タイトル: | 特許公報(B2)_更年期障害抑制剤 |
出願番号: | 2005506023 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | A61K 38/16,A61K 35/60,A61P 15/12 |
斎藤 俊治 松永 政司 JP 3975448 特許公報(B2) 20070629 2005506023 20040512 更年期障害抑制剤 日産化学工業株式会社 000003986 日生バイオ株式会社 598043054 萼 経夫 100068618 宮崎 嘉夫 100104145 加藤 勉 100104385 斎藤 俊治 松永 政司 JP 2003133200 20030512 20070912 A61K 38/16 20060101AFI20070823BHJP A61K 35/60 20060101ALI20070823BHJP A61P 15/12 20060101ALI20070823BHJP JPA61K37/10A61K35/60A61P15/12 A61K 38/00 BIOSIS(STN) CA(STN) EMBASE(STN) MEDLINE(STN) JMEDPlus(JDream2) JST7580(JDream2) JSTPlus(JDream2) 特開平09−191852(JP,A) 特開2004−051515(JP,A) 特開2006−241044(JP,A) 特開2002−345413(JP,A) 特表2003−524587(JP,A) 特開平05−339168(JP,A) 国際公開第01/077136(WO,A1) 特開2000−169386(JP,A) 特開2001−029040(JP,A) 特開平10−165138(JP,A) 特開昭63−192720(JP,A) 3 JP2004006391 20040512 WO2004098630 20041118 11 20060126 長部 喜幸 本発明は、摂取することにより、更年期における種々の不快な症状、いわゆる更年期障害を効果的に抑制することができる更年期障害抑制剤及びその有効量を含む健康食品に関するものである。 壮年期から老年期にかけて、加齢に伴う身体の老化は、人の外見の変化(筋力の低下、肥満、脱毛、しみやしわの増加等)や精神力の低下のみならず、内分泌系の機能低下や異常を伴うことが多い。ホルモン、例えば女性ホルモン(エストロゲンやプロゲストゲン)の減少は、女性にいわゆる更年期障害をもたらす。女性のみならず、最近は、男性ホルモン(テストステロン)の減少に由来する男性の更年期障害も問題にされるようになった。 更年期障害は、特に女性において深刻な問題となり、以下に例示するような種々の症状を誘発する。a)月経異常 月経周期の短縮又は延長、月経回数の減少、不正出血等。b)血管反応系の変化 ほてりやのぼせ等の突然起る熱感。c)精神症状 不眠やうつ症状等。d)泌尿生殖器症状 頻尿や尿失禁等。e)その他 骨粗鬆症、高脂血症、動脈硬化等。 女性の更年期障害の代表的な治療方法としては、例えばホルモン補充療法が挙げられる。ホルモン補充療法は、更年期の女性に不足気味となった女性ホルモン(エストロゲン又はプロゲストゲン)を、内服液や貼付剤の形態の製剤を用いて補充することにより、更年期障害を治療又は抑制する方法である。他に、例えば、漢方療法が用いられることもある。 ホルモン補充療法や漢方療法以外に、例えば、特定成分を含む食品(いわゆる健康食品)を日々摂取することにより、更年期障害を抑制する試みもなされている(例えば、特開2001−069946号公報及び特開2003−113117号公報を参照)。更年期障害を抑制するために有用とされる食品には、例えば、イソフラボンやボーンプロテインを含む食品が挙げられる。:特開2001−069946号公報:特開2003−113117号公報 前記のホルモン補充療法は更年期障害の治療又は抑制に効果がある反面、種々の副作用(例えば、乳癌や子宮癌などの発症率の増大など)が生じる危険がある。また、ホルモン補充療法や漢方療法は、専門医師の指示に基づいて厳格に行う必要があり、簡便な方法とは言い難い。 従来、更年期障害を抑制するのに効果があるとされる食品(又は食品に添加する特定の成分)においても、更年期障害の多岐にわたる症状(症候群)の全体に対し、効果が具体的に実証され有効性が明らかになっているわけではない。 従って、誰にでも簡便且つ安全に実施し得る更年期障害の抑制手段が強く要望されていた。 本発明は前記従来技術の問題点を解決するためのものであり、その目的とするところは、経口的に容易に摂取することができ、規則的に(例えば毎日)摂取することにより、更年期障害を効果的に抑制することができる更年期障害抑制剤及びその有効量を含む健康食品を提供することにある。 本発明者等は、更年期障害の抑制に関し鋭意研究した結果、ヌクレオプロタミンが更年期障害を効果的に抑制し得ることを見出し、本発明を完成した。 本発明は、核酸含有率25〜50質量%及びタンパク質含有率25〜60質量%のヌクレオプロタミンの割合で含有するヌクレオプロタミンからなり、更年期における以下の不快な症状:血管運動神経障害、知覚障害様症状、不眠、ゆううつ、めまい、全身倦怠、頭痛及び心悸亢進を抑制する更年期障害抑制剤に関する。 前記ヌクレオプロタミンは魚類の白子から得られたヌクレオプロタミンを用いることができる。 前記魚類は鮭、鱒、鰊又は鱈であってよい。 本発明の更年期障害抑制剤は、経口的に容易に摂取することができ、副作用もなく、適量摂取することにより、更年期における以下の不快な症状:血管運動神経障害、知覚障害様症状、不眠、ゆううつ、めまい、全身倦怠、頭痛及び心悸亢進を効果的に抑制することができる。 本発明の更年期障害抑制剤の有効成分であるヌクレオプロタミンは、脊椎動物の成熟した精子核中に存在する塩基性タンパク質であるプロタミンが核酸と結合して複合体となったものであり、精子の染色質を形成する。 プロタミンは分子量が小さく(通常、分子量1万以下)、構成アミノ酸の大部分は塩基性アミノ酸、特にアルギニンであり、アルギニン由来の窒素は全窒素含量の25〜90%に相当し、酸性アミノ酸は通常含まれない。 アルギニンは、多岐にわたる生理作用を有し、鎮静効果、内分泌刺激効果、消化管機能の保全効果等がある。 ヌクレオプロタミンは、魚類、例えば鮭、鱒、鰊、鱈等の白子中に多く含まれており、例えば、魚類の白子から皮、筋、血管等を除去した後、乾燥や抽出などの慣用の方法にて精製することにより製造することができ、粉末状、顆粒状、ペースト状、液体状等の種々の形態であってよい。 ヌクレオプロタミンを摂取することにより、プロタミンと核酸とを同時に摂取することが可能である。 核酸にはデオキシリボ核酸(DNA)とリボ核酸(RNA)とがあり、生物の遺伝情報を保存している。魚類の白子は、なかでもアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)及びシトシン(C)の四種のヌクレオチドを構成要素としてなるDNAを多量に含む。核酸は、細胞を活性化し老化を防止する効果がある。 本発明の更年期障害抑制剤の使用形態は、特に限定されず、例えば、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、ゼリー、ペースト、種々の形態の健康食品(健康飲料を含む)等であってよい。健康飲料は、例えば、水溶液、懸濁液等であってよい。ヌクレオプロタミンをそのまま本発明の更年期障害抑制剤として使用することもできるし、所望により、他の有効成分(例えば、ビタミン類など)を適量添加してもよい。 本発明の更年期障害抑制剤中のヌクレオプロタミンの含有率又は本発明の健康食品中の本更年期障害抑制剤の含有率は、所望により適宜選択する。 本発明の健康食品は、本更年期障害抑制剤以外に、通常の食品に添加し得るものを含んでいてよい。 本発明の更年期障害抑制剤は、好ましくは毎日、例えば1日当り例えば0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの量を摂取する。本発明の更年期障害抑制剤は、1日1〜3回に分けて摂取してよいが、年齢、体重、更年期障害の症状等により摂取量は適宜増減する。 以下の実施例により本発明を更に詳細に説明する。1)本発明の更年期障害抑制剤の製造 鮭の白子より本発明の更年期障害抑制剤を以下の手順にて製造した。i:鮭白子の前処理 鮭白子1000gを取り、血抜き及び水洗を行った。水切りした後300mLの水を加え、磨砕、攪拌して懸濁液を得た。ii:粉化処理 前記懸濁液を濾過して白子の皮等の固形分を除去した後、スプレードライヤーで噴霧乾燥し、粉状の物質を得た。iii:洗浄及び回収 前記粉状の物質をエタノールで洗浄してエタノール可溶物と水分を除去し、減圧乾燥し、粉末状物として、本更年期障害抑制剤180gを得た。 こうして得られた本更年期障害抑制剤はヌクレオプロタミンを主成分として含む淡黄色の粉末であり、その化学的性質及び物理的性質は以下の通りである。 核酸含有率:25〜50質量% タンパク質含有率:25〜60質量% 灰分含有率:5〜15質量% ニンヒドリン反応:陽性 2)本発明の更年期障害抑制剤の評価手段 更年期障害の程度を客観的に評価するために、クッパーマン指数を使用した。クッパーマン指数は下記表1に基づいて計算した。[表1] <クッパーマン指数の計算> 以下、クッパーマン指数の計算方法を説明する。表1に示される症候群の11種類の各症候について、症候(症状)の強さを0ないし3の数字で表わす。各数字の意味は以下の通りである。 3:強い 2:中程度 1:弱い 0:無し 表1の症候群に属する各症候は、更に幾つかの種類の症状に細分される。知覚障害様症状を例に取ると、知覚障害様症状は、症状「手足がしびれる」と症状「手足の感覚が鈍い」の2種類に分けられる。そして、症状「手足がしびれる」と症状「手足の感覚が鈍い」の各々について、症状の強さを0ないし3の数字で表わす。表1の症候群に属する各症候のクッパーマン指数は、下記の式(I)により計算する。 式(I):各種類の症状の強さの最高点×評価ファクター 具体的には、例えば、症状「手足がしびれる」の強さが1、症状「手足の感覚が鈍い」の強さが0の場合、「知覚障害様症状」のクッパーマン指数は、1(最高点)×2(評価ファクター)=2となる。 <クッパーマン指数(合計)に基づく更年期障害の程度の判定> 表1に示される11種類の各症候のクッパーマン指数の合計〔クッパーマン指数(合計)〕が、更年期障害に対するクッパーマン指数となる。更年期障害の程度は、クッパーマン指数(合計)から、以下の基準に基づいて判定する。 35以上:重症 21ないし34:中等症 16ないし20:軽症<更年期障害の治療効果の指標:閉経指数の計算> 更年期障害の治療効果の指標として、閉経指数を用いた。閉経指数は下記の式(II)により計算する。 式(II):治療後のクッパーマン指数(合計)/治療前のクッパーマン指数(合計) 更年期障害の治療効果は、閉経指数から、以下の基準に基づいて判定する。 0.3以下:著効 0.3ないし0.7:有効 0.7以上:無効3)本発明の更年期障害抑制剤の評価結果 52歳ないし68歳の女性合計25人に本発明の更年期障害抑制剤を1g/日摂取してもらい、60日後に、全員のクッパーマン指数を算出した。結果を下記の表2ないし表4に示す。4)本発明の更年期障害抑制剤の評価結果の検討 表4のクッパーマン指数の合計の欄の数値から、25人の女性全体に対応する閉経指数を計算した。結果は下記の通りである。 閉経指数:237/361≒0.66(有効) すなわち、閉経指数は0.66となり、0.3ないし0.7の範囲内にあるので、本発明の更年期障害抑制剤による更年期障害の治療は有効であると判定された。 また、症候群に属する各々の症候について、前記式(II)により計算した指数を以下に示す。これらの指数は、各々の症候に対する治療効果の尺度になる。 血管運動神経障害:86/128≒0.67 知覚障害様症状:18/36=0.50 不眠:30/48≒0.63 神経質:30/38≒0.79 ゆううつ:9/15=0.60 めまい:2/6≒0.33 全身倦怠:16/25≒0.64 関節痛・筋肉痛:36/48=0.75 頭痛:5/10=0.50 心悸亢進:3/8≒0.38 蟻走感:3/1=3.0 各々の症候に対する治療効果にはばらつきがあるが、本発明の更年期障害抑制剤は広範囲の症候の抑制に有用であることが分かる。 核酸含有率25〜50質量%及びタンパク質含有率25〜60質量%の割合で含有するヌクレオプロタミンからなり、更年期における以下の不快な症状:血管運動神経障害、知覚障害様症状、不眠、ゆううつ、めまい、全身倦怠、頭痛及び心悸亢進を抑制する更年期障害抑制剤。 前記ヌクレオプロタミンが魚類の白子から得られたヌクレオプロタミンであることを特徴とする請求項1記載の更年期障害抑制剤。 前記魚類が鮭、鱒、鰊又は鱈であることを特徴とする請求項2記載の更年期障害抑制剤。