生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_アファニゾメノン(Aphanizomenon)属の抽出物を含む皮膚老化防止組成物
出願番号:2005375251
年次:2007
IPC分類:A61K 8/97,A61K 36/02,A61Q 19/00,A61P 17/16,A61P 17/00


特許情報キャッシュ

竹岡 篤史 井野 智恵 JP 2007176832 公開特許公報(A) 20070712 2005375251 20051227 アファニゾメノン(Aphanizomenon)属の抽出物を含む皮膚老化防止組成物 アリスタ ライフサイエンス株式会社 501307826 竹岡 篤史 井野 智恵 A61K 8/97 20060101AFI20070615BHJP A61K 36/02 20060101ALI20070615BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20070615BHJP A61P 17/16 20060101ALI20070615BHJP A61P 17/00 20060101ALI20070615BHJP JPA61K8/97A61K35/80 ZA61Q19/00A61P17/16A61P17/00 5 OL 12 4C083 4C088 4C083AA111 4C083AA112 4C083AA122 4C083AA162 4C083AC022 4C083AC072 4C083AC122 4C083AC172 4C083AC352 4C083AC402 4C083AC422 4C083AC482 4C083AC542 4C083AC792 4C083AD092 4C083AD172 4C083AD242 4C083AD512 4C083CC05 4C083DD23 4C083DD27 4C083DD31 4C083EE03 4C083EE06 4C083EE07 4C083EE10 4C083EE12 4C083EE13 4C083EE50 4C083FF05 4C088AA12 4C088AC15 4C088BA08 4C088CA03 4C088MA28 4C088MA63 4C088NA14 4C088ZA89 4C088ZC02 4C088ZC22 4C088ZC52本発明は、表皮細胞の分化を抑制し、増殖を維持することにより、ターンオーバーの遅延を予防、防止、改善し、加齢や紫外線照射により引き起こされるしわやたるみなどの皮膚の老化を予防、防止、改善する作用をもつ藍藻抽出物を含む組成物に関する。しわ、しみ、くすみ、たるみなど、皮膚の老化に伴って起こる変化には、加齢、日光曝露、外的環境から、もしくは、精神的なストレスなどが関与することが知られている。それらを原因とする皮膚の老化により、表皮細胞、線維芽細胞及び血管が減少するとともに、皮膚構造たんぱく質群の変性、破壊などが起こり、最終的に表皮、真皮の異常化、基底膜の偏平化が起こる。老化した皮膚を改善する作用をもつ代表的な成分としてレチノイン酸及びレチノールなどのレチノイン酸誘導体が知られている。レチノイン酸は、皮脂腺萎縮作用をもつことからニキビ治療薬として開発されたが、マウス表皮中の繊維芽細胞を正常化し、コラーゲン、グルコサミノグリカンの産生を促進し、有意にシワを改善することが報告されている。また、レチノールは、表皮細胞分化抑制により角化を抑制することが報告されており、特に連用により、表皮においてはその肥厚、角層構造の接着緻密化、角層の層数減少、真皮においては線維芽細胞の活性化、細胞数増加、真皮乳頭層におけるコラーゲンの増加、アンカリングフィラメントの増加などが見られることが示されている(日本香粧品科学会誌、16(3),172p,182p; J.Invest.Dermatol.,114(3),480−486,2000)。以上のようなことから、レチノイン酸及びレチノイン酸誘導体を用いた皮膚老化防止用組成物が多数開発されている(米国特許第4603146号、米国特許第4877805号、欧州特許第0631772号、特許第2688473号、特許第2774408号、特許第2931349号、特表平8−501574号公報、特表平8−502742号公報、特開平10−45533号公報、特開平10−158290号公報)。一方で、安全性に関して、レチノイン酸は催奇性があることが理由となり日本国内では医薬品や化粧品としての許可がない成分であり、レチノールなどのレチノイン酸誘導体は体内でレチノイン酸に変化して作用することから基本的にはレチノイン酸と同様の作用を示し、過剰に摂取すると皮膚炎など種々の副作用が生じることが知られている。実用上においても、レチノイン酸及びレチノイン酸誘導体は特有な色・匂いのある不安定な物質で熱、光、酸素に弱く、安定に保つためには窒素置換で冷蔵または冷凍保存の必要があり、取り扱いが難しい等の問題もある。また、藍藻に関しては、藻類の中でもミネラル、ビタミン類、アミノ酸類に代表される栄養素を多く含んでいることから、スピルリナのように健康食品として主に利用されてきたが、老化防止用皮膚外用剤としての応用はあまり報告されてこなかった。例えば、着色剤としての藍藻からの水抽出した水溶性フィコシアニンを含む化粧料が特許として開示されているが、藻類の構成成分による生理的な効果を利用することは考えられていない(特公昭62−44523号公報)。また、藍藻の老化防止以外での生理活性としては、抗酸化活性や免疫調節機能が学術論文として報告されており、生コーヒー豆エキスとの併用での化粧料や藍藻抽出物の抗酸化剤、紫外線吸収・遮断剤、美白化粧料、ヒアルロニダーゼ阻害剤及び抗菌剤としての応用が特許として開示されている(Inflamm. Res., 47, 36-41, 1998; JANA, 3(4), 24-30; 特開平7-145067号公報、特開2002-069443号公報、特開2004−238519公報、特開平11-228437公報、特開平06−040880公報、特開2005-263707公報)。米国特許第4603146号米国特許第4877805号欧州特許第0631772号特許第2688473号特許第2774408号特許第2931349号特表平8−501574号公報特表平8−502742号公報特開平10−45533号公報特開平10−158290号公報特開平7-145067号公報特開2002-069443号公報特開2004−238519公報特開平11-228437公報特開平06−040880公報特開2005-263707公報Inflamm. Res., 47, 36-41, 1998; JANA, 3(4), 24-30;以上のようなことから、表皮細胞の増殖、分化に対して、レチノイン酸やレチノイン酸誘導体と同様の作用を示し、皮膚老化の予防、防止、改善に有用で、かつ、皮膚に対して安全な皮膚老化防止用組成物の開発を課題とする。本発明者は、表皮細胞の角化(分化)を抑制し、増殖を維持する作用において、レチノイン酸及びレチノールなどのレチノイン酸誘導体と同様の作用を有する成分の探索を行った。その結果、藍藻類、特にアファニゾメノン(Aphanizomenon)属、さらにはAphanizomenon flos-aquaeの抽出物を含む組成物が表皮細胞の分化を抑制し、増殖を維持する作用において、レチノイン酸及びレチノールなどのレチノイン酸誘導体と同様の作用を有することを見出し、本発明を完成した。藍藻類、特にアファニゾメノン(Aphanizomenon)属、さらにAphanizomenon flos-aquaeの抽出物を含む本発明の組成物は、レチノイン酸やレチノイン酸誘導体の作用と同様に表皮細胞の分化を抑制し、増殖を維持することにより、ターンオーバーの遅延を予防、防止、改善し、老化により偏平化した表皮を肥厚させ、しわ、たるみのない若々しい肌の状態を維持することができる。本発明にて着目した藻類には、藍藻類、紅藻類、緑藻類、褐藻類等が含まれ、蛋白質、脂質、脂肪酸、ビタミン、ミネラルなどで構成されており、これらの天然成分は人体に対する刺激が低いため、安全性に優れた組成物として利用することができる。これらの藻類のなかでも特に着目した藍藻類としては、ユレモ目(通称;スピルリナ)のオルソスピラ(Arthrospira)属、スピルリナ(Spirulina)属、ハロスピルリナ(Halospirulina)属、リングビア(Lyngbya)属、ユレモ(Oscillatoria)属等、ネンジュモ目のアナベナ(Anabena)属、ノーストック(Nostoc)属、アファニゾメノン(Aphanizomenon)属等、クロオコックス目のシネココッカス(Synechococcus)属等が挙げられるが、好ましくはネンジュモ目、より好ましくはアファニゾメノン属の藻が用いられる。本発明では、レチノイン酸及びレチノールなどのレチノイン酸誘導体と同様の表皮の分化、増殖制御効果をもつ藻類を探すことによる。鋭意検討を行ったところ、目的の特性を備えた藻として、藍藻アファニゾメノン(Aphanizomenon)属、特にAphanizomenon flos-aquaeが最適であることを見いだした。Aphanizomenon flos-aquaeは、クラマス(Klamath)湖にのみに生息する藍藻類として知られている。6月中旬〜7月上旬、9月上旬〜11月下旬にかけた水温が低いときに湖の特定の場所で主に繁殖することが知られている。繁殖時期に湖の複数地点にて水質を調査、Aphanizomenon flos-aquaeのみが繁殖していることを確認した上で湖底より収穫し、水と分離、低温にて抽出、遠心分離、フィルター精製、濃縮、等の工程を経て、高純度に精製されたAphanizomenon flos-aquae抽出物を得る。得られた抽出物は、ナイアシン、ビタミンB群、アミノ酸(特にリジン、プロリン、メチオニン、システイン、セリン)に富む。一方、ヒ素、水銀、銅やカドミウム等の重金属が極めて少ない安全性の高いものである。本発明における組成物は、抽出物自体を乾燥させた乾燥物及び各種溶媒を用いて溶解した溶解物として使用できる。例えば、水またはエタノール、メタノールなどのアルコール類、プロピレングリコール、1、3−ブチレングリコールなどの多価アルコール、エーテル、アセトン、酢酸エチルなどの有機溶媒を1種もしくは2種以上を用いて溶解した溶解物として使用できる。藍藻類アファニゾメノン属、特にAphanizomenon flos-aquaeの抽出物を含む本発明組成物は、表皮細胞の増殖を維持し、分化を抑制することにより、ターンオーバーの遅延を予防、防止、改善し、加齢や紫外線照射により引き起こされる表皮、真皮の異常、及び、基底膜の偏平化を防ぎ、老化した皮膚を再生する作用を有する。本発明におけるアファニゾメノン属、特にAphanizomenon flos-aquaeの抽出物の組成物への有効配合量は、抽出物の調製法、製剤の形態などにより、適宜選択、決定されるが、乾燥重量として0.001〜100%(w/w)、好ましくは0.01〜10%(w/w)である。本発明の組成物には、上記成分のほか本発明の効果を損なわない範囲で、化粧品、医薬部外品等の形態に応じて、適宜、植物油のような油脂類、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、防腐剤、糖類、金属イオン封鎖剤、水溶性高分子のような高分子、増粘剤、粉体成分、紫外線吸収剤、紫外線遮断剤、ヒアルロン酸のような保湿剤、香料、pH調整剤等の皮膚外用剤成分を含有させることができる。また、上記成分に加えて薬効成分としてビタミン類、皮膚賦活剤、血行促進剤、常在菌コントロール剤、活性酸素消去剤、抗炎症剤、美白剤、殺菌剤等の他の薬効成分、生理活性成分を添加することもできる。以下に、例を挙げて本発明組成物に添加できる皮膚外用剤成分、薬効成分を説明するが、添加可能な成分はこれらに限定されるものではない。油脂類としては、例えばツバキ油、月見草油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ナタネ油、トウモロコシ油、ゴマ油、ホホバ油、胚芽油、小麦胚芽油、トリオクタン酸グリセリン、等の液体油脂、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ、モクロウ核油、硬化油、硬化ヒマシ油等の固体油脂、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、ヌカロウ、ラノリン、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ等のロウ類が挙げられる。炭化水素類としては、例えば、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。高級脂肪酸として、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等が挙げられる。高級アルコールとして、例えば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等が挙げられる。シリコーンとして、例えば、鎖状ポリシロキサンのジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等、環状ポリシロキサンのデカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。アニオン界面活性剤として、例えば、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、N−アシルサルコシン酸、スルホコハク酸塩、N−アシルアミノ酸塩等が挙げられる。カチオン界面活性剤として、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。両性界面活性剤として、例えば、アルキルベタイン、アミドベタイン等のベタイン系界面活性剤等が挙げられる。非イオン界面活性剤として、例えば、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体等が挙げられる。防腐剤として、例えば、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン等が挙げられる。金属イオン封鎖剤として、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エデト酸、エデト酸ナトリウム塩等のエデト酸塩等が挙げられる。高分子として、例えば、アラビアゴム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード、デキストラン、プルラン、カルボキシメチルデンプン、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー(CARBOPOL等)等のビニル系高分子、等が挙げられる。 増粘剤として、例えば、カラギーナン、トラガカントガム、クインスシード、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー、グアーガム、キサンタンガム、ベントナイト等が挙げられる。粉末成分としては、例えば、タルク、カオリン、雲母、シリカ、ゼオライト、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、セルロース粉末、無機白色顔料、無機赤色系顔料、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ等のパール顔料、赤色201号、赤色202号等の有機顔料が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、2、4−ジヒドロキシベンゾフェノン、等が挙げられる。 紫外線遮断剤として、例えば、酸化チタン、タルク、カルミン、ベントナイト、カオリン、酸化亜鉛等が挙げられる。保湿剤として、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、1、2−ペンタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、キシリトール、マルチトール、マルトース、ソルビトール、ブドウ糖、果糖、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸、シクロデキストリン等が挙げられる。薬効成分としては、例えば、ビタミンA油、レチノール等のビタミンA類及びその誘導体、リボフラビン等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩等のB6類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸モノパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−グルコシド等のビタミンC類及びその誘導体、パントテン酸カルシウム等のパントテン酸類、ビタミンD2、コレカルシフェロール等のビタミンD類及びその誘導体、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類及びその誘導体、等々で示されるビタミン類を挙げることができる。プラセンタエキス、グルタチオン、ユキノシタ抽出物、アルブチン等の美白剤、ローヤルゼリー、ブナノキエキス、アルテミアエキス、酵母エキス、ペプチド等の皮膚賦活剤、クリサンテルムインジクムエキス、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、γ−オリザノール等の血行促進剤、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、アズレン、ツボクサエキス及びツボクササポニン等の消炎剤、アルギニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸類、常在菌コントロール剤のマルトースショ糖縮合物、塩化リゾチーム等を挙げることができる。さらに、ワイン酵母エキス等の酵母エキスやカミツレエキス、パセリエキス、ブナノキエキス、グレープフルーツエキス、スイカズラエキス、コメエキス、ブドウエキス、ホップエキス、コメヌカエキス、ビワエキス、オウバクエキス、ヨクイニンエキス、センブリエキス、メリロートエキス、バーチエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、トウガラシエキス、レモンエキス、ゲンチアナエキス、シソエキス、アロエエキス、ローズマリーエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、ハマメリスエキス、クワエキス等の植物抽出物、紅藻類、褐藻類、緑藻類で示される海草エキス、ブドウ、オクラ、洋ナシ、リンゴ、ナツメヤシ等種子エキス、等々の各種抽出物が挙げられる。これらの点を踏まえ、本発明における組成物としてラナブルー(LANABLUE、アトリウムバイオテクノロジーズ社製)を用いることができる。以上のように本発明抽出物を直接、または添加剤等を加え、種々の溶媒等に溶解、分散させた組成物を薬効成分として使用し、さらに添加剤等を加え、加工し、皮膚外用剤及び化粧料を製造することができる。本発明における組成物の皮膚外用剤及び化粧料への有効配合量は、組成物の調製法、製剤の形態などにより、適宜選択、決定されるが、組成物中の抽出物の乾燥重量として0.00001〜100%(w/w)、好ましくは0.003〜0.015%(w/w)である。 本発明の皮膚外用剤及び化粧料は、ローション、エマルジョン、クリーム状、ゲル状などの液状や粉状、粒状などの固形状等の形態で用いられ、例えば、ローション、エッセンス、化粧水、美容液、乳液、下地クリーム、洗顔、クレンジング、クリーム等の基礎化粧料、皮膚外用剤;シャンプー、リンス、トリートメント、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアーカラー、ヘアーマニキュア、パーマ液、ムース、ワックス、ヘアーウォーター、育毛剤、発毛剤等の頭髪用化粧料、皮膚外用剤;及びその他の化粧料、皮膚外用剤として、リキッドファンデーション、パウダーファンデーション、マスカラ、口紅、アイシャドー、ほお紅、アイライン、眉墨、リップクリーム、パック、ハンドクリーム、レッグクリーム、ボディーローション、スプレー等として利用することができる。次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。[cDNAマイクロアレイ法による皮膚細胞の遺伝子レベルの解析]試験方法:過去にレチノイン酸やレチノイン酸誘導体の皮膚への効果をcDNAアレイ法にて、測定した結果が報告されている(Experimental Dermatology, 11, 59-74, 2002)。その報告に従い本発明組成物の皮膚への作用を確認するために、cDNAアレイを用い遺伝子発現の分析を行なった。対象となる遺伝子は、皮膚生理学で重要な遺伝子600を選択し、それを含有するDNAチップを使用した。ヒトの皮膚(20cm2)に2% Aphanizomenon flos-aquaeの組成物(ラナブルー)を1日に2回、5mg/cm2を2日間にわたり塗布し、その後、皮膚よりmRNAを抽出、マーカーであるcDNA(クローンDNA)とハイブリダイゼーションさせ確認した。定量は、定量的PCR法にてmRNAから合成されたcDNAを蛍光染色し、測定した。コントロールとなる遺伝子にはアクチンを使用した。結果を表1に示す。定量的PCRの結果よりAphanizomenon flos-aquaeの組成物が、表皮細胞増殖マーカーであるカルグラニュリンA、カルグラニュリンB及びプシリアシンを増加させた。また、コラゲナーゼ阻害因子マーカー(TIMP1)を増加させた。結果を表2に示す。定量的PCRの結果よりAphanizomenon flos-aquaeの組成物が、表皮細胞の分化後期マーカーであるフィラグリン、ロリクリン及びカルモジュリン様皮膚蛋白(CLSP)を低下させた。上記に示す表1と表2の結果により、レチノイン酸やレチノイン酸誘導体に酷似した作用が得られた。 [臨床試験:レーザー輪郭測定法]目じりの皺を立体的に解析する方法によって測定した。試験方法:40人の25歳から40歳の女性にAphanizomenon flos-aquaeの組成物3% 配合クリームを毎日2回、21日間塗布した。塗布部の凹凸を塗布直前と塗布後21日に、シリコンフィルコムによりコピーした。解析法:1)複雑性(シリコンコピーの凹凸)は、皮膚の微細な起伏の荒さ、皺の数や深さを表している。これらの凹凸の減少は皮膚を滑らかにする効果を表す。2)皺の深さの平均の改善は、凹凸の深さの減少が皮膚を滑らかにする効果を表す。3)アイソトロピイ解析は、深い皺が走る方向を表し、若い皮膚は一定の方向性を示し、皺の多い皮膚は多様な方向性を示す。アイソトロピイの減少は、皮膚の滑らかさにする効果を表す。上記の解析法により、結果を表3に示す。この結果より、複雑性の減少、皺の深さの平均の改善を減少及びアイソトロピイも減少させたことにより、Aphanizomenon flos-aquaeの組成物3%配合クリームには、皮膚を滑らかにする効果が見込まれることが証明された。[組織染色による各蛋白質の発現確認]目的:表皮の分化制御を確認するため後期分化マーカー蛋白であるロリクリン及びフィラグリンの発現を確認すること。試験方法:ヒト皮膚細胞を培地にのせ37℃、24時間培養した後、Aphanizomenon flos-aquaeの組成物3% 添加及び非添加溶液で48時間処理し、抗ロニクリン抗体及び抗フィラグリン抗体を用い、組織免疫蛍光染色した。結果として、表皮の後期分化マーカーであるロリクリン及びフィラグリンの発現は、非添加時とくらべ低下していた。このことにより、Aphanizomenon flos-aquaeの組成物は表皮の分化を抑制していることが確認された。[消費者試験]Aphanizomenon flos-aquaeの組成物3%配合クリームを使用後の40人の女性の自己評価を表4に示す。この結果より、95%の女性から良好な支持が得られた。[処方例]次に示す処方(表5)及び下記製法によるクリームを得た。本発明のクリームは、皺を減少させ、皮膚を滑らかにする効果を有するものであった。製法)A1、A2及びA3を混ぜ75℃にし、A4とA5を混ぜてAとする。A とB 75℃で混合し、70℃でCを加え、65℃でDを加え、60℃でEを加え、FGHを加えてクリームとする。安定性)50℃で1ヶ月 4℃で1ヶ月 光に1ヶ月安定pH ) 5.90粘度)ブルックフィールド法 RVT6,スピード1:600000cpsなお、本発明組成物の安全性について、皮膚一次刺激試験、皮膚感作性試験、急性毒性試験、眼粘膜刺激性試験、光毒性試験、光感作性試験、変異原性試験及びヒトパッチテスト(皮膚貼付試験)を実施したところ、いずれも問題はなかった。したがって、本発明抽出物を含有する組成物は安全性の高いものである。藍藻網ネンジュモ目アファニゾメノン(Aphanizomenon)属の抽出物を含む皮膚老化防止組成物。請求項1のうち、特にAphanizomenon flos-aquaeの抽出物を含む皮膚老化防止組成物。請求項1または2記載の組成物を含む表皮細胞分化抑制用組成物。請求項1または2記載の組成物を含むターンオーバー遅延予防用または改善用組成物。請求項1〜4のいずれか記載の組成物を含む皮膚外用剤及び化粧料。 【課題】表皮細胞の増殖、分化に対して、レチノイン酸やレチノイン酸誘導体と同様の作用を示す皮膚老化の予防、防止、改善に有用かつ安全な皮膚老化防止組成物を提供すること。【解決手段】藍藻類、特にアファニゾメノン(Aphanizomenon)属、さらにAphanizomenon flos-aquaeの抽出物を含む皮膚老化防止用、皮膚外用組成物。


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