生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_4−ヒドロキシブチルアクリレート及び精製4−ヒドロキシブチルアクリレートの製造方法
出願番号:2005358787
年次:2007
IPC分類:C07C 69/54,C07C 67/56,C07C 67/58


特許情報キャッシュ

鯨 勝文 兼子 芳子 JP 2007161636 公開特許公報(A) 20070628 2005358787 20051213 4−ヒドロキシブチルアクリレート及び精製4−ヒドロキシブチルアクリレートの製造方法 日本化成株式会社 000230652 岡田 数彦 100097928 鯨 勝文 兼子 芳子 C07C 69/54 20060101AFI20070601BHJP C07C 67/56 20060101ALI20070601BHJP C07C 67/58 20060101ALI20070601BHJP JPC07C69/54 ZC07C67/56C07C67/58 5 OL 9 4H006 4H006AA01 4H006AA02 4H006AD16 4H006AD17 4H006BB11 4H006BB31 4H006BD70 本発明は、4−ヒドロキシブチルアクリレートに関し、詳しくは、共重合体、感光性樹脂組成物などの各種製品の原料として好適な4−ヒドロキシブチルアクリレートに関する。 4−ヒドロキシブチルアクリレート(以下「4HBA」と略記する)は、分子内に疎水性のアルキル基と親水性のヒドロキシル基を共有するため、特に、柔軟性や親水性を適当に備えた実用上興味深い物性を有する重合体または共重合体の原料として有用である。特に、アルキル基鎖の長さに依存して他のアクリレートにない望ましい柔軟性を示し、また、分子内のヒドロキシル基が反応性に富むため、架橋性重合体または共重合体として、建材、自動車などの塗料用途に注目されている。更に、最近では、各種感光性樹脂組成物の原料としても注目されている。 4HBAの工業的製造方法としては、アクリル酸またはアクリル酸エステルとこれらの各成分に対して過剰量の1,4−ブタンジオールとの直接エステル化またはエステル交換反応が知られている。 ところで、原料として上記の4HBAを使用して塗料や感光性樹脂を製造しようとした場合、粘度上昇による作業性の悪化や分子量分布の異なる樹脂が生成する等の不具合が生じる場合がある。 例えば、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するビニル重合性物のイソシアネート基の一部に4HBAを付加させる自己架橋性樹脂の製造の場合(例えば特許文献1参照)、架橋制御が出来ずに予定される物性の樹脂が得られないという問題がある。特開平4−275319号公報 本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、原料として使用した場合、最終目的物となる樹脂などが、作業性に優れた粘度を持ち、ゲル状物質の生成の心配がなく且つ所望の分子量分布を得ることが出来る4HBAを提供することにある。 本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、次の様な知見を得た。(1)一般に使用されている4HBA中には、後述する特定のジアクリレート体が含有され、特に、アクリル酸またはアクリル酸エステルと1,4−ブタンジオールから4HBAを製造する場合、上記のジアクリレート体の生成は必須である。(2)精製法として一般的に使用されている蒸留法では、4HBAの沸点が230℃、ジアクリレート体の沸点が235〜275℃であり、両者の沸点が極めて近いことから、両者の分離精製は実質的に不可能である。また、活性炭を使用した精製法(特開平8−53392号公報)も提案されているが、ジアクリレート体の除去には効果が小さい。抽出による分離精製法では、4HBAに溶解するジアクリレートの物性から、大過剰の溶剤を使用し且つ抽出の繰り返しを実施しない限り、ジアクリレートの少ない4HBAは得られない。斯かる事情により、4HBA中にはジアクリレートが2000〜10000ppm含有されているのが現状である。(3)また、4HBAを原料として架橋性樹脂組成物を製造する場合、時として、物性調整のため、敢えて4HBAにジアクリレート体を添加するという操作も行われており、従来、ジアクリレート体に起因する問題点については検討されたことがない状況にあった。(4)しかしながら、本発明者らの検討結果、上記のジアクリレート体は、架橋性樹脂組成物の製造において、架橋密度の上昇による粘度上昇や重合速度の変化による分子量分布違いに起因する物性面および作業面での様々な問題を引き起こす原因であることが判明した。すなわち、特別な場合を除き、4HBAのジアクリレート含有量は可能な限り低いことが望ましい。 本発明は、上記の知見に基づき達成されたものであり、その第1の要旨は、以下の構造式(1)で示されるジアクリレート体の含有量が1000ppm以下であることを特徴とする4−ヒドロキシブチルアクリレートに存する。 そして、本発明の第2の要旨は、アクリル酸またはアクリル酸エステルと1,4−ブタンジオールを反応させて4−ヒドロキシブチルアクリレート得、得られた反応生成物を合成吸着剤により精製することを特徴とする、精製4−ヒドロキシブチルアクリレートの製造方法に存する。 本発明の4HBAによれば、架橋制御が可能となり、結果粘度上昇を抑制でき、原料として4HBAを使用する樹脂の製造において、物性、作業性に優れ、所望の分子量分布を有する樹脂を得ることが出来る。また、本発明の製造方法によれば、ジアクリレート体が高度に除去された精製4−ヒドロキシブチルアクリレートが得られる。 以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は、以下の説明に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々に変更して実施することが出来る。 本発明の4HBAの特徴は、前述の構造式(1)で示されるジアクリレート体の含有量が1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、更に好ましくは300ppm以下である。ジアクリレート体の含量が1000ppmを超える場合は本発明の目的を達成することが出来ない。 前記の通り、従来の製造方法で得られた4HBAは、2000〜10000ppm程度のジアクリレート体を含有している。従って、斯かるジアクリレート体を分離することにより、本発明の目的を達成することが出来る。しかしながら、何れの精製方法によっても、ジアクリレート体をゼロにすることは実質的に不可能であり、本発明で規定する1000ppm程度であれば、その影響を最低限に抑えることが出来る。 なお、本発明において上記のジアクリレート体の濃度は、ガスクロマトグラフィー法を使用し、以下の表1に記載の条件下で測定された値をいう。 本発明において、4HBAの製造法としては、アクリル酸またはアクリル酸エステルと1,4−ブタンジオールを使用した直接エステル化またはエステル交換反応が好適に使用される。この方法では、過剰量の1,4−ブタンジオールを使用する。そして、反応条件の選択によりジアクリレートの生成量を減らすことが可能であるが、本発明が求めるジアクリレート体の含有量にすることは到底不可能である。例えば、本発明者らの実験結果によれば、アクリル酸メチル0.9モル、1,4−ブタンジオール1.0モル使用した場合、目的物の4HBA0.5モルに対し、ジアクリレート体が0.2モル生成する。 また、例えば、特開2003−155263号公報では、原料として上記の方法で得られた4HBAを使用し、抽出精製法および抽出・蒸留精製によって精製された4HBAを取得している。そして、ジアクリレート体の含有量は4HBAに対し2000〜10000ppmにまで削減されている。しかしながら、ジアクリレート体含有量が2000ppmの4HBAでは、本発明の目的を達成することが出来ない。 本発明においては、従来とは異なる精製方法を採用することにより、ジアクリレート体含有量が1000ppm以下の4HBAを得る。 ところで、精製方法としては、上記文献に記載の抽出方法であって、ジアクリレート体を除去するため、更なる理論段を有する連続抽出塔を採用する方法が考えられる。更に、仕込み原料濃度を大幅に低下させることにより若干の精製効率向上も可能となる。本発明者らの検討によれば、1000〜2000ppmにまで低減させることは可能である。しかしながら、本発明が求めるジアクリレート体の含有量としては必ずしも十分ではない。しかも、これらの操作は結果的にコストアップにつながる恐れがある。 本発明においては、上記コストアップの問題がなく、ジアクリレート体を低減する方法としては以下のような方法が推奨される。 例えば、抽出方法によるジアクリレート体含有量の削減方法としては、従来の方法により製造された粗4HBAを水に溶解し、脂肪族炭化水素(好ましくは、n−ヘキサン、n−ヘプタン等)で抽出する。抽出はバッチ式、連続式のどちらでも構わない。抽出温度は30〜50℃の範囲が好ましい。抽出温度が30℃未満の場合は、抽出効率が悪く、期待される様な結果が得られず、また、得ようとすれば抽出回数を増やすこととなり、4HBAの回収率が大幅に悪化する。一方、抽出温度が50℃を超える場合は、抽出溶剤の沸点から操作が難しくなり好ましくない。通常、粗4HBA1Lに対し水1〜5L使用し、0.1〜0.5Lの脂肪族炭化水素を使用して抽出する。水量が余り少ない場合はヘキサン中へのロスが多く、余りに多い場合は濃度が低下して抽出効率上問題がある。水量に対する脂肪族炭化水素の量は0.01〜0.1倍量程度がよい。抽出回数は通常1〜5回である。2回程度の抽出で目的とする含量まで低下させることが出来る。水相からの4HBAを回収するための水留去はエネルギーコストの面から好ましくない。従って、食塩などの塩類による塩析、トルエンでの逆抽出およびトルエン留去が好ましい。 また、ジアクリレート体を低減する他の方法として、合成吸着剤による4HBAの精製方法が挙げられる。合成吸着剤による精製は、一般的にはバッチ式または流通式が採用される。合成吸着剤としては、スチレンージビニルベンゼン系、芳香族系の多孔性樹脂、疎水性の置換基を導入した合成吸着剤などが使用される。例えば、三菱化学社製の芳香族系HPシリーズ(HP10、HP20等)、芳香族系SPシリーズ(SP800、SP850等)が例示できる。 バッチ式処理方法の一例は次の通りである。先ず、合成吸着剤をビーカー等に取り溶剤で洗浄する。溶剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール、水などを使用することが出来るが、好ましくはメタノールである。洗浄溶剤量は、合成吸着剤容量に対して1〜4倍量を目安とすることが好ましく、1度に洗浄するのでなく、数回に分けて洗浄するのが効果的である。また、この際、合成吸着剤が気泡を持ち込むことがあるため、超音波洗浄器などで気泡除去も併せて行なうことが好ましい。 洗浄が終了した後、フラスコ等に合成吸着剤を移し、ジアクリレート体などの吸着処理を行なう。合成吸着剤の使用量は、任意に選択できるが、処理する4HBAに対し、通常0.01〜10倍量、好ましくは0.05〜5倍量である。処理温度は、通常20〜40℃である。吸着時間は通常0.1〜10時間である。また、過剰な溶剤は極力デカンテーション等により排除することが、吸着効果上好ましい。また、必要に応じて処理後、溶剤留去を行う。 吸着処理された合成吸着剤は再生することが可能である。再生はメタノール等のアルコールにより可能となり、合成吸着剤に対し1〜10倍量のメタノールで洗浄することにより、ほぼ初期の吸着力にまで回復する。この精製方法により得られる4HBAのジアクリレート体含有量は、通常1000ppm以下である。 ジアクリレート体の含有量が低減された本発明の4HBAは、情報技術関連に使用される感光性樹脂や塗料に使用した場合、精製処理しない通常品を使用した場合に比し、作業性に優れた、物性の均一の樹脂を得ることが出来る。 以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、「%」は質量%を意味する。<粗4HBAの製造>(エステル交換反応) 反応器に、精留塔、温度測定管、空気導入管、触媒導入管を取り付け、精留塔には1/4(インチ)マクマホン型充填材を60cmの高さで充填した、20Lステンレス製回分反応蒸留装置を使用し、以下の表2に記載の成分を仕込み、n−ヘキサンを添加し且つ反応蒸留により生成するメタノールをヘキサンと共に留去しながらエステル交換反応を行った。(抽出精製) 上記で得られた反応液8.08kgを原料とし、n−ヘキサン12.15kgと純水11.5kgを使用して連続抽出塔にて液液抽出を行い、ヘキサン層にジアクリレートを、水層に4HBAと未反応1,4ブタンジオールを回収した。得られた水層から、トルエンを使用して連続抽出塔により、未反応1,4ブタンジオールを水層に、4HBAをトルエン層に分離した。トルエンを減圧蒸留により留去し、4HBAを回収した。4HBAの組成は以下の表3に記載の通りであった。 実施例1: 温度計、冷却装置、撹拌装置を設置した5L反応器に上記の組成液1Lを仕込み、水3Lを加え、40℃の加温下、撹拌溶解した。ここに、n−ヘキサン0.3Lを加え、30分間撹拌した。その後、撹拌を停止し1時間静置分離した。反応器下部より水層を抜き出した。以上の操作を繰り返し2回行なった後、水層に食塩約200gを加え、室温下、トルエン3Lで3回抽出し、4HBAを抽出した。トルエン減圧留去後の組成は、以下の表4に示す通りであった。また、4HBAの回収率は94.8%であった。 実施例2: 先ず、100mlの合成吸着剤(三菱化学社製社製「セパビーズSP850」)を300mlビーカーに採り、メタノール200mlを加え、5分間ゆっくり撹拌しながら洗浄した。この操作を2回繰り返し、合成吸着剤の洗浄を完了した。 次いで、直径30mmのカラム上部より、気泡の混入に注意しながら、メタノールと共に導入した。合成吸着剤の高さは148mmであった。不要なメタノールを除いた。そして、4HBAを100g(1v)通液速度30g/h(空洞速度SV=0.31)でカラム上部より流通させた。得られたメタノール溶液からメタノールを除去した。精製前および精製後の4HBAの組成は以下の表5に示す通りであった。 実施例3: 実施例2において、空洞速度SVを0.15にした以外は、実施例2と同様の操作を行った。その結果、以下の表6に示す組成の精製4HBAが得られた。 実施例4: 実施例2で使用した合成吸着剤にメタノールを空洞速度(SV=1)で3V流通し、合成吸着剤の再生を行なった。そして、再生合成吸着剤を使用し、実施例2と同様の操作を行なった。4HBAは空洞速度SVは0.31とした。その結果、以下の表7に示す組成の精製4HBAが得られた。再生により新品と同様の吸着効果が確認できた。 参考例1: 水冷管とガス流入口を備えた1Lセパラブルフラスコに、メチルエチルケトン315.0g、イソプロピルアルコール35.0g、メチルメタクリレート75.0g、n−ブチルアクリレート60.0g、ジアクリレート体含有が800ppmの4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)15.0gを仕込み、液温を70℃に保ち、窒素を流した。アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を1.5g添加し重合を開始し、更に、1時間おきにAIBN1.5gを2回追加し、6時間重合し、固形分30%、粘度2000mP・s/25℃のアクリル系共重合体溶液を得た。このものはコーティング剤原料に好適に使用される。 比較参考例1: 参考例1において、ジアクリレート体を2000ppm含有する4HBAを使用した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系モノマーの重合を行った。共重合体溶液の粘度は18000mP・s/25℃と高く、コーティング剤原料として不適当であった。 比較参考例2: 参考例1において、ジアクリレート体を5000ppm含有する4HBAを使用した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系モノマーの重合を行った。AIBN添加終了後、約1時間で反応液が著しく粘度上昇しゲル状となった。 以下の構造式(1)で示されるジアクリレート体の含有量が1000ppm以下であることを特徴とする4−ヒドロキシブチルアクリレート。 アクリル酸またはアクリル酸エステルと1,4−ブタンジオールとの反応生成物を精製して得られる、請求項1に記載の4−ヒドロキシブチルアクリレート。 反応生成物の精製が、反応生成物を水に溶解させた後、有機溶剤により抽出することにより行われる、請求項2に記載の4−ヒドロキシブチルアクリレート。 反応生成物の精製が、合成吸着剤を使用することにより行われる、請求項2に記載の4−ヒドロキシブチルアクリレート。 アクリル酸またはアクリル酸エステルと1,4−ブタンジオールを反応させて4−ヒドロキシブチルアクリレート得、得られた反応生成物を合成吸着剤により精製することを特徴とする、精製4−ヒドロキシブチルアクリレートの製造方法。 【課題】原料として使用した場合、最終目的物となる樹脂などが、作業性に優れた粘度を持ち、ゲル状物質の生成の心配がなく且つ所望の分子量分布を得ることが出来る4−ヒドロキシブチルアクリレートを提供する。【解決手段】以下の構造式(1)で示されるジアクリレート体の含有量が1000ppm以下であることを特徴とする4−ヒドロキシブチルアクリレート。 【化1】【選択図】 なし


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