生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_褐変原因菌検出方法および培地
出願番号:2005309740
年次:2006
IPC分類:C12Q 1/04,C12N 1/20


特許情報キャッシュ

田口 憲人 遠田 昌人 中尾 浩 JP 2006296415 公開特許公報(A) 20061102 2005309740 20051025 褐変原因菌検出方法および培地 東洋製罐株式会社 000003768 坂本 徹 100070747 原田 卓治 100104329 田口 憲人 遠田 昌人 中尾 浩 JP 2005087875 20050325 C12Q 1/04 20060101AFI20061006BHJP C12N 1/20 20060101ALN20061006BHJP JPC12Q1/04C12N1/20 A 4 OL 5 4B063 4B065 4B063QA01 4B063QA06 4B063QQ05 4B063QQ98 4B063QR68 4B063QR74 4B063QX01 4B065AA01X 4B065AA28X 4B065BB37 4B065CA41 4B065CA46 本発明は、缶詰め等容器詰め食品の加熱殺菌後に生じる褐変の原因となる細菌を簡易かつ迅速に検出分離する方法およびこの方法に使用される培地に関する。 従来容器詰め食品の加熱殺菌後に生じる褐変の原因となる細菌を検出するためグルコース、グルタミン酸ナトリウム、ペプトンおよび寒天を主成分とする公知のPGG寒天培地が使用されている。しかし、内容物が果肉等の場合は、容器詰め食品の加熱殺菌後に褐変を生じる内容物はカビ、酵母等の真菌、特に酵母によってかなり汚染されているため、褐変原因菌を培養によって増殖しようとしても、酵母やカビが競合して増殖するため褐変原因菌の増殖が抑制され、褐変原因菌を分離することが極めて困難であり、その菌数を測定することはほとんど不可能であった。またPGG寒天培地に変えてSMA培地等他の培地を使用しても、同じ理由により褐変原因菌のみを増殖させ分離することは極めて困難であった。 本発明は、従来のPGG寒天培地を使用する方法による褐変原因菌検出方法における上記問題点にかんがみなされたものであって、内容物である食品が酵母やカビ等の真菌によって汚染されている場合であっても、容器詰め食品の加熱殺菌後に生じる褐変の原因となる細菌を簡易かつ迅速に検出分離する方法およびこの方法に使用される培地を提供しようとするものである。 上記本発明の課題を解決する褐変原因菌検出方法は、PGG寒天培地を滅菌後、検出対象細菌の培養を開始する前に抗真菌剤を該PGG寒天培地に添加することを特徴とするものである。 また、この方法に使用する培地は、PGG寒天培地に抗真菌剤を添加してなることを特徴とする。 本発明の1実施態様として、抗真菌剤としてナイスタチンを使用することが好適である。 本発明によれば、PGG寒天培地を滅菌後、検出対象細菌の培養を開始する前にナイスタチン等の抗真菌剤をPGG寒天培地に添加することにより、検出対象細菌の増殖を阻害する酵母、カビ等の真菌を有意に低減させ、検出対象細菌のみを充分に増殖させ、分離し、菌数を測定することができる。 また、本発明によれば、既存のPGG寒天培地を利用することができるので、褐変原因菌の検出のために特別の培地を調製する必要がなく、工程上も、PGG寒天培地の滅菌後、検出対象細菌の培養を開始する前に抗真菌剤を添加するのみの操作ですむので、極めて簡単な工程の付加ですみ、迅速に細菌の培養、検出を行うことができる。 以下本発明の実施の形態について説明する。 本発明にかかる褐変原因菌検出方法において使用される培地としては、グルコース、グルタミン酸ナトリウム、ペプトンおよび寒天を主成分とするPGG寒天培地にイーストエクストラクトを加えた新規な培地を使用することができる。このようなPGG寒天培地の組成の1例として、グルコース5%、グルタミン酸ナトリウム5%、寒天1%、ペプトン1%、イーストエクストラクト0.5%、塩化ナトリウム0.5%を含有するものを挙げることができる。 本発明の方法の検出対象となる褐変原因菌としては、たとえばGluconobactor oxydans、Enterobactor intermidius、Ewingella Americana、Tatmella ptyseous、Rahnella aquatilisを挙げることができるが、ごれに限定されるものではない。 本発明の方法において使用する抗真菌剤としては、抗真菌作用を有するといわれる種々の物質について実験と研究を重ねた結果、Streptomyces nourseiによって産生されるポリエン抗生物質であるナイスタチン(Nystatin)が真菌増殖抑制力が特に強く、本発明の方法にとってもっとも好適な抗真菌剤であることが判明した。抗真菌剤としては、ナイスタチンのほかアンホテリシン(Amphotericin)、クロトリマゾール(Clotrimazole),ミコナゾール(Miconazole)、フルシトシン(Flucytosine)等他の抗生物質を使用することもできるが、真菌増殖抑制力はナイスタチンには及ばない。ナイスタチンの添加量は3ppm〜10ppmが好ましい量である。添加量が3ppm未満では充分な真菌増殖抑制効果が得られず、また添加量が10ppmを超えても効果は変わらないので不必要である。 本発明の方法においては、PGG寒天培地をオートクレーブ等を用いて加熱滅菌した後、検出対象である褐変原因菌を培地に接種する前に抗真菌剤を無菌的に培地に添加する。抗真菌剤を培地への添加は、液体培地に抗真菌剤を混釈することによって行う。すなわち、液状の培地に、ある程度冷ましてから抗真菌剤を混釈した後、平板培地の場合は寒天が固まる前にシャーレに流し込む。液体培地の場合は冷めてから液体に混釈して使用する。また、抗真菌剤の溶液を培地の表面に散布する等他の方法を使用することもできる。 抗真菌剤の培地への添加後、検出対象の褐変原因菌を培地に接種し、培養することにより、酵母、カビ等の真菌の増殖を抑制しつつ目的の菌を増殖し、分離し、菌数を測定する。 以下本発明の1実施例について説明する。 PGG寒天培地(グルコース5%、グルタミン酸ナトリウム5%、寒天1%、ペプトン1%、イーストエクストラクト0.5%、塩化ナトリウム0.5%)をオートクレーブを用いて温度121℃、15分、圧力0.104MPaで滅菌後、培地表面に無菌的にナイスタチンを5ppm添加した。次いで褐変原因菌としてGluconobactor oxydansおよびEnterobactor intermidius(109CFU/ml)、酵母(108CFU/ml)およびカビ(107CFU/ml)をそれぞれ接種し、増殖を行った。その結果は次表1に示すとおりである。なお、対照は、ナイスタチンを含まない上記組成のPGG寒天培地に上記と同一量の褐変原因菌、酵母およびカビを接種したものである。 表1の結果から明らかなように、対照培地においては、褐変原因菌も増殖しているが、それ以上に酵母の増殖が著しく、褐変原因菌を分離して検出することが困難であった。これに対してナイスタチンを添加したPGG寒天培地においては、酵母とカビはまったく存在せず、褐変原因菌のみを増殖させ、検出することができ、菌数を数えることができた。 PGG寒天培地を滅菌後、検出対象細菌の培養を開始する前に抗真菌剤を該PGG寒天培地に添加することを特徴とする褐変原因菌検出方法。 該抗真菌剤はナイスタチンであることを特徴とする請求項1記載の褐変原因菌検出方法。 PGG寒天培地に抗真菌剤を添加してなることを特徴とする褐変原因菌検出用培地。 該抗真菌剤はナイスタチンであることを特徴とする請求項1記載の褐変原因菌検出用培地。 【課題】容器詰め食品の加熱殺菌後に生じる褐変の原因となる細菌を簡易かつ迅速に検出分離する方法および培地を提供する。【解決手段】PGG寒天培地を滅菌後、検出対象細菌の培養を開始する前に抗真菌剤をPGG寒天培地に添加することを特徴とする褐変原因菌検出方法。【選択図】なし


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