タイトル: | 公開特許公報(A)_光増感剤、光感応性酸発生剤及び光硬化性組成物 |
出願番号: | 2005322693 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C08F 2/50,C08G 59/68,G03F 7/031,G03F 7/029,G03F 7/004,C08F 16/12,C07D 335/16 |
沼田 繁明 横山 修司 櫻井 達也 JP 2007126612 公開特許公報(A) 20070524 2005322693 20051107 光増感剤、光感応性酸発生剤及び光硬化性組成物 川崎化成工業株式会社 000199795 沼田 繁明 横山 修司 櫻井 達也 C08F 2/50 20060101AFI20070420BHJP C08G 59/68 20060101ALI20070420BHJP G03F 7/031 20060101ALI20070420BHJP G03F 7/029 20060101ALI20070420BHJP G03F 7/004 20060101ALI20070420BHJP C08F 16/12 20060101ALI20070420BHJP C07D 335/16 20060101ALN20070420BHJP JPC08F2/50C08G59/68G03F7/031G03F7/029G03F7/004 503ZC08F16/12C07D335/16 9 OL 17 2H025 4J011 4J036 4J100 2H025AA01 2H025AC01 2H025AD01 2H025BC23 2H025BD03 2H025CA09 2H025CA17 2H025CA48 4J011QA08 4J011SA64 4J011SA75 4J011UA01 4J011VA01 4J011WA01 4J036AA01 4J036FA04 4J036GA03 4J036HA03 4J036JA06 4J100AE02P 4J100AE03P 4J100AE04P 4J100FA03 本発明は、カチオン重合性化合物の光重合に対して有用なチオキサントン誘導体とナフタレン誘導体を組合せた光増感剤、当該光増感剤と光カチオン重合開始剤からなる光感応性酸発生剤及び当該光感応性酸発生剤とカチオン重合性化合物を含有する光硬化性組成物に関する。 従来、カチオン重合の光開始剤としてはヨードニウム塩、スルホニウム塩が広く使用されている。このうちスルホニウム塩は366nmのUV照射によりカチオン重合性化合物を直接硬化するため特に増感剤の必要は感じられて来なかった。一方、ヨードニウム塩は吸収波長が250nm近辺と低いため、高圧水銀ランプ等のUV光とマッチングさせるために380nm〜400nm近辺にUV吸収のあるチオキサントン誘導体やジアルコキシアントラセン誘導体が用いられてきた。 しかしながら、近年、より長波長の紫外線LEDが開発されるようになって来たが、この場合にはヨードニウム塩はもちろんのことスルホニウム塩を開始剤としてもカチオン重合性化合物を直接硬化出来ないのが問題となっている。この場合は増感剤の使用が必要となるが、通常用いられる増感剤であるチオキサントン誘導体ではスルホニウム塩の増感はできないため、より活性なジアルコキシアントラセン誘導体が増感剤として用いられている。 特に、顔料を含む光硬化性組成物の場合は顔料により366nm近辺の波長の光が吸収されるため硬化速度が遅くなり、それを補うためにジアルコキシアントラセン誘導体が増感剤として必須である。特開2001−106648特許03437069未来材料Vol.4 No.11 P10〜15,2004 しかしながら、このジアルコキシアントラセン誘導体は高価であり、コスト削減のためより安価なチオキサントン誘導体を用いたより効果的な増感方法が望まれている。 本発明者らは、チオキサントン誘導体の光増感剤としての使用方法につき鋭意検討した結果、チオキサントン誘導体と置換基として水酸基又は置換されていてもよいアルコキシ基を少なくとも2つ以上有するナフタレン誘導体を組み合わせることによりなる光増感剤を用いることにより、カチオン重合開始剤であるオニウム塩に対するチオキサントン誘導体の増感効果を高めることができることを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明は、以下に示す骨子を特徴とするものである。(1)チオキサントン誘導体及び置換基として水酸基又は置換されていてもよいアルコキシ基を少なくとも2つ以上有するナフタレン誘導体を含有する光増感剤。(2)チオキサントン誘導体が、式(1)(式(1)中、R1、R2は同一であっても異なっていても良い、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを表し、n、mは同一であっても異なっていても良い、0又は1〜4の整数を表す。)で表されるチオキサントン誘導体から選ばれたものである(1)に記載の光増感剤。(3)ナフタレン誘導体が、式(2)(式(2)中、R3、R4は同一であっても異なっていても良い、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基又はハロゲン化アルキル基のいずれかを表し、X、Y、Zは同一であっても異なっていても良い、水素原子、アルキル基、ハロゲン、水酸基、アルコキシ基、アミノ基のいずれかを表す。)で表されるナフタレン誘導体から選ばれたものである(1)に記載の光増感剤。(4)(1)乃至(3)のいずれかに記載の光増感剤と光カチオン重合開始剤として作用するオニウム塩誘導体を含有する光感応性酸発生剤。(5)オニウム塩誘導体が、スルホニウム塩誘導体である(4)に記載の光感応性酸発生剤。(6)(4)又は(5)に記載の光感応性酸発生剤及びカチオン重合性化合物を含有する光硬化性組成物。(7)カチオン重合性化合物が、エポキシ化合物又はビニルエーテルである(6)に記載の光硬化性組成物。(8)(4)又は(5)に記載の光感応性酸発生剤に、波長範囲330〜550nmに含まれる光を照射して酸を発生させる光酸発生方法。(9)(6)又は(7)に記載の光硬化性組成物に、波長範囲330〜550nmに含まれる光を照射して硬化させる光硬化性組成物の硬化方法。 本発明の光増感剤は、カチオン重合開始剤であるオニウム塩に対する増感効果が高く、本発明の光増感剤を含有する光感応性酸発生剤は、カチオン重合性化合物の重合に対し、高い硬化速度を有する工業的に価値のある組成物である。 本発明の光増感剤は、チオキサントン誘導体及び置換基として水酸基又は置換されていてもよいアルコキシ基を少なくとも2つ以上有するナフタレン誘導体を含有する組成物である。 本発明のチオキサントン誘導体は、式(1)で表される化合物である。(式(1)中、R1、R2は同一であっても異なっていても良い、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを表し、n、mは同一であっても異なっていても良い、0又は1〜4の整数を表す。) 式(1)中のアルキル基としては、メチル基,エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。式(1)中のアルコキシ基としてはメトキシ基,エトキシ基,n−プロポキシ基,i−プロポキシ基,n−ブトキシ基,i−ブトキシ基,t−ブトキシ基が挙げられる。式(1)中のハロゲン原子としては塩素,臭素、ヨウ素が挙げられる。 代表的なチオキサントン誘導体としては、次のような化合物が挙げられる。例えば、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2−シクロヘキシルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−メトキシカルボニルチオキサントン、2−エトキシカルボニルチオキサントン、3−(2−メトキシエトキシカルボニル)−チオキサントン、4−ブトキシカルボニルチオキサントン、3−ブトキシカルボニル−7−メチルチオキサントン、1−シアノ−3−クロロチオキサントン、1−クロロ−4−イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−エトキシチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−アミノチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−フェニルスルフリルチオキサントン、3,4−ジ−[2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシカルボニル]−チオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−(1−メチル−1−モルホリノエチル)−チオキサントン、2−メチル−6−ジメトキシメチル−チオキサントン、2−メチル−6−(1,1−ジメトキシベンジル)−チオキサントン、2−モルホリノメチルチオキサントン、2−メチル−6−モルホリノメチルチオキサントン、N−アリルチオキサントン−3,4−ジカルボキシミド、N−オクチルチオキサントン−3,4−ジカルボキシミド、N−(1,1,3,3−テトラメチル−ブチル)−チオキサントン−3,4−ジカルボキシミド、1−フェノキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メトキシ−チオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メチルチオキサントン、チオキサントン−2−カルボン酸ポリエチレングリコールエステルである。 これらの中でも特に2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−シクロヘキシルチオキサントンが性能とコストの面から好まれる。下記にその構造式の例を示す。なお、本明細書中の化学式において、Etはエチル基を表し、n−Prはn−プロピル基を表し、n−Buはn−ブチル基を表し、n−Hexはn−ヘキシル基を表すものとする。 本発明のナフタレン誘導体としては、置換基として水酸基又は置換されていてもよいアルコキシ基を有するものであり、特に、置換基として水酸基又は置換されていてもよいアルコキシ基を2つ以上有するものが好ましい。 ナフタレン誘導体のうち、置換基として水酸基又は置換されていてもよいアルコキシ基を1つ有するナフタレン誘導体としては、1−ナフトール、1−メトキシナフタレン、1−エトキシナフタレン、1−n−プロポキシナフタレン、1−i−プロポキシナフタレン、1−n−ブトキシナフタレンン、1−n−ヘキシルオキシナフタレン、1−ベンジルオキシナフタレン、1−アリルオキシナフタレン、1−(2−ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、1−(2−メトキシエトキシ)ナフタレン、1−(2−エトキシエトキシ)ナフタレン、2−ナフトール、2−メトキシナフタレン、2−エトキシナフタレン、2−n−プロポキシナフタレン、2−2−プロポキシナフタレン、2−n−ブトキシナフタレンン、2−n−ヘキシルオキシナフタレン、2−ベンジルオキシナフタレン、2−アリルオキシナフタレン、2−(2−ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、2−(2−メトキシエトキシ)ナフタレン、2−(2−エトキシエトキシ)ナフタレンが挙げられる。代表的構造式としては、次のものが挙げられる。 置換基として水酸基又は置換されていてもよいアルコキシ基を2つ有するナフタレン誘導体としては、その置換基の位置により幾通りもの異性体が挙げられる。その構造としては、1,4―置換体、1,5−置換体,1,6−置換体、2,6−置換体、2,7−置換体、2,3−置換体が存在する。 その構造は下記のように表される。 これらのナフタレン誘導体のうち、水酸基又は置換されていてもよいアルコキシ基を一つ有するナフタレン誘導体に比べ、これらの置換基を2つ有するナフタレン誘導体は、チオキサントン誘導体の増感作用を高める相乗効果が高いため好ましく、特に1,4−位にこれらの置換基を有するナフタレン誘導体が、チオキサントン誘導体の増感作用を高める効果が顕著で、工業的にも容易に入手できるため好ましい。さらに、2個以上の水酸基又は置換されていてもよいアルコキシ基あるいはその他の置換基を有するナフタレン誘導体であってもよい。 すなわち、本発明のナフタレン誘導体(B)として、好ましくは、下記式(2)で表される化合物である。 (式(2)中、R3、R4は同一であっても異なっていても良い、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基又はハロゲン化アルキル基のいずれかを表し、X、Y、Zは同一であっても異なっていても良い、水素原子、アルキル基、ハロゲン、水酸基、アルコキシ基、アミノ基のいずれかを表す。) 式(2)中のアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基から選ばれる。アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基から選ばれる。アリル基としては、アリル基、2−メチルアリル基から選ばれる。ヒドロキシアルキル基としては2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基から選ばれる。アルコキシアルキル基としては2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−フェノキシエチル基から選ばれる。ハロゲン化アルキル基としては2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、2−ブロモエチル基から選ばれる。 式(2)で表されるナフタレン誘導体としては、具体的には、1,4−ジヒドロキシナフタレン誘導体、1,4−ジヒドロキシナフタレンモノエーテル誘導体及び1,4−ジヒドロキシナフタレンジエーテル誘導体が挙げられる。 代表的な1,4−ジヒドロキシナフタレン誘導体としては、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,2,4−トリヒドロキシナフタレン、2−メチル−1,4−ジヒドロキシナフタレン、2−クロロ−1,4−ジヒドロキシナフタレン、2−フェニルチオ−1,4−ジヒドロキシナフタレン、2−ドデシルチオ−1,4−ジヒドロキシナフタレン、5−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロキシナフタレン、6−メチル−1,4−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジクロロー1,4−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。 代表的な1,4−ジヒドロキシナフタレンモノエーテル誘導体としては、4−メトキシ−1−ナフトール、4−エトキシ−1−ナフトール、4−(n−プロポキシ)−1−ナフトール、4−i−プロポキシ−1−ナフトール、4−(n−ブトキシ)−1−ナフトール、4−(i−ブトキシ)−1−ナフトール、4−(n−ペンチルオキシ)−1−ナフトール、4−(n−ヘキシルオキシ)−1−ナフトール、4−シクロヘキシル−1−ナフトール、4−(n−オクチルオキシ)−1−ナフトール、4−(2−エチルヘキシルオキシ)−1−ナフトール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフトール、4−(3−ヒドロキシプロポキシ)−1−ナフトール、4−ベンジルオキシ−1−ナフトール、4−フェネチルオキシ−1−ナフトール、4−アリルオキシ−1−ナフトール、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−ナフトール、4−(2−メトキシエトキシ)−1−ナフトール、4−(2−エトキシエトキシ)−1−ナフトール、4−(2−クロロエトキシ)−1−ナフトール、4−(3−クロロプロポキシ)−1−ナフトール、4−(2−ブロモエトキシ)−1−ナフトールが挙げられる。構造式の例を下記に示す。 これらの4−アルコキシ−1−ナフトールのうち、好ましくは4−メトキシ−1−ナフトール又は4−エトキシ−1−ナフトールであり、特に好ましくは4−メトキシ−1−ナフトールである。 代表的な1,4−ジヒドロキシナフタレンジエーテル誘導体としては、1,4−ジメトキシナフタレン、2−メチル−1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、2−メチル−1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジ(n−プロポキシ)ナフタレン、2−メチル−1,4−ジ(n−プロポキシ)ナフタレン、1,4−ジ(n−ブトキシ)ナフタレン、1,4−ジ(n−ペンチルオキシ)ナフタレン、1,4−ジ(n−ヘキシルオキシ)ナフタレン、1,4−ジ(シクロヘキシルオキシ)ナフタレン、1,4−ジ(n−ヘプチルオキシ)ナフタレン、1,4−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)ナフタレン、1,4−ビス(n−デシルオキシ)ナフタレン、1,4−ビス(n−ドデシルキシ)ナフタレン、1,4−ジベンジルオキシナフタレン、1,4−ジフェネチルオキシナフタレン、1,4−ジアリルオキシナフタレン、1,4−ジメタリルオキシナフタレン、1,4−ビス(2−ヒドロエトキシ)ナフタレン、1,4−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)ナフタレン、1,4−ビス(2−ヒドロキシブトキシ)ナフタレン、1,4−ビス(2−メトキシエトキシ)ナフタレン、1,4−ビス(2−エトキシエトキシ)ナフタレン、1,4−ビス(2−フェノキシエトキシ)ナフタレン、1,4−ビス(2−クロロエトキシ)ナフタレン、1,4―ビス(3−クロロプロポキシ)ナフタレン、1,4−ビス(2−ブロモエトキシ)ナフタレンが挙げられる。構造式の例を下記に示す。 本発明の光増感剤は、上記のチオキサントン誘導体とナフタレン誘導体からなる組成物であり、光カチオン重合開始剤に対する光増感剤として用いることができる。チオキサントン誘導体にナフタレン誘導体を組合せることによりチオキサントン誘導体の増感効果を高めることができる。チオキサントン誘導体とナフタレン誘導体の組成比率は重量比で10:1から1:100の間で調製される。好ましくは5:1から1:10の間である。 チオキサントン誘導体とナフタレン誘導体の好ましい組合せは、チオキサントン誘導体が、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエトキシチオキサントン、2−シクロヘキシルチオキサントン、1−クロル−4−イソプロピルチオキサントンのいずれかであり、ナフタレン誘導体が、1,4−ジヒドロキシナフタレン、4−メトキシ−1−ナフトール、1,4−ジエトキシナフタレンである組合せが特に好ましい。 本発明の光感応性酸発生剤は、上記の光増感剤と光カチオン重合開始剤として作用するオニウム塩誘導体を含有する組成物である。本発明のオニウム塩誘導体としては、スルホニウム塩またはヨードニウム塩が挙げられる。スルホニウム塩としてはS,S,S‘、S’−テトラフェニルーS,S‘−(4、4’−チオジフェニル)ジスルホニウム ビスヘキサフルオロフォスフェート、ジフェニルー4−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェートが挙げられ、例えばDow製UVI6992を用いることが出来る。一方、ヨードニウム塩としては4−イソブチルフェニルー4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−イソプロピルフェニルー4’−メチルフェニルヨードニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートが挙げられ、例えばチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製CGI−552,ローディア製2074を用いることが出来る。ナフタレン誘導体、特に1,4−ジヒドロキシナフタレンおよびそのエーテル体との組合せにおいては、その相乗効果はヨードニウム塩よりスルホニウム塩の方が大きいことから、本発明の光感応性酸発生剤としては、上記の光増感剤とスルホニウム塩との組み合わせが好ましい。 従来、チオキサントン誘導体の増感剤としての効果は、ヨードニウム塩に対しては大きく、スルホニウム塩には対しては小さいことが知られている。(非特許文献1参照)これに対し、本発明においては、チオキサントン誘導体とナフタレン誘導体を組み合わせることによりスルホニウム塩に対しても増感効果を充分に発揮させることができるという効果を有する。 本発明の光感応性酸発生剤の組成としては、光カチオン重合開始剤の1重量部に対し、上記光増感剤を0.2〜5重量部、好ましくは0.5〜1重量部の範囲から選択される。光増感剤の比率が0.2重量部より少ないと増感効果が発現し難くなる場合があり、また、5重量部より多くなると硬化物の物性に悪影響が生じる場合があるので好ましくない。 本発明の上記光感応性酸発生剤はカチオン重合性モノマーと組み合わせることにより、光硬化性組成物を得ることができる。使用するカチオン重合性モノマーとしてはエポキシ化合物、ビニルエーテル等が挙げられる。エポキシ化合物として一般的なものは脂環式エポキシ化合物、芳香族のグリシジルエーテルである。脂環式エポキシ化合物としては3,4−エポキシシクロヘキシルメチルー3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペートが挙げられ、例えばDow製UVR6105、UVR6110を用いることが出来る。芳香族グリシジル化合物としては2,2‘−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパンが挙げられる。ビニルエーテルとしてはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテルが挙げられる。 光硬化性組成物の組成としては、カチオン重合性モノマーの100重量部に対し、上記光感応性酸発生剤を0.05〜20重量部、好ましくは1〜5重量部の範囲から選択される。カチオン重合性モノマーに対する光感応性酸発生剤の使用量が少ないと硬化速度が遅く、また光感応性酸発生剤の使用量が多すぎると硬化物の物性が低下する恐れがあるので好ましくない。なお、本発明の増感剤及び開始剤を個別にモノマーに添加する場合の比率としては、以下の範囲が好ましい。すなわち、チオキサントン誘導体、ナフタレン誘導体からなる増感剤の添加比率はモノマー100重量部に対して0.01〜5重量部好ましくは0.1〜2重量部である。添加量が少なすぎると十分な硬化速度が得られず、逆に多すぎると硬化物性に悪影響を与える。また、モノマーに対する開始剤の添加比率は、モノマー100重量部に対し、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜1重量部である。添加量が少なすぎると十分な硬化速度が得られず、逆に多すぎると硬化物の物性に悪影響を与える。 増感剤としてチオキサントン誘導体を単独で使用する場合は硬化不十分となる場合がある。この場合も、ナフタレン誘導体が共存しておれば、チオキサントン誘導体の増感効果は十分に発揮される。その理由については明らかでないが、チオキサントン誘導体とナフタレン誘導体の間になんらかの相互作用が働き、開始剤への電子移動が促進されるからではないかと考えている。チオキサントン誘導体とナフタレン誘導体は別々に加えても良いが、本発明のように予め混合した増感剤組成物とするのが好ましい。 本発明の光硬化性組成物には、必要に応じて、エポキシ系希釈剤、オキセタン系希釈剤,ビニルエーテル系希釈剤あるいは顔料を含有しても良い。顔料としては、青色顔料、黄色顔料、赤色顔料、白色顔料、黒色顔料が挙げられる。黒色顔料としては、例えばカーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック等が挙げられる。黄色顔料としては、例えば黄鉛、亜鉛黄、カドニウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等が挙げられる。赤色顔料としては、例えばベンガラ、カドニウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドニウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等が挙げられる。青色顔料としては、例えば紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC等が挙げられる。白色顔料としては、例えば亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられる。その他の顔料としては、例えばバライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が挙げられる。 本発明の光硬化性組成物をフィルム状に成型するのは、例えば、次のようにして行う。すなわち重合性組成物を基板上、バーコーターを用いて塗布する。基板としてはフィルム、紙、アルミ箔、金属等特に限定はしない。フィルムとしては通常ポリエステルフィルム、例えば東レ製ルミラーフィルムを用いることが出来る。ルミラーフィルムの膜厚は通常100μ程度の膜厚のものを使用する。使用するバーコーターのロッドナンバーは特に指定しないが、膜厚が数μから数十μになるようなロッドナンマーのバーコーターを使用する。 このようにして得られた塗布物に、波長範囲330〜550nmに含まれる光を照射することによりエポキシ化合物等の光硬化性組成物を速やかに硬化させることが出来る。使用するランプは、キセノンランプ、紫外線LED,青紫LED、メタルハライドランプ、ヒュージョン(株)製のDランプ、Vランプが好適に使用できる。また、上記のように塗布したフィルム状物のみならず、塊状物を硬化させることも可能である。以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例中の「部」は全て重量部を示す。 モノマーとして脂環式エポキシ化合物(ダウ・ケミカル社製UVR6105)100部に対し、スルホニウム塩(ダウ・ケミカル社製UVI6992)5部、2−イソプロピルチオキサントンを1部、1,4−ナフトヒドロキノンを0,0.5,1及び2部からなる光酸発生剤を混合し、4種類の光硬化組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が12ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からサンダー社製紫外線LEDを用いて光照射した。照射光の中心波長は395nmで照射強度は3mW/cm2である。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は1,4−ナフトヒドロキノン0部で4.6分、以下、0.5部で1.9分,1部で0.9分及び2部で0.8分であった。 1,4−ナフトヒドロキノンを4−メトキシ−1−ナフトールとした他は実施例1と同様にして光硬化組成物を調製し「タック・フリー・タイム」を測定したところ、4−メトキシ−1−ナフトール0部で4.6分、以下、0.5部で2.0分,1部で1.0分及び2部で0.8分であった。 1,4−ナフトヒドロキノンを1,4−ジエトキシナフタレンとした他は実施例1と同様にして光硬化組成物を調製し「タック・フリー・タイム」を測定したところ、1,4−ジエトキシナフタレン0部で4.6分、以下、0.5部で0.5分,1部で0.4分及び2部で0.3分であった。 2−イソプロピルチオキサントンを1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンとし、1,4−ナフトヒドロキノンを1,4−ジエトキシナフタレンとした他は実施例1と同様にして光硬化組成物を調製し「タック・フリー・タイム」を測定したところ、1,4−ジエトキシナフタレン0部で50分、以下、0.5部で1.0分,1部で0.4分及び2部で0.2分であった。「比較例1」 1,4−ナフトヒドロキノンを1−ナフトールとした他は実施例1と同様にして光硬化組成物を調製し「タック・フリー・タイム」を測定したところ、1−ナフトール0部で4.6分、以下、0.5部で4.5分,1部で4.4分及び2部で3.8分であった。「比較例2」 1,4−ナフトヒドロキノンを2−ナフトールとし、添加量を2部のみの他は実施例1と同様にして光硬化組成物を調製し「タック・フリー・タイム」を測定したところ、7.0分であった。 モノマーとして脂環式エポキシ化合物(ダウ・ケミカル社製UVR6105)100部に対し、スルホニウム塩(ダウ・ケミカル社製UVI6992)3.5部、2−イソプロピルチオキサントンを0.25部、1,4−ジエトキシナフタレンを0,0.5部からなる光酸発生剤を混合し、2種類の光硬化組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が185ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からサンダー社製紫外線LEDを用いて光照射した。照射光の中心波長は395nmで照射強度は3mW/cm2である。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は1,4−ジエトキシナフタレン0部で60分照射でも硬化せず、0.5部で8.0分であった。「比較例3」 1,4−ジエトキシナフタレンを1,6−ジエトキシナフタレンとした他は実施例5と同様にして光硬化組成物を調製し「タック・フリー・タイム」を測定したところ、1,6−ジエトキシナフタレン0部で60分照射でも硬化せず、0.5部で14分であった。「比較例4」 1,4−ジエトキシナフタレンを1,5−ジプロポキシナフタレンとした他は実施例5と同様にして光硬化組成物を調製し「タック・フリー・タイム」を測定したところ、1,5−ジプロポキシナフタレン0部で60分照射でも硬化せず、0.5部で13分であった。「比較例5」 1,4−ジエトキシナフタレンを2,6−ジプロポキシナフタレンとした他は実施例5と同様にして光硬化組成物を調製し「タック・フリー・タイム」を測定したところ、2,6−ジプロポキシナフタレン0部で60分照射でも硬化せず、0.5部で13分であった。 モノマーとして脂環式エポキシ化合物(ダウ・ケミカル社製UVR6105)100部に対し、ヨードニウム塩(チバ社製CGI552)2.5部、2−イソプロピルチオキサントンを0.13部、1,4−ジエトキシナフタレンを0,0.5,1及び2部からなる光酸発生剤を混合し、4種類の光硬化組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が12ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からサンダー社製紫外線LEDを用いて光照射した。照射光の中心波長は395nmで照射強度は3mW/cm2である。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は1,4−ジエトキシナフタレン0部で4.8分、以下、0.5部で0.9分,1部で10.8分及び2部で0.6分であった。 モノマーとして脂環式エポキシ化合物(ダウ・ケミカル社製UVR6105)100部に対し、ヨードニウム塩(チバ社製CGI552)5.0部、2−イソプロピルチオキサントンを0.25部、1,4−ジエトキシナフタレンを0及び0.5部からなる光酸発生剤を混合し、2種類の光硬化組成物を調製した。該組成物をポリエステルフィルム(東レ製ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が185ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からサンダー社製紫外線LEDを用いて光照射した。照射光の中心波長は395nmで照射強度は3mW/cm2である。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は1,4−ジエトキシナフタレン0部で25分、0.5部で3分であった。「比較例6」 チオキサントン誘導体を使用せず、モノマーとして脂環式エポキシ化合物(ダウ・ケミカル社製UVR6105)100部に対し、スルホニウム塩(ダウ・ケミカル社製UVI6992)4.8部、1,4−ナフトヒドロキノン、4−メトキシ−1−ナフトール又は1,4−ジエトキシナフタレンをそれぞれ単独に1部添加して3種類の光硬化組成物を調製した。該組成物について実施例1と同様の方法により「タック・フリー・タイム」を調べたところ、いずれも30分経過しても硬化しなかった。 上記、「実施例1〜7」および「比較例1〜5」の結果を表にまとめた。上記、結果より以下のことがいえる。(1)チオキサントン誘導体を使用しない場合、すなわちスルホニウム塩とナフタレン誘導体の組み合わせでは本発明の光硬化性組成物は硬化せず、ナフタレン誘導体のスルホニウム塩に対する増感効果は認められなかった。(2)β位に1個の水酸基を有する2−ナフトールおよびそのエーテル体では、増感助剤として添加したとき、チオキサントン誘導体を単独で用いた場合と比較して、むしろ硬化時間が長くなった。(3)β位に2個の水酸基を有する2,6−ジヒドロキシナフタレンおよびそのエーテル体では、相乗効果はあるが硬化時間は、α位の1,4−体より約1.5倍長かった。(4)α位に1個の水酸基を有する1−ナフトールおよびそのエーテル体では、大量添加すれば、相乗効果は現れるが、その添加量はかなり多く、コスト的には魅力が無い。(5)α位及びβ位に水酸基を有する1,6−ジヒドロキシナフタレンおよびそのエーテル体では、相乗効果はあるが硬化時間はα位の1,4−体より約2倍長かった。(6)α位のみに2個の水酸基を有する1,5−ジヒドロキシナフタレンおよびそのエーテル体では、相乗効果はあるが硬化時間は1,4−体より約1.5倍長かった。(7)スルホニウム塩系でチオキサントン誘導体のみの場合、フィルムの厚みを増した場合に硬化不良が認められたのに対し、ナフタレン誘導体と組み合わせることにより硬化させることができる。 本発明のチオキサントン誘導体とナフタレン誘導体との混合物は、光カチオン重合に対してそれぞれ単品の場合と比べて、開始剤の酸発生に対して高い増感効果を有する光増感剤として工業的に有用であり、光感応性酸発生剤或いは光硬化性組成物として利用可能である。特にスルホニウム塩系の光開始剤に対しても有用である。チオキサントン誘導体及び置換基として水酸基又は置換されていてもよいアルコキシ基を少なくとも2つ以上有するナフタレン誘導体を含有する光増感剤。チオキサントン誘導体が、式(1)(式(1)中、R1、R2は同一であっても異なっていても良い、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを表し、n、mは同一であっても異なっていても良い、0又は1〜4の整数を表す。)で表されるチオキサントン誘導体から選ばれたものである請求項1に記載の光増感剤。ナフタレン誘導体が、式(2)(式(2)中、R3、R4は同一であっても異なっていても良い、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基又はハロゲン化アルキル基のいずれかを表し、X、Y、Zは同一であっても異なっていても良い、水素原子、アルキル基、ハロゲン、水酸基、アルコキシ基、アミノ基のいずれかを表す。)で表されるナフタレン誘導体から選ばれたものである請求項1に記載の光増感剤。請求項1乃至3のいずれかに記載の光増感剤と光カチオン重合開始剤として作用するオニウム塩誘導体を含有する光感応性酸発生剤。オニウム塩誘導体が、スルホニウム塩誘導体である請求項4に記載の光感応性酸発生剤。請求項4又は5に記載の光感応性酸発生剤及びカチオン重合性化合物を含有する光硬化性組成物。カチオン重合性化合物が、エポキシ化合物又はビニルエーテルである請求項6に記載の光硬化性組成物。請求項4又は5に記載の光感応性酸発生剤に、波長範囲330〜550nmに含まれる光を照射して酸を発生させる光酸発生方法。請求項6又は7に記載の光硬化性組成物に、波長範囲330〜550nmに含まれる光を照射して硬化させる光硬化性組成物の硬化方法。 【課題】 光カチオン重合性組成物用の光増感剤として有用な組成物および当該光増感剤を含有する光感応性酸発生剤及び光硬化性組成物を提供する。【解決手段】 2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体と1,4−ジエトキシナフタレン等のナフタレン誘導体からなる光増感剤とすることで、チオキサントン誘導体を単独で用いるよりも増感効果の優れた光増感剤が得られる。このものをスルホニウム塩等の光カチオン重合開始剤と組み合わせた光感応性酸発生剤とし、カチオン重合性モノマーに添加することで光硬化性組成物を得る。【選択図】なし