タイトル: | 公開特許公報(A)_組換えプラスミド及びこれにより形質転換された大腸菌並びにこれを使用したNEDD化蛋白質の製造方法 |
出願番号: | 2005337267 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C12N 15/09,C12N 1/21,C12Q 1/02,C12P 21/00 |
皆川 吉 安田 秀世 瀬戸 泰裕 JP 2007135535 公開特許公報(A) 20070607 2005337267 20051122 組換えプラスミド及びこれにより形質転換された大腸菌並びにこれを使用したNEDD化蛋白質の製造方法 日本製粉株式会社 000231637 田所 義嗣 100130661 皆川 吉 安田 秀世 瀬戸 泰裕 C12N 15/09 20060101AFI20070511BHJP C12N 1/21 20060101ALI20070511BHJP C12Q 1/02 20060101ALI20070511BHJP C12P 21/00 20060101ALI20070511BHJP JPC12N15/00 AC12N1/21C12Q1/02C12P21/00 C 8 6 OL 19 4B024 4B063 4B064 4B065 4B024AA03 4B024AA11 4B024BA80 4B024CA03 4B024CA07 4B024CA09 4B024DA06 4B024EA04 4B063QQ06 4B063QR48 4B063QS05 4B063QS33 4B063QX02 4B064AG01 4B064CA02 4B064CA19 4B064CC24 4B064DA13 4B065AA26X 4B065AA93Y 4B065AB01 4B065AC14 4B065BA02 4B065CA24 4B065CA27 4B065CA46 本発明は、組換えプラスミド及びこれにより形質転換された大腸菌並びにこれを使用したNEDD化蛋白質の製造方法に関する。 ユビキチン様蛋白質の一つであるNEDD8(Neural precursor cell expressed,developmentally down-regulated 8)は、ユビキチン・SUMOと同様に標的蛋白質に連結して蛋白質の機能変換を触媒する修飾分子である。 この蛋白質修飾は蛋白質の細胞内局在の変化、他の蛋白質との結合の変化、ユビキチン・SUMO化との拮抗など蛋白質の生理作用に大きな影響を与えていると考えられている。 NEDD8はSCF複合体(Skp1/Cullin-1/F-boxprotein)の構成サブユニットであるCdc53(cell division cycle 53)の修飾分子として、また、神経細胞分化とともに発現の減少する遺伝子として知られており、酵母からヒトまで高度に保存されている。 また、NEDD化を触媒する活性化酵素E1の活性サブユニットを失活させたノックアウトマウスが早期の胎生致死にあることから、NEDD化による蛋白質の機能変換システムが哺乳類においても生理的に重要な役割を担っていることがわかる。 NEDD化の反応はE1、E2及びE3酵素の3つの酵素により触媒される基質修飾反応である。 NEDD化される標的蛋白質を同定するには試験管内におけるNEDD化反応が重要であるが、このためにはNEDD8活性化酵素(E1)、結合酵素(E2)、連結酵素(E3)、さらにはNEDD8が必要となる。 NEDD8活性化酵素(E1)はAPPBP1(Amyloid beta precursor protein binding protein 1)及びUBE1C(Ubiquitin-activating enzyme E1C)の蛋白質ヘテロ二量体である。 従って、新規のNEDD化標的蛋白質を試験管内におけるNEDD化反応を用いてスクリーニングすることは多大な労力が必要となり非常に困難であった。 また、修飾を受けた蛋白質の立体構造を決定することは興味深いテーマであるが、目的蛋白質の大量調整が立体構造決定において必要となりスクリーニングと同様に試験管内におけるNEDD化反応を用いて大量の標的蛋白質を得るのは多大な労力が必要であった。 前記SUMO化については、組換えベクターを利用して細菌などの宿主細胞中で標的蛋白質をSUMO化し蛋白質ポリマー等を大量に生産する方法が知られているがNEDD化については知られていなかった(例えば特許文献1参照)。国際公開第04/0311243号パンフレット したがって、本発明の目的は、NEDD8と標的蛋白質を大腸菌内で同時に発現させ、大腸菌内で両蛋白質を結合(NEDD化)させるために使用する組換えプラスミド及び前記組換えプラスミドにより形質転換された大腸菌並びに前記形質転換された大腸菌を使用して未知の標的蛋白質をスクリーニング(同定・検出)する方法及びNEDD化された標的蛋白質を大量調整・精製する方法を提供することである。 本発明者らは上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、大腸菌内でNEDD化に必要な(A)NEDD8を活性化する酵素(E1)、(B)NEDD8と標的蛋白質の結合酵素(E2)、(C)NEDD8と標的蛋白質の連結酵素(E3)、(D)NEDD8を発現することができる組換えプラスミドを使用して大腸菌内で標的蛋白質のNEDD化ができることを見出し、本発明を完成するに至った。 従って、本発明は、(1)以下の(A)〜(D)のうち1種又は2種以上をコードする遺伝子を含み大腸菌内で同時に発現できる組換えプラスミドである。(A)NEDD8を活性化する酵素(E1)(B)NEDD8と標的蛋白質の結合酵素(E2)(C)NEDD8と標的蛋白質の連結酵素(E3)(D)NEDD8。(2)以下の(A)〜(D)をコードする遺伝子を含み大腸菌内で同時に発現できる組換えプラスミドである。(A)NEDD8を活性化する酵素(E1)(B)NEDD8と標的蛋白質の結合酵素(E2)(C)NEDD8と標的蛋白質の連結酵素(E3)(D)NEDD8。(3)以下の(A)〜(E)のうち1種又は2種以上をコードする遺伝子を含み大腸菌内で同時に発現できる第1の組換えプラスミド、(A)NEDD8を活性化する酵素(E1)(B)NEDD8と標的蛋白質の結合酵素(E2)(C)NEDD8と標的蛋白質の連結酵素(E3)(D)NEDD8(E)標的蛋白質及び(A)〜(E)のうち第1の組換えプラスミドに含まれない残りをコードする遺伝子を含み大腸菌で同時に発現できる第2の組換えプラスミド、を有する形質転換された大腸菌である。(4)以下の(A)〜(D)をコードする遺伝子を含み大腸菌内で同時に発現できる組換えプラスミド、(A)NEDD8を活性化する酵素(E1)(B)NEDD8と標的蛋白質の結合酵素(E2)(C)NEDD8と標的蛋白質の連結酵素(E3)(D)NEDD8及び以下の(E)をコードする遺伝子を含み大腸菌内で同時に発現できる組換えプラスミド、(E)標的蛋白質を有する形質転換された大腸菌である。(5)NEDD8を活性化する酵素(E1)がAPPBP1とUBE1Cとの融合蛋白質であり、NEDD8と標的蛋白質の結合酵素(E2)がUBE2M、NEDD8と標的蛋白質の連結酵素(E3)がRBX1であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の組換えプラスミドである。(6)受託番号が FERM−AP20716又はFERM−AP20717である請求項2に記載の組換えプラスミドである。(7)前記形質転換された大腸菌を使用したNEDD化蛋白質のスクリーニング方法である。(8)前記形質転換された大腸菌を使用したNEDD化蛋白質の製造方法である。 多大な労力なくしてNEDD化された標的蛋白質を得ることが出来るようになったことから、NEDD8による標的蛋白質の機能変換システム、そこから生じる生理作用を研究する上で非常に大きく貢献することができる。 また、本発明のスクリーニング方法は、未知の標的蛋白質を効率良く同定できる方法であり、NEDD8の新たな作用機序、生理的重要性を発見する上で大きく貢献すると考えられる。 同様に構造解析の為のNEDD化標的蛋白質の大量調整法は、従来の煩雑な操作を用いることなく融合蛋白質を回収することができる為、構造を解析する上で非常に大きく貢献することができる。 以下、本発明を詳細に説明する。 NEDD8は、NEDD8を活性化する酵素(E1)、NEDD8と標的蛋白質の結合酵素(E2)、NEDD8と標的蛋白質の連結酵素(E3)からなる複合酵素系によって標的蛋白質に結合する。 このE1はAPPBP1とUBE1Cの異なる2種類の蛋白質から構成されるヘテロ複合体である。 E2としてUBE2M(ubiquitin-conjugating enzyme E2M)、E3としてRBX1(ring-box protein 1)が知られている。 NEDD8は標的蛋白質と結合する際、成熟型の構造をとり、そのC末端はGly−Glyで終わっている。 このC末端Gly 残基が、標的蛋白質のLysのε‐アミノ基とATP-Mg2+存在下にてイソペプチド結合して連結することが知られている。 NEDD8を活性化する酵素(E1)はAPPBP1、UBE1Cの融合蛋白質とし、大腸菌内で発現したとき、活性を有するように構築する。 また、NEDD8は成熟型の状態、つまりC末端がGly−Glyとなるように発現するように組換えプラスミドを構築する。 NEDD8、APPBP1、UBE1C、UBE2M、RBX1をコードする遺伝子は、GenBankにおいてそれぞれD23662、BC000480、AL117566、BC058924、AF140598として登録されている。 NEDD8、APPBP1、UBE1C、UBE2M、PBX1及び標的蛋白質をコードする遺伝子にPCR法によって制限酵素により切断できる配列を付加し、これらを発現することができるプラスミドのプロモーターの下流に挿入し、次いでプロモータごと切り出し、これを別のプラスミドに組み込み組換えプラスミドを得て、該組換えプラスミドを大腸菌に導入する。 組換えプラスミドに組み込む遺伝子の組合せは、1つのプラスミドにNEDD8、APPBP1、UBE1C、UBE2M、RBX1及び標的蛋白質をコードする遺伝子を組み込んでもよく、2つのプラスミドに適宜選択して組み込んでも良い。 また、組み込む遺伝子は同種のものを複数組み込んでもよい。 NEDD化蛋白質を大量に製造する場合は、前記のとおりコードする遺伝子を適宜組み込めばよいが、スクリーニングに使用する場合は、NEDD8、APPBP1、UBE1C、UBE2M、RBX1をコードする遺伝子は、第1のプラスミドに、標的蛋白質をコードする遺伝子を第2のプラスミドに組み込む組合せが好ましい。 第1のプラスミドを導入し形質転換した大腸菌に第2のプラスミドを後から導入することができる。 また、逆に第2のプラスミドを導入し形質転換した大腸菌に第1のプラスミドを後から導入することもできる。 2種類のプラスミドを同一大腸菌内へ導入する場合には、プラスミドのDNA複製開始領域はpBR322とp15A由来のDNA複製開始領域を持つ組み合わせなど、互換性を持つ組み合わせで用いる。 また、プラスミドには薬剤耐性遺伝子等の選択マーカーを組み込んでおく。選択マーカーとしては、例えば、テトラサイクリン耐性遺伝子またはアンピシリン耐性遺伝子等を使用することができる。 プラスミドとしては、大腸菌において自立複製可能ないしは染色体中への組込みが可能で、上記目的とする遺伝子を転写できる位置にプロモーターを含有しているものが用いられる。 プロモーターはTaqプロモーターやT7プロモーターを用い、それぞれの遺伝子産物がIPTG(isopropyl-1-thio-βloch-D-galactopyranoside)により発現誘導可能となるように設計する。 なお、プラスミドの導入は、従来公知の方法が使用できる、 発現のためのプロモータは、各蛋白質をコードする遺伝子の上流に個々に組み込みそれぞれが別に発現するように組み込むほか、一括して融合状態で発現するように組み込むこともできるが、融合して発現した場合は蛋白質を切断する等の調整が必要であり、個々に組み込むことが好ましい。 また、プロモータをプラスミドに個々の蛋白質が発現するように組み込んだ場合は、ターミネーターを特に組み込まなくても終止コドンを遺伝子配列に付加すれば活性を有する酵素を得ることができる。 前記NEDD8には、GST(グルタチオンSトランスフェラーゼ)、His(ポリヒスチジン)などの容易に精製したり検出したりできるように目印となるアミノ酸配列(タグ配列)を付加することができる。 また、標的蛋白質自体に、前記アミノ酸配列(タグ配列)を融合し精製したり検出したりできるようにすることもできる。 構造解析用の大量調整の場合は小さい分子量のタグ配列を用いるか、もしくは精製後に融合部位を特異的なプロテアーゼで切断し目的蛋白質のみを本来の形で取得できるようにプロテアーゼ切断配列を組み込んでおくことが好ましい。 形質転換した大腸菌の選択は、大腸菌を前記選択マーカーに対応する薬剤耐性選択寒天培地プレート等に塗抹して培養し、生じた単一のコロニーを選択することで行うことができる。 形質転換した大腸菌の培養方法は通常の方法に従って行うことができる。 培養する培地は該微生物が資化し得る炭素原、窒素原、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養には天然培地、合成培地のいずれも使用することができる。 培養形式、培養温度、培養時間、培地pH等は、用いる大腸菌に応じて通常行われる条件を採用することができる。 NEDD化標的蛋白質の単離は、組換プラスミドを導入し形質転換した大腸菌を37℃にてODが0.5になるまで培地に培養し、さらにIPTGを加えて各遺伝子の発現を誘導しながら25℃にて16時間以上培養をおこない、培養中にNEDD化標的蛋白質を生成蓄積させ、該培養物より該NEDD化標的蛋白質を採取することにより行うことができる。 例えば、菌体を遠心分離で沈殿回収し、水系緩衝液中に懸濁後、超音波破砕機等により大腸菌を破砕する。 遠心分離の後、上澄み液を取り出しNEDD化標的蛋白質を得ることができる。 スクリーニングの場合は、例えば上澄み液をSDS−PAGEおよびウエスタン法にてタグ配列の抗体を使用してNEDD化標的蛋白質を検出する。 大量調整の場合は、例えばGSTがタグとして使用されている場合には、上澄み液を取り出し、グルタチオンセファロースビーズとインキュベートし、ビーズに結合した蛋白質を溶出、もしくはプロテアーゼ切断配列の使用など、タグ配列特異的な精製方法にて通常行われる条件で精製することができる。 以下本発明を実施例により具体的に説明する。[実施例1]1.NEDD8を活性化する酵素(E1)をコードする遺伝子の調製 NEDD8を活性化する酵素(E1)はAPPBP1とUBE1Cの融合蛋白質であり、APPBP1をコードする遺伝子はGenBankにおいてBC000480として登録されている。 APPBP1をコードする遺伝子は融合蛋白質として発現した場合、活性を有するように終止コドンを除いている(配列番号2)。 又、UBE1Cをコードする遺伝子は、GenBankにおいてAL117566として登録されている(配列番号3)。 本発明では、これらの遺伝子をプラスミドに組み込むために両端部に制限酵素で切断できる配列を付加した。 本発明ではNEDD8を活性化する酵素(E1)を融合蛋白質として活性を有する状態で発現させるため、APPBP1にはNcoIにより切断できる配列「5’−CCATGG−3’」及びその上流に「5’−GTG−3’」を付加したプライマー(配列番号6)及びNotIにより切断できる配列「5’−GCGGCCGC−3’」及びその上流に「5’−CAC−3’」を付加したプライマー(配列番号7)を使用してPCRを行った。 また、UBE1CにはNdeI及びNotIにより切断できる配列「5’−CATATGGCGGCCGC−3’」及び「5’−GTG−3’」を付加したプライマー(配列番号8)及びBamHIにより切断できる配列「5’−GGATCC−3’」及びその上流に「5’−CAC−3’」を付加したプライマー(配列番号9)を使用してPCRを行った。 このプライマーによりpET15bプラスミドにAPPBP1とUBE1Cをコードする遺伝子を組み込んだときAPPBP1とUBE1Cの間に3個のアラニンが入ったNEDD8を活性化する酵素(E1)をコードする遺伝子を得ることができた(図1)。 同様の工程により参考のため、APPBP1のエクソン4および5が欠損しているミュータントE1を作製した(図2)。2.NEDD8をコードする遺伝子の調製 NEDD8をコードする遺伝子は、GenBankにおいてD23662として登録されている 本発明では、発現したとき成熟型になるよう遺伝子を選択し終止コドンを付加した(配列番号1)。 また、発現したとき成熟型になるようC末端はGly‐Glyで終わるように遺伝子をプラスミドに組み込むために両端部に制限酵素で切断できる配列を付加した。 さらにスクリーニングに使用できるよう、NEDD8の前方に検出できるようにHAタグ配列を付加した。 NdeIにより切断できる配列「5’−CATATG−3’」及びその上流に「5’−GCG−3’」を付加したプライマー(配列番号10)及びBamHIにより切断できる配列「5’−GGATCC−3’」及びその上流に「5’−CAC−3’」を付加したプライマー(配列番号11)を使用してPCRを行った。 このプライマーによりプラスミドにNEDD8をコードする遺伝子を組み込んだときC末端はGly‐Glyとなる成熟型NEDD8をコードする遺伝子を得た。3.UBE2Mをコードする遺伝子の調製 UBE2Mをコードする遺伝子は、GenBankにおいてBC058924として登録されている(配列番号4)。 本発明では、これらの遺伝子をプラスミドに組み込むために両端部に制限酵素で切断できる配列を付加した。 NdeIにより切断できる配列「5’−CATATG−3’」及びその上流に「5’−GTG−3’」を付加したプライマー(配列番号12)及びHindIIIにより切断できる配列「5’−AAGCTT−3’」及びその上流に「5’−CAC−3’」を付加したプライマー(配列番号13)を使用してPCRを行った。4.RBX1をコードする遺伝子の調製 RBX1をコードする遺伝子は、GenBankにおいてAF140598として登録されている(配列番号14)。 本発明では、これらの遺伝子をプラスミドに組み込むために両端部に制限酵素で切断できる配列を付加した。 NdeIにより切断できる配列「5’−CATATG−3’」及びその上流に「5’−GTG−3’」を付加したプライマー(配列番号15)及びSacIにより切断できる配列「5’−GAGCTC−3’」及びその上流に「5’−CAC−3’」を付加したプライマー(配列番号16)を使用してPCRを行った。5.プロモーターの付加5−1.NEDD8を活性化する酵素(E1)をコードする遺伝子 前記制限酵素により切断できる配列を付加したUBE1Cを発現プラスミド( 商品名pET15b Novagen社製) のNdeI−BamHI部位に組み込み、その後T7プロモーターの下流のNcoI−NotI部位にAPPBP1を組み込んだ。 その後、T7プロモータとともにBglII−BamHIで切り出しAPPBP1とUBE1Cの融合蛋白質をコードする遺伝子を得た(図1)。5−2.NEDD8をコードする遺伝子 前記制限酵素により切断できる配列を付加したNEDD8をコードする遺伝子を発現プラスミド( 商品名pET23b Novagen社製)のNdeI−BamHI部位に組み込んだ。 その後、T7プロモータとともにBglII−BamHIで切り出した(図3)。 その際、BglIIサイトを先に切断しT4ポリメラーゼで平滑化しその後BamHIサイトを切断した。5−3.UBE2Mをコードする遺伝子 前記制限酵素により切断できる配列を付加したUBE2Mをコードする遺伝子を発現プラスミド( 商品名pET23b Novagen社製)のNdeI−HindIII部位に組み込んだ。 その後、T7プロモータとともにBglII−HindIIIで切り出した(図4)。 その際、BglIIサイトを先に切断しT4ポリメラーゼで平滑化しその後HindIIIサイトを切断した。5−4.RBX1をコードする遺伝子 前記制限酵素により切断できる配列を付加したRBX1をコードする遺伝子を発現プラスミド( 商品名pET23b Novagen社製)のNdeI−SacI部位に組み込んだ。 その後、pET23bのT7プロモータとともにBglII−SalIで切り出した(図5)。 その際、BglIIサイトを先に切断しT4ポリメラーゼで平滑化しその後SalIサイトを切断した。6.組換え発現プラスミドの調製 前記プロモータを付加した配列をp15A由来のDNA複製開始領域を持ち、クロラムフェニコール耐性を持つ発現プラスミド(商品名pACYC184 NIPPON GENE社製)へ以下の順番で組み込み本発明の組換えプラスミドを得た(図6)。 まずpACYC184のEagIサイトを切断しT4ポリメラーゼで平滑化しその後SalIサイトを切断し、前記5−4で得られたRBX1をコードする遺伝子をpACYC184にライゲーション法により組み込んだ。 次に、pACYC184へNEDD8をコードする遺伝子を組み込んだ。 まずpACYC184をSphIで切断しT4ポリメラーゼで平滑化しその後BamHIサイトを切断し、前記5−2で得られたNEDD8をコードする遺伝子をpACYC184にライゲーション法により組み込んだ。 次に、pACYC184へUBE2Mをコードする遺伝子を組み込んだ。 まずpACYC184をEcoRVで切断しその後HindIIIサイトを切断し、前記5−3で得られたUBE2Mをコードする遺伝子をpACYC184にライゲーション法により組み込んだ。 次に、pACYC184へ前記5−1で得られたAPPBP1とUBE1Cの融合蛋白質をコードする遺伝子を組み込んだ。 まずpACYC184をBamHIで切断した。 このとき、前記UBE2Mをコードする遺伝子内にBamHIサイトが存在するためUBE2Mの一部が切り出されてしまう。 この切り出された一部は取り除き保存した。 前記5−1で得られたUBE1CとAPPBP1の融合蛋白質をコードする遺伝子をpACYC184に組み込んだ。 BglIIとBamHIは切断部位が同じ形をしているのでBamHIサイトに組み込むことができる。 その後、再びBamHIで切断し、前記保存しておいたUBE2Mの一部を組み込んだ。 以上のとおり、pACYC184に前記5.プロモーターの付加により得られた遺伝子を組み込むには組み込む順番が重要である。 前記の順番を変更した場合、例えば、NEDD8を活性化する酵素(E1)をコードする遺伝子を組み込んだ後にUBE2Mをコードする遺伝子を組み込もうとすると、EcoRVはE1を切断してしまう。 また、NEDD8とNEDD8を活性化する酵素(E1)の組み込む順番を逆にするとBamHIサイトがつぶれてしまいNEDD8を組み込む際に使用できなくなってしまう。 なお、本プラスミドは独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、2005年(平成17年)11月18日 受託番号 FERM AP−20716として寄託している。[実施例2][標的蛋白質のスクリーニング1]1.CUL1を発現できる組換えプラスミドの調製 NEDD8の標的蛋白質であることが知られているCUL1(Cullin1)をコードする遺伝子は、GenBankにおいてBX537409(配列番号17)として登録されている。 本発明では、これらの遺伝子をプラスミドに組み込むために両端部に制限酵素で切断できる配列を付加した。 BamHIにより切断できる配列「5’−GGATCC−3’」及びその上流に「5’−GTG−3’」を付加したプライマー(配列番号18)及びSmaIにより切断できる配列「5’−CCCGGG−3’」及びその上流に「5’−CAC−3’」を付加したプライマー(配列番号19)を使用してPCRを行った。 増幅した前記両端部に制限酵素で切断できる配列を付加したCUL1をコードする遺伝子を発現プラスミド(商品pGEX6p2 Amersham Pharmacia Biotech社製)のBamHI−SmaI部位に導入し、GST− CUL1 蛋白質を大腸菌で発現できる組換えプラスミドを構築した。2.大腸菌への導入 実施例1で得た組換えプラスミドを大腸菌BL21DE3株に導入した。 前記組換えプラスミドが導入された大腸菌はクロラムフェニコールを含む培地で選別した。 この培地で得られたコロニーより、コンピタントセルを作成した。 前記CUL1を発現できる組換えプラスミドを前記コンピタントセルに導入し大腸菌を形質転換しクロラムフェニコール及びアンピシリンを含む培地で選別した。 2つの組換えプラスミドを同時に取り込んだ大腸菌はアンピシリンとクロラムフェニコールの両方を含む培地で選別できる。3.NEDD化蛋白質のスクリーニング 前記培地で得られたコロニーを別個のLB液体培地で37℃でODが0.5になるまで振盪培養した後0.2mM IPTGを加え、25℃でさらに16時間振盪培養した。 遠心分離により培養液から集菌し、緩衝液に懸濁し、超音波処理により菌体を破砕し遠心分離の後、上澄み液を取り出した。 タグ配列の抗体の反応を用いてNEDD化蛋白質をウエスタンブロット法で検出した。 ポリアクリルアミドゲルのウェルに前記上澄み液をアプライしSDS−PAGEを行った後、分離した蛋白質をゲルからPVDF膜に転写した。PVDF膜を5%スキムミルク/PBSに浸し、4℃で一夜放置しブロッキングした。 HAタグモノクローナル抗体:1%スキムミルク/PBS=1:1500(W/V)の溶液をつくり、室温で1時間反応させ、PBS−Tで洗浄した。 パーオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体:1%スキムミルク/PBS=1:1500(W/V)の溶液をつくり、室温で1時間反応させ、PBS−Tで洗浄した。 ECL Western Blotting Detection System(Amersham Pharmacia Biotech社製) を用い、プロトコルに従い化学発光法で検出した。 結果を図7に示す。 レーン1はCUL1を発現する実施例2で得られた発現ベクターのみ導入したものである。 レーン2は変異E1の入ったNEDD8、E1、E2、E3を発現できる前記発現ベクターとCUL1を発現できる前記発現ベクターを導入したものである。 レーン3はNEDD8、E1、E2、E3を発現する実施例1で得られた発現ベクターとCUL1を発現できる前記発現ベクターを導入したものである。 実施例1で得られた発現ベクターによりNEDD化されたCUL1を得ることができた。 ミュータントE1の入ったNEDD8、E1、E2、E3を発現できる前記発現ベクターではNEDD化されたCUL1を得ることができなかった。[実施例3][標的蛋白質のスクリーニング2] 実施例2においてCUL1をNEDD8の標的蛋白質であることが知られているMDM2(Mdm2, transformed T3 cell double minute 2, p53 binding protein)に換えた以外は実施例1と同様にして標的蛋白質のスクリーニングを行った。 MDM2を発現できる組換えプラスミドの調製の調整は以下のとおり行った。 MDM2をコードする遺伝子は、GenBankにおいてBT007258(配列番号20)として登録されている。 本発明では、これらの遺伝子をプラスミドに組み込むために両端部に制限酵素で切断できる配列を付加した。 NdeIにより切断できる配列「5’−CATATG−3’」及びその上流に「5’−GTG−3’」を付加したプライマー(配列番号21)及びXhoIにより切断できる配列「5’−CTCGAG−3’」及びその上流に「5’−CAC−3’」を付加したプライマー(配列番号22)を使用してPCRを行った。 増幅した前記両端部に制限酵素で切断できる配列を付加したCUL1をコードする遺伝子を発現プラスミド(商品名pET15b Amersham Pharmacia Biotech社製)のNdeI−XhoI部位に導入し、His− MDM2 蛋白質を大腸菌で発現できる組換えプラスミドを構築した。その後、実施例2と同様の方法により発現プラスミドを大腸菌へ導入し、蛋白質を発現させ、タグ配列の抗体の反応によりNEDD化蛋白質をウエスタンブロット法で検出した。 結果を図8に示す。 レーン1は変異E1の入ったNEDD8、E1、E2、E3を発現する実施例1で得られた発現ベクターとMDM2を発現できる前記発現ベクターを導入したものである。 レーン2はNEDD8、E1、E2、E3を発現する実施例1で得られた発現ベクターとMDM2を発現できる前記発現ベクターを導入したものである。 実施例1で得られた発現ベクターによりNEDD化されたMDM2を得ることができた。 ミュータントE1の入ったNEDD8、E1、E2、E3を発現できる前記発現ベクターではNEDD化されたMDM2を得ることができなかった。 以上、実施例2および3より、NEDD標的蛋白質の候補群を用いたスクリーニングに利用することが出来る。[実施例4][NEDD化蛋白質の大量製造] 実施例1の2.NEDD8をコードする遺伝子の調製において、NEDD化蛋白質を大量に得ることができるよう、NEDD8の前方をHAタグに換えてHisタグ配列「5’−CATCATCATCATCATCAC−3’」およびthrombin配列「5’−CTGGTGCCGCGCGGCAGC−3’」を付加したプライマー(配列番号5)を使用した以外は実施例1と同様にして本発明の組換えプラスミドを得た(図6)。 なお、本プラスミドは独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、2005年(平成17年)11月18日 受託番号 FERM AP−20717として寄託している。 実施例4の組換えプラスミドを使用して実施例2と同様に大腸菌より上澄み液を取り出した。 GST用精製ビーズ(商品名 Glutathione Sepharose 4Bビーズ Amersham Pharmacia Biotech社製)とインキュベーションし、ビーズに結合した蛋白質を溶出し精製した。その後精製した蛋白質溶液をHis用精製ビーズ(商品名 Metal Affinity Resins CLONTECH社製)とインキュベーションし、ビーズに結合した蛋白質を溶出し精製した。 ポリアクリルアミドゲルのウェルに前記上澄み液および上記蛋白質溶液をアプライしSDS−PAGEを行い、分離した蛋白質をCBB染色(0.25% Coomassie Brilliant Blue R−250/50%メタノール/10%酢酸)にて染色し検出した。 結果を図9に示す。 レーン1は大腸菌より上澄み液をそのまま流したものである。 レーン2は大腸菌上澄み液をGST用精製ビーズにて精製した蛋白質溶液を流したものである。 レーン3はGST用精製ビーズにて精製した蛋白質溶液をHis用精製ビーズにおいても精製した蛋白質溶液を流したものである。 レーン2ではNEDD化していないCUL1も精製されてしまっているが、レーン3ではNEDD化したCUL1のみが精製されている。 実施例4で得られた発現ベクターによりNEDD化されたCUL1のみを精製することができた。これはNEDDに融合させたHisタグ、CUL1に融合させたGSTタグを用いたためである。 実施例4で精製した蛋白質が本当にNEDD化したCUL1であるかを調べる為、実施例2と同様の方法を用いて蛋白質を発現させ、実施例4と同様にGST用精製ビーズにて精製した後、CBB染色の代わりにタグ配列の抗体の反応を用いてNEDD化蛋白質をウエスタンブロット法で検出した。 結果を図10に示す。 レーン1はNEDD8、E1, E2, E3を発現する実施例4で得られた発現ベクターのみ導入したものである。 レーン2は変異E1の入ったNEDD8、E1、E2、E3を発現する実施例1で得られた発現ベクターとCUL1を発現できる実施例2で得られた発現ベクターを導入したものである。 レーン3はNEDD8、E1, E2, E3を発現する実施例4で得られた発現ベクターとCUL1を発現できる実施例2で得られた発現ベクターを導入したものである。 レーン1ではNEDDにはGSTタグがついていない為、GST用精製ビーズではなにも精製されないことを示す。レーン2ではNEDD化が起こらない為、通常のCUL1のみ精製されていることを示す。レーン3ではNEDD化したCUL1、通常のCUL1が精製されていることを示す。 実施例4で得られた発現ベクターによりNEDD化されたCUL1(標的蛋白質)のみを精製することができた。 精製後にNEDD化されたCUL1を大量に回収できた。組換えプラスミドに導入する遺伝子(E1)を示す図である。通常のE1、組換えプラスミドに導入する遺伝子(E1)およびエクソン4−5部位に変異の入った遺伝子(E1)を示す図である。組換えプラスミドに導入する遺伝子(NEDD8)を示す図である。組換えプラスミドに導入する遺伝子(E2)を示す図である。組換えプラスミドに導入する遺伝子(E3)を示す図である。本発明の組換えプラスミドを示す図である。NEDD化蛋白質(CUL1)のスクリーニング結果を示す写真である。NEDD化蛋白質(MDM2)のスクリーニング結果を示す写真である。NEDD化蛋白質(CUL1)の精製結果を示す写真である。NEDD化蛋白質(CUL1)の精製結果を示す写真である。配列番号5 : PCR用プライマー配列番号6 : PCR用プライマー配列番号7 : PCR用プライマー配列番号8 : PCR用プライマー配列番号9 : PCR用プライマー配列番号10 : PCR用プライマー配列番号11 : PCR用プライマー配列番号12 : PCR用プライマー配列番号13 : PCR用プライマー配列番号15 : PCR用プライマー配列番号16 : PCR用プライマー配列番号18 : PCR用プライマー配列番号19 : PCR用プライマー配列番号21 : PCR用プライマー配列番号22 : PCR用プライマー 以下の(A)〜(D)のうち1種又は2種以上をコードする遺伝子を含み大腸菌内で同時に発現できる組換えプラスミド。(A)NEDD8を活性化する酵素(E1)(B)NEDD8と標的蛋白質の結合酵素(E2)(C)NEDD8と標的蛋白質の連結酵素(E3)(D)NEDD8。 以下の(A)〜(D)をコードする遺伝子を含み大腸菌内で同時に発現できる組換えプラスミド。(A)NEDD8を活性化する酵素(E1)(B)NEDD8と標的蛋白質の結合酵素(E2)(C)NEDD8と標的蛋白質の連結酵素(E3)(D)NEDD8。 以下の(A)〜(E)のうち1種又は2種以上をコードする遺伝子を含み大腸菌内で同時に発現できる第1の組換えプラスミド、(A)NEDD8を活性化する酵素(E1)(B)NEDD8と標的蛋白質の結合酵素(E2)(C)NEDD8と標的蛋白質の連結酵素(E3)(D)NEDD8(E)標的蛋白質及び(A)〜(E)のうち第1の組換えプラスミドに含まれない残りをコードする遺伝子を含み大腸菌で同時に発現できる第2の組換えプラスミド、を有する形質転換された大腸菌。 以下の(A)〜(D)をコードする遺伝子を含み大腸菌内で同時に発現できる組換えプラスミド、(A)NEDD8を活性化する酵素(E1)(B)NEDD8と標的蛋白質の結合酵素(E2)(C)NEDD8と標的蛋白質の連結酵素(E3)(D)NEDD8及び以下の(E)をコードする遺伝子を含み大腸菌内で同時に発現できる組換えプラスミド、(E)標的蛋白質を有する形質転換された大腸菌。 NEDD8を活性化する酵素(E1)がAPPBP1とUBE1Cとの融合蛋白質であり、NEDD8と標的蛋白質の結合酵素(E2)がUBE2M、NEDD8と標的蛋白質の連結酵素(E3)がRBX1であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の組換えプラスミド。 受託番号が FERM−AP20716又はFERM−AP20717である請求項2に記載の組換えプラスミド。 請求項3又は請求項4に記載の形質転換された大腸菌を使用したNEDD化蛋白質のスクリーニング方法。 請求項3又は請求項4に記載の形質転換された大腸菌を使用したNEDD化蛋白質の製造方法。 【課題】NEDD8と標的蛋白質を大腸菌内で同時に発現させ、大腸菌内で両蛋白質を結合(NEDD化)させるために使用する組換えプラスミド及び前記組換えプラスミドにより形質転換された大腸菌並びに前記形質転換された大腸菌を使用して未知の標的蛋白質をスクリーニング(同定・検出)する方法及びNEDD化された標的蛋白質を大量調整・精製する方法を提供することを目的とする。【解決手段】 大腸菌内でNEDD化に必要な(A)NEDD8を活性化する酵素(E1)、(B)NEDD8と標的蛋白質の結合酵素(E2)、(C)NEDD8と標的蛋白質の連結酵素(E3)、(D)NEDD8、(E)標的蛋白質を発現することができる組換えプラスミドを使用して大腸菌内で標的蛋白質のNEDD化を行う。【選択図】図6配列表