タイトル: | 公開特許公報(A)_ホスホリパーゼA2阻害剤 |
出願番号: | 2005310163 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | A61K 31/661,A61P 43/00,A61P 29/00,A61P 19/02,A61P 1/18,A61P 9/10,A61P 1/04,A61P 17/00,A61P 17/06,A61P 19/06,A61P 17/02,A61P 31/04,A61P 11/00,A61P 1/00,A61P 1/16,A61P 13/12,A61P 9/00,A61P 11/02,A61P 11/06,A61P 37/08,A61P 25/28,A61K 8/55,A23L 1/30,C12N 9/99 |
塩尻 正俊 椎原 美沙 JP 2007119361 公開特許公報(A) 20070517 2005310163 20051025 ホスホリパーゼA2阻害剤 ナガセケムテックス株式会社 000214250 安富 康男 100086586 塩尻 正俊 椎原 美沙 A61K 31/661 20060101AFI20070413BHJP A61P 43/00 20060101ALI20070413BHJP A61P 29/00 20060101ALI20070413BHJP A61P 19/02 20060101ALI20070413BHJP A61P 1/18 20060101ALI20070413BHJP A61P 9/10 20060101ALI20070413BHJP A61P 1/04 20060101ALI20070413BHJP A61P 17/00 20060101ALI20070413BHJP A61P 17/06 20060101ALI20070413BHJP A61P 19/06 20060101ALI20070413BHJP A61P 17/02 20060101ALI20070413BHJP A61P 31/04 20060101ALI20070413BHJP A61P 11/00 20060101ALI20070413BHJP A61P 1/00 20060101ALI20070413BHJP A61P 1/16 20060101ALI20070413BHJP A61P 13/12 20060101ALI20070413BHJP A61P 9/00 20060101ALI20070413BHJP A61P 11/02 20060101ALI20070413BHJP A61P 11/06 20060101ALI20070413BHJP A61P 37/08 20060101ALI20070413BHJP A61P 25/28 20060101ALI20070413BHJP A61K 8/55 20060101ALI20070413BHJP A23L 1/30 20060101ALI20070413BHJP C12N 9/99 20060101ALI20070413BHJP JPA61K31/661A61P43/00 111A61P29/00A61P29/00 101A61P19/02A61P1/18A61P9/10A61P1/04A61P17/00A61P17/06A61P19/06A61P17/02A61P31/04A61P11/00A61P1/00A61P1/16A61P13/12A61P9/00A61P9/10 101A61P11/02A61P11/06A61P37/08A61P25/28A61K8/55A23L1/30 ZC12N9/99 6 OL 9 4B018 4C083 4C086 4B018MD45 4B018ME07 4B018ME14 4C083AC901 4C083AC902 4C083BB60 4C083CC01 4C083CC04 4C083CC05 4C083EE13 4C083FF01 4C086AA01 4C086AA02 4C086DA41 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA15 4C086ZA34 4C086ZA36 4C086ZA40 4C086ZA45 4C086ZA59 4C086ZA61 4C086ZA62 4C086ZA66 4C086ZA68 4C086ZA75 4C086ZA81 4C086ZA89 4C086ZA96 4C086ZB11 4C086ZB13 4C086ZB15 4C086ZB35 4C086ZC20 4C086ZC31本発明は、ホスホリパーゼA2阻害剤に関する。より詳しくは、リゾリン脂質を含むホスホリパーゼA2阻害剤に関する。各種炎症性疾患の原因や発症機構は多種多様であるが、その原因の一つとしてホスホリパーゼA2の活性化が知られている。ホスホリパーゼA2は、アラキドン酸の代謝経路であるアラキドン酸カスケードの重要酵素であって、ホスホリパーゼA2が過剰に活性化するとアラキドン酸の代謝に異常が起こり、炎症、アレルギー、喘息、虚血、心筋梗塞等を引き起こす。ホスホリパーゼA2は、生体膜の主要構成分であるグリセロリン脂質のグリセロール骨格の2位に結合した脂肪酸を優先的に加水分解する酵素の総称である。本酵素は生体膜脂質の新生代謝に関わると同時に、その生成物およびその代謝物が強力かつ多様な生理活性を示す脂質性メディエーターであることも知られている。ホスホリパーゼA2による生成物であるアラキドン酸は、それ自身もメディエーターとして働くが、各々の炎症担当細胞において更にプロスタグランジン類、トロンボキサン類、ロイコトリエン類等に代謝されて種々特徴ある生理反応を引き起こす。プロスタグランジン類、トロンボキサン類、ロイコトリエン類等の脂質性メディエーターは、本来は生体の恒常性維持のために機能しているが、これらは炎症が発症している病態においては過剰生産されて症状の増悪に関与する。事実、これらのアラキドン酸カスケードに作用する薬剤として、ステロイド性抗炎症薬や種々の非ステロイド性抗炎症薬が広く臨床にて使用されているが、ホスホリパーゼA2はこのアラキドン酸カスケードの上流に位置し、これらの脂質性メディエーター産生における律速段階の酵素であることから抗炎症薬開発の有望なターゲットとして期待されている。ホスホリパーゼA2の阻害剤は、炎症性疾患を発症している病態において亢進している脂質性メディエーターの産生を抑制することができ、ひいては炎症性疾患の治療および/または予防が可能であると考えられる。ホスホリパーゼA2には20種以上の分子種が存在し、構造上の特徴から分泌性ホスホリパーゼA2、細胞質ホスホリパーゼA2及びCa2+非依存性ホスホリパーゼA2に大別される。ホスホリパーゼA2の機能として、哺乳細胞の膜に作用してアラキドン酸由来のエイコサノイドやリゾリン脂質などの脂質メディエーターの産生を惹起する作用が注目されてきた。一方で、多くのホスホリパーゼA2分子種は異なる組織、細胞内局在性及び酵素学的特徴を示すことから、それぞれの異なる膜構造物に作用して膜リン脂質の再構成や固有免疫などの様々な生命現象に関与することを示唆する知見が蓄積してきた(非特許文献1参照)。細胞質ホスホリパーゼA2αの欠損マウスの表現型は、プロスタグランジンE2の産生抑制の結果、コラーゲン誘導関節炎が顕著に低下したり、腸管ポリープの形成が抑制されたりする。しかし一方で、消化性潰瘍の形成が促進し、加齢と伴い腎機能が低下する。またロイコトリエンの産生抑制の結果、アレルギー性気道過敏症や肺線維症の軽減が認められる(非特許文献1参照)。Ca2+非依存性ホスホリパーゼA2は、脂肪細胞分化培養系において、Ca2+非依存性ホスホリパーゼA2β及びγの発現が分化に伴って顕著に増大する。siRNA法によって各Ca2+非依存性ホスホリパーゼA2β及びγの発現を低下させると脂肪細胞に関わる遺伝子群の発現が抑制されるとともに、トリアシルグリセリドの細胞への蓄積も抑制される。さらに先天的肥満ラット(Zucker)の白色脂肪細胞ではCa2+非依存性ホスホリパーゼA2β及びγが高発現しており、これらの分子種が脂肪細胞の分化と機能に関与している可能性が考えられる(非特許文献1参照)。分泌性ホスホリパーゼA2については、癌との関連性が考えられており、例えば先天的IIA型分泌性ホスホリパーゼA2欠損マウスは大腸癌発症率が高く、また人為的にIIA型分泌性ホスホリパーゼA2を発現させることによって大腸癌が抑制される。一方で前立腺癌においては悪性度が高いほどIIA型分泌性ホスホリパーゼA2の発現量が高い(非特許文献1参照)。また、炎症性疾患に関連する転写因子であるNuclear Factor κB(NF−κB)の活性化にはホスホリパーゼA2が関与していることが報告されている(非特許文献2参照)。これまで、ホスホリパーゼA2を阻害する物質により上記疾患に対処する試みがなされており、ホスホリパーゼA2阻害物質として、メパクリン、パラブロモフェナシルブロミド、デキサメタゾン等が抗炎症剤として広く使用されてきた。しかし、これらの物質はいずれも合成品であり、特にステロイド剤は副作用が問題となっていた。従って、安全性の高いホスホリパーゼA2阻害作用を有する新規な物質が期待されている。ステロイド剤のような副作用のないホスホリパーゼA2阻害剤として、近年リン脂質が注目されている。このようなリン脂質として、例えば、グリセロールの1位に脂肪族アシル基を有し、2位にイコサペンタエノイル基又はドコサヘキサエノイル基を有するリン脂質(特許文献1参照)、グリセロールの1位に−CH=CHR1(R1はアルキル基又はアルケニル基)を有するリン脂質(特許文献2参照)、グリセロールの2位にアルキル、アルキル脂肪酸又はアルキルアミンを有するリン脂質(特許文献3参照)が知られている。しかしながら、グリセロールの1位にアシル基を有するリゾリン脂質がホスホリパーゼA2阻害作用を有することはまだ知られていない。特開平7−224076号公報特開平7−126166号公報特開平2−70703号公報「実験医学」(2005)、23(6)、878−885Marit W. Anthonsenら(2001)、The Journal of Biological Chemistry 276:30527−30536本発明は、継続的に摂取しても副作用の心配がない、優れたホスホリパーゼA2阻害効果を有する物質を天然物の中から見出し、さらに、当該物質を機能性食品や健康食品、また化粧品、さらには医薬品あるいは医薬部外品等に添加するための素材として利用することを目的とする。本発明は、上記現状に鑑み、継続的に摂取しても副作用の心配がない新規のホスホリパーゼA2阻害剤と、当該阻害剤からなる食品、化粧品、医薬品及び医薬部外品を提供する。すなわち本発明は、下記一般式(1)で示されるリゾリン脂質を含むことを特徴とするホスホリパーゼA2阻害剤である。(式中、Rは炭素数10〜30の飽和又は不飽和の脂肪族アシル基を表し、Xは水素原子又は極性基を表す。)以下に本発明を詳細に説明する。本発明のホスホリパーゼA2阻害剤は、上記一般式(1)で示されるリゾリン脂質を含むものである。一般式(1)におけるRは、炭素数10〜30の飽和又は不飽和の脂肪族アシル基を表す。炭素数10〜30の飽和の脂肪族アシル基としては特に限定されず、例えば、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、エイコサノイル基、ヘンエイコサノイル基、ドコサノイル基、トリコサノイル基、テトラコサノイル基、ペンタコサノイル基、ヘキサコサノイル基、ヘプタコサノイル基、オクタコサノイル基、ノナコサノイル基、トリアコンタノイル基等が挙げられる。炭素数10〜30の不飽和の脂肪族アシル基としては、モノ不飽和又はポリ不飽和のものが挙げられ、例えばドコサモノエノイル基、ドコサジエノイル、ドコサトリエノイル基、ドコサテトラエノイル基、ドコサペンタエノイル基、ドコサヘキサエノイル基、トリコサモノエノイル基、トリコサジエノイル基、オレオイル基、リノレオイル基、リノレノイル基、アラキドノイル基等が挙げられる。上記アシル基としては、パルミトイル基、ステアロイル基、リノレオイル基、オレオイル基、リノレノイル基等が好ましい。一般式(1)におけるXは、水素原子又は極性基を表す。上記極性基としては、例えば、コリン、エタノールアミン、イノシトール、セリン、グリセロール、エタノール等のヒドロキシル基含有化合物の炭素骨格に結合しているOH基を除いた残基が挙げられる。上記Xとしては、水素原子や、エタノールアミン、コリンの残基が好ましく、水素原子がより好ましい。本発明で用いるリゾリン脂質としては、上記一般式(1)で表されるもののなかでもリゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルエタノールアミン又はリゾホスファチジルコリンが好ましく、リゾホスファチジン酸がより好ましい。なお、上記リン脂質は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明で用いるリゾリン脂質は、大豆等の植物や動物由来のリン脂質にホスホリパーゼDを作用させて、塩基交換反応あるいは加水分解反応を行った後、ホスホリパーゼA2を作用させて、グリセロールの2位に結合した脂肪酸等を加水分解することにより得ることができる。なお、生成したリゾリン脂質の組成は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析することができる。本発明のホスホリパーゼA2阻害剤には、更に、上記リゾリン脂質の他に薬剤学的および食品衛生学的に許容される他の素材を常法により適宜添加混合してもよい。このようなものとしては特に限定されず、例えば、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、コーティング剤、着色剤、凝集防止剤、吸収促進剤、溶解補助剤、安定化剤、健康食品素材、栄養補助食品素材、ビタミン、漢方薬(生薬エキス)を含む薬剤ならびにこれらの組み合わせなどが挙げられる。本発明のホスホリパーゼA2阻害剤におけるリゾリン脂質の含有量は特に限定されず、好ましくは1重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。本発明のリゾリン脂質を含有するホスホリパーゼA2阻害剤を作製する際のリゾリン脂質の含有量、剤型、保存方法および保存形態は、医薬品、医薬部外品、食品、機能性食品、化粧品などの後述の用途に応じて適宜決定できる。本発明のホスホリパーゼA2阻害剤は、食品、機能性食品、化粧品、医薬品、医薬部外品に使用することができる。ここでいう機能性食品とは、サプリメント、特定保健用食品、健康食品、栄養補助食品など医薬品以外で経口的に摂取することにより、健康の維持あるいは改善を目的とする製品を意味している。本発明の阻害剤は、経口的あるいは非経口的に投与することができる。経口投与剤としては散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤などの固形製剤あるいはシロップ剤、エリキシル剤などの液状製剤が挙げられる。また、非経口投与剤としては、貼付剤、パップ剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、点眼剤、坐剤、注射剤などが挙げられる。本発明の阻害剤の投与量としては特に制限されず、疾患の種類や程度によって適宜調整すればよく、例えばリゾリン脂質の量に換算して成人一人当たり1日に90(卵1/2個分)〜1800(卵10個分)mg程度を投与すればよい。本発明の阻害剤はホスホリパーゼA2に対して優れた阻害活性を有しており、炎症性の治療薬として、例えば抗炎症剤あるいは抗アレルギー剤として期待できる。炎症性の疾患としては、例えば、炎症性疾患(慢性関節リウマチ、変形性関節症及び肩関節周囲炎等の関節炎)、膵炎、虚血性血管障害、潰瘍、皮膚炎(接触性皮膚炎(かぶれ)、乾癬、尋常性天疱瘡、その他肌荒れ)、痛風、外傷誘発炎症等が挙げられる。また、種々の炎症性刺激により引き起こされるアナフィラキシー、敗血症性ショック、発熱並びに疼痛;気管支炎、肺炎、成人呼吸窮迫症候群等の呼吸器疾患;炎症性腸管疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、肝炎、腎炎等の消化器系疾患;血管炎、動脈硬化等の循環器系疾患;鼻炎、喘息、アトピー等のアレルギー性炎症疾患やリュウマチなどの自己免疫疾患;脳梗塞、心筋梗塞等の虚血時或いは虚血―再灌流時の傷害;その他、神経変性疾患、紫外線角化症、乾癬等も挙げられる。本発明のホスホリパーゼA2阻害剤は、継続的に摂取しても副作用の心配がないリゾリン脂質からなるので、食品、機能性食品、化粧品、さらには医薬品あるいは医薬部外品等に添加するための素材として利用することができる。以下に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。製造例1(リゾホスファチジン酸の製造)500mLの緩衝液(蒸留水:490g、酢酸:0.9g、酢酸ナトリウム8.7g、pH=5.5)に、120gの大豆レシチンUltralecP(エー・ディー・エム・ファーイースト社製)とホスホリパーゼD溶液240g(10,000U/mL、ナガセケムテックス社製)を添加し、50℃で8時間、撹拌しながら酵素反応を行い、ホスファチジン酸(略語:PA)を生成させる。酵素反応後、ヘプタン410g、アセトン950gで抽出を行い、PAを含む溶媒層を得た。上記で得られた溶媒層に280gの15%塩化ナトリウム水溶液、210gのアセトンを添加し、1時間撹拌後、静置し、分液後、溶媒層を得た。さらに280gの蒸留水、210gのアセトンを添加し、1時間撹拌後、静置し、分液後、溶媒層を得た。エバポレーターで溶媒層を減圧濃縮(約2倍濃縮)し、PAを含むレシチン溶液を380mL得た。PAを含むレシチン溶液380mLに酢酸エチル190mLを添加、さらにホスホリパーゼA2酵素(90,000U、PLA2ナガセ、ナガセケムテックス社製)を含む60mLの緩衝液(0.1Mトリス緩衝液、pH8.5)を添加し、30℃で20時間、撹拌しながら酵素反応を行い、リゾホスファチジン酸(略語:LPA)を生成させた。酵素反応後、380mLのエタノールを添加し、不溶物をろ過で除去した後、溶媒を減圧下で留去し、LPA含有レシチンの試料を調製した。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分析した結果、LPAの含量は40%であった。試料の組成は、LPA 40.0%、リゾホスファチジルエタノールアミン 4.0%、リゾホスファチジルイノシトール 8.7%、ホスファチジン酸 19%、ホスファチジルエタノールアミン 0.6%、ホスファチジルイノシトール 0.9%、その他 26.8%であった。製造例2(リゾホスファチジルエタノールアミンの製造)大豆レシチンSLP−PC70(辻製油社製)200gをヘプタンとアセトンの混液(3:1)に溶解し、2Lになるように調製した。20,000UのホスホリパーゼD(ナガセケムテックス社製)、2.7モルのエタノールアミンを含む酵素溶液(pH=8.0)を740mL調製し、大豆レシチン溶液に添加し、30℃で20時間、撹拌しながら酵素反応を行い、ホスファチジルエタノールアミン(略語:PE)を生成させた。分液後、PEを含む溶液を得た。得られた溶液をエバポレーターで減圧濃縮(約3倍濃縮)し、5倍量のアセトンを添加し、不溶物として得られるPEをろ過により回収、減圧乾燥して、PE晶析物180gを得た。PE180gを270,000UのホスホリパーゼA2(PLA2ナガセ、ナガセケムテックス株式会社製)を含む緩衝液(0.1Mトリス緩衝液、50mM塩化カルシウム)に分散し、1.8Lになるように調製した。30℃で20時間、撹拌しながら酵素反応を行い、リゾホスファチジルエタノールアミン(略語:LPE)を生成させた。16Lのエタノールを添加し、LPEを抽出後、減圧濾過でLPE抽出液を得た。エバポレーターにより3倍濃縮後、5倍量のアセトンを添加し、不溶物として得られるLPEをろ過により回収、減圧乾燥して、LPE晶析物120gを得た。HPLCにて分析した結果、LPE含量は約70%であった。LPE晶析物の組成は、LPE=69.4%、リゾホスファチジルコリン=3.8%、ホスファチジルエタノールアミン=4.5%、ホスファチジルコリン=0.1%、リゾホスファチジン酸=3.8%、その他18.4%であった。実施例1(微生物由来ホスホリパーゼA2阻害効果試験)1g大豆レシチン(40% L−α−ホスファチジルコリン、Sigma社製)に16mLの0.1%TritonX−100、2mLの0.1M塩化カルシウム溶液、2mL蒸留水、20mLの0.1Mトリス緩衝液(pH=8.0)を添加し、超音波処理したものをホスホリパーゼA2の基質溶液として調製した。試験管内に0.5mLの基質溶液を入れ37℃で保温し、最終濃度0.01重量%〜0.83重量%となるように、製造例1で得られたLPA含有レシチン、製造例2で得られたLPE晶析物、SIGMA社製のL−α−リゾホスファチジルコリン(純度99%)をそれぞれ添加し、ホスホリパーゼA2(PLA2ナガセ、ナガセケムテックス社製)を添加して酵素反応を開始した。遊離脂肪酸の濃度は、NEFA C−テストワコー(和光純薬工業社製)を用いて測定した。すなわち、反応10分後に発色試液A(NEFA C−テストワコー、和光純薬工業社製)0.5mL中に酵素反応液50μLを添加し、さらに10分後に発色試液B(NEFA C−テストワコー、和光純薬工業社製)1mLを添加した後、550nmにおいて色素の吸光度を測定し、遊離脂肪酸の濃度を求めた。リゾリン脂質を添加しない条件での酵素活性を100%とし、リゾリン脂質存在下の酵素活性を相対値で示した。結果を図1に示す。測定の結果、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルエタノールアミン及びリゾホスファチジルコリンによる微生物由来ホスホリパーゼA2の阻害効果が認められた。特にリゾホスファチジン酸による顕著なホスホリパーゼA2の阻害効果が認められた。実施例2(ブタ膵臓由来ホスホリパーゼA2阻害効果試験)ホスホリパーゼA2としてSigma社製のPhospholipase A2 from Porcine Pancreas(0.025U)を用いる以外は実施例1と同様にしてリゾリン脂質存在下の酵素活性を測定した。リゾリン脂質を添加しない条件での酵素活性を100%とし、リゾリン脂質存在下の酵素活性を相対値で示した。結果を図2に示す。測定の結果、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルエタノールアミン及びリゾホスファチジルコリンによるブタ膵臓由来ホスホリパーゼA2の阻害効果が認められた。特にリゾホスファチジン酸による顕著なホスホリパーゼA2の阻害効果が認められた。本発明のホスホリパーゼA2阻害剤は、継続的に摂取しても副作用の心配がないリゾリン脂質からなるので、食品、機能性食品、化粧品、さらには医薬品あるいは医薬部外品等に添加するための素材として利用することができる。実施例1でのホスホリパーゼA2の酵素活性の相対値を表すグラフである。実施例2でのホスホリパーゼA2の酵素活性の相対値を表すグラフである。下記一般式(1)で示されるリゾリン脂質を含むことを特徴とするホスホリパーゼA2阻害剤。(式中、Rは炭素数10〜30の飽和又は不飽和の脂肪族アシル基を表し、Xは水素原子又は極性基を表す。)前記リゾリン脂質がリゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルエタノールアミン又はリゾホスファチジルコリンであることを特徴とする請求項1記載のホスホリパーゼA2阻害剤。前記リゾリン脂質がリゾホスファチジン酸であることを特徴とする請求項1又は2記載のホスホリパーゼA2阻害剤。請求項1から3の何れか1項に記載のホスホリパーゼA2阻害剤を含む食品。請求項1から3の何れか1項に記載のホスホリパーゼA2阻害剤を含む化粧品。請求項1から3の何れか1項に記載のホスホリパーゼA2阻害剤を含む医薬品及び医薬部外品。 【課題】継続的に摂取しても副作用の心配がない、優れたホスホリパーゼA2阻害効果を有する物質、さらに、当該物質を含む機能性食品や健康食品、また化粧品、さらには医薬品あるいは医薬部外品等を提供する。【解決手段】下記一般式(1)で示されるリゾリン脂質を含むことを特徴とするホスホリパーゼA2阻害剤。(式中、Rは炭素数10〜30の飽和又は不飽和の脂肪族アシル基を表し、Xは水素原子又は極性基を表す。)【選択図】 なし