タイトル: | 公開特許公報(A)_コエンザイムQ10配合組成物の製造方法 |
出願番号: | 2006002823 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | A23L 1/30,A23K 1/165,A61K 31/122,A61K 47/36,A61P 3/02 |
峯村 剛 JP 2007181441 公開特許公報(A) 20070719 2006002823 20060110 コエンザイムQ10配合組成物の製造方法 日清ファルマ株式会社 301049744 羽鳥 修 100076532 峯村 剛 A23L 1/30 20060101AFI20070622BHJP A23K 1/165 20060101ALI20070622BHJP A61K 31/122 20060101ALI20070622BHJP A61K 47/36 20060101ALI20070622BHJP A61P 3/02 20060101ALI20070622BHJP JPA23L1/30 ZA23K1/165 ZA61K31/122A61K47/36A61P3/02 101 4 OL 8 2B150 4B018 4C076 4C206 2B150DF09 4B018MD07 4B018MD34 4B018MD37 4C076AA37 4C076CC22 4C076DD37 4C076EE30B 4C076EE38E 4C076FF06 4C076GG12 4C076GG14 4C206AA01 4C206AA02 4C206CB27 4C206MA03 4C206MA05 4C206MA72 4C206NA11 4C206ZC22 本発明は、栄養素としてコエンザイムQ10が存在している固形栄養食品などのコエンザイムQ10配合組成物を製造する方法に関する。 コエンザイムQ10は、一般名をユビデカレノン(分子式C59H90O4 、分子量863.36)といい、水に殆ど溶けないが、エーテルなどには高い溶解性を示す化合物である。また、コエンザイムQ10は、光によって分解し、ヒドロキノン体やユビクロメノールなどが生成する。 コエンザイムQ10は、心筋の代謝障害を改善する薬物として知られ、医薬品に多く用いられている。例えば、代謝性強心薬として、軽度及び中程度のうっ血性心不全などの疾患の症状改善に適用されている。また、コエンザイムQ10は、老化防止、筋肉疲労の回復に対する有効性も報告されており、健康食品素材、栄養食品素材としても注目されている。 コエンザイムQ10は、高齢になると欠乏しやすくなり、補給が必要となる。コエンザイムQ10の摂取を目的として、種々のコエンザイムQ10含有固形製剤が知られている(例えば、特許文献1〜4を参照)。これらのコエンザイムQ10含有固形製剤には、賦形剤、充填剤、崩壊剤、増量剤などとして、コーンスターチ、澱粉などが配合されている。 しかし、コエンザイムQ10は、融点が低いため、製剤化が極めて困難である。例えば、コエンザイムQ10を高含量配合した場合、打錠時やハードカプセル製造時にスティッキングなどの製造装置への付着が起こり、コエンザイムQ10の製剤化がスムーズにできないなどの問題がある。また、錠剤にした場合、表面に黄色い斑点(打錠障害)が発生し、商品価値が低下するとの問題がある。 更に、コエンザイムQ10を高含量配合した錠剤などは、コエンザイムQ10が脂溶性のため、崩壊性がスムーズでなく、生体内への吸収も低下するなどの課題がある。特公昭57−13526号公報特開昭55−147219号公報特開平2−188523号公報特公平3−35286号公報 本発明の目的は、コエンザイムQ10を高含量配合しても、打錠障害やスティッキングなどの問題が生じることなく、品質の良いコエンザイムQ10配合組成物を製造することができ、更に錠剤などの含有組成物の崩壊性が良く、吸収性の良いコエンザイムQ10配合組成物の製造方法を提供することにある。 本発明者らは、種々検討した結果、原料を一度に混合せずに、予めコエンザイムQ10を澱粉と混合し、更に、部分アルファー化澱粉および/またはアラビアガムを配合することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成させるに至った。 すなわち、本発明は、コエンザイムQ10を澱粉と予め混合した後、部分アルファー化澱粉および/またはアラビアガム、並びにその他の原料と混合することを特徴とするコエンザイムQ10配合組成物の製造方法を提供するものである。 本発明によれば、コエンザイムQ10を高含量配合しても、打錠障害やスティッキングなどの問題が生じることなく、品質の良いコエンザイムQ10配合組成物を製造することができ、得られた組成物はコエンザイムQ10の吸収性が高められている。 以下、本発明のコエンザイムQ10配合組成物の製造方法について詳細に説明する。 本発明において、コエンザイムQ10としては、コエンザイムQ10をそのまま使用してもよく、コエンザイムQ10水溶化処理物を使用してもよい。そのような水溶化処理物としては、例えば特許第3549197号公報に記載される水溶化粉末が挙げられる。この水溶化粉末は、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの有機酸の存在下、アラビアガム、寒天、水溶性コーンファイバー、澱粉、ゼラチン、キサンタンガム、カゼイン、デキストリン、カルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドンからなる群から選択される1つ以上の水溶性物質に分散・乳化し、次いで固形化して得られるものである。この水溶化処理物は、コエンザイムQ10水溶化粉末(日清ファルマ製、「 アクアQ10P5」 )として市販されている。この他には、コエンザイムQ10をグリセリンや糖アルコールなどの多価アルコール、アラビアガム、水溶性コーンファイバー、加工澱粉を含む澱粉類、ゼラチン、キサンタンガム、カゼインなどの水溶性物質を含有する水性液体中で分散・乳化し、次いでこれを固形化して得られるコエンザイムQ10含有組成物などが挙げられる。 また、澱粉としては、食品に使用されるものであれば制限されるものではなく、コーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、馬鈴薯澱粉などが挙げられ、これらの中から1種以上が用いられ、特にコーンスターチを用いるのが好ましい。 本発明で用いる部分アルファー化澱粉としては、コーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉などの澱粉を加熱処理して部分アルファー化した何れの部分アルファー化澱粉でもよいが、特にコーンスターチ由来の部分アルファー化澱粉が好ましい。このような部分アルファー化澱粉としては、市販品を用いることもでき、例えば、旭化成ケミカルズ(株)製のPCS FC−50(商品名:コーンスターチを加熱処理して、部分アルファー化したもの)などがある。 また、本発明で用いられるアラビアガムは、アカシア属の幹及び枝から滲出するガム状物質である。ガム状物質として、カラヤゴム、トラガカントゴム、キャロブゴムなどを用いることも可能であるが、アラビヤガムが最も適したものである。 本発明を実施するには、まず、コエンザイムQ10を澱粉と予め混合(予備混合)しておく。 コエンザイムQ10と澱粉との混合割合は、コエンザイムQ10100質量部に対し、澱粉を好ましくは30〜1800質量部、より好ましくは50〜1000質量部である。澱粉の割合が少なすぎると、スティッキングなどが生じやすく、澱粉の割合が多すぎると、ラミネーションや、キャッピングなどの打錠障害が生じやすい。 コエンザイムQ10と澱粉との混合方法は、両者が均一に混合し得る方法であれば特に制限されるものではなく、粉体の混合に用いられる通常の混合装置を用いて行えばよい。混合時間は、混合装置にもよるが、通常1〜20分間程度、好ましくは3〜10分間程度である。 次に、コエンザイムQ10と澱粉との混合物に、上記の部分アルファー化澱粉および/またはアラビアガム、並びにその他の原料を混合し、これを製剤化して本発明に係るコエンザイムQ10配合組成物を得る。 部分アルファー化澱粉および/またはアラビアガムを混合することにより、吸収性の良いコエンザイムQ10配合組成物を製造することができる。部分アルファー化澱粉および/またはアラビアガムをコエンザイムQ10と澱粉との混合物に混合するに際しては、その他の原料とともに混合しても構わない。 部分アルファー化澱粉および/またはアラビアガム、並びにその他の原料を混合する際の混合方法は、特に制限されるものではなく、従来のコエンザイムQ10含有固形製剤の製造における原料の混合と同様に行うことができ、また製剤化も常法に従って行うことができる。 部分アルファー化澱粉および/またはアラビアガムの配合割合は、コエンザイムQ10配合組成物100質量部中、0. 1〜100質量部が好ましく、更に好ましくは1〜60質量部である。 本発明においては、上記いずれかの工程において寒天を配合すると、本発明のコエンザイムQ10配合組成物を用いて製造した錠剤などの崩壊性が一層よくなり、吸収性が更に良いコエンザイムQ10配合組成物を製造することができる。 上記寒天とは、テングサ属の海藻を日光で漂白した後、温水で抽出、ろ過、濃縮、乾燥した物質である。紅藻海藻などを原料とし、主成分はゲロースで、無味、無臭の粉末状で、冷水、アルコールには不溶で、温水には徐々に溶けて液体となる。寒天は、増粘剤、崩壊剤など、添加剤として食品に用いられている。 上記寒天として、タブレットの崩壊性を良くするための崩壊用寒天を用いてもなんら問題はない。 寒天の配合割合は、コエンザイムQ10配合組成物100質量部中、1〜50質量部、特に3〜20質量部であることが好ましい。 本発明に係るコエンザイムQ10配合組成物は、錠剤、チュアブル錠、発泡錠、カプセル剤、顆粒剤、粉末剤などの固形剤の形態で提供することができ、そのまま固形食品又は固形栄養食品として或いは医薬品又は医薬部外品として摂取することができる。また、摂取時に水又は湯に溶解乃至分散させて摂取することができる他、食品、医薬品又は医薬部外品に添加して摂取することもできる。また、カプセルは、ゼラチン、澱粉、カラギナン、プルランなどの動植物由来の原料で製造したカプセルを用いることもできる。また、錠剤及び顆粒剤は、周知の方法でコーティングしてもよい。 本発明に係るコエンザイムQ10配合組成物のコエンザイムQ10含量は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤又は粉末剤の場合、一般的には、0.01〜80質量%の範囲であり、好ましくは0.5〜30質量%程度である。なお、コエンザイムQ10の1日当たりの摂取量は、年齢、体重、健康状態などにより異なるが、通常、成人は5〜600mg、好ましくは10〜300mgである。 コエンザイムQ10と澱粉との混合物に混合される「その他の原料」は、目的とするコエンザイムQ10配合組成物の種類や形態などによって適宜選択されるものであり、例えば、タンパク質、糖質、食物繊維、ビタミン類、ミネラル類、有機酸などの酸味料、乳化剤、安定剤、フレーバーの他、固形剤に慣用される賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、アルコール、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤などを剤型に応じて適宜用いることができる。また、乳化剤は、天然高分子やグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、レシチン、ショ糖脂肪酸エステルなど用いても構わない。 上記タンパク質としては、例えば、カゼイン又はカゼインナトリウム、カゼインカルシウムなどのカゼイン塩、鶏卵タンパク質、乳タンパク質、肉タンパク質などの動物性タンパク質、大豆タンパク質などの植物性タンパク質、大豆ペプチドなどのペプチド、ゼラチンなどが挙げられる。また、これらのタンパク質の分解物やアミノ酸を使用してもよい。これらのタンパク質は1種のみを用いてもよく、2種以上併用してもよい。 上記糖質としては、例えば、マルトデキストリン、デキストリン、粉飴、ブドウ糖、果糖などの単糖類、マルトース、乳糖などの二糖類、グラニュー糖、オリゴ糖などが挙げられる。これらの糖質は1種のみを用いてもよく、2種以上併用してもよい。 上記食物繊維としては、例えば、セルロース、リグニン、レジスタントスターチ、ポリデキストロース、オリゴ糖、グアガム酵素分解物などの難消化性の多糖類などが挙げられる。これらの食物繊維は1種のみを用いてもよく、2種以上併用してもよい。また、天然高分子化合物なども用いても良い。 上記ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB12、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンK、カロチン、ビタミンE、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、イノシトール、ビオチンなどの脂溶性又は水溶性のビタミン類が挙げられる。これらのビタミン類は1種のみを用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらのビタミン類の配合量は、例えば、第6次改定日本人の栄養所要量(第1出版社発行)に記載の80歳の男子生活活軌強度Iに記載の摂取量(目標摂取量)に従って決定することができる。 上記ミネラル類としては、例えば、カルシウム、鉄、ナトリウム、カリウム、リン、マグネシウム、亜鉛、ヨウ素、セレン、クロムなどまたはこれらの塩が挙げられる。これらのミネラル類は1種のみを用いてもよく、2種以上併用してもよい。 上記有機酸としては、クエン酸、コハク酸、フマル酸、乳酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸などが挙げられ、1種又は2種以上の有機酸を、本発明に係るコエンザイムQ10配合組成物中に好ましくは0.001〜30質量%、より好ましくは0.1〜20質量%配合するとよい。 また、その他の原料として上記した成分以外にも、栄養成分などの種々の素材を配合することができる。例えば、ガルシニアエキス、ジアシルグリセロール、カプサイシン、βグルカン、γ−アミノ酪酸、アミノ酸類、アガリクス茸エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、DHA、EPA、システイン、システインペプチド、グルタミンペプチド、大豆イソフラボン、ウコン、マカ、ニンジン、α−リポ酸、酵母などのミネラル含有物、青汁、酢、コラーゲン、各ペプチド類、レシチン、ローヤルゼリー、プロポリス、グルコサミン、メシマコブ菌糸体、コンドロイチン硫酸、塩化ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、液糖、果汁などの呈味成分、コーヒー風味、抹茶風味、ミルク風味などを配合することができる。 本発明に係るコエンザイムQ10配合組成物は、上述したように食品に添加して摂取することもでき、斯かる食品としては、具体的には、ドリンク剤、茶飲料、紅茶飲料、清涼飲料、コーヒー飲料、乳飲料、バター、マヨネーズ、ショートニング、マーガリン、各種サラダドレッシング、パン類、麺類、パスタ、菓子類(クッキー類、チョコレート、キャンディ、チューインガムなど)などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。 本発明に係るコエンザイムQ10配合組成物を含有する食品は、本発明に係るコエンザイムQ10配合組成物を原料の一つとして用いる以外は、製法自体は目的とする食品の常法に従って製造することができる。本発明に係るコエンザイムQ10配合組成物は、該食品の製造工程の何れかの段階で添加すればよい。 また、本発明に係るコエンザイムQ10配合組成物は、動物用飼料などの飼料に配合してもよい。 以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明は以下の実施例及び比較例に何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例では、コエンザイムQ10として、コエンザイムQ10の素材粉末である日清ファルマ株式会社製のCoQ10を用いた。 実施例1 コエンザイムQ10(日清ファルマ株式会社製)30g及びコーンスターチ(日本食品化工株式会社製)180gを先に計量し、5分間の予備混合を行った。その後、この予備混合物と、乳糖(DMV社製)85g、アラビアガム(伊那食品工業株式会社製)5g及びエタノール130mLを練合機に投入し、通常の方法により5分間練合した。練合終了後、造粒し、乾燥機中にて50℃で乾燥した。乾燥後、14メッシュで整粒し、1包当たり1gの顆粒品(コエンザイムQ10含量100mg)を製造した。製造時にスティッキングなどのトラブルはなかった。また、顆粒品の充填量のばらつきは重量偏差で+1.8〜−1.4%であった。 実施例2 コエンザイムQ10(日清ファルマ株式会社製)30g、寒天(伊那食品工業株式会社製)30g及びコーンスターチ(日本食品化工株式会社製)150gを先に計量し、5分間の予備混合を行った。その後、この予備混合物と、乳糖(DMV社製)85g、アラビアガム(伊那食品工業株式会社製)5g及びエタノール130mLを練合機に投入し、通常の方法により5分間練合した。練合終了後、造粒し、乾燥機中にて50℃で乾燥した。乾燥後、14メッシュで整粒し、1包当たり1gの顆粒品(コエンザイムQ10含量100mg)を製造した。製造時にスティッキングなどのトラブルはなかった。また、顆粒品の充填量のばらつきは重量偏差で+1.8〜−1.4%であった。 実施例3 コエンザイムQ10(日清ファルマ株式会社製)90g及びコーンスターチ(日本食品化工株式会社製)90gを先に計量し、5分間の予備混合を行った。その後、この予備混合物に、結晶セルロース(旭化成株式会社製)35g及び部分アルファー化澱粉(PCS FC-50)(旭化成ケミカルズ株式会社製)80gを添加して3分間混合し、次いでシュガーエステルS-370F(リョウトー製)5gを添加して1分間混合し、通常の錠剤の製法により、1粒当たり300mgの錠剤(コエンザイムQ10含量90mg)を製造した。得られた錠剤の外観は綺麗であり、また製造時にスティッキングなどのトラブルもなかった。 実施例4 コエンザイムQ10(日清ファルマ株式会社製)30g及びコーンスターチ(日本食品化工株式会社製)145gを先に計量し、5分間の予備混合を行った。その後、この予備混合物と、部分アルファー化澱粉(PCS FC-50)(旭化成ケミカルズ株式会社製)30g、アラビアガム(伊那食品工業株式会社製)10g、乳糖(DMV社製)85g及びエタノール120mLを練合機に投入し、通常の方法により5分間練合した。練合終了後、造粒し、乾燥機中にて50℃で乾燥した。乾燥後、14メッシュで整粒し、1包当たり1gの顆粒品(コエンザイムQ10含量100mg)を製造した。製造時にスティッキングなどのトラブルはなかった。また、顆粒品の充填量のばらつきは重量偏差で+2.8〜−3.1%であった。 比較例1 コエンザイムQ10(日清ファルマ株式会社製)60g及び乳糖(DMV社製)200gを先に計量し、5分間の予備混合を行った。その後、この予備混合物に、結晶セルロース(旭化成株式会社製)34gを添加して3分間混合し、次いでシュガーエステルS-370F(リョウトー製)6gを添加して1分間混合し、通常の錠剤の製法により、1粒当たり300mgの錠剤(コエンザイムQ10含量60mg)を製造した。得られた錠剤の外観は、黄色の斑点が強く、綺麗な外観ではなかった。また、製造時に、打錠機のターンテーブルに黄色の付着物がべったりと付着し、スムーズに打錠ができなかった。 比較例2 コエンザイムQ10(日清ファルマ株式会社製)90g及び乳糖(DMV社製)164gを先に計量し、5分間の予備混合を行った。その後、この予備混合物に、結晶セルロース(旭化成株式会社製)40gを添加して6分間混合し、次いでシュガーエステルS-370F(リョウトー製)6gを添加して1分間混合し、ハードカプセル充填粉末を得た。このハードカプセル充填粉末を、通常のハードカプセルの製法により、2号ハードカプセルを用いて1粒当たり約250mg充填し、ハードカプセル(1粒当たりのコエンザイムQ10含量75mg)を製造した。充填時に、充填機の回転部に黄色の付着物がべったりと付着し、スムーズに充填ができず、充填量のばらつきが重量偏差で+5.8〜−6.9%であった。 比較例3 コエンザイムQ10(日清ファルマ株式会社製)30g、乳糖(DMV社製)265g、アラビアガム(伊那食品工業株式会社製)5g及びエタノール130mLを練合機に投入し、通常の方法により5分間練合した。練合終了後、造粒し、乾燥機中にて50℃で乾燥した。乾燥後、14メッシュで整粒し、1包当たり1gの顆粒品(コエンザイムQ10含量100mg)を製造した。充填時に、機械の計量盤に粉が付着し、スティッキングなどのトラブルが発生した。また、顆粒品の充填量のばらつきは重量偏差で+3.5〜−5.2%であった。 比較例4 コエンザイムQ10(日清ファルマ株式会社製)90g及びコーンスターチ(日本食品化工株式会社製)150gを先に計量し、5分間の予備混合を行った。その後、この予備混合物に、結晶セルロース(旭化成株式会社製)55gを添加して3分間混合し、次いでシュガーエステルS-370F(リョウトー製)5gを添加して1分間混合し、通常の錠剤の製法により、1粒当たり300mgの錠剤(コエンザイムQ10含量90mg)を製造した。得られた錠剤の外観は綺麗であり、また製造時にスティッキングなどのトラブルもなかった。しかし、下記の吸収性試験から明らかなように、この錠剤は、実施例の本発明の錠剤に比して、吸収性の劣るものであった。 吸収性試験 実施例3及び比較例4のコエンザイムQ10含有錠剤を用いて吸収性試験を行った。具体的には、各1群3頭(雄)のビーグル犬に、1頭当たりそれぞれ錠剤1粒(コエンザイムQ10の投与量:90mg/dog)を単回強制投与した。投与後24時間まで一定時間ごとに血液を採取して血漿中のコエンザイムQ10濃度の経時推移を調査した。なお、ビーグル犬には、錠剤1粒と共に水分100mlを強制投与した。 コエンザイムQ10の測定は、HPLCを用い下記の条件で行った。また、血清中には酸化型及び還元型のコエンザイムQ10が存在するので、両者を測定してその合計を算出した。 カラム:Nucleosil 5C18 4. 6mm*25cm 移動相:エタノール:アセトニトリル(55:45) 流速: 1ml/min 検出器:紫外分光光度計 275nm 温度: 35℃ 注入量:5μL 得られたコエンザイムQ10の血中濃度から、薬物動態パラメーターとして、最高血中薬物濃度、最高血中薬物に到達するまでの時間および「血中薬物濃度−時間曲線下面積」を求めた。その結果を下記の表1に示す。 吸収性試験の結果から、実施例3の本発明のコエンザイムQ10含有錠剤は、経口投与しても確実にしかも高濃度にコエンザイムQ10が生体内に吸収されることが明らかとなった。 コエンザイムQ10を澱粉と予め混合した後、部分アルファー化澱粉および/またはアラビアガム、並びにその他の原料と混合することを特徴とするコエンザイムQ10配合組成物の製造方法。 コエンザイムQ10と澱粉との混合割合が、コエンザイムQ10100質量部に対し澱粉30〜1800質量部であり、且つ部分アルファー化澱粉および/またはアラビアガムの配合割合が、コエンザイムQ10配合組成物100質量部中、0. 1〜100質量部である、請求項1記載のコエンザイムQ10配合組成物の製造方法。 澱粉が、コーンスターチである、請求項1または2記載のコエンザイムQ10配合組成物の製造方法。 請求項1〜3の何れか1項に記載のコエンザイムQ10配合組成物を含有する食品または飼料。 【課題】コエンザイムQ10を高含量配合しても、打錠障害やスティッキングなどの問題が生じることなく、品質の良いコエンザイムQ10配合組成物を製造することができ、更に錠剤などの含有組成物の崩壊性が良く、吸収性の良いコエンザイムQ10配合組成物の製造方法を提供すること。【解決手段】原料を一度に混合せずに、コエンザイムQ10を澱粉と予め混合した後、部分アルファー化澱粉および/またはアラビアガム、並びにその他の原料と混合する。【選択図】なし