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タイトル:特許公報(B2)_金属イオン封鎖剤として有用なマンニッヒ縮合物の製造方法
出願番号:2006110267
年次:2012
IPC分類:C07C 209/60,C10M 177/00,C10M 159/16,C10M 129/10,C10M 129/24,C10M 133/06,C10L 1/222,C10N 30/00,C10N 30/10,C10N 70/00


特許情報キャッシュ

エドワード・エー・チヴァートン JP 5086561 特許公報(B2) 20120914 2006110267 20060412 金属イオン封鎖剤として有用なマンニッヒ縮合物の製造方法 シェブロン・オロナイト・カンパニー・エルエルシー 598037547 柳川 泰男 100074675 エドワード・エー・チヴァートン US 11/105605 20050413 20121128 C07C 209/60 20060101AFI20121108BHJP C10M 177/00 20060101ALI20121108BHJP C10M 159/16 20060101ALN20121108BHJP C10M 129/10 20060101ALN20121108BHJP C10M 129/24 20060101ALN20121108BHJP C10M 133/06 20060101ALN20121108BHJP C10L 1/222 20060101ALN20121108BHJP C10N 30/00 20060101ALN20121108BHJP C10N 30/10 20060101ALN20121108BHJP C10N 70/00 20060101ALN20121108BHJP JPC07C209/60C10M177/00C10M159/16C10M129/10C10M129/24C10M133/06C10L1/222C10N30:00 ZC10N30:10C10N70:00 C07C 209/60 C10M 159/16 CA/REGISTRY(STN) 特表2004−537641(JP,A) 米国特許第04655949(US,A) 特開昭62−241998(JP,A) 27 2006291210 20061026 35 20090409 馬籠 朋広 本発明は、燃料および潤滑油に使用できるマンニッヒ縮合物金属イオン封鎖剤またはマンニッヒ縮合物金属イオン封鎖剤の混合物の製造方法に関するものである。 潤滑油には、幾多の重要な機能をもたらす添加剤が含まれている。無灰分散剤は潤滑油に添加されて、油中に形成されるワニスやラッカー、スラッジを分散し、堆積物の形成を防止する。無灰分散剤はまた、ススを分散して油中のススの凝集によって生じる粘度増加も防止する。過塩基性清浄剤は潤滑油に添加されて酸を中和する。これらの酸は摩耗や腐食を引き起こしたり、油中で酸が触媒となる反応や転位を起こさせることがある。酸化防止剤は潤滑油に添加されて、遊離基を除去することにより、あるいは油の酸化で形成されたヒドロペルオキシドを分解することにより油の酸化を抑制する。摩耗防止剤は潤滑油に添加されて、摩擦によって生じる金属部分の摩耗を防止する。その他の添加剤、例えば腐食防止剤、摩擦緩和剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、封止剤、膨潤剤等も潤滑油に添加されて、重要な特性を調合済み潤滑油に付与することができる。 潤滑油の劣化に際して金属イオンが重大な役割を果たすことがある。Fe+3、Cu+2、Pb+2などの遷移金属および他の金属は油の酸化に触媒作用をして、ヒドロペルオキシド、カルボン酸、カルボニル化合物およびヒドロキシルカルボニル化合物等のような主要な酸化生成物が生成させることになる。さらに、Fe+3、Cu+2、Pb+2などの金属イオンおよび他の金属は主要な酸化生成物の重合に際して触媒作用を行ない、スラッジやラッカー、ワニスが生成することになる。 金属が触媒となる潤滑油の酸化や重合を防ぐために、金属イオンを錯体化したり、あるいは封鎖したりして金属イオンが酸化や重合の触媒として作用するのを防ぐ方法を見つけることが望まれている。 金属イオン封鎖剤には多数の用途があり、植物に必要な微量成分を供給して育てるのに、金属めっき浴に、さび汚れの除去に、また燃料や潤滑油に使用されている。最もよく知られている金属イオン封鎖剤は水性媒体中でのみ使用できるものである。油溶性である良好な金属イオン封鎖剤を望む強い要求がある。また、油溶性の金属イオン封鎖剤は金属を非水系に導入したり、油中で生成した微小栄養物を植物に与えるのにも使用でき、さらに当該分野の熟練者には知られたその他多数の用途がある。内燃機関を潤滑にするのに使用できる油は、一般に潤滑粘度の鉱油か合成油のいずれかである。よって、潤滑油または炭化水素燃料に使用される金属イオン封鎖剤は油溶性でなければならない。 従来の油溶性のマンニッヒ縮合物は、内燃機関用燃料に使用することができる。添加剤など燃料の不揮発性成分は時折、吸入弁や加熱部材上に堆積物やワニスを生成させる。そのような堆積物やワニスはこれら部材の効率を減じる。さらに、燃料は老化するにつれて酸化などの化学反応を受けやすい。酸化の一つの結果は、可溶性及び不溶性物質が生成して堆積物を形成し、内燃機関が適正に機能するのを妨げることにある。従来の油溶性マンニッヒ縮合物は堆積物を減らす機能も有する。 また、油溶性マンニッヒ縮合物は内燃機関用潤滑油にも使用できる。これら縮合物は一般に分散剤として作用し、スラッジやワニス、ラッカーを分散して堆積物の生成を防止する。一般に従来の油溶性マンニッヒ縮合物は、アルキルフェノールとホルムアルデヒドおよびアミン又はポリアミンとの反応から生成する。これら縮合物には、Fe+3を封鎖する能力が僅かにあり、またFe+3が触媒となってしばしば生じる酸化および重合を防ぐ能力が僅かにしかない。 水溶性のマンニッヒ縮合物は、金属イオン封鎖剤としてよく知られている。しかし、燃料や潤滑油にはそのような縮合物を金属イオン封鎖剤として使用することができない。 マンニッヒ縮合物の製造も当該分野ではよく知られている。多数の特許文献にアルキルフェノール、アルデヒドおよびアミンのマンニッヒ縮合物が開示されている。しかし、公知のマンニッヒ縮合物はいずれも、必要とされる油溶性も、またFe+3を封鎖して潤滑油中でFe+3が触媒となる酸化反応および重合反応を防ぐ能力も有していない。 特許文献1には、通常は液体の燃料、潤滑粘度のカルボン酸エステルおよび油溶性の窒素含有分散剤を含む改良された燃料組成物が開示されている。分散剤の特徴は、炭素原子数が少なくとも50で実質的に飽和の炭化水素ベースの基が存在することにある。分散剤は、カルボン酸分散剤またはマンニッヒ型分散剤であることが好ましい。マンニッヒ型分散剤は例えば、アルキルフェノールとホルムアルデヒドおよびポリエチレンポリアミンとの反応生成物である。 特許文献2には、鉄(III)や鉄(II)用の新規なマンニッヒ縮合物キレート剤が開示されている。キレート剤は、フェノール又は置換フェノール、ホルムアルデヒド、ジアミノ二酸およびジアミンから製造されたマンニッヒ縮合物である。これらマンニッヒ縮合物の製造方法は特許文献3に開示されている。 特許文献4には、燃料添加剤および燃料組成物が開示されている。添加剤化合物は、ポリイソブチレンアミンとアルキルフェノール、アルデヒドおよびアミンの反応生成物との混合物である。添加剤は、燃料、特に圧縮着火エンジン用燃料の熱崩壊を防いで驚くべき安定性を与える。 特許文献5には、分子の中心にヒドロキシル基を持つ芳香族キレート剤が開示されている。そのようなキレート剤はアルカリ性の環境でより良好な安定性を示す。 特許文献6には、主としてオルソ異性体型のフェノール系エチレンジアミンポリカルボン酸の製造方法であって、フェノール化合物、エチレンジアミン、グリオキシル酸および塩基を反応させることからなる方法が開示されていて、該フェノール化合物は反応体としても反応系の溶媒としても機能している。 特許文献7には、石油炭化水素を輸送するのに使用される第一鉄金属ピペリンの腐食を防止する組成物であって、主要量のC36二量体ジカルボン酸とC54三量体酸の混合物(該混合物の酸価は少なくとも110である)と、(a)アリーリデン基が炭素原子6−7個を含み、アルキレン基が炭素原子2−3個を含むN,N’−ジ(オルト−ヒドロキシアリーリデン)−1,2−アルキルジアミン;および(b)環に2つの反応位があるフェノール、低級脂肪族アルデヒドおよびポリアミンの反応で得られた重縮合物からなる群からなる0.5乃至5%までの組成物とを含む組成物が開示されている。 特許文献8には、鉄(III)や鉄(II)用の新規なマンニッヒ縮合物キレート剤が開示されている。キレート剤は、フェノール又は置換フェノール、ホルムアルデヒド、ジアミノ二酸およびジアミンから製造されたマンニッヒ縮合物である。単独の請求項はシアノ置換化合物に関する。 特許文献9には、脂肪族炭素原子数が少なくとも10の実質的に飽和の炭化水素置換基を含むアミノフェノールと、(I)有機スルホン酸、フェノールまたはカルボン酸の中性又は塩基性金属塩;(II)炭化水素置換基が実質的に脂肪族で炭素原子少なくとも12個を含む炭化水素置換アミン;(III)脂肪族炭素原子数が少なくとも10の置換基を持つアシル化窒素含有化合物;および(IV)フェノール、アルデヒドおよびアミノ化合物の窒素含有縮合物からなる群より選ばれた一種以上の清浄分散剤との組合せが開示されている。添加剤としてそのような組合せを有する燃料および潤滑剤は、特に二サイクル(二ストローク)エンジンに有用である。 特許文献10には、アルキル置換ヒドロキシベンジルアミノ酸オリゴマーが広範囲の非水系で有効な金属キレート剤であることが開示されている。特許請求されている生成物は、広範囲の置換及び非置換脂肪族及び芳香族溶剤で驚くほど高い溶解度を示す。 特許文献11には、元素の周期表1、1b及び8族から選ばれた金属、例えばNa、K、Cu、Co、NiまたはFeを含み、ホルムアルデヒド、アミノ酸およびフェノールの反応生成物でキレート化されて、潤滑油に溶解する有機金属系添加剤を含有する、新規な潤滑油組成物が開示されている。金属の選択によって、上記有機金属系添加剤は該潤滑油にさび防止性、スラッジ分散性、摩耗低減性および酸化防止性を付与する。 特許文献12には、ビス−マンニッヒ基材の堆積物防止剤、これら防止剤を有する潤滑油組成物、およびこれら防止剤の製造方法が開示されている。 特許文献13には、炭化水素液体に既に存在する鉄物質を不活性化するのに使用されるある種のマンニッヒ反応生成物(すなわち、アルキル化フェノール、ポリオキシアルキレンジアミンおよびアルデヒド)が開示されている。未処理のままでは、そのような鉄物質は分解を招いて炭化水素液体中にゴム状の高分子塊が形成されることになる。これらマンニッヒ縮合物の製造方法は、分割した特許文献14に特許請求されている。 特許文献15には、アルキル置換カテコール、ポリアミンおよびアルデヒドの反応から生成した、炭化水素液体に含まれる銅金属物質を不活性化するのに使用されるある種のマンニッヒ反応生成物が開示されている。未処理のままでは、そのような物質は分解を招いて炭化水素液体中にゴム状の高分子塊が形成されることになる。 特許文献16には、(a)主要量のディーゼル燃料、および(b)ディーゼル燃料噴射器清浄剤として、(i)アルキルコハク酸無水物とポリアミンを反応させてビスコハク酸イミドを生成させる;(ii)ビスコハク酸イミドをアルデヒドの存在下でフェノールと反応させて、マンニッヒフェノール結合ビスコハク酸イミド生成物を生成させる;(iii)マンニッヒフェノール結合ビスコハク酸イミド生成物をグリコール酸でグリコール化して、グリコール化マンニッヒフェノール結合ビスコハク酸イミド生成物を生成させる;そして(iv)グリコール化マンニッヒフェノール結合ビスコハク酸イミド生成物を回収することにより製造された、ポリアミンのビス−ポリイソブチレンコハク酸イミドのグリコール化マンニッヒ結合生成物少量を含むディーゼル燃料組成物が開示されている。 特許文献17には、炭化水素液体中の鉄物質を不活性化するのに使用される組成物であって、(I)置換カテコール、(II)ポリアミンの混合物および(III)アルデヒドの反応から得られた生成物を含む組成物が開示されている。組成物は炭化水素液体中で酸化防止剤としても機能する。酸化防止機能は、この発明の金属不活性化特性とは別のもので追加の機能である。この発明のこれら機能特性は、炭化水素液体を安定化するのに単独でもあるいは協調してでも作用することができる。 特許文献18には、溶液から懸濁粒子を取り除く方法が開示されている。この方法は一般に、処理対象の溶液に、マンニッヒ誘導体化したポリエーテルを含む組成物を有効量で添加することからなる。ポリエーテルは一般に、マンニッヒ誘導体化したビスフェノールと二官能価単量体との縮合重合体であると記載されている。 非特許文献1には、ホルムアルデヒド水溶液をアルファ−フェノールオリゴイソブチレンおよびトリエチレンテトラアミンと反応させることによって、同一鎖内でアルファ−フェノールオリゴイソブチレンブロックとトリエチレンテトラアミンブロックを結合する共重合体を製造することが開示されている。米国特許第4032304号明細書米国特許第4069249号明細書米国特許第4338460号明細書米国特許第4166726号明細書米国特許第4116991号明細書米国特許第4130582号明細書米国特許第4197091号明細書米国特許第4225502号明細書(上記米国特許第4069249号の分割特許)米国特許第4200545号明細書米国特許第4387244号明細書米国特許第4655949号明細書米国特許第4734212号明細書米国特許第4847415号明細書米国特許第4883580号明細書米国特許第4894139号明細書米国特許第5122161号明細書米国特許第5641394号明細書米国特許第6126837号明細書J.D.ジェイモワ、M.テシエ及びE.マーシャル(J.D.Jamois, M.Tessier, E.Marechal)、「マンニッヒ反応による両親媒性ポリイソブチレン−b−ポリエチレンアミンの製造3、ポリイソブチレン−b−ポリエチレンアミンの合成」、ジャーナル・オブ・ポリマーサイエンス(Journal of Polymer Science):A部:重合体化学、1993年、第31巻、p.1959−1966 本発明は、燃料および潤滑油に使用できるマンニッヒ縮合物金属イオン封鎖剤またはマンニッヒ縮合物金属イオン封鎖剤の混合物の製造方法に関する。 アミン反応体の原料としてアミノ酸を用いる従来のマンニッヒ縮合物金属イオン封鎖剤の製造方法とは違って、本発明の方法は、反応体の取扱いおよびマンニッヒ反応の進行を助けるメタノールなどのアルカノール、またはC9芳香族溶媒などの芳香族溶媒の使用を必要としない二段法を包含している。 つまり、本発明は、(a)ポリアルキル基の数平均分子量が約280乃至約5000であるポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物とアルデヒドとのアルカリ金属塩基の存在下での反応による反応生成物を、 (b)アミノ酸又はそのエステル誘導体およびアルカリ金属塩基と、反応させることからなるマンニッヒ縮合物金属イオン封鎖剤の製造方法に関する。 上記の方法は、反応をアルカノールの不在下で行うことができる。 本発明の方法の別の態様は、下記の工程からなるマンニッヒ縮合物金属イオン封鎖剤の製造方法に関する:(a)ホルムアルデヒドまたは下記式を有するアルデヒド: (式中、R’は、炭素原子数1〜約10の分枝鎖又は線状アルキル、炭素原子数約3〜約10のシクロアルキル、炭素原子数約6〜約10のアリール、炭素原子数約7〜約20のアルカリール、または炭素原子数約7〜約20のアラルキルである)を下記式を有するポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物: (式中、R1は、分子量280乃至5000のポリアルキルであり、R2は、水素または炭素原子数1〜約10の低級アルキルであり、そしてR3は、水素または−OHである)と、塩基の存在下で接触させて反応混合物(反応生成物)を生成させる工程、 そして(b)上記反応生成物を、下記式を有するアミノ酸又はそのエステル誘導体: (式中、Wは、−[CHR”]−mであり(ただし、各々のR”は独立に、H、炭素原子数1〜約15のアルキル、または炭素原子数1〜約10でアミノ、アミド、ベンジル、カルボキシル、ヒドロキシル、ヒドロキシフェニル、イミダゾリル、イミノ、フェニル、スルフィドまたはチオールからなる群より選ばれた一以上の置換基を持つ置換アルキルであり、そしてmは1〜4の整数である)、そしてAは、水素または炭素原子数1〜約6のアルキルである)、および塩基と接触させて、マンニッヒ縮合物を生成させる工程。 上記式でAは水素であることが好ましい。 本発明の別の好ましい態様では、上記式でAはメチルまたはエチルから選ばれるアルキルである。 本発明の方法の別の態様では、(b)工程で水を加えることができる。 本発明の方法の更に別の態様では、(b)工程は、(a)工程の反応生成物を下記式を有するアミノ酸(塩)と接触させることを包含している。(式中、Wは前に定義した通りであり、そしてMはアルカリ金属イオンである) 上記の方法の上記式で、Mはナトリウムイオンまたはカリウムイオンであることが好ましく、より好ましくはMはナトリウムイオンである。 上記の方法で、R1のポリアルキル基の数平均分子量は約400乃至約3000であることが好ましい。より好ましくは、R1のポリアルキル基の数平均分子量は約500乃至約2000である。更に好ましくは、R1のポリアルキル基の数平均分子量は約700乃至約1500である。最も好ましくは、R1のポリアルキル基の数平均分子量は約700乃至約1100である。 上記の方法で(a)工程のポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物のポリアルキル置換基は、ポリプロピレン、ポリブテン、もしくは1−オクテンまたは1−デセンのポリアルファオレフィンオリゴマーから誘導されることが好ましい。上記の方法で(a)工程のポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物のポリアルキル置換基は、ポリプロピルまたはポリイソブチルであることがより好ましい。上記の方法の(a)工程でポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物は、ポリイソブチル置換フェノールまたはポリイソブチル置換o−クレゾールであることが好ましい。より好ましくは、ポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物はポリイソブチル置換フェノールである。 上記の方法でポリイソブチル置換フェノールは、メチルビニリデン異性体を少なくとも約20重量%含むポリイソブテンから誘導されることが好ましい。より好ましくは、ポリイソブチル置換フェノールはメチルビニリデン異性体を少なくとも約50重量%含むポリイソブテンから誘導され、最も好ましくは、ポリイソブチル置換フェノールはメチルビニリデン異性体を少なくとも約70重量%含むポリイソブテンから誘導される。 上記の方法の(a)工程のアルデヒドは、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドまたはホルマリンであることが好ましい。より好ましくは、(a)工程のアルデヒドはパラホルムアルデヒドである。 上記の方法で(a)及び(b)工程それぞれの塩基は独立に、アルカリ金属水酸化物であることが好ましい。より好ましくは、(a)及び(b)工程それぞれでアルカリ金属水酸化物は水酸化ナトリウム塩基である。 本発明の方法の別の好ましい態様では、(b)工程を行う前に、まず別にアミノ酸、塩基および水を約15℃乃至約100℃の範囲の温度で化合させて濃厚アミノ酸塩溶液を生成させ、次にこれを(a)工程で生成した反応生成物物に添加する。好ましくは、(b)工程を行う前に、まず別にアミノ酸、塩基および水を約30℃乃至約70℃の範囲の温度で化合させて濃厚アミノ酸塩溶液を生成させ、次にこれを(a)工程で生成した反応生成物物に添加する。より好ましくは、(b)工程を行う前に、まず別にアミノ酸、塩基および水を約40℃乃至約60℃の範囲の温度で化合させて濃厚アミノ酸塩溶液を生成させ、次にこれを(a)工程で生成した反応生成物に添加する。 上記の方法の(b)工程に用いられるアミノ酸はグリシンであることが好ましく、そして好ましい塩はグリシンのナトリウム塩である。 上記の本発明の方法の更に別の態様では、(a)及び(b)工程それぞれを独立にアルカノールの不在下で行う。 上記の方法により製造されたマンニッヒ縮合物金属イオン封鎖剤が潤滑油に添加剤として使用されることになるなら、(a)工程でポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物をまず潤滑粘度の油に溶解することができる。潤滑粘度の油はニュートラル油であることが好ましい。 本発明の方法により製造されたマンニッヒ縮合物は、潤滑油に分散剤としても用いることができる。燃料に分散剤として使用するには、マンニッヒ縮合物のアルカリ金属イオンをアンモニウムイオンで置き換える。 数ある要因のうちでも、本発明は、上記のマンニッヒ縮合物が本発明の独特な二段法により得ることができるという発見に基づいている。そのようなマンニッヒ縮合物は、金属、特にFe+3を封鎖して金属イオンが触媒となる酸化反応および重合反応を防ぐのに有効でありながら、同時に潤滑油や燃料に使用するのに充分な油溶性を示す。[定義] 以下の用語は、本明細書で使用するとき、特に断わらない限りは下記の意味を有する: 「アルデヒド」は、本明細書で使用するとき、ホルムアルデヒドまたは下記式を有するアルデヒドを意味する: 式中、R’は、炭素原子数1〜約10の分枝鎖又は線状アルキル、炭素原子数約3〜約10のシクロアルキル、炭素原子数約6〜約10のアリール、炭素原子数約7〜約20のアルカリール、または炭素原子数約7〜約20のアラルキルである。 本発明のマンニッヒ縮合物の製造に用いられる代表的なアルデヒドとしては、これらに限定されるものではないが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、カプロアルデヒドおよびヘプタアルデヒドなどの脂肪族アルデヒドを挙げることができる。芳香族アルデヒドも本発明のマンニッヒ縮合物の製造に用いることが考慮され、例えばベンズアルデヒドおよびアルキルベンズアルデヒドがある。パラ−トルアルデヒドはアルキルベンズアルデヒドの一例である。また、ホルムアルデヒド生成試薬、例えばパラホルムアルデヒドおよびホルマリンなどのホルムアルデヒド水溶液も使用できる。本発明のマンニッヒ縮合物の製造に用いるのに最も好ましいアルデヒドは、パラホルムアルデヒドおよびホルマリンである。 本発明のマンニッヒ縮合物の製造に用いるのに最も好ましいアルデヒドは、パラホルムアルデヒドおよびホルマリンである。 アルデヒドはホルムアルデヒドであることが好ましい。ホルムアルデヒドは、気体、液体および固体を含む全ての形態を意味する。気体ホルムアルデヒドの例には単量体CH2O、および下記式を有する三量体(CH2O)3(トリオキサン)がある。 液体ホルムアルデヒドの例には次のようなものがある: 1)エチルエーテル中の単量体CH2O。 2)化学式CH2(H2O)2(メチレングリコール)およびHO(−CH2O)n−Hを有する水中の単量体CH2O。 3)化学式OHCH2OCH3およびCH3O(−CH2O)n−Hを有するメタノール中の単量体CH2O。 ホルムアルデヒド溶液は水および種々のアルコール溶液として市販されている。水では37%−50%溶液として入手できる。ホルマリンは37%水溶液である。 ホルムアルデヒドは、線状及び環状(トリオキサン)重合体としても市販されている。線状重合体は、低分子量重合体であっても高分子量重合体であってもよい。 「アルカリ金属」は、本明細書で使用するとき、周期表の1A族金属、例えばリチウム、ナトリウムおよびカリウムを意味する。 「アミノ酸又はそのエステル誘導体」は、本明細書で使用するとき、下記式を有するアミノ酸を意味する: 式中、Wは、−[CHR”]−mであり(ただし、各々のR”は独立に、H、炭素原子数1〜約15のアルキル、または炭素原子数1〜約10でアミノ、アミド、ベンジル、カルボキシル、ヒドロキシル、ヒドロキシフェニル、イミダゾリル、イミノ、フェニル、スルフィドまたはチオールからなる群より選ばれる一以上の置換基を持つ置換アルキルであり、そしてmは1〜4の整数である)、そしてAは、水素または炭素原子数1〜約6のアルキルである。 好ましくは、Aは水素である。好ましくは、アルキルはメチルまたはエチルである。 「アミノ酸塩」は、本明細書で使用するとき、下記式を有するアミノ酸の塩を意味する: 式中、Wは上に定義した通りであり、そしてMはアルカリ金属イオンである。好ましくは、Mはナトリウムイオンまたはカリウムイオンである。より好ましくは、Mはナトリウムイオンである。 「芳香族溶媒」は、本明細書で使用するとき、一般にはそれぞれ炭素原子数が約7〜約14の芳香族炭化水素の混合物を意味する。 「塩基」は、本明細書で使用するとき、pKaが7以上の任意のアルカリ金属塩基、好ましくはpKaが10から30の間にある塩基を意味する。代表的な塩基としては、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属アルコキシドが挙げられる。好ましくは塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムまたは水酸化カリウムからなる群より選ばれるアルカリ金属水酸化物である。より好ましくは、アルカリ金属水酸化物は水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである。最も好ましくは、塩基は水酸化ナトリウムである。 「色試験」は、本明細書で使用するとき、本発明のマンニッヒ縮合物のFe+3イオンを封鎖する能力を決定するのに使用される色試験を意味する。試験について以下に簡単に記載する:[鉄キレート能力の試験] 鉄キレート能力に使用される試験は、米国特許第4387244号に記載されている試験と同様である。マンニッヒ縮合物試料0.15乃至0.25グラムを、8ドラムガラスびんに入れ、それにトルエン15ミリリットルを加え、振り混ぜて均一にする。次に、FeCl3の0.05モル水溶液15ミリリットルをガラスびんに加え、そしてガラスびんを1時間機械的に振とうする。ガラスびんの内容物を分離すると、本発明のマンニッヒ縮合物金属イオンキレート(封鎖)剤の存在下で鉄がキレート化した証拠として、トルエン相の色が黄色から紫色に変化する。 「ヒドロキシル価」は、本明細書で使用するとき、水酸化テトラブチルアンモニウム滴定で測定したときに、ポリアルキル置換フェノールを中和するのに要する試料グラム当りの水酸化カリウムの量(mgKOH/g試料)を意味する。 「マンニッヒ縮合物」は、本明細書で使用するとき、ポリアルキル置換フェノールとアルデヒドおよびグリシンなどのアミノ酸(もしくはその塩)又はそのエステルとを塩基の存在下で縮合させて、下記式を有する縮合物を生成させることにより得られた生成物の混合物を意味する。下記式は、本発明のマンニッヒ縮合物の幾つかの例としてのみ供されるのであって、本発明の方法を用いて生成させることができる他の可能なマンニッヒ縮合物を排除しようとするものではない。 式中、各々のRは独立に−CHR’−であり(ただし、R’は前に定義した通りである)、R1およびWは前に定義した通りであり、そしてXは水素、アルカリ金属イオンまたは炭素原子数1〜約6のアルキルである。 上に示したマンニッヒ縮合物は、更にアルデヒドおよびアミノ酸と反応してもっと大きなオリゴマーを形成することができる。 一般に、本発明の方法によって製造される主要なマンニッヒ縮合物は下記I式で表すことができる: 式中、各々のRは独立に、−CHR’−であり(ただし、R’は前に定義した通りである)、R1は、数平均分子量が約280乃至約5000の範囲にあるポリアルキル基であり、 Xは、水素、アルカリ金属イオンまたは炭素原子数1〜約6の分枝鎖又は線状アルキルであり、 Wは、−[CHR”]−mであり(ただし、各々のR”は独立に、H、炭素原子数1〜約15のアルキル、または炭素原子数1〜約10でアミノ、アミド、ベンジル、カルボキシル、ヒドロキシル、ヒドロキシフェニル、イミダゾリル、イミノ、フェニル、スルフィドまたはチオールからなる群より選ばれた一以上の置換基を持つ置換アルキルであり、そしてmは1〜4の整数である)、 Yは、水素、炭素原子数1〜約10のアルキル、−CHR’OH(ただし、R’は前に定義した通りである)、または下記の基であり、 (ただし、Y’は−CHR’OHであり(ただし、R’は前に定義した通りである)、そしてR、XおよびWは上に定義した通りである) Zは、ヒドロキシル、下記式のヒドロキシフェニル基であり、 (式中、R、R1、Y’、XおよびWは上に定義した通りである) そしてnは、0〜20の整数である、ただし、n=0のときZは下記の基でなければならないとの条件が付く: (ただし、R、R1、Y’、XおよびWは上に定義した通りである) R1ポリアルキル基の数平均分子量は、約400乃至約3000であることが好ましい。より好ましくは、R1のポリアルキル基の数平均分子量は約500乃至約2000である。更に好ましくは、R1のポリアルキル基の数平均分子量は約700乃至約1500である。最も好ましくは、R1のポリアルキル基の数平均分子量は約700乃至約1100である。 上記I式の化合物でXは、水素またはアルカリ金属イオンであることが好ましく、より好ましくはアルカリ金属イオンであり、最も好ましくはナトリウムイオンである。 本発明では、上記I式の化合物でXはメチルまたはエチルから選ばれるアルキルであることが好ましい。 本発明のマンニッヒ縮合物の好ましい態様では、RはCH2であり、R1は数平均分子量が約700乃至約1100の範囲にあり、WはCH2であり、Xはナトリウムイオンであり、そしてnは0〜20である。 「潤滑粘度の油」は、本明細書で使用するとき、鉱油であっても潤滑粘度の合成油であってもよいが、好ましくは内燃機関のクランクケースに使用できる潤滑油を意味する。クランクケース用潤滑油の粘度は通常、−17.8℃で約1300センチストークス乃至98.9℃で22.7センチストークスである。潤滑油は合成原料からも天然原料からでも誘導することができる。本発明に基油として使用される鉱油としては、パラフィン系、ナフテン系、および通常潤滑油組成物に使用されるその他の油を挙げることができる。合成油としては、炭化水素合成油、合成エステル、およびフィッシャー・トロプシュ法により誘導された基油を挙げることができる。使用できる合成炭化水素油としては、適正な粘度を有するアルファ−オレフィンの液体重合体が挙げられる。特に有用なものはC6〜C12アルファ−オレフィンの水素化液体オリゴマー、例えば1−デセン三量体である。同様に、適正な粘度のアルキルベンゼン、例えばジドデシルベンゼンも使用することができる。使用できる合成エステルとしては、モノカルボン酸およびポリカルボン酸とモノヒドロキシアルカノールおよびポリオールとのエステルが挙げられる。代表的な例としては、ジドデシルアジペート、ペンタエリトリトールテトラカプロエート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、およびジラウリルセバケート等がある。モノ及びジカルボン酸とモノ及びジヒドロキシアルカノールとの混合物から合成された複合エステルも使用することができる。炭化水素油と合成油のブレンドも使用することができる。例えば、10重量%乃至25重量%の水素化1−デセン三量体と75重量%乃至90重量%の37.8℃で683センチストークスの鉱油とのブレンドは、優れた油基材となる。 「ポリアルキル又はポリアルキル置換基」は、本明細書で使用するとき、ヒドロキシ芳香環のポリアルキル置換基を意味する。ポリアルキル置換基の数平均分子量は、約280乃至約5000の範囲にある。好ましくは、ポリアルキル部の数平均分子量は約400乃至約5000の範囲にある。より好ましくは、ポリアルキル部の数平均分子量は約500乃至約2000の範囲にあり、更に好ましくは、ポリアルキル部の数平均分子量は約700乃至約1500の範囲にある。最も好ましくは、ポリアルキル部の数平均分子量は約700乃至約1100の範囲にある。ポリアルキル基は、ポリプロピルまたはポリイソブチルであることが好ましい。最も好ましくは、ポリアルキル基はイソブチルである。 ポリアルキル置換基のフェノール環への結合は、ポリアルキルフェノール全分子のうちの少なくとも60%がヒドロキシル部に対してパラ位にあることが好ましく、より好ましくは、ポリアルキル置換基のフェノール環への結合は、ポリアルキルフェノール全分子のうちの少なくとも80%がヒドロキシル部に対してパラ位にあり、そして最も好ましくは、ポリアルキル置換基のフェノール環への結合は、ポリアルキルフェノール全分子のうちの少なくとも90%がフェノール環のヒドロキシル部に対してパラ位にある。 「ポリイソブチル置換フェノール」は、本明細書で使用するとき、ポリイソブチル置換フェノール環を意味する。ポリイソブチル置換基については上に定義している。ポリイソブチル置換フェノールは、メチルビニリデン異性体を少なくとも20重量%含むポリイソブテンから誘導されることが好ましい。より好ましくは、ポリイソブチル置換フェノールはメチルビニリデン異性体を少なくとも約50重量%含むポリイソブテンから誘導され、そして最も好ましくは、ポリイソブチル置換フェノールはメチルビニリデン異性体を少なくとも約70重量%含むポリイソブテンから誘導される。 「金属イオンキレート(封鎖)剤」は、本明細書で使用するとき、化合物の2個以上の原子間に金属原子を保持して、それにより潤滑油または燃料中でFe+3などの有害な金属イオンを中和したり、あるいは抑制する化合物を意味する。 特に断わらない限りは、比率は全て重量パーセントであり、圧力は大気圧である。[マンニッヒ縮合物の製造方法] 最も広い観点では、本発明は、(a)アルデヒドを塩基の存在下でポリアルキルフェノールと化合させて反応生成物を生成させる工程、そして(b)の反応生成物をアミノ酸、その塩又はそのエステル、塩基および任意に水と接触させて生成物を生成させる工程、からなるマンニッヒ縮合物の製造方法に関する。 アミンの原料としてアミノ酸を用いる従来のマンニッヒ縮合物金属イオン封鎖剤の製造方法は、反応体の取扱いおよびマンニッヒ反応の進行を助けるために、メタノールなどのアルカノールを使用している。そのような方法ではマンニッヒ反応は、全ての反応体を反応生成物中に同時に存在させて、個々の反応体の添加順序が明らかな著しい影響を与えることなく行われる。最終反応生成物中の比較的大量のアルカノールは、廃水から分離して高い費用をかけて処分するか、あるいは再使用しなければならない。 我々は、アミンの原料としてアミノ酸を用いる新規なマンニッヒ縮合物金属イオン封鎖剤の製造方法を発見した。この方法はアルカノールの使用を要しない。また、本発明の方法はマンニッヒ反応に用いる溶媒の種類に融通性を認めている。 アミノ酸を用いる本発明の新規なマンニッヒ縮合物金属イオン封鎖剤の製造方法は、驚くべきことに、アルカノールを使用しない場合にはマンニッヒ反応に非常に厳しい制限を課している。これらの制限は先行技術に係る方法では見られなかったものである。先行技術方法におけるように全ての反応体を反応フラスコに同時に加えると、本発明の方法ではマンニッヒ反応が進まない。アミノ酸を用いる本発明の方法は、マンニッヒ縮合によるオリゴマー生成物金属イオン封鎖剤を製造するのに、二つの特別な別個の工程を必要とする。 さらに、アミンの原料としてアミノ酸を用いる従来のマンニッヒ縮合物金属イオン封鎖剤の製造方法は、ポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物を溶解させるのにC9芳香族溶媒などの芳香族溶媒を用いている。マンニッヒ縮合物金属イオン封鎖剤が鉱油を使用する配合物に使用されることになる多くの場合には、そのような配合物の使用で要求される粘度および引火点のために、芳香族溶媒も分離して再使用しなければならない。我々は、芳香族溶媒を使用しないで本発明の方法を実施できることを発見した。この方法は、鉱油または比較的低沸点で低引火点の芳香族溶媒を用いて実施することができ、よって、エクソン(Exxon)150N(商品名)、ニュートラル油やシェブロン(Chevron)100N(商品名)、ニュートラル油などの鉱油中で金属イオン封鎖剤を必要とする用途のために金属イオン封鎖剤を製造することを可能にする。 さらに、本発明の方法は、マンニッヒ縮合物を得るのに従来法によっては使用していた中和工程を必要としない。 何等かの特別な理論に限定されるわけではないが、本発明の第一工程では塩基の存在下、約65℃乃至約95℃で、ポリアルキルフェノールとアルデヒド間でメチロール中間体が生成すると考えられる。 本発明の方法でマンニッヒ反応を行うのに二つの別個の不連続な工程を無条件に必要とする証拠は、先行技術方法におけるように全ての反応体を同時に加えたらマンニッヒ縮合物の代わりに沈殿物が得られたときに観察された。沈殿物は下記式を有していた: 本発明のマンニッヒ縮合物の製造では、マンニッヒ反応が以下に示すように進むと考えられる。[マンニッヒ縮合物金属イオン封鎖剤の一般的な製造方法] 以下に、本発明のマンニッヒ縮合物金属イオン封鎖剤の代表的な製造方法を記す: 本発明の方法は、バッチ法、連続法、準連続法として、あるいは当該分野の熟練者には知られた任意の方法で実施することができる。 一般に、マンニッヒ縮合反応は不活性ガス中、大気圧下で、塩基性条件下で二工程で行われる。しかし、大気圧より高い圧力および低い圧力も使用することができる。(a)工程 (a)工程では、次のような反応体を加える: 1)不活性溶媒に希釈したポリアルキルフェノール。ポリアルキルフェノールを撹拌しながら加熱して適正なかきまぜを可能にする。ポリアルキルフェノールに、下記の物質を添加する: 2)塩基、 3)アルデヒド。 一般に、反応体を長い時間に渡って広い温度範囲で反応させることができる。下記第1表に、(a)工程を行うための温度範囲および保圧時間範囲をまとめて示す。(b)工程 (b)工程では、下記の物質を添加する: 1)一種以上のアミノ酸類、 2)水、および 3)塩基。 一般に、(b)工程は二段階で行う。(b)工程の第1段階では、反応体を長い時間にわたって広い温度範囲で反応させることができる。(b)工程の第2段階では、温度を上げ、圧力を下げて水を取り除く。下記第1表に、(b)工程を行うための温度範囲および保圧時間範囲をまとめて示す。 所望の生成物を得るために反応体の濃度を変えることができるが、本発明のマンニッヒ縮合物を高い収量で得るためには、反応体のある一定の充填モル比が重要であることが分かっている。充填モル比を以下に記載するとともに、第1表にまとめて示す:(ポリアルキル置換フェノールとアルデヒドおよび塩基とポリアルキル置換フェノールの充填モル比) (a)工程では、塩基とポリアルキル置換フェノールとの充填モル比は、約0.01:1.0乃至約1.0:1.0の範囲にあり、そしてアルデヒドとポリアルキル置換フェノールとの充填モル比は、約0.5:1.0乃至約4.0:1.0の範囲にある。好ましくは(a)工程では、塩基とポリアルキル置換フェノールとの充填モル比は、約0.03:1.0乃至約0.5:1.0の範囲にあり、そしてアルデヒドとポリアルキル置換フェノールとの充填モル比は、約1.0:1.0乃至約3.0:1.0の範囲にある。より好ましくは(a)工程では、塩基とポリアルキル置換フェノールとの充填モル比は、約0.05:1.0乃至約0.15:1.0の範囲にあり、そしてアルデヒドとポリアルキル置換フェノールとの充填モル比は、約1.5:1.0乃至約2.5:1.0の範囲にある。これらの充填モル比も下記第1表にまとめて示す。(塩基とポリアルキル置換フェノールとアルデヒドおよびアミンとポリアルキル置換フェノールの充填モル比) (b)工程では、塩基とポリアルキル置換フェノールとの充填モル比は、約0.01:1乃至約1.5:1の範囲にあり、そしてアミンとポリアルキル置換フェノールとの充填モル比は、約0.01:1乃至約3:1の範囲にある。好ましくは(b)工程では、塩基とポリアルキル置換フェノールとの充填モル比は、約0.5:1.0乃至約1.3:1の範囲にあり、そしてアミンとポリアルキル置換フェノールとの充填モル比は、約0.05:1.0乃至約2:1.0の範囲にある。より好ましくは(b)工程では、塩基とポリアルキル置換フェノールとの充填モル比は、約0.9:1.0乃至約1.0:1.0の範囲にあり、そしてアミンとポリアルキル置換フェノールとの充填モル比は、約0.75:1.0乃至約1.5:1.0の範囲にある。これらの充填モル比も下記第1表にまとめて示す。 マンニッヒ縮合物金属イオン封鎖剤が燃料添加剤として使用されることになるなら、マンニッヒ縮合物のアルカリ金属イオンをアンモニウムイオンで置き換えることが望ましい。別の用途では、マンニッヒ縮合物のアルカリ金属イオンを周期表の2族金属で置き換えることも可能である。 以下に、本発明のマンニッヒ縮合物の製造に使用するのに適した化合物について記す。[ポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物] 本発明のマンニッヒ縮合物の合成には、種々のポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物を利用することができる。決定的な特徴は、ポリアルキル置換基が完成マンニッヒ縮合物に油溶性を付与できるほど充分に大きいことである。一般に、マンニッヒ縮合物の油溶性を可能にするのに必要な炭素原子の数は、約C20かそれ以上に類する数である。これは、分子量で280乃至5000に相当する。フェノール環のC20かそれ以上のアルキル置換基は、フェノールのOH基に対してパラ位に位置していることが望ましい。 一般に、本発明のマンニッヒ縮合物を合成するためには、フェノール環のヒドロキシル基に対して1つの未置換オルソ位が必要である。例えば、C20以上を含む置換基がパラ位に置換したフェノールは、本発明に好ましいポリアルキルフェノール原料である。 二置換フェノールも本発明のマンニッヒ縮合物に適した出発物質である。フェノール環に未置換オルソ位があるようにして置換されている限り、二置換フェノールも好適である。好適な二置換フェノールの例としては、C20かそれ以上のアルキル置換基がパラ位に置換したo−クレジル誘導体等がある。 好ましいポリアルキル置換フェノールは下記式を有する: 式中、R1は、数平均分子量が約280乃至約5000の範囲にあるポリアルキル基であり、Yは水素である。 R1のポリアルキル基の数平均分子量は、約400乃至約3000であることが好ましい。より好ましくは、R1のポリアルキル基の数平均分子量は約500乃至約2000である。更に好ましくは、R1のポリアルキル基の数平均分子量は約700乃至約1500である。最も好ましくは、R1のポリアルキル基の数平均分子量は約700乃至約1100である。 前記の方法でポリアルキルフェノールのポリアルキル置換基は、ポリプロピレン、ポリブテン、もしくは1−オクテンまたは1−デセンのポリアルファオレフィンオリゴマーから誘導される。 前記の方法でポリアルキルフェノールは、ポリプロピルフェノールまたはポリイソブチル置換フェノールである。前記の方法でポリイソブチル置換フェノールは、メチルビニリデン異性体を少なくとも約20重量%含むポリイソブテンから誘導されることが好ましい。より好ましくは、ポリイソブチル置換フェノールはメチルビニリデン異性体を少なくとも約50重量%含むポリイソブテンから誘導され、最も好ましくは、ポリイソブチル置換フェノールはメチルビニリデン異性体を少なくとも約70重量%含むポリイソブテンから誘導される。 好適なポリイソブテンは、米国特許第4152499号及び第4605808号に記載されているように、三フッ化ホウ素(BF3)アルキル化触媒を用いて製造することができる。市販の高アルキルビニリデン含量のポリイソブテンとしては、グリッソパル(Glissopal)1000、1300及び2200(商品名、BASF社製)が挙げられる。 本発明のマンニッヒ縮合物の製造に使用される好ましいポリアルキルフェノールは、ポリアルキル置換基がフェノール環のパラ位に結合した一置換フェノールである。しかし、マンニッヒ縮合反応を進めることができる他のポリアルキルフェノールも、本発明のマンニッヒ縮合物の製造に使用することができる。そのようなポリアルキルフェノールの幾つかの例としては、一置換及び二置換オルソ置換ポリアルキルフェノールがある。[不活性溶媒] 本発明のマンニッヒ縮合物の製造ではポリアルキルフェノールの取扱いおよび反応を容易にするために、不活性溶媒を用いることができる。好適な不活性溶媒の例としては、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼンなどの炭化水素化合物、芳香族溶媒、潤滑粘度のニュートラル油、パラフィン類およびナフテン類がある。他の好適な市販溶媒の例としては、シェブロン100N(商品名)、ニュートラル油、およびエクソン150N(商品名)、ニュートラル油を挙げることができる。 前記の方法で製造されたマンニッヒ縮合物金属イオン封鎖剤が潤滑油に添加剤として使用されることになるなら、ポリアルキルフェノールをまずシェブロン100Nニュートラル油などの好適な溶媒に溶解させることができる。[塩基] 本発明のマンニッヒ縮合物の製造に使用できる塩基は、pKaが7以上の任意のアルカリ金属塩基、好ましくはpKaが10から30の間にある塩基であってよい。代表的な塩基としては、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属アルコキシドが挙げられる。好ましくは塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムまたは水酸化カリウムからなる群より選ばれるアルカリ金属水酸化物である。より好ましくは、アルカリ金属水酸化物は水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである。最も好ましくは、塩基は水酸化ナトリウムである。[アルデヒド] 本発明の方法に使用することが考えられるアルデヒドは、ホルムアルデヒド、および下記式を有するアルデヒドである: 式中、R’は、炭素原子数1〜約10の分枝鎖又は線状アルキル、炭素原子数約3〜約10のシクロアルキル、炭素原子数約6〜約10のアリール、炭素原子数約7〜約20のアルカリール、または炭素原子数約7〜約20のアラルキルである。 本発明のマンニッヒ縮合物の製造に使用される代表的なアルデヒドとしては、これらに限定されるものではないが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、カプロアルデヒド、およびヘプタアルデヒドなどの脂肪族アルデヒドを挙げることができる。 芳香族アルデヒドも本発明のマンニッヒ縮合物の製造に使用することが考えられ、例えばベンズアルデヒド、およびアルキルベンズアルデヒドがある。パラ−トルアルデヒドはアルキルベンズアルデヒドの一例である。 また、ホルムアルデヒド生成試薬、例えばパラホルムアルデヒドおよびホルマリンなどのホルムアルデヒド水溶液も使用できる。本発明のマンニッヒ縮合物の製造に使用するのに最も好ましいアルデヒドは、パラホルムアルデヒドおよびホルマリンである。 本発明のマンニッヒ縮合物の製造に使用するのに最も好ましいアルデヒドは、パラホルムアルデヒドおよびホルマリンである。 アルデヒドはホルムアルデヒドであることが好ましい。ホルムアルデヒドは、気体、液体および固体を含む全ての形態を意味する。気体ホルムアルデヒドの例としては、単量体CH2O、および下記式を有する三量体(CH2O)3(トリオキサン)がある。 液体ホルムアルデヒドの例としては次のようなものがある: 4)エチルエーテル中の単量体CH2O。 5)化学式CH2(H2O)2(メチレングリコール)およびHO(−CH2O)n−Hを有する水中の単量体CH2O。 6)化学式OHCH2OCH3およびCH3O(−CH2O)n−Hを有するメタノール中の単量体CH2O。 ホルムアルデヒド溶液は、水および種々のアルコール溶液として市販されている。水では37%−50%溶液として入手できる。ホルマリンは37%水溶液である。 ホルムアルデヒドは、線状及び環状(トリオキサン)重合体としても市販されている。線状重合体は、低分子量重合体であっても高分子量重合体であってもよい。[アミノ酸] 前記の方法でアミノ酸又はそのエステル誘導体は下記式を有する: 式中、Wは、−[CHR”]−mであり(ただし、各々のR”は独立に、H、炭素原子数1〜約15のアルキル、または炭素原子数1〜約10でアミノ、アミド、ベンジル、カルボキシル、ヒドロキシル、ヒドロキシフェニル、イミダゾリル、イミノ、フェニル、スルフィドまたはチオールからなる群より選ばれた一以上の置換基を持つ置換アルキルであり、そしてmは1〜4の整数である)、そしてAは、水素または炭素原子数1〜約6のアルキルである。 上記式でAは水素であることが好ましい。上記式で好ましいアルキルはメチルまたはエチルである。 アミノ酸はグリシンであることが好ましい。 下記第2表に、本発明のマンニッヒ縮合物の製造に使用することが考えられるアルファアミノ酸の幾つかの例を記す。 本発明の方法の好ましい態様では、(b)工程を行う前に、まず別にアミノ酸、塩基および水を約15℃乃至約100℃の範囲の温度で化合させて濃厚アミノ酸塩溶液を生成させ、次にこれを(a)工程で生成した反応生成物に添加する。好ましくは、(b)工程を行う前に、まず別にアミノ酸、塩基および水を約30℃乃至約70℃の範囲の温度で化合させて濃厚アミノ酸塩溶液を生成させ、次にこれを(a)工程で生成した反応生成物に添加する。より好ましくは、(b)工程を行う前に、まず別にアミノ酸、塩基および水を約40℃乃至約60℃の範囲の温度で化合させて濃厚アミノ酸塩溶液を生成させ、次にこれを(a)工程で生成した反応生成物に添加する。[実施例1] 分子量1000のポリイソブチル置換フェノールを用いたマンニッヒ縮合物の製造 1リットルの丸底フラスコに、[定義]に記載した分子量1000のポリイソブチル置換フェノール351.09グラム(0.23モル)を加えた。この実施例および本特許出願の以下の実施例で用いたポリイソブチル置換フェノールは、米国特許第5300701号及び第6274777号に記載されたようにして製造した。シェブロン100N(商品名)、ニュートラル油で31%に希釈したポリイソブチル置換フェノール(ヒドロキシル価=36.77ミリグラムKOH/グラム試料)を、水酸化ナトリウム水溶液(アルドリッチ(Aldrich、商品名)、50%溶液)2.88グラム(0.036モル)と接触させた。混合物を窒素中で撹拌しながら約35℃に加熱した。およそ15分後、混合物が均一になった時点で、パラホルムアルデヒド(セラニーズ(Celanese、商品名)、顆粒、92.56%)14.99グラム(0.46モル)を丸底フラスコに加えた。反応生成物(反応生成物)の温度を約75℃に上げ、そして圧力を大気圧から250mmHgに下げた。フラスコ内の反応生成物を約75℃の温度および250mmHgの圧力で約1.5時間維持した。1H−NMRで生成物の化学式を決定するために、試料を0.2グラム以下で取り除いた。主として生成した中間生成物は、次のような化学式を有していた: 4オンスびん内で、グリシン(フィッシャー・バイオテック(Fisher Biotech、商品名)、98.5%)18.02グラム(0.24モル)、水酸化ナトリウム水溶液(アルドリッチ(商品名)、50%水溶液)15.94グラム(0.2モル)、および脱イオン水2.72グラムを混合して溶液を調製した。内容物が微粒子が多少懸濁したほぼ均一な溶液となるまでびんを振とうした。 次に、上記のナトリウムグリシン溶液34.98グラムをフラスコに加えた。フラスコ内の圧力を大気圧から300mmHgまで下げた。フラスコの内容物を約75℃および圧力300mmHgで約2時間保持した。次に、フラスコの内容物の温度を約85℃まで上げ、この温度で更に3時間保持した。減圧を解除し、フラスコの内容物を大気圧に戻し、そして消泡剤(ダウ・コーニング(Dow Corning)200フルイド(Fluid、商品名))3滴をフラスコに添加した。消泡剤を添加した後、フラスコの内容物を160℃に加熱し、50mmHgに減圧にして水を除去した。濁った薄褐色の生成物375.31グラムが得られた。生成物をろ過して澄んだ薄褐色のマンニッヒ縮合物が得られ、縮合物は、色試験、すなわち[定義]に記載した鉄封鎖能力試験により測定したところFe+3を封鎖した。[実施例2] 分子量1000のポリイソブチル置換フェノールを用いたマンニッヒ縮合物の製造 4リットル反応器でマンニッヒ縮合物を製造した。 温度プローブ、上部システムおよび機械的撹拌器を備えた4リットル反応器に、分子量1000のポリイソブチル置換フェノール2500.5グラム(1.638モル)を加えた。ポリイソブチル置換フェノール(ヒドロキシル価=36.77ミリグラムKOH/グラム試料)を、シェブロン100N(商品名)、ニュートラル油で31%に希釈し、そして80℃に加熱した。反応器の内容物の温度が80℃に達した時点で、水酸化ナトリウム溶液(アルドリッチ(商品名)、49.4%水溶液)13.2グラム(0.164モル)を反応器に加え、その後速やかにパラホルムアルデヒド(セラニーズ(商品名)、顆粒、92.56%)109.7グラム(3.277モル)を加えた。反応生成物を約80℃から約90℃の間の温度で1.5時間維持した。反応のこの時点で試料に1H−NMRを行った。中間体は次のような化学式を有すると決定された: 次に、実施例1で調製したナトリウムグリシン溶液270.2グラムを反応生成物に加えた。この溶液は、水酸化ナトリウム溶液(アルドリッチ(商品名)、49.4%水溶液)122.2グラム(1.53モル)を、グリシン(フィッシャー・バイオテック(商品名)、100.3%)128.5グラム(1.71モル)、および脱イオン水25グラムと混合して製造した。この溶液を、消泡剤(ダウ・コーニング200フルイド(商品名))2滴と一緒に約80℃の反応生成物に加えた。温度を約80℃で1.5時間保持した。次に、温度をゆっくりと160℃まで上げた。温度が160℃に達した時点で、圧力を大気圧から50mmHgまで下げて生成物から如何なる残留水も取り除いた。これらの反応条件で1時間保持した。マンニッヒ縮合物が得られ、縮合物は、色試験、[定義]に記載した鉄封鎖能力試験で測定したところFe+3を封鎖した。[比較例A] 分子量1000のポリイソブチル置換フェノールを用いたマンニッヒ縮合物の製造 パラホルムアルデヒドを最後に加えたこと以外は、実施例1の方法を実施した。 1リットルのモルトン・フラスコに、シェブロン100N(商品名)ニュートラル油で希釈した、[定義]に記載した分子量1000のポリイソブチル置換フェノール(ヒドロキシル価=36.77ミリグラムKOH/グラム試料)429.17グラム(0.281モル)、および水酸化ナトリウムのペレット(フィッシャー(商品名)、98.1%)11.92グラム(0.29モル)を加えた。反応生成物を50℃に温め、そしておよそ1時間混合した。反応生成物に、グリシン(フィッシャー・バイオテック(商品名)、100.3%、固形)21.4グラム(0.281モル)を加え、その後速やかにパラホルムアルデヒド(セラニーズ(商品名)、顆粒、92.56%)18.82グラム(0.58モル)を加えた。反応生成物に、消泡剤(ダウ・コーニング200フルイド(商品名))2滴を添加して泡立ちを減じた。反応生成物を窒素中で撹拌しながら約90℃に加熱し、そして約70℃から約90℃の間の温度でおよそ1時間保持した。消泡剤(ダウ・コーニング200フルイド(商品名))を更に2滴を添加して泡立ちを減じた。次いで、温度を約160℃まで1.5時間かけてゆっくりと上げた。圧力を真空ポンプを用いて大気圧から250mmHgに下げた。これらの反応条件で約2時間保持した。次に、撹拌を止めて混合物を固相と液相の2相に分離させた。1H−NMRで分析した反応生成物の試料は、液相が主として未反応ポリイソブチル置換フェノールであることを示した。次に、反応生成物を175℃に加熱し、そして圧力をおよそ400mmHgに下げた。これらの反応条件で3時間保持した。再度、混合物を2相に分離させた。1H−NMRで測定したところ、液相はまだ主として未反応ポリイソブチル置換フェノールであったが、固相は主として下記式を有していた。[比較例B] 分子量1000のポリイソブチル置換フェノールを用いたマンニッヒ縮合物の試行製造 パラホルムアルデヒドの前にナトリウムグリシンを反応生成物に加えたこと以外は、実施例1の方法を実施した。 芳香族溶媒で25%に希釈した、[定義]に記載した分子量1000のポリイソブチル置換フェノール試料(ヒドロキシル価=46.1ミリグラムKOH/グラム試料)488.87グラム(0.281モル)を、バッチ・ロトバップ(Buchi Rotovap、商品名)上で、圧力5mmHgで160℃にすることによりストリップした。この過程で、ストリップした物質389.96グラムが生成した。1リットル丸底フラスコに、ストリップ生成物161.62グラム(0.15モル)、およびシェブロン100N(商品名)ニュートラル油75.86グラムを加えた。400ミリリットルビーカー内で、水酸化ナトリウムペレット(フィッシャー(商品名)、98.1%)5.97グラム(0.13モル)、固形グリシン(フィッシャー・バイオテック(商品名)、100.3%)21.4グラム(0.281モル)、および脱イオン水56.5グラムの溶液を調製した。丸底フラスコ内の反応生成物に、400ミリリットルビーカーから均一な溶液65.84グラムを加えた。フラスコ内の化合した反応生成物を110℃に加熱し、そして約30分間保持した。反応生成物を更に115℃に加熱し、そして圧力を真空ポンプを用いて200mmHgに下げた。次に、消泡剤(ダウ・コーニング200フルイド(商品名))1滴を反応生成物に添加した。次に、パラホルムアルデヒド(セラニーズ(商品名)、顆粒、92.58%)8.12グラム(0.26モル)を反応生成物に加えた。反応生成物を170℃に加熱し、そしてこの温度で3時間保持した。1H−NMRで分析した反応生成物の試料は、液相が主として未反応ポリイソブチル置換フェノールであることを示した。 この比較例からマンニッヒ縮合物は得られなかった。この比較例は、パラホルムアルデヒドの添加前にナトリウムグリシンを添加したのではマンニッヒ縮合物とならないことを明らかにし、そして[定義]に記載した色試験により測定したところFe+3を封鎖しなかった。[比較例C] 分子量1000のポリイソブチル置換フェノールを用いたマンニッヒ縮合物の試行製造 ポリイソブチル置換フェノールとパラホルムアルデヒドの前に水酸化ナトリウムとグリシンを反応生成物に加えたこと以外は、実施例1の方法を実施した。 1リットル丸底フラスコに、水酸化ナトリウム(フィッシャー(商品名)、試薬等級)12.38グラム(0.31モル)、グリシン(フィッシャー・バイオテック(商品名)、培養等級)22.91グラム(0.31モル)、および脱イオン水77.95グラムを加えた。反応生成物を窒素中で撹拌しながら約35℃に加熱した。溶質が溶液に溶けるにつれて反応生成物は発熱して55℃になった。およそ20分後に、芳香族溶媒で約25%に希釈した、[定義]で定義した分子量1000のポリイソブチル置換フェノール試料(ヒドロキシル価=41.3ミリグラムKOH/グラム試料)422.36グラム(0.31モル)を反応生成物に加え、その後速やかにパラホルムアルデヒド(セラニーズ(商品名)、顆粒、92.56%)18.96グラム(0.62モル)を加えた。フラスコ内の反応生成物を120℃に加熱し、そして2時間還流した。次いで、ディーン・スターク(商品名)トラップを取り付け、反応生成物を170℃に加熱し、この温度で6時間保持することにより溶媒を留去した。反応生成物を室温まで冷却しながら、反応生成物にシェブロン100N(商品名)ニュートラル油82.22グラムを加えた。1H−NMRで分析した反応生成物の試料は、液相が主として未反応ポリイソブチル置換フェノールであることを示した。 この比較例からマンニッヒ縮合物は得られなかった。この比較例は、ポリイソブチル置換フェノールとパラホルムアルデヒドの添加前に水酸化ナトリウムとグリシンを添加したのでは、所望のマンニッヒ縮合物とならないことを明らかにしている。 何等かの理論に縛られるわけではないが、反応体の添加順序が下に示すような要求された中間体の生成を許さなかったために、マンニッヒ縮合物が生成しなかったと考えられる。 比較例を行って、本発明の方法からアルカノールを排除してもなお反応体の添加が従来法のように任意の順序で許されるのか否かを決定した。第3表にまとめて示す上述した比較例A〜Cは、本発明の方法からアルカノールを排除すると、本発明の方法を二工程で行わなければならず、かつマンニッヒ縮合物を得るのに反応体の添加順序が重要であることを明らかにしている。 第 3 表 ────────────────────────────────── 実施例 添加 マンニッヒ ポリイソブチル ホルム グリシン 縮合物 フェノール* アルデヒド ────────────────────────────────── 実施例1 1番目 2番目 3番目 有 実施例2 1番目 2番目 3番目 有 ────────────────────────────────── 比較例A 1番目 2番目 無 比較例B 1番目 3番目 2番目 無 比較例C 2番目 3番目** 1番目 無 ────────────────────────────────── *:シェブロン100Nニュートラル油中のポリイソブチル置換フェノール **:ポリイソブチル置換フェノールの後速やかにホルムアルデヒドを加えた。 (a)ポリアルキル基の数平均分子量が280乃至5000であるポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物とアルデヒドとをアルカリ金属塩基の存在下で反応させて得た反応生成物を、 (b)アミノ酸またはそのエステル誘導体およびアルカリ金属塩基と、反応させることからなるマンニッヒ縮合物の製造方法。 両反応をアルカノールの不存在下で行う請求項1に記載の方法。 下記の工程からなる金属イオン封鎖剤として機能するマンニッヒ縮合物の製造方法:(a)ホルムアルデヒドまたは下記式を有するアルデヒド: (式中、R’は、炭素原子数1〜10の分枝鎖又は線状アルキル、炭素原子数3〜10のシクロアルキル、炭素原子数6〜10のアリール、炭素原子数7〜20のアルカリール、または炭素原子数7〜20のアラルキルである)と、下記式を有するポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物: (式中、R1は、数平均分子量280乃至5000のポリアルキルであり、R2は、水素または炭素原子数1〜10の低級アルキルであり、そしてR3は、水素または−OHである)とを、アルカリ金属塩基の存在下で接触させて反応生成物を生成させる工程、そして(b)上記反応生成物を、下記式を有するアミノ酸又はそのエステル誘導体: [式中、Wは、−[CHR”]−mであり(ただし、各々のR”は独立に、H、炭素原子数1〜15のアルキル、または炭素原子数1〜10でアミノ、アミド、ベンジル、カルボキシル、ヒドロキシル、ヒドロキシフェニル、イミダゾリル、イミノ、フェニル、スルフィドまたはチオールからなる群より選ばれた一以上の置換基を持つ置換アルキルであり、そしてmは1〜4の整数である)、そしてAは、水素または炭素原子数1〜6のアルキルである]、およびアルカリ金属塩基と接触させて、マンニッヒ縮合物を生成させる工程。 (a)工程のポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物のポリアルキル置換基が、数平均分子量400乃至3000である請求項3に記載の方法。 (a)工程のポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物のポリアルキル置換基が、数平均分子量500乃至2000である請求項4に記載の方法。 (a)工程のポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物のポリアルキル置換基が、数平均分子量700乃至1500である請求項5に記載の方法。 (a)工程のポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物のポリアルキル置換基が、数平均分子量700乃至1100である請求項6に記載の方法。 (a)工程のポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物のポリアルキル置換基が、ポリプロピレン、ポリブテン、もしくは1−オクテンまたは1−デセンのポリアルファオレフィンオリゴマーから誘導される請求項3に記載の方法。 (a)工程のポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物が、ポリプロピル置換フェノールまたはポリイソブチル置換フェノールである請求項3に記載の方法。 (a)工程のポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物が、ポリイソブチル置換フェノールである請求項9に記載の方法。 ポリイソブチル置換フェノールが、メチルビニリデン異性体を少なくとも20重量%含むポリイソブテンから誘導される請求項10に記載の方法。 (a)工程のアルデヒドが、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドまたはホルマリンである請求項3に記載の方法。 (a)工程のアルデヒドがパラホルムアルデヒドである請求項12に記載の方法。 (a)工程を、50℃乃至120℃の範囲の温度で0.2時間乃至8時間かけて行う請求項3に記載の方法。 (a)工程で生成した反応生成物をアミノ酸のアルカリ金属塩と接触させる請求項3に記載の方法。 まず別に、アミノ酸、アルカリ金属塩基および水を15℃乃至100℃の範囲の温度で接触させて濃厚アミノ酸塩溶液を生成させることによりアミノ酸塩を調製し、次にこのアミノ酸塩を(a)工程で生成した反応生成物に添加する請求項15に記載の方法。 まず別に、アミノ酸、アルカリ金属塩基および水を30℃乃至70℃の範囲の温度で接触させて濃厚アミノ酸塩溶液を生成させることによりアミノ酸塩を調製し、次にこのアミノ酸塩を(a)工程で生成した反応生成物に添加する請求項16に記載の方法。 まず別に、アミノ酸、アルカリ金属塩基および水を40℃乃至60℃の範囲の温度で接触させて濃厚アミノ酸塩溶液を生成させることによりアミノ酸塩を調製し、次にアミノ酸塩を(a)工程で生成した反応生成物に添加する請求項17に記載の方法。 (a)及び(b)工程のそれぞれのアルカリ金属塩基が独立に、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムまたは水酸化カリウムからなる群より選ばれるアルカリ金属水酸化物である請求項3に記載の方法。 アルカリ金属塩基が水酸化ナトリウムである請求項19に記載の方法。 (b)工程のアミノ酸がグリシンである請求項3に記載の方法。 (b)工程を第1段階と第2段階の二段階で行い、(b)工程の第1段階を50℃乃至120℃の範囲の温度で0.2時間乃至8時間かけて行い、次に(b)工程の第2段階を120℃乃至190℃の範囲の最終温度で更に0.2時間乃至8時間かけて行う請求項3に記載の方法。 (a)工程におけるアルカリ金属塩基とポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物とのモル比が0.01:1乃至1:1の範囲にあり、そしてアルデヒドとポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物とのモル比が0.5:1乃至4:1の範囲にある請求項3に記載の方法。 (b)工程におけるアルカリ金属塩基とポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物とのモル比が0.01:1乃至1.5:1の範囲にあり、そしてアミノ酸類とポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物とのモル比が0.01:1乃至3:1の範囲にある請求項3に記載の方法。 (a)及び(b)工程のそれぞれを独立にアルカノールの不在下で行う請求項3に記載の方法。 (a)工程で、ポリアルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物をまず潤滑粘度の油に溶解させる請求項3に記載の方法。 潤滑粘度の油がニュートラル油である請求項26に記載の方法。


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