生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_生体画像処理方法
出願番号:2005345987
年次:2007
IPC分類:G01N 21/64,G06T 1/00


特許情報キャッシュ

ゲールト・カルシェ ニコラス・トーマス JP 2007147563 公開特許公報(A) 20070614 2005345987 20051130 生体画像処理方法 ジーイー・ヘルスケア・ユーケイ・リミテッド 398048914 石野 正弘 100098280 川端 純市 100125874 ゲールト・カルシェ ニコラス・トーマス G01N 21/64 20060101AFI20070518BHJP G06T 1/00 20060101ALI20070518BHJP JPG01N21/64 FG06T1/00 295G01N21/64 E 14 4 OL 36 特許法第30条第1項適用申請有り 1. スイス、ジュネーブ、第11回バイオモレキュラー・スクリーニング年次大会(2005年9月11−15日)において展示された、ジェネラル・エレクトリック・カンパニーが版権を所有するポスター 2. 2005年9月21日にGEヘルスケア(前アマシャム・バイオサイエンス)からリリースされたラボラトリー・トーク 3. 2005年11月17日にGEヘルスケアにより送信されたライフサイエンスニュース 4. 2005年11月17日付けのGEヘルスケアのプレスリリース 2G043 5B057 2G043AA03 2G043BA16 2G043DA02 2G043DA05 2G043DA06 2G043EA01 2G043FA02 2G043HA01 2G043HA09 2G043JA03 2G043KA09 2G043LA03 2G043NA05 2G043NA06 5B057AA10 5B057BA03 5B057BA24 5B057DA08 5B057DA12 5B057DB02 5B057DB05 5B057DB09 5B057DC03 本発明は、生体サンプル画像処理方法に関する。生体サンプルには、核、細胞質、および小核が含まれる。本発明は、また、本発明に係る方法を実行するコンピュータプログラム、当該コンピュータプログラムを含むデータ記憶媒体、および当該コンピュータプログラムを実行可能なシステムに関する。 画像処理は、生物学分野に格別の関与がある。この分野では、生体サンプルの画像を分析することで特定の特徴的形態の存在について分析する。特徴的形態には、細胞内構成要素、線維、および顆粒が含まれることがある。蛍光顕微鏡観察法を用いればフルオロフォアで標識されたサンプル内の要素の分布を画像化し、デジタル画像の画素の強度値として記憶可能である。異なる要素は、異なるフルオロフォアで標識可能である。よって、サンプルに照射する波長と、サンプルからの放射を収集するフィルタとを適切に選択することにより、特定の要素を造影できる。波長とフィルタの具体的な組み合わせをチャネルと称する。例えば、第1チャネルを、細胞核の造影に、第2チャネルを、核を囲む細胞質の造影に設定することができる。 創薬領域では数多くの生体サンプルを画像処理する必要がある。妥当な時間で完全なアッセイを処理可能とするために、処理法はコンピュータ上での高速な実行を実現しなければならない。ある種の創薬アッセイでは、遺伝毒性化合物を見つけるために、小核の誘導を観察する。小核形成の分析は、新薬候補の、並びに、人間が消費若しくは使用する目的を有するか、または、間接的に若しくは図らずに消費若しくは経口摂取する可能性を有する食用色素や化粧品といった化学物質および材料の、毒性評価の重要な要素である。このような分析によって細胞の細胞質内での小核の発生率、および、好ましくは、小核の単核性細胞および二核性細胞の帰属を決定する。 小核の発生率を分析するための、周知の自動化された手法は比較的遅い。このような周知の手法の1つにおいては、第1チャネルによる画像を用いてサンプル内の核の位置を決定し、第2チャネルによる画像から細胞質を識別し、ウォーターシェッド法(watershed method)を用いて細胞質をバックグラウンドから分け、さらに、第1チャネルによる画像における細胞質の領域内に小核が存在することを割り出している。細胞質の区分けおよび第2チャネルの使用にかなりの時間を要する。本発明の目的は、より高速な手法を提供することである。 本発明の目的は生体サンプル画像処理方法により達成される。生体サンプルは、核、細胞質、および小核を含み、各核は細胞質に囲まれており、細胞質においては最大距離が規定される。この最大距離とは、画像における、細胞質の核と細胞質との最大の隔たり(範囲の最大)である。本方法は、捜索距離を最大距離未満の値に設定するステップと、核から捜索距離以内において小核を捜索するステップと、捜索で発見した小核に注釈付けするステップとを有する。 本発明による方法では、ウォーターシェッド・セグメンテーション法を用いる必要がなく、また、単一のチャネルによる画像で処理可能である。最大距離は、核から核を囲む細胞質の広がりの、画像における、最大値である。核の縁部から第2距離未満の隔たりにある小核の捜索が実行される。一般的に、これらの小核は核を囲む細胞質内に存在する。この要件を満たす小核を、捜索の発見物として注釈付けする。本方法によれば、単核性細胞や二核性細胞といった、具体的な細胞への小核の帰属を考察可能である。 一般に、小核は、核の縁部に比較的近い場所に存在する。本発明による方法は、細胞質内において第2距離よりも大きく隔たって存在する小核を切り捨てることが可能である。このことは、相対発生率に基づく分析、例えば遺伝毒性化合物の濃度の関数としての小核発生率の増加に焦点を当てた分析、に影響を及ぼすものではない。実際の事例を得れば、発生率が既知のリファレンス・サンプルを用いることで、本発明による方法で得た発生率をスケーリングすることができる。 本方法の第1の好適な実施形態では、本方法は、少なくとも1つの核の周りを第1領域と定めるステップを有する。第1領域は、内側境界と外側境界とに囲まれた領域である。そして、第1要素と外側境界との間隔は、捜索距離と実質的に等しく、小核の捜索はこの第1領域によって限定される捜索領域で実行される。捜索領域の形状は、核の縁部に従うものである。一般に、小核の捜索は、画像全体にわたって全ての核について適用される。捜索領域の計算法は、従来の、ウォーターシェッド法を用いた細胞質の範囲を決定する方法よりも、かなり高速である。画像における核周囲の捜索領域内での小核の捜索は、核の識別に用いたチャネルと同一のチャネルで実行可能であり、この処理も相対的に高速に実行可能である。 また、代替的方法では、捜索距離は、捜索領域に含まれる核の径の半値と実質的に等しい値に設定される。語「実質的に」は、この値が、径の0.3倍から0.7倍の間にあることが好ましい、ことを意味する。核の形状が円形でない場合、径の値は、核の最も長い径と最も短い径の平均とすることができる。また、調査対象の核全体にわたり径の平均をとってもよい。 別の実施形態では、捜索領域の内側境界は、核の縁部である。核を識別することで既に核の縁部は定められている。そのため、内側境界を定めるうえでさらなる計算は不要である。別の好適な実施形態では、第1領域の内側境界は、核の外側かつ外側境界の内側に構成される。内側境界を核の縁部からは拡張し、染色による縁部の輝度を、小核と誤識別することを回避する。外側境界を、内側境界から特定の間隔に定める場合、捜索距離は、その間隔と、内側境界と核の縁部との間の間隔の和に等しい。 核の周囲に第2領域を定めるステップにより、本方法はさらに精緻化される。この第2領域は、第1領域と、核を取り囲む細胞質の領域とが重複する領域である。捜索領域は、この第2領域により制限される。こうすることにより、捜索領域が細胞の領域から外れること、および、細胞の外側にあるものを小核として注釈付けすることを防止する。第2チャネルによって細胞質の大きさを定めることが可能である。第2チャネルは、核および小核の識別に用いるチャネルとは別のものであって、第2チャネルでは高速実行スレッショルディングを用いて細胞質を識別する。 核同士が割合近接する場合、一の核を囲む捜索領域と、近接する核の一部とが重複することがある。この重複している領域を小核と識別することを防止するため、捜索領域は、第1領域または第二領域に制限し、近接する核との重複した領域を除外することが望まれる。 米国特許第5,989,835号は、細胞内にレポーター分子を配置する方法を開示する。この方法は、第1チャネルの画像において、細胞の核の領域内部に核マスクを定め、核の周囲にサンプリング領域を定める。別のチャネルの画像において、核マスクおよびサンプリング領域の平均蛍光を測定することで、レポーター分子の存在を判定する。この特許発明は、小核のような分離した物体の存在を判定するために捜索領域を用いる点を開示していない。また、この特許発明は、領域を定めることに用いたチャネルと同一のチャネルによる画像内の物体を捜索するという点について開示しない。このことは、処理速度においてかなり有利な点である。さらには、この特許発明は、核に近接した捜索領域についても開示しない。この捜索領域とは、小核が発見される可能性が最も高い領域である。 本方法の第2の好適な実施形態では、本方法は、小核の少なくとも1つとそれに最近接する核との間を第3距離と定めるステップと、第3距離が捜索距離未満である場合に小核に注釈付けを行うステップとを有する。この方法では、小核の大きさおよび輝度を有する物体を画像から捜索し、最近の核との距離を求め、その距離が捜索距離未満の場合に限って発見物として小核に注釈付けを行う。この、第2の好適な実施形態による方法は、非常に高速であり、かつ、実行容易である。 代替的方法では、捜索距離は、核の径の半値と実質的に等しい値に設定される。語「実質的に」は、径の0.3ないし0.7倍の値であることが好ましい。核の形状が円形でない場合、径は、核の最長径および最短径の平均として求めることができる。好ましくは径は、調査対象である核の全体にわたる平均である。 小核を細胞の外部で見つけることがないように、本方法は、小核が、最近の核を囲む細胞質と重複している場合に限り小核に注釈付けを行うステップを備えることが好ましい。細胞質の範囲は、上述した手法より求めることができる。 本発明の第2の態様は、本発明にかかる方法を実行可能に構成されたコンピュータ・プログラムに関する。 本発明の第3の態様は、前段のコンピュータ・プログラムを記録したデータ記憶媒体に関する。 本発明の第4の態様は、システム、好ましくは分析システムに関する。この分析システムは、先のコンピュータ・プログラムを実行する処理装置(プロセシング・ユニット)を有する。本システムは、先のコンピュータ・プログラムを記録したデータ記憶媒体を有することが好ましい。 本発明の別の特徴および有利点は、以下の本発明の好適な実施形態に関する説明より明らかとなる。以下の説明は、添付の図面を参照しており、例示のみを目的としている。 小核の誘導は、遺伝毒性化合物の重要な特徴である。それ故、小核形成の分析は重要な研究調査対象である。小核形成は、遺伝毒性化合物に曝された細胞の細胞分裂の際に生じる。これは、染色体異常誘発性化合物によるDNA鎖の切断、または、異数性誘発性化合物によってチューブリンのような細胞の染色体分離機構を構成する要素が干渉することによる誤った染色体分離のいずれかに起因する場合がある。 図1は、細胞分裂における小核形成を示す図である。これは、有形分裂とも称される。細胞1は、細胞質3に囲まれた核2を含む。分裂中の細胞を参照数字4で示す。分裂した染色体5は、微小管6によって分離される。本図は、DNA鎖の切断7および微小管の切断8を示している。染色体の分離におけるこれらの欠陥により、染色体の断片または染色体全体が生じる。細胞質分裂後、つまり、細胞が2つの、それぞれ分離された染色体のセットを含む娘細胞に分裂した後は、2つの、それぞれが核11、12を含む細胞9、10が存在する。欠陥によって生じた染色体の断片または全染色体は、細胞10の細胞質内に小核13として存在する。図1に示す細胞9および10のように単一の核を含む細胞は、単核性細胞と呼ばれる。有形分裂後に細胞質分裂が行われず、細胞質内に2つの核を含む細胞は、二核性細胞と呼ばれる。 インビトロ小核アッセイは、被験化合物と一緒に細胞を、細胞分裂が一巡以上行われるのに十分な期間の間培養し、被験化合物が染色体異常誘発性もしくは異数性誘発性について活性を有する場合には小核が形成され得るように、行われる。細胞分裂は小核形成の要件である。そのため、細胞は、アッセイの間、活発に分裂していることを確かめることが必要である。細胞分裂の確認には、幾つかの手法を利用可能である。それらには、サイトカラシンBを用いた細胞質分裂の阻害を利用することも含まれる。サイトカラシンBによる細胞質分裂の阻害を利用するプロトコルでは、阻害剤の添加により、細胞は娘細胞の分裂の前で直ちに停止し、その結果、二核性細胞が形成される。結果、被験化合物と一緒に処理された細胞群を、単核性細胞と二核性細胞の相対頻度について分析することで、培養の増殖についての活性に関する測度が得られる。この増殖指標を用いて細胞周期の遅延または停止を引き起こす化合物の識別が可能である。また、化合物の細胞毒性に起因し偽陰性のアッセイ結果が出る危険性のある場合に、化合物を再試験する必要性を示唆することができる。増殖制御および細胞質分裂阻害剤についてのガイダンスについては、キルシュ−フォルダース エム.ら(Kirsch-Volders M. et al.)の「Report from the in vitro micronucleus assay working group.」 Mutat Res. 2003 540(2):頁153−163を参照されたい。 小核の存在は、標準的なDNA染色法および蛍光造影法を用いて容易に検出可能である。一般的なDNAの染色は、ヘキスト(トレードマーク)33342およびDRAQ5(トレードマーク)である。細胞質は、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)またはカルセインブルーAM(Calcein blue AM)で染色可能である。生育不能な細胞を検出するには、染色用のプロピジウム・イオダイド(stein Propidium iodide)を用いることができる。アッセイのサンプルは、従来の方法で準備する。異なる量の被験化合物を含むサンプルをウェルまたはマイクロタイター・プレートに沈着させればよい。 図2は、蛍光顕微鏡の概略図である。この蛍光顕微鏡は、上述のサンプルを、米国特許第6,400,487号および6,388,788号明細書において開示するGEヘルスケア社のIN Cell Analyzer 3000システムといった分析システムで造影することに用いることができる。本顕微鏡は、電磁放射線源を有する。この電磁放射線源は、例えば、可視領域である350ないし750ナノメートルの放射線を放つ電球21および/またはレーザ22である。放射された放射線は、レンズ23および24によりそれぞれ平行化される。本顕微鏡は、さらにシリンドリカル・レンズ25、第1スリット・マスク26、第1リレー・レンズ27、二色性ミラーの形態を備えたビーム・スプリッタ28、対物レンズ29、サンプル・ウェル31の2次元的アレイを備えたマイクロタイター・プレート30、結像レンズ32、フィルタ33、第2スリット・マスク34、および、検出器35を有する。これらの要素は、マスク26、34のスリット開口部36、37のそれぞれが定める光軸OAに沿って配置され、図2の面に垂直な方向に延在する。レンズ27、29、および32の焦点距離、これらレンズ間の間隔、マスク26とレンズ27の間隔、対物レンズ29とマイクロタイター・プレート30の間隔、レンズ32とマスク34の間隔は、共焦点顕微鏡を構成するものである。 本実施形態では、線源からの電磁放射線は、シリンドリカル・レンズ25を用いて一線に集中される。この線の形状は、第1スリット・マスク26によって最適化される。スリット・マスク26は、マイクロタイター・プレート30と共役の関係にある、本光学系の、ある平面内にある。スリット・マスク26の開口部36により形成される照射縞は、レンズ27、二色性ミラー28、および対物レンズ29によって中継され、マイクロタイター・プレート30に達する。図示の簡単化のため、光学要素は断面図であり、ウェル・プレートは斜視図としている。照射される線のウェル・プレート30上への投射は、線38として示す。矢印AおよびBとして示すとおり、ウェル・プレート30は、アレイの方向と平行な2方向(x,y)へ図示しない手段により移動することができる。 或いは、スリット・マスク26を、本光学系のフーリエ面に配してもよい。これは、対物レンズ29の後焦点面(BFP)39と共役な平面に含まれる。この場合、スリットの開口部36は本図の面内に含まれ、レンズ27は、開口部26によって形成された照射縞を、対物レンズ29の後焦点面39へ向けて中継する。レンズ27により、照射縞は図1の面に垂直な、マイクロタイター・プレート30の面内の線に変換される。 線源からの放射線を、スリット・マスク26を用いずに、対物レンズ29の後焦点面39に集中させてもよい。これは、図2に示すシリンドリカル・レンズ25と球面レンズ27とを組み合わせることで可能である。或いは、シリンドリカル・レンズ25によって照射を直接的に面39に集中させることもできる。 サンプル領域の画像、例えば、サンプル・ウェル31内にあるサンプルの画像は、照射の線がサンプルを横断するようにマイクロタイター20を位置合わせし、サンプルの放射する蛍光を検出器35に結像させ、そして、検出器35の読み出しと同期してプレート30を照射の線と垂直な方向へ平行移動させることで得ることができる。蛍光の放射は、対物レンズ29によって集光され、ビーム・スプリッタ28に投射され、そして、フィルタ33および第2スリット・マスク34を通してレンズ32により結像される。これは、無限遠補正対物レンズ29を備える共焦点結像系に適切なものである。ビーム・スプリッタ28およびフィルタ33は、照射する波長の光を選択的に遮断する。検出器35は、CCDアレイを用いることができる。この検出器は、一次元的であっても二次元的であってもよい。一次元的検出器を用いるならば、スリット・マスク34は不要である。これら、照射、検出、および平行移動は、規定された領域を撮像するまで継続される。間断のない速さで平行移動を行うならば、マイクロタイターの機械的な動作は、単純化される。カメラの読み出し時間が、露光時間に較べて短い場合、途切れることのない運動はとても有用である。好適な実施形態では、カメラは、連続的に読み出される。露光時間と読み出し時間とをすべて含めた時間の間のサンプルの変位dは、照射線の幅Wよりも大きくとも小さくともよい。例えば、Wは、0.5W≦d≦5Wである。マルチ・ウェル・プレートのウェルは全て、同様にして撮像可能である。しかし、非共焦点顕微鏡も使用可能であることを付け加えておく。これは、例えば、GEヘルスケア社のIN Cell Analyzer 1000システムにも組み込まれている。また、このシステムは、米国特許第6,563,653号および第6,345,115号明細書に開示されている。画像を取得するために利用可能な蛍光顕微鏡に関するその他の実施形態は、国際特許出願WO00235474号に開示されている。 図3は、分析システムの、データ処理に関わる構成要素を示す略図である。本システムは、細胞分析システム40を有する。システム40は、GEヘルスケアのIN Cell Analyzerシステムを基とするものである。細胞分析システム40は、検出器D1を備える。この検出器D1は、図2に示した顕微鏡の検出器35でよい。また、細胞分析システム40は、制御部41、画像データ記憶部42、および入出力(I/O)デバイス33を備える。 接続されたコンピュータ端末44は、中央処理装置(CPU)45、メモリ46、ハード・ディスク・ドライブ47のようなデータ記憶デバイス、ならびに、コンピュータと細胞分析システム40との相互接続性、および、スクリーンI/Oデバイス51を介したスクリーン50の表示部49とコンピュータとの相互接続性をそれぞれ実現するためのI/Oデバイス48を備える。マイクロソフト・ウィンドウズ2000(トレードマーク)またはウィンドウズXP(トレードマーク)といったオペレーティング・システム・プログラム60は、ハード・ディスク・ドライブ47に記憶され、周知の方法でコンピュータ端末44の下位レベルの演算処理を制御する。また、プログラム・ファイルおよびデータ61もハード・ディスク・ドライブ47に記憶され、それらファイルおよびデータは、周知の方法で関連するデバイスを介した操作者への出力を制御し、かつ、ハード・ディスク・ドライブに記憶されているデータを出力する。この、関連するデバイスには、スクリーン50の要素である表示部49、(図示しない)ポインティング・デバイス、および(図示しない)キーボードが含まれる。これらは、(図示しない)別のI/Oデバイスを介し、操作者からの入力を受け取ったり、操作者へ情報を出力したりする。ハード・ディスク・ドライブ47に記憶されるプログラム・ファイル61には、画像処理分析アプリケーション62、アッセイ制御アプリケーション63、および、細胞分析システム40から受け取った画像データを記憶するためのデータベース64、ならびに、データ処理で生成される出力ファイルが含まれる。画像処理分析アプリケーション52は、画像を処理したり分析したりするためのソフトウェア・パッケージを含む。本発明の実施形態による方法は、画像処理分析アプリケーション62の内部ソフトウェアとして実装することができる。 細胞分析システム40を用いたスキャン工程は、制御アプリケーション63によって制御され、画像データが生成される。本発明の実施形態では、制御アプリケーションは、図2に示した顕微鏡のオート・フォーカス・システムと協働的に動作する。検出器D1が、マイクロタイター・プレートの少なくとも1つのウェルに関し画像のデータを取得した後、画像データはコンピュータ44に送られ、コンピュータ端末のハード・ディスク・ドライブ47のデータベース64に記憶される。この時点において、画像データを、画像処理分析アプリケーション62で処理可能となる。 図4は、第1の好適な実施形態による、生物標本に関する入力画像を処理する方法の流れ図である。先ず、核の標識に用いたフルオロフォアと関係しているチャネルで得た画像を処理する。本方法の第1のステップ70において、核を分ける(セグメンテーションする)。セグメンテーションは、スレッショルディングによることができる。画像内における対象物の強度(輝度)は、対象物のDNA含有量の指標である。輝度の閾は、分析システムの操作者によって、核が明瞭に現われる値に設定される。対象物の輝度が閾輝度より強く、かつ、サイズが操作者の設定した最小閾サイズよりも大きくかつ最大閾サイズよりも小さい場合、その対象物は、核であると標識される。最小閾サイズは通常、核の平均的サイズの3分の1に設定される。そうすることで小核を核と誤識別することを防止する。図5は、2物体80および81が核と識別された生体サンプルの略図である。 本処理にかかる第2のステップ72において、画像に現われた細胞を分類する。小核アッセイでは通常、単核性細胞と二核性細胞とを区別する。単核性の対象物は、二核性の対象物より高い形状因子を有する。閾形状因子は、分析システムの操作者によって設定される。操作者は、形状因子対輝度に関するプロットを用いて閾を最適値に設定することもできる。この形状因子は、対象物の最短径の最長径に対する比である。閾値よりも大きな形状因子を示す核は、単核性と標識され、閾値よりも小さな形状因子を示す核は、二核性と標識される。細胞は生きていなければならない、といった特定の要件を満たさない核は、単核性または二核性の物体であると標識しなくてもよく、また、以降の処理では除外しても構わない。図5の核80は、単核性に分類され、核81は二核性に分類される。 本処理の第3のステップ73は、任意的なステップである。本ステップでは、核を囲んでいる細胞質の広がる範囲を明らかにする。細胞質の広がる範囲は、細胞質のマーカと関係のあるチャネルの画像より決定される。細胞質の領域は、操作者が設定した閾値を用いて画像をスレッショルディングして決定すればよい。この閾値は、目視による検定で定める。この目視検定で、付与される細胞質の縁部を、目視による細胞質に近似させる。 第4のステップでは、標識された核80、81の各々の周りに捜索領域を定める。捜索領域は、内側境界および外側境界を備えた第1領域と等しい。内側境界は、核の縁部84、85とすることができる。または、内側境界を、数ピクセル分だけ縁部を拡大させることによって、核の縁部から周囲の細胞質へ広げてもよい。この、拡大は、核のサイズに較べれば小さなものである。拡大が1ないし3ピクセルであるのに対し、核は、最大径で10ないし30ピクセル有する。ピクセル数で測る核の大きさは、細胞のタイプおよび分析システムに依存するものである。例えば、IN Cell 3000システムでのチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO cells)では、核は、最大径でおよそ10ないし15ピクセルであり、二核性細胞で見られるような二倍の核は、20ないし30ピクセルである。前もって浸食を用い、核の領域を定めるのであれば、先述の拡大は、もっと大きな値にとって、確実に捜索領域が細胞質内にあるようにする必要がある。この、広げられた内側境界は、図5では要素86、87として図示されている。 外側境界と核の縁部との距離が操作者設定捜索距離dsと等しくなるように、外側境界を定める必要がある。この捜索距離は、画像における細胞質の最大距離によって制限される。図5に示す核80、81は、それぞれ、細胞質88、89に囲まれている。細胞質89の最大の広がりは、線d1で示している。画像の関心領域内に存在する標識された核の線d1の最大の長さを、最大距離と称する。捜索距離は、最大距離の値よりも小さくなければならない。捜索距離は、細胞質内にある多くの小核を見落としかねないような小さなものであってはならず、また、細胞質外の物体に注釈付けするような大きなものであってはならない。多くのサンプルにとっては、捜索距離は、核の平均径の半分の値とすることが標準的な設定である。換言すれば、外側境界の径は、核の径の2倍に等しい。実際面では、外側境界を、内側境界または核の縁部を拡大することにより設定する。多くの実際の事例においては、捜索距離は、11ピクセルに等しい。この設定は、第1設定として用いられ、もって、捜索距離を最適化することができる。捜索距離の値は、様々な方法で定めることができる。例えば、データベースを参照して引用してもよいし、または、捜索領域と細胞質とオーバーレイさせて定めてもよい。 捜索領域を、任意的に、細胞質とオーバーレイしている第2領域に制限してもよい。細胞質のビット・マップを、捜索領域を含む画像とオーバーレイすればよい。細胞質の領域から外れた捜索領域の領域90、91は、捜索領域から除外される。ビット・マップは、捜索領域の外側境界と、細胞質の広がる範囲との関係の視覚化に用いてもよい。捜索領域を制限する別の方法としては、細胞質に関する強度画像(輝度画像)と、捜索領域を含んだ画像とを、オーバーレイする方法がある。操作者設定マーキング・スレッショルドよりも低い細胞質輝度を示す、第1領域82、83の領域を捜索領域から除外し、第2領域を求めてよい。捜索領域は、この第2領域に限られる。 細胞の密度が高く、一の核に対する捜索領域が一以上の近隣の核の領域と重複する場合、捜索領域をさらに限定してもよい。このような重複している領域は、小核と誤識別するおそれがある。核の画像と、捜索領域とをオーバーレイし、重複している領域の全てを捜索領域から除外することができる。 細胞が高密度である画像内領域にある細胞は、小核の捜索から除外してもよい。なぜなら、物体を単核性細胞または二核性細胞と誤識別する危険性が増加するからである。 処理する細胞を任意的に制限する方法には、生育不能細胞または死細胞の除外が含まれる。細胞の生存度は、プロピジウム・イオダイド・マーカと関係した第3チャネルによる画像で定める。操作者設定最小値と、操作者設定最大値との間に含まれる平均強度(平均輝度)を有する細胞は、死んでいると識別し、この範囲に含まれない平均強度(平均輝度)を有する細胞は、生きていると識別する。死細胞は、以後の処理から除外され、生細胞に捜索を限定する。 本処理の第5のステップ74は、小核を識別する。捜索領域内部にあって、操作者設定閾輝度よりも輝度が高く、操作者設定最小サイズ値と操作者設定最大サイズ値との間に含まれる物体について、小核として注釈付けする。 捜索領域はそれぞれ、特定の一の核に属するので、捜索で発見した小核を核に帰属させることも可能である。これにより、小核の単核性細胞および二核生細胞への属性を与えることが可能である。このことは、被験化合物の毒性分析にとって有利である。 捜索領域が重複する場合、重複した領域内で発見した小核は、細胞質が見つかっている第1核に帰属させることが可能である。この帰属のさせ方は、核の捜索領域をスキャンする方法に依存する。あるスキャン法では、画像を直線的に左から右へ走査し、そして上端から下端へと走査する。 捜索領域の重複に関する問題を解決するための別の方法としては、隣接した核の両縁部から等しい距離にある分界線を両核の間に引くことがある。両核についての捜索領域は、分界線を越えた領域を除外した第1領域または第2領域に制限される。このように捜索領域を定義することで、小核を誤った核に帰属させる危険性が減少する。 図6は、第2の好適な実施形態による生体標本に関する入力画像の処理方法の流れ図である。処理する画像は、DNAの標識に用いたフルオロフォアに関係したチャネルより得た画像である。第1のステップ100において、核性の物体を分ける(セグメンテーション)。このセグメンテーションは、スレッショルディングにより行えばよい。分析システムの操作者が、強度(輝度)に対する閾を、核および小核が明瞭に現われる値に設定する。物体が、閾輝度よりも高い輝度を示し、設定された閾サイズよりも大きいサイズを有する場合、その物体を、核性物体と標識する。図7は、4つの核性物体80、81、110、および111を示す。 第2ステップ101は、サイズおよび形状因子を用いて物体を分類する。操作者設定閾より大きいサイズの物体を核に分類する。先述の閾よりも小さいサイズの物体は、見込み小核(potential micronucleus)に分類する。先述の閾は、核の平均サイズの3分の1の値にすることができる。核を、その形状に基づいてさらに分類することもできる。操作者は、輝度に対する形状因子のプロットを用いて先述の閾を最適な値に設定してもよい。図7は、2つの核80、81を含む。第1の核は単核性であり、第2の核は二核性である。また、図7は、2つの見込み小核110、111を含む。 図4の第3ステップ72で説明した方法で、任意的な第3のステップ102において、細胞質を分ける(セグメンテーション)。 第4のステップ103では、小核と核との間の距離を決定する。距離の決定は、見込み小核の縁部を拡大していって、核と分類される物体と拡大された小核の縁部とが重なるまで拡大させる。距離は、重なったピクセルと、小核の縁部または中心までとする。図7には、見込み小核110とその最近の核81との間の距離d3、および、見込み小核111とその最近の核80との間の距離d4が示される。或いは、見込み小核に対し境界矩形、円、または多角形を適用し、ピクセル単位で拡大し、その境界形状が核と分類された物体と重なるまで境界形状を拡大させて距離を定めてもよい。また、さらに別の変形例では、見込み小核の周りの領域の拡大、およびこの小核に関する最近の核の捜索は、見込み小核の縁部と拡大された領域の縁部との間の距離が捜索距離と等しくなった時に、終了する。 細胞質の広がる範囲を決定した場合、捜索を精緻化することが可能である。細胞質と小核とのオーバーレイにより、図7における見込み小核111のような細胞質の外側に位置する見込み小核を除外することができる。この場合、図7における見込み小核110のみを、以後の画像処理で扱う。 同様、細胞の密度が高い領域における見込み小核を除外してもよい。なぜなら、誤識別の危険性が高いためである。図4に記載の方法で、死細胞も除外してよい。 第4のステップ104において、小核を識別する。見込み小核とそれに最近の核との間の距離が、捜索距離よりも小さい場合、その見込み小核を小核として注釈付けする。距離が捜索距離よりも大きい場合、その見込み小核を小核として注釈付けしない。捜索距離は、図4に示した方法の第4のステップ73で説明したようにして決定する。小核は、それに最近の核に帰属させることができる。核同士が互いに比較的接近している場合であっても、本方法は、小核を自動的にそれに最近の核に帰属させる。 前記の帰属化は、以下のようにして精緻化してもよい。最近の核と、その次に近い核を見つける。そして、核の細胞質の積分輝度に基づいて核を重み付けし、重み付けした最近の核に帰属させる。細胞質の広がる範囲が大きければ大きい程、小核を含む可能性が高まる。 上述の方法は、セグメンテーション法としてスレッショルディングを行っているが、別のセグメンテーションを、例えばトップ・ハット(top-hat)変換を用いてもよい。同様、第2の実施形態も、小核と核との間の距離を求める方法は、開示した方法に限定されない。 上記実施形態は、本発明の例示と解すべきである。本発明にかかる別の実施形態も構想している。一の実施形態に関する特徴は、それ単独で実施することができ、また、開示した別の特徴と併せて実施することもできる。あるいは、別の実施形態の一以上の特徴と組み合わせて実施してもよいし、別の実施形態と組み合わせて実施してもよい。さらには、本願に記載しない等価なもの、および、変形例も、本発明の範囲から逸脱することなく使用することができる。本発明の範囲は、添付のクレームにより定める。細胞分裂で形成される小核を示す図サンプルを画像化する蛍光顕微鏡の概略図データ処理のための、システムの構成要素の略図本発明の第1の好適な実施形態による画像処理方法のフローチャート核および捜索領域の略図本発明の第2の好適な実施形態による画像処理方法のフローチャート細胞核の対象物の略図符号の説明 1 細胞 2 核 3 細胞質 4 分裂中の細胞 5 染色体 6 微小管 7 DNA鎖の切断 8 微小管の切断 9 細胞 10 細胞 11 核 12 核 13 小核 21 電球 22 レーザ 23 レンズ 24 レンズ 25 シリンドリカル・レンズ 26 第1スリット・マスク 27 第1リレー・レンズ 28 ビーム・スプリッタ 29 対物レンズ 30 マイクロタイター・プレート 31 サンプル・ウェル 32 結像レンズ 33 フィルタ 34 第2スリット・マスク 35 検出器 36 開口部 37 開口部 38 照射線 39 後焦点面 40 細胞分析システム 41 制御部 42 画像データ記憶部 43 I/Oデバイス 44 コンピュータ端末 45 中央処理装置 46 メモリ 47 ハード・ディスク・ドライブ 48 I/Oデバイス 49 表示部 50 スクリーン 51 スクリーンI/Oデバイス 60 オペレーティング・システム・プログラム 61 プログラム・ファイルおよびデータ 62 画像処理分析アプリケーション 63 アッセイ制御アプリケーション 64 データベース 80 対象物体 81 対象物体 82 第1領域 83 第1領域 84 縁部 85 縁部 86 拡大した内側境界 87 拡大した内側境界 88 細胞質 89 細胞質 90 細胞質外の捜索領域 91 細胞質外の捜索領域110 見込み小核111 見込み小核 生体サンプル画像処理方法であって、 前記生体サンプルは、核、細胞質、および、小核を含み、 前記核は前記細胞質に囲まれ、 画像における、前記細胞質の前記核からの最も大きな隔たりを最大距離とし、 前記最大距離未満の値に捜索距離を設定するステップと、 前記核から前記最大距離以下の範囲で小核を捜索するステップと、 前記捜索ステップで発見した小核に注釈付けを行うステップを有することを特徴とする方法。 さらに、前記核の少なくとも1つの周りに第1領域を定めるステップを有し、 前記第1領域は、内側境界と外側境界とに囲まれ、 第1要素の縁部と前記外側境界との距離は、前記捜索距離と実質的に等しく、 前記小核の捜索は、前記第1領域により制限された捜索領域の内部で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。 前記内側境界は、前記核の縁部であることを特徴とする請求項2に記載の方法。 前記第1領域の前記内側境界は、前記核の外側であって前記外側境界の内側に定められることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の方法。 さらに、前記核の周りに第2領域を定めるステップを有し、 前記第2領域は、前記第1領域と、前記核を取り囲む前記細胞質の領域との重複する領域であり、前記捜索領域は、前記第2領域によって限定されることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載の方法。 前記捜索領域は、近隣の核と重複する領域を除外した前記第1領域に限定されることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載の方法。 前記捜索領域は、近隣の核と重複する領域を除外した前記第2領域に限定されることを特徴とする請求項5に記載の方法。 前記小核の少なくとも1つと、その最近傍の核との間の距離を第3距離と定めるステップと、 前記第3距離が、前記捜索距離未満である場合、前記小核を注釈付けするステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。 前記小核を注釈付けするステップは、前記小核が前記最近傍の核の周りの細胞質と重複している場合に限り、前記小核を注釈付けすることを特徴とする請求項8に記載の方法。 さらに、核の密集部を前記捜索から除外するステップを有する請求項1ないし9のいずれか1つに記載の方法。 前記捜索は、生細胞内の核に限定されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の方法。 請求項1ないし11のいずれか1つに記載の方法を実行するように構成されたコンピュータ・プログラム。 請求項12に記載のコンピュータ・プログラムを備えるデータ記憶媒体。 請求項12に記載のコンピュータ・プログラムを実行させることができる処理装置を備えるシステム。 【課題】 生体の画像を処理する方法を提供する。【解決手段】 本発明は、生体サンプルの画像を処理する方法である。当該生体サンプルは、核、細胞質、および小核を含む。個々の核は、細胞質に囲まれる。本方法は、サンプル内の小核発生率を求める。細胞質には、最大距離がある。この最大距離とは、画像に現われた、細胞質の、その核からの最も大きい長さである。本方法は、当該最大距離未満の値に捜索距離を設定するステップと、核から捜索距離の範囲で小核を捜索するステップと、捜索で発見された小核に注釈付けするステップを有する。【選択図】図4


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