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タイトル:特許公報(B2)_固体触媒の充填方法
出願番号:2005328644
年次:2010
IPC分類:B01J 8/02,B01J 23/46,C07B 61/00,C07C 51/25,C07C 57/05


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森 康彦 大本 宣仁 JP 4532391 特許公報(B2) 20100618 2005328644 20051114 固体触媒の充填方法 住友化学株式会社 000002093 深井 敏和 100104318 森 康彦 大本 宣仁 20100825 B01J 8/02 20060101AFI20100805BHJP B01J 23/46 20060101ALI20100805BHJP C07B 61/00 20060101ALI20100805BHJP C07C 51/25 20060101ALI20100805BHJP C07C 57/05 20060101ALI20100805BHJP JPB01J8/02 AB01J23/46 301MC07B61/00 CC07B61/00 300C07C51/25C07C57/05 B01J 8/00− 8/46 B01J 23/46 C07B 33/00,61/00 C07C 51/25,57/05 B01J 19/00−19/32 特開2001−038196(JP,A) 特開昭62−030545(JP,A) 1 2006159186 20060622 6 20061121 齊藤 光子 本発明は、固定床反応器の反応管内に固体触媒を充填する方法に関する。 一般に、反応管を備えた固定床反応器では、固体触媒を反応管の上端開口から管内に投入落下させて充填している。例えば特許文献1には、固定床反応器の反応管内に固体触媒を落下充填するに際し、反応管内雰囲気ガスの水分度を0.3〜1.2重量%の範囲内に保持する固体触媒の充填方法が記載されている。この文献によると、投入落下させた際の衝撃による固体触媒の粉化・崩壊を抑制できると記載されており、前記水分度が0.3重量%未満では、触媒が乾燥して粉化・崩壊しやすくなり、1.2重量%を超えると、触媒が吸湿して粉化・崩壊しやすくなると記載されている。 しかしながら、この文献に記載されている上記水分度の範囲は、気温が比較的低い時期の飽和水分を一部上回っており、例えば気温10℃の飽和水分は約0.76重量%であり上記範囲に入るため、わずかな気温変動によって各反応管の内面が結露するおそれがある。結露すると、触媒成分が溶出することによる触媒の活性低下や、触媒中の酸性成分による反応管の腐食等の問題がある。 一方、特許文献2には、シェルアンドチューブ式反応器において、チューブ(反応管)内壁面の温度を作業雰囲気の露点より高く維持する触媒の交換方法が記載されている。この文献によると、触媒を交換するにあたり、反応管の内面が結露するのを効果的に防止することができると記載されている。 しかしながら、シェル側に常温で液体の熱媒を流す必要があり、反応温度制御時に高融点の溶融塩を用いる反応プロセスにおいては適用しにくい。特開2005−224661号公報特開2001−38196号公報 本発明の課題は、反応管の内面が結露するのを防止することができる固体触媒の充填方法を提供することである。 本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、反応管内およびその上方に設けた覆いの中の相対湿度を90%以下に保持しながら固体触媒を充填する場合には、反応管の内面が結露するのを防止することができるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明の固体触媒の充填方法は、固定床反応器の反応管内に上方から固体触媒を投入落下させて充填する方法であって、前記固体触媒を充填する際に、前記反応器の下部から乾燥ガスを供給し、該乾燥ガスを反応管内の下から上方向へ流しながら、反応管内の相対湿度を90%以下に保持し、かつ前記反応器上方の空間であって各反応管内に固体触媒を充填する作業空間に覆いを設け、該覆いの中の相対湿度を90%以下に保持し、該覆いの中で固体触媒の充填を行なうことを特徴とする。 本発明によれば、反応管内と反応管の上方に設けた覆いの中の相対湿度を90%以下に保持するので、各反応管の内面が結露するのを防止することができ、そのため結露による触媒成分の溶出、触媒活性の低下、触媒中の酸性成分溶出による反応管の腐食等を防止することができるという効果がある。 さらに、乾燥ガスを反応管内の下から上方向へ流しながら、反応管内の相対湿度を90%以下に保持する場合には、反応管内を乾燥ガスが上向きに流れることにより、固体触媒の落下速度が遅くなるので、投入落下させた際の衝撃による固体触媒の粉化や崩壊を抑制することができるという効果もある。 本発明の固体触媒の充填方法について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる固体触媒の充填方法を説明するための概略説明図である。この実施形態の充填方法は、同図に示すように、固定床多管式反応器1が有する複数の反応管2内に固体触媒3を充填するものである。 固定床多管式反応器1は、通常、熱交換型反応器として使用される。この熱交換型反応器では、触媒が充填された反応管の外側にジャケット部4(シェル部)を有し、反応で生成した反応熱をジャケット部4内の熱媒体によって除去する。具体的には、固定床多管式反応器1としては、ディスク・アンド・ドーナツ型の多管式反応器、欠円バッフル型の多管式反応器などが好適に使用される。熱媒体としては、例えば溶融塩、スチーム、有機化合物、溶融金属などが挙げられ、特に溶融塩、スチームを使用するのが熱安定性や取り扱い性のうえから好ましい。 固定床多管式反応器1では、固体触媒が充填された複数の縦型反応管2内に所定の原料化合物を通過させながら、例えば気相接触反応により原料化合物を酸化させ、目的化合物を得る。 反応管2は直線状の直管であり、反応器1内に垂直方向に配置されており、この反応器1内に原料化合物を通過させて反応を行なわせる。また、各反応管2は、通常、内径が約15〜50mmの範囲から選ばれる実質的に同一形状の金属管であるのが好ましい。ここで「実質的に同一形状」とは、反応管2の外径、肉厚および長さが設計誤差の範囲にあることを意味し、該設計誤差は通常±2.5%以内、好ましくは±0.5%以内が許容される。なお、反応管2の内径は触媒径の4倍以上となるように、反応管2の内径と触媒径とを決定するのが好ましいが、特に制限されるものではない。 反応管2は、内面が平滑であるのが好ましい。これにより、各反応管2での触媒充填密度を高くすることができる。具体的には、例えば継ぎ目のないシームレス管が好適に採用可能である。 各反応管2の上端部は開口しており、この上部開口から固体触媒を投入し落下させて充填する。 反応管2内に充填される固体触媒としては、例えば塩化水素および酸素から塩素を得る気相酸化法では、酸化ルテニウムを主成分とし、ルチル型酸化チタンに担持させた酸化触媒が挙げられ、さらにプロピレンおよび酸素からアクロレイン、さらにアクリル酸を得るための気相酸化法や、イソブチレンおよび酸素からメタクロレイン、さらにメタクリル酸を得るための気相酸化法の場合には、それぞれ所定の酸化触媒が使用される。 固体触媒は、反応に対して不活性な不活性充填材で希釈して用いてもよい。また、触媒を複数の触媒層に分けて反応管内に充填してもよく、その場合には触媒層同士の間に不活性充填材層を介在させてもよい。 固体触媒の形状としては、例えば球形粒状、円柱形ペレット状、リング形状、あるいは成形後に粉砕分級した顆粒状などの形状が挙げられ、特に制限されるものではない。触媒の大きさは、通常、径が10mm以下であるのが好ましく、触媒径が10mmを超えると、活性が低下するおそれがある。また、触媒径が過度に小さくなると、反応管2内の圧力損失が大きくなるため、通常は触媒径が0.1mm以上であるのがよい。 固体触媒を充填する際に、各反応管2内の相対湿度は90%以下、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下に保持される。これにより、反応管2の内面が結露するのを防止することができる。各反応管2内の相対湿度を前記所定の値に保持するには、例えば各反応管2内に乾燥ガスを流す方法が挙げられる。 なお、本発明における「固体触媒を充填する際」とは、主として、反応管2内に固体触媒を充填する前および充填中を意味するが、充填後も反応管2内およびその上方の相対湿度を90%以下に維持するのが、反応管内の結露防止の上で好ましい。 本発明では、さらに反応器1の上方空間10の相対湿度も90%以下、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下に保持する。これにより、反応管2の内面が結露するのがより確実に防止される。上方空間10の相対湿度を前記所定の値に保持するには、例えば上方空間10に覆い20を設けるのがよく、さらに覆い20内に空調機や除湿機、乾燥機等を設けるのが好ましい。空調機や除湿機に代えて、覆い20内に乾燥ガスを送風するための送風機を設けてもよい。さらに、覆い20を設けることにより、例えば雨天時に屋外で触媒を充填する際には、雨が各反応管2内に浸入するのを防止できる。 固体触媒の充填作業は、前記覆い20の中で行なわれる。従って、前記上方空間10とは、固体触媒3を各反応管2内に投入充填する作業空間をも意味する。この上方空間10は、覆い20によって完全に外部から遮断された密閉空間であってもよく、あるいは相対湿度が90%を超えない限りにおいて、外部と連通する非密閉空間であってもよい。 覆い20は、反応管2の上端開口が臨むフロアー21(作業台)上に設置され、上方空間10の周囲を覆う屋根20aと周壁20bとで構成されている。周壁20bの出入口には開閉扉22が設けられ、この扉22を開いて作業員23が覆い20内に出入りするようになっている。周壁20bは、上方空間10の周囲を覆うように構成されているので、雨が各反応管2内に浸入するのを確実に防止できる。覆い20としては、本発明の効果を妨げない範囲で特に限定されるず、例えばテント等が使用可能である。 次に、反応管2の下から乾燥ガスを流す方法を説明する。すなわち、反応器1の下部には、通常、各反応管2を流下した反応生成物を集めるチャンネルカバー30が付設されている。チャンネルカバー30には、反応生成物を次工程に送るための排出口31が設けられる。乾燥ガスは、チャンネルカバー30の壁部に設けられるマンホール32から反応器1内に供給される(乾燥ガスを矢印Aで示す)。また、乾燥ガスを排出口31から供給することも可能である。 乾燥ガスとしては、各種のガスが採用可能であり、例えば空気、ヘリウムガス、窒素ガス等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。本発明では、取り扱いが容易な空気を使用するのが好ましい。乾燥ガスを流す方向としては、各反応管2内に下から上方向であり、これにより触媒充填作業に支障がなく、また投入落下させた際の衝撃による固体触媒の粉化や崩壊を抑制することができる。また、乾燥ガスは各反応管2内に連続して流すのが、各反応管2内の相対湿度を90%以下に維持する上で好ましい。 乾燥ガスの流量としては、反応管2およびその上方の相対湿度を90%以下にすることができる限り、特に限定されるものではなく、例えば反応管1本当り0.1〜10L/時間、好ましくは1〜5L/時間であるのがよい。 各反応管2への固体触媒3の充填方法は、特に限定されないが、例えば縦型の場合は、反応管2の上部に空間部を残して触媒を管内に投入落下させて充填すればよい。この際、各反応管2への充填速度を一定にしたり、できるだけゆっくりと充填するのが好ましい。固体触媒3の充填は、手作業で行ってもよく、あるいは触媒充填機(例えば特開平11−333282号公報などに記載の触媒充填機)を用いて行ってもよい。 以上のようにして固体触媒が充填された複数の反応管2に、所定の原料化合物を通過させながら、例えば気相接触反応により原料化合物を酸化させ、目的化合物を得る。このような反応に供される原料化合物には、例えば気相酸化法により塩素を得るための塩化水素および酸素、気相酸化法によりアクロレイン、さらにアクリル酸を得るためのプロピレンおよび酸素、気相酸化法によりメタクロレイン、さらにメタクリル酸を得るためのイソブチレンおよび酸素などが挙げられる。 なお、使用する反応管2は直線状に限定されるものではなく、例えばコイル状であってもよい。また、本発明方法は、固定床多管式反応器1に限定されるものではなく、各種の固定床反応器にも適用可能である。本発明の一実施形態にかかる固定床多管式反応器を示す概略説明図である。符号の説明 1 固定床多管式反応器 2 反応管 3 固体触媒10 作業空間20 覆い20a 屋根20b 周壁31 排出口32 マンホール 固定床反応器の反応管内に上方から固体触媒を投入落下させて充填する方法であって、前記固体触媒を充填する際に、前記反応器の下部から乾燥ガスを供給し、該乾燥ガスを反応管内の下から上方向へ流しながら、反応管内の相対湿度を90%以下に保持し、かつ前記反応器上方の空間であって各反応管内に固体触媒を充填する作業空間に覆いを設け、該覆いの中の相対湿度を90%以下に保持し、該覆いの中で固体触媒の充填を行なうことを特徴とする固体触媒の充填方法。


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