(溶接熱影響部)のクリープひずみが他の部分のそれよりも大きくなる。したがって、管の寿命を律するのはこの溶接熱影響部の寿命となる。 このような事情に鑑み、前記の工程2-2の曲線Aの作成を、最もクリープひずみが大きいと予想される位置、例えば溶接熱影響部を含めて、ボイラ管の複数箇所で実施するのが望ましいのである。 ただし、溶接熱影響部の幅はせいぜい3〜5mm程度である。従って、ここのひずみ測定を、単位長さを50μm乃至1mm程度として実施すれば、微小部分のひずみがより正確に測定できる。単位長さが長い場合には、測定されたひずみが大きな範囲のひずみの平均値となり、微小部分の実際の大きなひずみが測定されないおそれがある。 工程2-2では、複数箇所でひずみが測定される。そして、それらの測定値の中で最大値から順に5〜10番目までのひずみの平均値と時間との関係から、それぞれの箇所の曲線Aを求める。 工程2-3では、それぞれの箇所で求めた曲線Aのうちの最大ひずみの曲線Amaxに最も近似した曲線Bを決定する。通常は、溶接熱影響部のクリープひずみ速度が他の部分のそれよりも大きいので、溶接熱影響部の曲線AがAmaxとなる。 工程2-4は前記の工程1-4と同じである。ただし、工程2-4では最もクリープひずみ速度が大きい部分を対象にして余寿命を予測することになる。したがって、被測定部材の余寿命予測は一段と精度の高いものとなる。 以上、ボイラ管を例にして説明したが、本発明方法は他のクリープ現象が問題になる部材、例えば化学プラントを構成する部材等にも適用できる。この方法では、被測定部材の余寿命は、実際の使用条件の下で測定したデータに基づいて予測する。したがって、従来の短軸応力下でのクリープ破断試験の結果から実機での余寿命を推定する方法と比較して、予測の精度はきわめて高い。 また、前記のとおり、小サイズの耐酸化性の金属薄層を使用して被測定部材のクリープひずみを測定するので、測定箇所は、溶接熱影響部を更に細分化したような局所的な位置(クリープを律速する部分)で実施することが可能である。このことも使用中の実際の部材の余寿命を正確に予測するのに役立つ。 JISのSTPA24の鋼(2.25%Cr−1%Mo鋼)製の溶接継手を作製して余寿命を予測し、実際の余寿命と対応するかどうかを調べた。手順は下記のとおりである。 (1)上記の溶接継手からクリープ試験片を採取し、温度620℃、応力5kgf/mm2でクリープ破断試験を実施した。 (2)クリープ試験の途中で、本発明の第2の方法による余寿命予測を3回行った。1回目は、新材からクリープひずみ測定を実施する場合を想定し、2回目は、既に1007時間経過した時点からクリープひずみ測定を実施し、3回目は、2400時間経過した時点からクリープひずみを測定して、それぞれ余寿命予測を行った。それぞれの時点から試験片の複数箇所で前記の手法で曲線Aを求めて、その中で最もひずみ速度の大きい曲線(これは試験片の溶接熱影響部の曲線であった)に対して最も近似する仮想曲線Bを定め、それらの曲線から前述の手順でεドット0とΩの値を決定した。その値を表1に示す。 (3)上記の手順で各測定時点での残存余寿命(tr)を求め、さらに、試験開始から測定時点までの経過時間(t)を加えて予想寿命を算出した。 (4)試験片の破断までクリープ試験を続けて、実際の破断時間を求めた。 表1に上記の結果をまとめて示す。 表1に示すとおり、寿命予測を行った時点で、残存余寿命(tr)は3582.4時間、2568.4時間および1178.2時間であった。これらに測定時点までの経過時間を加算した予想寿命(t+tr)は、それぞれ3582.4時間、3575.4時間および3578.2時間となった。これらは、実破断時間(3608.1時間)ときわめて近い値である。これによって、本発明方法による余寿命予測がきわめ精度の高いものであることが明らかである。 本発明の余寿命予測方法は、実際の使用条件の下で、ボイラ管等のクリープひずみから余寿命を精度よく予測できる方法である。したがって、この方法を使用すれば、高温、高圧下で稼働する諸設備の各種部材のクリープ寿命を予測して、その補修や交換に役立てることができる。本発明は、的確な保全計画の立案に役立ち、もって設備の管理の合理化と安全の確保に大きく寄与する。Ω法の原理を説明する図である。部材の使用開始からの経過時間と真ひずみとの関係を示すグラフの一例である。 金属部材の表面に設けた耐酸化性金属の薄層のひずみを測定して、金属部材のひずみを求め、金属部材のクリープ余寿命を予測する方法であって、下記の工程1-1から工程1-4までを特徴とする金属部材のクリープ余寿命の予測方法。 工程1-1:被測定部材の表面の所定位置に耐酸化性金属の薄層を設ける。 工程1-2:被測定部材の使用経過時間中の複数の時点において上記耐酸化性金属の薄層のひずみ(ε)を測定し、その測定値から使用経過時間(t)とひずみ(ε)との関係を示す曲線Aを描く。 工程1-3:下記の(1)式のΩとεドット0を様々に変化させて使用経過時間(t)とひずみ(ε)との関係を表す仮想曲線を描き、その仮想曲線の中で上記の曲線Aに最も近似した曲線Bを求める。 工程1-4:上記の曲線Bから、余寿命予測の開始時点でのεドット0とΩを見出し、それらの値を下記の(2)式に代入して、余寿命(tr)を算出する。 ε=−(1/Ω)ln(1−εドット0・Ω・t) ・・・(1) tr=1/(εドット0・Ω) ・・・(2) ただし、εドット0は、ε=0のとき、即ち、余寿命予測開始時点での仮想クリープ速度である。 金属部材の表面に設けた耐酸化性金属の薄層のひずみを測定して、金属部材のひずみを求め、金属部材のクリープ余寿命を予測する方法であって、下記の工程2-1から工程2-4までを特徴とする金属部材のクリープ余寿命の予測方法。 工程2-1:被測定部材の表面の複数箇所に耐酸化性金属の薄層を設ける。 工程2-2:被測定部材の使用経過時間中の複数の時点において上記複数箇所のそれぞれにおいて耐酸化性金属の薄層のひずみ(ε)を測定し、それらの測定値の中で最大の値から順に5〜10番目までのひずみの平均値を求め、その平均値と使用経過との関係を示す曲線Aを描く。 工程2-3:上記の工程2-2において複数箇所のそれぞれで得た曲線Aの中で最大ひずみの曲線Amaxを対象として、下記の(1)式のΩとεドット0を様々に変化させて使用経過時間(t)とひずみ(ε)との関係を表す仮想曲線を描き、その中で上記の曲線Amaxに最も近似した曲線Bを求める。 工程2-4:上記の曲線Bから、余寿命予測の開始時点でのεドット0とΩを見出し、それらの値を下記の(2)式に代入して、余寿命(tr)を算出する。 ε=−(1/Ω)ln(1−εドット0・Ω・t) ・・・(1) tr=1/(εドット0・Ω) ・・・(2) ただし、εドット0は、ε=0のとき、即ち、余寿命予測開始時点での仮想クリープ速度である。 【課題】部材のクリープ余寿命を実際の使用中に精度良く予測する方法を提供する。【解決手段】金属部材の表面に設けた耐酸化性金属の薄層のひずみを測定して、金属部材のクリープ余寿命を予測する方法であって、下記の工程を特徴とする。1:被測定部材の表面の所定位置に耐酸化性金属の薄層を設ける。2:被測定部材の使用経過時間中の複数の時点において上記金属の薄層のひずみ(ε)を測定し、その測定値から使用経過時間(t)とひずみ(ε)との関係を示す曲線Aを描く。3:Ωとεドット0を様々に変化させて使用経過時間(t)とひずみ(ε)との関係を表す仮想曲線を描き、その中で曲線Aに最も近似した曲線Bを求める。4:曲線Bから、余寿命予測の開始時点でのεドット0とΩを見出し、それらの値を式に代入して、余寿命(tr)を算出する。【選択図】図2


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