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タイトル:公開特許公報(A)_プラスチックの処理方法およびベンゼン類の製造方法
出願番号:2006130127
年次:2007
IPC分類:C10G 1/10,C10G 69/06,C10G 9/00,C07C 4/22,C07C 7/04,C07C 15/04,C07C 15/06,C07C 15/073,C08J 11/16


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竹中 穰一 宮澤 邦夫 JP 2007302732 公開特許公報(A) 20071122 2006130127 20060509 プラスチックの処理方法およびベンゼン類の製造方法 JFEケミカル株式会社 591067794 小林 英一 100099531 竹中 穰一 宮澤 邦夫 C10G 1/10 20060101AFI20071026BHJP C10G 69/06 20060101ALI20071026BHJP C10G 9/00 20060101ALI20071026BHJP C07C 4/22 20060101ALI20071026BHJP C07C 7/04 20060101ALI20071026BHJP C07C 15/04 20060101ALI20071026BHJP C07C 15/06 20060101ALI20071026BHJP C07C 15/073 20060101ALI20071026BHJP C08J 11/16 20060101ALI20071026BHJP JPC10G1/10C10G69/06C10G9/00C07C4/22C07C7/04C07C15/04C07C15/06C07C15/073C08J11/16 4 1 OL 8 4F401 4H006 4H029 4F401AA09 4F401AA10 4F401AA11 4F401AA13 4F401AA27 4F401BA05 4F401BA11 4F401CA51 4F401CA63 4F401CA68 4F401CA75 4F401DA12 4F401DA15 4F401EA44 4F401EA51 4F401FA20Z 4H006AA02 4H006AC26 4H006AC29 4H006AD11 4H006BA19 4H006BA30 4H006BC10 4H006BC51 4H006BE20 4H029AA11 4H029AB04 4H029CA13 4H029DA02 4H029DA12 本発明は、プラスチック(ポリスチレン)を原料として化学工業,医薬品工業にて極めて有用なベンゼン類を取得する技術に関するものである。 ポリスチレンを分解してベンゼンまたはベンゼン誘導体、すなわちベンゼン類を得る技術としては、熱分解を主体とするもの、あるいは水素雰囲気で熱分解する技術(水素化分解)などがある。 熱分解の例として特許文献1では、発泡スチロールをはじめとする廃プラスチックを熱分解してベンゼン類としてスチレンを取得している。しかしながら、熱分解は分解反応を厳密に制御することが難しいため、発泡スチロール(ポリスチレン)では、ベンゼン、トルエン、キシレンといったベンゼン類のほか、少ないながらもエタン、エチレンといったアルカン、アルケン類が副生する。また、ポリスチレンの単なる熱分解の場合、コークスと呼ばれる炭素固体が約15質量%も生成するので、ベンゼン類が含まれる液状物質の収率は約80質量%となる。実際は、液状物質のなかにはベンゼン類以外の物質がかなり含有されるため、ベンゼン類の収率は80質量%以下であり、コークスの生成量が5質量%程度と少ない水素化分解の場合の70質量%を下回ると推定される。 水素化分解の例として非特許文献1には、塩化亜鉛触媒の存在下でのポリスチレン樹脂廃棄物の水素化分解技術が開示されているが、ベンゼン類(アルキルベンゼン)の収率は70質量%に止まっている。 また、特許文献2では、加熱されて液化された廃プラスチックを含む液状の単環または多環系芳香族化合物に水素を加えて水素化分解反応(水添分解反応)させるとともに、得られた反応生成物を環化触媒の存在下で反応させてベンゼン類を得ている。特開平9-13048号公報特開2003-321682号公報北海道工業開発試験所報告第15号79頁(1977年) ポリスチレンのベンゼン環以外の炭素が主鎖の分解とともにガス状物質となることを勘案しても、20質量%前後のポリスチレン(ベンゼン環)はベンゼン類以外の副生物となっていることは明白であり、ベンゼン環を効率良くケミカルリサイクルできないという問題があった。 また、加熱されて液化された廃プラスチックを含む液状の単環または多環系芳香族化合物に水素を加えて水素化分解反応(水添分解反応)させる方法では、ベンゼン類の収量は増加するものの、副生する重質留分に有機塩素化合物を含むため、用途がなく、処分に困るという問題もあった。 本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、プラスチックやポリスチレンからベンゼン類を収率良く製造できる方法を提供することを目的とする。 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、プラスチックやポリスチレンの水素化分解反応で生成する重質留分を熱分解することにより、ベンゼン、コークスおよび塩素(塩化水素)となることを見出し、それぞれ別個に回収可能であり、ベンゼン類の収率を向上することが可能であるという知見を得た。すなわち、温和な水素化分解反応により、重質留分は、水素含有量が豊富で粘性の低い液体となっているため、簡単なプロセスで容易に熱分解することができ、その結果、ベンゼン類の増回収ができる。また、得られるコークスは、一貫製鉄所の焼結機、コークス炉、あるいは高炉において適切に処分できるという知見を得た。すなわち、ベンゼン類の回収量の多いポリスチレンのケミカルリサイクルの方法である。 本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。 すなわち本発明の第1の発明は、プラスチックと溶剤を混合、加熱して前記プラスチックを溶解する溶解工程と、該溶解工程で得られたプラスチック溶液を触媒の存在下で水素と反応させて、水素化分解反応を行う水素化分解工程と、該水素化分解工程で生成した水素化分解反応生成物を蒸留して、重質留分を得る蒸留工程と、該蒸留工程で得られた重質留分を熱分解する熱分解工程とを有することを特徴とするプラスチックの処理方法であり、前記蒸留工程で得られる重質留分の沸点は330℃以上であることが好ましい。 また、本発明の第2の発明は、ポリスチレンと溶剤を混合、加熱して前記ポリスチレンを溶解する溶解工程と、該溶解工程で得られたポリスチレン溶液を触媒の存在下で水素とを反応させて、水素化分解反応を行う水素化分解工程と、該水素化分解工程で生成した水素化分解反応生成物を蒸留して、ベンゼン類と重質留分を得る蒸留工程と、該蒸留工程で得られた重質留分を熱分解してベンゼン類を得る熱分解工程とを有することを特徴とするベンゼン類の製造方法であり、前記蒸留工程で得られる重質留分の沸点は330℃以上であることが好ましい。 本発明によれば、ポリスチレン(プラスチック)からベンゼン類を高収率で製造できるとともに、副生する重質留分を適切に処分できるという効果を呈する。 ポリスチレンは、産業廃棄物のほか、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが混ざった混合物(廃プラスチック)を用いることができる。塩化ビニル樹脂など塩素を含む都市ごみ系の廃プラスチックでも構わない。粒度調整は特段必要ないが、ポリスチレンの溶解時間が短くなるので粗砕することが望ましい。また、少量であれば熱硬化性樹脂や紙類を含んでもよい。 溶剤は、ポリスチレンを溶解(流動化)でき、生成するベンゼン類と分離しないものであれば特に限定されないが、相溶性があるという点で単環、二環、三環程度の芳香族化合物(各種誘導体も含む)、あるいはこれらの混合物などが好ましい。なかでもコールタールの各留分は、熱硬化性樹脂、紙類なども流動化できるので、水素化分解反応器への廃プラスチックのポンプアップが可能となり、極めて好適である。コールタールの各留分としては、コールタール(全留分)をはじめコールタール蒸留プラントで製造されるクレオソート油留分、アントラセン油留分などを用いることができ、また、これらにピッチを含有していてもよい。 プラスチックに塩素をほとんど含まないときは、すなわち、多くの場合、産業廃棄物系プラスチックを原料とするときは、水素化分解に用いる触媒としては、Co−Mo、Ni−Mo、Ni−W系触媒、あるいは鉄触媒(酸化鉄、硫化鉄、硫酸鉄およびその焼成物)などが挙げられる。これらの触媒は、必要によりアルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)、ゼオライトなどの担体に担持させることができる。ただし、産業廃棄物系でなく都市ごみ系(一般廃棄物系)の廃プラスチックで%オーダーの塩素を含有するときは、上記触媒の貴金属成分が塩化物を形成して劣化してしまうので、塩化物となっても触媒性能がある鉄系触媒が好ましい。鉄系触媒の代表例としては、鉄鉱石、転炉ダストなどを挙げることができる。粒状物で使用する場合の粒径は通常でよく、0.1〜10mm程度でよい。この触媒は流動床、固定床、スラリー床などの何れの反応形式で用いても構わない。 なお、水素化分解反応器に供給するプラスチック(ポリスチレン):溶剤:触媒の混合比率は、質量比で5:94:1〜36:54:10が好ましい。 図1は、本発明のベンゼン類の製造装置の一実施形態を示す概略説明図である。ただし、本発明は、図1に限定されるものではない。以下、図面に基づいて説明する。 ポリスチレンを含む廃プラスチック11、コールタール(溶剤)12、および触媒13は、溶解槽1で混合・溶解される。溶解槽の操作温度は150〜250℃が好ましい。150℃未満の場合は溶解速度が遅く、250℃を超えるとタール(クレオソート油,アントラセン油など)の蒸発量が多くなる。この原料はポンプにより水素化分解反応器3に送液される。 水素化分解反応は液相、気相の何れでもよく、反応温度は300〜500℃程度、好ましくは400〜450℃、圧力は1.0〜20.3MPa(10〜200気圧)程度、好ましくは5.1〜10.1MPa(50〜100気圧)である。 また、水素化分解反応器3には、水素、あるいは水素を主成分とするガスが供給される。この際、図1では経済性向上を指向して水素化分解反応器3から排出されるガスの大部分を循環して、水素濃度を所定濃度に維持するように一部を排ガス21として捨て、水素15をメークアップするようにしているが、水素の全量を新たに供給し、水素化分解反応器3から排出されるガスの全量を捨てる、このプラントの加熱源とする、あるいは他の用途に用いる、ということでもよい。 水素化分解反応器3においては、触媒の効果により、廃プラスチックに含まれるポリスチレンは分子鎖(主鎖)の切断と水素化分解反応が生じ、主にエチルベンゼンが生成する。さらにアルキル鎖の分解・不均化反応でBTX類とメタン、エタンなどが生成する。通常、熱分解のみではベンゼン環に不飽和のアルケンが付いているスチレンの生成が多い。しかし、水素化分解反応では、反応が温和に進むことと、ポリスチレンの主鎖の切断部分に水素原子が供給されることにより、ベンゼン環にアルキル鎖(飽和炭化水素)が付加しているエチルベンゼンが多くなる。また、このエチルベンゼンのアルキル基は単結合で、スチレンの場合の二重結合より切断されやすいので、ベンゼンやトルエンの収率が増える。ポリエチレン、ポリプロピレンが存在する場合は、主鎖の切断が主体となるため、主にC3〜C4のガス留分を生成する。 また、それ以外のフェノール樹脂で代表される熱硬化性樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどの一部は重質油類(ピッチも含む)となる。一方、コールタール(溶剤)に関しては、ガス中の水素との反応により、主として若干の水素化分解反応が起こることが多いが、ごく一部は重縮合反応のためピッチ留分を生成することもある。 水素化分解反応器3から排出される液状生成物は、蒸留塔6に送られ、C3〜C4のガス留分22、BTXが含有されているBTX留分23、軽質留分24、重質留分25に分留される。図1では、蒸留塔は1つとしているが、常圧蒸留塔と減圧蒸留塔を併設して分留を細分化してもよい。蒸留塔は、常圧蒸留塔、減圧蒸留塔(真空蒸留塔)など、通常のものを使用できる。蒸留塔で分留された重質留分は、水素化分解反応で水添されて水素含有量が多くなっている、すなわち分子内に多くの水素原子を有する分子構造となっている。そのため、熱分解したときにベンゼン類をはじめとする軽質の留分の生成が多く、逆にコークスとして止まる量が少なくなる。重質留分25は、熱分解槽7に送られて、分解BTX留分28とコークス26となって排出される。なお、熱分解槽7での温度は400〜600℃が好ましく、この範囲を外れると熱分解が不十分であったり、重質留分の供給部でのコーキングトラブルがあって好ましくない。 分解BTX留分28には、重質留分25にもともと存在する塩素に由来する塩化水素(熱分解槽での分解で発生)27が含まれているため、たとえばガスの洗浄塔8で洗浄することで取り除かれる。洗浄塔8で用いる洗浄液としては、水、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどを用いることができる。コークス26の塩素濃度は著しく低下しているので、焼結機、コークス炉、あるいは高炉などの既存プロセスで原料として適切に処分できる。 図1に示した製造装置を用い、廃プラスチックとして、魚市場から回収したポリスチレンを破砕したものを、9.6kg/hrで、200℃に保持した溶解槽1に供給し、溶剤としてコールタール留分のアントラセン油を22.4kg/hrで供給した。触媒としては、転炉ダスト(Fe2O3)を1.5kg/hrの割合で添加した。水素化分解反応器3の温度は450℃、反応圧は10.1MPa(100気圧)、滞留時間は1hrで水素化分解を行った。なお、この際、水素ガスを2.5Nm3/hrで供給した。反応生成物は、遠心分離機5で残渣を除去した後、蒸留塔6に送り、沸点が180℃までのBTXを主体とする留分(BTX留分)、沸点が180〜330℃の軽質留分、および沸点が330℃以上の重質留分に分けた。重質留分については、コーカーに供給して500℃で熱分解し、分解BTX留分とコークスを得た。得られたコークス中の塩素分は0.12質量%であり、焼結機、コークス炉、高炉などの原料に供した。 その後、分解BTX留分は洗浄液として水酸化ナトリウム水溶液を用いるガス洗浄を行って塩化水素を除去(洗浄液のラインは図示せず)し、蒸留塔から留出したBTX留分と併せて、小型の蒸留塔で精製してベンゼン類を回収した。ベンゼン類の回収量を表1に示す。 一方、比較例として、重質留分の熱分解を行わなかった以外は、実施例と同一の水素化分解・蒸留操作を行った。この場合のベンゼン類の回収量を表1に示した。本発明のベンゼン類の製造装置の一実施形態を示す概略説明図である。符号の説明 1 溶解槽 3 水素化分解反応器 6 蒸留塔 7 熱分解槽 8 洗浄塔 11 廃プラスチック 12 コールタール(溶剤) 13 触媒 15 水素 21 排ガス 22 ガス留分 23 BTX留分 24 軽質留分 25 重質留分 26 コークス 27 塩化水素 28 分解BTX留分 プラスチックと溶剤を混合、加熱して前記プラスチックを溶解する溶解工程と、該溶解工程で得られたプラスチック溶液を触媒の存在下で水素と反応させて、水素化分解反応を行う水素化分解工程と、該水素化分解工程で生成した水素化分解反応生成物を蒸留して、重質留分を得る蒸留工程と、該蒸留工程で得られた重質留分を熱分解する熱分解工程とを有することを特徴とするプラスチックの処理方法。 前記蒸留工程で得られる重質留分の沸点が、330℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチックの処理方法。 ポリスチレンと溶剤を混合、加熱して前記ポリスチレンを溶解する溶解工程と、該溶解工程で得られたポリスチレン溶液を触媒の存在下で水素とを反応させて、水素化分解反応を行う水素化分解工程と、該水素化分解工程で生成した水素化分解反応生成物を蒸留して、ベンゼン類と重質留分を得る蒸留工程と、該蒸留工程で得られた重質留分を熱分解してベンゼン類を得る熱分解工程とを有することを特徴とするベンゼン類の製造方法。 前記蒸留工程で得られる重質留分の沸点が、330℃以上であることを特徴とする請求項3に記載のベンゼン類の製造方法。 【課題】プラスチック(ポリスチレン)を原料として化学工業,医薬品工業にて極めて有用なベンゼン類の製造方法を提供する。【解決手段】プラスチック(ポリスチレン)と溶剤を混合、加熱して前記プラスチック(ポリスチレン)を溶解する溶解工程と、該溶解工程で得られたプラスチック(ポリスチレン)溶液を触媒の存在下で水素とを反応させて、水素化分解反応を行う水素化分解工程と、該水素化分解工程で生成した水素化分解反応生成物を蒸留して、重質留分(ベンゼン類と重質留分)を得る蒸留工程と、該蒸留工程で得られた重質留分を熱分解してベンゼン類を得る熱分解工程とを有する。【選択図】図1


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