タイトル: | 公開特許公報(A)_α−リポ酸の安定化法及び安定化されたα−リポ酸製剤 |
出願番号: | 2005346841 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | A61K 31/385,A61K 47/22,A61K 31/122,A23L 1/30 |
石川 伸行 嘉島 康二 JP 2007153742 公開特許公報(A) 20070621 2005346841 20051130 α−リポ酸の安定化法及び安定化されたα−リポ酸製剤 株式会社三協 594069580 東山 喬彦 100086438 石川 伸行 嘉島 康二 A61K 31/385 20060101AFI20070525BHJP A61K 47/22 20060101ALI20070525BHJP A61K 31/122 20060101ALI20070525BHJP A23L 1/30 20060101ALI20070525BHJP JPA61K31/385A61K47/22A61K31/122A23L1/30 Z 7 OL 11 4B018 4C076 4C086 4C206 4B018MD10 4C076AA11 4C076AA29 4C076AA31 4C076AA36 4C076AA53 4C076BB01 4C076CC21 4C076CC40 4C076DD60Q 4C076FF63 4C086AA01 4C086AA02 4C086BB04 4C086MA02 4C086MA03 4C086MA05 4C086MA16 4C086MA35 4C086MA37 4C086MA41 4C086MA43 4C086MA52 4C086NA03 4C086ZC21 4C086ZC37 4C206AA01 4C206AA02 4C206CB27 4C206MA02 4C206MA03 4C206MA05 4C206MA13 4C206MA36 4C206MA55 4C206MA57 4C206MA61 4C206MA63 4C206MA72 4C206NA03 4C206ZC21 4C206ZC37 本発明は、α−リポ酸の安定化法、α−リポ酸を含有する安定化されたα−リポ酸製剤、並びに、α−リポ酸を安定に含有する医薬品、健康食品または食品に関するものである。 近年、α−リポ酸(チオクト酸)は、医薬として用いられるほか、二次的に生体内の抗酸化物質として有益に働くとともに、糖質の代謝に有益に働き、糖尿病の予防効果や、細胞レベルでの糖代謝促進機能によって、ダイエット、筋肉の疲労防止、抗酸化効果等を持つ物質として着目され、健康を維持するのに有益な食品ないし食品補助剤として使用されている。 しかしながら、これまでに使用されてきたα−リポ酸含有医薬品の原料は、α−リポ酸のアミド体であるα−リポ酸(チオクト酸)アミドであり、α−リポ酸のフリータイプではなく、化学的に安定な構造を持っていた。最近、厚生労働省が食品として認めたα−リポ酸はフリー体であるため、化学的に非常に不安定な構造を有しており、α−リポ酸として製剤中に長期間安定に保つことは困難であった。このため、例えば、α−リポ酸水性製剤に亜硫酸塩またはその水和物を配合して安定化させる方法が提案されているが(特許文献1)、十分な安定化効果は得られていない。また、α−リポ酸の徐放性製剤(特許文献2)も知られているが、α−リポ酸自体を安定化することは開示されていない。 このため、市販のα−リポ酸製剤に製剤安定性試験を行うと、ほとんどの製品の1ケ月後の加速安定試験試験(温度40℃、湿度75%で密栓して保存)結果では、調合時に比し、10%程度もしくはそれ以上低下する。また、2ケ月の加速安定試験では15%程度、ひどいものでは50%以上低下するものもあった。特開2005−2096公報特表2002−516270公報 本発明者らは、このような現状に鑑み、鋭意検討した結果、α−リポ酸にニコチン酸アミド誘導体を共存させることにより、α−リポ酸を安定化しうることを知見し、種々、検討を重ねて、長期間安定に維持可能な本発明のα−リポ酸の安定化法及び安定化されたα−リポ酸製剤を完成した。 請求項1記載のα−リポ酸の安定化法は、α−リポ酸にニコチン酸アミド誘導体を共存させることを特徴として成るものである。 請求項2記載のα−リポ酸の安定化法は、前記要件に加えて、ニコチン酸アミド誘導体がニコチン酸アミドであることを特徴として成るものである。 請求項3記載のα−リポ酸の安定化法は、前記要件に加えて、α−リポ酸に対して、ニコチン酸アミドとして0.5%W/W 以上のニコチン酸アミド誘導体を共存させることを特徴として成るものである。 請求項4記載のα−リポ酸の安定化法は、前記要件に加えて、α−リポ酸及びCoQ10にニコチン酸アミド誘導体を共存させることを特徴として成るものである。 請求項5記載の安定化されたα−リポ酸製剤は、α−リポ酸とニコチン酸アミド誘導体を含有することを特徴として成るものである。 請求項6記載の安定化されたα−リポ酸製剤は、前記請求項5記載の要件に加えて、α−リポ酸製剤が医薬品、健康食品または食品であることを特徴として成るものである。 請求項7記載の安定化されたα−リポ酸製剤は、前記請求項5または6記載の要件、α−リポ酸製剤がカプセル剤、錠剤、顆粒剤、粉剤または液剤であることを特徴として成るものである。 α−リポ酸にニコチン酸アミド誘導体を共存させることにより、α−リポ酸を安定化し得ることを長期間安定に維持可能であり、3ないし5年間常温に保存しても、α−リポ酸の低下を5%未満に抑えることができる。 本発明の最良の形態は、以下の実施例に述べるとおりである。 本発明においては、α−リポ酸にニコチン酸アミド誘導体を共存させる。α−リポ酸は、必要に応じて、遊離カルボン酸もしくはナトリウム、カリウム塩等として用いられる。このようなα−リポ酸もしくは塩は、原体そのまま、あるいは、α−リポ酸もしくは塩の作用を阻害しない固形または液状であって、医薬あるいは食品に通常用いられる担体と共に用いることができる。固形担体としては、たとえば、澱粉、グルコース、乳糖、トレハロース、デキストリン、ペクチン、ベーターグルカン、セルロース、サイクロデキストリン、ベントナイト、二酸化珪素等を用いることができる。液状担体としては、水、エタノール、グリセリン、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オリーブ油、サフラワー油、ヒマシ油、ゴマ油、ミツロウ等を用いることができる。さらに、必要に応じて、乳化剤、増粘剤、酸化防止剤、界面活性剤、香料等を用いることもできる。また、経口的に用いる場合には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸―メタクリル酸エステルコポリマー、ポリビニル酢酸―フタル酸エステル、酢酸フタル酸セルロース等により腸溶性コーチングしてもよい。このようなα−リポ酸は、成人一日あたり10〜1000ミリグラム、望ましくは60〜300ミリグラム摂取できるように含有させるのがよい。 α−リポ酸に共存させるニコチン酸アミド誘導体としては、ニコチン酸アミドのほか、モノまたはジメチル、エチル誘導体が用いられる。これらのニコチン酸アミド誘導体は、α−リポ酸に対して、ニコチン酸アミドとして0.5%W/W以上のニコチン酸アミド誘導体を共存させるのがよい。ニコチン酸アミド誘導体の添加量は一日当たりの摂取量として10グラム以下であれば差し支えないが、ニコチン酸アミド誘導体自体の薬理作用が出ない範囲が望ましい。好ましくは、α−リポ酸に対して、ニコチン酸アミドとして0.5〜5%W/Wのニコチン酸アミド誘導体を共存させるのがよい。 また、必要に応じて、ビタミンA、B、C、D、E等のビタミン類、グリシン、アラニン、グルタミン等のアミノ酸類、CoQ10等の酵素類、糖類、有機酸類などを配合してもよい。 本発明においては、これらを通常の方法に従って、粉剤、顆粒剤、液剤、錠剤、カプセル剤等とすることができる。 [1.製品処方・配合等] [2.保存条件] :規格6号瓶 1)温度40℃ 湿度75%RH 2)常温保管 [3.保存期間] :加速1ケ月、2ケ月、4ケ月(それぞれ常温 半年、1年、2年相当 ) [4.試験内容] :(1)崩壊試験(日本薬局方14局 試験液 水)(2)α−リポ酸の定量(HPLC定量法) <測定条件> 1カプセルを5mM リン酸緩衝液(pH3.5):アセトニトリル=1:1に溶 解して 50mlに定容 標準品による5点絶対検量線により定量 <HPLC条件> カラム ODS UG120 (資生堂カプセルパックC18 4.6mmφ× 250mm) 流出液 メタノール:アセトニトリル(pH3.1):5mM リン酸緩衝液= 1160:180:920 流出速度 1.2ml/min 検出器 215nm(トーソーPD−8020) カラム温度 35℃ 注入量 20μl (3)CoQ10の定量(HPLC定量法) <測定条件> カプセル内容物をエタノールに溶解して50mlに定容 標準品による5点絶対検量線により定量 <HPLC条件> カラム ODS SG120 (資生堂カプセルパックC18 4.6mmφ× 250mm) 流出液 メタノール:エタノール=13:7 流出速度 1.0ml/min 検出器 275nm(トーソーPD−8020) カラム温度 40℃ 注入量 5μl加速試験まとめ(1)崩壊試験 開口時間に遅延は見られたが、規定時間内。(20分以内)(2)α−リポ酸 2ケ月で理論配合量の5%減少した。(3)CoQ10 2ケ月で理論配合量の2.3%減少した。〔比較例1〕 [1.製品処方・配合等] [2.保存条件] :規格6号瓶 温度40℃ 湿度75%RH [3.保存期間] :加速1ケ月、2ケ月、4ケ月(それぞれ常温 半年、1年、2年相当 ) [4.試験内容] : (1)崩壊試験(日本薬局方14局 試験液 水) (2)α−リポ酸の定量(HPLC定量法) <測定条件> 1カプセルを5mM リン酸緩衝液(pH3.5):アセトニトリル=1:1に溶 解して50mlに定容 標準品による5点絶対検量線により定量 <HPLC条件> カラム ODS UG120 (資生堂カプセルパックC18 4.6mmφ× 250mm) 流出液 メタノール:アセトニトリル(pH3.1):5mM リン酸緩衝液= 1160:180:920 流出速度 1.2ml/min 検出器 215nm(トーソーPD−8020) カラム温度 35℃ 注入量 20μl (3)CoQ10の定量(HPLC定量法) <測定条件> カプセル内容物をエタノールに溶解して50mlに定容 標準品による5点絶対検量線により定量 <HPLC条件> カラム ODS SG120 (資生堂カプセルパックC18 4.6mmφ× 250mm) 流出液 メタノール:エタノール=13:7 流出速度 1.0ml/min 検出器 275nm(トーソーPD−8020) カラム温度 40℃ 注入量 5μl [5.試験結果] 加速試験まとめ (1) 崩壊試験 開口時間に遅延は見られたが、規定時間内。(20分以内) (2) α−リポ酸 2ケ月で理論配合量の15.7%の減少。 (3) CoQ10 2ケ月で理論配合量の4.6%の減少。 [1.製品処方・配合等] [2.保存条件] :温度40℃ 湿度75%RH ・ 規格6号瓶 [3.保存期間] : (1) 1ケ月、2ケ月、4ケ月 (2) 常温半年 [4.試験内容] : (1)色調 (JIS 28721の色表 光沢版) (2)崩壊試験(日本薬局方14局 試験液 水・1液・2液) (3)水分(加熱乾燥式) (4)臭気評価(官能試験) (5)α−リポ酸の定量(HPLC定量法:カラムODS UG120) <測定条件> 1カプセルを5mM リン酸緩衝液(pH3.5):アセトニトリル=1:1に溶 解して50mlに定容 標準品による5点絶対検量線により定量 <HPLC条件> カラム ODS UG120 (資生堂カプセルパックC18 4.6mmφ× 250mm) 流出液 メタノール:5mM リン酸緩衝液:アセトニトリル(pH3.1)= 1160:180:920 流出速度 1.2ml/min 検出器 215nm(トーソーPD−8020) カラム温度 35℃ 注入量 20μl [5.試験結果]まとめ(1)色調 経時変化なし。(2)崩壊試験 60分以内に被膜は全溶解で、問題なし。(3)水分 問題なし。(4)臭気評価 経時変化なし。(5)α−リポ酸 経時変化は認められるが、許容範囲内。〔比較例2〕 [1.製品処方・配合等] [2.保存条件] :温度40℃ 湿度75%RH ・ 規格6号瓶 [3.保存期間] : (1) 1ケ月、2ケ月、4ケ月 (2) 常温半年 [4.試験内容] : (1) 色調 (JIS 28721の色表 光沢版) (2) 崩壊試験(日本薬局方14局 試験液 水・1液・2液) (3) 水分(加熱乾燥式) (4) 臭気評価(官能試験) (5) α−リポ酸の定量(HPLC定量法:カラムODS UG120) <測定条件> 1カプセルを5mM リン酸緩衝液(pH3.5):アセトニトリル=1:1に溶 解して50mlに定容 標準品による5点絶対検量線により定量 <HPLC条件> カラム ODS UG120 (資生堂カプセルパックC18 4.6mmφ× 250mm) 流出液 メタノール:5mM リン酸緩衝液:アセトニトリル(pH3.1)= 1160:180:920 流出速度 1.2ml/min 検出器 215nm(トーソーPD−8020) カラム温度 35℃ 注入量 20μl [5.試験結果]崩壊試験結果まとめ(1)色調 経時変化なし。(2)崩壊試験 加速品は、内容物が120分以上経過しても分散せず残るが、規定 60分以内に被膜は全溶解。(3)水分 経時変化なし。(4)臭気評価 変化なし。(5)α−リポ酸 経時的に、減少がみられた。 α−リポ酸にニコチン酸アミド誘導体を共存させることを特徴とするα−リポ酸の安定化法。 ニコチン酸アミド誘導体がニコチン酸アミドであることを特徴とする請求項1記載のα−リポ酸の安定化法。 α−リポ酸に対して、ニコチン酸アミドとして0.5%W/W以上のニコチン酸アミド誘導体を共存させることを特徴とする請求項1または2記載のα−リポ酸の安定化法。 α−リポ酸及びCoQ10にニコチン酸アミド誘導体を共存させることを特徴とするα−リポ酸及びCoQ10の安定化法。 α−リポ酸とニコチン酸アミド誘導体を含有することを特徴とする安定化されたα−リポ酸製剤。 α−リポ酸製剤が医薬品、健康食品または食品であることを特徴とする請求項5の安定化されたα−リポ酸製剤。 α−リポ酸製剤がカプセル剤、錠剤、顆粒剤、粉剤または液剤であることを特徴とする請求項5または6の安定化されたα−リポ酸製剤。 【課題】α−リポ酸はフリー体であるため、化学的に非常に不安定な構造を有しており、α−リポ酸として製剤中に長期間安定に保つことは困難であったが、これを改善し、食品、食品補助剤、医薬品等に含有されるα−リポ酸を長期間安定に保つことを技術的な課題とした。【解決手段】α−リポ酸にニコチン酸アミド誘導体を共存させて、α−リポ酸を長期間安定化する。α−リポ酸25重量部に対しニコチン酸アミド1重量部配合したハードカプセルでは、温度40℃、湿度75%RH、4ケ月保存で実残存率96%であった。【選択図】なし