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タイトル:特許公報(B2)_1置換コハク酸イミドの製造方法
出願番号:2006064772
年次:2011
IPC分類:C07D 207/40,C07B 53/00,C07B 61/00


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小林 修 シュナイダー ウヴェ JP 4643474 特許公報(B2) 20101210 2006064772 20060309 1置換コハク酸イミドの製造方法 独立行政法人科学技術振興機構 503360115 佐伯 憲生 100102668 小林 修 シュナイダー ウヴェ 20110302 C07D 207/40 20060101AFI20110209BHJP C07B 53/00 20060101ALN20110209BHJP C07B 61/00 20060101ALN20110209BHJP JPC07D207/40C07B53/00 ZC07B61/00 300 C07D 207/40 C07B 53/00 C07B 61/00 CAplus(STN) CASREACT(STN) REGISTRY(STN) 特開平11−180898(JP,A) 西独国特許出願公開第03204953(DE,A) J. Am. Chem. Soc.,1937年,59,744−753 Tetrahedron Lett.,1996年,37,8921−8924 Molecules,2000年,5,665−673 有機合成化学協会誌,1998年,56,357−367 2 2007238524 20070920 10 20070612 早川 裕之 本発明は、抗腫瘍物質等の中間体として有用な1置換コハク酸イミドの製造方法に関する。 2位が置換された1置換コハク酸イミド化合物は、しばしば抗腫瘍物質等の医薬品や生物活性物質の有用な合成中間体として利用されている。 マレイミド化合物への1,4−付加反応(非特許文献1)は、コハク酸イミド化合物の製造として有用な手法と考えられるが、この反応を利用したコハク酸イミド化合物の製造方法の報告例は極めて少ないのが現状であり、有効なコハク酸イミドの製造法の開発が臨まれている。Jason K. Myers, Eric N. Jacobsen, J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 8959-8960. 本発明は、マレイミド化合物を基にした、コハク酸イミド化合物を簡便かつ効率的に製造する新しい方法を提供することを課題とする発明である。 本発明者らは、ルイス酸触媒を用いたケイ素エノラートによる種々の求核反応に着目し、ケイ素エノラートとマレイミド化合物の1,4−付加反応による1置換コハク酸イミド化合物の効率的合成方法の開発を目的として、触媒の探索を実施したところ、トリフルオロメタンスルホナート構造を含むプロトン酸又は金属トリフラートが触媒として有効であることを見出し、下記の各発明を完成した。(1)式(I)で表されるマレイミド化合物と、式(I) (R1は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基、複素環基又はベンゾイルアミノ基を示す);式(II)で表されるケイ素エノラートを、式(II) (式中のR2及びR3はそれぞれ別異に水素原子、アルコキシ基、トリアルキルシリルオキシ基または置換基を有していても良い炭素数1〜10の炭化水素基又はヘテロ環基を示し、R2又はR3の一方がアルコキシ基又はアルコキシシリル基の場合は他方は水素原子又は炭化水素基であり、R4は炭素数1〜10の炭化水素基、アルコキシ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を示し、R5は炭素数1〜6のそれぞれが同じでも異なっていても良い炭化水素基を示す);トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホンイミド又は金属トリフラートを触媒として反応させることを含む、式(III)で表される1置換コハク酸イミド化合物の製造方法。式(III) (R1〜R4は前記と同義である)(2)金属トリフラートが希土類金属トリフラート又はハフニウムトリフラートのいずれか1種である、(1)に記載の製造方法。(3)式(II)中のR2とR3のいずれか一方が水素原子で他方が水素原子以外の置換基であるケイ素エノラートを用いて、式(IV)で示される1置換コハク酸イミドの片方のジアスレテオマー及びその対称体を選択的に製造する、(1)又は(2)に記載の製造方法。式(IV) 本発明は、各種中間体として有用な1置換コハク酸アミドを、簡便な方法で製造することができる。また、反応温度が0℃付近で実施可能であるなど、比較的穏和な条件下で反応を行うことができる。 また、式(II)で示されるケイ素エノラートとしてR2及びR3が互いに異なる1−置換ケイ素エノラートを用いた場合は、高ジアステレオ選択的に反応を行うこともできる。 本発明で使用されるマレイミド化合物は次式(I)で表される構造を有する化合物である。式(I) ここで、式中のR1は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基、複素環基又はベンゾイルアミノ基を示す。 炭素数1〜10の炭化水素基は、直鎖状又は分岐状のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基など)、アルケニル基(例えばエテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基又は2−ペンテニル基など)、アルキニル基(例えば2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基など)、シクロアルキル基(例えばシクロブチル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基など)、シクロアルキルアルキル基(例えばシクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基など)またはフェニル基或いはナフチル基などのアリール基、またはベンジル基或いはフェネチル基等のアラルキル基等を挙げることができる。複素環基としては4−ピリジル基、2−チエニル基、3−フリル基、3−インドリル基等を例示することができる。 この様なマレイミド化合物は、無水マレイン酸とアミン化合物とから当業者が適宜作製することができる他、合成された化合物として市販されているものを利用してもよい。 本発明で使用されるケイ素エノラートは、次式(II)で表される構造を有する化合物である。式(II) ここで、式中のR2及びR3は、それぞれ水素原子、アルコキシ基、トリアルキルシリルオキシ基または置換基を有していても良い炭素数1〜10の炭化水素基又はヘテロ環基を示し、R2及びR3は互いに同じあるいは異なっていてもよく、ただしR2又はR3の一方がアルコキシ基又はトリアルキルシリルオキシ基の場合は他方は水素原子又は炭化水素基であり、R4は炭素数1〜10の炭化水素基、アルコキシ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を示し、R5は炭素数1〜6の炭化水素基を示す。 アルコキシ基は(アルキル)−O−基を意味し、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基等を挙げることができ、トリアルキルシリルオキシ基としてはtert−ブチルジメチルシリルオキシ基等を挙げることができる。 置換基を有していてもよい炭化水素基は、無置換の炭化水素基、あるいはハロゲン、カルボキシル基、水酸基、アルキル基、エステル基、エーテル基、アミノ基、複素環基、シアノ基、ニトロ基等の置換基を1以上有していてもよい炭化水素基を意味する。ここで炭化水素基は前記マレイミド化合物における定義と同一である。 ヘテロ環基とは、N、O又はSより選ばれるヘテロ原子を1以上含む5員から7員の環状置換基であり、例えばピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イソキサゾリル基、オキサゾリル基、イソチアゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、テトラゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ベンゾイソキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ピラゾロピリミジニル基、トリアゾロピリミジニル基、プリニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、ピロリジニル基又はピペリジニル基等を例示することができる。またこれらの環は、ベンゼン環などの他の環と縮環構造を形成していても良い。 アルキルチオ基は、前記のアルキル基が硫黄原子に結合した基を示し、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等を挙げることができ、アリールチオ基はフェニルチオ基などを挙げることができる。 この様なケイ素エノラートは、当業者が適宜作製することができる他、合成された化合物として市販されているものを利用してもよい。 本発明は、上記のマレイミド化合物及びケイ素エノラートを、プロトン酸であるトリフルオロメタンスルホン酸又はトリフルオロメタンスルホンイミドのいずれか、もしくは金属トリフラートを触媒として用いて反応させ、式(III)で示される化合物を製造する方法である。式(III) この構造式から明らかなように、式(II)のケイ素エノラートにおいてR2及びR3を互いに異なる基とすることで、生成物であるコハク酸イミドにはジアステレオ異性体が生じる。 本発明で利用可能なルイス酸としては金属トリフラートの利用が好ましい。 利用可能な金属トリフラートとしては、Hf(OTf)4 、Yb(OTf)3、Sc(OTf)3 、Bi(OTf)3 、Cu(OTf)2 等を挙げることができる。特に希土類金属トリフラート又はハフニウムトリフラートの利用が好ましい。 上記のプロトン酸あるいはルイス酸の存在下でのマレイミド化合物への1,4−付加反応は、反応温度は触媒の種類などにもよるが、−78℃〜室温で反応が進行する。 また、マレイミド化合物とケイ素エノラートとの混合比は、マレイミド化合物1当量に対してケイ素エノラートを1.0〜3.0当量程度を加えればよい。 また触媒であるトリフルオロメタンスルホン酸又はトリフルオロメタンスルホンイミドの混合量は、マレイミド化合物1当量に対してトリフルオロメタンスルホン酸又はトリフルオロメタンスルホンイミドを1〜20モル%の範囲で混合すればよい。 同様にルイス酸、特に金属トリフラートの混合量は、マレイミド化合物1当量に対して金属トリフラートを1〜20モル%の範囲で混合すればよい。 上記の方法によって、マレイミド化合物とケイ素エノラート化合物から、1置換コハク酸イミドを製造することができる。 以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 アルゴン雰囲気下、マレイミド(アルドリッチ、38.8 mg, 0.40 mmol)及びHf(OTf)4(アルドリッチ、15.5 mg, 0.02 mmol)のアセトニトリル(1.0 ml)溶液を−20℃で撹拌しながら、(1−(エチルチオ)ビニルオキシ)トリメチルシラン(105.8 mg, 0.6 mmol)のアセトニトリル(1.0 ml) 溶液を加え、18時間撹拌した。反応液に水を加えて反応を停止し、塩化メチレンで二度抽出した。有機相を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、乾燥剤を濾別した。減圧濃縮した後、分取用シリカゲル薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)にて精製し、目的の1,4-付加体を収率86%で得た(69.2 mg)。S−エチル 2−(2,5−ジオキソピロリジン−3−イル)エタンチオエート:1H NMR(CDCl3)δ1.20(t, 3H,J=7.3 Hz), 2.47(dd, 1H, J=5.5, 18.3 Hz), 2.83-2.97(m, 4H), 3.07-3.16(m, 2H) 13C NMR(CDCl3)δ14.5, 23.5, 35.1, 37.7, 43.1, 176.8, 179.4, 196.9。 また、上記の条件において触媒、反応温度ならびに反応時間をそれぞれ変化させたときの本発明の製造方法の収率を、表1に示す。 実施例1において、触媒をHf(OTf)4とし、式(II)のケイ素エノラートの置換基においてR2及びR3を互いに異なる基としてコハク酸イミドのジアステレオ異性体を製造した結果を表2に示す。 実施例1において、触媒をHf(OTf)4とし、式(II)のケイ素エノラートの置換基においてR2及びR3を互いに同じ基としてコハク酸イミドを製造した結果を表3に示す。式(I)で表されるマレイミド化合物と、式(I) (R1は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基、複素環基又はベンゾイルアミノ基を示す);式(II)で表されるケイ素エノラートを、式(II) (式中のR2及びR3はそれぞれ別異に水素原子、アルコキシ基、トリアルキルシリルオキシ基または置換基を有していても良い炭素数1〜10の炭化水素基又はヘテロ環基を示し、R2又はR3の一方がアルコキシ基又はアルコキシシリル基の場合は他方は水素原子又は炭化水素基であり、R4は炭素数1〜10の炭化水素基、アルコキシ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を示し、R5は炭素数1〜6のそれぞれが同じでも異なっていても良い炭化水素基を示す);トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホンイミド、ビスマストリフラート又はハフニウムトリフラートを触媒として反応させることを含む、式(III)で表される1置換コハク酸イミド化合物の製造方法。式(III) (R1〜R4は前記と同義である)式(II)中のR2とR3のいずれか一方が水素原子で他方が水素原子以外の置換基であるケイ素エノラートを用いて、式(IV)で示される1置換コハク酸イミドの片方のジアスレテオマー及びその対称体を選択的に製造する、請求項1に記載の製造方法。式(IV)


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