生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_L−γ−メチレングルタミン酸とその類似化合物の合成方法
出願番号:2005501886
年次:2010
IPC分類:C07C 227/32,C07C 229/24,C07B 53/00,C07D 207/38


特許情報キャッシュ

コチャット,ハリー チェン,シンクハイ ウー,イェ ヒュアング, チウリ ワング,ジアンヤン ジェルーズ,ヴィンセント JP 4491412 特許公報(B2) 20100409 2005501886 20031022 L−γ−メチレングルタミン酸とその類似化合物の合成方法 バイオニューメリック・ファーマスーティカルズ・インコーポレイテッド 500175967 鍬田 充生 100090686 コチャット,ハリー チェン,シンクハイ ウー,イェ ヒュアング, チウリ ワング,ジアンヤン ジェルーズ,ヴィンセント US 60/421,489 20021025 US 10/627,484 20030725 20100630 C07C 227/32 20060101AFI20100610BHJP C07C 229/24 20060101ALI20100610BHJP C07B 53/00 20060101ALN20100610BHJP C07D 207/38 20060101ALN20100610BHJP JPC07C227/32C07C229/24C07B53/00 GC07D207/38 C07C 227/32、229/24 特開平4−505932(JP,A) 米国特許第5550128(US,A) C. M. MOODY et al,Journal of Chemical Society Perkin Transactions 1,1997年,(23),pp.3519-3530 J. EZQUERRA et al.,Tetrahedron: Asymmetry ,1994年,5(5),pp.921-926 S. R. BAKER et al.,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters ,2000年,10(16),pp.1807-1810 7 US2003033236 20031022 WO2004039314 20040513 2006516260 20060629 8 20060628 神野 将志 本願は、米国仮出願第60/421,489号(United States Provisional Application, Serial Number 60/421,489, 出願日2002年10月25日)の利益を請求するものであり、ここに参考として記載する。 本発明は実質的に鏡像異性的に純粋なアミノ酸を合成する方法に関し、グルタミン酸のL-異性体とその置換体の合成方法にも応用される。 生化学においてはすべてのアミノ酸が二種の三次元構造(鏡像異性体)をとりうることは公知の事実である。当技術分野においては、この二種の構造は、入射された偏光を左に旋光させるものをL体、右に旋光させるものをD体と定義している。フィッシャー式でグルタミン酸の鏡像異性体を描くと以下のようになる。 L-グルタミン酸 D-グルタミン酸 また、天然に存在するアミノ酸はL-異性体であることも公知である。試薬の構造の一部としての各々のアミノ酸のL-異性体は、医療目的においては"活性"である。 グルタミン酸のL-異性体のみを成分とする葉酸代謝拮抗薬が、二種の鏡像異性体を含むラセミ体のグルタミン酸を成分とするそれよりも、より大きな活性を示すことは公知である。純粋なMDAMのD-異性体は、多くの葉酸代謝拮抗薬同様、医薬品としては完全に不活性である。 4'-メチレン-4-[(2,4-ジアミノ-3,4-ジヒドロプテリジン-6-イル)エチル]-ベンゾイル-グルタミン酸(4'-methylene-4-[(2,4-diamino-3,4-dihydropteridin-6-yl)ethyl]-benzoyl-glutamic acid)、別名 4-デオキシ-4-アミノ-10-デアザプテロイル- -メチレングルタミン酸(4-deoxy-4-amino-10-deazapteroyl- -methylene glutamic acid)、さらなる別名 -メチレン-10-デアザアミノプテリン(MDAM)(-methylene-10-deazaaminopterin)は公知の研究された抗腫瘍剤である。MDAMは、アメリカおよび諸外国にて現在医療用の抗癌剤として試用されている。MDAMおよび他の葉酸代謝拮抗薬は、プテロイン酸(pteroic acid)部分とアミノ酸部分との二つの部位に大別できる分子である。L- -メチレングルタミン酸がアミノ酸部分を構成している場合、試薬はL-MDAMと呼ばれている。 また、 -メチレン-L-グルタミン酸(-methylene-L-gulutamic acid)は、ラットの脊髄中の脱分極薬としても公知である。この特質は、CNS(中枢神経)に活性を示している(CNSの変調の治療薬として使用できる)と考えられる。 -メチレン-L-グルタミン酸は、米国特許 5,550,128号に開示されている方法によって、発芽ピーナッツから実質的に純粋なものが単離できる。-メチレン-L-グルタミン酸の遊離酸は、本願に付帯する先行技術説明書にある Ezquerra の発表した方法によって、L-ピログルタミン酸(L-pyroglutamic acid)から合成できる。 L-MDAM のアミノ酸部分を構成する -メチレン-L-グルタミン酸は、未公表の方法によって、L-ピログルタミル基(L-pyroglutamate)2個によって保護された出発物質からあらかじめ合成できる。ピログルタミル基は市販されており、また未公表の方法によって合成できる。 本発明は、特定の反応中間体を合成する方法と、実質的に純粋なL-アミノ酸を合成する方法を含む。本発明の方法は、主に、実質的に純粋なL-グルタミン酸と、L-グルタミン酸を生成する過程における反応中間体を合成するために用いられるものである。 -メチレングルタミン酸またはそのエステルを合成するための方法は、ピログルタミン酸またはメチレン基を加えたそのエステルの誘導を含み、さらにピログルタミル基を直鎖グルタミン酸またはそのエステルへの開環反応を含む。 ピログルタミル基の誘導は、まず窒素原子とカルボキシル基部分の保護を施したのち、-メチレン基を室温近傍の反応(単一容器で行うことも可能)で三段階を踏んで加える。好ましい方法は、後で詳細に記述する。 本発明の目的は、実質的に純粋なL-グルタミン酸およびその類似化合物の、簡潔かつ改善された合成法を提供するものである。 ここに詳述する、好ましい実施態様は、本発明を網羅するものではなく、また、その開示された好ましい試薬、反応段階あるいは条件に本発明を限定するものでもない。実施態様は、本発明の原理とその応用及び実用を説明するために選ばれて記述されたものであり、それにより当業者が本発明の教示するところを理解できるようにする。 本発明の方法の主な目的は、抗癌剤である-メチレン-10-デアザアミノプテリン(MDAM)(構造式を以下に示す)を合成する上での、特に重要な中間生成物である、実質的に純粋なL-アミノ酸を合成することである。 L-MDAM 前述したように、L-MDAMは重要な二種の中間生成物から合成される。すなわち、(1) プテロイン酸と、(2) -メチレン-L-グルタミン酸である。この二種の中間生成物を、公知である他の方法(一例として、米国特許4,996,207号に開示された方法がある)によって結合する。試薬の使用法を若干変えることにより、本発明の方法によって類似したL-アミノ酸を合成することができると考えられる。 -メチレン-L-グルタミン酸の合成法を反応式1に示す。この式が示すように、この合成法は、出発物質であるピログルタミン酸誘導体あるいはそのエステルから、複数の工程を経て最終生成物である実質的に純粋な -メチレン-L-グルタミン酸を得るための複数のステップを含んでいる。 反応式1 反応式1は、本発明が使用する、式中5番の 4-メチレン-L-ピログルタミン酸(4-methylene-L-pyroglutamic acid)を合成する方法を示している。式が示すように、好ましい出発物質は式中1番の L-ピログルタミン酸である。この方法は、はじめに窒素原子とカルボキシル基を官能基で修飾し、式中2番の、二つの保護基で保護されたピログルタミン酸エステルを得る。ここで式中のPGおよびPG1は、それぞれ窒素原子とカルボキシル基を保護するための公知の保護基である。 保護基は、特にN-末端(アミノ末端)基と酸素末端(カルボン酸末端)基といった官能基を含む。保護基は当技術分野において公知であり、その詳細はP. Kocienski, Protecting Groups, Foundations of Organic Chemistry (Thieme, 1994); Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis (Wiley, 2nd ed. 1990)のほか多数の刊行物において述べられている。 窒素原子に対して用いられる一般的な保護基としては、t-ブトキシカルボニル基(t-butoxycarbonyl; t-BOC または BOC)、9-フルオレニル-メトキシ-カルボニル基(9-fluorenyl-methoxy-carbonyl; FMOC)ほかさまざまなものが有機化学技術分野では公知である。カルボン酸に対して用いられる一般的な保護基としては、低級アルキル基、トリメチルシリルアルキル基(trimethylsilyl alkyls)ほかさまざまなものが有機化学技術分野では公知である。保護基の付加は、前述した刊行物で述べられている公知の方法によって行われている。 次に、式中2番の保護されたピログルタミン酸エステルを、好ましくはアミド、さらに好ましくは窒素原子を含むアセタールと反応させ、式中3番の 4-エナミン(α,β-不飽和第三級アミン)を得る。この反応は、温度を70℃から130℃にかけて昇温しながら行うのが好ましく、さらに好ましくは、温度を105℃から115℃にかけて昇温しながら行う。 式中3番のエナミンに加水、好ましくは強酸を加えて、式中4番のヒドロキシメチレン中間生成物を得、さらに、塩基性溶液中にこれを加えて、目的物である式中5番の保護された 4-メチレンピログルタミン酸エステルを得る。後述する特定の例によって、好ましい反応条件と、合成の詳細なステップと試薬について述べる。 反応式2 反応式2は、式中5番の 4-メチレンピログルタミン酸エステルから、好ましい最終生成物である 4-メチレン-L-グルタミン酸およびその塩、エステル(式中6-8番)を得る過程を示している。まず式中5番のピログルタミン酸エステルと強塩基を反応させたのち、酸を添加して、式中6番の窒素原子が保護された直鎖L-グルタミン酸誘導物(L-Glu)を得る。式中6番の保護された L-Glu を、一般的な方法で脱保護基し、式中7番の L-Glu塩を得、この塩をエステル化して式中8番の最終生成物を得る。ここでR1およびR2は酸素原子保護基であり、好ましくは低級アルキル基(炭素数1〜6)である。 式中8番のエステル化された L-Glu塩は、プテロイン酸誘導物と結合させることにより、L-MDAM の合成に使うことができると考えられる。その結合反応は先に概説した公知の方法によって行うことが可能である。 以下の特定の例は、好ましい方法を示す。例1(2S)-ピログルタミン酸エチル(Ethyl-(2S)-pyorglutamate) L-ピログルタミン酸 5.0g をエタノール 150ml に加えた溶液に、98%硫酸 0.3g を加えた。溶液を室温で48時間攪拌した。炭酸ナトリウム 1.5g を加え、さらに1.5時間攪拌した。懸濁液を濾過し、濾液を減圧乾燥した。残留物をメチルt-ブチルエーテル(MTBE)100ml に加え、溶液を濾過した。濾液を減圧乾燥し、目的物を白色粉末として収量 6.5g で得た。例2(2S)-N-(t-ブトキシカルボニル)ピログルタミン酸エチル(Ethyl-(2S)-N-(t-butoxycarbonyl)pyroglutamate) L-ピログルタミン酸エチル 1.6g 、ジ(t-ブチル)二炭酸(di(t-butyl)dicarbonate) 2.4g およびトリエチルアミン 1.6ml を、ジクロロメタン 7ml に加えた溶液に、ジメチルアミノピリジン(dimethylaminopyridine; DMAP)61mg を加えた。溶液を室温で一晩攪拌した。揮発成分を減圧乾燥して除去し、残留物を MTBE 7ml に溶かした。濾過して固形分を分離し、きれいなMTBEで洗った。洗液と併せた濾液を水 3ml で洗い、1:9 v/v の希塩酸を加えてpH3に調製した。さらに溶液を 3ml の水で2回洗った。油層を硫酸ナトリウムと活性炭で脱水し、濾過して減圧乾燥した。粗結晶をエーテル・ヘキサン混液に加えて再結晶し、目的物を白色針状結晶として収量 1.65g で得た。例3(2S)-4-(N,N-ジメチルアミノメチリデン)-N1-(t-ブトキシカルボニル)ピログルタミン酸エチル(Ethyl-(2S)-4-(N,N-dimethylaminomethylidene)-N1-(t-butoxycarbonyl)pyroglutamate) (2S)-N-(tert-ブトキシカルボニル)ピログルタミン酸エチル(ethyl (2S)-N-(tert-butoxycarbonyl)pyroglutamate) 125g, 486mmol と N,N-ジメチルホルムアミドジイソプロピルアセタール(N,N-dimethyl formamide diisopropyl acetal) 125g, 713mmol を、105℃〜115℃で21時間加熱した。新たな N,N-ジメチルホルムアミドジイソプロピルアセタール 25g, 143mmol を加え、溶液をさらに105℃〜115℃で4時間加熱した。温度70℃、圧力0.3mmHgで泡が出なくなるまで減圧乾燥して濃縮した。メチルt-ブチルエーテル 250ml から再結晶して目的物を白色結晶として収量 97g、収率64% で得た。1H NMR(300Hz, CDCl3) 7.06(t, 1H, J=1.8Hz), 4.46(dd, 1H, J=3.9, 10.5Hz), 4.22 - 4.08(m, 2H), 3.32 - 3.14(m, 1H), 2.95(s, 6H), 2.89 - 2.78(m, 1H), 1.43(s, 9H), 1.21(t, 3H, J=7.2Hz) この例においては、最初の反応で ピログルタミン酸エステル1等量に対して、N,N-ジメチルホルムアミドジイソプロピルアセタールを2等量用いることを推奨する。HPLC分析によって、出発物質の量が1.5%を超えていることを確認した場合、21時間の加熱のあと、新たなN,N-ジメチルホルムアミドジイソプロピルアセタールを0.2等量加えることを薦める。例4(2S)-4-メチレン-N1-(t-ブトキシカルボニル)ピログルタミン酸エチル(Ethyl-(2S)-4-methylene-N1-(t-butoxycarbonyl)pyroglutamate) (2S)-N-(t-ブトキシカルボニル)-4-(ジメチルアミノメチリデン)ピログルタミン酸エチル(ethyl-(2S)-N-(t-butoxycarbonyl)-4-(dimethylaminomethylidene)pyroglutamate) 100g, 320.1mmol をテトラヒドロフラン(THF) 500ml に加えた溶液に、1N 塩酸 352ml を加えた。溶液を室温で2時間攪拌した。油層を分取し、炭酸カリウム 62g と 37% ホルムアルデヒド 310ml を加え、室温で45分間攪拌したのち、水層を除去した。油層を濃縮し、残留物を MTBE 1000ml に溶かした。溶液を水 380ml、20% 亜硫酸ナトリウム溶液 380ml、水 380ml で順に洗った。無水硫酸マグネシウムで脱水し、真空乾燥させて、目的物を黄色油状物質として粗収量 71.7g で得た。この粗生成物は次の例で用いた。例54-メチレン-N-(t-ブトキシカルボニル)-L-グルタミン酸(4-methylene-N-(t-butoxycarbonyl)-L-glutamic acid) 例4で得た粗(2S)-4-メチレン-N1-(t-ブトキシカルボニル)ピログルタミン酸エチルを、THF 650ml に溶かし、これを 2M 水酸化リチウム溶液 425ml にゆっくり加えた。溶液を室温で48時間攪拌した。水層を分取し、2N 塩酸を加え pH2に調製し、酢酸エチル 500ml で 2回 抽出した。抽出物を水 250ml と無水硫酸マグネシウムで洗った。脱水が終わった溶液はそのまま次の例で用いた。例64-メチレン-L-グルタミン酸塩酸塩(4-methylene-L-glutamic acid hydrochloride) 例4で得た脱水済溶液に、塩化水素ガスを1時間、32.5g以上通した。塩化水素ガスを止めた後も、1.5時間攪拌を続けた。得られた白色固体を濾別し、MTBE 100ml で洗い、真空乾燥して相当に純粋な(>99%)目的物を収量 31g で得た。例74-メチレン-L-グルタミン酸ジエチル塩酸塩(Diethyl 4-methylene-L-glutamate hydrochloride) 例6で得た 4-メチレン-L-グルタミン酸ジエチル塩酸塩 31g を、エタノール 310ml に溶かした。塩化チオニル 31ml を滴下した。溶液を室温で一晩攪拌し、2.5時間還流した。溶液を濃縮して乾燥した。粗生成物を温エタノール 31ml に溶かし、温溶液に無水MTBE 620ml を加えた。溶液を室温で一晩静置した。結晶を濾別し、真空乾燥して相当に純粋な(>99%)目的物を収量 34g で得た。最終生成物の鏡像異性的純度は、キラルAGPカラム(4mM PBS(pH6), イソプロパノール=98.5:1.5)による確認で99.5%であった。 鏡像異性的に純粋な4−メチレン−L−グルタミン酸とその類似化合物の合成方法であって、a. (2S)−ピログルタミン酸またはその誘導体を出発物質として供給するステップと、b. 前記出発物質からその4−エナミン(4−enamin)誘導体を得るステップと、c. 前記4−エナミン誘導体に加水し、その4−ヒドロキシメチリデン(4−hydroxymethylidene)誘導体を得るステップと、d. 前記4−ヒドロキシメチリデン誘導体を脱水し、ピログルタミン酸またはそのエステルの 4−メチレン(4−methylene)誘導体を得るステップと、e. 前記4−メチレンピログルタミン酸に強塩基を加え、直鎖4−メチレングルタミン酸またはそのエステルおよび塩を得るステップとを備える方法。 前記ステップbは前記出発物質とアミドあるいはアセタールとの反応を含む請求項1記載の方法。 前記ステップbは温度70℃〜130℃の範囲での前記出発物質とアセタールとの反応を含む請求項2記載の方法。 前記ステップcは前記4−エナミン誘導体と強酸との反応を含む請求項1記載の方法。 前記ステップdは前記4−ヒドロキシメチリデン誘導体と炭酸塩との反応を含む請求項1記載の方法。 前記強塩基は水酸化リチウムである請求項1記載の方法。 前記温度の範囲は105℃〜115℃である請求項3記載の方法。


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