生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_天然ゴムラテックス、改質天然ゴムラテックス及びその製造方法、並びに天然ゴム及びゴム組成物
出願番号:2006022940
年次:2007
IPC分類:C08C 1/06,C08L 7/02,C08K 5/47,C12P 19/04


特許情報キャッシュ

近藤 肇 JP 2007204545 公開特許公報(A) 20070816 2006022940 20060131 天然ゴムラテックス、改質天然ゴムラテックス及びその製造方法、並びに天然ゴム及びゴム組成物 株式会社ブリヂストン 000005278 杉村 興作 100072051 藤谷 史朗 100107227 来間 清志 100114292 冨田 和幸 100119530 近藤 肇 C08C 1/06 20060101AFI20070720BHJP C08L 7/02 20060101ALI20070720BHJP C08K 5/47 20060101ALI20070720BHJP C12P 19/04 20060101ALI20070720BHJP JPC08C1/06C08L7/02C08K5/47C12P19/04 Z 10 OL 10 4B064 4J002 4B064AF17 4B064CA21 4B064DA16 4J002AC011 4J002EV326 4J002FD186 4J002GN01 4J002HA07 本発明は、天然ゴムラテックス、該ラテックスを酵素処理して得た改質天然ゴムラテックス及びその製造方法、並びに該改質天然ゴムラテックスから得た天然ゴム及びそれを用いたゴム組成物に関し、特に弱酸性から弱アルカリ性の中性付近のpH領域で長期間放置しても凝固することがない安定性の高い天然ゴムラテックスに関するものである。 一般に、天然ゴムラテックスは、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域(pH=5〜9)で長期間放置すると、凝固してしまう。ここで、弱酸性から弱アルカリ性の天然ゴムラテックスが凝固してしまうのは、天然ゴムラテックス中に含まれる微生物が、天然ゴムラテックス中の非ゴム成分であるタンパク質や脂質を分解したり、二酸化炭素を放出すること等が原因である。そのため、一般に天然ゴムラテックスの凝固を防止するために、多量のアンモニアを天然ゴムラテックスに加え、そのpH値を高めることで、天然ゴムラテックスを安定化することが行われている。 上記のように、天然ゴムラテックスには、タンパク質や脂質等の非ゴム成分が含まれているが、これら非ゴム成分は、天然ゴムの性質に影響を及ぼす。そして、所望の物性を有する天然ゴムを得るために、これら非ゴム成分を酵素処理して除去することがある。特開2004−189773号公報特開2004−189774号公報特許第3732496号公報国際公開第2004/052935号パンフレット 上述のように、一般に天然ゴムラテックスは、その凝固を防止するために多量のアンモニアが添加されているためpHが高いが、高pHでも高い活性を有する酵素は少ない。そのため、非ゴム成分の除去に使用可能な酵素は、種類が限られるのが現状である。 また、高pH領域で天然ゴムラテックスを酵素処理した場合、酵素処理後の天然ゴムラテックスを凝固させて固形ゴムにする工程で、多量の酸が必要となり、製造コストが高くなるという問題もある。 更に、一部凝固した天然ゴムラテックスを用いたり、酵素処理中に天然ゴムラテックスが一部凝固してしまうと、酵素による非ゴム成分の分解効率が低下してしまうという問題もある。 また更に、天然ゴムラテックスの長期放置中における微生物による非ゴム成分の分解や二酸化炭素の放出等を防止するために、ホルマリン、次亜塩素酸ナトリウム、フェノール等の殺菌剤を使用することも考えられるが、これら殺菌剤には、毒性や環境への影響が懸念されるものが多い。 そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域でも凝固することなく、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域において安定して酵素処理することが可能な天然ゴムラテックスを提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる天然ゴムラテックスを用いた改質天然ゴムラテックス及びその製造方法、該改質天然ゴムラテックスを用いた天然ゴム、並びに該天然ゴムを用いたゴム組成物を提供することにある。 本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、天然ゴムラテックスに防腐剤を添加することで、天然ゴムラテックスを弱酸性から弱アルカリ性のpH領域で長期間放置しても凝固することがなくなり、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域で多種多様な酵素を用いて安定に且つ高い分解効率で酵素処理を行うことが可能となり、また、天然ゴムラテックスの凝固に多量の酸を使用する必要がなくなり、更には、天然ゴム製造工場で排出される廃水による環境への影響も十分に小さくできることを見出し、本発明を完成させるに至った。 即ち、本発明の天然ゴムラテックスは、防腐剤が添加されていることを特徴とする。 本発明の天然ゴムラテックスの好適例においては、前記防腐剤が1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンである。 本発明の天然ゴムラテックスの他の好適例においては、前記防腐剤の添加量が天然ゴムラテックス中0.01〜2.0質量%であり、0.02〜1.0質量%であることが特に好ましい。 本発明の天然ゴムラテックスは、pHが6.0〜10.0であることが好ましい。 また、本発明の改質天然ゴムラテックスの製造方法は、上記の天然ゴムラテックスを酵素処理することを特徴とする。 本発明の改質天然ゴムラテックスの製造方法の好適例においては、前記酵素処理に用いる酵素が、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ及びセルラーゼからなる群から選択される少なくとも一種である。 本発明の改質天然ゴムラテックスの製造方法の他の好適例においては、前記酵素の使用量が、前記天然ゴムラテックス中のゴム成分100質量部に対して0.005〜1.0質量部であり、0.01〜0.5質量部であることが特に好ましい。 更に、本発明の改質天然ゴムラテックスは、上記の方法で製造されたことを特徴とし、本発明の天然ゴムは、該改質天然ゴムラテックスを凝固及び乾燥してなることを特徴とし、本発明のゴム組成物は、該天然ゴムを含むことを特徴とする。 本発明によれば、防腐剤が添加されており、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域でも凝固することなく、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域において安定に酵素処理することが可能な天然ゴムラテックスを提供することができる。本発明の天然ゴムラテックスは、環境への影響が小さく、多種多様な酵素を用いて酵素処理することが可能で、また、本発明の天然ゴムラテックスを用いることにより、凝固工程における酸使用量を低減することが可能となる。 以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の天然ゴムラテックスは、防腐剤が添加されていることを特徴とする。ここで、防腐剤とは、製品の保存を目的として微生物の生理的活性を抑制し、生育を阻害するために添加される薬剤であり、微生物を死滅させるために殺菌作用を有する殺菌剤とは異なるものである。 本発明の天然ゴムラテックスにおいては、上記防腐剤が天然ゴムラテックス中の微生物の活動を抑制するため、微生物による天然ゴムラテックス中のタンパク質や脂質等の非ゴム成分の分解や、二酸化炭素の放出が抑制されている。そのため、本発明の天然ゴムラテックスは、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域(pH=5〜9)においても凝固することがなく、高pH域で保管する必要がない。また、本発明の天然ゴムラテックスは、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域で酵素処理することが可能なため、弱酸性から弱アルカリ性の中性付近で活性の高い多種多様な酵素を使用することができる。 更に、本発明の天然ゴムラテックスは、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域で凝固することがないため、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域で酵素処理しても、酵素処理中に凝固することがなく、高い分解効率で非ゴム成分を分解することができる。なお、一部凝固した天然ゴムラテックスを用いたり、天然ゴムラテックスが酵素処理中に凝固してしまうと、酵素による非ゴム成分の分解効率が低下するため、放置中及び酵素処理中の凝固を防止できる利点は大きい。 また更に、本発明の天然ゴムラテックスは、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域においても凝固することがなく、高pH域で保管する必要がないため、固形ゴムとする際に、多量の酸を加える必要がない。そのため、本発明の天然ゴムラテックスを使用することで、安価に固形天然ゴムを製造することが可能となる。 加えて、本発明の天然ゴムラテックスは、ホルマリン、次亜塩素酸ナトリウム、フェノール等の殺菌剤ではなく、防腐剤が添加されているため、毒性がなく、また、天然ゴム製造工場で排出される廃水による環境への影響も十分に小さい。 本発明の天然ゴムラテックスに用いる防腐剤としては、微生物の活動を抑制できる種々の防腐剤を使用することできるが、かかる防腐剤の中でも、微生物の活動を抑制する効果が高く且つ環境に優しい点で、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンが特に好ましい。該1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンは、環境に優しく且つ各種酵素を失活させない防腐剤の主成分である。ここで、防腐剤の添加量は天然ゴムラテックス中0.01〜2.0質量%の範囲が好ましく、0.02〜1.0質量%の範囲が更に好ましい。防腐剤の含有率が天然ゴムラテックス中0.01質量%未満では、微生物の活動を抑制する効果が不十分で、天然ゴムラテックスを十分に安定化できないことがあり、一方、2.0質量%を超えると、酵素処理で使用される酵素の活性を失活させる恐れがある。また、防腐剤の添加量が天然ゴムラテックス中0.02〜1.0質量%の場合、微生物の活動を十分に抑制でき、天然ゴムラテックスの安定化効果が高いことに加え、酵素処理で使用される酵素の失活を確実に防止できる。 本発明の天然ゴムラテックスは、pHが6.0〜10.0であることが好ましい。天然ゴムラテックスのpHが6.0以上であれば、天然ゴムラテックスの凝固を確実に防止でき、一方、pHが10.0以下であれば、固形ゴムを製造する際の酸の使用量を十分に低減することができ、また、pHが6.0〜10.0の範囲であれば、種々の酵素を用いて酵素処理を行うことが可能である。 本発明の改質天然ゴムラテックスの製造方法は、上述した本発明の天然ゴムラテックスを酵素処理することを特徴とし、本発明の改質天然ゴムラテックスは、かかる方法で製造されたことを特徴とする。本発明の改質天然ゴムラテックスの製造方法では、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域でも凝固することがない上述の天然ゴムラテックスを用いるため、高pH領域でのみ高い活性を有する酵素に加えて、弱酸性から弱アルカリ性の中性付近のpH領域で高い活性を有する多種多様な酵素を用いることができる。また、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域で酵素処理しても、処理中に天然ラテックスが凝固しないため、酵素による非ゴム成分の分解効率が低下することがない。 本発明の改質天然ゴムラテックスの製造方法に用いる酵素は、タンパク質、脂質等の目的とする非ゴム成分の種類に応じて適宜選択することができる。該酵素として、具体的には、プロテアーゼ、ペプチターゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、アミラーゼ及びセルラーゼ等が挙げられ、これらの中でも、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ及びセルラーゼが好ましい。これら酵素は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。ここで、上記酵素の使用量は、天然ゴムラテックス中のゴム成分100質量部に対して0.005〜1.0質量部の範囲が好ましく、0.01〜0.5質量部の範囲が更に好ましい。酵素の使用量が天然ゴムラテックス中のゴム成分100質量部に対して0.005質量部未満では、目的とする非ゴム成分を十分に分解できない恐れがあり、一方、1.0質量部を超えても、非ゴム成分の分解効果を更に向上させることができず、コストの面で不利である。また、天然ゴムラテックス中のゴム成分100質量部に対して酵素を0.01〜0.5質量部使用することで、目的とする非ゴム成分を十分に且つ経済的に分解することができる。 本発明の改質天然ゴムラテックスの製造方法では、天然ゴムラテックスに酵素と共に界面活性剤を添加してもよい。該界面活性剤としては、特に制限はなく、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等を使用することができる。これら界面活性剤は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。 本発明の天然ゴムは、上述した改質天然ゴムラテックスを凝固及び乾燥して製造される。ここで、改質天然ゴムラテックスを凝固するのに用いる凝固剤としては、特に限定されるものではないが、ギ酸、硫酸等の酸や、塩化ナトリウム等の塩が挙げられる。また、凝固物の乾燥には、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤー等を用いることができる。 本発明のゴム組成物は、上記のようにして得た天然ゴムを含むことを特徴とする。本発明のゴム組成物には、上記天然ゴム以外に、他の種類のゴム成分、充填剤、老化防止剤、軟化剤、シランカップリング剤、ステアリン酸、亜鉛華、加硫促進剤、加硫剤等を配合することができる。該ゴム組成物は、天然ゴムに、必要に応じて適宜選択した各種成分を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。なお、本発明のゴム組成物は、タイヤを始めとする種々のゴム物品に使用することができる。 以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。<製造例1>(1)天然ゴムラテックスの酵素処理工程 クローン種GT−1の天然ゴムラテックスに水を加え、乾燥ゴム分(DRC)15質量%に調整し、更にアンモニアを加えてpHを8.0に調整した後、防腐剤として1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンを0.2質量%添加し、撹拌して均一に分散させた。得られた防腐剤含有天然ゴムラテックス 1000gに界面活性剤としてレベノールWX[花王(株)製]1.5gを加え、撹拌して十分に分散させた。次に、該混合液にプロテアーゼ[アルカラーゼ 2.5L タイプDX, ノボザイムズ製]0.15gを添加し、撹拌して十分に分散させた。その後、得られた混合液40℃で15時間静置した。15時間後においても、得られた改質天然ゴムラテックスは、全く凝固していなかった。(2)改質天然ゴムラテックスの凝固及び乾燥工程 上記のようにして得た改質天然ゴムラテックスにギ酸を加えて、pHを4.7に調整し、凝固させた。このようにして得られた固形物をクレーパーで5回処理し、シュレッダーを通してクラム化した後、熱風式乾燥機により110℃で210分間乾燥して天然ゴムAを得た。<製造例2> プロテアーゼの代わりにリパーゼ[リパーゼM「アマノ」10, 天野エンザイム(株)製]を用いる以外は、製造例1と同様に酵素処理を行った。酵素処理開始15時間後、得られた酵素処理ラテックスは、全く凝固していなかった。その後、製造例1と同様にして凝固及び乾燥して、天然ゴムBを得た。<製造例3> プロテアーゼの代わりにセルラーゼ[セルラーゼA「アマノ」3, 天野エンザイム(株)製]を用いる以外は、製造例1と同様に酵素処理を行った。酵素処理開始15時間後、得られた酵素処理ラテックスは、全く凝固していなかった。その後、製造例1と同様にして凝固及び乾燥して、天然ゴムCを得た。<製造例4> プロテアーゼの代わりにアミラーゼ[ビオザイムA, 天野エンザイム(株)製]を用いる以外は、製造例1と同様に酵素処理を行った。酵素処理開始15時間後、得られた酵素処理ラテックスは、全く凝固していなかった。その後、製造例1と同様にして凝固及び乾燥して、天然ゴムDを得た。<製造例5> 防腐剤として1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンを添加しない以外は、製造例1と同様に酵素処理を行った。酵素処理開始15時間後、87質量%のラテックスが凝固していた。次に、ギ酸を加えて凝固していない部分のラテックスのpHを4.7に調整し、完全に凝固させた。その後、製造例1と同様にして凝固及び乾燥して、天然ゴムEを得た。<製造例6> 防腐剤として1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンを添加しない以外は、製造例2と同様に酵素処理を行った。酵素処理開始15時間後、83質量%のラテックスが凝固していた。次に、ギ酸を加えて凝固していない部分のラテックスのpHを4.7に調整し、完全に凝固させた。その後、製造例1と同様にして凝固及び乾燥して、天然ゴムFを得た。<製造例7> 防腐剤として1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンを添加しない以外は、製造例3と同様に酵素処理を行った。酵素処理開始15時間後、68質量%のラテックスが凝固していた。次に、ギ酸を加えて凝固していない部分のラテックスのpHを4.7に調整し、完全に凝固させた。その後、製造例1と同様にして凝固及び乾燥して、天然ゴムGを得た。<製造例8> 防腐剤として1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンを添加しない以外は、製造例4と同様に酵素処理を行った。酵素処理開始15時間後、71質量%のラテックスが凝固していた。次に、ギ酸を加えて凝固していない部分のラテックスのpHを4.7に調整し、完全に凝固させた。その後、製造例1と同様にして凝固及び乾燥して、天然ゴムHを得た。 上記のようにして得た天然ゴムA及び天然ゴムEに対して、下記の方法で窒素含有量を測定した。結果を表1に示す。(1)窒素含有量 各天然ゴムを精秤し、ケルダール法によって総窒素含有量を測定し、固形成分に対する割合(質量%)として求めた。窒素含有量が低い程、プロテアーゼによるタンパク質の分解効果が高いことを示す。 上記のようにして得た天然ゴムB及び天然ゴムFに対して、下記の方法で重量平均分子量を測定した。結果を表2に示す。(2)重量平均分子量 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8020、カラム:東ソー製GMH−XL、検出器:示差屈折率計(RI)]を用いて、東ソー製の標準ポリスチレンを基準として、各天然ゴムのポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。重量平均分子量が低い程、リパーゼによる脂質の分解効果が高いことを示す。 上記のようにして得た天然ゴムC,D,G,Hを用い、プラストミルで混練して表3に示す配合処方のゴム組成物を調製した。また、天然ゴムCを用いたゴム組成物及び天然ゴムGを用いたゴム組成物に対して下記の方法で耐摩耗性を評価し、天然ゴムDを用いたゴム組成物及び天然ゴムHを用いたゴム組成物に対して下記の方法で損失正接(tanδ)を測定した。結果を表4〜表5に示す。(3)耐摩耗性 上記ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得た加硫ゴムに対し、ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率60%での摩耗量を測定し、比較例3の摩耗量を100として指数表示した。指数値が高い程、セルラーゼによる非ゴム成分の分解効果が高いことを示す。(4)損失正接(tanδ) 上記ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得た加硫ゴムに対し、粘弾性測定装置[レオメトリックス社製]を用い、温度50℃、歪み5%、周波数15Hzで損失正接(tanδ)を測定した。tanδが低い程、アミラーゼによる非ゴム成分の分解効果が高いことを示す。*1 使用した天然ゴムの種類を表4〜表5中に示す.*2 N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン.*3 N,N'-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド. 表1、表2、表4及び表5から、防腐剤を添加した天然ゴムラテックスの方が、防腐剤を添加していない天然ゴムラテックスよりも、種々の酵素による分解効率が高いことが分る。 防腐剤が添加されていることを特徴とする天然ゴムラテックス。 前記防腐剤が1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンであることを特徴とする請求項1に記載の天然ゴムラテックス。 前記防腐剤の添加量が天然ゴムラテックス中0.01〜2.0質量%であることを特徴とする請求項1に記載の天然ゴムラテックス。 pHが6.0〜10.0であることを特徴とする請求項1に記載の天然ゴムラテックス。 請求項1〜4のいずれかに記載の天然ゴムラテックスを酵素処理することを特徴とする改質天然ゴムラテックスの製造方法。 前記酵素処理に用いる酵素が、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ及びセルラーゼからなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項5に記載の改質天然ゴムラテックスの製造方法。 前記酵素の使用量が、前記天然ゴムラテックス中のゴム成分100質量部に対して0.005〜1.0質量部であることを特徴とする請求項5に記載の改質天然ゴムラテックスの製造方法。 請求項5〜7のいずれかに記載の方法で製造された改質天然ゴムラテックス。 請求項8に記載の改質天然ゴムラテックスを凝固及び乾燥してなる天然ゴム。 請求項9に記載の天然ゴムを含むことを特徴とするゴム組成物。 【課題】弱酸性から弱アルカリ性のpH領域でも凝固することなく、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域において安定して酵素処理することが可能な天然ゴムラテックス、並びに該天然ゴムラテックスを用いた改質天然ゴムラテックスの製造方法を提供する。【解決手段】防腐剤が添加されていることを特徴とする天然ゴムラテックス、並びに該天然ゴムラテックスを酵素処理することを特徴とする改質天然ゴムラテックスの製造方法である。上記防腐剤としては、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンが好ましい。また、上記酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ及びセルラーゼが好ましい。【選択図】なし


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特許公報(B2)_改質天然ゴムラテックス及びその製造方法、並びに天然ゴム及びゴム組成物

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_改質天然ゴムラテックス及びその製造方法、並びに天然ゴム及びゴム組成物
出願番号:2006022940
年次:2013
IPC分類:C08C 1/06,C08L 7/02,C08K 5/47,C12P 19/04


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近藤 肇 JP 5364231 特許公報(B2) 20130913 2006022940 20060131 改質天然ゴムラテックス及びその製造方法、並びに天然ゴム及びゴム組成物 株式会社ブリヂストン 000005278 杉村 憲司 100147485 杉村 興作 100072051 藤谷 史朗 100107227 来間 清志 100114292 冨田 和幸 100119530 近藤 肇 20131211 C08C 1/06 20060101AFI20131121BHJP C08L 7/02 20060101ALI20131121BHJP C08K 5/47 20060101ALI20131121BHJP C12P 19/04 20060101ALI20131121BHJP JPC08C1/06C08L7/02C08K5/47C12P19/04 Z C08C 1/00−19/44 C08L 7/00−21/02 特表2004−510862(JP,A) 特開平10−060318(JP,A) 特開昭62−039503(JP,A) 特開2004−189774(JP,A) 特開2006−016622(JP,A) 特開2006−056930(JP,A) 5 2007204545 20070816 10 20081224 赤澤 高之 本発明は、天然ゴムラテックスを酵素処理して得た改質天然ゴムラテックス及びその製造方法、並びに該改質天然ゴムラテックスから得た天然ゴム及びそれを用いたゴム組成物に関するものである。 一般に、天然ゴムラテックスは、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域(pH=5〜9)で長期間放置すると、凝固してしまう。ここで、弱酸性から弱アルカリ性の天然ゴムラテックスが凝固してしまうのは、天然ゴムラテックス中に含まれる微生物が、天然ゴムラテックス中の非ゴム成分であるタンパク質や脂質を分解したり、二酸化炭素を放出すること等が原因である。そのため、一般に天然ゴムラテックスの凝固を防止するために、多量のアンモニアを天然ゴムラテックスに加え、そのpH値を高めることで、天然ゴムラテックスを安定化することが行われている。 上記のように、天然ゴムラテックスには、タンパク質や脂質等の非ゴム成分が含まれているが、これら非ゴム成分は、天然ゴムの性質に影響を及ぼす。そして、所望の物性を有する天然ゴムを得るために、これら非ゴム成分を酵素処理して除去することがある。特開2004−189773号公報特開2004−189774号公報特許第3732496号公報国際公開第2004/052935号パンフレット 上述のように、一般に天然ゴムラテックスは、その凝固を防止するために多量のアンモニアが添加されているためpHが高いが、高pHでも高い活性を有する酵素は少ない。そのため、非ゴム成分の除去に使用可能な酵素は、種類が限られるのが現状である。 また、高pH領域で天然ゴムラテックスを酵素処理した場合、酵素処理後の天然ゴムラテックスを凝固させて固形ゴムにする工程で、多量の酸が必要となり、製造コストが高くなるという問題もある。 更に、一部凝固した天然ゴムラテックスを用いたり、酵素処理中に天然ゴムラテックスが一部凝固してしまうと、酵素による非ゴム成分の分解効率が低下してしまうという問題もある。 また更に、天然ゴムラテックスの長期放置中における微生物による非ゴム成分の分解や二酸化炭素の放出等を防止するために、ホルマリン、次亜塩素酸ナトリウム、フェノール等の殺菌剤を使用することも考えられるが、これら殺菌剤には、毒性や環境への影響が懸念されるものが多い。 そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域でも凝固することなく、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域において安定して酵素処理することが可能な天然ゴムラテックスを用いた改質天然ゴムラテックス及びその製造方法、該改質天然ゴムラテックスを用いた天然ゴム、並びに該天然ゴムを用いたゴム組成物を提供することにある。 本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、天然ゴムラテックスに防腐剤を添加することで、天然ゴムラテックスを弱酸性から弱アルカリ性のpH領域で長期間放置しても凝固することがなくなり、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域で多種多様な酵素を用いて安定に且つ高い分解効率で酵素処理を行うことが可能となり、また、天然ゴムラテックスの凝固に多量の酸を使用する必要がなくなり、更には、天然ゴム製造工場で排出される廃水による環境への影響も十分に小さくできることを見出し、本発明を完成させるに至った。 即ち、本発明の改質天然ゴムラテックスの製造方法は、防腐剤が添加されており、pHが6.0〜10.0である天然ゴムラテックスを酵素処理する改質天然ゴムラテックスの製造方法であって、 前記防腐剤が1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンであり、前記防腐剤の添加量が天然ゴムラテックス中0.01〜2.0質量%であり、前記酵素処理における酵素の使用量が、前記天然ゴムラテックス中のゴム成分100質量部に対して0.005〜1.0質量部であることを特徴とする。 本発明の改質天然ゴムラテックスの製造方法においては、前記防腐剤の添加量が天然ゴムラテックス中0.02〜1.0質量%であることが特に好ましい。 本発明の改質天然ゴムラテックスの製造方法の好適例においては、前記酵素処理に用いる酵素が、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ及びセルラーゼからなる群から選択される少なくとも一種である。 本発明の改質天然ゴムラテックスの製造方法においては、前記酵素の使用量が、前記天然ゴムラテックス中のゴム成分100質量部に対して0.01〜0.5質量部であることが特に好ましい。 更に、本発明の改質天然ゴムラテックスは、上記の方法で製造されたことを特徴とし、本発明の天然ゴムは、該改質天然ゴムラテックスを凝固及び乾燥してなることを特徴とし、本発明のゴム組成物は、該天然ゴムを含むことを特徴とする。 本発明によれば、防腐剤が添加されており、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域でも凝固することなく、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域において安定に酵素処理することが可能な天然ゴムラテックスを提供することができる。本発明の天然ゴムラテックスは、環境への影響が小さく、多種多様な酵素を用いて酵素処理することが可能で、また、本発明の天然ゴムラテックスを用いることにより、凝固工程における酸使用量を低減することが可能となる。 以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の天然ゴムラテックスは、防腐剤が添加されていることを特徴とする。ここで、防腐剤とは、製品の保存を目的として微生物の生理的活性を抑制し、生育を阻害するために添加される薬剤であり、微生物を死滅させるために殺菌作用を有する殺菌剤とは異なるものである。 本発明の天然ゴムラテックスにおいては、上記防腐剤が天然ゴムラテックス中の微生物の活動を抑制するため、微生物による天然ゴムラテックス中のタンパク質や脂質等の非ゴム成分の分解や、二酸化炭素の放出が抑制されている。そのため、本発明の天然ゴムラテックスは、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域(pH=5〜9)においても凝固することがなく、高pH域で保管する必要がない。また、本発明の天然ゴムラテックスは、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域で酵素処理することが可能なため、弱酸性から弱アルカリ性の中性付近で活性の高い多種多様な酵素を使用することができる。 更に、本発明の天然ゴムラテックスは、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域で凝固することがないため、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域で酵素処理しても、酵素処理中に凝固することがなく、高い分解効率で非ゴム成分を分解することができる。なお、一部凝固した天然ゴムラテックスを用いたり、天然ゴムラテックスが酵素処理中に凝固してしまうと、酵素による非ゴム成分の分解効率が低下するため、放置中及び酵素処理中の凝固を防止できる利点は大きい。 また更に、本発明の天然ゴムラテックスは、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域においても凝固することがなく、高pH域で保管する必要がないため、固形ゴムとする際に、多量の酸を加える必要がない。そのため、本発明の天然ゴムラテックスを使用することで、安価に固形天然ゴムを製造することが可能となる。 加えて、本発明の天然ゴムラテックスは、ホルマリン、次亜塩素酸ナトリウム、フェノール等の殺菌剤ではなく、防腐剤が添加されているため、毒性がなく、また、天然ゴム製造工場で排出される廃水による環境への影響も十分に小さい。 本発明の天然ゴムラテックスに用いる防腐剤としては、微生物の活動を抑制できる防腐剤の中でも、微生物の活動を抑制する効果が高く且つ環境に優しい点で、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンを使用する。該1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンは、環境に優しく且つ各種酵素を失活させない防腐剤の主成分である。ここで、防腐剤の添加量は天然ゴムラテックス中0.01〜2.0質量%の範囲であり、0.02〜1.0質量%の範囲が好ましい。防腐剤の含有率が天然ゴムラテックス中0.01質量%未満では、微生物の活動を抑制する効果が不十分で、天然ゴムラテックスを十分に安定化できないことがあり、一方、2.0質量%を超えると、酵素処理で使用される酵素の活性を失活させる恐れがある。また、防腐剤の添加量が天然ゴムラテックス中0.02〜1.0質量%の場合、微生物の活動を十分に抑制でき、天然ゴムラテックスの安定化効果が高いことに加え、酵素処理で使用される酵素の失活を確実に防止できる。 本発明の天然ゴムラテックスは、pHが6.0〜10.0である。天然ゴムラテックスのpHが6.0以上であれば、天然ゴムラテックスの凝固を確実に防止でき、一方、pHが10.0以下であれば、固形ゴムを製造する際の酸の使用量を十分に低減することができ、また、pHが6.0〜10.0の範囲であれば、種々の酵素を用いて酵素処理を行うことが可能である。 本発明の改質天然ゴムラテックスの製造方法は、上述した本発明の天然ゴムラテックスを酵素処理することを特徴とし、本発明の改質天然ゴムラテックスは、かかる方法で製造されたことを特徴とする。本発明の改質天然ゴムラテックスの製造方法では、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域でも凝固することがない上述の天然ゴムラテックスを用いるため、高pH領域でのみ高い活性を有する酵素に加えて、弱酸性から弱アルカリ性の中性付近のpH領域で高い活性を有する多種多様な酵素を用いることができる。また、弱酸性から弱アルカリ性のpH領域で酵素処理しても、処理中に天然ラテックスが凝固しないため、酵素による非ゴム成分の分解効率が低下することがない。 本発明の改質天然ゴムラテックスの製造方法に用いる酵素は、タンパク質、脂質等の目的とする非ゴム成分の種類に応じて適宜選択することができる。該酵素として、具体的には、プロテアーゼ、ペプチターゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、アミラーゼ及びセルラーゼ等が挙げられ、これらの中でも、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ及びセルラーゼが好ましい。これら酵素は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。ここで、上記酵素の使用量は、天然ゴムラテックス中のゴム成分100質量部に対して0.005〜1.0質量部の範囲であり、0.01〜0.5質量部の範囲が好ましい。酵素の使用量が天然ゴムラテックス中のゴム成分100質量部に対して0.005質量部未満では、目的とする非ゴム成分を十分に分解できない恐れがあり、一方、1.0質量部を超えても、非ゴム成分の分解効果を更に向上させることができず、コストの面で不利である。また、天然ゴムラテックス中のゴム成分100質量部に対して酵素を0.01〜0.5質量部使用することで、目的とする非ゴム成分を十分に且つ経済的に分解することができる。 本発明の改質天然ゴムラテックスの製造方法では、天然ゴムラテックスに酵素と共に界面活性剤を添加してもよい。該界面活性剤としては、特に制限はなく、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等を使用することができる。これら界面活性剤は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。 本発明の天然ゴムは、上述した改質天然ゴムラテックスを凝固及び乾燥して製造される。ここで、改質天然ゴムラテックスを凝固するのに用いる凝固剤としては、特に限定されるものではないが、ギ酸、硫酸等の酸や、塩化ナトリウム等の塩が挙げられる。また、凝固物の乾燥には、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤー等を用いることができる。 本発明のゴム組成物は、上記のようにして得た天然ゴムを含むことを特徴とする。本発明のゴム組成物には、上記天然ゴム以外に、他の種類のゴム成分、充填剤、老化防止剤、軟化剤、シランカップリング剤、ステアリン酸、亜鉛華、加硫促進剤、加硫剤等を配合することができる。該ゴム組成物は、天然ゴムに、必要に応じて適宜選択した各種成分を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。なお、本発明のゴム組成物は、タイヤを始めとする種々のゴム物品に使用することができる。 以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。<製造例1>(1)天然ゴムラテックスの酵素処理工程 クローン種GT−1の天然ゴムラテックスに水を加え、乾燥ゴム分(DRC)15質量%に調整し、更にアンモニアを加えてpHを8.0に調整した後、防腐剤として1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンを0.2質量%添加し、撹拌して均一に分散させた。得られた防腐剤含有天然ゴムラテックス 1000 gに界面活性剤としてレベノールWX[花王(株)製]1.5 gを加え、撹拌して十分に分散させた。次に、該混合液にプロテアーゼ[アルカラーゼ 2.5L タイプDX, ノボザイムズ製]0.15 gを添加し、撹拌して十分に分散させた。その後、得られた混合液を40℃で15時間静置した。15時間後においても、得られた改質天然ゴムラテックスは、全く凝固していなかった。(2)改質天然ゴムラテックスの凝固及び乾燥工程 上記のようにして得た改質天然ゴムラテックスにギ酸を加えて、pHを4.7に調整し、凝固させた。このようにして得られた固形物をクレーパーで5回処理し、シュレッダーを通してクラム化した後、熱風式乾燥機により110℃で210分間乾燥して天然ゴムAを得た。<製造例2> プロテアーゼの代わりにリパーゼ[リパーゼM「アマノ」10, 天野エンザイム(株)製]を用いる以外は、製造例1と同様に酵素処理を行った。酵素処理開始15時間後、得られた酵素処理ラテックスは、全く凝固していなかった。その後、製造例1と同様にして凝固及び乾燥して、天然ゴムBを得た。<製造例3> プロテアーゼの代わりにセルラーゼ[セルラーゼA「アマノ」3, 天野エンザイム(株)製]を用いる以外は、製造例1と同様に酵素処理を行った。酵素処理開始15時間後、得られた酵素処理ラテックスは、全く凝固していなかった。その後、製造例1と同様にして凝固及び乾燥して、天然ゴムCを得た。<製造例4> プロテアーゼの代わりにアミラーゼ[ビオザイムA, 天野エンザイム(株)製]を用いる以外は、製造例1と同様に酵素処理を行った。酵素処理開始15時間後、得られた酵素処理ラテックスは、全く凝固していなかった。その後、製造例1と同様にして凝固及び乾燥して、天然ゴムDを得た。<製造例5> 防腐剤として1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンを添加しない以外は、製造例1と同様に酵素処理を行った。酵素処理開始15時間後、87質量%のラテックスが凝固していた。次に、ギ酸を加えて凝固していない部分のラテックスのpHを4.7に調整し、完全に凝固させた。その後、製造例1と同様にして凝固及び乾燥して、天然ゴムEを得た。<製造例6> 防腐剤として1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンを添加しない以外は、製造例2と同様に酵素処理を行った。酵素処理開始15時間後、83質量%のラテックスが凝固していた。次に、ギ酸を加えて凝固していない部分のラテックスのpHを4.7に調整し、完全に凝固させた。その後、製造例1と同様にして凝固及び乾燥して、天然ゴムFを得た。<製造例7> 防腐剤として1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンを添加しない以外は、製造例3と同様に酵素処理を行った。酵素処理開始15時間後、68質量%のラテックスが凝固していた。次に、ギ酸を加えて凝固していない部分のラテックスのpHを4.7に調整し、完全に凝固させた。その後、製造例1と同様にして凝固及び乾燥して、天然ゴムGを得た。<製造例8> 防腐剤として1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンを添加しない以外は、製造例4と同様に酵素処理を行った。酵素処理開始15時間後、71質量%のラテックスが凝固していた。次に、ギ酸を加えて凝固していない部分のラテックスのpHを4.7に調整し、完全に凝固させた。その後、製造例1と同様にして凝固及び乾燥して、天然ゴムHを得た。 上記のようにして得た天然ゴムA及び天然ゴムEに対して、下記の方法で窒素含有量を測定した。結果を表1に示す。(1)窒素含有量 各天然ゴムを精秤し、ケルダール法によって総窒素含有量を測定し、固形成分に対する割合(質量%)として求めた。窒素含有量が低い程、プロテアーゼによるタンパク質の分解効果が高いことを示す。 上記のようにして得た天然ゴムB及び天然ゴムFに対して、下記の方法で重量平均分子量を測定した。結果を表2に示す。(2)重量平均分子量 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8020、カラム:東ソー製GMH−XL、検出器:示差屈折率計(RI)]を用いて、東ソー製の標準ポリスチレンを基準として、各天然ゴムのポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。重量平均分子量が低い程、リパーゼによる脂質の分解効果が高いことを示す。 上記のようにして得た天然ゴムC,D,G,Hを用い、プラストミルで混練して表3に示す配合処方のゴム組成物を調製した。また、天然ゴムCを用いたゴム組成物及び天然ゴムGを用いたゴム組成物に対して下記の方法で耐摩耗性を評価し、天然ゴムDを用いたゴム組成物及び天然ゴムHを用いたゴム組成物に対して下記の方法で損失正接(tanδ)を測定した。結果を表4〜表5に示す。(3)耐摩耗性 上記ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得た加硫ゴムに対し、ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率60%での摩耗量を測定し、比較例3の摩耗量を100として指数表示した。指数値が高い程、セルラーゼによる非ゴム成分の分解効果が高いことを示す。(4)損失正接(tanδ) 上記ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得た加硫ゴムに対し、粘弾性測定装置[レオメトリックス社製]を用い、温度50℃、歪み5%、周波数15Hzで損失正接(tanδ)を測定した。tanδが低い程、アミラーゼによる非ゴム成分の分解効果が高いことを示す。*1 使用した天然ゴムの種類を表4〜表5中に示す.*2 N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン.*3 N,N'-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド. 表1、表2、表4及び表5から、防腐剤を添加した天然ゴムラテックスの方が、防腐剤を添加していない天然ゴムラテックスよりも、種々の酵素による分解効率が高いことが分る。 防腐剤が添加されており、pHが6.0〜10.0である天然ゴムラテックスを酵素処理する改質天然ゴムラテックスの製造方法であって、 前記防腐剤が1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンであり、 前記防腐剤の添加量が天然ゴムラテックス中0.01〜2.0質量%であり、 前記酵素処理における酵素の使用量が、前記天然ゴムラテックス中のゴム成分100質量部に対して0.005〜1.0質量部である ことを特徴とする改質天然ゴムラテックスの製造方法。 前記酵素処理に用いる酵素が、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ及びセルラーゼからなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の改質天然ゴムラテックスの製造方法。 請求項1又は2に記載の方法で製造された改質天然ゴムラテックス。 請求項3に記載の改質天然ゴムラテックスを凝固及び乾燥してなる天然ゴム。 請求項4に記載の天然ゴムを含むことを特徴とするゴム組成物。


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