生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_焼酎の製造方法
出願番号:2006097766
年次:2007
IPC分類:C12G 3/12


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内木 正人 栗山 謙一 副島 幹 藤原 徳久 JP 2007267679 公開特許公報(A) 20071018 2006097766 20060331 焼酎の製造方法 宝酒造株式会社 302026508 井上 昭 100087022 松田 大 100096415 内木 正人 栗山 謙一 副島 幹 藤原 徳久 C12G 3/12 20060101AFI20070921BHJP JPC12G3/12 3 OL 10 4B015 4B015NB01 4B015NG02 4B015NP01 4B015NP07 本発明は、焼酎の製造方法に関し、詳細には、特定の酵母を用いる4−ビニルグアヤコールを高含有する焼酎の製造方法、更に蒸留液を貯蔵するときの銅イオン濃度を調整してバニリンを高含有する焼酎とする焼酎の製造方法に関する。 長期貯蔵したウイスキー、泡盛などの蒸留酒には、バニリンが含まれていることが知られている。バニリンは、甘い芳香をもち、その蒸留酒の熟成感、丸さ、重厚感に寄与している。ウイスキーについては、蒸留液を樽で長期間熟成させることによって、樽からバニリンの前駆物質が溶出し、徐々にバニリンに変換されることが知られている。一方、焼酎の一種である泡盛や大麦焼酎については、穀類などの原料に由来するバニリンの生成機構が明らかにされている。泡盛は、通常、原料として米麹と水のみを用いて仕込み、十分発酵させた後、ステンレス製の単式蒸留機を用いて蒸留し、カメで貯蔵して十分熟成させる方法によって製造されている。まず、原料の細胞壁を構成するアラビノキシランの側鎖に結合しているフェルラ酸が遊離し、続いて脱炭酸を受けて4−ビニルグアヤコール(以下、4−VGと略記する)となる。4−VGは、蒸留工程で蒸留液に移行し、その後の数年間に及ぶカメ貯蔵中に、徐々に酸化され、バニリンに変換する。 バニリンの前駆物質である4−VGを増強する手段として、フェルラ酸脱炭酸活性を有する酵素、酵母を使用する方法が、特開平9−238673号公報、特開平10−276788号公報、特開2000−125840公報に開示されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。しかし、これらには、醪中に4−VGを得た結果が示されているものの、具体的なバニリンの値についての記載はない。更に、蒸留工程以降の4−VGからバニリンへの変換方法についての記載もなく、したがって最終的な蒸留酒製品中のバニリン量についても明らかにされていない。 一方、ワイン酵母、ビール酵母について、フェルラ酸を200ppm含むYPD培地で培養し、4−VGの生成活性を検討した結果、4−VG生成活性の高い順として、W68>K−1>K−3、EC1118であることが知られている(非特許文献1)。 このように、4−VGを増強する手段は、いろいろと検討されてはいるものの、より4−VGを増強する手段が求められていた。特開平9−238673号公報特開平10−276788号公報特開2000−125840公報日本醸造協会誌、第93巻、第12号、第967〜975頁(1998年) 本発明の目的は、穀類を原料として焼酎を製造する方法において、特定の酵母を用いることにより、4−VGを高含有する焼酎を製造する方法、更に蒸留液を貯蔵するときの銅イオン濃度を調整してバニリンを高含有する焼酎の製造方法を提供することにある。 本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は、穀類を原料として焼酎を製造する方法において、サッカロミセス・セレビシエに属するC14株又はNo.15株を用いる4−VGを高含有する焼酎の製造方法に関する。本発明の第2の発明は、上記した第1の発明の方法により4−VGを高含有する焼酎を製造し、その後、その蒸留液を貯蔵するときに、該蒸留液中の銅イオン濃度を0.2mg/L以上として貯蔵を行うことにより、バニリンを高含有する焼酎とすることを特徴とする、バニリンを高含有する焼酎の製造方法に関する。本発明の第3の発明は、第1の発明又は第2の発明に記載の焼酎の製造方法により得られる焼酎に関する。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、穀類を原料として焼酎を製造する方法において、サッカロミセス・セレビシエに属するC14株又はNo.15株を用いることにより、4−VGを高含有する焼酎を得ることができることを見出し、また、その蒸留液を貯蔵するときに、該蒸留液中の銅イオン濃度を0.2mg/L以上として貯蔵を行うことにより、4−VGが効率よくバニリンに変換し、バニリンを高含有する焼酎を得ることができることを見出して、本発明の完成に至った。 本発明によれば、特定の酵母を用いることにより、4−VGを高含有する焼酎を提供することができる。また、その蒸留液を貯蔵するときに、該蒸留液中の銅イオン濃度を0.2mg/L以上として貯蔵を行うことにより、4−VGが効率よくバニリンに変換し、バニリンを高含有する焼酎を得ることができる。バニリンを高含有することにより、甘い芳香や熟成感のある香味良好な焼酎とすることができる。 以下、本発明を具体的に説明する。 本発明では、穀類を原料として焼酎を製造する方法において、サッカロミセス・セレビシエに属するC14株又はNo.15株を用いることを特徴とする。C14株又はNo.15株を用いることにより、4−VGを高含有する焼酎を製造することができる。本発明でいう穀類とは、米、大麦、裸麦、ライ麦、とうもろこし等が挙げられる。フェルラ酸を多く含む原料が好ましく、大麦、とうもろこしが特に好適である。 サッカロミセス・セレビシエに属するC14株又はNo.15株は、宮崎県工業試験場において分離された、いわゆる宮崎高温性酵母、宮崎耐熱性酵母である。C14株は、中国の市販発酵食品から選抜された中国分離株であり、No.15株は、タイの市販発酵食品から選抜されたタイ分離株である。なお、C14株、No.15株のそれぞれの酵母は、所望により宮崎県食品開発センターから分譲購入することができる。 穀類を原料として焼酎を製造する方法において、いろいろな酵母を用いて検討を行ったところ、当該2株は、醸造に通常用いられている他の実用酵母と比べて、フェルラ酸エステラーゼ活性が強いか、若しくは、遊離のフェルラ酸を脱炭酸し4−VGとする生産能が高いことがわかった。また、通常よりも高温(38〜40℃)での増殖、発酵力も旺盛であり、耐アルコール性にも優れているので、発酵期間を短くすることができる焼酎用に利用可能な優良酵母である。 本発明では、更に蒸留液を貯蔵するときに、該蒸留液中の銅イオン濃度を0.2mg/L以上として貯蔵を行うことにより、4−VGが効率よくバニリンに変換し、バニリンを高含有する焼酎を製造することができる。 以下、検討例によって本発明を更に具体的に説明する。検討例1 大麦、とうもろこしを原料として、4−VGを高生産する酵母の選択を行った。ワイン酵母、ビール酵母との比較検討を行った。検討した菌株の一覧を表1に示す。なお、合成培地のモデル系で4−VGを高生産する順は、W68>協会1号(K−1)>協会3号(K−3)、EC1118である。 大麦糖化液及びとうもろこし糖化液を用いて、表1に示す酵母の発酵試験を行った。大麦糖化液の調製及び発酵試験は以下の通り行った。 大麦200gを粉砕後、対原料質量の400質量%になるように汲水と混合した。この混合液に、液化酵素ターマミル120L〔ノボザイムス ジャパン(株)製〕を対原料質量の0.1質量%添加し、132℃で加圧蒸煮し、蒸煮醪を得た。得られた蒸煮醪を放冷後、糖化酵素としてサンスーパー240L〔ノボザイムス ジャパン(株)製〕及びセルラーゼとしてスミチームAC〔新日本化学工業(株)製〕をそれぞれ原料質量に対して0.1質量%添加し、58℃で一昼夜糖化して糖化醪を得た。得られた糖化醪に表1の各酵母を接種し、30℃で5日間の発酵試験を行った。とうもろこし糖化液の調製及び発酵試験は、大麦をとうもろこしに代えて、大麦糖化液の調製及び発酵試験と同様にして行った。それぞれの発酵終了醪を、常法によりガラス製蒸留フラスコを用いて蒸留を行った。 蒸留液中の4−VGの分析は、特開2003−153681公報に記載の方法に準じて、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により行った。 結果を表2(大麦糖化液の場合)及び表3(とうもろこし糖化液の場合)に示す。 表2及び表3の結果より、原料の種類によって同一の菌株でも4−VGの生産能が異なり、また、合成培地のモデル系で4−VGを高生産する順と穀類を原料として仕込みを行った場合の順とでは、4−VGの生成量が異なることがわかった。 大麦、とうもろこしを原料としたいずれの場合でも、C14株が優れていた。なお、4−VG含有量において、1mg/L近く上昇するというのは顕著な上昇である。 以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。 大麦を原料として、麦焼酎の製造を行った。仕込配合を表4に示す。 一次仕込みは、150gの精白麦を、常法により水浸漬吸水後、水切り、蒸きょう、放冷した後、得られた蒸麦に種麹菌として市販の焼酎用白麹菌又は焼酎用黒麹菌〔(株)ビオック製〕を接種し、麦麹を得た。この麹に汲水180ml及び酵母を加え、25℃で7日間発酵させ、一次醪とした。酵母はC14株(C14と略記する)を用いた。なお、酵母の対照として、通常焼酎の製造でよく用いられている焼酎酵母協会2号(K−2と略記する)を用いた。 一次醪に、精麦歩合70質量%の蒸麦を加え二次仕込みを行い、25℃で14日間発酵させた。発酵醪の分析値を表5に示す。 なお、4−VGの測定は検討例1に記載の方法により行い、また、フェルラ酸の測定は以下に示した方法に従って行った。 ウォーターズ(Waters)社製HPLCにて測定した。前処理としてメタノールを加え激しく振とうし、生じた沈殿を遠心除去した液を測定サンプルとした。使用カラムはCAPCELL PAK C18 UG120〔5μm、4.6mmφ×250mm、(株)資生堂製〕、カラム温度は40℃とした。溶離液はアセトニトリルと水を25:75の比率で混合したもの(0.05%TFA含む)とし、流速は1ml/minで行った。検出波長は320nm、インジェクション量は10μlとした。この方法で測定したものを遊離型フェルラ酸とした。 表中の単位は、試留値;v/v%、全糖;w/v%、還元糖;w/v%、フェルラ酸;mg/L、4−VG;mg/Lを示す。 表5の結果より、C14株では4−VGを多く含む発酵醪が得られた。白麹(7.6mg/L)に比べ黒麹(17.5mg/L)の方がより4−VGを多く含有していた。 蒸留は、ネック部分が銅製の単式蒸留機を用いて、常圧蒸留を行い、後留カット10%として、蒸留液を得た。 得られた蒸留液中の4−VGは、黒麹−C14では9.78mg/L、白麹−C14では5.11mg/L(共にエタノール25%換算値)と、5mg/Lを超える高含量であった。 得られた蒸留液の銅イオン濃度は0.2mg/Lであった。12ヵ月間貯蔵後のバニリン含量は、いずれも0.7mg/L以上と増加しており、甘い芳香と熟成感のある香味良好な酒質であった。 裸麦を原料として、麦焼酎の製造を行った。仕込配合を表6に示す。 実施例1と同様にして、一次仕込みを行った。精麦歩合85質量%のマンテンボシを用いた。種麹菌としては、河内白麹菌〔(株)河内源一郎商店製〕を用いた。28℃で7日間発酵させ、一次醪とした。酵母はC14株(C14と略記する)、No.15株(No.15と略記する)を用いた。なお、酵母の対照として、通常焼酎の製造でよく用いられている焼酎酵母協会2号(K−2と略記する)を用いた。 一次醪に、精麦歩合85質量%の蒸麦を加え二次仕込みを行い、28℃で11日間発酵させた。発酵醪の分析値を表7に示す。 なお、4−VG、フェルラ酸の測定は、実施例1と同様に行った。 表中の単位は、試留値;v/v%、全糖;w/v%、還元糖;w/v%、フェルラ酸;mg/L、4−VG;mg/Lを示す。 表7の結果より、C14株、No.15株では4−VGを多く含む発酵醪が得られた。 蒸留は、ネック部分が銅製の単式蒸留機を用いて、真空度(圧力)8.00×10−3MPaで減圧蒸留を行い、後留カット5%として、蒸留液を得た。 得られた蒸留液中の4−VGは、C14株では6.3mg/L、No.15株では4.6mg/L(共にエタノール25%換算値)と、4mg/Lを超える高含量であった。なお、焼酎酵母協会2号では1.2mg/Lであった。 得られた蒸留液の銅イオン濃度は0.3mg/Lであった。12ヵ月間貯蔵後のバニリン含量は、C14株、No.15株共に0.6mg/L以上と増加しており、甘い芳香と熟成感のある香味良好な酒質であった。 本発明の焼酎の製造方法によれば、4−VGを高含有する焼酎を得ることができる。また、銅イオン濃度を0.2mg/L以上とすることにより、バニリン含量を高めることができ、甘い芳香と熟成感のある香味良好な酒質とすることができる。焼酎のみならず、広く蒸留酒に応用することができるので、本発明は有用である。 穀類を原料として焼酎を製造する方法において、サッカロミセス・セレビシエに属するC14株又はNo.15株を用いることを特徴とする4−ビニルグアヤコールを高含有する焼酎の製造方法。 請求項1に記載の方法により4−ビニルグアヤコールを高含有する焼酎を製造し、その後、その蒸留液を貯蔵するときに、該蒸留液中の銅イオン濃度を0.2mg/L以上として貯蔵を行うことにより、バニリンを高含有する焼酎とすることを特徴とする、バニリンを高含有する焼酎の製造方法。 請求項1又は2に記載の焼酎の製造方法により得られる焼酎。 【課題】バニリンを高含有することにより、甘い芳香や熟成感のある香味良好な焼酎とすることができる、4−ビニルグアヤコール(4−VGと略記)、又はバニリンを高含有する焼酎、及びその製造方法を提供する。【解決手段】サッカロミセス・セレビシエに属するC14株又はNo.15株を用いる4−VGを高含有する焼酎の製造方法。当該方法により焼酎を製造し、その後、その蒸留液を貯蔵するときに、該蒸留液中の銅イオン濃度を0.2mg/L以上として貯蔵を行うことによる、バニリンを高含有する焼酎の製造方法。各製造方法により得られる焼酎。【選択図】なし


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特許公報(B2)_焼酎の製造方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_焼酎の製造方法
出願番号:2006097766
年次:2011
IPC分類:C12G 3/12


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内木 正人 栗山 謙一 副島 幹 藤原 徳久 JP 4641966 特許公報(B2) 20101210 2006097766 20060331 焼酎の製造方法 宝酒造株式会社 302026508 井上 昭 100087022 松田 大 100096415 内木 正人 栗山 謙一 副島 幹 藤原 徳久 20110302 C12G 3/12 20060101AFI20110209BHJP JPC12G3/12 C12C,F,G,H,J,L 特開2003−153681(JP,A) 特開2000−125840(JP,A) 特開平09−238673(JP,A) 特開2006−067812(JP,A) 特開平10−276788(JP,A) 特開2003−135051(JP,A) 2 2007267679 20071018 10 20090325 冨士 良宏 本発明は、焼酎の製造方法に関し、詳細には、特定の酵母を用いる4−ビニルグアヤコールを高含有する焼酎の製造方法、更に蒸留液を貯蔵するときの銅イオン濃度を調整してバニリンを高含有する焼酎とする焼酎の製造方法に関する。 長期貯蔵したウイスキー、泡盛などの蒸留酒には、バニリンが含まれていることが知られている。バニリンは、甘い芳香をもち、その蒸留酒の熟成感、丸さ、重厚感に寄与している。ウイスキーについては、蒸留液を樽で長期間熟成させることによって、樽からバニリンの前駆物質が溶出し、徐々にバニリンに変換されることが知られている。一方、焼酎の一種である泡盛や大麦焼酎については、穀類などの原料に由来するバニリンの生成機構が明らかにされている。泡盛は、通常、原料として米麹と水のみを用いて仕込み、十分発酵させた後、ステンレス製の単式蒸留機を用いて蒸留し、カメで貯蔵して十分熟成させる方法によって製造されている。まず、原料の細胞壁を構成するアラビノキシランの側鎖に結合しているフェルラ酸が遊離し、続いて脱炭酸を受けて4−ビニルグアヤコール(以下、4−VGと略記する)となる。4−VGは、蒸留工程で蒸留液に移行し、その後の数年間に及ぶカメ貯蔵中に、徐々に酸化され、バニリンに変換する。 バニリンの前駆物質である4−VGを増強する手段として、フェルラ酸脱炭酸活性を有する酵素、酵母を使用する方法が、特開平9−238673号公報、特開平10−276788号公報、特開2000−125840公報に開示されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。しかし、これらには、醪中に4−VGを得た結果が示されているものの、具体的なバニリンの値についての記載はない。更に、蒸留工程以降の4−VGからバニリンへの変換方法についての記載もなく、したがって最終的な蒸留酒製品中のバニリン量についても明らかにされていない。 一方、ワイン酵母、ビール酵母について、フェルラ酸を200ppm含むYPD培地で培養し、4−VGの生成活性を検討した結果、4−VG生成活性の高い順として、W68>K−1>K−3、EC1118であることが知られている(非特許文献1)。 このように、4−VGを増強する手段は、いろいろと検討されてはいるものの、より4−VGを増強する手段が求められていた。特開平9−238673号公報特開平10−276788号公報特開2000−125840公報日本醸造協会誌、第93巻、第12号、第967〜975頁(1998年) 本発明の目的は、穀類を原料として焼酎を製造する方法において、特定の酵母を用いることにより、4−VGを高含有する焼酎を製造する方法、更に蒸留液を貯蔵するときの銅イオン濃度を調整してバニリンを高含有する焼酎の製造方法を提供することにある。 発明を概説すれば、本発明の第1の発明は、大麦、裸麦、とうもろこしから選択される一つの穀類を原料として焼酎を製造する方法において、サッカロミセス・セレビシエに属するC14株又はNo.15株を用いる4−VGを高含有する焼酎の製造方法に関する。本発明の第2の発明は、上記した第1の発明の方法により4−VGを高含有する焼酎を製造し、その後、その蒸留液を貯蔵するときに、該蒸留液中の銅イオン濃度を0.2mg/L以上として貯蔵を行うことにより、バニリンを高含有する焼酎とすることを特徴とする、バニリンを高含有する焼酎の製造方法に関する。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、穀類を原料として焼酎を製造する方法において、サッカロミセス・セレビシエに属するC14株又はNo.15株を用いることにより、4−VGを高含有する焼酎を得ることができることを見出し、また、その蒸留液を貯蔵するときに、該蒸留液中の銅イオン濃度を0.2mg/L以上として貯蔵を行うことにより、4−VGが効率よくバニリンに変換し、バニリンを高含有する焼酎を得ることができることを見出して、本発明の完成に至った。 本発明によれば、特定の酵母を用いることにより、4−VGを高含有する焼酎を提供することができる。また、その蒸留液を貯蔵するときに、該蒸留液中の銅イオン濃度を0.2mg/L以上として貯蔵を行うことにより、4−VGが効率よくバニリンに変換し、バニリンを高含有する焼酎を得ることができる。バニリンを高含有することにより、甘い芳香や熟成感のある香味良好な焼酎とすることができる。 以下、本発明を具体的に説明する。 本発明では、穀類を原料として焼酎を製造する方法において、サッカロミセス・セレビシエに属するC14株又はNo.15株を用いることを特徴とする。C14株又はNo.15株を用いることにより、4−VGを高含有する焼酎を製造することができる。本発明でいう穀類とは、米、大麦、裸麦、ライ麦、とうもろこし等が挙げられる。フェルラ酸を多く含む原料が好ましく、大麦、とうもろこしが特に好適である。 サッカロミセス・セレビシエに属するC14株又はNo.15株は、宮崎県工業試験場において分離された、いわゆる宮崎高温性酵母、宮崎耐熱性酵母である。C14株は、中国の市販発酵食品から選抜された中国分離株であり、No.15株は、タイの市販発酵食品から選抜されたタイ分離株である。なお、C14株、No.15株のそれぞれの酵母は、所望により宮崎県食品開発センターから分譲購入することができる。 穀類を原料として焼酎を製造する方法において、いろいろな酵母を用いて検討を行ったところ、当該2株は、醸造に通常用いられている他の実用酵母と比べて、フェルラ酸エステラーゼ活性が強いか、若しくは、遊離のフェルラ酸を脱炭酸し4−VGとする生産能が高いことがわかった。また、通常よりも高温(38〜40℃)での増殖、発酵力も旺盛であり、耐アルコール性にも優れているので、発酵期間を短くすることができる焼酎用に利用可能な優良酵母である。 本発明では、更に蒸留液を貯蔵するときに、該蒸留液中の銅イオン濃度を0.2mg/L以上として貯蔵を行うことにより、4−VGが効率よくバニリンに変換し、バニリンを高含有する焼酎を製造することができる。 以下、検討例によって本発明を更に具体的に説明する。検討例1 大麦、とうもろこしを原料として、4−VGを高生産する酵母の選択を行った。ワイン酵母、ビール酵母との比較検討を行った。検討した菌株の一覧を表1に示す。なお、合成培地のモデル系で4−VGを高生産する順は、W68>協会1号(K−1)>協会3号(K−3)、EC1118である。 大麦糖化液及びとうもろこし糖化液を用いて、表1に示す酵母の発酵試験を行った。大麦糖化液の調製及び発酵試験は以下の通り行った。 大麦200gを粉砕後、対原料質量の400質量%になるように汲水と混合した。この混合液に、液化酵素ターマミル120L〔ノボザイムス ジャパン(株)製〕を対原料質量の0.1質量%添加し、132℃で加圧蒸煮し、蒸煮醪を得た。得られた蒸煮醪を放冷後、糖化酵素としてサンスーパー240L〔ノボザイムス ジャパン(株)製〕及びセルラーゼとしてスミチームAC〔新日本化学工業(株)製〕をそれぞれ原料質量に対して0.1質量%添加し、58℃で一昼夜糖化して糖化醪を得た。得られた糖化醪に表1の各酵母を接種し、30℃で5日間の発酵試験を行った。とうもろこし糖化液の調製及び発酵試験は、大麦をとうもろこしに代えて、大麦糖化液の調製及び発酵試験と同様にして行った。それぞれの発酵終了醪を、常法によりガラス製蒸留フラスコを用いて蒸留を行った。 蒸留液中の4−VGの分析は、特開2003−153681公報に記載の方法に準じて、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により行った。 結果を表2(大麦糖化液の場合)及び表3(とうもろこし糖化液の場合)に示す。 表2及び表3の結果より、原料の種類によって同一の菌株でも4−VGの生産能が異なり、また、合成培地のモデル系で4−VGを高生産する順と穀類を原料として仕込みを行った場合の順とでは、4−VGの生成量が異なることがわかった。 大麦、とうもろこしを原料としたいずれの場合でも、C14株が優れていた。なお、4−VG含有量において、1mg/L近く上昇するというのは顕著な上昇である。 以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。 大麦を原料として、麦焼酎の製造を行った。仕込配合を表4に示す。 一次仕込みは、150gの精白麦を、常法により水浸漬吸水後、水切り、蒸きょう、放冷した後、得られた蒸麦に種麹菌として市販の焼酎用白麹菌又は焼酎用黒麹菌〔(株)ビオック製〕を接種し、麦麹を得た。この麹に汲水180ml及び酵母を加え、25℃で7日間発酵させ、一次醪とした。酵母はC14株(C14と略記する)を用いた。なお、酵母の対照として、通常焼酎の製造でよく用いられている焼酎酵母協会2号(K−2と略記する)を用いた。 一次醪に、精麦歩合70質量%の蒸麦を加え二次仕込みを行い、25℃で14日間発酵させた。発酵醪の分析値を表5に示す。 なお、4−VGの測定は検討例1に記載の方法により行い、また、フェルラ酸の測定は以下に示した方法に従って行った。 ウォーターズ(Waters)社製HPLCにて測定した。前処理としてメタノールを加え激しく振とうし、生じた沈殿を遠心除去した液を測定サンプルとした。使用カラムはCAPCELL PAK C18 UG120〔5μm、4.6mmφ×250mm、(株)資生堂製〕、カラム温度は40℃とした。溶離液はアセトニトリルと水を25:75の比率で混合したもの(0.05%TFA含む)とし、流速は1ml/minで行った。検出波長は320nm、インジェクション量は10μlとした。この方法で測定したものを遊離型フェルラ酸とした。 表中の単位は、試留値;v/v%、全糖;w/v%、還元糖;w/v%、フェルラ酸;mg/L、4−VG;mg/Lを示す。 表5の結果より、C14株では4−VGを多く含む発酵醪が得られた。白麹(7.6mg/L)に比べ黒麹(17.5mg/L)の方がより4−VGを多く含有していた。 蒸留は、ネック部分が銅製の単式蒸留機を用いて、常圧蒸留を行い、後留カット10%として、蒸留液を得た。 得られた蒸留液中の4−VGは、黒麹−C14では9.78mg/L、白麹−C14では5.11mg/L(共にエタノール25%換算値)と、5mg/Lを超える高含量であった。 得られた蒸留液の銅イオン濃度は0.2mg/Lであった。12ヵ月間貯蔵後のバニリン含量は、いずれも0.7mg/L以上と増加しており、甘い芳香と熟成感のある香味良好な酒質であった。 裸麦を原料として、麦焼酎の製造を行った。仕込配合を表6に示す。 実施例1と同様にして、一次仕込みを行った。精麦歩合85質量%のマンテンボシを用いた。種麹菌としては、河内白麹菌〔(株)河内源一郎商店製〕を用いた。28℃で7日間発酵させ、一次醪とした。酵母はC14株(C14と略記する)、No.15株(No.15と略記する)を用いた。なお、酵母の対照として、通常焼酎の製造でよく用いられている焼酎酵母協会2号(K−2と略記する)を用いた。 一次醪に、精麦歩合85質量%の蒸麦を加え二次仕込みを行い、28℃で11日間発酵させた。発酵醪の分析値を表7に示す。 なお、4−VG、フェルラ酸の測定は、実施例1と同様に行った。 表中の単位は、試留値;v/v%、全糖;w/v%、還元糖;w/v%、フェルラ酸;mg/L、4−VG;mg/Lを示す。 表7の結果より、C14株、No.15株では4−VGを多く含む発酵醪が得られた。 蒸留は、ネック部分が銅製の単式蒸留機を用いて、真空度(圧力)8.00×10−3MPaで減圧蒸留を行い、後留カット5%として、蒸留液を得た。 得られた蒸留液中の4−VGは、C14株では6.3mg/L、No.15株では4.6mg/L(共にエタノール25%換算値)と、4mg/Lを超える高含量であった。なお、焼酎酵母協会2号では1.2mg/Lであった。 得られた蒸留液の銅イオン濃度は0.3mg/Lであった。12ヵ月間貯蔵後のバニリン含量は、C14株、No.15株共に0.6mg/L以上と増加しており、甘い芳香と熟成感のある香味良好な酒質であった。 本発明の焼酎の製造方法によれば、4−VGを高含有する焼酎を得ることができる。また、銅イオン濃度を0.2mg/L以上とすることにより、バニリン含量を高めることができ、甘い芳香と熟成感のある香味良好な酒質とすることができる。焼酎のみならず、広く蒸留酒に応用することができるので、本発明は有用である。大麦、裸麦、とうもろこしから選択される一つの穀類を原料として焼酎を製造する方法において、サッカロミセス・セレビシエに属するC14株又はNo.15株を用いることを特徴とする4−ビニルグアヤコールを高含有する焼酎の製造方法。請求項1に記載の方法により4−ビニルグアヤコールを高含有する焼酎を製造し、その後、その蒸留液を貯蔵するときに、該蒸留液中の銅イオン濃度を0.2mg/L以上として貯蔵を行うことにより、バニリンを高含有する焼酎とすることを特徴とする、バニリンを高含有する焼酎の製造方法。


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