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タイトル:公開特許公報(A)_貯蔵安定に優れるオキセタン環を有する化合物。
出願番号:2006067925
年次:2006
IPC分類:C07D 305/06,C08G 65/18


特許情報キャッシュ

小池 信明 小副川 幹英 伊藤 直和 JP 2006306839 公開特許公報(A) 20061109 2006067925 20060313 貯蔵安定に優れるオキセタン環を有する化合物。 東亞合成株式会社 000003034 小池 信明 小副川 幹英 伊藤 直和 JP 2005105728 20050401 C07D 305/06 20060101AFI20061013BHJP C08G 65/18 20060101ALI20061013BHJP JPC07D305/06C08G65/18 9 OL 12 4C048 4J005 4C048TT02 4J005AA07 4J005BA00 4J005BB02 本発明は、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線の照射により速やかに硬化し、かつ基材との密着性に優れた硬化物を与え貯蔵安定に優れる化合物および当該化合物を含有する活性エネルギー線硬化型組成物に関する。 活性エネルギー線硬化技術は、その速い硬化速度、一般に無溶剤であることによる良好な作業性、極めて低いエネルギー必要量等の種々の特性から、木材のコーティング、金属塗装及び印刷等の種々の産業において、極めて重要になっている。この分野における初期の開発においては、多官能性アクリレート及び不飽和ポリエステルの活性エネルギー線開始ラジカル重合に研究が集中しており、今日でも、これらの材料は依然として大量に使用されている。現在においても、これらの研究の大部分は活性エネルギー線開始ラジカル重合に向けられているが、光開始イオン重合も多くの応用分野でかなり有望であることも十分に認められている。特に光開始カチオン重合は、多種多様なモノマーの重合によって様々な化学的および物理的特性を実現させる可能性に富むため、魅力あるものである。更に、光開始カチオン重合は、酸素によって重合が阻害されないので、不活性雰囲気下で実施する必要がなく、空気中で速やか且つ完全な重合を行うことができるという利点を有する。 近年、重合性官能基に、4員環環状エーテルであるオキセタン環を有する多官能オキセタンモノマーは、対応する多官能エポキシドと同等、あるいは、それ以上の光硬化性を有することが報告されており(例えば、非特許文献1、非特許文献2および非特許文献3参照)、多官能オキセタンモノマーを主成分とする光硬化型組成物が速硬化性を有するものとして提案されている(例えば、特許文献1参照)。また単官能オキセタンモノマーを主成分とする光硬化型組成物が速硬化性を有するものとして提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらにオキセタン環を有する化合物の貯蔵安定化方法として塩基性化合物を添加することが提案されている(例えば、特許文献3参照)が、これらいずれの公知文献にもオキセタン環を有する化合物の貯蔵安定化方法において、酸化防止剤を添加することに関する記載がなく、示唆もない。特開平06−16804号公報特開平07−62082号公報特開2000−186079号公報ジャーナルオブマクロモレキュラーサイエンス.A29巻,10号,915頁,1992年ジャーナルオブマクロモレキュラーサイエンス.A30巻,2&3号,173頁,1993年ジャーナルオブマクロモレキュラーサイエンス.A30巻,2&3号,189頁,1993年 本発明の目的は、良好な接着性、耐薬品性、耐透湿性、耐光性および耐衝撃性を有し、かつ短時間の光照射により重合する、貯蔵安定性に優れるオキセタン環を有する化合物および貯蔵安定性に優れる活性エネルギー線硬化型組成物を提供することである。 本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、酸化防止剤を添加することにより、オキセタン環を有する化合物の開環重合等の機能を低下させることなく、貯蔵安定性が向上することを見出し本発明を完成させるに至った。また、オキセタン環を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化型組成物に酸化防止剤を添加することにより、当該組成物の貯蔵安定性を改善できることを見出し、本発明を完成させるに至った。更に、本発明は、酸化防止剤を添加することによるオキセタン環を有する化合物または当該化合物を含有する活性エネルギー線硬化型組成物の貯蔵安定化方法である。 本発明は、酸化防止剤を含有するオキセタン環を有する化合物である。即ち、オキセタン環を有する化合物の貯蔵を安定化させることにおいて、オキセタン環を有する化合物に酸化防止剤を添加した混合物である。酸化防止剤とオキセタン環を有する化合物との混合物である。 オキセタン環を有する化合物100重量部に対して酸化防止剤が0.001〜5重量部の混合物である。 酸化防止剤がラジカル連鎖禁止剤である上記記載のオキセタン環を有する化合物との混合物である。 オキセタン環を有する化合物がオキセタニル基の2位または3位に置換基を有する化合物である。 オキセタン環を有する化合物を含有する組成物の貯蔵を安定化させることにおいて、オキセタン環を有する化合物、酸化防止剤、および活性エネルギー線の照射によりカチオン重合を開始させる化合物を含有する活性エネルギー線硬化型組成物である。 オキセタニル基以外のカチオン重合性基を有する化合物を更に含む上記記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。 活性エネルギー線の照射によりカチオン重合を開始させる化合物がジアリルヨードニウム塩またはトリアリールスルホニウム塩である上記記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。 上記記載の組成物に活性エネルギー線を照射してなる硬化物である。 オキセタン環を有する化合物に酸化防止剤を添加させることを特徴とするオキセタン環を有する化合物の貯蔵安定化方法である。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明におけるオキセタン環を有する化合物とは、オキセタニル基の3位または2位に置換基を有するオキセタン化合物が好ましい。具体例としては(カッコ内は商品名又は開発品名、東亞合成製)、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン(アロンオキセタンOXT−121(XDO))、ジ[2−(3−オキセタニル)ブチル]エーテル(アロンオキセタンOXT−221(DOX))、1,4−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ベンゼン(HQOX)、1,3−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ベンゼン(RSOX)、1,2−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ベンゼン(CTOX)、4,4’−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ビフェニル(4,4’−BPOX)、2,2’−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕ビフェニル(2,2’−BPOX)、3,3’,5,5’−テトラメチル〔4,4’−ビス(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ビフェニル(TM−BPOX)、2,7−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ナフタレン(2,7−NpDOX)、1,6−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕−2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン(OFH−DOX)、3(4),8(9)−ビス[(1−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル〕−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、1,2−ビス[2−{(1−エチル−3−オキセタニル)メトキシ}エチルチオ]エタン、4,4’−ビス[(1−エチル−3−オキセタニル)メチル]チオジベンゼンチオエーテル、2,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]ノルボルナン(NDMOX)、2−エチル−2−[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]−1,3−O−ビス[(1−エチル−3−オキセタニル)メチル]−プロパン−1,3−ジオール(TMPTOX)、2,2−ジメチル−1,3−O−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]−プロパン−1,3−ジオール(NPGOX)、2−ブチル−2−エチル−1,3−O−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]−プロパン−1,3−ジオール、1,4−O−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]−ブタン−1,4−ジオール、2,4,6−O−トリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]シアヌル酸、ビスフェノールAと3−エチル−3−クロロメチルオキセタン(OXCと略す)のエーテル化物(BisAOX)、ビスフェノールFとOXCのエーテル化物(BisFOX)、フェノールノボラックとOXCのエーテル化物(PNOX)、クレゾールノボラックとOXCのエーテル化物(CNOX)、オキセタニルシルセスキオキサン(OX−SQ)、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンのシリコンアルコキサイド(OX−SC)、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(アロンオキセタンOXT−212(EHOX))、3−エチル−3−(ドデシロキシメチル)オキセタン(OXR−12)、3−エチル−3−(オクタデシロキシメチル)オキセタン(OXR−18)、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン(アロンオキセタンOXT−211(POX))、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(OXA)等が挙げられる。 即ち、本発明においてオキセタン環を有する化合物としては、置換基にエーテル基を有するものが貯蔵安定性が向上することから好ましい。当該置換基におけるエーテル基としては、1個有するものが好ましく、エーテル基を2個以上有するものが安定性が更に向上するため好ましい。 本発明における酸化防止剤とは、発生したラジカルを捕捉するラジカル連鎖禁止剤、および過酸化物を不活性な化合物に分解して連鎖分岐反応を阻害する過酸化物分解剤を用いることができ、それぞれ混合・複数を用いることもできる。本発明における酸化防止剤とは、ラジカル連鎖禁止剤を用いるものが好ましい。 ラジカル連鎖禁止剤としては芳香族アミン系化合物、フェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物が挙げられる。 芳香族アミン系化合物の具体例としては、アルキル化ジフェニルアミン(Sumilizer 9A:住友化学製)、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン等が挙げられる。 フェノール系化合物の具体例としては、ジブチルヒドロキシトルエン、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(Irganox 1076:チバスペシャリティケミカルズ製、ADEKASTAB AO−50:旭電化工業製、Sumilizer BP−76:住友化学製)、2,2’−メチレンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(Sumilizer MDP−S:住友化学製)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(ADEKASTAB AO−40:旭電化工業製、Sumilizer BBM−S:住友化学製)、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox 245:チバスペシャリティケミカルズ製)、N,N’−ビス−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルヘキサメチレンジアミン(Irganox 1098:チバスペシャリティケミカルズ製)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(ADEKASTAB AO−80:旭電化工業製、Sumilizer GA−80:住友化学製)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(ADEKASTAB AO−330:旭電化工業製、Irganox 1330:チバスペシャリティケミカルズ製)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン(ADEKASTAB AO−30:旭電化工業製)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(ADEKASTAB AO−20:旭電化工業製、Irganox 3114:チバスペシャリティケミカルズ製)、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(Irganox 1010:チバスペシャリティケミカルズ製、ADEKASTAB AO−60:旭電化工業製、Sumilizer BP−101:住友化学製)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(Sumilizer WX−R:住友化学製、ノンフレックスBPS−R:精工化学製)、1,6−ヘキサンジオール−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox 259:チバスペシャリティケミカルズ製)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン(Irganox 565:チバスペシャリティケミカルズ製)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox 1035:チバスペシャリティケミカルズ製)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート ジエチルエステル(Irganox 1222:チバスペシャリティケミカルズ製)、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム(Irganox 1425:チバスペシャリティケミカルズ製)、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]o−クレゾール(Irganox 1520:製)、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(Irganox 1135:チバスペシャリティケミカルズ製)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル アクリレート(Sumilizer GM:住友化学製)等が挙げられる。 ヒンダードアミン系化合物の具体例としては、ADEKASTAB LA−52、ADEKASTAB LA−57、ADEKASTAB LA−62、ADEKASTAB LA−67、ADEKASTAB LA−63、ADEKASTAB LA−68、ADEKASTAB LA−82、ADEKASTAB LA−87(以上、旭電化工業製)、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(TINUVIN 123:チバスペシャリティケミカルズ製)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物(TINUVIN 622:)、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}](CHIMASSORB 944:チバスペシャリティケミカルズ製)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物(CHIMOSSORB 119FL:チバスペシャリティケミカルズ製)、SANOL LS−440(三共製)等が挙げられる。 過酸化物分解剤としては、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物が挙げられる。ホスファイト系化合物の具体例としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(Irgafos 168:チバスペシャリティケミカルズ製、ADEKASTAB 2112:旭電化工業製)、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト(Weston 618:製、ADEKASTAB PEP−8:旭電化工業製)、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジフォスファイト(ADEKASTAB PEP−24G:旭電化工業製)、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジフォスファイト(ADEKASTAB PEP−36:旭電化工業製)、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト(Irgafos P−EPQ FF:チバスペシャリティケミカルズ製)、トリス(ミックスド ジ/モノ ノニルフェニルホスファイト)(ADEKASTAB 329K:旭電化工業製)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルフォスファイト(ADEKASTAB HP−10:旭電化工業製)等が挙げられる。チオエーテル系化合物の具体例としては、ジステアリル 3,3’−チオジプロピオネート(Sumilizer TPS:住友化学製)、ペンタエリスリチル テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(ADEKASTAB AO−412S:旭電化工業製、Sumilizer TP−D:住友化学製)、ジミスチル 3,3’−チオジプロピオネート(Sumilizer TPM:住友化学製)、ジラウリル 3,3’−チオジプロピオネート(Sumilizer TPL−R:住友化学製)等が挙げられる。 本発明における酸化防止剤の添加量は、オキセタン環を有する化合物を100重量部として、好ましくは0.001〜5重量部、さらに好ましくは0.003〜3重量部、特に好ましくは0.01〜0.1重量部である。酸化防止剤を5重量部以上用いると硬化性への影響が危惧され好ましくない。一方、0.001重量部以下では貯蔵安定化の効果が小さいことから好ましくない。また上記酸化防止剤は、単独で用いることも、複数の酸化防止剤を併用することもできる。また酸化防止剤は、オキセタン環を有する化合物に添加した後、組成物に配合しても、オキセタン環を有する化合物含有組成物に添加してもよく、その添加方法は特に限定されるものではない。 本発明の組成物において、オキセタン環を有する化合物の配合部数は特に限定するものではないが、カチオン重合性成分を100重量部として、好ましくは3〜100重量部、さらに好ましくは5〜95重量部、特に好ましくは10〜90重量部である。なお、カチオン重合性成分とは、オキセタン環を有する化合物とオキセタニル基以外のカチオン重合性基を有する化合物である。このオキセタニル基以外のカチオン重合性基とは、エポキシ基及びビニルエーテル基などが挙げられる。 本発明におけるカチオン重合開始剤とは、活性エネルギー線の照射によってカチオン重合させうる酸を発生する化合物のことである。具体的な例としては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレニウム塩、ピリジニウム塩、フェロセニウム塩、ホスホニウム塩、及びチヲピリニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。本発明におけるカチオン重合開始剤としては、ヨードニウム塩が好ましい。 ヨードニウム塩等のオニウム塩の光カチオン重合開始剤を本発明のカチオン硬化性樹脂組成物に使用する場合、アニオンとしてはBF4-、AsF6-、SbF6-、PF6-、及びB(C6F5)4-などが挙げられるが、好ましくはSbF6-及びPF6-などである。 市販のヨードニウム塩としては、GE東芝シリコーン社製UV−9380C、ローディア社製PHOTOINITIATOR2074、和光純薬工業(株)製WPI−016、WPI−116及びWPI−113、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製Irgacure250等が挙げられる。 市販のトリアリールスルホニウム塩としては、ダウ・ケミカル日本(株)製の、サイラキュアーUVI−6990、UVI−6992、及びUVI−6974や、旭電化工業(株)製のアデカオプトマーSP−150、SP−152、SP−170、及びSP−172等、和光純薬工業(株)製のWPAG−593、WPAG−596、WPAG−640、及びWPAG−641等が挙げられる。 本発明におけるカチオン重合開始剤の配合量は、活性エネルギー線の種類や照射量に応じて適宜に調整できる。例えばカチオン重合性成分100重量部に対し、0.1〜5重量部とすることが好ましく、さらに好ましくは1〜3部である。カチオン重合開始剤が0.1重量部よりも少ない場合は硬化性に劣ることがあり好ましくなく、逆に5重量部より多い場合は硬化物に真に必要な成分を減少させて硬化物の物性が低下する場合や、硬化物の黄変が激しくなる場合があり好ましくない。 本発明の組成物には、カチオン重合開始剤の活性を高めるため、増感剤を併用することもできる。本発明で用いることができる増感剤として、クリベロがアドバンスド イン ポリマーサイエンス(Adv. in Plymer Sci.,62,1(1984))で開示している化合物を用いることが可能である。具体的には、ピレン、ペリレン、アクリジンオレンジ、チオキサントン、2−クロロチオキサントン及びペンゾフラビン等がある。また、光ラジカル重合開始剤として広く使用されている化合物も使用する事ができ、具体的には、ベンゾフェノン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル類、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンジルジメチルケタール類、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン類、カンファーキノン等のα−ジカルボニル化合物等が挙げられる。 本発明において、活性エネルギー線により重合を行う場合に用いることのできる光源としては特に限定されるものではないが、波長400nm以下に発光分布を有する、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯およびメタルハライドランプなどを用いることができる。組成物への光照射強度は、目的とする製品毎に制御されるものであって特に限定されるものではないが、光潜在性を有するカチオン重合開始剤の活性化に有効な光波長領域(当該重合開始剤によって異なる)の光照射強度が0.1〜100mW/cm2であることが好ましい。組成物への光照射強度が0.1mW/cm2未満であると、反応時間が長くなり過ぎ、100mW/cm2を超えると、ランプから輻射される熱および組成物の重合時の発熱により、得られる硬化物の黄変あるいは劣化が生じる恐れがある。組成物への光照射時間は、目的とする製品毎に制御されるものであって特に限定されるものではないが、前記光波長領域での光照射強度と光照射時間の積として表される積算光量が10〜5,000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。積算光量が10mJ/cm2未満であると、当該開始剤からの活性種の発生が充分でなく、得られる硬化物特性の低下を生じるおそれがあり、5,000mJ/cm2を超えると、照射時間が非常に長時間となり、生産性向上のためには不利なものとなる。また、活性エネルギー線の照射後0.1〜数分後には、ほとんどの組成物はカチオン重合により指触乾燥するが、カチオン重合の反応を促進するために加熱を併用することも場合によっては好ましい。 熱により重合を行う場合は一般的に知られた方法により熱を適応する事ができ、その条件などは特に限定されるものではない。 本発明の組成物に配合するオキセタニル基以外のカチオン重合性基を有する化合物としては、エポキシ基を有する化合物またはビニルエーテル基を有する化合物を挙げることができ、これらの混合物を用いることもできる。 エポキシ基を有する化合物としては、ジシクロペンタジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンの両末端がグリシジルエーテル化された化合物、o−、m−、p−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ポリブタジエンの内部エポキシ化物、スチレン−ブタジエン共重合体の二重結合が一部エポキシ化された化合物(例えばダイセル化学工業(株)製エポフレンド)、エチレン−ブチレン共重合体とポリイソプレンのブロックコポリマーのポリイソプレンの一部がエポキシ化された化合物(例えばKRATON社製L−207)、4−ビニルシクロヘキセンオキサイドの開環重合体のビニル基をエポキシ化した構造の化合物(例えばダイセル化学工業(株)製EHPE3150)、及びエポキシ化植物油等が例示できる。また、エポキシ基を有する化合物としては、1,2−エポキシヘキサデカンなどのα−オレフィンエポキサイド、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレートなどが例示できる。 ビニルエーテル基を有する化合物としては、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル及びノボラック型ジビニルエーテル等が挙げられる。また、ビニルエーテル基を有する化合物としては、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、プロペニルエーテルプロピレンカーボネート及びシクロヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。 本発明の組成物には、必要に応じて、シリカ、アルミナ、その他金属酸化物などのフィラーを配合してもよい。これにより、チクソトロピー性の付与などができる。また、電気絶縁材料として使用するときや腐食性のある基材を使用するときには、イオン交換能を有する材料を配合することが好ましく、さらに好ましくは無機系のものであり、特に好ましくは陰イオン交換能を有するものである。好適な無機系陰イオン交換体の例としては、IXE−500、IXE−530、IXE−550、IXE−700、IXE−800など(いずれも東亞合成製)が例示できる。 さらに、本発明の組成物には、硬化物の無機材料への密着性の向上を目的として、シランカップリング剤等のカップリング剤を配合することも可能である。好適なシランカップリング剤としては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学製、KBM−303)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学製、KBM−403)、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学製、KBE−403)、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(信越化学製、KBM−402)、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン(東亞合成製、OXT−610)などが挙げられる。 本発明の組成物は、金属、ゴム、プラスチック、成形部品、フィルム、紙、木、ガラス布、コンクリートおよびセラミック等の基材に適用することができる。 本発明の組成物の用途としては、例えば、保護、装飾および絶縁用コーテイング、注封化合物、印刷インキ、シーラント、接着剤、フォトレジスト、ワイヤー絶縁材料、織物コーティング、ラミネート、含浸テープおよび印刷プレート等が挙げられる。<実施例> 以下に、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。なお、部は重量部を表す。<実施例1> ジ[2−(3−オキセタニル)ブチル]エーテル(アロンオキセタンOXT−221(DOX):東亞合成製)にジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を100ppmになるように添加した。また、BHTが500ppmまたは1000ppmになるようにしたものも調製した。比較例として、BHTを含まないものも調製した。 上記の各調製物を、大気開放状態で25℃に放置し、3日後、6日後、9日後、及び20日後の活性酸素量を測定した。また、調製直後(表1では「開始時」と表示)のものについても活性酸素量を測定した。これらの結果を表1に記載した。 この結果、酸化防止剤の添加によりサンプル中の活性酸素量の生成が抑制された。○活性酸素量の測定法 検体から約2gをフラスコに精秤し、エタノール25ml、氷酢酸2ml、50%ヨウ化カリウム水溶液2mlを加えて、3分間100℃で加熱した。放冷後、0.01Nチオ硫酸ナトリウム水溶液でヨウ素の赤褐色が消失するまで滴定した。滴定終了後、次式に従いサンプル中の活性酸素量を算出した。 活性酸素量(ppm)=f×80×(T−TBL)/W f=0.01Nチオ硫酸ナトリウム水溶液のファクター T=サンプルを用いた場合の滴定量(ml) TBL=対照液の滴定量(ml) W=サンプル重量(g)<実施例2、3および比較例1> 表1の通りBHTを添加し、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。<実施例4〜12、比較例2> DOX(実験前に精製したもの)に、Irganox245(Irg245、チバスペシャリティケミカルズ製)、Irganox1010(Irg1010、チバスペシャリティケミカルズ製)またはSumilizer GM(GM、住友化学製)を100ppm、500ppmまたは1000ppm添加し、大気開放状態で25℃に放置した。そして実施例1に記載の活性酸素量測定方法を用いて、検体中の活性酸素量を測定した。この活性酸素量(ppm)を表2に記載した。<実施例13〜16、比較例3> DOX100部に対し、表3に示した組成比で組成物を作製した後、大気開放状態で60℃に放置し、当該組成物の安定性試験を行った。評価は、表3に記載の時間(試験開始後からの時間)毎に目視観察し、ゲル化の有無を調べた。この結果を表3に記載した。 表3記載の略号は、下記のとおりである。 WPI−016:ジアリルヨードニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩(和光純薬製) BPS−R:ノンフレックスBPS−R ○:ゲル化が認められない。 ×:ゲル化が認められた。 −:測定せず。 酸化防止剤の添加により、オキセタン環を有する化合物を含む組成物の貯蔵安定性が向上した。<実施例17、実施例18および比較例4> DOX 100部に、カチオン重合開始剤としてWPI−016を2部、BHTを0.01部添加、混合して、活性エネルギー線硬化型組成物を調製した(実施例17)。同様にBHTを表4に記載のようにして実施例18と比較例4との各組成物を調製した。 得られた組成物を、鋼板に約10ミクロンになるように塗布した後、80W/cmの高圧水銀灯を設置したコンベアタイプの紫外線照射装置(ランプ高さ=10cm)で積算光量が100mJ/cm2となるようにコンベアスピードを調整して硬化させた。得られた硬化物について表面の粘りの有無を評価した。これらの結果を表4に示す。 BHTの添加により硬化性の低下は認められなかった。<実施例19〜24、比較例4〜6> DOX、および3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(UVR−6110;ダウ・ケミカル日本(株)製)を用い、表5に示した組成比で組成物を作製した後、大気開放状態で60℃に放置し、当該組成物の安定性試験を行った。評価は、一日毎に目視観察し、ゲル化の有無を調べた。この結果を表5に記載した。 表5記載の略号は、下記の通りである。 WPI−016:ジアリルヨードニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩(和光純薬製) BHT:ジブチルヒドロキシトルエン ○:ゲル化が認められない。 ×:ゲル化が認められた。 −:観察せず。 酸化防止剤の添加により、オキセタン環を有する化合物とオキシラン環を有する化合物を含む組成物の貯蔵安定性が向上した。また、これら実施例の組成物について硬化試験を行ったが、酸化防止剤の無いものと差は認められなかった。 オキセタン環を有する化合物に酸化防止剤を添加することにより、オキセタン環を有する化合物およびこれを含む活性エネルギー線硬化型組成物について、硬化性を損なうことなく貯蔵安定性を向上することができることから生産性を向上させることができる。また、本発明のオキセタン環を有する化合物を含む活性エネルギー線硬化型組成物は、保護、装飾および絶縁用コーテイング、注封化合物、印刷インキ、シーラント、接着剤、フォトレジスト、ワイヤー絶縁材料、織物コーティング、ラミネート、含浸テープおよび印刷プレート等に利用することができる。 オキセタン環を有する化合物の貯蔵を安定化させることにおいて、オキセタン環を有する化合物に酸化防止剤を添加した混合物。 オキセタン環を有する化合物100重量部に対して酸化防止剤が0.001〜5重量部である請求項1の混合物。 酸化防止剤がラジカル連鎖禁止剤である請求項1または2に記載の混合物。 オキセタン環を有する化合物がオキセタニル基の2位または3位に置換基を有する化合物である請求項1〜3にそれぞれ記載の混合物。 オキセタン環を有する化合物、酸化防止剤、および活性エネルギー線の照射によりカチオン重合を開始させる化合物を含有する活性エネルギー線硬化型組成物。 オキセタニル基以外のカチオン重合性基を有する化合物を更に含む請求項5に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。 活性エネルギー線の照射によりカチオン重合を開始させる化合物がジアリルヨードニウム塩またはトリアリールスルホニウム塩である請求項5または請求項6に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。 請求項5〜7にそれぞれ記載の組成物に活性エネルギー線を照射してなる硬化物。 オキセタン環を有する化合物に酸化防止剤を添加させることを特徴とするオキセタン環を有する化合物の貯蔵安定化方法。 【課題】 本発明の目的は、良好な接着性、耐薬品性、耐透湿性、耐光性および耐衝撃性を有し、かつ短時間の光照射により重合する、貯蔵安定性に優れるオキセタン環を有する化合物および貯蔵安定性に優れる活性エネルギー線硬化型組成物を提供することである。【解決手段】 酸化防止剤を添加することによりオキセタン環を有する化合物の開環重合等の機能を低下させることなく貯蔵安定性が向上することを見出し本発明を完成させるに至った。また、オキセタン環を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化型組成物に酸化防止剤を添加することにより、当該組成物の貯蔵安定性を改善できることを見出し、本発明を完成させるに至った。【選択図】 なし


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