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タイトル:特許公報(B2)_金属コロイド溶液
出願番号:2005511856
年次:2011
IPC分類:B22F 9/00,B22F 9/24,B01J 13/00,B01D 65/10,G01N 15/08


特許情報キャッシュ

本郷 智子 浜崎 直子 井出 正一 山口 文彦 久保崎 光徳 JP 4771366 特許公報(B2) 20110701 2005511856 20040716 金属コロイド溶液 旭化成メディカル株式会社 507365204 石井 良夫 100133905 吉見 京子 100113837 後藤 さなえ 100127421 藤野 清也 100090941 藤野 清規 100076244 本郷 智子 浜崎 直子 井出 正一 山口 文彦 久保崎 光徳 JP 2003275847 20030717 JP 2003422496 20031219 20110914 B22F 9/00 20060101AFI20110825BHJP B22F 9/24 20060101ALI20110825BHJP B01J 13/00 20060101ALI20110825BHJP B01D 65/10 20060101ALI20110825BHJP G01N 15/08 20060101ALI20110825BHJP JPB22F9/00 BB22F9/24 FB01J13/00 BB01D65/10G01N15/08 A B22F 9/00-9/30 B01J 13/00 B01D 65/10 G01N 15/08 特開2003−193119(JP,A) 特開2002−102679(JP,A) 特開2002−060805(JP,A) 特開平07−132215(JP,A) 19 JP2004010193 20040716 WO2005007328 20050127 32 20070528 井上 猛 本発明は、保存安定性、温度安定性、またはpH安定性に優れ、例えばウイルス除去膜のインテグリティ試験時のウイルス代替粒子として有用な金属コロイド溶液、及びその製造法等に関する。 これまで、平均粒子径が1〜100nmの金属コロイド粒子は粒径の小ささ、表面積の大きさから多くの機能材料に応用されているが、このような粒子は粒子間力が非常に強いため、水溶液に加えても凝集を起こしやすく、均一に分散させることは困難であった。さらに金属コロイド粒子を安定に分散させるためには溶液のpHを特定の範囲に制御する必要があり、使用できるpH領域が著しく制限される問題があった(特許文献1)。 また、ウイルス除去膜において既に代替粒子を用いた膜のインテグリティ試験方法が開示されている。インテグリティ試験とは、タンパクや生理活性物質等を含む溶液の中からウイルスを除去する目的で使用されるウイルス除去膜の使用後(場合によっては、使用前の)の性能確認のために行われる試験のことである。インテグリティ試験として、1)バブルポイント法、2)膜が有する孔径分布の大きい孔の割合を測定する方法(例えば、液体−液体の低い界面張力を利用する方法)、3)代替粒子の濾過による方法がある。なかでも3)のウイルス代替粒子の濾過方法は、その原理がウイルス除去と同じ、粒子のふるい濾過であるために、同じメカニズムどうしの特性値の相関関係を取ることができ信頼性が高いという特徴がある。特に、代替粒子として用いた金コロイドの濾過による除去性と膜のウイルス除去性との間には非常によい相関関係が見られる。インテグリティ試験に際しては、ウイルス除去膜としての使用後に、洗浄処理を行い、膜の残存物を可能なかぎり少なくする工程が必要である。洗浄剤にはアルカリ等の溶液を使用するケースがあり、従来の金コロイド溶液では限られたpHのみでしか使用できなかったため、洗浄剤で洗浄後、膜中のpHを厳密に制御する洗浄処理が必要となり操作が非常に煩雑であった(特許文献2、非特許文献1)。 さらにパルボウイルスのような径が20〜25nmの小ウイルスをターゲットとしたウイルス除去膜のインテグリティ試験においては、これまで、ウイルス除去性と相関性のあるウイルス粒子の代替粒子すらなかった。小ウイルスの高い除去性の持続性と高いタンパク透過性を兼ね備えた特性を発現するためには、特殊な膜構造を有することが必要であり、そのような膜構造を持つウイルス除去膜用のインテグリティ試験においては、わずかな孔径差を検出できることが要求される。しかし、そのような金属コロイド溶液は従来なかった(特許文献3)。特開平8−141388号公報特開平7−132215号公報WO01/14047号パンフレットHirokiMurakami(Etd.),Animal Cell Technology:Basic & Applied Aspects,Netherland,Kluwer Academic Publishers,Vol.4,1992,p.87−102 本発明は、保存安定性、温度安定性、またはpH安定性に優れ、例えばウイルス除去膜のインテグリティ試験に有用な、新規なコロイド溶液を提供することを目的とするものである。 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、平均粒子径1〜100nmの金属粒子または金属化合物粒子、及びN基を含有する水溶性高分子量分散剤、及び水および/または水溶性有機溶剤を含み、少なくともpHが4〜11の範囲であることを特徴とする金属コロイド溶液が、その目的に適合しうることを見いだし、この知見に基づいて本発明をなすに至った。 すなわち、本発明としては、以下の各発明が例示される。 [1](1)平均粒子径1〜100nmの金属粒子又は金属化合物粒子、(2)N基を含有する水溶性高分子量分散剤、および、(3)水および/または水溶性有機溶媒を少なくとも含有する金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液であって、該コロイド溶液が下記の(a)および(b)の性質を有することを特徴とする金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液。(a)該コロイド溶液を、pH4〜11の範囲内における一定のpHにて、室温、180日間保存した前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。(b)該コロイド溶液を、pH5にて50℃、1年間保存した後も、その処理の前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。[2]該コロイド溶液に、さらに(4)界面活性剤および/またはキレート剤を含有することを特徴とする[1]に記載のコロイド溶液。[3](セルロース系の多孔質膜に対して用いることを特徴とする[1]または[2]に記載のコロイド溶液。[4](4)界面活性剤、または界面活性剤とキレート剤を少なくとも含有する[1]〜[3]に記載のコロイド溶液。[5]該セルロース系の多孔質膜が、ウイルス除去膜であることを特徴とする[3]または[4]に記載のコロイド溶液。[6]該セルロース系の多孔質膜が、再生セルロースからなることを特徴とする[3]〜[5]に記載のコロイド溶液。[7]さらに(4)キレート剤を少なくとも含有する金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液(但し、界面活性剤を含まない)であって、且つ合成高分子系の多孔質膜に対して用いることを特徴とする[1]または[2]に記載のコロイド溶液。[8]該合成高分子系の多孔質膜が、ウイルス除去膜であることを特徴とする[7]に記載のコロイド溶液。[9]該合成高分子系の多孔質膜が、表面親水化された熱可塑性高分子からなることを特徴とする[7]に記載のコロイド溶液。[10]熱可塑性高分子が、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホンのいずれかであることを特徴とする[9]に記載のコロイド溶液。[11]該コロイド溶液において、該コロイド溶液を回収試験用多孔質膜にて濾過せしめた際のコロイド回収率が70%以上であり、(該回収試験用多孔質膜の平均孔径nm)−(コロイドの平均粒子径nm)>10nmの条件を充足することを特徴とする[1]〜[10]のいずれかに記載のコロイド溶液。[12]該コロイド溶液が多孔質膜に用いるものであって、該コロイド溶液において、該コロイド溶液を、前記多孔質膜と同一材質からなる回収試験用多孔質膜にて濾過せしめた際のコロイド回収率が70%以上であり、(該回収試験用多孔質膜の平均孔径nm)−(コロイドの平均粒子径nm)>10nmの条件を充足することを特徴とする[1]〜[11]のいずれかに記載のコロイド溶液。[13]該回収試験用多孔質膜が、ウイルス除去膜であることを特徴とする[11]または[12]に記載のコロイド溶液。[14]該コロイド溶液中に認められる粒子は、金属粒子のみであることを特徴とする[1]〜[13]のいずれかに記載のコロイド溶液。[15]該コロイド溶液が可視域で識別可能な金属粒子又は金属化合物粒子からなるコロイド溶液であることを特徴とする[1]〜[14]のいずれかに記載のコロイド溶液。[16]該コロイド溶液の金属粒子または金属化合物粒子の形状は等方性に近いものである(好ましくは、粒子の長径/短径の比=1〜2、さらに好ましくは1〜1.8)ことを特徴とする[1]〜[15]のいずれかに記載のコロイド溶液[17]金属粒子が金、銀、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジュウム、オスミウム、鉄、銅のうちの少なくとも一種である事を特徴とする[1]〜[16]のいずれかに記載のコロイド溶液。[18]金属粒子が金であることを特徴とする[1]〜[16]のいずれかに記載のコロイド溶液。[19]ウイルス除去膜の平均孔径が10〜100nmの範囲であることを特徴とする[1]〜[18]のいずれかに記載のコロイド溶液。[20]コロイド溶液における金属粒子又は金属化合物粒子の粒子径分布の変動率が30%以下である[1]〜[19]のいずれかに記載のコロイド溶液。[21]平均粒子径が15〜40nmであり、粒子径分布の変動率が27%以下である金属粒子又は金属化合物粒子を含有する[1]〜[20]のいずれかに記載のコロイド溶液。[22]平均粒子径15〜25nmであり、粒子径分布の変動率が27%以下である金属粒子又は金属化合物粒子を含有する[1]〜[21]のいずれかに記載のコロイド溶液。[23]平均粒子径25〜40nm(好ましくは27〜37nm)であり、粒子径分布の変動率が27%以下である金属粒子又は金属化合物粒子を含有する[1]〜[21]のいずれかに記載のコロイド溶液。[24]N基が、ピロリドン基である[1]〜[23]のいずれかに記載のコロイド溶液。[25]N基を含有する水溶性高分子量分散剤が、ポリビニルピロリドン、又はポリビニルピロリドン共重合体であることを特徴とする[1]〜[24]のいずれかに記載のコロイド溶液。[26]N基を含有する水溶性高分子量分散剤の分子量が、1000〜200万であることを特徴とする[1]〜[25]のいずれかに記載のコロイド溶液。[27]該界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、または陰イオン性界面活性剤である[2]〜[6]、[11]〜[26]のいずれかに記載のコロイド溶液。[28]該界面活性剤が、ドデシル硫酸またはその塩(好ましくはドデシル硫酸ナトリウム)であることを特徴とする[2]〜[6]、[11]〜[27]のいずれかに記載のコロイド溶液。[29]該キレート剤が、トリポリリン酸、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸共重合体、エチレンジアミンテトラ酢酸、またはそれらの塩のうちの少なくとも一種である(好ましくはトリポリリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸共重合体、エチレンジアミンテトラ酢酸ナトリウムのうちの少なくとも一種)ことを特徴とする[2]〜[28]のいずれかに記載のコロイド溶液。[30]該界面活性剤または該キレート剤が、コロイド溶液中に0.001〜5重量%含有することを特徴とする[2]〜[29]のいずれかに記載のコロイド溶液。[31]ポリアクリル酸、ポリアクリル酸共重合体、またはその塩の分子量が100〜10000の範囲である事を特徴とする[2]〜[30]のいずれかに記載のコロイド溶液。[32]コロイド溶液における金属粒子又は金属化合物粒子の含有量が、0.0001〜0.1重量%であることを特徴とする[1]〜[31]のいずれかに記載のコロイド溶液。[33]コロイド溶液におけるN基を含有する水溶性高分子量分散剤の含有量が、0.001〜10重量%であることを特徴とする[1]〜[32]のいずれかに記載のコロイド溶液。[34]コロイド溶液における金属粒子又は金属化合物粒子の含有量が、0.001〜0.08重量%であることを特徴とする[1]〜[33]のいずれかに記載のコロイド溶液。[35]コロイド溶液におけるN基を含有する水溶性高分子量分散剤の含有量が、0.01〜5重量%であることを特徴とする[1]〜[34]のいずれかに記載のコロイド溶液。[36]該コロイド溶液を、pH4〜11の範囲内における一定のpHにて、室温、180日間保存した前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が、−1.5nm〜+1.5nm(より好ましくは−1.0nm〜+1.0nm)の範囲であることを特徴とする[1]〜[35]のいずれかに記載のコロイド溶液。[37]該コロイド溶液を、pH5にて50℃、1年間保存した後も、その処理の前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が、−1.7nm〜+1.7nm(好ましくは−1.5nm〜+1.5nm、さらに好ましくは−1.0nm〜+1.0nm)の範囲であることを特徴とする[1]〜[36]のいずれかに記載のコロイド溶液。[38]金属粒子または金属化合物粒子に、N基を含有する水溶性高分子量分散剤を添加後、更に界面活性剤および/またはキレート剤を加えることにより製造された[2]に記載のコロイド溶液。[39]金属化合物を溶媒に溶解し、金属粒子を析出せしめたのちN基を含有する水溶性高分子量分散剤を添加後、更に界面活性剤および/またはキレート剤を加えることにより製造された[2]に記載のコロイド溶液。[40]金属化合物を溶媒に溶解し、金属を還元して金属粒子を析出せしめたのち、N基を含有する水溶性高分子量分散剤を添加後、更に界面活性剤および/またはキレート剤を加えることにより製造された[2]に記載のコロイド溶液。[41]多孔質膜におけるコロイド粒子の通過状態を検知し、多孔質膜の性能を確認するために用いる[1]〜[40]のいずれかに記載のコロイド溶液。[42]ウイルスと粒子径が同等なコロイド粒子を用い、確認すべき多孔質膜の性能がウイルス除去に関する性能であることを特徴とする[1]〜[41]のいずれかに記載のコロイド溶液。[43]多孔質膜がウイルス除去膜であり、該膜のインテグリティ試験におけるウイルスの代替粒子用である[1]〜[42]のいずれかに記載のコロイド溶液。[44]該コロイド溶液を室温で1年間保存中に、沈殿物の生成が見られず、層分離(固/液分離)を生じない[1]〜[43]のいずれかに記載にコロイド溶液。 またさらに本発明としては、上述のコロイド溶液に関する発明の他、以下の各種の発明が挙げられる。なお、本発明においては上述のコロイド溶液の発明における各説明がこれらの発明においても十分に根拠を与え当業者は容易に理解できるものである。1.金属粒子又は金属化合物粒子に、N基を含有する水溶性高分子量分散剤を添加後、更に界面活性剤および/またはキレート剤を加えることを特徴とするコロイド溶液の製造方法。2.金属化合物を溶媒に溶解し、金属粒子を析出せしめたのち、N基を含有する水溶性高分子量分散剤を添加後、更に界面活性剤および/またはキレート剤を加えることを特徴とするコロイド溶液の製造方法。3.金属化合物を溶媒に溶解し、金属を還元して金属粒子を析出せしめたのち、N基を含有する水溶性高分子量分散剤を添加後、更に界面活性剤および/またはキレート剤を加えることを特徴とする1又は2に記載のコロイド溶液の製造方法。4.(1)N基を有する水溶性高分子量分散剤、及び/又は(2)界面活性剤及び/又はキレート剤を有効成分とする金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液における金属粒子又は金属化合物粒子の多孔質表面に対する吸着防止剤。5.(1)N基を有する水溶性高分子量分散剤、及び/又は(2)界面活性剤及び/又はキレート剤を有効成分とする金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液における金属粒子又は金属化合物粒子の多孔質膜に対する吸着防止剤。6.(1)N基を有する水溶性高分子量分散剤、及び(2)界面活性剤及び/又はキレート剤を有効成分とする金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液における金属粒子又は金属化合物粒子の多孔質膜に対する吸着防止剤。7.(1)N基を有する水溶性高分子量分散剤、及び(2)界面活性剤を有効成分とする金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液における金属粒子又は金属化合物粒子の多孔質膜に対する吸着防止剤。8.(1)N基を有する水溶性高分子量分散剤、及び(2)キレート剤を有効成分とする金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液における金属粒子又は金属化合物粒子の多孔質膜に対する吸着防止剤。9.(1)N基を有する水溶性高分子量分散剤、及び(2)界面活性剤及びキレート剤を有効成分とする金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液における金属粒子又は金属化合物粒子の多孔質膜に対する吸着防止剤。10.N基を有する水溶性高分子量分散剤を有効成分とする金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液における金属粒子又は金属化合物粒子の多孔質膜に対する吸着防止剤。11.界面活性剤及び/又はキレート剤を有効成分とする金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液における金属粒子又は金属化合物粒子の多孔質膜に対する吸着防止剤。12.界面活性剤を有効成分とする金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液における金属粒子又は金属化合物粒子の多孔質膜に対する吸着防止剤。13.キレート剤を有効成分とする金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液における金属粒子又は金属化合物粒子の多孔質膜に対する吸着防止剤。14.(1)平均粒子径1〜100nmの金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液における金属粒子又は金属化合物粒子の多孔質膜に対する吸着防止剤であって、(2)N基を含有する水溶性高分子量分散剤、および、(3)水および/または水性有機溶媒を少なくとも含有せしめる下記の(a)および(b)の性質を有することを特徴とする該吸着防止剤。(a)該コロイド溶液を、pH4〜11の範囲内における一定のpHにて、室温、180日間保存した前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。(b)該コロイド溶液を、pH5にて50℃、1年間保存した後も、その処理の前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。15.該多孔質膜が、ウイルス除去膜であることを特徴とする4〜14のいずれかに記載の吸着防止剤。16.該多孔質膜が、セルロース系であることを特徴とする4〜15のいずれかに記載の吸着防止剤。17.該多孔質膜が、合成高分子系の多孔質膜であり、コロイド溶液中に界面活性剤を含有しないことを特徴とする8、10、13〜15のいずれかに記載の吸着防止剤。18.(1)N基を有する水溶性高分子量分散剤及び/又は(2)界面活性剤及び/又はキレート剤を有効成分とする金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液における金属粒子又は金属化合物粒子の多孔質表面に対する吸着防止方法。19.(1)N基を有する水溶性高分子量分散剤及び/又は(2)界面活性剤及び/又はキレート剤を有効成分とする金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液における金属粒子又は金属化合物粒子の多孔質膜に対する吸着防止方法。20.(1)N基を有する水溶性高分子量分散剤、及び(2)キレート剤を添加するする金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液における金属粒子又は金属化合物粒子の多孔質膜に対する吸着防止方法。21.(1)N基を有する水溶性高分子量分散剤、及び(2)界面活性剤及びキレート剤を添加する金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液における金属粒子又は金属化合物粒子の多孔質膜に対する吸着防止方法。22.(1)N基を有する水溶性高分子量分散剤を添加したのちに、(2)界面活性剤及び/又はキレート剤を添加する金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液における金属粒子又は金属化合物粒子の多孔質膜に対する吸着防止方法。23.(1)平均粒子径1〜100nmの金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液における金属粒子又は金属化合物粒子の多孔質膜に対する吸着防止方法であって、(2)N基を含有する水溶性高分子量分散剤、および、(3)水および/または水溶性有機溶媒を少なくとも含有せしめるコロイド溶液が下記の(a)および(b)の性質を有することを特徴とする該吸着防止方法。(a)該コロイド溶液を、pH4〜11の範囲内における一定のpHにて、室温、180日間保存した前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。(b)該コロイド溶液を、pH5にて50℃、1年間保存した後も、その処理の前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。24.(1)平均粒子径1〜100nmの金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液における金属粒子又は金属化合物粒子の多孔質膜に対する吸着防止方法であって、(2)N基を含有する水溶性高分子量分散剤が、ポリビニルピロリドン、又はポリビニルピロリドン共重合体であるか、または(3)該界面活性剤が、ドデシル硫酸またはその塩であるか、またはキレート剤が、トリポリリン酸、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸共重合体、エチレンジアミンテトラ酢酸、またはそれらの塩のうちの少なくとも一種であるか、の少なくともいずれかを含有することを特徴とする18〜23のいずれかに記載の吸着防止方法。25.該多孔質膜が、ウイルス除去膜であることを特徴とする18〜24のいずれかに記載の吸着防止方法。26.該多孔質膜が、セルロース系であることを特徴とする18〜25のいずれかに記載の吸着防止方法。27.該多孔質膜が、合成高分子系の多孔質膜であり、該コロイド溶液中に界面活性剤を含有しないことを特徴とする20、23〜25のいずれかに記載の吸着防止方法。28.(1)平均粒子径1〜100nmの金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド状態を維持するに当たり、(2)N基を含有する水溶性高分子量分散剤、および、(3)水および/または水溶性有機溶媒を少なくとも含有し下記の(a)および(b)の性質を有するコロイド溶液となすことを特徴とする金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド状態の維持剤。(a)該コロイド溶液を、pH4〜11の範囲内における一定のpHにて、室温、180日間保存した前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。(b)該コロイド溶液を、pH5にて50℃、1年間保存した後も、その処理の前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。29.(1)平均粒子径1〜100nmの金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド状態を維持するに当たり、(2)N基を含有する水溶性高分子量分散剤、および、(3)水および/または水溶性有機溶媒を少なくとも含有し下記の(a)および(b)の性質を有するコロイド溶液となすことを特徴とする金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド状態の維持方法。(a)該コロイド溶液を、pH4〜11の範囲内における一定のpHにて、室温、180日間保存した前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。(b)該コロイド溶液を、pH5にて50℃、1年間保存した後も、その処理の前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。30.ウイルス除去膜として使用後に、(1)平均粒子径1〜100nmの金属粒子又は金属化合物粒子、(2)N基を含有する水溶性高分子量分散剤、および、(3)水および/または水溶性有機溶媒を少なくとも含有し下記の(a)および(b)の性質を有することを特徴とする金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液を、該ウイルス除去膜に対して濾過せしめることを特徴とするウイルス除去膜のインテグリティ試験方法。(a)該コロイド溶液を、pH4〜11の範囲内における一定のpHにて、室温、180日間保存した前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。(b)該コロイド溶液を、pH5にて50℃、1年間保存した後も、その処理の前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。31.[1]のコロイド溶液に、界面活性剤および/またはキレート剤を、インテグリティ試験直前に添加することを特徴とする30に記載のウイルス除去膜のインテグリティ試験。32.セルロースからなる多孔膜をウイルス除去膜としての使用後に、アルカリ洗浄、及び水洗浄を行った後に、該コロイド溶液と接触せしめるインテグリティ試験。 本発明の金属コロイド溶液は、保存安定性、温度安定性、又はpH安定性において良好な性質を有することが期待される。さらに、本発明の金属コロイド溶液をウイルス除去膜で濾過した際の除去性はウイルス除去性との相関性を持っており、ウイルス除去膜のインテグリティ試験においてこれまでできなかった試験時の液pH範囲の拡大、試験時間(洗浄時間)の短縮、操作の簡略化、ウイルス除去膜のわずかな孔径差による検出(検出力が高い)が可能となる。 特開平7−132215号公報に開示されている金コロイド溶液を表面親水化されたポリフッ化ビニリデン等の合成高分子からなるウイルス除去膜で濾過したところ、溶液に含有している界面活性剤の影響のため金コロイド溶液が全く濾過できず、金コロイド濾過での膜の除去性を確認することができず、また、界面活性剤を添加しない金コロイド溶液では、濾過はできるものの金コロイドが膜素材に吸着し、正確なインテグリティ試験ができなかったが、本発明において提供されるコロイド溶液により、合成高分子系の多孔質膜の測定も可能となった。 図1は、金コロイドの除去性とポリオウイルス除去性との相関関係を示した図である。図中の矢印はLRVがその値以上であることを示す。横軸は金コロイド(Colloidal Gold Particle)LRV、縦軸はポリオウイルス(Polio Virus)LRVを示す。図2は、金コロイドの除去性とブタパルボウイルス除去性との相関関係を示した図である。図中の矢印はLRVがその値以上であることを示す。横軸は金コロイド(Colloidal Gold Particle)LRV、縦軸はブタパルボウイルス(PPV)LRVを示す。図3は、PVDF多孔性中空糸膜における金コロイドの除去性とブタパルボウイルス除去性との相関関係を示した図である。図中の矢印はLRVがその値以上であることを示す。横軸は金コロイド(Colloidal Gold Particle)LRV、縦軸はブタパルボウイルス(PPV)LRVを示す。 以下、本発明について具体的に説明する。 本発明の金属コロイド溶液としては、金属粒子(または金属化合物粒子)、N基を有する水溶性高分子量分散剤、水および/または水溶性有機溶剤を含む金属コロイド溶液が例示される。本発明の金属粒子または金属化合物粒子においては金属粒子が好ましい。 コロイド粒子をなす金属としては、上記発明[17]に例示したものが挙げられる。さらに、金属としては貴金属が好ましく、特に金が好ましい例として挙げられる。 当該コロイド溶液を体外診断薬用または多孔質膜のインテグリティ試験に用いるためには、可視域で識別可能であることが好ましく、特に可視領域の波長で極大吸収を有するものが好ましい例として挙げられる。可視域の波長としては350nmから650nmの範囲であることが好ましい。例えば金属粒子として金を用いた場合は、コロイド溶液の色は、粒子径によって異なるが、赤紫色から紫色である。 金属粒子または金属化合物粒子は、反応性のないことが好ましい。つまり、コロイド粒子自体が化学変化しない、及び/又はコロイド粒子が多孔質膜を化学反応せしめないことが好ましい。 金属粒子または金属化合物粒子の平均粒子径は、分散状態を安定に維持するためには、通常、1〜100nmの範囲が好ましい。更に好ましくは、1〜50nmの範囲が例示される。また、この粒子径の下限としては、通常、1nm以上であることがウイルス除去膜のインテグリィティ試験用として現実的であり、好ましくは5nm以上、さらに好ましくは10nm以上、特に好ましくは15nm以上が例示される。また、上限としては、分散状態の安定化の観点から、通常100nm以下、好ましくは75nm以下、さらに好ましくは50nm以下、特に好ましくは40nm以下、場合によっては37nm以下がそれぞれ挙げられる。 なお、本発明の金属コロイド溶液中に含まれる金属粒子または金属化合物粒子の粒子径は、通常は、円相当径で表される。具体的には、電子顕微鏡上で観察した写真から粒子の投影面積を算出し、それと等しい面積を持つ円の直径として表す。平均粒子径は上記の円相当径の数平均値として表す。 また、パルボウイルスのような径が20〜25nmの小ウイルスをターゲットとしたウイルス除去膜のインテグリティ試験において、平均粒子径が15〜25nmの範囲が好ましい。更に好ましくは15〜22nmの範囲が例示される。平均粒子径が15〜25nmの金属コロイド溶液を、小ウイルスをターゲットとしたウイルス除去膜で濾過した際の除去性は、パルボウイルスのような小ウイルスの膜による除去性との相関性が高い。 金属粒子又は金属化合物粒子の粒子径分布の変動率は、ウイルス除去膜のインテグリティ試験に用いるためには、30%以下、好ましくは27%以下、場合によっては26%以下が好ましい例として挙げられる。変動率は以下の式により算出することができる。[変動率(%)= σ(標準偏差)×100/平均粒子径] 金属粒子、または金属化合物粒子の形状は、多孔膜のインテグリティ試験に用いるためには、等方性に近いものであることが好ましく、また粒子の長径/短径の比=1〜2であることが好ましく、さらに好ましくは1〜1.8、特に好ましくは1〜1.7であることが例示される。 コロイド溶液中の金属粒子又は金属化合物粒子の含有量としては1〜1000ppmの範囲が好ましい。より好ましくは10〜800ppm、さらに好ましくは20〜700ppmが例示される。インテグリティ試験用としての使用しやすさから下限としては1ppm以上が好ましい。好ましくは10ppm以上、さらに好ましくは20ppm以上が例示される。また、上限としては分散安定性やその他の条件に不利な条件とならない限り特に限定されないが、通常1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、さらに好ましくは700ppm以下が挙げられる。含有量の表現を換えた別の好ましい範囲を挙げれば、0.0001〜0.1重量%の範囲が挙げられる。また、この含有量を下限として示せば、通常0.0001重量%以上、好ましくは0.001重量%以上、さらに好ましくは0.002重量%以上が例示される。また、上限としては特に限定されないが、通常0.1重量%以下、好ましくは0.08重量%以下、さらに好ましくは0.07重量%以下が挙げられる。 本発明のN基を含有する水溶性高分子量分散剤は、金属粒子または金属化合物粒子に対して親和性及び溶媒に対して親和性(溶媒和)を有することが好ましい。N基としては好ましくはピロリドン基を有するものであり、ポリビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン/スチレン共重合ポリマー、N−ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合ポリマー、等の中から選ばれた少なくとも1つ以上のポリマーが好ましい例として挙げられる。N基を含有する水溶性高分子量分散剤は、金属または金属化合物のコロイドに対して直接的に保護コロイド的に作用し、コロイド同士の凝集を防いだり、表面の状態(電位)を一定に保つ作用、又は他の素材に対する吸着を抑制する作用が期待される。また、溶液の環境変化(温度、pH)に対しても安定であることが期待できる。 N基を含有する水溶性高分子量分散剤の分子量としては、特に限定されないが、通常1000〜200万の範囲が好ましい。好ましくは1000〜10万、さらに好ましくは1000〜5万の範囲が例示される。また、この分子量を下限として示せば、金属または金属化合物のコロイドの分散の安定化の観点から、通常は、分子量が1000以上、好ましくは2000以上、さらに好ましくは5000以上、特に好ましくは7000以上が例示される。上限としては、粘度や溶媒への溶解性、取り扱いやすさ、金属または金属化合物のコロイドの粒子サイズへの影響の与えにくさ、分散の安定性といった観点から通常は、分子量が200万以下、好ましくは100万以下、さらに好ましくは10万以下、特に好ましくは5万以下が挙げられる。 N基を含有する水溶性高分子量分散剤の添加量は、通常0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%の範囲が例示される。また、この添加量を下限として示せば、分散安定化効果の観点から、通常は0.001重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、さらに好ましくは0.05重量%以上、特に好ましくは0.1重量%以上が例示される。また、上限としては粘度や溶媒に対する溶解性や、取り扱い易さの観点から、通常は10重量%以下、好ましくは7.5重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、特に好ましくは3重量%以下が挙げられる。本発明のコロイド溶液にはさらに一種以上の界面活性剤および/またはキレート剤を含むことができる。界面活性剤および/またはキレート剤を添加させることによって、例えば、より分散安定性を向上させたり、膜素材への吸着を抑制させる効果が付与されることが期待される。 界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤を用いることができる。陰イオン界面活性剤としては、ドデシル硫酸またはその塩が挙げられる。塩は何でもよく、市販で入手可能なリチウム塩、ナトリウム塩が挙げられる。好ましくはドデシル硫酸ナトリウムが例示される。非イオン性界面活性剤としてはTriton X−100 Tween20、Tween80等を用いることができる。 本発明のキレート剤としては、トリポリリン酸、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸共重合体、エチレンジアミンテトラ酢酸、またはそれらの塩のうちの少なくとも一種が挙げられ、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸共重合体が好ましい例として挙げられる。塩としては何でもよく、市販で入手可能なナトリウム塩、カリウム塩が好ましい例として挙げられる。好ましくはトリポリリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム共重合体、エチレンジアミンテトラ酢酸ナトリウム(特にエチレンジアミンテトラ酢酸2ナトリウム塩が好ましい例として挙げられる)のうちの少なくとも一種が挙げられる。 コロイド溶液中の界面活性剤および/またはキレート剤の含有量は、化合物の重量として、0.001〜5.0重量%の範囲が好ましく、また0.001〜7.0重量%の範囲が好ましい。含有量の下限として示せば、本発明の効果(例えば膜素材への吸着を抑制する観点等)が発揮すれば特に限定されないが、通常、0.001重量%以上、好ましくは0.005重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、さらに好ましくは0.05重量%以上、特に好ましくは0.1重量%以上が例示される。また、場合によっては0.2重量%以上、さらには0.5重量%以上が好ましい例として例示される。また、上限としては粘度、溶媒に対する溶解性、コロイド溶液が凝集を生じる等、又はその他の条件に不利な条件とならない限り特に限定されないが、通常7重量%以下、好ましくは5.0重量%以下、より好ましくは4.0重量%以下、さらに好ましくは3.0重量%以下、特に好ましくは2.5重量%以下が例示される。また、場合によっては2.0重量%以下が好ましい例として挙げられ、より好ましくは1.0重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下、特に好ましくは0.3重量%以下がそれぞれ好ましい例として挙げられる。 界面活性剤、およびキレート剤のそれぞれにおける、より好ましい含有量の範囲を挙げると以下の通りである。本発明の界面活性剤の含有量は、より好ましくは0.01〜3重量%、さらに好ましくは0.05〜2.0重量%の範囲が例示される。また、この界面活性剤の含有量を下限として示せば、本発明の効果(例えば膜素材への吸着を抑制する観点等)が発揮されるならば特に限定されないが、通常、0.001重量%以上、好ましくは0.005重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、さらに好ましくは0.05重量%以上、特に好ましくは0.1重量%以上が例示される。また、上限としては溶媒に対する溶解性やその他の条件に不利な条件とならない限り特に限定されないが、通常5重量%以下、好ましくは3.0重量%以下、より好ましくは2.5重量%以下、さらに好ましくは2.0重量%以下、特に好ましくは1.0重量%以下、場合によっては0.5重量%以下が挙げられる。 本発明で用いるキレート剤の含有量については、下限としては、本発明の効果(例えば膜素材への吸着を抑制する観点等)が発揮されるならば特に限定されないが、通常は、0.05重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、さらに好ましくは0.3重量%以上、特に好ましくは0.5重量%以上が例示される。また、上限としては、粘度,溶媒に対する溶解性、取り扱いやすさ、また金属または金属化合物のコロイド粒子が架橋し沈殿を生じる等、又はその他の条件に不利な条件とならない限り特に限定されないが、通常は、7.0重量%以下、好ましくは5.0重量%以下、より好ましくは4.0重量%以下、さらに好ましくは3.0重量%以下があげられる。場合によっては2.5重量%以下、好ましくは2.0重量%以下、より好ましくは1.5重量%以下、さらに好ましくは1.0重量%以下が挙げられる。 本発明のポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸共重合体の分子量は、通常は、100〜1万の範囲が例示される。また、このポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸共重合体の分子量を下限として示せば、本発明の効果(例えば、吸着抑制効果等)が発揮されるならば特に限定されないが、通常、100以上、好ましくは500以上、さらに好ましくは1000以上、特に好ましくは5000以上が例示される。また、上限としては粘度や溶媒に対する溶解性、取り扱いの容易さ等、又はその他の条件に不利な条件とならない限り特に限定されないが、通常10000以下、好ましくは9000以下、さらに好ましくは8000以下、特に好ましくは7000以下が挙げられる。 本発明のコロイド溶液には必要に応じて界面活性剤およびキレート剤を併用または、界面活性剤またはキレート剤のどちらか一方を用いてもよい。界面活性剤にさらにキレート剤を含有することによって、例えば分散安定性を向上させたり、膜素材への吸着を抑制させる効果が付与されることが期待される。さらに有機酸およびその塩類をさらに含有していてもよい。有機酸およびその塩類としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム等を用いることができる。 界面活性剤および/またはキレート剤使用の例として、コロイド溶液をウイルス除去膜のインテグリティ試験に用いる際、膜の素材がセルロース系からなる場合には、界面活性剤またはキレート剤のどちらか一方または、界面活性剤およびキレート剤を併用する例が挙げられる。合成高分子系からなる場合には、界面活性剤を含有せず、キレート剤を用いる例が挙げられる。 本発明のN基を含有する水溶性高分子量分散剤はコロイドを保護し、分散を安定化する作用があるが、さらに界面活性剤及び/またはキレート剤を含有することで、より安定化効果を発揮することが期待される。また、N基を含有する水溶性高分子量分散剤は、他素材への吸着を抑制する作用も有し、さらに界面活性剤及び/またはキレート剤を含有させることで、より吸着抑制効果を発揮することが期待される。その結果、他素材、例えば、コロイド溶液を長期に保存する際の容器への吸着や、多孔質膜への吸着を抑制することが期待される。 本発明のコロイド溶液は、例えば、以下の方法によって作成することができる。すなわち、金属粒子又は金属化合物粒子に、N基を含有する水溶性高分子量分散剤を添加後、更に界面活性剤および/またはキレート剤を加える方法が例示される。金属化合物を溶媒に溶解し、金属粒子を析出せしめたのち、N基を含有する水溶性高分子量分散剤を添加後、更に界面活性剤および/またはキレート剤を加えることができる。本発明で用いる金属コロイド溶液は、さらに金属粒子の場合を例に挙げると、原料となる金属化合物を、溶媒に溶解し、金属に還元することにより粒子が得られる。原料となる金属化合物としては、塩化金酸、硝酸銀、塩化白金酸、塩化ロジウム(III)、塩化パラジウム(II)、塩化ルテニウム(III)、塩化イリジウム酸塩、酸化オスミウム(VII)などを用いることができる。還元剤としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、タンニン酸、ヒドラジン、水素化ほう素ナトリウムなどがあげられる。反応温度としては特に限定されないが、例えば、室温から溶媒の沸点までの温度が挙げられ、好ましくは25〜100℃、さらに好ましくは40〜100℃が挙げられる。また、反応時間は特に限定されないが、数分から数日が例示される。また、金属化合物粒子の場合には特開平8−141388号公報に従って、粒子を得ることができる。さらに金属粒子または金属化合物粒子を得た後に、N基を有する水溶性高分子量分散剤を所定量加えることによりコロイド溶液を得ることができる。その後に、さらに必要に応じて界面活性剤及び/又はキレート剤を添加する。さらに、有機酸およびその塩類を所定量加えることもできる。 本発明の原料となる金属化合物の溶媒およびコロイド溶液の分散溶媒としては、一般に水、水溶性有機溶剤、またはこれらの混合物が好ましい。水溶性有機溶剤としては、エタノール、メタノール、エチレングリコール等を挙げることができる。好ましくは水、エタノール及びメタノール及びこれらの混合物であり、さらに好ましくは水が挙げられる。 本発明のコロイド溶液は、25℃での粘度が0.8〜5cP(mPa・s)の範囲が好ましい。好ましくは0.8〜2cP(mPa・s)の範囲が例示される。また、このコロイド溶液の粘度を下限として示せば、本発明の効果が発揮すれば特に限定されないが、通常、0.8cP以上である。また、上限としては取り扱いの容易さ、膜に通液した際の操作時間等、その他の条件に不利な条件とならない限り特に限定されないが、通常5cP以下、好ましくは2cP以下が挙げられる。さらに好ましくは1.7cP以下、特に好ましくは1.5cP以下が挙げられる。 本発明で金属コロイド溶液の安定性を評価するに際し、保存安定性、温度安定性、pH安定性に関しては、光学特性を測定すること、または肉眼での凝集物生成、または沈殿物形成等により測定することができ、塩に対する安定性であれば塩析等によって確認可能である。光学特性の測定としては分光光度計を用いる金属コロイド溶液のスペクトル測定による極大吸収波長測定が例示される。極大吸収波長は、分光光度計を用いて、例えば、コロイド粒子本来の吸収波長として識別できる波長の範囲(好ましくは可視域、すなわち波長350〜650nmの範囲)でスキャンさせた際に得られる吸収スペクトルにおいて、最大吸収を示す波長として決定する方法が例示される。例えば、分光光度計としては、可視および紫外波長領域まで測定可能な性能を有する装置、例えば島津製作所製の紫外可視分光光度計UV−160Aなどを用いることができる。極大吸収波長は金属コロイド粒子の平均粒子径を代表する。 本発明の保存安定性において、例えば50℃で、少なくとも90日間、さらに好ましくは1年間放置した場合の経時的な極大吸収波長の変化において、0日目の極大吸収波長との差が−2.0nm〜+2.0nmの範囲となることが好ましい。またその差としては、好ましくは−1.7〜+1.7nm、より好ましくは−1.5〜+1.5nmの範囲が挙げられ、さらに好ましくは−1〜+1nmの範囲が挙げられる。また、場合においては、好ましくは−1.6〜+1.6nm、より好ましくは−1.3〜+1.3nmであることが好ましい。また、肉眼的には凝集物の生成や沈殿物の形成の有無でも安定性を確認することができる。 また、下記に示すような極大吸収波長の変化率として好ましい範囲を表記することも出来る。極大吸収波長の変化率(%)=(各経過日数における極大吸収波長の0日目の極大吸収波長との差(nm)×100)/0日目の極大吸収波長(nm)極大吸収波長の変化率は、上記と同じ条件および日数において、通常−0.38〜+0.38%の範囲が示され、好ましくは−0.32〜+0.32%の範囲が好ましく、より好ましくは−0.28〜+0.28%の範囲が挙げられ、さらに好ましくは−0.19〜+0.19%の範囲が挙げられる。また、場合においては、好ましくは−0.30〜+0.30%、より好ましくは−0.24〜+0.24%の範囲が挙げられる。 また、本発明の保存安定性において、例えば80℃、pH5で少なくとも6日放置した場合に沈殿が生じないとの好ましい性質を与えることも期待される。沈殿を生じないとの判断の他に、極大吸収波長の変化として測定することもできる。0日目の極大吸収波長との差、または極大吸収波長の変化率、のそれぞれが上記にて提示した範囲となることが好ましい。 また、本発明のpH安定性において、少なくともpH4〜11の範囲の所定のpHで、180日間室温で保存した後の、極大吸収波長の変化において、0日目の極大吸収波長との差が−2.0nm〜+2.0nmの範囲が好ましい。好ましくは−1.7〜+1.7nm、より好ましくは−1.5〜+1.5nmの範囲が挙げられ、さらに好ましくは−1〜+1nmの範囲である。また、場合においては、好ましくは−1.6〜+1.6nm、より好ましくは−1.3〜+1.3nmであることが好ましい。さらに180日間室温での保存において安定であることの他、200日間、さらには300日間、特に好ましくは360日間のそれぞれ室温での保存期間で、上記の極大吸収波長の変化範囲(0日目の極大吸収波長との差)であることがさらに好ましい例として挙げられる。また、上記に示すような極大吸収波長の変化率としてその好ましい範囲を示すと、通常、−0.38〜+0.38%の範囲が示され、好ましくは−0.32〜+0.32%の範囲が好ましく、より好ましくは−0.28〜+0.28%の範囲が挙げられ、さらに好ましくは−0.19〜+0.19%の範囲が挙げられる。また、場合においては、好ましくは−0.30〜+0.30%、より好ましくは−0.24〜+0.24%の範囲も挙げられる。 また、本発明のコロイド溶液は、塩濃度の高い状況下においても沈殿等の特別な変化が生じない安定性を有することも期待できる。好ましくは、例えば、PVPが添加されたコロイド溶液(pH5)に、CaCl2を最低0.2M加えた後、一晩放置しても沈殿しない好ましい性質が挙げられる。沈殿の有無の評価に際しては、該コロイド溶液が、固/液分離する状態となるか確認すればよい。 本発明においてコロイドの回収率を測定するに際しては、以下のコロイド回収試験にて決定することができる。すなわち、評価すべきコロイド溶液を回収試験用多孔質膜にて濾過せしめた際のコロイド回収率を測定すればよい。回収試験用多孔質膜としては、(該膜の平均孔径nm)−(コロイドの平均粒子径nm)>10nmの条件を充足する膜を用いることが好ましい。コロイドの回収率は、濾過前のコロイド濃度と濾過後のコロイド濃度の比率として以下の式で表される[コロイド回収率(%)=(Cf/Co)×100:但し、濾過前の吸光度をCo、濾過後の吸光度をCfとする。]。 コロイド溶液をウイルス除去膜のインテグリティ試験用に用いる場合、上記の回収試験用多孔質膜の材質は、ウイルス除去膜と同一材質からなることが好ましい。回収率が高い場合には、膜素材に対するコロイド粒子の吸着が小さいと通常判断できる。その結果、ウイルス除去膜の孔の大きさによる粒子のふるい分けの原理での性能評価が可能となり、ウイルス除去膜のインテグリティ試験に適していると言える。本発明の回収率は、通常、70%以上、好ましくは75%以上、さらに好ましくは78%以上、特に好ましくは80%以上が例示される。また、場合によっては83%以上、さらには94%以上、特には97%以上が極めて好ましい例として挙げられる。 より具体的に説明すると、例えば、平均孔径が約35nmの回収試験用多孔質膜に平均粒子径17nmの金属コロイド溶液を濾過し、濾過前の金属コロイド濃度と濾過後の金属コロイド濃度を比較する。濾過の方法は、各膜において最適な濾過方法であれば、なんでもよいが、例として定圧Dead−end法のような方法で行う。その際の濾過圧力は、各膜の圧力耐性に応じて(膜構造を破壊しない)最適な濾過圧力範囲を設定すれば良い。膜に対して例えば、2.5〜5.0L/m2液を通過させた際の回収率を測定することが好ましい。 金属コロイド溶液の濃度測定方法は以下の方法が例示される。金属コロイド溶液の吸収スペクトルを分光光度計などを用いて測定し、極大吸収波長を特定する。極大吸収波長での金属コロイド溶液の吸光度を濾過前後で測定する。 本発明で用いる多孔質膜の素材としては、セルロース系または合成高分子系が特に好ましい例として挙げられる。 セルロース系としては、再生セルロース、天然セルロース、酢酸セルロースが例示される。本発明で用いる合成高分子系としては、熱可塑性高分子が例示される。好ましくは、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホンが例示される。ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホンは、通常は、表面親水化処理されていることが好ましい。表面親水化処理としては、例えば、膜の表面または細孔表面が、自発的に水に濡れるような性質となるような処理が例示される。その親水化処理方法としては、公知の方法に従って、例えば、グラフトまたはコーティングにより行うことができる。 代替粒子を用いた本発明のインテグリティ試験においては、その原理がウイルス除去と同じ、粒子のふるい濾過であるために、同じメカニズム同士の特性値の相関関係を取ることができ信頼性が高いという特徴がある。さらに、金コロイドの濾過による方法は溶液の調整が容易であり、その濃度測定も簡単で精度がよいので好ましい。インテグリティ試験に際しては、ウイルス除去膜としての使用後に、洗浄処理を行い、膜の残存物(タンパク、脂質等)の測定に与える影響(残存物の詰まりなどによる膜の孔径分布変化)を可能なかぎり少なくする工程が通常は必要と考えられる。その後、金属コロイド溶液を濾過し、ウイルス除去膜の除去性(性能)を確認する。本発明のコロイド溶液はpHに対する安定性が高く、又は高い塩濃度においても安定なため、洗浄処理の簡素化が可能である。本発明のウイルス除去膜の平均孔径としては、平均孔径が10〜100nmの範囲が例示される。 本発明のコロイド溶液を用いてインテグリティ試験を行なうには、常法を用いることができる。すなわち、濾過を行なった後のウイルス除去膜を酸やアルカリ、界面活性剤等を含んだタンパク除去剤等の洗浄液を使用し洗浄する。その後、膜中に残存するアルカリ溶液を酸で中和処理するか水で洗浄後、コロイド溶液を洗浄処理後のウイルス除去膜で濾過し、除去性を測定する。本発明のコロイド溶液は幅広いpH安定性を有するから、ウイルス除去膜のpH耐性等に応じて、適宜pHを選択できる利点がある。 本発明のコロイド溶液を用いて再生セルロースからなるウイルス除去膜のインテグリティ試験を行う際の例として、ウイルス除去膜として使用後に、アルカリ洗浄した後、酸洗浄により膜中の液のpHを厳密に中性域にすることなしに、水洗浄後、コロイド溶液で膜の性能確認をすることができる。本発明のコロイド溶液を用いて合成高分子、例えば、親水化ポリフッ化ビニリデンからなるウイルス除去膜のインテグリティ試験を行う際の例として、ウイルス除去膜として使用後に、酸洗浄、水洗浄後、コロイド溶液で膜の性能確認をすることができる。 本発明に係る洗浄方法は、一般的な洗浄方法であれば特に制限されないが、例えば、洗浄液中で超音波洗浄する方法、洗浄液を浸漬する洗浄方法、洗浄液を順洗する洗浄方法、洗浄液を逆洗する洗浄方法等が挙げられる。順洗とは、有機物の濾過と同方向に洗浄液を流す洗浄方法であり、逆洗とは有機物の濾過と逆方向に洗浄液を流す洗浄方法である。膜の形状にも因るが、好ましくは順洗洗浄、逆洗洗浄を行うことが効果的である。本発明に係る洗浄温度は、洗浄液に影響を与えなければ特に制限されないが、4℃〜40℃の温度が好ましい。 本発明に係る洗浄圧力は、多孔質膜の構造に影響しない圧力であれば特に制限されないが、耐圧性の低いセルロース膜のような場合は100kPa以下、耐圧性の高いポリフッ化ビニリデン膜やポリスルホン膜のような場合は300kPa以下で使用でき、できるだけ高い圧力を使用することが好ましい。 ウイルス除去膜の性能を確認する方法としては、以下に従って対数除去係数(LRV)を算出する方法が例示される。すなわち、コロイド溶液をウイルス除去膜にて濾過する方法は、各膜において最適な濾過方法であれば何れでもよいが、例として定圧Dead−end法のような方法が挙げられる。その際の圧力は、多孔質膜の構造に影響しない圧力であれば特に制限されないが、耐圧性の低いセルロース膜のような場合は100kPa以下、耐圧性の高いポリフッ化ビニリデン膜やポリスルホン膜のような場合は300kPa以下で使用でき、できるだけ高い圧力を使用することが好ましい。金属コロイド溶液の吸収スペクトルを分光光度計などを用いて測定し、極大吸収波長を特定する。極大吸収波長での金属コロイド溶液の吸光度を濾過前後で測定し、対数除去係数(LRV)として表す。ここで、濾過前の吸光度をCo、濾過後の吸光度をCfとすると対数除去係数は下記の式により求められる[対数除去係数(LRV)=Log10(Co/Cf)]。 本発明のコロイド溶液の形態は、すべての試薬の混合された1試薬系、又は、試薬を分割する2試薬系などが挙げられる。例えば、金属粒子又は金属化合物粒子、及びN基を含有する水溶性高分子量分散剤、界面活性剤および/またはキレート剤からなる吸着防止剤がすべて含まれた1試薬系、金属粒子又は金属化合物粒子コロイドとN基を含有する水溶性高分子量分散剤、界面活性剤および/またはキレート剤からなる吸着防止剤の2試薬系等が挙げられる。また、それらの濃度は、測定に使用する時の濃度でも良いし、また、数倍〜10倍の濃度でも良い。 コロイド溶液を多孔質膜に接触せしめる工程(例えば、インテグリティ試験)の直前に界面活性剤および/またはキレート剤を添加しても良いし、コロイドの保存時の最初、又は任意の時点において添加してもよく、また分割して添加してもよい。分割としては、界面活性剤とキレート剤とを分けて添加することも、また界面活性剤やキレート剤のそれぞれの最終的な添加量を分割して添加してもよい。それらの添加量は、添加後のコロイド溶液中の界面活性剤および/またはキレート剤の最終濃度が上記に示した、最適な範囲内に入るように適宜設定すればよい。 他にも本発明のコロイド溶液は、体外診断薬用途が好ましい例として挙げられる。また、フォトクロミック材料、抗菌材料、防黴材料、防藻材料、磁性材料、非線形光学材料、顔料、触媒、導電性材料等としての用途も考えられる。 次に、実施例および比較例によって本発明を説明するが、これらの実施例等により限定されるものではない。 [実施例1]6.0mMの塩化金酸(和光純薬工業(株)製、試薬特級)の水溶液80gを反応容器にとり、蒸留水を320g、4%クエン酸ナトリウム水溶液を13.1g添加し、78℃で30分反応を行った。この時の溶液中の金濃度は約500ppmであった。反応終了後、東京化成社製PVP(K−15)(分子量10,000)30%溶液を39.8g添加した後、5%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液を24.0g添加することによって濃厚で青紫色の金コロイドの溶液を得た。その後、本溶液を塩酸または水酸化ナトリウムを用いてpH=4.7〜5.3に調整した。この金コロイド溶液をコロジオン膜張り付きメッシュ上で乾固し、透過型電子顕微鏡により観察した。金粒子の分散状態は良好で、平均粒子径は約28〜37nmであった。分光光度計により吸収スペクトルを測定したところ、金プラズモン吸収に由来する520〜530nmに最大吸収が見られた。金プラズモン吸収に由来する吸収スペクトルは粒子径が数nm〜数十nm程度の所謂ナノ粒子において見られるものである。また、極大吸収波長の値と平均粒子径の間には極めて高い相関関係があることが判っている。この金コロイド溶液の極大吸収波長の変化において、0日目と各経過日数での極大吸収波長の差が−1.5nmから+1.5nm(さらには−1.0nmから+1.0nm)の範囲であり、50℃の環境下で1年間安定であった。結果を表1に示す。 [実施例2]実施例1の方法で生成した金コロイド溶液を80℃環境下で貯蔵した。この金コロイド溶液の吸光特性は、6日以上安定であった。結果を表2に示す。 [実施例3]6.0mMの塩化金酸の水溶液80gを反応容器にとり、蒸留水を320g、4%クエン酸ナトリウム水溶液を15.9g添加し、70℃で60分反応を行った。この時の溶液中の金濃度は約500ppmであった。反応終了後、東京化成社製PVP(K−15)(分子量10000)30%溶液を39.8g添加した後、5%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液を24.0g添加することによって濃厚で鮮やかな赤色の金コロイドの水溶液を得た。その後、本溶液を塩酸または水酸化ナトリウムを用いてpH=2.0,3.0,4.0,5.0,7.0,9.0,11.0に変化させた。この金コロイド溶液をコロジオン膜張り付きメッシュ上で乾固し、透過型電子顕微鏡により観察した。金コロイド粒子の分散状態は良好で、平均粒子径は約20〜24nmであった。pH2〜11の各pHの金コロイド溶液を室温で180日間貯蔵しても吸光特性は安定であった。結果を表3に示す。 [実施例4]実施例3にて生成した金コロイド溶液に、塩化カルシウムを添加した。十分攪拌混合した後、1晩放置した。結果を表4に示す。pH4,5,7,9,11の金コロイド溶液については塩化カルシウムを0.2Mまで添加しても沈殿しなかった。 [比較例1]6.0mMの塩化金酸の水溶液80gを反応容器にとり、蒸留水を320g、4%クエン酸水溶液を13.9g添加し、80℃で30分反応を行った。この時の溶液中の金濃度は約500ppmであった。反応終了後、シグマ社製ポリエチレングリコール20%溶液を18.0g添加した後、ナカライテスク社製の5%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液を25.0g添加することによって金コロイド溶液を得た。その後、本溶液を塩酸または水酸化ナトリウムを用いてpH=4.7〜5.3に調整した。この金コロイド溶液をコロジオン膜張り付きメッシュ上で乾固し、透過型電子顕微鏡により観察した。金粒子の分散状態は良好で、平均粒子径は約34〜39nmであった。この金コロイド溶液を実施例と同様に50℃環境下で貯蔵し、結果を表1に示す。金コロイド溶液の安定性は実施例1と比較して悪く、保存240日後には大きく吸光特性が変化した。 [比較例2]比較例1にて生成した金コロイド溶液を実施例と同様に80℃環境下で貯蔵した。結果を表2に示す。金コロイド溶液の安定性は実施例1と比較して非常に悪く、4日後には凝集・沈殿し吸光特性も大きく変化した。 [比較例3]6.0mMの塩化金酸の水溶液80gを反応容器にとり、蒸留水を320g、4%クエン酸水溶液を15.9g添加し、70℃で60分反応を行った。この時の溶液中の金濃度は約500ppmであった。反応終了後、シグマ社製ポリエチレングリコール20%溶液を18.0g添加した後、ナカライテスク社製の5%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液を25.0g添加することによって金コロイド溶液を得た。この金コロイド溶液を、塩酸および水酸化ナトリウムを用いて溶液のpHを2.0,3.0,4.0,5.0,7.0,9.0,11.0に変化させた。このうちpH=5.0からなるコロイド溶液をコロジオン膜張り付きメッシュ上で乾固し、透過型電子顕微鏡により観察した。金粒子の分散状態は良好で、平均粒子径は約18〜22nmであった。各pHの金コロイド溶液を室温で貯蔵した。結果を表3に示す。pH=2.0、7.0、9.0、11.0の溶液については実施例3と比較して保存安定性が悪く、貯蔵180日目には吸光特性が変化した。また、pH=2.0の溶液については、90日経過以降、凝集・沈殿し測定不可能であった。 [比較例4]比較例3にて生成した金コロイド溶液に、塩化カルシウムを添加した。実施例4と同様に攪拌・静置し、結果を表4に示した。金コロイド溶液は、0.04M以下の低濃度で著しく凝集し沈殿した。 [実施例5]特開平4−371221号公報に記載の方法に従って、平均孔径13.8nm、15.5nm、15.7nm,17.6nm,19.3nm,23.8nm,24.3nm,24.8nm,36.1nmの銅アンモニア法再生セルロース多孔性中空糸膜を用いて、膜面積0.01m2のフィルターを製造した。なお、得られたセルロース多孔性中空糸膜の平均孔径は、特開平4−371221号公報の式2記載の方法で算出した。実施例3のpH=4から11の金コロイド溶液をさらに各pHの0.27%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液用いて10倍に希釈後、上記の孔径違いのフィルターで濾過した。濾過方法は定圧Dead−end法で,濾過圧力は26.7kPaにて行った。5〜10mlの濾液フラクションについて金コロイド濃度を吸光度より測定し、金コロイドのLRVを算出した。指標ウイルスとしてポリオウイルスを10%胎児牛血清を含んだD−MEM中に106.47TCID50/mlになるように調製後、上記の各種孔径中空糸膜からなるフィルターで濾過した。0〜30mlの濾液フラクションについてのウイルス濃度はFL細胞に対する50%細胞致死能からTCID50/mlとして算出した。金コロイド除去性とウイルス除去性との相関関係を図1に示す。金コロイドの除去性とウイルス除去性とは、良好な相関関係を示し、この結果から本発明の金属コロイド溶液はウイルス除去膜のインテグリティ試験に使用可能である。 [実施例6]特開平4−371221号公報に記載の方法に従って、平均孔径16.5nmの銅アンモニア法再生セルロース多孔性中空糸膜からなる膜面積0.001m2のフィルターを製造した。実施例3の各pHからなる金コロイド溶液をさらに、各pHの0.27%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液で10倍に希釈した液を用いて、定圧Dead−end法で、濾過圧力26.7kPaで濾過した。4〜6mlの濾液フラクションについて金コロイド濃度を吸光度測定より求め、LRVを算出した。結果を表5に示す。金コロイドの除去性は、pH4〜11の範囲でほぼLRV=2の値を示し、このpH範囲内では、インテグリティ試験において一定のLRV値を示すことがわかった。 [比較例5]比較例3の各pHからなる金コロイド溶液を実施例6と同様に希釈後、実施例6と同じフィルターを用いて濾過し、LRVを算出した。結果を表5に示す。 pHが大きくなるにつれてLRVが大きくなり、LRVのpH依存性があることがわかった。 [実施例7]6.0mMの塩化金酸の水溶液80gを反応容器にとり、蒸留水を320g、4%クエン酸ナトリウム水溶液を19.0g添加し、70℃で60分反応を行った。この時の溶液中の金濃度は約500ppmであった。反応終了後、東京化成社製PVP(分子量10,000)30%溶液を39.8g添加した後、5%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液を24.0g添加することによって濃厚で鮮やかな赤色の金コロイド溶液を得た。その後、本溶液を塩酸または水酸化ナトリウムを用いてpH=4.7〜5.3に調整した。この金コロイド溶液をコロジオン膜張り付きメッシュ上で乾固し、透過型電子顕微鏡により観察した。金コロイド粒子の分散状態は良好で、平均粒子径は約16〜20nmであった。特開平4−371221号公報に記載の方法に従って平均孔径19.3nmの銅アンモニア法再生セルロース多孔性中空糸膜からなる膜面積0.01m2のフィルターを製造した。3%濃度のウシグロブリン生理食塩水溶液を1時間濾過後、30ml水洗後、0.25N NaOHと1% SDS混合液で30ml洗浄し、さらに1/3000N HCl 80ml洗浄、水で30ml洗浄した。さらに金コロイド液を0.27%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液で10倍に希釈した液を濾過圧力26.7kPaにて濾過し、5〜10mlフラクションでの金コロイド濃度を吸光度から測定し、LRVを算出した。また、上記からHCl洗浄工程のみを省略し、同様に金コロイド濾過を行い、LRVを算出した。比較としてグロブリン濾過および洗浄処理を行っていないフィルターで金コロイド濾過を行い、LRVを算出した。また、透水回復率は蛋白濾過前のフィルター透水量に対する蛋白洗浄処理後のフィルター透水量の比率である。結果を表6に示す。金コロイドの除去性は、HCl洗浄処理工程を省略しても、洗浄工程を経たものと同じLRVを示した。 [実施例8]6.0mMの塩化金酸の水溶液80gを反応容器にとり、蒸留水を320g、4%クエン酸ナトリウム水溶液を19.4g添加し、70℃で60分反応を行った。この時の溶液中の金濃度は約500ppmであった。反応終了後、東京化成社製PVP(K−15)(分子量10,000)30%水溶液を39.8g添加した後、5%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液を24.0g添加することによって濃厚で鮮やかな赤紫色の金コロイド溶液を得た。その後、本溶液を塩酸または水酸化ナトリウムを用いてpH=4.7〜5.3に調整した。この金コロイド溶液をコロジオン膜張り付きメッシュ上で乾固し、透過型電子顕微鏡により観察した。金粒子の分散状態は良好で、平均粒子径は約18.5nmであった。分光光度計により吸収スペクトルを測定したところ、金プラズモン吸収に由来する520〜530nmに最大吸収が見られた。金プラズモン吸収に由来する吸収スペクトルは粒子径が数nm〜数十nm程度の所謂ナノ粒子において見られるものである。また、極大吸収波長の値と平均粒子径の間には極めて高い相関関係があることが判っている。この金コロイド溶液の極大吸収波長の変化において、0日目と各経過日数での極大吸収波長の差が−1.5nmから+1.5nm(さらには−1.0nmから+1.0nm)の範囲であり、50℃の環境下で1年間安定であった。 [実施例9]WO01/14047パンフレットに記載の方法に従って、平均孔径18.5nmの銅アンモニア法再生セルロース多孔性中空糸膜からなる膜面積0.01m2のフィルターを製造した。実施例8の金コロイド溶液をさらに、pH=2.0,3.0,4.0,5.0,7.0,9.0,11.0の0.27%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液で10倍に希釈し、さらに各pHになるように微調整した希釈金コロイド液を用いて、定圧Dead−end法で、濾過圧力26.7kPaで濾過した。5〜10mlの濾液フラクションについて金コロイド濃度を吸光度測定より求め、LRVを算出した。結果を表7に示す。pH4から11の範囲でほぼLRV=2.3の値を示し、このpH範囲内では、インテグリティ試験において一定のLRV値を示すことがわかった。 [実施例10]実施例8にて生成した金コロイド溶液を、塩酸または水酸化ナトリウムを用いて溶液のpH=4.0,5.0,7.0,9.0,11.0に変化させた。各pHの金コロイド溶液に塩化カルシウムを添加し、十分攪拌混合した後、一昼夜放置した。pH=4.0,5.0,7.0,9.0,11.0の金コロイド溶液については塩化カルシウムを0.2Mまで添加しても沈殿しなかった。 [実施例11]WO01/14047パンフレットに記載の方法に従って、平均孔径18.0nmから21.0nmの範囲の孔径が異なる銅アンモニア法再生セルロース多孔性中空糸膜を用いて、膜面積0.01m2のフィルターを製造した。実施例9のpH=4〜11の希釈金コロイド溶液を上記の孔径違いのフィルターで濾過した。濾過方法は定圧Dead−end法で,濾過圧力は26.7kPaにて行った。5〜10mlの濾液フラクションについて金コロイド濃度を吸光度より測定し、金コロイドのLRVを算出した。また、指標ウイルスとしてブタパルボウイルス(PPV)を5%胎児牛血清を含んだD−MEM中に105.89TCID50/mlになるように調製後、上記の孔径の異なる中空糸膜からなる膜面積0.001m2のフィルターで濾過圧力78.4kPaにて濾過した。0〜55mlの濾液フラクションについてのウイルス濃度はESK(ブタ腎)細胞に対する50%細胞致死能からTCID50/mlとして算出した。金コロイド除去性とウイルス除去性との相関関係を図2に示す。良好な相関関係を示し、この結果から本発明の金属コロイド溶液は小ウイルスをターゲットとしたウイルス除去膜のインテグリティ試験に使用可能である。 [実施例12]実施例1で作成した金コロイドをさらに0.27%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液用いて10倍に希釈後、平均孔径75nmの再生セルロース多孔性中空糸膜からなる膜面積0.01m2のフィルター プラノバ75N(旭化成ファーマ株式会社製、商品名)で濾過した。濾過方法は定圧Dead−end法で,濾過圧力は26.7kPaにて行った。濾液の25〜50ml(2.5〜5.0L/m2)フラクションについて金コロイド濃度の吸光度を測定し、金属コロイド吸着試験の回収率を算出した。その結果、回収率は、83.0%であった。結果を表8に示す。 [実施例13]6.0mMの塩化金酸の水溶液15gおよび蒸留水385gを反応容器に2バッチとり、攪拌しながら100℃に昇温後、3.0%クエン酸ナトリウム水溶液を8.5〜9.0g添加し60分反応を行った。この時の溶液中の金濃度は、約90ppmであった。反応終了後、蒸留水350mlで希釈した。そこに東京化成社製PVP(K−15)(分子量10000)30%水溶液を6.5g添加し、さらに40wt%のポリアクリル酸ナトリウム溶液(日本純薬製AC−103)7.7g添加し、金コロイド溶液を調製した。分光光度計により吸収スペクトルを測定したところ、529.4nmに最大吸収が見られ、赤色の水溶液であった。この金コロイド溶液をコロジオン膜張り付きメッシュ上で乾固した後、透過型電子顕微鏡により観察した。金粒子の平均粒子径は約16〜17nmであった。 [実施例14]WO01/14047パンフレットの記載方法に従って、平均孔径29nmの再生セルロース多孔性中空糸膜を製造し、膜面積0.006m2のフィルターを製造した。このフィルターを用い、実施例13の方法で作製した金コロイド溶液を濾過した。濾過方法は、Dead−end法で、濾過圧力26.7kPaにて行った。濾液の15〜30ml(2.5〜5.0L/m2)フラクションについて金コロイド濃度の吸光度を測定し、金属コロイド吸着試験の回収率を算出した。その結果、回収率は、94.6%であった。結果を表8に示す。 [実施例15]ポリフッ化ビニリデン樹脂(SOLVAY社製、SOFEF1012、結晶融点173℃)40wt%、フタル酸ジシクロヘキシル(大阪有機化学工業(株)製 工業品)60wt%からなる組成物を、ヘンシェルミキサーを用いて70℃で攪拌混合した後、冷却して粉体状としたものをホッパーより投入し、二軸押出機(東洋精機(株)製 ラボプラストミル MODEL 50C 150)を用いて210℃で溶融混合し均一溶解した。続いて、中空内部に温度が130℃のフタル酸ジブチル(三建化工(株)製)を8ml/分の速度で流しつつ、内直径0.8mm、外直径1.1mmの環状オリフィスからなる紡口より吐出速度17m/分で中空糸状に押し出し、40℃に温調された水浴中で冷却固化させて、60m/分の速度でカセに巻き取った。その後、99%メタノール変性エタノール(今津薬品工業(株)製 工業品)でフタル酸ジシクロヘキシル及びフタル酸ジブチルを抽出除去し、付着したエタノールを水で置換した後、水中に浸漬した状態で高圧蒸気滅菌装置(平山製作所(株)製 HV−85)を用いて125℃の熱処理を1時間施した。その後、付着した水をエタノールで置換した後、オーブン中で60℃の温度で乾燥することにより中空糸状の微多孔膜を得た。抽出から乾燥にかけての工程では、収縮を防止するために膜を定長状態に固定して処理を行った。続いて、上記の微多孔膜に対し、グラフト法による親水化処理を行った。反応液は、ヒドロキシプロピルアクリレート(東京化成(株)製 試薬グレード)を8容量%となるように、3−ブタノール(純正科学(株)試薬特級)の25容量%水溶液に溶解させ、40℃に保持した状態で、窒素バブリングを20分間行ったものを用いた。まず、窒素雰囲気下において、該微多孔膜をドライアイスで−60℃に冷却しながら、Co60を線源としてγ線を、100kGy照射した。照射後の膜は、13.4Pa以下の減圧下に15分間静置した後、上記反応液と該膜を40℃で接触させ、1時間静置した。その後、膜をエタノールで洗浄し、60℃真空乾燥を4時間行い、親水化されたPVDF多孔性中空糸膜を得た。なお、得られた親水化PVDF多孔性中空糸膜の平均孔径は、次式を用いて算出した。親水化PVDP多孔性中空糸膜の平均孔径=未親水化PVDP多孔性中空糸膜の平均孔径×((親水化処理後の透水量)/(親水化処理前の透水量))1/4上記式中の未親水化PVDP膜は、上記親水化処理を施す前の膜であり、また、透水量はそれぞれの膜について定圧Dead−end法による温度25℃の純水の透過量を測定し、膜面積、濾過圧力(0.1MPa)、及び濾過時間より、次式の通りに計算して得た透水量を用いた。[透水量(m3/m2/秒/Pa)=透過量÷(膜面積×差圧×濾過時間)]得られた膜の平均孔径は、28.0nmであった。このPVDF多孔性中空糸膜を用いた以外、実施例14と同様の方法(濾過圧力98kPa)で金属コロイド吸着試験の回収率を算出した。その結果、金コロイド回収率は、94.7%であった。結果を表8に示す。 [実施例16]実施例13のポリアクリル酸ナトリウム溶液の代わりにアクリル酸ナトリウム−メタクリル酸ナトリウム共重合体溶液を使用した以外、実施例15と同様の方法(濾過圧力98kPa)で金属コロイド吸着試験の回収率を算出した。その結果、金コロイド回収率は、93.5%であった。結果を表8に示す。 [実施例17]実施例13のポリアクリル酸ナトリウム溶液の代わりにトリポリリン酸ナトリウム(STPP)を使用した以外、実施例15と同様の方法(濾過圧力98kPa)で金属コロイド吸着試験の回収率を算出した。その結果、金コロイド回収率は、97.5%であった。結果を表8に示す。 [実施例18]実施例13のポリアクリル酸ナトリウムの代わりにエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA−2Na)を使用した以外、実施例15と同様の方法(濾過圧力98kPa)で金属コロイド吸着試験の回収率を算出した。その結果、金コロイド回収率は、87.4%であった。結果を表8に示す。 [実施例19]再生セルロース多孔性中空糸膜の代わりに平均孔径220nmの親水化されたPVDF多孔性平膜からなるフィルターMillexGV(膜面積0.00039m2)(Millipore製、登録商標)を用いて、実施例15と同様の方法(濾過圧力26.7kPa)で金属コロイド吸着試験の回収率を算出した。その結果、金コロイド回収率は、98.0%であった。結果を表8に示す。 [比較例6]実施例13のポリアクリル酸ナトリウム溶液の代わりにドデシル硫酸ナトリウムを使用した以外は実施例15と同様の方法(濾過圧力98kPa)で金属コロイド吸着試験の回収率を算出した。その結果、金コロイド液が通液せず、回収率は、測定できなかった。 [比較例7]実施例13のポリアクリル酸ナトリウム溶液を添加しないで作成した金コロイド溶液を使用し、実施例15と同様の方法(濾過圧力98kPa)で金属コロイド吸着試験の回収率を算出した。その結果、金コロイド回収率は、55.4%であった。結果を表8に示す。 [比較例8]実施例13のPVP(K−15)を添加しないで作成した金コロイド溶液を使用し、実施例15と同様の方法(濾過圧力98kPa)で金属コロイド吸着試験の回収率を算出した。その結果、金コロイドが凝集し、回収率は、測定できなかった。 [実施例20]6.0mMの塩化金酸の水溶液80gおよび蒸留水320gを反応容器にとり、攪拌しながら70℃に昇温後、4.0%クエン酸ナトリウム水溶液を18.5g添加し60分反応を行った。この時の溶液中の金濃度は、500ppmであった。反応終了後、東京化成社製PVP(K−15)(分子量10000)30%水溶液を37.5g添加し、さらに、40wt%のポリアクリル酸ナトリウム溶液(日本純薬製AC−103)9.0gをすることによって濃厚で赤色の金コロイド溶液を得た。濃厚の金コロイド溶液10gを取り、注射用水88.2gに40wt%のポリアクリル酸ナトリウム(日本純薬製AC−103)1.8gを添加した水溶液で希釈し、赤色の金コロイド溶液を得た。分光光度計により吸収スペクトルを測定したところ、金プラズモン吸収に由来する526nmに最大吸収が見られた。この金コロイド溶液をコロジオン膜張り付きメッシュ上で乾固した後、透過型電子顕微鏡により観察した。金粒子の分散状態は良好で、平均粒子径は19nmであった。 [実施例21]実施例15のポリフッ化ビニリデン濃度を43〜49wt%変化させ、平均孔径15.9nm、17.6、18.0nm、19.1nm、20.6nm、21.2nmの親水化されたPVDF多孔性中空糸膜を製造し、膜面積0.01m2のフィルターを製造した。実施例20の方法で作製した希釈金コロイドを上記の孔径違いフィルターで濾過した。濾過方法は、Dead−end法で、濾過圧力98kPaにて行った。5〜10mlの濾液フラクションについて金コロイド濃度を吸光度より測定し、金コロイドLRVを算出した。指標ウイルスとしてパルボウイルスを、5%胎児牛血清を含んだD−MEM中に106〜7TCID50/mlとして算出した。金コロイド除去性とウイルス除去性との相関関係は、良好な相関関係を示した。この結果を図3に示す。この結果から本発明の金コロイド溶液はウイルス除去膜のインテグリティ試験に使用可能である。 [実施例22]6.0mMの塩化金酸の水溶液80gおよび蒸留水320gを反応容器にとり、攪拌しながら70℃に昇温後、4.0%クエン酸ナトリウム水溶液を16.0g添加し60分反応を行った。この時の溶液中の金濃度は、500ppmであった。反応終了後、東京化成社製PVP(K−15)(分子量10000)30%水溶液を37.5g添加し、さらに、40wt%のポリアクリル酸ナトリウム溶液(日本純薬製AC−103)9.0gをすることによって濃厚で赤色の金コロイド溶液を得た。濃厚の金コロイド溶液10gを取り、注射用水88.2gに40wt%ポリアクリル酸ナトリウム(日本純薬製AC−103)1.8gを添加した水溶液で希釈し、赤色の金コロイド溶液を得た。分光光度計により吸収スペクトルを測定したところ、金プラズモン吸収に由来する529nmに最大吸収が見られた。この金コロイド溶液をコロジオン膜張り付きメッシュ上で乾固した後、透過型電子顕微鏡により観察した。金粒子の分散状態は良好で、平均粒子径は21nmであった。 [実施例23]使用する注射用水(大塚製薬(株)製)及び3wt%のウシ血清γグロブリン(インビトロジェン(株)製)(IgG)、洗浄液はあらかじめ25℃にした。3wt%IgG溶液は、平均孔径35nmの再生セルロース多孔性中空糸膜からなるフィルター プラノバ35N(旭化成ファーマ株式会社製、商品名)を用いてプレフィルトレーションを行った。また、洗浄操作は全て25℃の恒温室で行った。はじめに、実施例15のポリフッ化ビニリデン樹脂の濃度を49wt%にし、平均孔径15.9nmの親水化されたPVDF多孔性中空糸膜を製造し、膜面積0.01m2のフィルターを製造した。このフィルターを用い、3wt%のIgGを濾過圧力294kPaで濾過した。初期濾過速度の1/5になるまで濾過した後、濾過圧力195kPaで0.1Mのクエン酸(和光純薬工業(株)製)水溶液を5分間逆洗濾過した。続いて、濾過圧力195kPaで注射用水を5分間逆洗濾過してフィルター内部の洗浄液を除去した。 次に、実施例22で作製した金コロイド溶液を定圧Dead−end法、98kPaの圧力で濾過した。5mlを流してフィルターに充填されていた水を置換した後、次の5mlを分取した。その濾液の526nmの吸光度を吸光度計(島津製作所製UV−1700)にて測定し、金コロイドの対数除去率(LRV)を算出した。同じ方法でIgG濾過及び洗浄を行っていないブランクフィルターの吸光度も測定をした。その結果、フィルターのLRVは2.03、ブランクフィルターのLRVは2.01であり、完全性試験が可能であることを確認できた。 [実施例24]6.0mMの塩化金酸の水溶液80gおよび蒸留水320gを反応容器にとり、攪拌しながら70℃に昇温後、4.0%クエン酸ナトリウム水溶液を16.0g添加し60分反応を行った。この時の溶液中の金濃度は、500ppmであった。反応終了後、水浴中で15分間冷却した。東京化成社製PVP(K−15)(分子量10000)30%水溶液を37.5g添加し、さらに、40wt%のポリアクリル酸ナトリウム溶液(日本純薬製AC−103)9.0gをすることによって濃厚で赤色の金コロイド溶液を得た。この濃厚の金コロイド溶液10gを取り、注射用水80gに40wt%のポリアクリル酸ナトリウム溶液(日本純薬製AC−103)1.8gを添加した水溶液で希釈し、塩酸、又、水酸化ナトリウムを用いてpH=2.0,3.0,4.0,5.0,7.0,9.0,11.0,12.0に調整した。さらに注射用水を添加し、全量を100gにした。この希釈金コロイド液を用いて、定圧Dead−end法、98kPaの圧力で濾過した。5mlを流してフィルターに充填されていた水を置換した後、次の5mlを分取した。その濾液の526nmの吸光度を吸光度計(島津製作所製UV−1700)にて測定し、金コロイドの対数除去率(LRV)を算出した。その結果、pH4から11の範囲でほぼLRV=2.0の値を示し、このpH範囲内では、インテグリティ試験において一定のLRV値を示すことが分かった。 [比較例9]特開平8−141388号公報の記載の方法にしたがって、金コロイド溶液を作成した。6.0mMの塩化金酸の水溶液80gを反応容器にとり、蒸留水を280g、東京化成社製PVP(K−15)(分子量10000)30%溶液を39.8g添加した後、4%クエン酸ナトリウム水溶液を14.9g添加し、70℃で60分反応を行った。この時の溶液中の金濃度は約500ppmであった。反応終了後、濃厚で赤紫色の金コロイドの溶液を得たが、液の下層部に茶褐色の沈殿物が肉眼的に観察され、得られた金コロイド溶液は不均一であった。この溶液を2分割し、一方については、最終濃度0.27%になるようにドデシル硫酸ナトリウム溶液を添加した。ドデシル硫酸ナトリウム添加ありなしの各金コロイド溶液を、塩酸または水酸化ナトリウムを用いてpH=4.7〜5.3に調整した。さらにこれらの金コロイド溶液の一部を80℃環境下で貯蔵した。3日経過後、0日目との極大吸収波長の差が2.0nmを超えており、不安定であった。また、室温で180日間保存した時点で、0日目との極大吸収波長の差は2.0nmを超えており、不安定であった。金コロイド粒子を析出させる際に、あらかじめPVPを含有している製造法においては、均一な金コロイド溶液は得られず、また、ドデシル硫酸ナトリウム添加の有無に関わらず、長期間保存において不安定であった。 [実施例25]6.0mMの塩化金酸の水溶液80gおよび蒸留水320gを反応容器にとり、攪拌しながら70℃に昇温後、4.0%クエン酸ナトリウム水溶液を16.0g添加し60分反応を行った。この時の溶液中の金濃度は、500ppmであった。反応終了後、東京化成社製PVP(K−15)(分子量10000)30%水溶液を37.5g添加し、さらに、40wt%のポリアクリル酸ナトリウム溶液(日本純薬製AC−103)9.0gをすることによって濃厚で赤色の金コロイド溶液を得た(pH=7.5)。調製した濃厚の金コロイド溶液を4℃、25℃、50℃内に静置し、この金コロイド溶液の極大吸収波長の変化を確認した結果、0日目と各経過日数での極大吸収波長の差が−1.5nmから+1.5nmの範囲であり、4℃、25℃、50℃の環境下で少なくとも90日以上安定であった。さらに1年間の安定性が期待される。 [実施例26]実施例1の方法で、PVP添加した後の濃厚金コロイド溶液にドデシル硫酸ナトリウムを0.14%、1.0%のそれぞれになるように添加した。塩酸又は水酸化ナトリウムを用いてpH4.7〜5.3に調整した。さらに0.14%、1.0%ドデシル硫酸ナトリウムを含有した濃厚金コロイド溶液を、0.14%、1.0%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液で、それぞれを10倍に希釈し、希釈金コロイド溶液を得た。実施例12と同様の方法で金属コロイド吸着試験の回収率を測定したところ、0.14%ドデシル硫酸ナトリウム含有金コロイド溶液では回収率は75%であった。また、1.0%ドデシル硫酸ナトリウム含有金コロイド溶液では回収率は75%以上であった。 [実施例27]実施例13の方法で、PVP添加後の金コロイド溶液にポリアクリル酸ナトリウムを0.08%、2.0%、3.0%のそれぞれになるように添加した。ポリアクリル酸ナトリウム3.0%添加では、金コロイド液に沈殿物が観察された。実施例15と同様の方法で金属コロイド吸着試験の回収率を測定したところ、0.08%ポリアクリル酸ナトリウムでは回収率が72%であった。また、2.0%ポリアクリル酸ナトリウム含有金コロイド溶液では回収率70%以上であった。 [実施例28]実施例1の方法で、還元反応が終了後の濃厚金コロイド溶液にPVPが0.025%、5.0%のそれぞれになるように添加後、さらにドデシル硫酸ナトリウム濃度を0.27%になるように添加し、0.025%、5.0%のそれぞれのPVPを含有した濃厚金コロイド溶液を得た。その後塩酸または水酸化ナトリウムを用いてpH=4.7〜5.3に調整した。さらに、0.27%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液で10倍に希釈し、0.0025%および0.5%PVPを含有した希釈金コロイド溶液を得た。 本発明のコロイド溶液は、保存安定性、又はpH安定性等において優れ、ウイルス除去膜のインテグリティ試験用のウイルス代替粒子として好適である。 少なくとも以下の(1)〜(4)を含有する、ウイルス除去膜のインテグリティテストに用いられる金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液であって、 (1)平均粒子径1〜100nmの1種類の金属粒子又は1種類の金属化合物粒子 (2)N基を含有する水溶性高分子量分散剤 (3)水及び/又は水溶性有機溶媒 (4)界面活性剤及び/又はキレート剤該コロイド溶液が下記の(a)及び(b)の性質を有することを特徴とする金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液。 (a)該コロイド溶液を、pH4〜11の範囲内における一定のpHにて、室温、180日間保存した前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。 (b)該コロイド溶液を、pH5にて50℃、1年間保存した後も、その処理の前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。 金属粒子又は金属化合物粒子の平均粒子径が、15〜40nmである請求項1に記載のコロイド溶液。 少なくとも以下の(1)〜(4)を含有する、ウイルス除去膜のインテグリティテストに用いられる金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液であって、 (1)平均粒子径15〜40nmであり、粒子径分布の変動率が30%以下の1種類の金属粒子又は1種類の金属化合物粒子、 (2)N基を含有する水溶性高分子量分散剤、 (3)水及び/又は水溶性有機溶剤、 (4)界面活性剤及び/又はキレート剤該コロイド溶液が下記の(a)、(b)及び(c)の性質を有することを特徴とする金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液。 (a)該コロイド溶液を、pH4〜11の範囲内における一定のpHにて、室温、180日間保存した前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。 (b)該コロイド溶液を、pH5にて50℃、1年間保存した後も、その処理の前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。 (c)該コロイド溶液において、該コロイド溶液を回収試験用多孔質膜にて濾過せしめた際のコロイド回収率が70%以上であり、 (該回収試験用多孔質膜の平均孔径nm)―(コロイドの平均粒子径nm)>10nmの条件を充足すること。 界面活性剤が、陰イオン性界面活性剤である請求項1〜3のいずれかに記載のコロイド溶液。 少なくとも以下の(1)〜(4)を含有する、ウイルス除去膜のインテグリティテストに用いられる金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液の製造方法であって、 (1)平均粒子径1〜100nmの1種類の金属粒子又は1種類の金属化合物粒子、 (2)N基を含有する水溶性高分子量分散剤 (3)水及び/又は水溶性有機溶媒 (4)界面活性剤及び/又はキレート剤該コロイド溶液は下記の(a)及び(b)の性質を有するものであって、 (a)該コロイド溶液を、pH4〜11の範囲内における一定のpHにて、室温、180日間保存した前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。 (b)該コロイド溶液を、pH5にて50℃、1年間保存した後も、その処理の前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。 金属粒子又は金属化合物粒子に、N基を含有する水溶性高分子量分散剤を添加後、更に界面活性剤及び/又はキレート剤を加えることを特徴とするコロイド溶液の製造方法。 金属粒子又は金属化合物粒子の平均粒子径が、15〜40nmである請求項5に記載の金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液の製造方法。 少なくとも以下の(1)〜(4)を含有する、ウイルス除去膜のインテグリティテストに用いられる金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液の製造方法であって、 (1)平均粒子径15〜40nmであり、粒子径分布の変動率が30%以下の1種類の金属粒子又は1種類の金属化合物粒子 (2)N基を含有する水溶性高分子量分散剤 (3)水及び/又は水溶性有機溶媒 (4)界面活性剤及び/又はキレート剤該コロイド溶液は下記の(a)、(b)及び(c)の性質を有するものであって、 (a)該コロイド溶液を、pH4〜11の範囲内における一定のpHにて、室温、180日間保存した前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。 (b)該コロイド溶液を、pH5にて50℃、1年間保存した後も、その処理の前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。 (c)該コロイド溶液において、該コロイド溶液を回収試験用多孔質膜にて濾過せしめた際のコロイド回収率が70%以上であり、 (該回収試験用多孔質膜の平均孔径nm)―(コロイドの平均粒子径nm)>10nmの条件を充足すること。 金属粒子又は金属化合物粒子に、N基を含有する水溶性高分子量分散剤を添加後、更に界面活性剤及び/又はキレート剤を加えることを特徴とするコロイド溶液の製造方法。 金属化合物を溶媒に溶解し、金属を還元して金属粒子を析出せしめた後、N基を含有する水溶性高分子量分散剤を添加し、更に界面活性剤及び/又はキレート剤を加えることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のコロイド溶液の製造方法。 界面活性剤が、陰イオン性界面活性剤である請求項5〜8のいずれかに記載のコロイド溶液の製造方法。 ウイルス除去膜として使用した後に、少なくとも以下の(1)〜(4)を含有し、下記の(a)及び(b)の性質を有する、金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液を、該ウイルス除去膜に対して濾過せしめることを特徴とするウイルス除去膜のインテグリティ試験方法。 (1)平均粒子径1〜100nmの1種類の金属粒子又は1種類の金属化合物粒子 (2)N基を含有する水溶性高分子量分散剤 (3)水及び/又は水溶性有機溶媒 (4)界面活性剤及び/又はキレート剤 (a)該コロイド溶液を、pH4〜11の範囲内における一定のpHにて、室温、180日間保存した前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。 (b)該コロイド溶液を、pH5にて50℃、1年間保存した後も、その処理の前後において、該コロイド溶液の極大吸収波長の変化が−2.0nm〜+2.0nmの範囲であること。 ウイルス除去膜がセルロース系の多孔質膜であり、ウイルス除去膜として使用した後に、少なくとも以下の(1)〜(4)を含有する、金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液を、該ウイルス除去膜に対して濾過せしめることを特徴とするウイルス除去膜のインテグリティ試験方法。 (1)平均粒子径1〜100nmの1種類の金属粒子又は1種類の金属化合物粒子 (2)N基を含有する水溶性高分子量分散剤 (3)水及び/又は水溶性有機溶媒 (4)界面活性剤、又は、界面活性剤及びキレート剤 ウイルス除去膜が合成高分子系の多孔質膜であり、表面親水化された熱可塑性高分子からなり、ウイルス除去膜として使用した後に、少なくとも以下の(1)〜(4)を含有する、金属粒子又は金属化合物粒子のコロイド溶液を、該ウイルス除去膜に対して濾過せしめることを特徴とするウイルス除去膜のインテグリティ試験方法。 (1)平均粒子径1〜100nmの1種類の金属粒子又は1種類の金属化合物粒子 (2)N基を含有する水溶性高分子量分散剤 (3)水及び/又は水溶性有機溶媒 (4)キレート剤(但し、界面活性剤は包含しない) 熱可塑性高分子が、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホンのいずれかであることを特徴とする請求項12に記載のインテグリティ試験方法。 コロイド溶液をウイルス除去膜と同一材質の回収試験用多孔質膜にて濾過せしめた際のコロイド回収率が70%以上であり、 (該回収試験用多孔質膜の平均孔径nm)―(コロイドの平均粒子径nm)>10nmの条件を充足すること、を特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載のインテグリティ試験方法。 金属粒子が金、銀、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジュウム、オスミウム、鉄、銅のうちの少なくとも一種であることを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載のインテグリティ試験方法。 金属粒子又は金属化合物粒子の平均粒子径が15〜40nmであり、粒子径分布の変動率が30%以下である請求項10〜15のいずれかに記載のインテグリティ試験方法。 N基を含有する水溶性高分子量分散剤が、ポリビニルピロリドン、又はポリビニルピロリドン共重合体であることを特徴とする請求項10〜16のいずれかに記載のインテグリティ試験方法。 該界面活性剤が、ドデシル硫酸又はその塩であることを特徴とする請求項10、11、14〜17のいずれかに記載のインテグリティ試験方法。 該キレート剤が、トリポリリン酸、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸共重合体、エチレンジアミンテトラ酢酸、又はそれらの塩のうち少なくとも一種からなることを特徴とする請求項10〜17のいずれかに記載のインテグリティ試験方法。


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