タイトル: | 公開特許公報(A)_香料可溶化剤 |
出願番号: | 2005306364 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | A61K 8/39,A61K 8/34,B01F 1/00,A61Q 13/00,A61Q 5/04 |
古澤 利光 JP 2007084520 公開特許公報(A) 20070405 2005306364 20050921 香料可溶化剤 山栄化学株式会社 591028980 古澤 利光 A61K 8/39 20060101AFI20070309BHJP A61K 8/34 20060101ALI20070309BHJP B01F 1/00 20060101ALI20070309BHJP A61Q 13/00 20060101ALN20070309BHJP A61Q 5/04 20060101ALN20070309BHJP JPA61K8/39A61K8/34B01F1/00 GA61Q13/00 102A61Q5/04 1 書面 11 4C083 4G035 4C083AB082 4C083AB332 4C083AC111 4C083AC122 4C083AC181 4C083AC182 4C083AC772 4C083AD112 4C083BB41 4C083CC34 4C083DD23 4C083EE06 4C083EE25 4G035AA28 本発明は、パーマネントウェーブ剤等に配合され、香料を水に溶解させることのできる香料可溶化剤に関する。 従来、香料可溶化剤又は香料可溶化組成物としては、多価アルコール(1,3−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール等)と水を含有したもの(特許文献1)や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ポリオキシエチレン2−オクチルドデシルアルコールエーテル)と水を含有したもの(特許文献2)が知られている。 特許文献1は、水に難溶性の香料を水相中で可溶化する手段を確立し、かかる可溶化手段を用いた、実質的に界面活性剤を含まない外用組成物を提供することを目的としている。また、特許文献2は、臭い・着色が少なく、耐熱・耐光性等が経時的に安定しており、微生物に対し比較的安定な可溶化剤を添加した化粧料を提供することを目的としている。 しかし、これらの香料可溶化方法では、低温において香料が充分に水に溶解できないことがあり、その為加熱を必要とする場合がある。その結果、香料が揮発・変質し、香料としての機能を損なってしまうという問題点がある。 また、特許文献3には、ヒマシ油、可溶化剤、アルコール及び水を基本成分とするヘアローションにおいて、該可溶化剤が分枝状C12〜C22飽和モノカルボン酸5〜31W/V%であることを特徴とするヘアローションに関して記載されている。 しかし、この特許文献3の可溶化剤は、ヒマシ油、オリーブ油、椿油などの植物油を可溶化することを目的としており、香料を可溶化することを目的とするものではない。即ち、植物油は加熱されても本来の機能を損なうことはない為、この可溶化剤は、特に低温で可溶化することを目的として調製されたものではない。 その一方、パーマネントウェーブ剤等は、夏場に高温環境にさらされることがあるので、高温においても安定して香料を溶解させておくことができる香料可溶化剤が望まれる。 特許文献4には、フェノール類アルキレンオキサイド付加体(ポリオキシアルキレンノニルフェニルエーテル等)からなる可溶化剤に関して記載されている。 しかし、ポリオキシアルキレンノニルフェニルエーテル等は、これが排水として環境中に放出されると自然界で分解され、ノニルフェノールを生成する。そしてこの生成したノニルフェノールは、河川の汚染や生態系に悪影響を与えるという問題点がある為、近年、ポリオキシアルキレンノニルフェニルエーテルは使用が避けられている。 特開平11−193208号公報。特開昭60−33806号公報。特開昭61−282310号公報。特開昭57−70197号公報。 そこで本発明の課題は、加熱を行わずに低温で、水に難溶である香料を溶解させることができるのみならず、高温においても安定して香料を溶解させておくことができ、且つ環境にも悪影響を与えない香料可溶化剤を提供することにある。 発明が解決しようとする手段 上記課題を解決する為、本発明者が鋭意、検討した結果、以下の本発明を成すに到った。 即ち、本願発明は、下記式(化−1)で表される、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び多価アルコールを含有することを特徴とする香料可溶化剤を提供する。 [式(化−1)中、l,m,nはそれぞれ、l+m=9〜11,n=10〜12を満足する整数を表す。] 発明の効果 本発明により、加熱を行わずに低温で、水に難溶である香料を溶解させることができ、又、高温においても安定して香料を溶解させておくことができ、環境に悪影響を与えない香料可溶化剤を提供することができる。 発明を実施する為の最良の形態 以下、本発明における最良の実施形態について詳述する。 本発明の香料可溶化剤においては、下記式(化−1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル(以下、「POEアルキルエーテル」と言うことがある。)を含有する。 [式(化−1)中、l,m,nはそれぞれ、l+m=9〜11,n=10〜12を満足する整数を表す。] 本発明で使用される、式(化−1)で表されるPOEアルキルエーテルにおける、EO重合度(n)の値は、10〜12の整数である。 nの値が10未満だと、HLBが低いため、香料を可溶化できない可能性がある。逆に12を超過すると、POEアルキルエーテルの親水性が強くなる為、常温の水と混合させるとゲル化することがある。この場合、40〜60℃の水を用いたり、加熱を行い、分散性を上げて溶解させようとすると、調製時の温度が上がる為、香料が揮発・変質し、香料としての機能を損なってしまう可能性がある。 従って、HLBは、12〜16(特に13〜15)が好ましい。 式(化−1)で表される、POEアルキルエーテルにおけるメチレン(CH2)炭素数(l+m)の値は、9〜11の整数である。l+mの値が9未満だと、界面活性力としての効果が低く、香料を溶解できないことがある。逆に11を超過すると、低温下において、不溶物が析出することがある。 POEアルキルエーテルの原料であるアルキルアルコールとしては、第2級アルコールである。第1級アルコールを使用すると、特に高温において、可溶化力が第2級アルコールより劣る傾向がある。 本発明の香料可溶化剤において、最も好ましくは、式(化−1)で表される、POEアルキルエーテルの混合物が挙げられる。 このPOEアルキルエーテルの混合物は、例えば、n−パラフィンのメチレン基にOH基を導入して得られる第2級アルコールの混合物に、先ず酸触媒を用いて酸化エチレンを3モル付加し、その後、塩基触媒を用いて、更に酸化エチレンを付加させて得られる。 本発明の香料可溶化剤においては、多価アルコールを含有する。本発明で使用される多価アルコールとしては、2価のものが好ましい。2価を超過すると、非イオン界面活性剤との相溶性が低下し、併用(相乗)効果が得られないことがある。 本発明の香料可溶化剤に含有される多価アルコールとして、好ましくは、グリコール類が挙げられ、具体的には、エチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等である。さらに好ましくは、プロピレングリコールである。 本発明の香料可溶化剤には、水、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤等の添加剤を加えてもよい。水は、低温時に香料可溶化剤が固化するのを防ぐ等の目的で加えて良い。 本発明の香料可溶化剤の組成(重量%)において、香料可溶化剤全体につき、式(化−1)で表されるPOEアルキルエーテル50〜90(特に60〜80)、多価アルコールは、10〜50(特に20〜40)が、それぞれ好ましい。 POEアルキルエーテルが50重量%未満、又は多価アルコールが50重量%を超過すると、香料可溶化剤の可溶化力が低下することがあり、その結果、香料可溶化剤の使用料が増加することがある。逆に、POEアルキルエーテルが90重量%を超過すると、又は多価アルコールが10重量%未満だと、低温下で不溶物が析出し、加熱を必要とすることがある。 本発明の香料可溶化剤は、以下のようにして調製することができる。即ち、先ず、POEアルキルエーテルと、多価アルコールを混合させ、均一に溶解する。POEアルキルエーテルが固化している場合は、40〜50℃まで一旦加熱してから、多価アルコールと混合してよい。その後、必要に応じ、40〜50℃に加熱した水等の添加物を加え、均一に混合して冷却させる。 本発明の適用対象となる香料は、天然香料及び合成香料が挙げられる。天然香料としては、バラ油、ジャスミン油、ネロリ油、ラベンダー油、イランイラン油、チュベローズ油、クラリセージ油、クローブ油、ペパーミント油、ゼラニウム油、パッチュリー油、サンダルウッド油、シンナモン油、コリアンダー油、ナツメグ油、ペパー油、レモン油、オレンジ油、ベルガモット油、オポポナックス油、ベチバー油、オリス油、オークモス油、ムスク油、シベット油、カストリウム油、アンバーグリス油などが挙げられる。又、合成香料としては、リモネン、β−カリオフィレン、シス−3−ヘキセノール、リナロール、ファルネソール、β−フェニルエチルアルコール、2,6−ノナジエナール、シトラール、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、β−イオノン、l−カルボン、シクロペンタデカノン、リナリルアセテート、ベンジルベンゾエート、γ−ウンデカラクトン、オイゲノール、ローズオキサイド、インドール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、オーランチオールなどが挙げられる。又、これらの香料を1種用いてもよく、又、2種以上(即ち調合香料)を用いることもできる。 本発明の香料可溶化剤を用いて、香料を水相に溶解するには、以下のようにして行うのが好ましい。即ち、先ず、香料可溶化剤に香料を加える。その後、この混合物を水相に加え、均一混合すれば、香料を溶解した水相が得られる。尚、混合する順番を逆に行うと(即ち、香料可溶化剤を水相に加え、次に香料を加えると)、香料を水相にて高度の希釈を行う場合、溶解せずに白濁した水相となる可能性がある。 本発明の香料可溶化剤の使用量は、通常、香料1gにつき3〜10gである。また、本発明の香料可溶化剤を用いれば、香料を、少なくとも香料可溶化剤の使用量の70〜80倍の水相に希釈溶解することが可能である。換言すれば、希釈倍率が少なくとも70〜80倍に達するまでは、香料を水相に溶解することができる。 本願の香料可溶化剤は、パーマネントウェーブ剤以外に、染毛剤、染毛料等、香料を配合する必要性のあるすべての外用組成物に、特に好適に使用できる。 [香料可溶化剤の調製] ・実施例1〜6、及び比較例1〜16 表1及び表2に示す組成に従って、各配合成分を均一に攪拌混合して、香料可溶化剤を調製した。なお、表1及び表2中の1)及び2)は以下を表す。1):式(化−1)で表されるPOE(12EO)アルキル(C12〜14)エーテル混合物、「ノイゲンET−165」第一工業製薬(株)製。2)式(化−1)で表されるPOE(7EO)アルキル(C12〜14)エーテル混合物、「ノイゲンET−135」第一工業製薬(株)製。 [パーマネントウェーブ剤の調製] 表3に示す組成に従い、以下の方法によってパーマネントウェーブ剤第I剤及び第II剤を調製した。 なお、表3中の1)及び2)は以下を表す。 1):「GRANNYSMITH」、日本Firmenich(株)製。 2):組成[重量%]:塩化ラウリルトリメチルアンモニウム(含有濃度30重量%)[30]、POE(23EO)ラウリルエーテル[1]、ラウリン酸ジエタノールアミド[3]、リン酸(含有濃度85重量%)[0.04]、エデト酸二ナトリウム[0.1]、水[65.86]。 ・パーマネントウェーブ剤第1剤(A)の調製 成分4に成分1,2を加え、均一に溶解して溶解物を調製した。一方、成分5に成分6を加えた後、これに成分7を加えて攪拌して混合物を調製した。この混合物を上記溶解物に加えて混合し、パーマネントウェーブ剤第I剤(A)を調製した。 ・パーマネントウェーブ剤第I剤(B)の調製 成分4に成分1,2を加え、均一に溶解して溶解物を調製した。一方、成分5に成分6を加えた後、これに成分7を加えて攪拌して混合物を調製した。この混合物を上記溶解物に加えて混合し、最後に成分8を加え、パーマネントウェーブ剤第I剤(B)を調製した。 ・パーマネントウェーブ剤第II剤(A)の調製 成分4に成分3を加え、均一に溶解して溶解物を調製した。一方、成分5に成分6を加えた後、これに成分7を加えて攪拌して混合物を調製した。この混合物を上記溶解物に加えて混合し、パーマネントウェーブ剤第II剤(A)を調製した。 ・パーマネントウェーブ剤第II剤(B)の調製 成分4に成分3を加え、均一に溶解して溶解物を調製した。一方、成分5に成分6を加えた後、これに成分7を加えて攪拌して混合物を調製した。この混合物を上記溶解物に加えて混合し、最後に成分8を加え、パーマネントウェーブ剤第II剤(B)を調製した。 [香料可溶化剤の評価試験] 香料可溶化剤(各実施例1〜6、及び比較例1〜16)につき、下記のようにして香料可溶化試験を行い、評価した。 (希釈水に対する香料可溶化試験) 香料可溶化剤0.9重量部に香料0.3重量部を加えて攪拌混合した。その後、この混合物に20℃の水8.8重量部を加えて希釈して、香料配合の水相を得た。 上記のようにして希釈した水相を表4に示す各温度に放置した後、外観を目視観察した。その評価結果を表4に示す。 (パーマネントウェーブ剤第I剤及び第II剤に対する香料可溶化試験) パーマネントウェーブ剤第I剤(A)及び(B)、並びに第II剤(A)及び(B)を、表5に示す各温度にて2ヶ月間放置した後、外観を目視観察した。その評価結果を表5に示す。 表4及び表5中において、「○」は「透明である」、「△」は「微濁である」、「×」は「濁りがある」をそれぞれ表す。 表4及び表5の結果から、以下のことが明らかである。 実施例1及び2、並びに実施例3及び4、並びに実施例5及び6に示すように、式(化−1)で表されるPOEアルキルエーテルと多価アルコールを併用した場合、常温下(20℃)のみならず、高温下(40℃)及び低温下(5℃,10℃)においても香料を溶解させることができる。 一方、比較例1に示すように、式(化−1)で表されるPOEアルキルエーテルのみを使用した場合、低温下において、香料を完全に溶解できない。 又、比較例2及び3に示すように、多価アルコール(プロピレングリコール又は1,3−ブチレングリコール)のみを使用した場合、常温下のみならず、低温下においても香料を溶解できない。 比較例4、比較例8及び比較例9に示すように、POEアルキルエーテルのEO重合度(n)の値が10未満の場合、常温下のみならず、低温下(5℃)においても香料を溶解できない。又、比較例10に示すように、EO重合度(n)の値が10〜12の下限に近いが、範囲内ではない場合、低温下及び常温下においては香料を溶解できるが、高温下(40℃)では溶解できない。 比較例11に示すように、EO重合度(n)の値が12を超過する場合、常温下のみならず、低温下においても香料を溶解できない。 比較例6、比較例12及び比較例14に示すように、メチレン炭素数(l+m)の値が11を超過する場合、低温下(5℃)のみならず、常温下(20℃)でも香料を溶解できない。又、比較例13に示すように、EO重合度(n)の値が12を超過し、且つメチレン炭素数(l+m)の値が11を超過する場合においても、低温下(5℃)のみならず、常温下(20℃)でも香料を溶解できない。 比較例7に示すように、POEアルキルエーテルにおけるアルキル炭素鎖の構造が分岐である場合、高温下では香料の溶解が十分でない。又、比較例15及び比較例16に示すようなPOEソルビタン脂肪酸エステルタイプの場合、低温下、常温下又は高温下において、香料を溶解できない。 又、ノニルフェニルエーテルの場合(比較例5)、常温下(20℃)又は高温下(40,50℃)において、香料を溶解することができない。更に、環境上の問題があるため、使用することは避けられている。 下記式(化−1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル及び多価アルコールを含有することを特徴とする香料可溶化剤。[式(化−1)中、l,m,nはそれぞれ、l+m=9〜11,n=10〜12を満足する整数を表す。] 【課題】加熱を行わずに低温で、水に難溶である香料を溶解させることができるのみならず、高温においても安定して香料を溶解させておくことができ、且つ環境にも悪影響を与えない香料可溶化剤を提供する。【解決手段】下記式(化−1)で表される、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び多価アルコールを含有することを特徴とする香料可溶化剤。 [式(化−1)中、l,m,nはそれぞれ、l+m=9〜11,n=10〜12を満足する整数を表す。]【選択図】なし