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タイトル:公開特許公報(A)_紫外線吸収能を有する非水液状組成物
出願番号:2005319266
年次:2007
IPC分類:C08F 290/06,A61K 8/895,A61K 8/898,A61Q 17/04,A61L 15/44


特許情報キャッシュ

玉沢 光夫 山口 秀雄 長谷川 敦史 JP 2007126530 公開特許公報(A) 20070524 2005319266 20051102 紫外線吸収能を有する非水液状組成物 大成ファインケミカル株式会社 504389485 浅村 皓 100066692 浅村 肇 100072040 金森 久司 100114719 長沼 暉夫 100088926 玉沢 光夫 山口 秀雄 長谷川 敦史 C08F 290/06 20060101AFI20070420BHJP A61K 8/895 20060101ALI20070420BHJP A61K 8/898 20060101ALI20070420BHJP A61Q 17/04 20060101ALI20070420BHJP A61L 15/44 20060101ALI20070420BHJP JPC08F290/06A61K8/895A61K8/898A61Q17/04A61L15/03 13 OL 31 4C081 4C083 4J127 4C081AA03 4C081BB03 4C081CA081 4C081CA272 4C081CC03 4C081DA15 4C081DC03 4C083AB212 4C083AB242 4C083AC102 4C083AC122 4C083AD091 4C083AD092 4C083BB24 4C083CC01 4C083CC04 4C083CC05 4C083CC19 4C083EE06 4C083EE07 4C083EE17 4J127AA04 4J127AA06 4J127AA08 4J127BB021 4J127BB101 4J127BB221 4J127BC021 4J127BC151 4J127BD291 4J127BD331 4J127BE34Y 4J127BE341 4J127BF78Y 4J127BF781 4J127BG38Y 4J127BG381 4J127CA02 4J127CB141 4J127CB142 4J127CB153 4J127CC033 4J127CC093 4J127CC161 4J127CC162 4J127CC163 4J127CC293 4J127DA20 4J127DA64 4J127EA01 4J127EA22 4J127EA29 4J127FA46 本発明は、紫外線吸収能を有する非水液状組成物に関する。より具体的には、本発明は紫外線吸収能を有する有機系粒子がシリコーンオイル中に分散している非水液状組成物に関する。 近年、オゾン層破壊によって地表に到達する紫外線量が増加しているという事実が報告されたことから、紫外線防御に関する社会的関心が高まり、紫外線から皮膚を保護することを目的とする様々な、化粧品、皮膚外用剤、及びバンデージ剤(以下、まとめて化粧品等と省略することがある)が実用化されている。 従来、このような紫外線からの保護を目的とする化粧品等としては、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、サリチル酸誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、桂皮酸誘導体、又はウロカニン誘導体等の有機系の紫外線吸収剤や、微粒子酸化亜鉛、又は微粒子酸化チタン等の無機系紫外線吸収剤を配合したものが広く用いられている。 しかし、無機系紫外線吸収剤を配合する従来の化粧品等は、紫外線(主にUV−A波)を吸収するために十分な量の紫外線吸収剤を配合すると、キシミ感や、白ボケ等が生じ易いという問題がある。この点については現在も様々な改良が提案されているが(例えば、特許文献1、2及び3)完全に解決されていないのが現状である。 一方、有機系紫外線吸収剤を配合する従来の化粧品等は、十分な紫外線吸収効果を持たせるために十分な量の紫外線吸収剤を配合すると、それに応じて大量の油剤が必要となるため、ベタツキ感を生じ易いといった問題がある。 また、何れのタイプの紫外線吸収剤を配合する場合であっても、従来の化粧品等にあっては、スポーツ等での使用時、汗や皮脂等の存在により紫外線吸収剤が滲出し易く、所望の時間紫外線吸収能を維持できないという問題がある。 ところで、各種のプラスチック、金属、又はガラス等からなる基材に適用されるコーティング剤の分野においては、紫外線吸収性モノマーである2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾールを、シクロヘキシルメタクリレート、及びメタクリル酸と共に重合した共重合体を有効成分として含むことで、紫外線吸収成分の滲出がなく、長期間にわたって耐候性を有するポリマー型の紫外線吸収性ラッカー組成物が提案されている(特許文献4)(この特許文献の内容は参照により本明細書に組み込む)。 但し、この組成物は、シンナー等の塗工用溶剤で共重合体が溶解されているものであり、化粧品等の用途には適するものではない。 また、本発明者らは、水溶性樹脂をアミン又はアンモニアで中和し水中に分散した溶液中に、紫外線吸収剤を溶解させたモノマー溶液を滴下することにより合成される、コア−シェル型のポリマー粒子であってそのコア中に紫外線吸収剤を含有する粒子の水系エマルジョンを、化粧料原料として提案している(特許文献5)(この特許文献の内容は参照により本明細書に組み込む)。 この特許文献5に記載のエマルジョンは、水性エマルジョンである点で地球環境に対して優しい組成物である。加えて、この特許文献に記載のエマルジョンは、紫外線吸収剤を粒子中に閉じ込めて水中への紫外線吸収剤の滲み出しを防止しており、貯蔵安定性に優れるものである。 しかし、この特許文献に記載のエマルジョンは、水を分散媒とし、それにシェル成分としてアクリル系の水溶性樹脂をその表面に有する粒子を分散させるものであるため、肌に塗布した際に当該粒子によって形成される膜は、化粧品として求められるすべり性等の特性の点で、改良の余地を有するものであった。 また、特許文献6には、油成分として紫外線吸収剤をシリコーン変性ポリマー粒子に担持させる組成物が提案されている。しかしこの特許文献6に記載の組成物及びその製造方法は、油溶性の紫外線吸収剤をポリマー粒子に吸収させるものであるため、多量の紫外線吸収剤を含有できない上に、粒子径が1〜3μmと大きく、紫外線防止用の化粧品等の原料としては十分な特性を有するものではなかった。 他方、バンデージ剤として、3−メタクリロイルオキシプロピル(トリメチルシロキシ)シランとメチルメタクリレートとを酢酸エチル中に溶解後、重合を行ってシロキサン含有ポリマーを生成し、これを揮発性ポリジメチルシロキサン中に溶解して得られる、実質的に非刺激性であり、室温にて皮膜形成能があって、使用者に対し粘着性で適合性のある水蒸気透過性のバンデージを形成する組成物が提案されている(特許文献7)。 また、特定のジメチルポリシロキサン化合物及びアクリレート等を主体とするラジカル重合性モノマーをトルエン中に溶解後、ラジカル重合することにより得られるアクリル−シリコーン系グラフト共重合体と、低粘度シリコーン油と、揮発性炭化水素油とを必須成分とする混合物中に、化粧料用粉体を分散させることで、耐水性、耐汗性のみならず、耐油性、耐皮脂性にも優れ、更に耐擦過性をも兼ね備えたメイクアップ化粧料が提案されている(特許文献8)。 しかし、これら組成物や化粧料は、バンデージ用やメイクアップ用として特に必要とされる耐水性及び耐油性並びに耐擦過性等の特性を付与するために、共重合体中においてシリコーン系モノマーに由来する構造単位の比率を増大させて共重合体を溶媒中に溶解させる結果、一般的な化粧品等の用途で要求される使用感等の点については、満足できる水準には達していない。 すなわち、これらバンデージ用組成物やメイクアップ化粧料は、所望のモノマーを酢酸エチルやトルエン中で重合した後、得られた共重合体をヘキサン等で沈澱、乾燥し、次いで揮発性ポリジメチルシロキサンや低粘度シリコーン油等の溶媒に当該共重合体を溶解させる製法で得られるものである。 この製法では、共重合体を溶媒中に溶解させるために、共重合体中のシリコーン系モノマー由来の構造単位の比率を30重量%以上にする必要がある。また、この溶液組成物では、シリコーンモノマーに由来する高分子鎖が様々な方向に延伸して相互に絡み合った状態で存在している。このため、これら従来の組成物や化粧料では、皮膚に塗布した際に当該組成物等の伸びが悪く、また、皮膚上に形成される乾燥塗膜が、それを構成する高分子鎖の絡み合いにより、皮膚の動きに対する追従性に欠け、つっぱる感等の感触上の不快感を生じ易い。また、共重合体中でのシリコーン系モノマーに由来する構造単位の比率が高く、シリコーンオイル系溶剤に対する溶解性が高いため、乾燥性が遅く、ベタツク傾向にある。 これに対して、耐水性、耐油性及び被膜物性に優れた被膜を形成し、化粧料原料として、優れた化粧機能性及び使用性を付与することを目的として、シリコーンオイルを含有する非水溶媒と、所定の珪素含有モノマーの(共)重合体からなる分散安定剤と、非水溶媒に実質的に不溶性の(共)重合体とからなる分散粒子を含有してなる化粧料原料用非水系樹脂分散液が開示されている(特許文献9)。 ただし、この非水系樹脂分散液は、所定の珪素含有単量体の(共)重合体を分散安定剤として含有するものであり、分散粒子それ自体に分散安定能を付与するものではない。また、分散粒子自体にシリコーンオイルに対する分散安定能を付与しながら、分散粒子中に紫外線吸収性化合物を取り込むことについて何ら意図するものではない。 また本発明者らは、所定のラジカル重合性を有するジメチルポリシロキサンを主成分とするシリコーンマクロマーと、(メタ)アクリレートを主体とするビニルモノマー群とを、分散安定剤の非存在下で、シリコーンオイル中において1段重合によって共重合させる、ポリマー粒子がシリコーンオイル中に分散している液状非水分散体の製造方法を提案している(特許文献10)(この特許文献の内容は参照により本明細書に組み込む)。この製造方法は、優れた耐水性、耐油性、密着性と、塗り易さ、生体追従性とを合わせ持つ化粧料用の液状非水分散体を提供するものである。 ただし、この製造方法でも、共重合体からなる粒子の表面にシリコーンマクロマーを優位に存在させながら、粒子内に紫外線吸収化合物を取り込んでいる粒子を非水系の分散媒に安定的に分散させる点については何ら意図するものではない。また、粒子の表面にシリコーンマクロマーが優位に存在するシェル層と、紫外線吸収化合物が取り込まれているコア層とを備える多層構造の粒子を非水系の分散媒に安定的に分散させる点については何ら意図するものではない。特開2003−327521特開2004−277289特開2002−265342特開平9−3395特開平7−316242特開2002−308909特表平4−501076特開平2−247110特開平8−269332特開平2002−255748 本発明の目的は、皮膚上に塗布された際、紫外線防御能が汗や皮脂等の存在下でも所望の時間持続するとともに、透明感があり、べたつきを生じず、キシミ感やツッパリ感等の違和感もなく、すべり性に優れる、化粧料、皮膚外用剤又はバンデージ剤用の非水液状組成物を提供することにある。 本発明者らは、上記技目的を達成するために鋭意検討したところ、低比率のシリコーンマクロマーを、シリコーンオイル中で、当該シリコーンオイルと極性が異なる、(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー及び有機系紫外線吸収剤若しくは紫外線吸収モノマーとともに、1段若しくは2段以上のラジカル重合に供したところ、有機系紫外線吸収剤がポリマー粒子中に取り込まれ、又は紫外線吸収モノマーが当該共重合体の一部を構成し、その一方で、シリコーンマクロマーが、当該ポリマー粒子の外表面に向けて配向して存在している粒子が得られ、この構造上の特徴に基づき紫外線吸収能を有するポリマー粒子がシリコーンオイル中に安定して分散できることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、少なくともシリコーンマクロマーを含む共重合体と紫外線吸収性化合物とを含有する粒子が、シリコーンオイル中に分散している非水液状組成物であって、シリコーンマクロマーが、粒子の全組成の1〜20重量%の割合で存在し且つ粒子の外表面に向けて配向しており、一方紫外線吸収性化合物は、独立の成分としてポリマー粒子中に取り込まれているか、又は紫外線吸収モノマーとして当該共重合体の一部を構成している、非水液状組成物を提供するものである。 一の実施の形態において、本発明は、紫外線吸収能を有する粒子とシリコーンオイルとを含む非水液状組成物であって、紫外線吸収能を有する粒子が、シリコーンマクロマー(A)及び(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)からなる共重合体と、有機系紫外線吸収剤(C−1)とで構成され、シリコーンマクロマー(A)が、粒子の全組成の1〜20重量%の割合で共重合体を構成し且つ粒子の外表面に向けて配向して存在している、非水液状組成物を提供するものである。 本発明はまた、他の実施の形態において、紫外線吸収能を有する粒子とシリコーンオイルとを含む非水液状組成物であって、紫外線吸収能を有する粒子が、シリコーンマクロマー(A)及び(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)からなる共重合体で構成されるシェル層と、(メタ)アクリレー系モノマー(B)を主体とする(共)重合体及び紫外線吸収剤(C−1)を含むコア層とを有し、シリコーンマクロマー(A)が、粒子の全組成の1〜20重量%の割合で共重合体を構成し且つ粒子の外表面に向けて配向して存在している、非水液状組成物を提供するものである。 本発明はまた、更に他の実施の形態において、紫外線吸収能を有する粒子とシリコーンオイルとを含む非水液状組成物であって、紫外線吸収能を有する粒子が、シリコーンマクロマー(A)と、(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)と、紫外線吸収モノマー(C−2)とからなる共重合体で構成され、シリコーンマクロマー(A)が、粒子の全組成の1〜20重量%の割合で共重合体を構成し且つ粒子の外表面に向けて配向して存在している、非水液状組成物を提供するものである。 本発明はまた、他の実施の形態において、紫外線吸収能を有する粒子とシリコーンオイルとを含む非水液状組成物であって、紫外線吸収能を有する粒子が、シリコーンマクロマー(A)及び(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)からなる共重合体で構成されるシェル層と、(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)及び紫外線吸収モノマー(C−2)からなる共重合体で構成されるコア層とを有し、シリコーンマクロマー(A)が、粒子の全組成の1〜20重量%の割合で共重合体を構成し且つ粒子の外表面に向けて配向して存在している、非水液状組成物を提供するものである。 本発明によれば、更に、そのこのような本発明の非水液状組成物を製造するのに好適な方法として、シリコーンマクロマー(a)1〜20重量%と、(メタ)アクリレートを主体とするビニルモノマー(b)30〜98重量%と、有機系紫外線吸収剤(c−1)又は紫外線吸収モノマー(c−2)1〜60重量%とを、シリコーンオイル中で、1段若しくは2段以上のラジカル重合反応に供する、紫外線吸収能を有する粒子がシリコーンオイル中に分散されている非水液状組成物の製造方法も提供される。 ここで、本明細書中「(共)重合体」という表現は、重合体又は共重合体という意味である。 また本明細書中「シリコーンマクロマー」とは、シリコーンオイルと同様にジメチルポリシロキサン骨格を有すると共に、ラジカル重合性基を有する、分子量1000以上の分子を意味する。 また、本明細書中「(メタ)アクリレートを主体とするビニルモノマー」とは、(メタ)アクロイル基を有するモノマーを主体とし、任意にその他のビニルモノマーをも含むビニルモノマー群を意味する。また、「(メタ)アクリレート系モノマーを主体とする」とは、このモノマー群中、(メタ)アクリレート系モノマーが、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上を占めることを意味する。また、本明細書中「紫外線吸収性モノマー」とは、ビニル基に加え、紫外線吸収能を有する官能基を有するモノマー全般を意味する。但し、本明細書において、これらモノマーには、ジメチルシロキサン結合からなる主鎖を有するモノマーを含まないものとする。 これらのモノマーは、シリコーンマクロマーと極性の異なるものが好ましい。具体的には、表面張力が28dyne/cm2以上のものが好ましく、溶解度パラメーターが8.5以上のものが好ましい(本発明におけるシリコーンマクロマーの表面張力は、通常15〜22mN/m2であり、溶解度パラメーターは7.1〜7.5である)。 なお、本明細書中の「表面張力」は、液状物質(常温)の場合は、輪環法(協和界面化学(株)社製)により、固形物質(常温)の場合はペンダントドロップ法(アルテックアルト(株)社製)による。また本明細書中の「溶解度パラーメーター」は、Fedorsの式による計算値による。 また、本明細書中の「粘度」は、BM型回転粘度計(東機産業(株)社製、BM型粘度計MODEL BM)を用い、調製した溶液を25℃で2時間放置した後、ローターNo2で回転数12rpmの条件で粘度を測定した。 上記定義に反し、本明細書中で共重合体について述べる際に、「シリコーンマクロマー」とは、上記で定義した本来の意味でのシリコーンマクロマーにおけるラジカル重合性基が開裂した構造単位を意味する。同様に、本明細書中で(共)重合体について述べる際に、「モノマー」とは、上記で定義した本来の意味での各種モノマーにおけるラジカル重合性基が開裂した構造単位を意味する。 また、「粒子がシリコーンオイル中に安定的に分散されている」とは、粒子が凝集、破壊することなく、粒子の形状を保持したままシリコーンオイル中に存在していることを意味する。 本発明の液状組成物では、上記の通り、1〜20重量%という比較的低率でシリコーンマクロマーを含む共重合体からなる粒子が、シリコーンオイル中に分散している。このため、液状組成物の粘度は非常に低く、比較的少量の溶媒中に多量の紫外線吸収能を有する粒子を分散させることができる。この結果、本発明の液状組成物によれば、皮膚上に塗布された際のべたつき感を低減することができる。また、同様の点から液状組成物を塗布した際の乾燥性の点でも優れる。一方、本発明の液状組成物では、シリコーンマクロマーが外表面に向けて配向して存在する構造の粒子を有効成分とするため、皮膚上に塗布した際に形成される膜は、表面にシリコーンマクロマーが優位に存在し、すべすべした触感が得られる。 また、本発明の液状組成物では、有機系紫外線吸収剤又は紫外線吸収モノマーが、共重合体粒子内部に取り込まれ又は共重合体の一部を構成している。このため、汗や皮脂の存在によっても紫外線吸収成分が滲出することはなく、長い時間、所望の紫外線吸収能を維持する膜を形成することができる。また、紫外線吸収能を有する粒子を化粧品等の用途に適する小径の粒子にすることができる(小径程化粧品等を塗布した際に滑らかな触感が得られる)。 本発明の液状組成物は更に、紫外線吸収能を有する樹脂成分を、粒子状にして、溶媒中に分散させているため、皮膚上に使用した際に、紫外線吸収能を有する個々の粒子が連なった状態で膜を形成する。このため、形成される膜は、皮膚のしわ等の微細な形状を精密に反映した形状を有し、皮膚の動きに柔軟に追従することができる。この結果、本発明の液状組成物では、ツッパリ感等の違和感が少なく且つ密着性にも優れる膜を形成することができる。また、無機系紫外線吸収剤に由来するキシミ感を低減することもできる。 本発明の液状組成物はまた、(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニル系モノマーを主要な構造単位とする共重合体からなる粒子を含むため、透明性に優れ、無機系紫外線吸収剤に由来する白ボケ等のない膜を形成することができる。また、内部に保持される紫外線吸収剤が十分に紫外線吸収特性を発揮することができる。 本発明の液状組成物は、上記の通り、少なくともシリコーンマクロマー(A)及び(メタ)クリレートを主体とするビニルモノマー(B)を含む共重合体と紫外線吸収性化合物(C)とを含有する粒子が、シリコーンオイル中に分散している非水液状組成物であって、シリコーンマクロマー(A)が、粒子の全組成の1〜20重量%の割合で存在し且つ粒子の外表面に向けて配向しており、一方紫外線吸収性化合物(C)は、独立の成分としてポリマー粒子中に取り込まれているか、又は紫外線吸収モノマーとして共重合体の一部を構成しているものである。以下、構成要件毎に具体的に説明する。I.粒子I−1.粒子の構成成分 本発明の液状組成物中の粒子は、一の実施の形態において、低率のシリコーンマクロマー(A)を(メタ)アクリレートを主体とするビニルモノマー(B)とともに含む共重合体と、有機系紫外線吸収剤(C−1)とを含有する粒子である。本発明の液状組成物中の粒子は、他の実施の形態において、低率のシリコーンマクロマー(A)を、(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)及び紫外線吸収モノマー(C−2)とともに含む共重合体からなる粒子である。本発明の液状組成物中の粒子は、更に他の実施の形態において、低率のシリコーンマクロマー(A)を(メタ)アクリレートを主体とするビニルモノマー(B)とともに含む共重合体で構成されるシェル層と、(メタ)アクリレー系モノマー(B)を主体とする(共)重合体及び紫外線吸収剤(C−1)を含むコア層とを有する粒子である。発明の液状組成物中の粒子は、更に他の実施の形態において、低率のシリコーンマクロマー(A)を、(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)とともに含む共重合体で構成されるシェル層と、(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)及び紫外線吸収モノマー(C−2)を含む共重合体で構成されるコア層とを有する粒子である。 本発明においては、これら何れの実施の形態においても、シリコーンマクロマー(A)は、粒子をシリコーンオイルに安定的に分散させながら、紫外線吸収化合物をシリコーンオイルから隔離する上で重要な役割を果たすものである。このため、シリコーンマクロマー(A)は、シリコーンオイルと極性が近似し、親和性が高いものが好ましい。具体的には、表面張力が22mN・m(重合前測定値)以下で、溶解度パラメーターが7.1〜7.5のシリコーンマクロマーが好ましい。 このような特性を有するシリコーンマクロマー(A)としては、 一般式:で表されるものを典型例として挙げることができる。 上記式(I)中R1は、炭素数1〜10の直鎖状若しくは枝分かれ状のアルキレン基を表し、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状若しくは枝分かれ状のアルキレン基を表す。R2は直鎖若しくは分岐鎖の炭素数1〜10のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状若しくは枝分かれ状のアルキル基を表す。 また、上記式(I)中mは、3〜300の整数を表し、好ましくは50〜200の整数を表す。上記式(I)中のmが3未満では分散安定性に欠け、300を越えると得られる液状組成物の粘度が高く成り易い。 上記一般式(I)中X1はラジカル重合性基を表す。ラジカル重合性基としては、例えば、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、スチリル基、アリル基、ビニルベンジル基、ビニルエーテル基、アクリルアミド基、ビニルアルキルシリル基又はビニルケトン基等を挙げることができる。 上記式(I)に示すシリコーンマクロマーの具体例としては、例えば、ジメチルポリシロキシプロピルアクリル酸エステル、ジメチルポリシロキシプロピルビニルベンジルエーテル、ジメチルポリシロキシポロピルアクリルアミド、又はジメチルポリシロキシプロピオン酸ビニルベンジレート等を挙げることができる。本発明では、これらのうち、(メタ)アクリレート系モノマーとの共重合性が良好な点でジメチルポリシロキシプロピルアクリル酸エステル、又はジメチルポリシロキシプロピルメタクリル酸エステルが特に好ましい。 また、本発明におけるシリコーンマクロマーは、数平均分子量が、ゲルパーミュレーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値(重合前測定値)で、1000〜100000のものが好ましく、2000〜50000のものがより好ましい。数平均分子量が1000以下ではシリコーンマクロマーによるシリコーンオイル対する親和力が不足し、液状組成物中における粒子の分散安定性に欠けることがある。100000を越えると製造の際にシリコーン鎖が絡み合い所望の構造を有する粒子となり難いため、得られる共重合体が溶解状態と成り、液状組成物の粘度が高くなり易い。 本発明においては、上記の各種シリコーンマクロマーを1種若しくは2種以上含む共重合体で粒子を構成させる事ができる。 本発明のいずれの実施の形態においても、シリコーンマクロマーは、粒子を構成する全組成の1〜20重量%の範囲で存在し、好ましくは2〜15重量%の範囲で存在し、より好ましくは3〜12重量%の範囲で存在する。 シリコーンマクロマーが20重量%を越えて存在すると、共重合体からなる粒子がシリコーンオイルに過度に溶解状態となり、シリコーンオイル中で粒子の形態を保持することが困難に成る。この結果、皮膚に塗布した際、伸びが悪く成り、ツッパリ感を生じる。また、シリコーンマクロマー(A)が20重量%を越えて存在すると、粒子のシリコーンオイルへの溶解性が増す結果、シリコーンオイルが揮発し難くなり、乾燥性の劣化やべたつき感を生じる。 一方、シリコーンマクロマーが1重量%未満の場合には、粒子のシリコーンオイルに対する親和性が低下し、粒子の溶媒中での分散安定性が不十分に成る。 上記から明らかなように、粒子が、シリコーンマクロマー(A)と、(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)と、紫外線吸収モノマー(C−2)とからなる共重合体で構成される実施の形態においては、シリコーンマクロマー(A)は、粒子を構成する共重合体中、1〜20重量%の範囲で存在し、より好ましくは、2〜15重量%の範囲で存在する。 また、粒子が、シリコーンマクロマー(A)及び(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)からなる共重合体と、有機系紫外線吸収剤(C−1)とで構成される実施の形態においては、シリコーンマクロマー(A)は、通常、共重合体中1〜40重量%の範囲で存在し、好ましくは、2〜30重量%の範囲で存在し、より好ましくは4〜25重量%で存在する。 更に、粒子がコア−シェル構造を有する実施の形態においては、シェル層にシリコーンマクロマー(A)を広範囲で含ませることができる。具体的には、シリコーンマクロマー(A)は、通常、シェル層の全構成成分の1〜90重量%の範囲で存在し、好ましくは、2〜70重量%の範囲で存在し、より好ましくは4〜50重量%の範囲で存在する。 本発明において、(メタ)アクリレートを主体とするビニルモノマー(B)は、シリコーンマクロマー(A)を粒子の外表面に向けて配向させながらシリコーンマクロマー(A)と効率的に重合し、その一方で、紫外線吸収モノマー又は有機系紫外線吸収物質を効率的に粒子内部に取り込むための特性が求められるものである。このため、本発明における(メタ)アクリレートを主体とするビニルモノマー(B)は、シリコーンオイル(D)及びシリコーンマクロマー(A)との極性が異なり、親和性が低く、一方で紫外線吸収モノマー又は有機系紫外線吸収物質との親和性が高いものが好ましい。具体的には、表面張力が28mN・m(重合前測定値)以上で、溶解度パラメーターが8.5以上のビニルモノマーが好ましく、30mN・m(重合前測定値)以上で溶解度パラメーターが9.0以上のビニルモノマーがより好ましい。 このような特性を有する(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、N−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート)、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジルメタクリレート又はシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又は2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;例えば、アクリル酸、メタクリル酸、又はイタコン酸等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート);例えば、N−N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート又はN−N−ジエチル(メタ)アクリレート等の塩基性(メタ)アクリレート;例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ含有(メタ)アクリレート;或いは例えば、アデカスタブLA−87又はLA−82(旭電化(株)社製)等のヒンダードアミン基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。 また、このような特性を有する他のビニルモノマーとしては、例えばスチレン、アルファメチルスチレン、又はビニルトルエン等の芳香族ビニルモノマー;(メタ)クリロニトリル等の不飽和ニトリル;酢酸ビニル等のビニルエステル;又はNービニルピロリドン等を挙げることができる。また、多官能性ビニルモノマーを用いることもでき、このような特性を有する多官能性ビニルモノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、又はエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。 本発明においては、上記(メタ)アクリレート系モノマーおよびその他のビニルモノマーの1種若しくは2種以上を共重合体に含むことができる。また、本発明の特徴を損なわない範囲で他のモノマーを含んでも良い。 本発明の何れの実施の形態においても、(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)は、粒子全組成の20〜98重量%の範囲で存在することが好ましく、25〜80重量%の範囲で存在することがより好ましく、30〜70重量%の範囲で存在することが特に好ましい。 従って、粒子が、シリコーンマクロマー(A)と、(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)と、紫外線吸収モノマー(C−2)とからなる共重合体で構成される実施の形態においては、ビニルモノマー(B)は、粒子を構成する共重合体中、20〜98重量%の範囲で存在することが好ましく、25〜80重量%の範囲で存在することがより好ましく、30〜70重量%の範囲で存在することが特に好ましい。 また、粒子が、シリコーンマクロマー(A)及び(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)からなる共重合体と、有機系紫外線吸収剤(C−1)とで構成される実施の形態においては、ビニルモノマー(B)は、通常、共重合体中60〜99重量%の範囲で存在し、好ましくは70〜98重量%の範囲で存在し、より好ましくは75〜96重量%で存在する。 更に、粒子がコア−シェル構造を有する実施の形態においては、ビニルモノマー(B)は、シェル層及びコア層の何れにおいても、通常、各層の全構成成分の50〜99重量%の範囲で存在し、好ましくは60〜98重量%の範囲で存在し、より好ましくは70〜96重量%の範囲で存在する。 (メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)が共重合体中上記各下限より少ないと、粒子の透明性が不十分に成り、紫外線吸収剤による紫外線吸収能を低減してしまう恐れがある。 粒子が有機系紫外線吸収剤(C−1)を含有する実施の形態においては、当該有機系紫外線吸収剤(C−1)は、重合による粒子形成の際に、分散媒であるシリコーンオイルに溶解することなく、ポリマー粒子に効率的に取り込まれることが要求される。 このため、有機系紫外線吸収剤(C−1)は、シリコーンオイル及びシリコーンマクロマー(A)との極性が異なり親和性が低く、その一方で、(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)との親和性が高いものが好ましい。具体的には、表面張力が28mN/m以上で溶解度パラメーターが8.5以上であるものが好ましく、表面張力が30mN/m以上で、溶解度パラメーターが9.0以上あるものがより好ましい。 このような特性を有する有機系紫外線吸収剤には、市販されている、ベンゾフェノン系、ジベンゾイルメタン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸系、パラアミノ安息香酸系、桂皮酸系、及びウロカニン酸系の有機系紫外線吸収剤の多くが含まれるので、市販品を利用することが好ましい。 より具体的には、このような特性を有するベンゾフェノン系の紫外線吸収剤として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ4,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシシ−4メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4メトキシ−4メチルベンソフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル4−フェニルベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、又は4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。またこのような特性を有するジベンゾイルメタン系の吸収剤として、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、又は4−メトキシ−4−t−ブチルジベンゾイルメタン等が挙げられる。またこのような特性を有するベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤として、2,2−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、又は2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。またこのような特性を有するサリチル酸系紫外線吸収剤として、メンチルサリシレート、アミルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート又はP−イソプロパノールフェニルサリシレート等が挙げられる。またこのような特性を有するパラアミノ安息香酸系の紫外線吸収剤として、パラアミノ安息香酸、オクチルジメチル安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、N−エトキシレートパラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸メチル、又はパラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。またこのような特性を有する桂皮酸系の紫外線吸収剤として、オクチルメトキシシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、n−プロピル−p−メトキシインナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、2エチルエキシル−p−メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、又はシクロヘキシル−p−メトキシシンナメート等が挙げられる。またこのような特性を有するウロカニン酸系紫外線吸収剤として、ウロカニン酸又はウロカニン酸エチル等が挙げられる。 本発明においては、その目的に応じて、上記紫外線吸収剤の1種又は2種以上を粒子に含めることができる。 粒子が紫外線吸収性剤(C−1)を含む何れの実施の形態においても、紫外線吸収性剤(C−1)は、粒子の全構成成分の1〜60重量%の割合で存在することが好ましく、20〜50重量%の割合で存在することがより好ましく、30〜50重量%の割合で存在することが特に好ましい。 通常、紫外線吸収剤(C−1)が粒子に対して1重量%未満では、十分な紫外線吸収特性を得られないことがあり、60重量%を越えると共重合体のシリコーンオイルに対する親和性が低下し、粒子の分散安定性を保つのが困難に成り易い。 従って、粒子が、シリコーンマクロマー(A)及び(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)からなる共重合体と、有機系紫外線吸収剤(C−1)とで構成される実施の形態においては、紫外線吸収剤(C−1)は、通常、粒子を構成する共重合体中1〜60重量%の割合で存在し、好ましくは、20〜50重量%の割合で存在し、より好ましくは30〜50重量%の割合で存在する。 また、粒子がコア−シェル構造を有する実施の形態においては、コア層に紫外線吸収性剤(C−1)を広範囲で含ませることができる。具体的には、紫外線吸収性剤(C−1)を、コア層を構成する全構成成分の1〜70重量%の範囲で存在させることができ、好ましくは、20〜60重量%の範囲で存在させることができ、より好ましくは30〜60重量%の範囲で存在させることができる。 なお、前記の通り、本発明の液状組成物は、非常に粘度が低いため、良好な使用感を維持しながら紫外線吸収能を有する共重合体からなる粒子を多量にシリコーンオイル中に分散させることもできる。 紫外線吸収モノマー(C−2)により共重合体の一部を構成させる実施の形態においては、上記有機系紫外線吸収剤(C−1)と同様に、重合による粒子形成の際に、分散媒であるシリコーンオイルに溶解することなく、(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)と効率的に重合することが要求される。 このため、シリコーンオイル及びシリコーンマクロマー(A)との極性が異なり親和性が低く、その一方で、(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)との親和性が高いものが好ましい。具体的には、表面張力が28mN/m以上であり、溶解度パラメーターが8.5以上のものが好ましく、表面張力が30mN/m以上で、溶解度パラメーターが9.0以上であることがより好ましい。 このような特性を有する紫外線吸収モノマーとしては、上記したベンゾトリアゾール系、ジベンゾイルメタン系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、パラアミノ安息香酸系、桂皮酸系、又はウロカニン酸系の有機系紫外線吸収剤に、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、スチリル基、アリル基、ビニルベンジル基、ビニルエーテル基、アクリルアミド基、ビニルアルキルシリル基又はビニルケトン基等のラジカル重合性基を付加した紫外線吸収性モノマーが挙げられる。 この中でも、紫外線吸収波長領域が広い点と、(メタ)アクリレートとの共重合性が良好な点から、下記一般式(II)で表されるベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を持つ(メタ)アクリレートが好ましい。 上記式中、R3は水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、好ましくは1〜4の炭化水素基を表す。 また、上記式中、R4は炭素数1〜6の直鎖状又は枝分かれ鎖状のアルキレン基を表し、好ましくは1〜3の直鎖状又は枝分かれ鎖状のアルキレン基を表す。 また、上記式中、R5は水素原子またはメチル基を表す。また、上記式中、Yは水素原子、或いは、ハロゲン基、炭素数1〜4(好ましくは炭素数1若しくは2)のアルコキシ基、シアノ基又はニトリル基を表す。 上記一般式(2)で示すベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を持つ(メタ)アクリレートとしては、例えば2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチル−3’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−メトキシ−2Hベンゾトリアゾール、又は2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−t−ブチルー2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。 本発明においては、その目的に応じて、上記紫外線吸収性モノマーの一種又は2種以上により共重合体を構成させることができる。 紫外線吸収性モノマー(C−2)により共重合体の一部を構成させる何れの実施の形態においても、紫外線吸収性モノマー(C−2)は、粒子の全構成成分の1〜60重量%の割合で存在することが好ましく、20〜50重量%の割合で存在することがより好ましく、30〜50重量%の割合で存在することが特に好ましい。 通常、紫外線吸収モノマー(C−2)が1重量%未満では、十分な紫外線吸収特性を得られないことがあり、60重量%を越えると共重合体のシリコーンオイルに対する親和性が低下し、粒子の分散安定性が保てない。 従って、粒子が、シリコーンマクロマー(A)と、(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)と、紫外線吸収モノマー(C−2)とからなる共重合体で構成される実施の形態においては、紫外線吸収モノマー(C−2)は、通常、粒子を構成する共重合体中1〜60重量%の割合で存在し、好ましくは、20〜50重量%の割合で存在し、より好ましくは30〜50重量%の割合で存在する。 また、粒子がコア−シェル構造を有する実施の形態においては、コア層に紫外線吸収モノマー(C−2)を、コア層を構成する全構成成分の1〜70重量%の範囲で存在させることができ、好ましくは20〜60重量%の範囲で存在させることができ、より好ましくは30〜60重量%の範囲で存在させることができる。 なお、前記の通り、本発明の液状組成物は、非常に粘度が低いため、良好な使用感を維持しながら紫外線吸収能を有する共重合体からなる粒子を多量にシリコーンオイル中に分散させることもできる。 粒子がコア−シェル構造を有する実施の形態において、シェル層とコア層中の構成比率は、粒子の分散安定性を保つためには、シェル層の構成比率が高い方が好ましいが、紫外線吸収化合物(C)の量を増やすためには、コア層の構成比率が高い方が好ましい。このような両要求を満たすために、シェル:コア比は、10:90〜50:50が好ましく、15:85〜40:60がより好ましく、20:80〜35:65が特に好ましい。 本発明の粒子を構成する何れの(共)重合体も、ゲルパーミュレーションクロマトグラフィー法におけるポリスチレン換算値で、5000から50万の重量平均分子量を有することが好ましく、1万から10万の重量平均分子量を有することが特に好ましい。分子量5000以下では(共)重合体のTgが低下することにより、液状組成物に粘着性を生じ易い。一方、50万を越えると熱による粒子の融着が起こり難くなるため、皮膚に塗布した際に体温により造膜性が不足し、皮膚への密着性が低下し易い。 また、本発明の粒子を構成する何れの(共)重合体も、ガラス転移温度が−30〜150℃のものが好ましく、10〜100℃のものがより好ましい。ガラス転移温度が−30℃以下のものではベタツキを生じ易く、150℃以上では皮膚上で体温により成膜する際の造膜性が不足し易く密着性が落ちることがある。I−2.粒子の構造 本発明の共重合体からなる粒子は、1〜20重量%という低比率でシリコーンマクロマー(A)を含むとともに、このシリコーンマクロマー(A)が、粒子の外表面に向けて配向している。 このため、塗膜成分や紫外線吸収成分を含む共重合体は、シリコーンオイルからなる溶媒に、溶解することなく個々に独立した粒子の形態を保持しながら分散し、その一方で、低比率でシリコーンマクロマーを含む共重合体でありながら、シリコーンオイルに対して安定して分散している。さらに粒子表面にシリコーン成分が存在するため、撥水性、撥油性、スベリ性に優れた塗膜を形成することができる。 本発明の共重合体からなる粒子はまた、有機系紫外線吸収剤(C−1)又は紫外線吸収モノマー(C−2)が粒子の内部に保持され又は粒子内部に存在する共重合体の一部を構成している。 このため、紫外線吸収性成分が粒子外部の水分や油分からほぼ隔離され、当該共重合体で構成される粒子により形成される塗膜は、長い時間紫外線吸収性を保持することができる。 コア−シェル構造の粒子を含む実施の形態においては、当該粒子のシェル層でほぼ総てのシリコーンマクロマー(A)が集中的に共重合され、これが粒子表面に向けて配向して存在している。その一方、この実施の形態においては、当該粒子のコア層に有機系紫外線吸収剤が取り込まれ、又は紫外線吸収モノマーが当該コア層を構成する重合体の一部をなし、前記シェル層とともに2層以上の多層構造を形成している。 このため、上記一般的な本発明の粒子の特性(分散安定性、撥水性、撥油性、すべり性、紫外線吸収の持続性等)がさらに強められたものとなる。 本発明の共重合体からなる粒子は、シリコーンマクロマーが粒子表面に優位に存在するため、この粒子に対する水の接触角が90〜120度となるものであり、好ましくは、90〜110度となるものである。 このような水の接触角は、本発明で用いられるシリコーンオイルのものとほぼ同様の範囲であり、上記分散安定性の指標となるものである。 本発明におけるシリコーンオイル中の粒子は、目的、用途に応じて、所望の粒径とすればよいが、化粧品等の用途においては、0.05〜2.0μmの平均粒径のものが好ましく、0.05〜0.5μmの平均粒径のものが好ましい。平均粒径が2μm以上になると、シリコーンオイルと粒子の比重差から溶液中で沈降し易くなるとともに、皮膚上に多量に塗布された時にざらつき感やきしみ感を生じやすい。II.シリコーンオイル 本発明におけるシリコーンオイルは、前記のシリコーンマクロマー(A)が表面に配向している粒子を安定的に分散させるために、前記シリコーンマクロマー(A)と極性が近似し親和性が大きなものが好ましい。具体的には、表面張力が15〜22mN/mであり、溶解度パラメーターが7.1〜7.5であり、水の接触角が100度〜120度となるものが好ましい。 このような特性のシリコーンオイルとしては、例えばジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、若しくはジブチルポリシロキサン等のジアルキルポリシロキサン;例えば、メチルフェニルポリシロキサン若しくはエチルフェニルポリシロキサン等のアルキルフェニルポリシロキサン;例えば環状ジメチルポリシロキサン、環状ジエチルポリシロキサン若しくは環状ジブチルポリシロキサン等の環状ジアルキルポリシロキサン;例えば環状メチルフェニルポリシロキサン、環状エチルフェニルポリシロキサン若しくは環状ブチルフェニルポリシロキサン等のポリシロキサン;又は例えばアミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン若しくはアルキル変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサンを挙げることができる。これらのシリコーンオイルは、用途に応じて1種単独で若しくは2種以上組み合わせて分散媒とすることができる。 本発明の一の実施の形態においては、シリコーンマクロマーの極性及び組成が近似している点でジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサンが好ましい。特にヘキサメチルジシロキサン等の揮発性のジメチルポリシロキサン、又はデカメチルシクロペンタシロキサン等の揮発性環状シロキサンが、速乾性、低刺激性の点で好ましい。 本発明の液状組成物は、上述した特殊の構造及び組成の粒子を、シリコーンオイル中に分散させることを特徴とするものであり、組成物の粘度は、樹脂を溶媒中に溶解するタイプの液状組成物に比べ大幅に低くなる。具体的には、固形分50重量%の時、通常、1000mPa・s以下、好ましくは500mPa・s以下、より好ましくは200mPa・s以下の粘度となる。III.用途 本発明の液状組成物は、単独で、又は他の成分と組み合わせて、サンスクリーン用の化粧品、皮膚外用剤、又はバンデージ剤として用いることができる。 例えば、サンスクリーン用の化粧品の場合には、本発明の液状組成物に、さらに、無機系紫外線吸収剤、有機系紫外線吸収剤、香料、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、pH調整剤、低級アルコール類、脂肪族炭化水素類、又は防腐剤等を加えて調合することができる。 この際、調合する無機系紫外線吸収剤としては、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化チタン、又は微粒子酸化セリウム等の金属酸化物が挙げられる。有機系紫外線吸収剤としては、オクチルメトキシけい皮酸等のけい皮酸系紫外線吸収剤、オクチルサリシレート等のサリチル酸系の紫外線吸収剤、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系の紫外線吸収剤、ビスレゾルシニルトリアジン等のトリアジン系の紫外線吸収剤、又は2,4−ジヒドロヒシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤等が挙げられる。香料としては、例えばレモンオイル、オレンジオイル若しくはライムオイル等の天然香料、又はシトロネリルアセテート若しくはアミルプロピオネート等の合成香料が挙げられる。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン性界面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウム、又はアルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン性界面活性剤が挙げられる。保湿剤としては、例えばポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、エリスリトール、ソルビトール、又はキシリトール等が挙げられる。増粘剤としては、例えばヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、トラガントガム、キチン、キトサン、又は寒天等が挙げられる。pH調節剤としては、例えば乳酸−乳酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、又はコハク酸−コハク酸ナトリウム等が挙げられる。低級アルコールとしては、例えばエタノール、イソプロパノール、ノルマルプロパノール、イソブチルアルコール、又はノルマルブチルアルコール等が挙げられる。脂肪族炭化水素類としては、ヘキサン、ヘプタン、ドデカン、又はシクロキサン等が挙げられる。防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸ナトリウム、又はソルビン酸カリウム等が挙げられる。 サンスクリーン用の皮膚外用剤の場合には、前記サンスクリーン用化粧料に、抗酸化剤、抗酸化助剤、ビタミン類、美白剤、各種抽出物、血行促進剤、抗炎症剤等を加えて調合することができる。 この際、調合する抗酸化剤としては、例えばトコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、又はブチルヒドロキシアニソールが挙げられる。抗酸化助剤としては、例えばリン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マロン酸、又はコハク酸等が挙げられる。ビタミン類としては、例えばビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、又はパントテン酸およびその誘導体等が挙げられる。美白剤としては、例えば胎盤抽出剤、ユキノシタ抽出物、又はアルブチン等が挙げられる。各種抽出剤としては、例えば、オウバク、オウレン、シコン、ショウヤク、セージ、ニンジン、アロエ、サフラン、ニンニク、トウガラシ、又は海草等の抽出物が挙げられる。血行促進剤としては、例えば、ニコチン酸、カプサイシン、タンニン酸、又はアセチルコリン等が挙げられる。抗炎症剤としては、例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、又はヒポタウリン等が挙げられる。 サンスクリーン用のバンデージ剤とする場合にも、本発明の液状組成物単独での使用が可能であるが、乾燥調整のために、前記低級アルコール、炭化水素類、シリコーン類等の溶剤等を加えて調合することができる。また、皮膚外用成分として、抗酸化剤、抗酸化助剤、ビタミン類、美白剤、各種抽出物、血行促進剤、又は抗炎症剤等を加えて調合することができる。IV 製造法 上記で詳述した本発明の液状組成物は、シリコーンオイル中で、シリコーンマクロマー(a)1〜20重量%と、(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(b)20〜60重量%と、有機系紫外線吸収剤(c−1)又は紫外線吸収性モノマー(c−2)1〜60重量%とを、1段若しくは2段以上のラジカル重合反応に供することにより製造することができる。 本発明の製造方法では、モノマー成分の1つであるシリコーンマクロマー(a)が、分散媒であるシリコーンオイル(d)と極性が近似し親和性が大きい。一方、他のモノマー成分である(メタ)アクリレートを主体とするビニルモノマー(b)は、相対的に分散媒であるシリコーンオイル(d)と極性が相違し親和性が小さい。また、紫外線吸収性モノマー(c−2)や有機系紫外線吸収剤は、やはり相対的に分散媒であるシリコーンオイル(d)と極性が相違し親和性が小さく、逆にビニルモノマー(b)との親和性が高い。 このため、これらをラジカル重合反応に供した際には、シリコーンマクロマー(a)が、シリコーンオイルとの界面に優位に存在し、(メタ)アクリレートを主体とするビニルモノマー(b)は、シリコーンオイルからシリコーンマクロマー(a)を介して隔離した位置に優位に存在する状態でラジカル重合が進行する。 また、有機系紫外線吸収剤や紫外線吸収性モノマーは、シリコーンオイルとの極性の相違により、シリコーンオイル中には溶解できないため、有機系紫外線吸収剤は、ラジカル重合の間生成してくる共重合体中に取り込まれ、紫外線吸収性モノマーは、シリコーンオイルからシリコーンマクロマー(a)を介して隔離した位置で重合され、粒子の内部に存在する共重合体の一部を構成する。 重合が進行すると、生成された共重合体はその組成比に起因してシリコーンオイルに不溶となり、シリコーンオイルに可溶なシリコーンマクロマー(a)を外側に向け丸まって粒子状となり、シリコーンオイル中に分散する。 かくして分散安定剤等の他の成分の添加を要することなく、紫外線吸収性化合物を含有する粒子がシリコーンオイル中に安定して分散している液状組成物が得られる。 なお、後述する実施例から明らかなように、重合溶剤として、シリコーンオイルの代わりにシリコンマクロマー(a)と極性が一致しているヘキサン(表面張力が17.9mN/mであり、溶解度パラメーターが7.2)のような低極性の脂肪族炭化水素類を使用しても、安定な微粒子分散体を得ることは出来ない。 このことの理論的背景は不明であるが、本発明の製造方法で求められる重合溶剤の特性として、共重合成分であるシリコンマクロマー(a)と、極性が近似しているのみならず、組成が近似していることが要求されると考えられ、本発明で用いられる重合溶剤としては、シリコーンオイルのみが使用可能である。 各モノマーの種類及び組成比等の詳しい説明は、本発明の共重合体粒子の各構成成分について説明したものと対応するものであればよい。従って、ここではその詳細な説明を省略する。 本発明においては、ラジカル重合を行う際のラジカル重合開始剤の要否及び種類について特に制限はなく、一般的な開始剤を用いて行うことができる。具体的には、例えば、2,2,−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(−4メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、又は2,2−アゾビスイソ酪酸ジメチル等のアゾ化合物;或いは例えばラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ2−ヘキサノエート又はベンゾイルパーオキサイド等の有機化酸化物等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。 重合開始剤は、1種単独で若しくは2種以上組み合わせて用いることができ、モノマー混合物の総量に対し、0.01〜10重量%の量で用いることが好ましく、0.1〜3重量%の量で用いることがより好ましい。 また、分子量調整のために、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−プロパンチオール、エチルメルカプトアセテート、チオフェノール、2−ナフタレンチオール、又はドデシルメルカプトン等の連鎖移動剤を使用しても良い。 本発明における重合反応は、用いるモノマー及び溶媒並びに目的とする最終生成物に応じて適宜適当な反応温度を選択して行うことが好ましい。典型的には、本発明における重合反応は、30℃〜180℃で行なわれ、80〜150℃で行なうのがより好ましい。なお、この温度条件下では、重合開始剤等の存在下、5〜10時間で反応を完結させることができる。 重合方法としては、(1)シリコーンオイル中に各成分(a)、(b)及び(c−1)若しくは(c−2)の全量を予め混合した後、重合開始剤を添加及び/又は滴下して重合を行う全量仕込み法;(2)シリコーンオイル中に(a)、(b)及び(c−1)若しくは(c−2)並びに重合開始剤の全量を滴下して重合を行なう全量滴下法;および(3)(a)、(b)及び(c−1)若しくは(c−2)の一部をシリコーンオイル中に予め混合した後、(a)、(b)及び(c−1)若しくは(c−2)の残部および重合開始剤を(連続)滴下及び/又は添加して重合を行う、仕込み−滴下法等が挙げられる。 いずれの方法によっても適切なモノマー組成及び組成比等を選択することによりシリコーンマクロマーが外層側に配向した微粒子共重合体のシリコーンオイル分散液を得る事ができる。 また、コア−シェル構造を有する粒子を生成する実施の形態においては、シリコーンオイル中で、始めに(a)成分の全量と一部の(b)成分を反応させ、シェル成分としてシリコーンオイルに溶解するシリコーンマクロマーリッチのポリマーを共重合させてから、2段階目以降に残りの(b)成分と(c−2)成分の有機系紫外線吸収剤を滴下してコア部分を重合させるコア−シェル型の製造法によっても、さらに安定に有機紫外線吸収剤を含有する共重合体粒子の分散液を得る事ができる。この方法では、シェル層及び/又はコア層を形成するための工程を多段階に分けることで、3層以上の多層構造を有する粒子を形成することもできる。この際、組成比を段階的若しくは連続的に変更することで、内部から外部へ組成比が段階的若しくは連続的に傾斜している粒子を形成することもできる。 本発明の製造方法で得られる共重合体粒子の分散安定性及び粒径は、主に、シリコーンマクロマー(a)成分と、他のモノマー(b)及び有機系紫外線吸収剤(c−1)若しくは紫外線吸収性モノマー(c−2)との極性の違い、並びにこれらモノマーのシリコーンオイルに対する親和性の相違により決定される。このため、分散粒子の粒径は、目的に応じて、シリコーンオイルの種類、並びにシリコーンマクロマー(a)、(メタ)アクリレートモノマーを主体とするビニルモノマー(b)及び紫外線吸収性剤(c−1)若しくは紫外線吸収モノマー(c−2)の比率及び種類を適宜選択することにより制御する事が出来る。 また、重合反応温度、重合開始剤の種類及び量、重合方法等をコントロールすることによっても分散粒子の粒径を調整することができる。 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。但し、これら実施例は、本発明を限定することを意図するものではない。液状組成物の製造(実施例1) 温度計、還流冷却器、撹拌機、滴下ロート等を備えた反応容器に、溶媒として、市販のヘキサメチルジシロキサン(KF−96 0.5CS;信越化学工業(株)製)500gを、雰囲気を窒素ガスで置換した後、この溶媒を95℃に加温した。 (メタ)アクリレート系モノマーとして、メチルメタクリレート250g及び2エチルヘキシルアクリレート100gと、シリコーンマクロマーとして、市販のポリジメチルシロキシプロピルアクリル酸エステル(FM−0721;チッソ(株)製、片末端サイラプレーンで平均分子量が5,000である)50gと、UV吸収剤として、オクチルメトキシシンナメート(PARSOL MCX ROSCH社製)70g及びブチルメトキシジベンゾイルメタン(PARSOL 1789 ROSCH社製)30g、重合開始剤として市販のラウロイルパーオキサイド(パーロイルL;日本油脂(株)社製)10gとを混合して原料溶液を調製した。 この原料溶液を、180分間かけてヘキサメチルジシロキサン中に95℃を保持しながら滴下した。次いで、100℃に昇温し、ラウロイルパーオキサイド4gをヘキサメチルジシロキサン(KF−96 0.5cs)50gに溶解した溶解液を、同温度を保持しながら120分かけて滴下した。さらに120分間同温度を保持してから、50℃まで冷却して、固形分50.1%、粘度180mPa・sの乳白色の分散ポリマーを得た。 得られた分散体中の粒子を構成するポリマーは、重量平均分子量が45000(昭和電工社製SHODEX KF−80Mを用いてGPC法で測定)であった。また粒子の平均粒径は、0.25μm(レーザードップラー/周波数解析型の粒度分布計(日機装(社)製UPA150)を用いて測定)であった。また走査型電子顕微鏡(キーエンス(株)社製 VE−8800)で測定したところ、0.2〜0.4μの真球状の粒子であることが確認された。 また、分散体中の粒子の組成を確認するために、得られた分散体をヘキサメチルジシロキサンで2倍希釈し、高速遠心分離機(日立遠心機(株)社製:HIMAC CF−15R)にて1万rpmにて遠心分離して沈殿物を得、この沈殿物を減圧乾燥させて白色粉末を得た。この粉末1gを更にエタノール1gで溶解後、メタノール10gにて希釈し、溶解成分と沈澱成分に分離した。メタノール溶解成分を減圧乾燥させてメタノールをとばし、0.18gの液状物を得た。この液状物をKBR板に塗布乾燥後、日本分光(株)社製のIR7000型赤外線吸光光度計にて赤外吸収スペクトルを測定したところ、PARSOL MCXとPARSOL 1789とを7:3の重量比で混合した混合物の赤外吸収スペクトルと一致し、粒子中に紫外線吸収剤が含有されていることが確認された。(実施例2) 溶媒として、デカメチルシクロペンタシロキサン(KF−995;信越化学工業(株)製)500gを実施例1と同様の反応容器に投入し、これに、(メタ)アクリレート系モノマーとして、メチルメタクリレート80g及び2エチルヘキシルアクリレート20gと、シリコーンマクロマーとして、市販のポリジメチルシロキシプロピルアクリル酸エステル(FM−0725;チッソ(株)製、片末端サイラプレーンで平均分子量が10,000である)50gと、重合開始剤として、市販のターシャリーブトキシパーオキシ2エチルヘキサノエート(パーブチルO;日本油脂(株)社製)2.5gとを混合してシェル用原料溶液を調製した。 雰囲気を窒素ガスで置換した後、このシェル用原料溶液を105℃に加温し、そのまま同温度で、120分間保持し、一段目の重合を行った。 次に、一段目の重合が終わった状態の反応容器に、(メタ)アクリレート系モノマーとして、メチルメタクリレート180g及び2エチルヘキシルアクリレート20gと、UV吸収剤として、オクチルメトキシシンナメート(PARSOL MCX ;ROSCH社製)100g及びブチルメトキシジベンゾイルメタン(PARSOL 1789;ROSCH社製)50gと、重合開始剤として、ターシャリーブトキシパーオキシ2エチルヘキサノエート(パーブチルO;日本油脂(株)社製)3.0gとの混合溶液を120分にわたり同温度で滴下した。 更に、滴下終了後60分経過した時点で、ターシャリーブトキシパーオキシ2エチルヘキサノエート4gをデカメチルシクロペンタシロキサン50gに溶解した溶解液を、同温度を保持しながら120分かけて徐々に滴下し、2段目の重合を行った。 その後、溶液の温度を120℃まで昇温し、同温度をさらに120分保持してから50℃まで冷却して、固形分50.2%、粘度90mPa・sの乳白色のポリマー分散体を得た。得られた分散体中の粒子は、それを構成するポリマーの重量平均分子量が55000であり、平均粒径が0.25μ、形状は真球状であった。 この分散体中の粒子の組成を確認するために、得られた分散体をヘキサメチルジシロキサンで2倍希釈し、高速遠心分離機にて1万rpmにて遠心分離して沈殿物を得、この沈殿物を減圧乾燥させて白色粉末を得た。この粉末1gを更にエタノール1gで溶解後、メタノール10gにて希釈し、溶解成分と沈澱成分に分離した。メタノール溶解成分を減圧乾燥させてメタノールをとばし、0.28gの液状物を得た。この液状物をKBR板に塗布乾燥後、赤外吸光光度計にて赤外吸収スペクトルを測定したところ、PARSOL MCXとPARSOL 1789とを2:1の重量比で混合した混合物の赤外吸収スペクトルと一致し、粒子中に紫外線吸収剤が含有されていることが確認された。(実施例3) 実施例1に準じて、溶媒としてジメチルポリシロキサン(KF−96 1CS;信越化学工業(株)製)500gを反応容器に投入し、これに、(メタ)アクリレート系モノマーとして、メチルメタクリレート100g及び2エチルヘキシルアクリレート150gと、シリコーンマクロマーとして、市販のポリジメチルシロキシプロピルアクリル酸エステル(50gと、ラジカル重合基を有するUV吸収性モノマーとして、市販の2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(RUVA−93;大塚化学(社)製200gと、重合開始剤としてターシャリーブトキシパーオキシ2エチルヘキサノエート7.5gとを混合して原料溶液を調整した。 この原料溶液を反応容器に仕込み、雰囲気を窒素ガスで置換した後、105℃に加温し、そのまま同温度を保持し、180分間経過した時点で、ターシャリーブトキシパーオキシ2エチルヘキサノエート4gをデカメチルペンタシロキサン50gに溶解した溶解液を、同温度を保持しながら120分かけて徐々に滴下した。 その後、溶液の温度を120℃まで昇温し、同温度をさらに120分保持してから50℃まで冷却して、固形分50.2%、粘度320mPa・sの乳白色のポリマー分散体を得た。 得られた分散体中の粒子は、それを構成するポリマーの重量平均分子量が86000であり、平均粒径が0.35μ、形状は真球状であった。(実施例4) 溶媒として、デカメチルシクロペンタシロキサン500gを実施例1と同様の反応容器に投入し、これに、(メタ)アクリレート系モノマーとして、メチルメタクリレート150g及び2エチルヘキシルアクリレート100g、シリコーンマクロマーとして、市販のポリジメチルシロキシプロピルアクリル酸エステルFM−0725;チッソ(株)製、片末端サイラプレーンで平均分子量が10,000である)100gと、ラジカル重合基を有するUV吸収性モノマーとして2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール150gと、重合開始剤としてターシャリーブトキシパーオキシ2エチルヘキサノエート7.5gとを混合して、原料溶液を調製した。 この原料溶液を反応容器に仕込み、雰囲気を窒素ガスで置換した後、105℃に加温し、そのまま同温度を保持し、180分間経過した時点で、ターシャリーブトキシパーオキシ2エチルヘキサノエート4gをデカメチルシクロペンタシロキサン50gに溶解した溶解液を、同温度を保持しながら120分かけて徐々に滴下し、その後同温度をさらに120分保持してから50℃まで冷却して、固形分50.2%粘度460mPa・sの白色のポリマー分散体を得た。 得られた分散体中の粒子は、それを構成するポリマーの重量平均分子量が、72000であり、粒子の平均粒径は0.21μm、形状は真球状であった。(比較例1) 溶媒として、ヘキサメチルジシロキサンに代え、脂肪族炭化水素系混合溶剤(アイソパーG;エクソンケミカル社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様な条件で重合を行った。 この原料溶液を、アイソパーG中に95℃の温度を保持しながら滴下したところ、滴下開始後約120分で反応液が白濁し始め、その後析出、沈澱して、重合物を得ることは出来なかった。重合条件をまとめて表1に示す。(比較例2) 溶媒として、デカメチルペンタシクロシロキサンに代え、ヘプタンを用いたこと以外は、実施例4と同様な条件で重合を行った。 原料溶液を滴下開始後約100分で反応液が白濁し始め、その後析出、沈澱して、重合物を得ることは出来なかった。重合条件をまとめて表1に示す。(比較例3) ポリジメチルシロキシプロピルアクリル酸エステル(FM−0725)の投入量を、50gから4gに変え、メチルメタクリレートの投入量を、100gから146gに変えたこと以外は、実施例3と同様な条件で重合を行なった。 原料溶液を105℃に昇温後90分後から凝集物がフラスコの壁面に付着し出しその後、沈澱し、重合物を得る事は出来なかった。(比較例4) 溶媒として、デカメチルシクロペンタシロキサン500gを実施例1と同様の反応容器に投入し、雰囲気を窒素ガスで置換した後、この溶媒を95℃に加温した。 (メタ)アクリレート系モノマーとして、メチルメタクリレート180g及び2エチルヘキシルアクリレート20gと、シリコーンマクロマーとして、市販のポリジメチルシロキシプロピルアクリル酸エステル(FM−0725;チッソ(株)製、片末端サイラプレーンで平均分子量が5,000である)200gと、UV吸収剤として、オクチルメトキシシンナメート(PARSOL MCX ROSCH社製)70g及びブチルメトキシジベンゾイルメタン(PARSOL 1789 ROSCH社製)30g、重合開始剤としてターシャリーブトキシパーオキシ2エチルヘキサノエート7.5gとを混合して原料溶液を調製した。この原料溶液を、反応容器に仕込み、雰囲気を窒素置換した後、105℃に昇温し、そのまま同温度を保持し、180分間経過した時点で、ターシャリーブトキシパーオキシ2エチルヘキサノエート4gをデカメチルペンタシロキサン50gに溶解した溶解液を、同温度を保持しながら120分かけて徐々に滴下した。 その後、溶液の温度を120℃まで昇温し、同温度をさらに120分保持してから50℃まで冷却して、固形分50.3%、660mPa・sの白色のポリマー分散体を得た。 得られた分散体中の粒子は、それを構成するポリマーの重量平均分子量が、36000であり、粒子の平均粒径は0.21μm、形状は真球状であった。得られた液状組成物を常温で3日間乾燥させたところ、液状のままで塗膜を形成しなかつた。(比較例5) 溶媒として、実施例2のヘキサメチルジシロキサンに代えてトルエン500gを、実施例と同様の反応容器に投入し、雰囲気を窒素ガスで置換した後、この原料溶液を105℃に加温し、そのまま同温度を保持した。 (メタ)アクリレート系モノマーとして、メチルメタクリレート100g及び2エチルヘキシルアクリレート100gと、シリコーンマクロマーとして、市販のポリジメチルシロキシプロピルアクリル酸エステル(FM−0725;チッソ(株)製、片末端サイラプレーンで平均分子量が10,000である)200gと、ラジカル重合基を持つUV吸収性モノマーとして、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール100gと、重合開始剤として、ターシャリーブトキシパーオキシ2エチルヘキサノエート7.5gとを混合して原料溶液を調製した。 この原料溶液を、105℃を保持しながら180分間かけてトルエン中に滴下した。さらに同温度を保持しながら、ターシャリーブトキシパーオキシ2エチルヘキサノエート4gをトルエン100gに溶解した溶解液を、60分間かけて徐々に滴下した。 その後、溶液の温度を110℃まで昇温し、同温度をさらに110分保持してから50℃まで冷却して、固形分50%、粘度2600mPa・sの半透明液を得た。 得られた半透明液100gを1000gのメタノール中に注ぎ込んでポリマーを析出沈澱させた。この沈殿物を、分離、乾燥させた後、デカメチルシクロペンタシロキサンに溶解させて、固形分50.2%、粘度8600mPa・sの樹脂溶液を得た。 得られたポリマーの重量平均分子量は、43000であった。粒度分布計および走査型電子顕微鏡により粒子の確認は出来なかった。(比較例6) 溶媒として、実施例2のヘキサメチルジシロキサンに代えてトルエン500gを実施例1と同様の反応容器に投入し、これに、(メタ)アクリレート系モノマーとして、メチルメタクリレート75g及び2エチルヘキシルアクリレート75g、シリコーンマクロマーとして、3−メタクリロイルオキシ(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)250g、ラジカル重合基を有するUV吸収性モノマーとして、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール100gと、重合開始剤としてターシャリーブトキシパーオキシ2エチルヘキサノエート7.5gとを混合して、原料溶液を調製した。 雰囲気を窒素ガスで置換した後、この原料溶液を105℃に加温し、そのまま同温度を保持し、180分間経過した時点で、ターシャリーブトキシパーオキシ2エチルヘキサノエート4gをトルエン50gに溶解した溶解液を、同温度を保持しながら120分かけて徐々に滴下した。さらに同温度を120分間保持してから50℃まで冷却して、半透明溶液を得た。 得られた樹脂溶液100gを1000gのメタノール中に注ぎ込んでポリマーを析出、沈澱させた。この沈殿物を分離、乾燥させた後、ヘキサメチルジシロキサンに溶解させ、固形分50.3%粘度4300mPa・sの半透明液体を得た。 得られたポリマーの重量平均分子量は56000であった。粒度分布計及び走査型電子顕微鏡において粒子を確認することはできなかった。 重合条件と得られた液状組成物の基本特性を、それぞれまとめて表1及び表2に示す。性能評価 実施例1から4、並びに比較例4から6で得られた液状組成物について、紫外線吸収剤としての性能を評価するために、以下に示す試験を行なった。(試験方法)1)水との接触角 得られた各液状組成物を、透明なガラス板上に乾燥膜厚が10μになるようにアプリケータで塗布し35℃で乾燥させた。この乾燥塗膜上に水滴1滴をたらし、真横から水滴の写真をとり、1/2法により接触角を測定した。2)紫外線吸収性 得られた各液状組成物を、透明なガラス板上にバーコーターで塗膜を作成し、自記分光光度計(日本分光(株)社製U−3400)において290〜380nmの透過率が0%の膜厚を測定した。3)乾燥性 ガラス板上にバーコーターで乾燥膜厚が2μとなるように塗工し、溶剤が揮発して指触でベタつかなくなるまでの時間を測定した。4)透明性 得られた各組成物を、透明なガラス板上に乾燥膜厚が20μになるようにアプリケータで塗布し35℃にて造膜させ、目視で膜の濁り具合を判定した。 濁りがなく透明な場合に◎と評価し、幾分かのマット感により透明度が落ちた場合には○と評価し、濁りにより不透明になった場合には×と評価した。5)耐水性 得られた各組成物を、清浄したフッソフィルムの上にアプリケータで塗布し、乾燥後、形成した膜を剥し、これを水道水中に3日間浸漬して膜の状態変化を目視により判定した。 全く変化が認められない場合に◎と評価し、一部溶解して事が確認できた場合には○と評価し、完全に溶解し膜が残っていない場合には×と評価した。6)耐油性 上記5)と同様にして得た膜を、インドデカン中に24時間浸漬後の皮膜の状態変化を目視により判定した。 全く変化が認められない場合に◎と評価し、一部溶解している事が確認できた場合には○と評価し、完全に溶解し膜が残っていない場合には×と評価した。7)皮膚密着性 各液状組成物を数滴手の甲に指で塗布し、乾燥後に指で擦ってその剥がれ具合で膜の密着度合いを判定した。 強く擦っても全く剥がれなかった場合に◎と評価し、3回以上擦ると一部剥がれ落ちた場合には○と評価し、1〜2回擦っただけで完全に剥がれ落ちた場合には×と評価した。8)塗布性 各液状組成物を数滴手の甲に塗布した後、指で塗布した液を乾燥するまで伸ばした際のひっかかり有無で判定した。 全く引っかかり感がない場合に◎と評価し、幾分かの引っかかり感はあるが塗布できる場合には○と評価し、指で伸ばした直後から引っかかり感があり塗布できない場合には×と評価した。9)つっぱり感 各液状組成物を数滴手の甲に塗布し自然乾燥して塗膜を形成した後に、被験者の感触でつっぱり感を評価した。 全くつっぱり感を感じない場合に◎と評価し、幾分かのつっぱりにより違和感を感じた場合には○と評価し、強いつっぱり感を感じた場合には×と評価した。サンスクリーン用化粧液の調製(実施例5) 上記実施例3で得られた本発明の液状組成物89重量部とエタノール11重量部を混合してサンスクリーン用化粧品を調製した。(比較例7) 下記に示すように各成分を所定割合で混合してサンスクリーン用化粧液を調製した。サンスクリーン用化粧乳液の調製(実施例6) 実施例2で得られた液状組成物を70℃に加温した後、それに微粒子酸化チタン及び微粒子酸化亜鉛をそれぞれ8重量部及び4重量部加えて混合し、イオン交換水及びグリセリンを撹拌しながら徐々に加え、サンスクリーン用乳液を調製した。各成分及びその配合比を以下の表にまとめて示す。(比較例8) 実施例2の液状組成物に代え、デカメチルシクロペンタシロキサン22.5重量部、流動パラフィン5重量部、ジメチルポリシロキサン(50cps)1.5重量部、オクチルメトキシシンナメート5重量部、及びパラベン及び香料少量を混合した混合液を70℃に加温し成分を溶解した。次に加温した混合液に微粒子酸化チタン10重量部及び微粒子酸化亜鉛10重量部を加えて混合し、更にイオン交換水30重量部及びグリセリン10重量部を撹拌しながら徐々に加え、サンスクリーン用乳液を調製した。各成分及びその配合比を以下の表にまとめて示す。(比較例9) 実施例2の液状組成物に代え、デカメチルシクロペンタシロキサン14重量部、流動パラフィン5重量部、比較例5で析出沈殿後に得られたポリマー10重量部、オクチルメトキシシンナメート5重量部、及びパラベン及び香料少量を混合し、得られた混合液を70℃に加熱して成分を溶解した。次に加熱混合液に微粒子酸化チタン15重量部を加えて混合し、更にイオン交換水30重量部及びグリセリン10重量部を撹拌しながら徐々に加え、サンスクリーン用乳液を調製した。各成分及びその配合比を以下の表にまとめて示す。サンスクリーン用化粧液及びサンスクリーン用化粧乳液の性能評価 実施例5及び6、並びに比較例7から9で得られたサンスクリーン用化粧液及びサンスクリーン用化粧乳液について、その性能を評価するために、以下に示す試験を行なった。(評価方法)1)皮膚密着性 各化粧液又は化粧乳液を数滴手の甲に指で塗布し、乾燥後に指で擦ってその剥がれ具合で膜の密着度合いを判定した。 強く擦っても全く剥がれなかった場合に◎と評価し、3回以上擦ると一部剥がれ落ちた場合には○と評価し、1〜2回擦っただけで完全に剥がれ落ちた場合には×と評価した。2)透明性 各化粧液又は化粧乳液を数滴手の甲に塗布し、乾燥後、皮膚の白ボケの有無で判定した。 全く白ボケが認められない場合に◎と評価し、微かに白みを帯びた場合には○と評価し、明らかに白みが目立つ場合には×と評価した。3)のび 各化粧液又は化粧乳液を数滴手の甲に塗布した後、指で塗布した液を乾燥するまで伸ばした際のひっかかり有無で判定した。 全く引っかかり感がない場合に◎と評価し、幾分かの引っかかり感はあるが塗布できる場合には○と評価し、指で伸ばした直後から引っかかり感があり塗布できない場合には×と評価した。4)つっぱり感及びキシミ感 各化粧液又は化粧乳液を数滴手の甲に塗布し自然乾燥して塗膜を形成した後に、被験者の感触でつっぱり感を評価した。 全くつっぱり感を感じない場合に◎と評価し、幾分かのつっぱりにより違和感を感じた場合には○と評価し、強いつっぱり感を感じた場合には×と評価した。5)さっぱり感及びさらさら感 各化粧液又は化粧乳液を数滴手の甲に塗布し自然乾燥して塗膜を形成した後に、べたつきの有無及び肌のスベリ感についての被験者の感触で評価した。 べたつきが全くなく、さらさらとした感触を覚えた場合に◎と評価し、幾分かのべたつき感を感じた場合には○と評価し、べたつきにより不快感を覚えた場合には×と評価した。6)耐水性 各化粧液又は化粧乳液を数滴手の甲に塗布してから2時間後、塗膜が形成された手の部分をこすり合わせて3分間水洗し耐水性を判定した。 全く落ちなかった場合に◎と評価し、一部洗い落ちた場合には○と評価し、すべて洗い落ちた場合には×と評価した。7)耐油性 各化粧液又は化粧乳液を数滴手の甲に塗布してから2時間後、塗膜が形成された手の部分にインドデカンを指で1分間程擦り付け、耐油性を判定した。 全く落ちなかった場合に◎と評価し、一部落ちた場合には○と評価し、すべて落ちた場合には×と評価した。8)紫外線防止効果 紫外線の強い5月の晴れた日に、各化粧液又は化粧乳液を数滴手の甲に塗布してから一日中海岸でつりを行い日焼けによる炎症の有無で判定した。 全く炎症を生じなかった場合に◎と評価し、炎症は生じなかったが皮膚の黒化が認められた場合には○と評価し、皮膚が赤みを帯びて炎症を生じた場合には×と評価した。液状バンデージ剤の調製(実施例7) 実施例1で得られた本発明の液状組成物40gにヘキサメチルジシロキサン60gを加え撹拌混合して液状バンデージ剤を調製した。(比較例10) 比較例6で得られた溶解型のシリコーンアクリル樹脂組成物40gにヘキサメチルジシロキサン60gを加え撹拌混合して液状バンデージ剤を調製した。液状バンデージ剤の性能評価 5月の良く晴れた日に、手の甲にできた擦り傷に、実施例7の液状バンデージ剤をスプレー塗布した。痛みは直ぐに消え、乾燥後、傷口付近につっぱり感等のバンデージ剤を塗布したことによる違和感を生じることはなかった。その後終日屋外で作業を続けたが、日焼けによる炎症は生じなかった。1日2回スプレー塗布を行い、かさぶたも形成せず3日目に傷は消失した。 また、皮膚上の塗布状態を確認するため、豚皮上に実施例7の液状バンデージ剤をスプレー塗布したものを走査形電子顕微鏡((株)日立立製作所製)により3000倍で電顕写真を撮ったところ、皮膚表面のひだの形状がそのまま塗膜に転写されており、実施例7の液状バンデージ剤を用いると、皮膚のヒダの形状に緻密に対応した表面形状の膜が形成されることが確認できた。このような塗膜形状は、使用時にツッパリ感等がなく、形成される膜が密着性に優れる点を裏付けるものである。 一方、手の甲に、比較例10の液状バンデージ剤をスプレー塗布したところ、乾燥後、塗布面がつっぱり、違和感が生じた。また、6時間後に指でこするとフィルム状に剥離した。 皮膚上の塗布状態を確認するため、豚皮上に比較例10の液状バンデージ剤をスプレー塗布したものを走査形電子顕微鏡により3000倍で電顕写真を撮ったところ、皮膚表面のひだ形状は確認できなかった。 以上のように、本発明によれば、皮膚上に塗布された時、透明感があり、滑りがよく、べたつきを生じず、キシミ感、ツッパリ感等の違和感もなく、さっぱりとした使用感を有するとともに、紫外線防御能が汗や皮脂等の存在下でも所望の期間持続する、サンスクリーン用の化粧品、皮膚外用剤又はバンデージ剤に好適な液状組成物を提供することができる。 また、本発明によれば、このような優れた特性を有する液状組成物を製造する方法を提供することができる。 紫外線吸収能を有する粒子とシリコーンオイルとを含む非水液状組成物であって、前記粒子が、シリコーンマクロマー(A)及び(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)からなる共重合体と、有機系紫外線吸収剤(C−1)とで構成され、 前記シリコーンマクロマー(A)が、前記粒子の全組成の1〜20重量%の割合で前記共重合体を構成し且つ前記粒子の外表面に向けて配向して存在している、非水液状組成物。 紫外線吸収能を有する粒子とシリコーンオイルとを含む非水液状組成物であって、 前記粒子が、シリコーンマクロマー(A)及び(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)からなる共重合体で構成されるシェル層と、(メタ)アクリレー系モノマーを主体とする(共)重合体及び紫外線吸収剤(C−1)を含むコア層とを有し、 前記シリコーンマクロマー(A)が、前記粒子の全組成の1〜20重量%の割合で前記共重合体を構成し且つ前記粒子の外表面に向けて配向して存在している、非水液状組成物。 紫外線吸収能を有する粒子とシリコーンオイルとを含む非水液状組成物であって、 前記粒子が、シリコーンマクロマー(A)と、(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)と、紫外線吸収モノマー(C−2)とからなる共重合体で構成され、 前記シリコーンマクロマー(A)が、前記粒子の全組成の1〜20重量%の割合で前記共重合体を構成し且つ前記粒子の外表面に向けて配向して存在している、非水液状組成物。 紫外線吸収能を有する粒子とシリコーンオイルとを含む非水液状組成物であって、 前記粒子が、シリコーンマクロマー(A)及び(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)からなる共重合体で構成されるシェル層と、(メタ)アクリレート系モノマーを主体とするビニルモノマー(B)及び紫外線吸収モノマー(C−2)からなる共重合体で構成されるコア層とを有し、 前記シリコーンマクロマー(A)が、前記粒子の全組成の1〜20重量%の割合で前記共重合体を構成し且つ前記粒子の外表面に向けて配向して存在している、非水液状組成物。 前記シリコーンマクロマー(A)が、一般式:[上記式(I)中、R1は、炭素数1〜10の直鎖状若しくは枝分かれ鎖状のアルキレン基を表し、R2は独立して直鎖若しくは分岐鎖の炭素数1〜10のアルキル基を表し、mは3〜300の整数を表し、Xは、ラジカル重合性基を表す]で表されるマクロマーである、請求項1〜4の何れか1項に記載の非水液状組成物。 前記紫外線吸収モノマー(C−2)が、一般式(II):[式(II)中、R3は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、R4は炭素数1〜6の直鎖状若しくは枝分かれ鎖状のアルキレン基を表し、R5は水素原子若しくはメチル基を表し、Yは水素原子、ハロゲン基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基、またはニトリル基を表す]で表される、請求項3〜5の何れか1項に記載の非水液状組成物。 前記粒子表面に対する水の接触角が90℃〜120℃である、請求項1〜6の何れか1項に記載の非水液状組成物。 前記共重合体からなる粒子が、0.01〜2μの平均粒径を有する、請求項1〜7の何れか1項に記載の非水液状組成物。 前記シリコーンオイルを、前記共重合体からなる粒子100重量部に対して1〜150重量部含有する、請求項1〜8の何れか1項に記載の非水液状組成物。 前記非水液状組成物の溶液粘度が、固形分50重量%の時に、1000mPa.s以下である請求項1〜9の何れか1項に記載の非水液状組成物 前記有機系紫外線吸収剤(C−1)又は紫外線吸収モノマー(C−2)の表面張力が28mN/m以上(重合前測定値)である、請求項1〜10の何れかに記載の非水液状組成物。 シリコーンマクロマー(a)1〜20%と、(メタ)アクリレートを主体とするビニルモノマー(b)20〜98%と、有機系紫外線吸収剤(c−1)又は紫外線吸収モノマー(c−2)1〜60重量%とを、シリコーンオイル中で1段若しくは2段以上のラジカル重合反応に供する、紫外線吸収能を有する粒子がシリコーンオイル中に分散されている非水液状組成物の製造方法。 請求項1から11の何れか1項に記載の非水液状組成物を含む、サンスクリーン用の化粧品、皮膚外用剤、又はバンデージ剤。 【課題】皮膚上に塗布された時、透明感があり、滑りがよく、べたつきを生じず、キシミ感、ツッパリ感等の違和感もなく、さっぱりとした使用感を有するとともに、紫外線防御能が汗や皮脂等の存在かでも所望の期間持続する、サンスクリーン化粧料、皮膚外用剤又はバンデージ剤用の非水液状組成物を提供する。【解決手段】少なくともシリコーンマクロマー(A)を含む共重合体と紫外線吸収性化合物とを含有する粒子が、シリコーンオイル中に分散している非水液状組成物において、シリコーンマクロマー(A)が、粒子の全組成の1〜20重量%の割合で存在し且つ粒子の外表面に向けて配向しており、一方紫外線吸収性化合物が、独立の成分としてポリマー粒子中に取り込まれているか、又は紫外線吸収モノマーとして当該共重合体の一部を構成している粒子をシリコーンオイル中に分散する。【選択図】なし


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