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タイトル:特許公報(B2)_フラボノイドの可溶化剤及び可溶化方法
出願番号:2005511324
年次:2011
IPC分類:C07D 311/26,A23L 1/30,A23L 2/52,A61K 8/49,A61K 8/60,A61K 8/63,A61K 31/352,A61K 47/26,A61K 47/28,A61L 9/01,A61Q 11/00,A61Q 19/10,C07H 17/07,C11D 7/44


特許情報キャッシュ

津崎 真一 和根崎 智 荒木 秀雄 JP 4826740 特許公報(B2) 20110922 2005511324 20040624 フラボノイドの可溶化剤及び可溶化方法 不二製油株式会社 000236768 津崎 真一 和根崎 智 荒木 秀雄 JP 2003270377 20030702 20111130 C07D 311/26 20060101AFI20111110BHJP A23L 1/30 20060101ALI20111110BHJP A23L 2/52 20060101ALI20111110BHJP A61K 8/49 20060101ALI20111110BHJP A61K 8/60 20060101ALI20111110BHJP A61K 8/63 20060101ALI20111110BHJP A61K 31/352 20060101ALI20111110BHJP A61K 47/26 20060101ALI20111110BHJP A61K 47/28 20060101ALI20111110BHJP A61L 9/01 20060101ALI20111110BHJP A61Q 11/00 20060101ALI20111110BHJP A61Q 19/10 20060101ALI20111110BHJP C07H 17/07 20060101ALI20111110BHJP C11D 7/44 20060101ALI20111110BHJP JPC07D311/26A23L1/30 ZA23L1/30 BA23L2/00 FA61K8/49A61K8/60A61K8/63A61K31/352A61K47/26A61K47/28A61L9/01 RA61Q11/00A61Q19/10C07H17/07C11D7/44 C07D A23L A61K A61L A61Q C07H C11D CAplus(STN) REGISTRY(STN) 特開平06−197734(JP,A) 特開平08−317762(JP,A) 特開平09−117264(JP,A) 特開2001−010963(JP,A) 特開2003−000195(JP,A) 特開2002−234844(JP,A) 特開2004−065128(JP,A) 特開2004−091392(JP,A) 5 JP2004008864 20040624 WO2005003112 20050113 11 20070208 新留 素子 本発明は、一般に難溶性であるフラボノイドを高度に可溶化することのできるフラボノイド可溶化剤及び可溶化方法に関する。 特公平4−27823号公報特開平3−27293号公報特許第3060227号公報特開平5−176786号公報特開平7−107972号公報特開平10−101705号公報特開平9−309902号公報特開平10−298175号公報特開2003−195号公報Planta Med,67(1),49−54,2001 フラボノイドとは、フェニルクロマン骨格(C6−C3−C6/A環−C環−B環)を基本構造とする芳香族化合物であり、C環部分の違いによりフラボン類、フラボノール類、フラバノン類、フラバノノール類、イソフラボン類、アントシアニン類、フラバノール類、カルコン類、オーロン類などに分類される。近年、天然成分の様々な機能性の解明が進み、フラボノイドの生理機能が注目されるようになってきている。しかしながら、フラボノイドは水に難溶性のものが多く、食品、特に飲料などにおいては、製造時や保存中に白濁や沈殿などの問題が生じてしまい、産業上の利用が難しかった。 このため、フラボノイドを可溶化させる方法として従来、イソフラボン、ルチン、ヘスペリジン等にα−グリコシル糖転移酵素を作用させてα−グリコシルイソフラボノイド、α−グリコシルルチン、α−グリコシルヘスペリジンに変換する方法(特許文献1〜3)、カテキン類とグルコース−1−リン酸またはシュークロースとの混合液にシュークロースホスホリラーゼを作用させカテキン類配糖体を得る方法(特許文献4)、フラボノイド類をpH8以上のアルカリ域で、あるいは/及びサイクロデキストリンを加えて可溶化し、サイクロデキストリン合成酵素で糖転移させ配糖体を生成させる方法(特許文献5)、フラボノイドを強アルカリ溶液で溶解し増粘多糖類溶液に添加する方法(特許文献6)、イソフラボンをサイクロデキストリンで包接する方法(特許文献7,8)などが知られている。 しかし、上記方法はいずれも特定のフラボノイドに対する可溶化法や構造変換により溶解性を高める方法であり、基盤技術として天然に存在するフラボノイド全般に対する可溶化法を提供するものではなく、汎用性の面で問題がある。特許文献7,8の方法では、サイクロデキストリンはそれ自体溶解度があまり高くないため添加量が制限され、また添加量が多いとフレーバーなどを包接してしまうため、食品の風味付けなどの商品設計に支障をきたす場合がある。 一方、イソフラボン類はマメ科及びアヤメ科植物に主として配糖体の形で存在する。具体的にはダイジン、ゲニスチン、グリシチン、及びマロニル配糖体である6″−O−マロニルダイジン、6″−O−マロニルゲニスチン、6″−O−マロニルグリシチン、及びアセチル配糖体である6″−O−アセチルダイジン、6″−O−アセチルゲニスチン、6″−O−アセチルグリシチン、及びアグリコンであるダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン等が存在する。これらのイソフラボン類も概して水難溶性であるが、その中でもマロニル配糖体は側鎖に解離基を持つため比較的水に溶けやすい性質を有することで知られているが、イソフラボンのみならず、ましてや他のフラボノイドに対して可溶化作用を有することはこれまで知られていない。 サポニン類は化学構造上、主にステロイドサポニンとトリテルペノイドサポニンに分類される。トリテルペノイドサポニンであるキラヤサポニン、大豆サポニン、エンジュサポニンは食品用の天然乳化剤として知られている。特許文献9にはサポニン類をグリセリンや糖類などと併用することによりケルセチンなどを含むイチョウ葉抽出物を可溶化する技術が開示されている。そしてキラヤサポニンが特に界面活性能に優れているから好ましいとされている。しかしサポニン類はルチン等の水難溶性化合物に対する可溶化作用は弱く、一般的に可溶化剤とすべきではないとの報告もあることから(非特許文献1)、界面活性能が高いからといってフラボノイドの可溶化能が高いか否か、どれほど汎用性が高いのかは不明である。 本発明の目的は、難溶性フラボノイドの新規な可溶化方法を提供することにある。 本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、全く意外にも、水性媒体中において大豆サポニンまたはマロニルイソフラボン配糖体をフラボノイドと共存させると、フラボノイドの水に対する溶解性が向上すること、さらに大豆サポニンとマロニルイソフラボン配糖体を併存させるとフラボノイドの溶解性がフラボノイドの種類によってはさらに向上することを見出し、本発明を完成させた。 即ち、本発明はフラボノイドにマロニルイソフラボン配糖体及び/又は大豆サポニンを水性媒体中に共存させることを特徴とするフラボノイドの可溶化法に関するものである。 本発明の方法は、天然に存在する水に難溶な各種フラボノイド全般に対して、煩雑な加工処理を行うことなく、容易な操作で透明に可溶化することができる極めて汎用性・操作性の高い方法である。さらに可溶化されたフラボノイドは低温下で長期の保存に亘って沈殿を生成することないので、保存安定性・冷蔵安定性にも優れた効果を有する。作用 本発明におけるフラボノイドの可溶化機構は解明できていないが、大豆サポニンが水性媒体中でフラボノイドと混合ミセルを形成することにより可溶化されるのではないかと推測される。さらにマロニルイソフラボン配糖体は、芳香族環同士の疎水的相互作用によりフラボノイドとの親和性が高まり、水への可溶化力が向上するのではないかと推察される。そして両成分が併存すると、フラボノイドの種類によっては相乗的に可溶化力が向上すると推察される。 以下、本発明を具体的に説明する。先ず本発明におけるフラボノイドとしては、例えばフラボン類(フラボン、アピゲニン、ルテオリン、バイカレイン、クリシン等)、フラボノール類(ケンフェロール、ケルセチン、ミリセチン等)、フラバノン類(ヘスペレチン、ナリンゲニン、リキリチゲニン等)、フラバノノール類(アルピノン、タキシフォリン等)、イソフラボン類(ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン、エクオール、ビオカニンA、クメストロール、プエラリン、ホルモノネチン等)、アントシアニン類(ペラルゴニジン、シアニジン、デルフィニジン、マルビジン、ペツニジン、ペオニジン、ペチュニジン等)、フラバノール類(エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、テアフラビン等のカテキン類、ロイコアントシアニジン等)、カルコン類(カルタミン、フロレチン等)、オーロン類(オールーシジン等)などとそれらの配糖体及び類縁体が挙げられるが、特に限定されず、あらゆるフラボノイドに対して広く適用が可能である。これらのフラボノイドは概して水難溶性の性質を有する。 次にフラボノイドの可溶化方法について説明する。フラボノイドを可溶化するには、水性媒体中にフラボノイド並びに、大豆サポニン及び/又はマロニルイソフラボン配糖体を共存させればよく、マロニルイソフラボン配糖体及び大豆サポニンを併用することが最も可溶化能・汎用性に優れ、好ましい。 水性媒体としては、水、アルコール水溶液、アルカリ水溶液や、糖類、果汁、野菜汁、ビタミン類、酸味料、甘味料、塩類等が添加された水溶液が含まれる。また乳などの水中油型乳化エマルジョンでもよい。水性媒体のpHは大豆サポニンやフラボノイドの溶解性を高めるため、pH5以上、好ましくはpH6〜8が適当である。 水性媒体中に共存させる方法は、特に限定されるものではなく、フラボノイドと大豆サポニン及び/又はマロニルイソフラボン配糖体を含む水性媒体を攪拌したり、ホモゲナイズするなどの一般的な方法が挙げられる。 その際、大豆サポニン及び/又はマロニルイソフラボン配糖体との共存時にフラボノイドの溶解性を高めるため、水性媒体を加熱処理することが好ましく、加熱条件は対象とするフラボノイドの溶解性を考慮して設定すればよいが、通常60〜150℃において数秒から1時間程度行えばよい。もちろん、かかる加熱処理は飲料等の製品の製造工程における加熱殺菌によって兼ねることもできる。 また、予めフラボノイドを炭素数1から4の脂肪族アルコールやその含水溶媒又はアルカリ溶液などに溶解した後、水性媒体中に大豆サポニン及びマロニルイソフラボン配糖体とフラボノイドを共存させてもよい。 大豆サポニンは、ソヤサポニンとも称されており、グループAサポニン、グループBサポニン、グループEサポニン、DDMPサポニンなどが含まれ、キラヤサポニンなどとは構造が異なる。本発明においては、それらいずれかの成分の単独又は混合系で用いることができる。中でもグループAサポニンは大豆胚軸にのみ分布する特有のビスデスモシドサポニンであり、特に可溶化能が高く、これが大豆サポニン中50%以上占めることが好ましい。このため、本発明における大豆サポニン含有物の調製法は、特に制限されないが、大豆胚軸から水又は含水アルコール等の溶媒を用いて抽出し、適宜精製するのが最も好ましい。また、大豆サポニンを主体に含有する組成物を用いる場合も包含され、例えば大豆サポニンを約50%(内、グループAサポニンが約33%)含有する市販の「ソイヘルスSA」(不二製油社製)などを用いることができる。 マロニルイソフラボン配糖体としては、例えば6″−O−マロニルダイジン、6″−O−マロニルゲニスチン、6″−O−マロニルグリシチン等を単独又は混合系で用いることができる。これらのマロニルイソフラボン配糖体は側鎖にマロニル基を有するため、イソフラボン類の中では比較的水に溶けやすい性質を有する。マロニルイソフラボン配糖体の調製法は、特に制限されないが、大豆や大豆胚軸等から水又は含水アルコール等の溶媒を用いて抽出し、適宜精製して得ることが出来る。また、マロニルイソフラボン配糖体を主体に含有する組成物を用いる場合も当然包含され、例えばマロニルイソフラボン配糖体を約20%含有する市販の「ソヤフラボンHG」(不二製油(株)製)などを用いることができる。 大豆サポニンの使用量は、乾燥重量比でフラボノイドに対して、5重量%以上、より好ましくは30〜300重量%用いることが適当である。添加量が少ないとフラボノイドを十分に可溶化できず、逆に添加量が多くなりすぎると不経済である。 マロニルイソフラボン配糖体を併用する場合の使用量は、乾燥重量比でフラボノイドに対して、5重量%以上、より好ましくは30〜300重量%用いることが適当である。 フラボノイドの使用量は目的に応じて適宜調整することができるが、フラボノイドを最大限に溶かす場合には、フラボノイドを過剰量加えて飽和させた後、ろ過などにより固形物を除けばよい。このようにして可溶化されたフラボノイドは透明に溶解し、かつ水性媒体中での安定性にも優れた性質を有する。冷蔵下においても十分な安定性が必要な場合には、固形物のろ過前に予め低温下に冷却してからろ過することが好ましい。 以上に示した可溶化方法は下記製品の製造工程において使用することができ、フラボノイドが可溶化され、保存安定性の高いフラボノイド含有製品とすることができる。 また大豆サポニン及び/又はマロニルイソフラボン配糖体のフラボノイド可溶化能を利用し、これらの純品又は含有物をそのまま、又は所望により糖類、乳化剤等の添加剤を混合してフラボノイド可溶化剤として提供することができる。このフラボノイド可溶化剤は粉末、液体等の種々の形態に加工して提供が可能である。 また、大豆サポニン及び/又はマロニルイソフラボン配糖体のフラボノイド可溶化能を利用して、水性媒体中にフラボノイド並びに大豆サポニン及び/又はマロニルイソフラボン配糖体を共存させ、これを必要により加熱処理してフラボノイドを可溶化した溶液をそのまま、あるいは粉末に加工し、可溶化フラボノイド組成物として提供できる。得られた可溶化フラボノイド組成物は、常温で極めて水溶性が高いので、種々の製品、特に液体製品、例えば飲食品、医薬品、医薬部外品、化粧品、口腔剤、歯磨剤、芳香剤、消臭剤、洗浄剤等の製造時にそのまま添加して利用することができる。中でもフラボノイドの有する多様な生理機能が付与された健康飲食品への利用が効果的である。 以下に実施例を記載するが、この発明の技術的思想がこれらの例示によって限定されるものではない。 市販のバイカリン(フラボン類、純度90%以上、和光純薬社製)100mgと、可溶化剤として市販のマロニル配糖体リッチな大豆イソフラボン(商品名「ソヤフラボンHG」、不二製油社製)100mg(大豆サポニンとして20mg、グループAサポニンとして15mg、マロニルイソフラボン配糖体として20mg含有)又は市販大豆サポニン(商品名「ソイヘルスSA」、不二製油社製)100mg(大豆サポニンとして50mg、グループAサポニンとして33mg)に超純水10mlを加えて80℃にて1時間撹拌した。次いで、10℃にて48時間平衡化させた後、遠心分離にて上清を回収した。上清中のOD254を測定し、次式よりバイカリン溶解量を算出した。また、上清を試験管に入れ、95℃で15分間加熱殺菌した後、10℃で1ヶ月保存し沈殿の有無を目視にて評価した。 大豆サポニン又は大豆サポニン及びマロニルイソフラボンは、バイカリンに対して高い可溶化能を示した。可溶化倍率は、バイカリン単独に対して大豆サポニン/マロニルイソフラボン配糖体の共存により10.5倍、大豆サポニンの共存により6.1倍であった。このようにして可溶化されたバイカリン溶液は冷蔵保存中に沈殿を生成することなく安定性にも優れた効果を示した。 市販のルチン(フラボノール類、純度90%以上、和光純薬社製)100mg並びに実施例1と同じ可溶化剤100mgに超純水10mlを加えて80℃にて1時間撹拌した。次いで、10℃にて48時間平衡化させた後、遠心分離にて上清を回収した。上清中のOD254を測定し、次式よりルチン溶解量を算出した。また、上清を試験管に入れ、95℃で15分間加熱殺菌した後、10℃で1ヶ月保存し沈殿の有無を目視にて評価した。 大豆サポニン又は大豆サポニン及びマロニルイソフラボン配糖体は、ルチンに対して高い可溶化能を示した。可溶化倍率は、ルチン単独に対して大豆サポニン/マロニルイソフラボンの共存により30.1倍、大豆サポニンの共存により39.2倍であった。このようにして可溶化されたルチン溶液は保存中に沈殿を生成することなく安定性にも優れた効果を示した。 市販のヘスペリジン(フラバノン類、純度92%以上、和光純薬社製)100mg及び実施例1と同じ可溶化剤100mgに超純水10mlを加えて80℃にて1時間撹拌した。次いで、10℃にて48時間平衡化させた後、遠心分離にて上清を回収した。上清中のOD254を測定し、次式よりヘスペリジン溶解量を算出した。また、上清を試験管に入れ、95℃で15分間加熱殺菌した後、10℃で1ヶ月保存し沈殿の有無を目視にて評価した。 大豆サポニン又は大豆サポニン及びマロニルイソフラボン配糖体は、ヘスペリジンに対して高い可溶化能を示した。可溶化倍率は大豆サポニン/マロニルイソフラボン配糖体の共存により9.1倍、大豆サポニンの共存により9.1倍であった。このようにして可溶化されたヘスペリジン溶液は保存中に沈殿を生成することなく安定性にも優れた効果を示した。 市販のナリンギン(フラバノン類、純度95%以上、シグマ社製)100mg及び実施例1と同じ可溶化剤100mgに超純水10mlを加えて80℃にて1時間撹拌した。次いで、10℃にて48時間平衡化させた後、遠心分離にて上清を回収した。上清中のOD254を測定し、次式よりナリンギン溶解量を算出した。また、上清を試験管に入れ、95℃で15分間加熱殺菌した後、10℃で1ヶ月保存し沈殿の有無を目視にて評価した。 大豆サポニン又は大豆サポニン及びマロニルイソフラボン配糖体はナリンギンに対して高い可溶化能を示した。可溶化倍率は大豆サポニン/マロニルイソフラボン配糖体の共存により14.3倍、大豆サポニンの共存により14.4倍であった。このようにして可溶化されたナリンギン溶液は保存中に沈殿を生成することなく安定性にも優れた効果を示した。 市販大豆イソフラボン(商品名「豊年イソフラボン−80」、ホーネンコーポレーション社製)125mg(イソフラボン配糖体として100mg)及び実施例1と同じ可溶化剤100mgに超純水10mlを加えて80℃にて1時間撹拌した。次いで、10℃にて48時間平衡化させた後、遠心分離にて上清を回収し、HPLCによりイソフラボン溶解量を測定した。また、上清を試験管に入れ、95℃で15分間加熱殺菌した後、10℃で1ヶ月保存し沈殿の有無を目視にて評価した。 大豆サポニン又は大豆サポニン及びマロニルイソフラボン配糖体は、イソフラボン(マロニルイソフラボン配糖体以外の難溶性イソフラボン)に対して高い可溶化能を示した。可溶化倍率は大豆サポニン/マロニルイソフラボン配糖体の共存により27.3倍、大豆サポニンの共存により8.4倍であった。このようにして可溶化されたイソフラボン溶液は保存中に沈殿を生成することなく安定性にも優れた効果を示した。 市販大豆イソフラボン(商品名「豊年イソフラボン−80」、ホーネンコーポレーション社製)12.5mg(イソフラボン配糖体として10mg)及び市販のマロニルイソフラボン配糖体であるマロニルダイジン(純度90%以上、和光純薬社製)1mgに超純水1mlを加えて25℃にて1時間撹拌した。次いで、10℃にて48時間平衡化させた後、遠心分離にて上清を回収し、HPLCによりイソフラボン溶解量を測定した。また、上清を試験管に入れ、そのまま10℃で1ヶ月保存し沈殿の有無を目視にて評価した。 マロニルイソフラボンの1種であるマロニルダイジン単独系においても、イソフラボン配糖体に対して可溶化能を示した。マロニルダイジン自体の溶解量は56.9mg/100mlであるので、イソフラボン配糖体の可溶化倍率はマロニルダイジンの共存により2.9倍であった。このようにして可溶化されたイソフラボン溶液は保存中に沈殿を生成することなく安定性にも優れた効果を示した。 市販大豆イソフラボン(商品名「豊年イソフラボン−80」、ホーネンコーポレーション社製)125mg(イソフラボン配糖体として100mg)及び実施例1と同じ市販マロニルリッチ大豆イソフラボン100mg、300mg、1000mg又は実施例1と同じ市販大豆サポニン100mg、300mg、1000mgに超純水10mlを加えて80℃にて1時間撹拌した。次いで、10℃にて48時間平衡化させた後、遠心分離にて上清を回収し、HPLCによりイソフラボン溶解量を測定した。また、上清を試験管に入れ、95℃で15分間加熱殺菌した後、10℃で1ヶ月保存し沈殿の有無を目視にて評価した。 マロニルイソフラボン又は大豆サポニンは、イソフラボン(マロニルイソフラボン以外の難溶性イソフラボン)に対して濃度依存的に可溶化能を示した。可溶化倍率はマロニルイソフラボンの共存により最大172倍、大豆サポニンの共存により最大30倍であった。このようにして可溶化されたイソフラボン溶液は保存中に沈殿を生成することなく安定性にも優れた効果を示した。 大豆サポニンと界面活性剤として使用されているキラヤサポニンの各種フラボノイド可溶化能を比較した。市販の大豆サポニン粉末(「ソイヘルスSA」、不二製油(株)製)又は市販のキラヤサポニン液体製剤(「キラヤニンS−100」、丸善製薬(株)製)の乾燥粉末を0.1gと、イソフラボン(配糖体)、ルチン又はイチョウ葉エキス(ケルセチン、ケンフェロール等含有)0.01gとを試験管に採取し、0.2M Na2HPO4/0.1M クエン酸緩衝液(pH7)10mlを加えて撹拌した後、沸騰水浴中にて15分間加熱殺菌した。次いで10℃にて2週間保存した後、溶解液の状態を目視にて観察した。 その結果、表8に示す通り、大豆サポニンはイソフラボン、ルチン、イチョウ葉エキスを全て透明に可溶化した。一方、キラヤサポニンはイチョウ葉エキスしか可溶化しなかった。よってキラヤサポニンよりも大豆サポニンの方が意外にもフラボノイドに対する可溶化能が優れており、汎用性が高いことが分かった。 フラボノイドの可溶化剤として大豆サポニン又は/及びマロニルイソフラボン配糖体を使用することにより、フラボノイド全般に対して化学構造や生理効果を変化させることなく容易かつ高度に可溶化することができるようになる。この発明はフラボノイド可溶化の基盤技術として汎用性が高い。よって、特にフラボノイドを溶解させて使用する飲食品、医薬品、医薬部外品、化粧品、口腔剤、歯磨剤、芳香剤、消臭剤または洗浄剤などの幅広い製品に利用が可能である。 水性媒体中に、フラボノイドと、マロニルイソフラボン配糖体あるいはグループAサポニンの含有率が50%以上である大豆サポニン及びマロニルイソフラボン配糖体を共存させることを特徴とするフラボノイドの可溶化方法。 マロニルイソフラボン配糖体あるいはグループAサポニンの含有率が50%以上である大豆サポニン及びマロニルイソフラボン配糖体を含むことを特徴とするフラボノイド可溶化剤。 水性媒体中にフラボノイド(α−グルコシル化物を除く。)並びにマロニルイソフラボン配糖体あるいはグループAサポニンの含有率が50%以上である大豆サポニン及びマロニルイソフラボン配糖体を共存させて得られる可溶化フラボノイド組成物。 請求項3記載の可溶化フラボノイド組成物を添加したフラボノイド含有製品。 水性媒体中に(A)フラボノイド並びに、(B)マロニルイソフラボン配糖体あるいはグループAサポニンの含有率が50%以上である大豆サポニン及びマロニルイソフラボン配糖体を添加後、加熱処理し、(B)成分による可溶化能によって(A)フラボノイドを可溶化させる工程を含むことを特徴とするフラボノイド含有製品の製造法。


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