生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_NMR装置及びその調整方法
出願番号:2005323467
年次:2007
IPC分類:G01N 24/08,G01R 33/46


特許情報キャッシュ

高杉憲司 氣田佳喜 末松浩人 JP 2007132699 公開特許公報(A) 20070531 2005323467 20051108 NMR装置及びその調整方法 日本電子株式会社 000004271 高杉憲司 氣田佳喜 末松浩人 G01N 24/08 20060101AFI20070427BHJP G01R 33/46 20060101ALI20070427BHJP JPG01N24/08 510DG01N24/08 520BG01N24/08 520L 5 2 OL 14 本発明は、NMR(nuclear magnetic resonance)装置及びその調整方法に関し、特に、測定の待ち時間を大幅に短縮することができるNMR装置及びその調整方法に関する。 従来、化学における構造解析分野において、高分解能のNMR装置が広範に利用されている。一般に、NMRの測定は、静磁場中に置かれた試料に高周波パルスを印加して試料中の核磁化を励起させ、高周波パルス印加後に試料から放出される応答信号(NMR信号)を検出し、それをコンピュータに取り込んで解析することにより行なわれる。NMR信号は、一般に微弱であるため、高周波パルスによって励起された試料が平衡状態にまで緩和されるのを待って、再び高周波パルスを印加し、試料を励起させる操作を繰り返して、繰り返しの都度得られるNMR信号を積算することにより、測定感度を向上させている。 その際、NMR信号を検出するまでの待ち時間(繰り返し時間)は、次の積算までに試料中の核磁化が平衡状態にまで十分緩和されていることが求められるため、緩和時間が長い試料では、NMR信号検出後の待ち時間を長くとる必要がある。 そのような場合、これまでは、緩和試薬と呼ばれる核磁化の緩和を促進させる試薬を試料中に添加することで、緩和を促進させ、繰り返し待ち時間を短くして、測定の効率化を図っていた。 しかし、添加する緩和試薬は、クロムやコバルトなどの配位性化合物であり、試料の状態に大きな影響を与えるので、試料の物性情報などを研究対象とした場合には、この手法により繰り返し時間を短くすることは不可能であった。 良く添加される緩和試薬としては、DTBN、Cr(AcAc)3、Co(AcAc)2、(CH3COO)3Mn、Cr(en)3Clなどが上げられ、このような緩和試薬を添加しても試料の状態(立体構造、電子状態など)が変わらない試料は、非常に少ない。Ray Freeman著、坂口潮・嶋田一夫・荒田洋治訳「NMRハンドブック」、共立出版株式会社刊(1992年3月)、217〜220頁。特開2005-106565号公報。 ところで、NMRスペクトル観測の際、試料中に大きな核磁化が存在すると、その核磁化により誘起された誘導磁場が発生する。このような現象を伴う系では、励起状態の核磁化からエネルギーが逃げやすくなるため、核磁化が励起状態から平衡状態へ戻るのが速くなる。一般にラジエーション・ダンピング(Radiation Damping=放射減衰)と呼ばれるこの現象は、観測しているNMR信号の広幅化を引き起こし、NMRスペクトルの劣化につながるため、いかにラジエーション・ダンピングを少なくするかが、良いNMRスペクトルの収集にとって重要となる。 ところが、NMR測定中は好まれないラジエーション・ダンピングであるが、測定間の繰り返し待ち時間の間は、NMR信号の広幅化ということは全く問題ではなく、繰り返し待ち時間の最中に重要なのは、いかに速く試料の状態を平衡状態に戻すかということである。そこで、繰り返し待ち時間の最中にラジエーション・ダンピングを有効活用すれば、試料の状態をすみやかに平衡状態に戻せ、繰り返し待ち時間を大幅に短縮させることが可能になると考えられる。 本発明の目的は、前述の実情に鑑みて提案されるものであって、ラジエーション・ダンピングを有効活用することによって、繰り返し待ち時間を大幅に短縮させることが可能なNMR装置を提供することにある。 この目的を達成するため、本発明にかかるNMR装置は、高周波パルスの印加からNMR信号の検出までの時間帯はラジエーション・ダンピングが起こりにくいモードとし、NMR信号の検出から次の高周波パルスの印加までの時間帯はラジエーション・ダンピングが起こりやすいモードとして、両モードを測定の進行に合わせて切り換えるようにしたことを特徴としている。 また、前記NMR装置は、前記NMR装置は、送信系から出力される高周波パルスをNMR検出コイルから試料に印加させる第1の高周波線路と、試料から放出されるNMR信号をNMR検出コイルで検出して受信系に導く第2の高周波線路と、試料から放出されるNMR信号をその位相に対して反射波の位相が同位相になるように反射する終端部を備えた第3の高周波線路とを有し、前記ラジエーション・ダンピングが起こりやすいモードは、前記NMR検出コイルを前記第3の高周波線路に接続することによって構成されることを特徴としている。 また、送信系から出力される高周波パルスをNMR検出コイルから試料に印加させる際には、NMR検出コイルを送信系と接続し、試料から放出されるNMR信号をNMR検出コイルで検出して受信系に導く際には、NMR検出コイルを受信系と接続し、NMR信号の検出後、次の高周波パルスの印加までの待ち時間には、NMR検出コイルを高周波回路に接続することを特徴としている。 また、前記高周波回路は、NMR検出コイルから出力される高周波の位相に対して、反射波の位相が同位相になるように反射する終端部を備えていることを特徴としている。 また、本発明にかかるNMR装置の調整方法は、送信系から出力される高周波パルスをNMR検出コイルから試料に印加させる第1の高周波線路と、試料から放出されるNMR信号をNMR検出コイルで検出して受信系に導く第2の高周波線路と、試料から放出されるNMR信号をその位相に対して反射波の位相が同位相になるように反射する終端部を備えた第3の高周波線路とを有するNMR装置の調整方法であって、最初に第2の高周波線路のケーブル長をラジエーション・ダンピングが起こりにくい条件に調整し、次に第1の高周波線路のケーブル長をラジエーション・ダンピングが起こりにくい条件に調整し、最後に第3の高周波線路のケーブル長を試料から放出されるNMR信号をその位相に対して反射波の位相が同位相になるように反射する長さに調整することを特徴している。 本発明のNMR装置によれば、高周波パルスの印加からNMR信号の検出までの時間帯はラジエーション・ダンピングが起こりにくいモードとし、NMR信号の検出から次の高周波パルスの印加までの時間帯はラジエーション・ダンピングが起こりやすいモードとして、両モードを測定の進行に合わせて切り換えるようにしたので、ラジエーション・ダンピングを有効活用することによって、繰り返し待ち時間を大幅に短縮させることが可能になった。 また、本発明のNMR装置の調整方法によれば、送信系から出力される高周波パルスをNMR検出コイルから試料に印加させる第1の高周波線路と、試料から放出されるNMR信号をNMR検出コイルで検出して受信系に導く第2の高周波線路と、試料から放出されるNMR信号をその位相に対して反射波の位相が同位相になるように反射する終端部を備えた第3の高周波線路とを有するNMR装置の調整方法であって、最初に第2の高周波線路のケーブル長をラジエーション・ダンピングが起こりにくい条件に調整し、次に第1の高周波線路のケーブル長をラジエーション・ダンピングが起こりにくい条件に調整し、最後に第3の高周波線路のケーブル長を試料から放出されるNMR信号をその位相に対して反射波の位相が同位相になるように反射する長さに調整するので、ラジエーション・ダンピングを有効活用することによって、繰り返し待ち時間を大幅に短縮させることが可能になった。 以下、図面に基づいて、本発明の実施例について説明する。 ラジエーション・ダンピングは、NMR信号がプローブの検出コイルに起電力を引き起こし、その電流が作る誘導磁場によってNMR信号の磁化の戻りが速くなる現象である。その影響は、NMR信号が強い高磁場のNMR装置で顕著になる。 まず、図1に基づいてラジエーション・ダンピングを説明する。ラジエーション・ダンピングとは、NMRでしばしば用いられる説明では、回転する小さな原子核の1つ1つが磁石であり、その総和を磁化ベクトルとして扱う。高周波パルスにより磁化ベクトルは倒され、パルスが途切れた後、磁化ベクトルは元の方向(静磁場方向、Z方向)に戻っていく。磁化ベクトルが横倒しになっているときには、言わば「高速回転する磁石が検出コイルの中にある」ようなものなので、検出コイルには誘導起電力が発生する。この誘導起電力でコイルに電流が流れることにより、磁場が発生し、その磁場が倒れた磁化ベクトルをZ方向に戻すように作用する。この作用のため、核磁化のZ方向への戻り(すなわち緩和)が予想されるより速くなってしまうのがラジエーション・ダンピングである。 高周波を照射して水由来の不要信号を消去する際に、ラジエーション・ダンピングで水消えが悪くなるのは、水分子中の1H核の緩和時間が短くなるため、水由来のNMR信号の線幅が太くなり、照射する高周波の帯域幅から水のNMR信号の一部がはみ出してしまうことに原因がある。 ラジエーション・ダンピング自体は物理現象なので避けようがないが、NMR装置のハードウェアの性質を利用して軽減させることができる。NMR信号は、通常は、図1に示した経路により観測される。このとき、高周波パルスの照射を行なっている経路(送信系)とNMR信号の検出を行なっている経路(受信系)は、途中にあるデュプレクサ(DPLX)により切り換えられている。 DPLXが受信系の前置増幅器(Pre-AMP)側に接続されている状態では、誘導電流はDPLXを経由してPre-AMPまで到達する。増幅器で最大のS/Nを得ようとすると、そのインピーダンスは50Ωからずれる。これはノイズマッチと呼ばれ、一般的な増幅器の性質である。Pre-AMPもノイズマッチされているので、入力インピーダンスは50Ωからずれている。そのため、Pre-AMPの入力では反射が起きている。ラジエーション・ダンピングで誘導された電流も例外ではなく、反射されてプローブの検出コイルに戻っていく。 このとき、反射波の位相が元の誘導電流の位相と反対になっていれば、電流が互いに相殺され、ラジエーション・ダンピングによる信号広幅化が軽減される(図2a)。 また、DPLXが送信系の電力増幅器(Power AMP)側に接続されている状態では、電力線をGNDに短絡してノイズをブランクしている。つまり、測定のシーケンス中で高周波パルスをOFFにし、かつNMR信号の積算を行なっていない時間帯では、電力増幅器の高周波スイッチ部分で誘導電流の反射が起きる。 このとき、反射波の位相が元の誘導電流の位相と反対になっていれば、電流が互いに相殺され、ラジエーション・ダンピングによる信号広幅化が軽減される(図2b)。 従来までは、2つの経路をDPLXで切り換えることによって、ラジエーション・ダンピングが軽減された状態で測定を行なうことができた。しかし、この状態では、測定の繰り返し時間中でもラジエーション・ダンピングが軽減される状態にある。繰り返し時間中は、核磁化の緩和が速い方が良いが、ラジエーション・ダンピングが軽減されると、核磁化の緩和が起こりにくくなる。 本実施例では、DPLXで切り換える経路として、終端部に開口端または閉口端を備えたもう1つの経路を追加した(図2c)。終端部は、高周波が反射できるならば、開口端であっても閉口端であっても良い。このとき、追加された経路は、他の2つの経路とは異なり、反射された誘導電流が元の誘導電流の位相と同位相で検出コイルに戻る条件に線路長が設定されている。 実際の測定の際に、繰り返し待ち時間中の経路をこの3つ目の経路(図2c)に接続すると、試料中の核磁化の緩和が速くなるが、測定開始後はこれまでの経路(図2aまたは図2b)に接続することで、ラジエーション・ダンピングが軽減された先鋭な信号を観測することができる。 次に、実際に反射波の位相を調整して、ラジエーション・ダンピングを軽減する方法について説明する。まず、ラジエーション・ダンピングを評価する方法について説明する。ラジエーション・ダンピングはZ方向への磁化の戻りを速くする働きがあるので、それを観測すれば評価の指針になる。Z方向への磁化の戻りは、180°パルス照射後のNMR信号により観測できる。完璧な180°パルスではNMR信号はまったく出ないはずだが、実際には磁場不均一などの理由で少量のNMR信号が残る。その残った信号が戻っていくようすを、測定結果を時間領域(FIDそのまま)で見たときに観測できる(図3)。 実際にNMR装置によってラジエーション・ダンピングを観測した例を図4に示す。図4はFIDなので、横軸は時間(msec)である。このFIDの最大振幅になる時間を比較して、目安にする。この時間が長いほど、磁化のZ軸への戻りが遅い。つまり、ラジエーション・ダンピングが軽減されたことを意味する。 この測定の注意点は、次の2点である。(1)パルス幅により結果が違って見えるので、180°パルスは、360°パルスから正確に1/2に設定すること。(2)offsetにより結果が違って見えるので、固定にすること。今回は7ppm。 まず、最初に、反射波の位相を調整するためには、プローブとPre-AMP間(経路1)のケーブル長を変える。本実施例では、治具として、コネクタ先端間が70mm、80mm、88mm、102mm、120mm、140mm、153mm、170mmの8Dケーブルを製作して持参し、これらをプローブとPre-AMP間に挿入してみて、上記の時間を比較した。この方法の概念図を図5に示す。 プローブとPre-AMP間のケーブル長を変えて測定したFIDの例を図6に示す。挿入したケーブルは、上から順に88mm、102mm、120mm、140mmである。この例では、102mmのときが最も時間がかかっており、この長さにすればラジエーション・ダンピングが軽減されることになる。 なお、ケーブルを挿入する際には、中継コネクタを用いているため、例えば102mmのケーブルを挿入したからと言って、ケーブル長の絶対値が102mm増えたとは言えない。あくまでケーブル長の「差」で比較する。もちろん、この長さは装置やプローブによって異なる固有の値である。 次に、電力増幅器(Power AMP)側の反射波の位相、および、終端部を備えた追加経路側の反射波の位相も、同様にしてケーブル長の変更で調整する。長さを変える場所は、DPLXの後段であって、かつ電力増幅器(Power AMP)または終端部の前段である。この方法の概念図を図7に示す。 調整の評価は、Pre-AMPのときと同様に、180°パルスの残りをFIDで見ても良いが、次のようにすると、Power AMP側(経路2)または終端側(経路3)の効果だけを評価することができる。 シングルパルス法では、Power AMP側または終端側で反射が起こるのは、高周波パルスが途切れてからDPLXがPower AMP側に切り換わるまでの間、すなわちDead Timeの期間である。そこで、シングルパルスの測定をDead Timeを変えて行なう(図8)。 Dead Timeが長いのは、経路2または経路3で反射している時間が長いことを反映している、ということを利用することにある。もし反射波の位相が反位相になっていれば、Dead Timeを長くすればするほどラジエーション・ダンピングの効果は軽減され、NMR信号は鋭くなり、その減衰は遅くなる。逆に、もし反射波の位相が同位相になっていれば、Dead Timeを長くすればするほどラジエーション・ダンピングの効果は軽減されず、NMR信号は鈍くなり、その減衰は速くなる。 図9は、Dead Timeを1msecおきに1〜10msecまで変えたものである。Dead Timeを変えてしまうので、位相は合わなくなるから、スペクトルは絶対値モードで見る。また、信号が飽和しないように、フリップアングルは小さくする。図の例は、30°パルスを用いた例である。左から何も入れないとき、70mmのケーブルを入れたとき、102mm、120mm、140mm、153mm、170mm、である。この場合は、140mmのケーブルを挿入したときが最も減衰が遅く、102mmのケーブルを挿入したときが最も減衰が速い。 以上の調整は、以下のような順番で進められる。まず、経路1のケーブル長は、経路2、経路3の長さにも影響するので、先に経路1のケーブル長を調整し、次に経路2を調整すれば、どちらも良好な状態にすることができる。 また、経路1、経路2の調整では、ラジエーション・ダンピングが最も軽減されるケーブル、経路3の調整では、ラジエーション・ダンピングが最も大きいケーブルを選択する。 以上のような調整により、経路1、経路2は核磁化が緩和されにくい条件に設定され、経路3は核磁化が緩和されやすい条件に設定される。図6および図9の例では、経路1に挿入するケーブルの長さは102mm、経路2に挿入するケーブルの長さは140mm、経路3に挿入するケーブルの長さは102mmが良いということになる。 この状態で、高周波パルス印加中は経路2、NMR信号検出中は経路1、繰り返し待ち時間中は経路3にDPLXを切り換えることで、繰り返し時間を短くしたNMR測定が可能になる。 図10は、本発明にかかる別の実施例である。目的としている動作は実施例1と同じであり、実施例1の図2に示した3つの経路を切り換えるDPLX1台を、2つの経路を切り換えるDPLX2台に置き換えたものである。実装方法は異なるが、3経路切り換えのDPLXではなく、2経路切り換えのDPLXが2つ使われており、実施例1での経路1の接続状態のときに、2経路切り換えDPLXのみが経路上に存在する。 回路の経路長の調整方法を図11〜13に示す。本実施例においても、実施例1の場合と同様に、3経路それぞれの経路長を調整する必要がある。したがって、実施例1に示されているように、数種類の長さの異なるケーブルを入れ替えることによって、ラジエーション・ダンピングが最も軽減される長さ(経路1と経路2)、または、ラジエーション・ダンピングが最も大きくなる長さ(経路3)を選ぶ。ただし、ケーブルを挿入する位置が実施例1とは異なっている。 経路1の調整では、ケーブルはプローブとDPLX1との間に挿入する。経路2の調整では、ケーブルはDPLX2と電力増幅器との間に挿入する。経路3の調整では、ケーブルはDPLX2と終端部との間に挿入する。 また、経路1の調整を行なう際には、図14または図15のようなパルスシーケンスを用いて、図のDelay Timeを変化させて実施例1と同様のケーブル長の調整を行なう。同様に、経路2の調整には図14のパルスシーケンス、経路3の調整には図15のパルスシーケンスを用いて図のDead Timeを変化させて実施例1と同様のケーブル長の調整を行なう。 実施例2の場合も、3つの経路長の調整後は、測定の繰り返し待ち時間中に経路3が接続された状態にすることで、核磁化の緩和を速め、繰り返し時間を短縮して測定を行なうことができる。 図16は、本発明にかかる別の実施例である。目的としている動作は実施例1と同じであり、実施例1の図2に示した3つの経路を切り換えるDPLX1台を、2つの経路を切り換えるDPLX2台に置き換えたものである。実装方法は異なるが、3経路切り換えのDPLXではなく、2経路切り換えのDPLXが2つ使われており、実施例1での経路1の接続状態のときに、2経路切り換えDPLXが2つ経路上に存在する。 回路の経路長の調整方法を図16を使って説明する。本実施例においても、実施例1の場合と同様に、3経路それぞれの経路長を調整する必要がある。したがって、実施例1に示されているように、数種類の長さの異なるケーブルを入れ替えることによって、ラジエーション・ダンピングが最も軽減される長さ(経路1と経路2)、または、ラジエーション・ダンピングが最も大きくなる長さ(経路3)を選ぶ。ただし、ケーブルを挿入する位置が実施例1とは異なっている。 経路1の調整では、ケーブルはDPLX2とDPLX1との間(2の位置)に挿入する。経路2の調整では、ケーブルはDPLX1と電力増幅器との間(3の位置)に挿入する。経路3の調整では、ケーブルはプローブとDPLX2との間(1の位置)、またはDPLX2と終端部との間(1’の位置)に挿入する。 また、経路1の調整を行なう際には、図17のようなパルスシーケンスを用いて、図のDelay Timeを変化させて実施例1と同様のケーブル長の調整を行なう。同様に、経路2のと経路3の調整には図17のパルスシーケンスを用いて図のDead Timeを変化させて実施例1と同様のケーブル長の調整を行なう。 また、経路3の調整をするに際して、1の位置にケーブルを挿入する場合には、経路2と経路3の調整を行なう前に調整を行なう必要がある。しかし、1’の位置にケーブルを挿入する場合には、経路2と経路3の調整を行なった後に調整を行なっても良い。 実施例3の場合も、3つの経路長の調整後は、測定の繰り返し待ち時間中に経路3が接続された状態にすることで、核磁化の緩和を速め、繰り返し時間を短縮して測定を行なうことができる。 NMR装置に広く利用できる。ラジエーション・ダンピングの概念を示す図である。本発明にかかるNMR装置の一実施例を示す図である。本発明にかかる調整方法の概念を示す図である。本発明にかかる調整方法の一例を示す図である。本発明にかかる調整方法の一例を示す図である。本発明にかかる調整方法の一例を示す図である。本発明にかかる調整方法の一例を示す図である。本発明にかかる調整方法の一例を示す図である。本発明にかかる調整方法の一例を示す図である。本発明にかかるNMR装置の別の実施例を示す図である。本発明にかかる調整方法の一例を示す図である。本発明にかかる調整方法の一例を示す図である。本発明にかかる調整方法の一例を示す図である。本発明にかかる調整方法の一例を示す図である。本発明にかかる調整方法の一例を示す図である。本発明にかかるNMR装置の別の実施例を示す図である。本発明にかかる調整方法の一例を示す図である。高周波パルスの印加からNMR信号の検出までの時間帯はラジエーション・ダンピングが起こりにくいモードとし、NMR信号の検出から次の高周波パルスの印加までの時間帯はラジエーション・ダンピングが起こりやすいモードとして、両モードを測定の進行に合わせて切り換えるようにしたことを特徴とするNMR装置。前記NMR装置は、送信系から出力される高周波パルスをNMR検出コイルから試料に印加させる第1の高周波線路と、試料から放出されるNMR信号をNMR検出コイルで検出して受信系に導く第2の高周波線路と、試料から放出されるNMR信号をその位相に対して反射波の位相が同位相になるように反射する終端部を備えた第3の高周波線路とを有し、前記ラジエーション・ダンピングが起こりやすいモードは、前記NMR検出コイルを前記第3の高周波線路に接続することによって構成されることを特徴とする請求項1記載のNMR装置。送信系から出力される高周波パルスをNMR検出コイルから試料に印加させる際には、NMR検出コイルを送信系と接続し、試料から放出されるNMR信号をNMR検出コイルで検出して受信系に導く際には、NMR検出コイルを受信系と接続し、NMR信号の検出後、次の高周波パルスの印加までの待ち時間には、NMR検出コイルを高周波回路に接続することを特徴とするNMR装置。前記高周波回路は、NMR検出コイルから出力される高周波の位相に対して、反射波の位相が同位相になるように反射する終端部を備えていることを特徴とする請求項3記載のNMR装置。送信系から出力される高周波パルスをNMR検出コイルから試料に印加させる第1の高周波線路と、試料から放出されるNMR信号をNMR検出コイルで検出して受信系に導く第2の高周波線路と、試料が放出するNMR信号をその位相に対して反射波の位相が同位相になるように反射する終端部を備えた第3の高周波線路とを有するNMR装置の調整方法であって、最初に第2の高周波線路のケーブル長をラジエーション・ダンピングが起こりにくい条件に調整し、次に第1の高周波線路のケーブル長をラジエーション・ダンピングが起こりにくい条件に調整し、最後に第3の高周波線路のケーブル長を試料から放出されるNMR信号をその位相に対して反射波の位相が同位相になるように反射する長さに調整することを特徴とするNMR装置の調整方法。 【課題】ラジエーション・ダンピングを有効活用することによって、繰り返し待ち時間を大幅に短縮させることが可能なNMR装置を提供する。【解決手段】高周波パルスの印加からNMR信号の検出までの時間帯はラジエーション・ダンピングが起こりにくいモードとし、NMR信号の検出から次の高周波パルスの印加までの時間帯はラジエーション・ダンピングが起こりやすいモードとして、両モードを測定の進行に合わせて切り換えるようにした。【選択図】図2


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