生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_還元型グルタチオンの製造方法
出願番号:2006079258
年次:2007
IPC分類:C07K 5/037,C07K 1/107


特許情報キャッシュ

内田 正徳 西田 昌弘 JP 2007254324 公開特許公報(A) 20071004 2006079258 20060322 還元型グルタチオンの製造方法 株式会社興人 000142252 内田 正徳 西田 昌弘 C07K 5/037 20060101AFI20070907BHJP C07K 1/107 20060101ALI20070907BHJP JPC07K5/037C07K1/107 1 OL 4 4H045 4H045AA20 4H045BA12 4H045EA01 4H045EA20 4H045FA50 本発明は、酸化型グルタチオンを還元する還元型グルタチオンの製造方法に関する。 還元型グルタチオンの製造方法として、従来より、酸化型グルタチオンを還元する方法が行われている。一般に、ジスルフィド結合を還元してチオール基とする反応は種々知られており、代表的なものとして、メルカプトエタノールなどのチオール性還元剤を用いる方法、電解還元する方法、ナトリウムボロハイドライドなどの還元剤を用いる方法、グルタチオンレダクターゼなどの酵素を用いる方法、等が知られている。 酸化型グルタチオンの還元についても、これらの方法について、ペプチドである特性、光学活性等、を考慮した適用が検討され、例えば、メルカプト低級アルコール及び二価の水溶性鉛塩を反応させる方法、液体アンモニア中でナトリウムと反応させる方法、亜鉛などの金属と鉱酸による方法、硫化ナトリウム、シアン化ナトリウム、ヨウ化ホスホニウムあるいは水素化ホウ素アルカリ金属塩などによる方法、接触還元方法、電解還元方法、水素貯蔵合金による還元方法(特許文献1、非特許文献1)、などが報告されている。 しかしながら、これら方法を食品や医薬品に応用する場合は、試薬が高価であったり、反応装置に多額に費用を要したり、水溶液中での反応が十分に進行しなかったり、反応中に生成する副生物の除去が困難であったりする、という問題点を有しており、更にすぐれた方法の開発が望まれていた。特公昭40−16529号公報、同46−33938号公報、同46−33939号公報、同47−8053号公報、同57−16196号公報、特開平4−154730号公報J.Biol.Chem. 1946 116 469、Biochem.J. 1921 15 292、Biochem.J. 1935 29 1622、Biochem.Z. 1931 230 353、J.Org.Chem. 1957 22 805 本発明は、特殊な設備を必要とすることなく、水溶液中でも収率よく反応が進行する、簡便で工業的に有利な酸化型グルタチオンの還元方法を提供することを課題とする。 本発明者らは、かかる課題を解決すべく研究の結果、銅化合物、鉄化合物及び硫化水素を用いることで課題を解決できることを見いだし、本発明に到達した。 すなわち本発明は、(1)酸化型グルタチオンを、銅化合物、鉄化合物及び硫化水素存在下、還元することを特徴とする、還元型グルタチオンの製造方法、を提供するものである。 本発明は、高価な試薬、特殊な設備等を使用することなく、副生物がほとんどなく高収率で、簡便で、工業的に有利な製造方法である。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明の出発物質である酸化型グルタチオンは、その由来は特に限定されず、また、精製品でも粗精製品でも用いることが出来る。更に、本反応は水溶液中で好適に進行するため、酸化型グルタチオンを含む水溶液もそのまま用いることができる。 還元は、銅化合物、鉄化合物及び硫化水素存在下実施される。 用いられる銅化合物としては、亜酸化銅、硫酸銅等を例示することができるが、一価の銅が好ましい。 銅化合物は、酸化型グルタチオンに対して、0.5〜10倍モル程度、好ましくは当モルから5倍モル程度使用することが好ましい。これ未満であると反応が十分に進行せず、また、これを越えて用いても収率の向上には寄与しない。 用いられる鉄化合物としては、鉄の二価、三価の無機化合物が好適に用いられる。例えば、酸化第一鉄、水酸化第一鉄、硫酸第一鉄、酸化第二鉄、水酸化第二鉄、硫酸第二鉄、等を例示することができる。 鉄化合物は、酸化型グルタチオン100重量部に対して、5〜200重量部、好ましくは10〜100重量部程度用いることが好ましい。これ未満であると反応が十分に進行せず、また、これを越えて用いても収率の向上には寄与しない。 反応は、酸化型グルタチオン、銅化合物、鉄化合物及び硫化水素を、溶媒存在下、撹拌することにより実施される。 硫化水素の導入は、硫化水素の飽和溶液を用いることにより、あるいは溶液中に、直接、硫化水素ガスを導入しながら反応させることもできる。 用いられる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば制限はないが、特に水が好ましい。 反応温度は室温から若干高められた温度、具体的には10〜50℃程度、反応時間は、反応条件にもよるが、30分から10時間程度で十分である。反応時間が長くなる場合、副生物の生成は認められないものの、生成した還元型グルタチオンが酸化され、酸化型グルタチオンに変換される場合があり、好ましくない。 反応終了後、目的物の単離は、公知の方法、例えば、沈殿物を慮去し、濾液を脱気後、銅塩にすることにより、容易に単離・精製することができる。 以下実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。実施例1 水400mlに、亜酸化銅4.66g、酸化第一鉄2.0g及び酸化型グルタチオン4gを添加し、35℃、撹拌下、硫化水素を徐々に吹き込んだ。 そのまま硫化水素を吹き込みながら2時間反応し、高速液体クロマトグラフィーで分析を行ったところ、還元型グルタチオン9.04mg/ml、酸化型グルタチオン0.79g/mlであった(転換率88.6%)。なお、高速液体クロマトグラフィーで、他のピークは観察されなかった。 反応終了後、反応液を濾過し、得られた濾液を撹拌し残存している硫化水素を脱気した。本溶液に亜酸化銅を添加し、還元型グルタチオンを銅塩として単離し、以下、常法により還元型グルタチオンを得た。 融点:184℃ 旋光度:[α]D=−16.42°(C=4、H2O) 本化合物は、標品との赤外線吸収スペクトルの比較により、その構造を同定した。実施例2 実施例1において、酸化第一鉄にかえて水酸化第二鉄2.0gを用いた以外は実施例1と同様に実施した。 1時間反応し、高速液体クロマトグラフィーで分析を行ったところ、還元型グルタチオン7.26mg/ml、酸化型グルタチオン1.94g/mlであった(転換率79.3%)。なお、高速液体クロマトグラフィーで、他のピークは観察されなかった。実施例3 実施例1において、酸化第一鉄にかえて硫酸第二鉄2.2gを用いた以外は実施例1と同様に実施した。 2時間反応し、高速液体クロマトグラフィーで分析を行ったところ、還元型グルタチオン6.14mg/ml、酸化型グルタチオン2.92g/mlであった(転換率68.5%)。なお、高速液体クロマトグラフィーで、他のピークは観察されなかった。比較例1 実施例1において、亜酸化銅を加えることなく、他は実施例1と同様に反応を実施した。 2時間反応し、高速液体クロマトグラフィーで分析を行ったところ、酸化型グルタチオンが減少していることが観察されたが、還元型グルタチオンへの変換ではなく、構造未確認の化合物への分解が生じていた。 以上説明してきたように、本発明は、特殊な設備を必要とすることなく、水溶液中でも収率よく反応が進行する、簡便で工業的に有利な酸化型グルタチオンの還元方法であり、食品、医薬品、化粧品等に使用される還元型グルタチオンを有利に製造することができる。 酸化型グルタチオンを、銅化合物、鉄化合物及び硫化水素存在下、還元することを特徴とする、還元型グルタチオンの製造方法。 【課題】食品、医薬品、化粧品等に使用される還元型グルタチオンを簡便で工業的に有利に製造できる、特殊な設備を必要とすることなく、水溶液中でも収率よく反応が進行する、酸化型グルタチオンの還元方法を提供する。【解決手段】酸化型グルタチオンを、銅化合物、鉄化合物及び硫化水素存在下、還元する。【選択図】なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る

特許公報(B2)_還元型グルタチオンの製造方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_還元型グルタチオンの製造方法
出願番号:2006079258
年次:2011
IPC分類:C07K 5/037,C07K 1/107


特許情報キャッシュ

内田 正徳 西田 昌弘 JP 4640996 特許公報(B2) 20101210 2006079258 20060322 還元型グルタチオンの製造方法 株式会社興人 000142252 内田 正徳 西田 昌弘 20110302 C07K 5/037 20060101AFI20110209BHJP C07K 1/107 20060101ALI20110209BHJP JPC07K5/037C07K1/107 C07K 5/037 C07K 1/107 CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) PubMed 特公昭40−16529(JP,B1) 特公昭46−33938(JP,B1) 特公昭46−33939(JP,B1) 特公昭47−8053(JP,B1) 特公昭57−16196(JP,B1) 特公平4−154730(JP,B2) 特表2002−538079(JP,A) J. Biol. Chem.,1936年,Vol.116,P.469-476 Biochem. J.,1935年,Vol.29,P.108-115 Biochem. J.,1932年,Vol.26,P.785-790 Ann. Rev. Biochem.,1983年,Vol.52,P.711-760 1 2007254324 20071004 5 20080331 鈴木 崇之 本発明は、酸化型グルタチオンを還元する還元型グルタチオンの製造方法に関する。 還元型グルタチオンの製造方法として、従来より、酸化型グルタチオンを還元する方法が行われている。一般に、ジスルフィド結合を還元してチオール基とする反応は種々知られており、代表的なものとして、メルカプトエタノールなどのチオール性還元剤を用いる方法、電解還元する方法、ナトリウムボロハイドライドなどの還元剤を用いる方法、グルタチオンレダクターゼなどの酵素を用いる方法、等が知られている。 酸化型グルタチオンの還元についても、これらの方法について、ペプチドである特性、光学活性等、を考慮した適用が検討され、例えば、メルカプト低級アルコール及び二価の水溶性鉛塩を反応させる方法、液体アンモニア中でナトリウムと反応させる方法、亜鉛などの金属と鉱酸による方法、硫化ナトリウム、シアン化ナトリウム、ヨウ化ホスホニウムあるいは水素化ホウ素アルカリ金属塩などによる方法、接触還元方法、電解還元方法、水素貯蔵合金による還元方法(特許文献1、非特許文献1)、などが報告されている。 しかしながら、これら方法を食品や医薬品に応用する場合は、試薬が高価であったり、反応装置に多額に費用を要したり、水溶液中での反応が十分に進行しなかったり、反応中に生成する副生物の除去が困難であったりする、という問題点を有しており、更にすぐれた方法の開発が望まれていた。特公昭40−16529号公報、同46−33938号公報、同46−33939号公報、同47−8053号公報、同57−16196号公報、特開平4−154730号公報J.Biol.Chem. 1946 116 469、Biochem.J. 1921 15 292、Biochem.J. 1935 29 1622、Biochem.Z. 1931 230 353、J.Org.Chem. 1957 22 805 本発明は、特殊な設備を必要とすることなく、水溶液中でも収率よく反応が進行する、簡便で工業的に有利な酸化型グルタチオンの還元方法を提供することを課題とする。 本発明者らは、かかる課題を解決すべく研究の結果、銅化合物、鉄化合物及び硫化水素を用いることで課題を解決できることを見いだし、本発明に到達した。 すなわち本発明は、(1)酸化型グルタチオンを、銅化合物、鉄化合物及び硫化水素存在下、還元することを特徴とする、還元型グルタチオンの製造方法、を提供するものである。 本発明は、高価な試薬、特殊な設備等を使用することなく、副生物がほとんどなく高収率で、簡便で、工業的に有利な製造方法である。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明の出発物質である酸化型グルタチオンは、その由来は特に限定されず、また、精製品でも粗精製品でも用いることが出来る。更に、本反応は水溶液中で好適に進行するため、酸化型グルタチオンを含む水溶液もそのまま用いることができる。 還元は、銅化合物、鉄化合物及び硫化水素存在下実施される。 用いられる銅化合物としては、亜酸化銅、硫酸銅等を例示することができるが、一価の銅が好ましい。 銅化合物は、酸化型グルタチオンに対して、0.5〜10倍モル程度、好ましくは当モルから5倍モル程度使用することが好ましい。これ未満であると反応が十分に進行せず、また、これを越えて用いても収率の向上には寄与しない。 用いられる鉄化合物としては、鉄の二価、三価の無機化合物が好適に用いられる。例えば、酸化第一鉄、水酸化第一鉄、硫酸第一鉄、酸化第二鉄、水酸化第二鉄、硫酸第二鉄、等を例示することができる。 鉄化合物は、酸化型グルタチオン100重量部に対して、5〜200重量部、好ましくは10〜100重量部程度用いることが好ましい。これ未満であると反応が十分に進行せず、また、これを越えて用いても収率の向上には寄与しない。 反応は、酸化型グルタチオン、銅化合物、鉄化合物及び硫化水素を、溶媒存在下、撹拌することにより実施される。 硫化水素の導入は、硫化水素の飽和溶液を用いることにより、あるいは溶液中に、直接、硫化水素ガスを導入しながら反応させることもできる。 用いられる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば制限はないが、特に水が好ましい。 反応温度は室温から若干高められた温度、具体的には10〜50℃程度、反応時間は、反応条件にもよるが、30分から10時間程度で十分である。反応時間が長くなる場合、副生物の生成は認められないものの、生成した還元型グルタチオンが酸化され、酸化型グルタチオンに変換される場合があり、好ましくない。 反応終了後、目的物の単離は、公知の方法、例えば、沈殿物を慮去し、濾液を脱気後、銅塩にすることにより、容易に単離・精製することができる。 以下実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。実施例1 水400mlに、亜酸化銅4.66g、酸化第一鉄2.0g及び酸化型グルタチオン4gを添加し、35℃、撹拌下、硫化水素を徐々に吹き込んだ。 そのまま硫化水素を吹き込みながら2時間反応し、高速液体クロマトグラフィーで分析を行ったところ、還元型グルタチオン9.04mg/ml、酸化型グルタチオン0.79g/mlであった(転換率88.6%)。なお、高速液体クロマトグラフィーで、他のピークは観察されなかった。 反応終了後、反応液を濾過し、得られた濾液を撹拌し残存している硫化水素を脱気した。本溶液に亜酸化銅を添加し、還元型グルタチオンを銅塩として単離し、以下、常法により還元型グルタチオンを得た。 融点:184℃ 旋光度:[α]D=−16.42°(C=4、H2O) 本化合物は、標品との赤外線吸収スペクトルの比較により、その構造を同定した。実施例2 実施例1において、酸化第一鉄にかえて水酸化第二鉄2.0gを用いた以外は実施例1と同様に実施した。 1時間反応し、高速液体クロマトグラフィーで分析を行ったところ、還元型グルタチオン7.26mg/ml、酸化型グルタチオン1.94g/mlであった(転換率79.3%)。なお、高速液体クロマトグラフィーで、他のピークは観察されなかった。実施例3 実施例1において、酸化第一鉄にかえて硫酸第二鉄2.2gを用いた以外は実施例1と同様に実施した。 2時間反応し、高速液体クロマトグラフィーで分析を行ったところ、還元型グルタチオン6.14mg/ml、酸化型グルタチオン2.92g/mlであった(転換率68.5%)。なお、高速液体クロマトグラフィーで、他のピークは観察されなかった。比較例1 実施例1において、亜酸化銅を加えることなく、他は実施例1と同様に反応を実施した。 2時間反応し、高速液体クロマトグラフィーで分析を行ったところ、酸化型グルタチオンが減少していることが観察されたが、還元型グルタチオンへの変換ではなく、構造未確認の化合物への分解が生じていた。 以上説明してきたように、本発明は、特殊な設備を必要とすることなく、水溶液中でも収率よく反応が進行する、簡便で工業的に有利な酸化型グルタチオンの還元方法であり、食品、医薬品、化粧品等に使用される還元型グルタチオンを有利に製造することができる。 酸化型グルタチオンを、銅化合物、鉄化合物及び硫化水素存在下、還元することを特徴とする、還元型グルタチオンの製造方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る