タイトル: | 公開特許公報(A)_リコンビニアリングコンストラクト、及びジーンターゲティングコンストラクト作製用ベクター |
出願番号: | 2005318209 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C12N 15/09 |
大塚 正人 水谷 晃子 田中 正史 猪子 英俊 JP 2007124915 公開特許公報(A) 20070524 2005318209 20051101 リコンビニアリングコンストラクト、及びジーンターゲティングコンストラクト作製用ベクター 学校法人東海大学 000125369 奥原 康司 100137512 大塚 正人 水谷 晃子 田中 正史 猪子 英俊 C12N 15/09 20060101AFI20070420BHJP JPC12N15/00 A 12 OL 26 4B024 4B024AA01 4B024AA03 4B024AA11 4B024AA20 4B024BA80 4B024CA02 4B024CA20 4B024DA02 4B024DA06 4B024EA04 4B024FA10 4B024FA20 4B024HA09 4B024HA20 本発明は、遺伝子操作技術分野において有用なベクター及びその作製方法に関する。より詳細には、本発明はリコンビニアリングコンストラクト、及びジーンターゲティング(遺伝子標的)コンストラクト(又はベクター)を作製するためのベクター及びその作製方法、並びに該ベクターを用いて作製したジーンターゲティングベクターに関する。 相同組換えによるジーンターゲティング法は、標的遺伝子を自在に修飾することができることからこれまでに広く用いられている。本技術は標的遺伝子を単にノックアウトするだけでなく、ノックインや、複雑なコンストラクトの導入などの遺伝子改変全般において極めて有効な技術である。 ジーンターゲティングベクターの構築は、遺伝子改変を行うにあたり多大な労力と時間を要するステップである。従来、相同組換えに必要なホモロジーアーム(homology arms)をゲノムクローンからクローニングするには、ゲノムライブラリーのスクリーニング、制限酵素地図の作成、さらに多くのクローニングステップを経る必要があった。最近では、マウスのゲノム配列が利用可能になったため、広範囲にわたるマウスゲノムの制限酵素地図を改めて作成する手間は省くことができるようになった。しかしながら、従来の方法によるジーンターゲティングコンストラクトの作製は、依然として複雑なクローニングステップを必要とするものである。特に、サイズの大きな構成要素(選択マーカー、ホモロジーアームなど)を組込むためには、適切な箇所で切断する制限酵素サイトを設定する必要があり、この制限酵素の設定が非常に煩雑で困難な作業となっていた。 ジーンターゲティングベクターの構築にあたり、近年開発されたETリコンビネーション(ET recombination)(Zhangら, Nat Genet, 20:123-128,1998)又はリコンビニアリング(recombineering)(Copelandら, Nat Rev Genet, 2:769-779,2001)と呼ばれるリコンビノジェニック(recombinogenic)な技術は、制限酵素サイトの設定を必要としない極めて有効なDNA操作技術である。この技術はサイズの大きなDNA分子の修飾を可能とするため、本技術を用いることでBAC(細菌人工染色体)由来のインサートをジーンターゲティングベクターの調製に用いることができるようになった。リコンビノジェニックな技術によりジーンターゲティングベクターを作製するためには、標的遺伝子の一部やその相同領域(homologous reagions)など、大腸菌内での相同組換えに必要な構成要素を組込んだ直鎖状DNA基質を調製する必要がある。 直鎖状DNA基質に組込まれる相同領域のサイズが短い場合には(例えば、50bp程度)、相同領域に相当するDNA部分をオリゴヌクレオチドとして合成することが可能で、通常は選択マーカー遺伝子などを増幅するためのPCRプライマーとして付与される。この場合、直鎖状DNA基質をPCRで調製した後、リコンビノジェニックな技術を用いてBACクローン中に挿入し、大腸菌内で相同組換えを行わせることで目的のジーンターゲティングベクターを作製することができる。このような方法は比較的構成の単純なジーンターゲティングベクターの構築によく用いられている。しかし、直鎖状DNA基質をPCR法で調製すると、PCRの過程において、比較的高頻度でDNA基質領域に変異が導入されることがある。特に、IRES、loxP及びレポーター遺伝子を含むような長くて複雑な構成を持つDNA基質を調製する場合には、突然変異が入りやすく望ましい基質を得ることが難しくなる。 Angrandらは、ETリコンビネーション法を従来のライゲーションを用いたクローニング方法と併用することにより突然変異が生じるリスクを回避しようと試みた結果、λゲノムクローンの改変に成功した(Angrandら, Nucleic Acids Res, 27:e16,1999)。しかし、この方法は2ステップの修飾を必要とすることから多少煩雑な作業が必要となる。 Liuら(非特許文献1、特許文献1、特許文献2及び特許文献3)及びValenzuelaら(非特許文献2、特許文献4及び特許文献5)は、直鎖状DNA基質に相同領域を導入するためにライゲーション法に基づいたクローニングを用いた。彼らは、PCRで増幅した200−500bpの相同領域又はオリゴヌクレオチドとして提供される50−200bpの相同領域を用いた。この手法の利点はPCRによって生じる突然変異の可能性を回避する点と、より長い相同領域による組換え頻度の増大に伴う望ましくない組換え産物を除く点である。しかし、バックグラウンドクローンに関しては、PCRで増幅した直鎖状DNA基質の場合、PCRテンプレートをDpnIで切断することにより、ほとんどのバックグラウンドクローンを除去できるのに対し、Liuらの方法では、未切断ベクターによるバックグラウンドクローンを有効に除去することが困難であった。さらに、6塩基認識部位を持つ複数の制限酵素(EcorI、BamHIなど)をうまく設定するなどの煩雑な作業も必要であった。Liuら, Genome Res, 13:476−484, 2003Valenzuelaら, Nat Biotechnol, 21:652−659, 2003WO02/14495US2003/0224521US2004/0092016US2002/0106628US2005/0144655 以上のように、ジーンターゲティングベクターを作製する場合において、リコンビノジェニックな技術又はリコンビニアリングなどによりBACへの修飾を行う段階の作業効率は格段に改善されたが、それよりも前の段階、すなわち、リコンビノジェニックエンジニアリングにおいて用いられるコンストラクトの作製に関しては、依然として従来法による煩雑な手法を用いる必要があった。 従って、本発明の目的は、ジーンターゲティングコンストラクト(ベクター)を作製するためのベクター及びその作製方法を提供することである。 さらに、本発明の目的は、該ベクターを用いて作製したジーンターゲティングベクターを提供することである。 本発明者らは、リコンビノジェニックエンジニアリングにおいて必要となるホモロジーアーム、選択マーカー遺伝子、リコンビナーゼ認識配列を組み込んだ直鎖状DNA基質をいかに簡便に作製するかについて、鋭意研究を重ねた結果、2つ負の選択マーカー遺伝子(例えば、SacB遺伝子)とこれら2つの負の選択マーカー遺伝子の上流及び下流側近傍に同一の制限酵素(例えば、SfiI)によって認識される4つの異なる切断部位を配置することによって、1ステップで直鎖状DNA基質を作製することが可能となることを見いだし、本発明を完成させた。 すなわち、本発明は以下の(1)〜(12)である。(1)本発明の第1の実施態様に係る発明は、「2つの負の選択マーカー遺伝子、及び該2つの負の選択マーカー遺伝子の5’上流及び3’下流側近傍に同一の制限酵素によって認識される4つの異なる切断部位を有してなるプラスミドベクター」である。(2)本発明の第2の実施態様に係る発明は、「前記負の選択マーカー遺伝子がSacB遺伝子である上記(1)に記載のプラスミドベクター」である。(3)本発明の第3の実施態様に係る発明は、「前記制限酵素がSfiIである上記(1)又は(2)に記載のプラスミドベクター」である。(4)本発明の第4の実施態様に係る発明は、「さらなる選択マーカー遺伝子を有して成る上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のプラスミドベクター」である。(5)本発明の第5の実施態様に係る発明は、「前記さらなる選択マーカー遺伝子がGFPuv遺伝子である上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のプラスミドベクター」である。(6)本発明の第6の実施態様に係る発明は、「標的領域及び2つの相同領域を組み込んだ前記プラスミドベクターを直鎖状にするための制限酵素認識サイトをさらに有する上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のプラスミドベクター」である。(7)本発明の第7の実施態様に係る発明は、「前記制限酵素がI−sceIである上記(1)乃至(6)のいずれかに記載のプラスミドベクター」である。(8)本発明の第8の実施態様に係る発明は、「pADY、pAEF、pADWから選択される上記(1)に記載のプラスミドベクター」である。(9)本発明の第9の実施態様に係る発明は、「前記負の選択マーカー遺伝子を相同領域で置換した上記(1)乃至(8)のいずれかに記載のプラスミドベクター」である。(10)本発明の第10の実施態様に係る発明は、「上記(1)乃至(9)のいずれかに記載のプラスミドベクターを用いてジーンターゲティングベクターを作製する方法」である。(11)本発明の第11の実施態様に係る発明は、「上記(10)に記載の方法により作製されたジーンターゲティングベクター」である。(12)本発明の第12の実施態様に係る発明は、「pAGE、pAGF,pAGI、pAGJ、pAHVから選択される上記(11)に記載のジーンターゲティングベクター」である。 本発明のベクターを用いることにより、ジーンターゲティングベクターの構築に必要なホモロジーアーム、選択マーカー遺伝子などの構成要素を保持した直鎖状DNA基質を1ステップで作製することができる。 さらに、この1ステップのクローニング過程において、煩雑な制限酵素の設定作業を回避し、ゲル濾過などによる精製過程を経ずにバックグラウンドクローンの出現を抑えることが可能となることから、ジーンターゲティングベクターの構築に要する時間と労力の短縮を実現することができる。 また、本発明のベクターにGFPuv遺伝子などのさらなる選択マーカー遺伝子を保持させることで、直鎖状DNA基質を保持するプラスミドの選択及びリコンビノジェニックエンジニアリングの過程における組換え体の選択を容易に行うことができる。 以上の点から、本発明のベクターを用いることで、ハイスループットな遺伝子改変を効率的かつ簡便に行うことができる。特に、複雑な構造を持つジーンターゲティングベクターの構築に有効である。 本発明はベクターに関するもので、本ベクターを用いるとリコンビニアリング、及びジーンターゲティングを行うのに必要な相同領域を1ステップで構築することが可能となる。具体的には、本発明のベクターは2つの負の選択マーカー遺伝子と、該2つの負の選択マーカー遺伝子を挟み込むよう位置(すなわち、該マーカー遺伝子の5’上流及び3’下流側に数ベース〜数百ベース離れた位置)に、各々2箇所、合計4箇所、同一の制限酵素で認識される異なる認識配列が配置されたものである。 ここで、「負の選択マーカー遺伝子」とは、栄養選択性であっても薬剤選択性であってもよく、特定の条件下において該マーカー遺伝子が挿入されたプラスミドを保持する宿主細胞を区別できるような遺伝子であれば如何なるものも使用することができる。該マーカー遺伝子は当業者であれば容易に選択可能であるが、例えば、SacB遺伝子、rpsL遺伝子、ccdB遺伝子などが好適に利用可能である。SacB遺伝子は大腸菌にとって致死性の代謝物をスクロースから生成するため、SacB遺伝子を保有する大腸菌はスクロース存在下で生育することができない。そのため、形質転換体をスクロース含有培地で培養することで、SacB遺伝子が相同領域と置換した目的のクローンのみを選択することができる。また、該マーカー遺伝子は本発明に係るベクター1つに少なくとも2つ存在する。該マーカー遺伝子は、2つの相同領域がクローニングされたかどうかを確認するために必要となるものである。相同領域が1箇所のみでは、所望の相同組換えを達成することができない。ここで「相同領域」とは、大腸菌内もしくはES細胞内における相同組換えに必要な領域で、組換えを起こさせたいDNA領域の一部と相同性のあるDNA配列領域のことである。 また、「同一の制限酵素で認識される異なる認識配列」とは、切断が行われた場合、切断部位は非同一かつ非相補的な3’又は5’オーバーハング(突出末端)を生じさせる配列のことである。このような認識配列を複数箇所で切断した場合、各切断部位同士でライゲーションを起こすことがなく、しかも切断部位にクローニングしたい相同領域DNA断片の両末端を各切断部位と相補的になるようにデザインすれば、該DNA断片を所定の方向に挿入することができる。従って、相同領域のクローニングを行うにあたり、ベクターのみ、インサートのみのセルフライゲーションを回避することができ、しかも1種類の酵素のみの使用で、1ステップのライゲーション反応でクローニングを達成することができる。 さらに、相同領域のクローニングを行う上で、このような異なる切断配列を認識することができる酵素は、レアカッターである方が望ましい。特に、長い相同領域のクローニングを行う場合には、相同領域自体を切断せずに切り出せるレアカッター制限酵素が好適に使用可能である。 本発明で用いられる制限酵素は上記性質を有するものであれば如何なるものも使用可能であり、特に限定はしないが、例えば、SfiI、XcmI、BstXI、BbsI、BsaIなどが好適に利用可能である。SfiIは、5塩基でインターラプトされたパリンドローム配列(5’−GGCCNNNNNGGCC−3’;配列番号1)を認識し、切断後、非同一かつ非相補的な3ヌクレオチドの3’オーバーハングが生じる制限酵素である。また、SfiIはレアカッターであるため、本発明における使用には好ましい酵素である。 本発明のベクターは、相同領域、選択マーカー遺伝子、及び/又はコンディショナルジーンターゲティングに必要な構成要素(例えば、loxP、FRT配列などのリコンビナーゼ認識部位)などを構築した後、直鎖状にし、リコンビノジェニックエンジニアリングの過程に使用することができる。直鎖状にする場合には、前記構成要素を切断することなく直鎖状にすることが望ましい。そのため、本発明のベクターは、構成要素を構築した後に直鎖状にするための制限酵素認識サイトを有してもよい。そのような酵素としては、長い認識配列を持つレアカッターが望ましく、例えば、メガヌクレアーゼのI−SceI、I−CeuI、PI−SceI、又は8−塩基認識のレアカッターであるNotIなどが好適に利用可能である。 本発明のベクターには、さらなる選択マーカー遺伝子を含んでもよい。「さらなる選択マーカー遺伝子」とは、「正の選択マーカー」及び「負の選択マーカー」のいずれとしても機能し得るマーカー遺伝子を意味する。すなわち、クローニングの過程において、あるステップでは「さらなる選択マーカー遺伝子」を含むクローンを選択し、他のステップでは「さらなる選択マーカー遺伝子」を含まないクローンを選択することによって、クローニングの目的を達成せしめるような遺伝子のことである。 「さらなる選択マーカー遺伝子」としては、限定はしないが、例えば、galK、lacZ、GFPuvなどが使用可能である。特に、GFPuvが好ましい。GFPuvはGFPの変異体であるが、uvで励起したときに最大の蛍光を発する。GFPuv遺伝子は、相同領域、標的領域などを構築した直後のプラスミドを選択する際には正の選択マーカーとして機能するが、直鎖状にした後、GFRuv遺伝子が除かれるようにデザインすると、リコンビノジェニックエンジニアリングの過程において正しく相同組換えが行われたクローンを選択する際には負の選択マーカーとして利用することが可能となる。つまり、相同領域、標的領域などを構築した直後のプラスミドを選択するには、UVイルミネーターなどにでUVを照射した際、蛍光を発するクローンを選択すればよく、また、リコンビノジェニックエンジニアリングの過程で正しく相同組換えが行われたクローンを選択する場合には、蛍光を発しないクローンを選択すれば最終的にジーンターゲティングベクターを得ることができる。ここで、「標的領域」とは、ターゲティングを行う対象ゲノム領域上に組込む構成要素(例えば、組込むべき任意の遺伝子、選択マーカー遺伝子、ホモロジーアーム、loxPやFRTカセットなどのリコンビナーゼ認識配列など)を含んだDNAのことを意味する。 本発明の方法により作製されたジーンターゲティングベクターも本発明の範囲に含まれる。ここで、「ジーンターゲティング」とは、当業者において最も広く認識される概念であり、特定遺伝子のノックアウトのみならず、ノックインやコンディショナルジーンターゲティングなど、遺伝子改変全般を意味する。本発明のジーンターゲティングベクターは、本発明のジーンターゲティングコンストラクト作製用ベクターを用いることで、当業者において容易に作製することができる。コンディショナルジーンターゲティング用のベクターの作製においては、導入すべきコンストラクトに含まれる構成要素の作製に市販のテンプレートを用いることもできる。 本発明のベクターには大腸菌において効率的に複製する上で必要な構成成分(例えば、複製起点など)、及びクローニングを効率的に行う上で必要となるマルチクローニングサイトなど、通常のクローニングを行う上で当業者が必要と認める全ての構成成分を備えているものである。本発明のベクターを作製する場合、既知のプラスミドベクターを骨格として使用することができる。既知のプラスミドベクターとしては、当該技術分野において利用可能なものであれば如何なるものでもよく、例えば、pBR322系、pBluescrpt系プラスミド、pUC系プラスミドなどが利用可能である。 次に本発明を具体例によって説明するがこれらの例によって本発明が限定されるものではない。 本実施例において用いた遺伝子操作技術は当業者が通常行っている方法に基づいている(Sambrookら, Molecular cloning: A laboratory manual. 3rd ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Habor, NY. 1989)。1.本発明のベクターの説明 本発明において構築した新規クローニングベクター(図1、pADY(配列番号53),pAEF(配列番号54),pADW(配列番号55))は相同領域を1ステップでクローニングできるようにデザインされている。本実施例においては、以下の2つの理由に基づいてSfiIサイト(5’−GGCCNNNNNGGCC−3’、配列番号1)をこれらのベクターに導入した。第1の理由は、インターラプトされたパリンドローム構造をとるSfiI認識サイトがSfiIによって切断されると、非同一かつ非相補的な3ヌクレオチドの3’オーバーハングが生じる点にある。相同領域DNAフラグメントの両末端配列を、挿入すべきSfiI認識配列と相補的になるようにデザインすれば、該DNAフラグメントは目的の位置と方向(図1最上段及び図3を参照のこと)になるようにクローン化することができる。また、ベクター中に導入された4つのSfiIサイトの各末端は、同一のSfiI酵素の切断により生じるが、相補的でも自己相補的でもないため、ベクターのみ又はインサートのみによるセルフライゲーションは起こらない。従って、1ステップのライゲーション反応により、2つの相同領域のクローン化を簡便かつ迅速に行うことができ、SfiI以外の他の酵素も必要としない。2つ目の理由は、SfiIはレアカッター制限酵素であるため、相同性領域として機能し得る比較的長いDNAフラグメントのクローニングに適していることである。本実施例では、4つのSfiIサイトをpBluescriptベースのベクターに導入した。 さらに、これらのベクターは2つのSacB遺伝子を保持しており、各々2つのSfiIサイトに挟まれている(図1)。SacB遺伝子産物はレバンスクラーゼと称され、スクロースを宿主細胞に毒性を有するレバンに変換する(Gayら, J Bacteriol, 164(2):918-921, 1985)。そのため、SacB遺伝子は負の選択マーカーとして有用である。SacB遺伝子はクローニング過程で容易に相同領域と置換することができる(図3)。 1−1.pADYベクター pADYベクター(図1)は、リコンビノジェニッククローニング法で用いられる直鎖状DNA基質の構築のために開発したものである。このベクターには、マルチクローニングサイト(AscI、XbaI、SpeI及びNheIを含む)が配置されている。XbaI、SpeI及びNheIサイトは同じ粘着末端(5’−CTAG−3’、配列番号2)を生じさせる。相同領域及び標的フラグメントをベクター中に構築した後(例えば、図3のpAFD)、そのまま使用可能な直鎖状DNA基質を作製するために該プラスミドをメガヌクレアーゼのI−SceIで切断した。PCR増幅直鎖状DNA基質を用いた初期のリコンビノジェニックエンジニアリングでは、PCRテンプレートプラスミドのコンタミネーション由来のバックグラウンドクローンの出現をDnpIでテンプレートを切断することにより抑制することができた。しかし、本実施例では、プラスミドに由来する直鎖状DNAフラグメントを基質として使用したため、そのようなアプローチは実用的ではなかった。そこで、それに代わる手段として、本発明のベクターに、GFPuv遺伝子をpADYのlacプロモーターの3’下流に導入した(図1)。GFPuv遺伝子を持つpADY及びpAEFを保持するコロニーのみがUVランプ照射によって蛍光を発した(図2)。 1−2.pAEFベクター pAEFベクター(図1)はリコンビノジェニッククローニング技術法を用いたBACクローンのサブクローニングによるジーンターゲティングベクターの構築に使用することができる。pAEFベクター中のSacB遺伝子を相同領域で置換して得られたベクター(例えば、図5のpAFQ)を、AscIで消化した後、BACサブクローニングに使用した。pAEFに含まれるGFPuvカセットはGFPuvネガティブ非組換えクローンを除去するのに使用することができる。また、ES細胞のジーンターゲティングに使用されるネガティブ選択マーカーであるジフテリアトキシンフラグメントA(DT−A)カセットをpAEF中に導入した。得られたジーンターゲティングベクターを直鎖状にするために、I−SceI認識部位を配置した。 1−3.pADWベクター pADW(図1)は従来のPCRベースの方法によるジーンターゲティングコンストラク作製用に開発したものである。PCR増幅したホモロジーアームをpADW中に導入した(例えば、図5のpAIP)。この場合、より長いホモロジーアームがES細胞における効率的な相同組換えを促進するため、ホモロジーアームの長さは十分に長い(〜10kb)必要がある。pADYと同様に、AscI、XbaI、SpeI及びNheI酵素サイト及びDT−AカセットがpADW中に含まれている。 1−4.pAEJ及びpAEKベクター pAEJ(配列番号56)及びpAEKベクター(配列番号57)(図1)は、相同領域の両末端にSfiIサイトを導入するためのプラスミドである。両末端にAscIサイトを持つPCR増幅相同領域をAscI切断の後これらのベクターのMluIサイト中にクローン化することができる。AscIはレアカッター制限酵素であるため、より長いDNAフラグメントをこれらのベクター中にクローン化し、相同領域として使用することができる。2.本発明のベクターの構築 本発明の実施おいて用いた制限酵素は、全てNew England BioLab(NEB社)から購入した。pAEJとpAEKを構築するためにpUC119のマルチクローニングサイトをSfiIとMluIサイトで置き換えた。各SfiIサイトは非同一の粘着末端を生じるようにデザインした。pADY、pADW及びpAEFは、複数のステップにより構築した。これらのベクターのバックボーンはpBluescriptであるが、KpnIサイト以外のマルチクローニングサイトは除かれている。マルチクローニングサイト(AscI,XbaI,SpeI及びNheI)はオリゴヌクレオチドリンカー(配列番号3及び配列番号4)として提供される。用いたSacB遺伝子はpDNR−Dual(Clontech社)に由来するものである。両側にSfiIサイトを持つSacB遺伝子は、pDNR−Dualテンプレートとして、以下のプライマーによりPCR増幅させ、BamHI/EcoRI切断後、pUC119ベクターに導入した。次にSacBカセットを、BbsI、I−SceI及びXhoIを用いてpADY、pADW及びpAEF中に構築に使用した。pADY用 GE−F2 (配列番号5) GE−R3 (配列番号6)pAEF用 GE−F4 (配列番号7) GE−R2 (配列番号8)pADW用 GE−F1 (配列番号9) GE−R1−2 (配列番号10) pAEF中のGFPuv遺伝子は、pGFPuv(Clontech社)をから以下のプライマーセットを用いて増幅し、AscI切断の後、ベクター中に導入した。 GE−F3 (配列番号11) GE−R5 (配列番号12) pADY中のGFPuv遺伝子は、pGFPuv(Clontech社)をから以下のプライマーセットを用いて増幅し、PCR増幅産物をBstIで切断後、ベクターのKpnIサイトに導入した。 F (配列番号13) R (配列番号14) pADY中のGFPuv遺伝子は、pBluescriptのlacオペレーター配列のコントロール下、読み枠が合うにように配置されている。pADW及びpAEF中のDT−A遺伝子は、pMC1DTpAベクターのHindIII/XhoIフラグメントに由来する(12)。3.相同領域の1ステップクローニング 3−1.結果 本発明によって開示されるベクターを用いた相同領域の1ステップクローニング手順を図3に示した。相同領域をまずpAEJとpAEKに挿入する(図3−a)。相同領域は、二重鎖オリゴ(図3―b)又はベクターのSfiIサイトに相補的な粘着末端を持つPCR増幅フラグメント(図3−c)としても提供される。SfiI切断ベクター(図3中のpAEY)はSfiI切断HR1(相同領域1)とHR2(相同領域2)の両方と一度の反応で直接ライゲーションさせることができる。非同一なSfiI切断によって生じた粘着末端を用いると、pAFD(図3)などの正しくライゲートしたクローンが得られる。 本発明のベクター中に存在するSacB遺伝子及びSfiIサイトが相同領域のクローニングにおいて効率的に機能するかどうか評価するためにクローニング効率を調べた(表1)。この実験において、50bp−二重鎖オリゴとして供給された異なる濃度の相同領域(HR)を、標的フラグメントを含むSfiI切断pAEYベクターとのライゲーションに用いた(図3)。オリゴの配列は、非古典的クラスI MHC分子の一つであるH2−M5遺伝子座位の配列と相同である。相同領域のクローニング効率を、ゲル濾過を行ったベクターと行わなかったベクター、及びスクロースを含むLBプレートとスクロース含まないLBプレートとの間で比較した(表1)。より高い濃度のオリゴを相同領域として用いた場合、生じたクローンのほとんどは、スクロースを含まない場合であっても、相同領域を保持した正しいクローンであった。多くのバックグラウンドクローンは、より低い濃度のオリゴを非ゲル濾過ベクターとライゲーションし、形質転換体をスクロース非存在下で培養した場合に生じたが、スクロースの存在下で培養することで顕著に減少した。この条件では、選択した全ての組換体クローンが両方の相同領域を正しい位置及び正しい方向で含んでいた(表1、kan/amp/suc)。また、400−600bpのPCR増幅フラグメントを相同領域の入手源として用いた場合でも(図3−c)良い結果が得られた。 相同領域を供給するDANフラグメントがpAEJ及びpAEK(図1)のインサートから供給される場合、pADY及びpAEFに含まれる変異型緑色蛍光タンパク質をコードするGFPuv遺伝子がポジティブ選択マーカーとして有効に機能した。表2はポジティブセレクションとしてのGFPuv遺伝子の利用効果を示している。本実験において、pAEJ及びpAEK中にH2−M5遺伝子座位(Takadaら, Genome Res, 13(4):589-600, 2003)のHR1及びHR2を各々保持するpAFE及びpAFFを用いた(表3を参照)。pAFE及びpAFFをSfiIで切断することによって調製した相同領域に対して、ゲル濾過を行わなかった。これらのフラグメントは、ゲル濾過も脱リン酸化も行っていないSfiI切断ベクターpAEF(図1)又はpAEY(図3)とライゲーションさせた。そのため、多くのバックグラウンドクローンを出現させ得るpAFE及びpAFFに由来するベクター骨格もライゲーションミックスに含まれていた。pADY由来のpAEYは、大腸菌にカナマイシン耐性を付与するneoを含む複雑なインサートを含んでいる(図3)。形質転換体をアンピシリンとスクロースの存在化において選択した場合、未切断及び/又はセルフライゲートしたpAFE及びpAFFベクターに由来する多くのバックグラウンドクローンが生じた。これらのバックグラウンドクローンは、pAEJ及びpAEKにβ−ラクタマーゼ遺伝子を使用する代わりにzeocin(ゼオシン)などの他の選択マーカーを導入することによって回避することができる。あるいは、本発明のベクターに含まれるGFPuv遺伝子が発する緑色蛍光の有無によってもバックグラウンドクローンから正しいクローンを効率よく選別することが可能である。本実験において、GFP蛍光選択の後、1/2以上のクローン(GFP+)が正しいクローンとして見いだされた(表2)。この結果は、GFPuv遺伝子が相同領域のクローニングにおいてポジティブ選択マーカーとして有用であることを示す。特に、カナマイシンによる選択により、pAEYベクターに由来するバックグラウンドクローンを完全に除去することができた。 また、本発明のベクターは、5kb以上の長い相同領域をクローニングするためにも有効に利用することができた(図4及び図5)。従って、本発明のベクターは、ES細胞における相同組換えに直接使用することができる長い相同領域の組込みにも利用することができることを示す。本方法により、ジーンターゲティングベクターを1週間以内で構築することが可能となる。 3−2.方法 H2−T3TV(H2−H3ジーンターゲティングベクター)構築のためのHR1(相同領域1),HR2(相同領域2),HR3(相同領域3)及びHR4(相同領域4)は、KOD−plusDNAポリメラーゼ(TOYOBO社)を用いて、BACクローン(citb585c7[AF532116](Takadaら, Genome Res, 13(4):589-600, 2003))をテンプレートとして以下のプライマーによりPCR増幅した。HR1用 T3−uHOM−F (配列番号15) T3−uHOM−R (配列番号16)HR2用 T3−dHOM−F (配列番号17) T3−dHOM−R (配列番号18)HR3用 T3−uHOM−TVET−F (配列番号19) T3−uHOM−TVET−R (配列番号20)HR4用 T3−dHOM−TVET−F (配列番号21) T3−dHOM−TVET−R2 (配列番号22) 増幅したフラグメントは、pAFB(HR1)、pAFC(HR2)、pAFI(HR3)、pAFO(HR4)を作製するために、pAEJ(HR1及びHR3)又はpAEK(HR2及びHR4)のMluIサイト(脱リン酸化済み)にAscIを用いて挿入した。pAEYとpAEFを保持するDH5α株(TAKARA社)は、アンピシリンを添加したLB培地中で一晩培養した。プラスミドは4mlの培養液からアルカリ法により単離し、最終的に、50μlのTE(10mM Tris,0.1mM EDTA)に溶解させた。この溶解液の3μlを100μlの反応液中で、40UのSfiIを用いて50℃、3時間反応させた。反応後、SfiIで切断したpAEYとpAEFをフェノール抽出し、エタノール沈殿で回収し、2μlの水に溶解させた。pAFB、pAFC、pAFI及びpAFOに関しては、SfiI切断サンプルをゲル電気泳動し、インサートを切り出し、GeneElute Extraction Kit(Sigma社)で抽出し、最終的に2μlの水に溶解させた。pAFDを作製するために、SfiIで切断した0.15μlのpAEYサンプルと、SfiIで切断したpAFB及びpAFC由来のインサートを含むサンプル各0.15μlを、5%PEG8000の存在下、36UのT4DNAligaseを用いて、総体積0.9μl中にてライゲーションさせた(図3)。16℃、30分間反応させた後、ライゲーションしたサンプルの10μlを用いてDH5αを形質転換した。SOC培地中、37℃で1時間反応させた後、サンプルの1/2を100μg/mlのアンピシリン、25μg/mlのカナマイシン、7%のスクロースを添加したLBプレート上にプレートし、37℃で一晩インキュベートした。 翌日、GFPuvによる蛍光を発している(>98%)コロニーが数多く(>300)出現した。これらのコロニーから8コロニーを選択し、正しいインサートが挿入されていることをPCR及び配列決定により確認した。その結果、チェックした全てのコロニーは正しいコロニーで、それらの1つ(pAFD)を次のリコンビニアリングに用いた。サブクローニングコンストラクトであるpAFQは、アンピシリンとスクロースが存在すること以外はpAFDを作製したときと同じ手順により、SfiIで切断したpAEFとSfiIで切断したpAFI及びpAFOのインサートをライゲーションさせた。pAFQのクローニング効率は、pAFDとほぼ同程度であった。pAFDとpAFQはH2−T3TV(pAFP)の作製に用いた(図5−a)。 他のH2−T3TV(pAIP)もpAEXを用いて標準的なライゲーションベースのクローニングにより作製した。ロング及びショートホモロジーアーム(図5−c)は、KOD−plusDNAポリメラーゼ(TOYOBO社)により、以下のプライマーを用いてBACクローンからPCR増幅した。ロングアーム用 T3−uHOM−ADW−F2 (配列番号23) T3−uHOM−ADW−R2 (配列番号24)ショートアーム用 T3−dHOM−ADW−F2 (配列番号25) T3−dHOM−ADW−R2 (配列番号26) 増幅したフラグメントは、AscIを用いて切断し、pAEJとpAEKにクローン化し、pAIHとpAIGとした。これらのプラスミドから、ホモロジーアーム領域をSfiIで切り出し、アガロースゲルで精製した。両方のホモロジーアームは、SfiIで切断pAEX(ゲル濾過及び脱リン酸化を行っていない)と1ステップでライゲーションさせ、pAIPを得た(図5−b)。 表1に示した実験の手順を以下に示す。 相同領域の入手源としてH2−M5遺伝子座と相同な15bpのオリゴを用いた。オリゴの配列は以下の通りである。HR1用 M5−u−1 (配列番号27) M5−u−2 (配列番号28)HR2用 M5−d−1 (配列番号29) M5−d−2 (配列番号30) 各オリゴは、濃度が300μMとなるようにTE(10mM Tris、0.1mM EDTA)に溶解させた。8μlのM5−u−1及びM5−u−2(HR1)又はM5−d−1及びM5−d−2(HR2)は2μlの水、2μlの10xT4ポリヌクレオチドキナーゼバッファー(NEB社)と混合し、総体積20μlとした。これらのオリゴ溶液は96℃で5分間変性させた後室温まで冷却し、水で希釈した(1:100、1:1000、1:10000)。2mlの一晩培養したサンプルから単離したpAEYの3/50に相当する2サンプル(各々約100ng)を総体積100μlとして、40UのSfiIで50℃3時間切断した。フェノール抽出及びエタノール沈殿の後、1サンプルを2μlの水に溶解させ、ライゲーションに用いた(表1の「ゲル濾過なし」を参照)。これに対して、他のサンプルは、1xTAEを用いて低温度溶解アガロースゲルで電気泳動した。ベクター配列と4.3kb領域を有するSfiIフラグメントをゲルから切り出し、GeneElute Kit(Sigma社)で精製した。SacB遺伝子を含んだSfiIフラグメント(1.9kb)は、ゲルから切り出さなかった。精製したDNAはエタノール沈殿を行い、2μlの水に溶解し、ライゲーションに用いた(表1のゲル濾過)。 SfiIで切断したベクター(0.3μl)は、0.3μlの希釈したHR1と0.3μlの希釈したHR2と5%PEG8000の存在下、72UのT4DNAligaseを用いて、総体積1.8μl中にてライゲーションさせた。ライゲーション混合液中のHR(オリゴ)の濃度は、各々、200、20、2nMであった。相同領域のフラグメントを加えないベクターのみのサンプルもネガティブコントロールとして反応を行った。ライゲーションは16℃で30分間行った。各ライゲーション後のサンプルで、20μlのDH5α(TaKaRa社)を形質転換させた。LB倍中、37℃でインキュベートした後、1/5のサンプルをアンピシリン(100μg/ml)、カナマイシン(25μg/ml)及びスクロース(7%)を含んだLBプレート上にプレートした。コロニーの数を数えたのち、各プレートから8個のコロニーを選択してPCR解析を行った。正しく挿入された相同領域は、以下のプライマーを用いてPCRにより確認した。 M5−dHOM−F (配列番号31) M13F (配列番号32)及び、 PKG−R2 (配列番号33) M13R (配列番号34)及び、 Globin−F2 (配列番号35) M13F (配列番号32) 表2に示した実験の手順は以下に示す。 H2−M5遺伝子座のHR1とHR2(各々pAFEとpAFFに相当)を用いた。これらの相同領域を作製するために、テンプレートとしてBACクローン(citb544e14[AF532114])を用い、以下のプライマーでKOD−plusPCRを行った。pAFE用 M5−uHOM−F (配列番号36) M5−uHOM−R (配列番号37)pAFF用 M5−dHOM−F (配列番号31) M5−dHOM−R (配列番号38) 増幅させたフラグメントをAscIで切断し、エタノール沈殿後、ゲル濾過を行い、pAEJ又はpAEKとライゲーションさせて、最終的に、pAFEとpAFFを作製した。各4mlの一晩培養物から得たプラスミドDNA(pAEF、pAEY、pAFF及びpAFF)の1/25量を、総体積100μlとして、40UのSfiIで50℃、3時間切断した。エタノール沈殿後、全てのサンプルを2μlの水に溶解させた。ライゲーションの前に、全てのサンプルについて、ゲル濾過及び脱リン酸化を行わなかった。SfiIで切断したpAEF又はpAEY(各0.15μl)は、0.15μlのSfiI切断したpAEF及び0.15μlのSfiI切断したpAFFと5%PEG8000の存在下、36UのT4DNAligaseを用いて、総体積0.9μl中にてライゲーションさせた。 16℃で30分間ライゲーション行った後、各ライゲーション後のサンプルで、10μlのDH5α(TaKaRa社)を形質転換させた。各サンプルはSOC培地で希釈後それらの一部を表2に示す抗生物質を含むLBプレート上にプレートした。コロニーの数を数えたのち、形質転換したサンプルの総量から得られる、予想コロニー数を計算し、表2に示した。GFPuvの蛍光を長波長UVランプを用いて確認し、正しく挿入された相同領域を以下のプライマーを用いてコロニーPCR法により確かめた。 Globin−F2 (配列番号35) M13F (配列番号32)及び、 GFPuv−F (配列番号39) M5−uHOM−R (配列番号37)及び、 DT−seq (配列番号40) M13R (配列番号34)4.ジーンターゲティングベクター構築のための本発明ベクターの適用例 4−1.結果 ホモロジーアームをジーンターゲティングベクターに導入する最も簡便な方法の一つとして、ゲノムDNAに由来するPCR増幅フラグメントをクローニングする方法がある。pADWはこのような方法のためにデザインされたベクターである。pADWから作製されたpAEX(図5−b)を用いて、H2−T3遺伝子座に対応するホモロジーアームを具備したジーンターゲティングベクターを構築した(図4、5−b、c)。この方法が、SfiIサイトを用いると6.5kbの長いアームと1.4kbの短いアームを含む、より長い相同領域のクローニングに有用であることが確認された。しかし、PCRによって得られるホモロジーアームは、しばしば突然変異を有し、生じたノックアウトマウスにおいて予期せぬ表現型を引き起こすことも皆無ではない。また、ゲノムDNAに対して高い正確性を持つロングPCRを行う場合、しばしば5kb以上の標的領域の増幅ができないという問題もある。そこで、以下の実験では、変異のないホモロジーアームの取得ができるマウスのBACクローンを用いた。 PCR法を利用せずに制限酵素を用いてジーンターゲティングベクターを構築する従来の方法は、ゲノムDNA上に適当な制限酵素サイトが存在するか否かに依存するところが大きかった。これに対し、リコンビノジェニックエンジニアリングは大腸菌における相同組換えに基づき、簡便で迅速なBACの修飾を効率的に可能ならしめる。ゲノムDNA上の適当な制限酵素サイトを調べる必要がないため、ジーンターゲティングベクターの構築にあたり有効な方法になると思われる。本発明のベクターであるpADY及びpAEFを組み合わせてリコンビノジェニックエンジニアリングシステムにおいて使用することにより、迅速かつ簡便なジーンターゲティングベクターの構築を実現することができた(図5)。 本実験においては、まず、4.3kbコンストラクト(選択マーカーであるECFPと幾つかのサイト特異的な変異loxPサイトのようなリコンビナーゼ認識サイトを含んでいる)をpADYのクローニングサイトに導入し、pAEYを作製した(図3)。pAEYは、H2−T3ゲノム領域中に対して、ノックアウトのみならず、大きな欠失又は挿入変異を誘導するために作製した。 リコンビノジェニックエンジニアリング法においては、宿主としてDY380大腸菌株を使用し、ジーンターゲティングベクターの構築にpAFD及びpAFQを用いた。本実験においては、図5−aに示すような2ステップのリコンビニアリングが必要である。2つのステップはどちらを先に行っても良いが、本実施例で行ったようにステップ1を先に行うと、ゲノムサザンのパターンを野生型及び修飾BACを用いて実験の初期の段階でチェックすることができるという利点を有し、BACクローンの完全配列が未知の場合には極めて有効である。 本方法においては、ジーンターゲティングベクターを構築するにあたり、直鎖状DNA基質が由来するベクターによるバックグラウンドを除くために、GFPuv遺伝子を負の選択マーカーとして使用した(図5−a及びc)。得られた組換体クローン及びH2−T3TVが目的のものであるかどうか、PCR法、配列決定(シークエンシング)及び制限酵素解析によって確認した(図6)。 本発明のベクターを利用することにより、相同領域の1ステップクローニング及びジーンターゲティングベクターの構築を含む全ての方法工程を約2週間で完了することができた。 4−2.方法 H2−T3遺伝子座に導入された3つ部位特異的組換え部位、ネオマイシン耐性遺伝子(neo)、IRES及びECFPを含む4.3−kbフラグメントは、複数のステップを経るライゲーションに基づくクローニングにより作製した。3つの部位特異的組換え部位、FRT,変異lox(mlox:JT15(Thomsonら, Genesis, 36(3):162-167, 2003)),及びlox2272はオリゴを用いたライゲーションに基づくクローニングにより作製した。作製されたフラグメントはpUC119中にクローン化し、カセットとして用いた。PGKプロモーターにより発現されるネオマイシン耐性遺伝子は、pPGK−neo−loxP(Gene Bridges社)に由来する。pCAGGS−FLPe、IRES配列は、D1Fプライマー(配列番号41)とD1Rプライマー(配列番号42)のペアーにより増幅され、pUC119ベクター中にクローン化され、IRESカセットとして用いた。ECFPカセットはpECFP−nucベクター(Clontech社)から、B1Fプライマー(配列番号43)とEYFP−Nuc−R1プライマー(配列番号44)のペアーにより増幅されたPCRフラグメントをクローニングすることにより調製した。ポリA配列(ラビットβグロビンンポリA)は、pCGN2Δ2ベクターからGlobin−Fプライマー(配列番号45)とGlobin−Rプライマー(配列番号46)のペアーにより増幅され、pBluescript(SK+)に導入され、ポリAカセットとして用いた。全てのヌクレオチドカセットはシークエンスにより配列を確認した。これらのクローニングカセットはpAEYに含まれる複雑な4.3kbコンストラクトに用いた(図2)。また、4.3kbフラグメントは、pADWにも挿入された;作製したプラスミドはpAEXと呼ぶ。 主にLiuらの方法(Liuら, Genome Res, 13(3):476-484, 2003)に基づくリコンビニアリング法をH2−T3 TVを構築するために適用した。 まず、citb585c Bacクローン(129/SVマウス系に由来するCITBライブラリー、Research Genetics社)をDY380大腸菌宿主株(Neal G.Copeland博士より分譲を受けた)にエレクトロポレーション法により導入し、形質転換されたBACが正しいインサートを持っているか制限酵素分析により確認した。 citb585c Bacを含むDY380細胞を5mlのLB培地に植菌し、30℃で一晩培養した。翌日、一晩培養物から1mlを分取し20mlのSOBに添加し、OD600の値が0.6になるまで振とう培養を行った。次に、細胞の10mlを新しいチューブに移し、42℃で15分間振とう後氷水中で15分間冷却した。細胞を0℃、2500rpmで10分間遠心した。得られた細胞の沈殿を888μlの氷冷した10%グリセロールに懸濁し、1.5mlエッペンドルフチューブに移した。10%グリセロールで3回洗浄後、沈殿を100μlの氷冷した10%グリセロールに再度懸濁し、直鎖状DNA基質のエレクトロポレーションに使用した。直鎖状DNA基質を作製するために、4mlの一晩培養物から得たpAFD又はpAFQの3/50量をI−SceI又はAscIで切断し、アガロースゲルで抽出後、最終的に2μlの水に溶解させた。水に溶解させたサンプルから1μlを50μlのコンピテント細胞と混合し、エレクトロポレーション法(GenePulser;BioRad社、1.75kV,25μF,200Ωのコントローラーを使用)により形質転換を行った。その後、1.0mlのSOBを各キュベットに加え、30℃にて1時間インキュベートした。細胞は、適当な抗生物質の存在下でプレート上に広げた。 正しく組換えられたクローンは以下のプライマーを用いてPCRによりスクリーニングを行った。ステップ1 T3−uHOM−check−F (配列番号47) PKG−R2 (配列番号33)及び、 T3−dHOM−check−R2 (配列番号48) Globin−F2 (配列番号35)ステップ2 DT−seq (配列番号40) Globin−F2 (配列番号35)及び M13R (配列番号34) T3−dHOM−check−R (配列番号49) ステップ1で作製される修飾したBACクローンに関して、正しい組換えが行われたことをBglIの切断パターン、及び後述のES標的クローンの検出に用いたプローブによるサザンブロット分析によって確認した。得られたジーンターゲティングベクター(pAFP)は、配列決定(シークエンシング)により確認した。5.マウスES細胞におけるジーンターゲティング 5−1.結果 得られたH2−T3TVを、ユニークなサイトであるI−SceIサイトで切断し、E14.1及びE14tg2aES細胞中にエレクトロポレートした。7つの相同組換クローンが、278個のG418耐性コロニーからPCR法によってスクリーニングされた。さらに、得られたクローンが目的の組換体であるかどうか、ゲノムサザンハイブリダイゼーション分析によって確認した(図6)。これらのクローンを用いてキメラマウスを作製し、生殖系列への伝播を確認している。 5−2.方法 リコンビノジェニックエンジニアリングによって調製したH2−T3TVであるpAFPをI−SceIにより直鎖状にした。20μgの直鎖状ジーンターゲティングベクターを1×107のE14.1(Kuhnら, Science, 254(5032):707-710, 1991)及び1×107のE14tg2a(Hooperら, Nature, 326(6110):292-295, 1987)ES細胞にエレクトロポレーション法により導入した。まず最初に、G418耐性ES細胞を以下のプライマーを用いてPCR法によりスクリーニングした。 Globin−F2 (配列番号35) T3−dHOM−TVET−R (配列番号50) 正しくターゲティングされたクローンは、以下のプライマーを用いてBAC DNAから増幅された断片を、ランダムプライミング法により32P標識化して作製したプローブにより、サザンブロット分析にて確認を行った。 T3−short−probe−F (配列番号51) T3−short−probe−R (配列番号52) E14tg2aES細胞由来の2つのクローンを(C57BL/6JxBDF1)F1マウス胚盤胞にマイクロインジェクションした。生殖細胞キメラが標的化されたESクローンの1つから得られた(3D2、 図6)。6.通常のジーンターゲティング及びコンディショナルジーンターゲティングに有用なベクター 6−1.本発明のジーンターゲティングベクター 以上詳細に示した結果より、本発明のベクターであるpADY及びpADWはジーンターゲティングベクターの構築を行うにあたり、有用なプラスミドであることが明らかとなった。 なお、上記のH2−T3TVは、neo、ECFP遺伝子及び3つのサイト特異的な組換えサイトを含んでおり、ある特定の目的のためにデザインされたものである。従って、より一般的な目的、例えば、通常のノックアウトマウスの作製又はコンディショナルノックアウトマウスの作製など、より一般的な目的には他のジーンターゲティングベクターを用いることができる。他のベクターの作製も本発明のベクターを用いることで、簡便かつ迅速に実施することが可能である。一般的なジーンターゲティングベクターの構築に有用なpADY由来のベクターを表3に示した(pAGE(配列番号58)、pAGF(配列番号59)、pAGI(配列番号60)、pAGJ(配列番号61)、pAHV(配列番号62))。これらのベクターは通常のジーンターゲティング又はコンディショナルジーンターゲティングに使用することが可能である。 6−2.本発明のジーンターゲティングベクターの作製 6−2−1.pAFZの作製 pAGE、pAGF、pAGI、pAGJ、pAHVを作製するにあたり、以下のプライマーを用いてPGK−neo−loxP(GeneBridges社)をテンプレートとしてPCRを行い、得られた増幅産物をXbaIとEcoRI切断してpACS(pBluescript−based vectorで、KpnI以外のMCSが除かれており、I−SceI、SfiI、NheI、StyI、SpeI、XbaI等の制限酵素サイトを含んだリンカーが導入されているもの)のXbaIとNheIサイトに挿入した(pAFZ)。 PGK−neo−F (配列番号63) PGK−neo−R (配列番号64) 6−2−2.loxPカセット(pAFY)の作製 loxP−F1 (配列番号65) loxP−R1 (配列番号66) loxP−F2 (配列番号67) loxP−R2 (配列番号68) loxP−F1及びR1、loxP−F2及びR2を用いてテンプレートなしでPCRを行ってプライマーダイマーを作る。その結果、各々以下の配列のDNAフラグメントが作製された。 loxP−1 (配列番号69) loxP−2 (配列番号70) 次に、loxP−1をXbaIとBbsI切断、loxP−2をEcoRIとBbsI切断し、pBluescriptのXbaI/EcoRIサイトに3−フラグメントライゲーションで導入した。作製されたインサートの配列は、XbaI_loxP_StyI_loxP_NheI_EcoRI(配列番号71)で、得られたベクターをpAFYと称する。 6−2−3.FRTカセット(pA166)の作製 2種類の二重鎖オリゴヌクレオチドを以下の2組のプライマーセットを用いてPCR法(テンプレートなし;プライマーダイマーを作らせる)で作製後、各々制限酵素で切断し、3−フラグメントライゲーション一度にベクターに導入する。 082−FRT (配列番号72) 083−FRT (配列番号73)及び、 084−FRT (配列番号72) 085−FRT (配列番号73) まず、082−FRT及び083−FRT、084−FRT及び085−FRTを用いてテンプレートなしでPCRを行った結果、各々以下の配列のDNAフラグメントが作製された。 FRT1 (配列番号76) FRT2 (配列番号77) 次にFRT1をBamHIとBbsI切断、FRT2をEcoRIとBbsI切断し、pUC119ベクターのBamHI/EcoRIサイトに3−フラグメントライゲーションで導入した。作製されたインサートの配列は、BamHI_SpeI_FRT_StyI_FRT_NheI_EcoRI(配列番号78)で、得られたベクターをpA166と称する。 6−2−4.pAGEとpAGFの作製 pAFZをXbaI/NheI切断し、1776bpのneo耐性遺伝子の入った断片を回収した後、pAFYをStyIで切断し、切断部位に回収した断片を導入した。その結果、方向性の異なるpAGB及びpAGDが作製された。次に、pAGB又はpAGDをXbaI/NheI切断して得られたneo耐性遺伝子を含む断片を、pADY (図1)のXbaI切断部位に挿入した。得られたベクターが、各々、pAGE(配列番号58)及びpAGF(配列番号59)である。 6−2−5.pAGI、pAGJ及びpAHVの作製 pAFZをXbaI/NheI切断して得られた1776bpの断片をpA166のStyI切断部位に挿入した。得られたベクターをpAGGと称する。 一方、pAGFをEL350大腸菌(Neal G.Copeland博士より分譲:Genome Res, 13: 476-484, 2003)に導入した。EL350は、DY380と同様にリコンビニアリングを可能とする大腸菌宿主であるが、アラビノースを培地に加えることによってCreタンパク質が発現し、その結果、Cre−loxP部位特異的組換えを誘導することができる。pAGFを導入したEL350の培養液にアラビノースを加え、Cre−loxP組換えを誘導し、pAGF内の2つのloxPに挟まれたneo耐性遺伝子領域を欠失させた。得られたプラスミドをpAGHと称する。 次に、pAGGをNheI/SpeIで切断した。この時、SpeIは部分分解とした。得られた1860bpの断片を、pAGHのXbaI切断部位に挿入してpAGI(配列番号60)を、pAGHのNheI切断部位に挿入してpAGJ(配列番号61)及びpAHV(配列番号62)を作製した(pAGJとpAHVはFRT−neo−FRTの向きが逆となっている)。プラスミド名 受領番号 寄託日pADY FERM AP−20701 2005年10月28日pADW FERM AP−20702 2005年10月28日pAEF FERM AP−20703 2005年10月28日本発明により開発されたクローニングベクターの模式図を示す。各ベクターの模式図には、必要な構成要素及び制限酵素サイトが示されている。SfiIの切断部位は全て異なる配列に設定されている。また、相同領域を供給するためのpAEJ及びpAEKのSfiIサイトも全て異なる配列を示している(最上段)。pADYはリコンビニアリングにおいて使用する直鎖状DNA基質の構築するためのベクターである。pAEFは、BACクローンのサブクローニングを行うことによって、ジーンターゲティングコンストラクトの構築ために開発されたものである。pADWは、従来法によって、ジーンターゲティングコンストラクトの構築ために開発されたものである。SacBはSacB遺伝子を、DT−AはジフテリアトキシンフラグメントA発現カセットを、GFPuvはGFPuv遺伝子を示す。GFPuv由来緑色蛍光を発するpADY及びpAEFを保持する大腸菌のコロニーを示す。左の図は、図1に示すベクターを保持する大腸菌をアンピシリンを添加したプレート上にて培養した結果得られたコロニーを示す。右の図は、長波長UVランプによって蛍光が確認されたコロニーを示す。1ステップによりH2−T3 TVに使用可能な直鎖状DNA基質を調製するクローニング手順を示す。相同領域は、クローン化したフラグメント(a)、二重鎖オリゴ(b)、PCR増幅フラグメント(c)等により供給することができる。HRは相同領域を意味する。SfiIで切断した相同領域、クローニングベクター及びその誘導ベクターの電気泳動写真を示す。本発明のベクターを用いてジーンターゲティングベクターを作製する手順を示す。(a)は、リコンビニアリング法によるジーンターゲティングベクターの作製手順を示す。(b)は、PCR増幅によって得られたホモロジーアームを用いて、pADW由来のpAEXからジーンターゲティングコンストラクトを作製する手順を示す。(c)は、(a)又は(b)の手順により作製したH2−T3 TVを用いてES細胞中にて相同組換えを行う手順を示す。BACクローン及びターゲティングされたES細胞の制限酵素分析及びサザンブロット分析の結果を示す。野生型(レーン1)及びリコンビノジェニックエンジニアリング法により修飾したBAC(レーン2)(図5−aのステップ1)をBglIで切断し(左図)、メンブレンに転写後プローブでハイブリダイゼーションを行った(真中の図)。ハイブリダイズしたフラグメントは、野生型については9.4kbで、ターゲティングしたアリルは4.3kbである(矢印)。サザンブロット分析の結果、E14.1由来の野生型からは9.4kbのバンドが、ターゲティングしたES細胞クローン(3D2及び4A2)(右図)からは9.4kbと4.3kbのバンドが確認された。 2つの負の選択マーカー遺伝子、及び該2つの負の選択マーカー遺伝子の5’上流及び3’下流側近傍に同一の制限酵素によって認識される4つの異なる切断部位を有してなるプラスミドベクター。 前記負の選択マーカー遺伝子がSacB遺伝子である請求項1に記載のプラスミドベクター。 前記制限酵素がSfiIである請求項1又は2に記載のプラスミドベクター。 さらなる選択マーカー遺伝子を有して成る請求項1乃至3のいずれかに記載のプラスミドベクター。 前記さらなる選択マーカー遺伝子がGFPuv遺伝子である請求項1乃至4のいずれかに記載のプラスミドベクター。 標的領域及び2つの相同領域を組み込んだ前記プラスミドベクターを直鎖状にするための制限酵素認識サイトをさらに有する請求項1乃至5のいずれかに記載のプラスミドベクター。 前記制限酵素がI−sceIである請求項1乃至6のいずれかに記載のプラスミドベクター。 pADY、pAEF、pADWから選択される請求項1に記載のプラスミドベクター。 前記負の選択マーカー遺伝子を相同領域で置換した請求項1乃至8のいずれかに記載のプラスミドベクター。 請求項1乃至9のいずれかに記載のプラスミドベクターを用いてジーンターゲティングベクターを作製する方法。 請求項10に記載の方法により作製されたジーンターゲティングベクター。 pAGE、pAGF,pAGI、pAGJ、pAHVから選択される請求項11に記載のジーンターゲティングベクター。 【課題】リコンビニアリングコンストラクト、及びジーンターゲティングコンストラクト(ベクター)を作製するためのベクター及びその作製方法を提供することである。【解決手段】2つの致死性選択マーカー遺伝子(例えば、SacB遺伝子)、及び該2つの致死性選択マーカー遺伝子の上流及び下流側近傍に同一の制限酵素によって認識される4つの異なる切断部位(例えば、SfiI切断部位)を有してなるプラスミドベクター。さらに、前記構成に加えGFPuv遺伝子などの選択マーカーを有するプラスミドベクターの提供。【選択図】なし配列表20051125A1633000703プラスミド名 受託番号 寄託日pAEF FERM P−20703 2005年10月28日