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タイトル:公開特許公報(A)_架橋(メタ)アクリルアミド粒子及びその製造法及びその用途
出願番号:2005298618
年次:2006
IPC分類:C08F 220/58,C08F 8/30,C08F 2/24,C08F 291/00,G01N 30/88,A61Q 19/00,A61K 8/81


特許情報キャッシュ

村中 和昭 山中 麻帆 荒木 康祐 JP 2006137944 公開特許公報(A) 20060601 2005298618 20051013 架橋(メタ)アクリルアミド粒子及びその製造法及びその用途 東ソー株式会社 000003300 村中 和昭 山中 麻帆 荒木 康祐 JP 2004299975 20041014 C08F 220/58 20060101AFI20060428BHJP C08F 8/30 20060101ALI20060428BHJP C08F 2/24 20060101ALI20060428BHJP C08F 291/00 20060101ALI20060428BHJP G01N 30/88 20060101ALI20060428BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20060428BHJP A61K 8/81 20060101ALN20060428BHJP JPC08F220/58C08F8/30C08F2/24 ZC08F291/00G01N30/88 101SG01N30/88 CG01N30/88 NA61Q19/00A61K8/81 15 OL 19 4C083 4J011 4J026 4J100 4C083AD091 4C083CC02 4C083DD16 4C083EE12 4J011JA03 4J011JA06 4J011JA10 4J011JA14 4J011JB16 4J011JB26 4J011JB30 4J011KA04 4J011KA12 4J011KA16 4J011KA23 4J011KA28 4J011KA29 4J011KB02 4J011KB19 4J011KB22 4J011KB29 4J026AA45 4J026BA28 4J026BA32 4J026BB03 4J026DA03 4J026DA04 4J026DB03 4J026DB04 4J026DB08 4J026DB32 4J026DB40 4J026EA05 4J026EA08 4J026EA09 4J026FA02 4J026FA09 4J026GA01 4J026GA02 4J026GA08 4J100AL62Q 4J100AM21P 4J100BA04P 4J100BA31H 4J100BA34H 4J100BC73H 4J100CA01 4J100CA04 4J100CA29 4J100CA31 4J100EA06 4J100FA03 4J100FA20 4J100HA53 4J100HA61 4J100HB52 4J100HC43 4J100HC50 4J100HC57 4J100HC71 4J100HE14 本発明は架橋(メタ)アクリルアミド粒子に関する。 (メタ)アクリルアミド単量体を成分として含む重合粒子(以下、(メタ)アクリルアミド粒子という)は親水性が高く、保湿などに優れ、生体毒性も小さいことからインクバインダー、表面処理剤、化粧品などに幅広く用いられている。特に液体クロマトグラフィー用基材としては、水系溶離液を用いた場合に試料と基材との疎水的相互作用が小さいことからタンパク質や核酸等の精製用担体として優れた特性を有している。 従来親水性粒子としては、セルロース、デキストラン又はアガロースなどの多糖類を架橋させた粒子が広く知られている。多糖系の架橋粒子を作成する際には、多糖及び架橋剤の水溶液を有機溶媒に逆相懸濁し、多糖を架橋剤であるエポキシ化合物や、ジアルデヒド類などで架橋することにより製造されている。 また(メタ)アクリルアミド粒子は水溶性である(メタ)アクリルアミドを重合して作成され、一般的には逆相懸濁により重合する方法がとられている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。逆相懸濁重合以外の製造法としては、(メタ)アクリルアミド粒子の粒子径のそろった単分散粒子作成法として有機溶媒中での分散重合法が知られている(特許文献5)。またその他の製造法としては、臨界二酸化炭素中での重合法(特許文献6)や噴霧による方法(特許文献7)が知られている。 またN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドは自己架橋性モノマーであり、酸触媒によりアルコキシ基が脱離し、容易に自己架橋もしくは、アミド基、アミノ基等と結合しうることが知られている。このため、繊維加工に使用されたり(特許文献8、特許文献9)、コロイドの分散剤(特許文献10、特許文献11)や塗膜形成用材料(特許文献12、特許文献13)として用いられている。米国特許第4070348号(請求項6)米国特許第4190713号(要約)米国特許第4511694号(請求項1)特開昭59−232101号公報(請求項10)米国特許第4988568号(要約、請求項3)米国特許第4748220号(要約、請求項4)特開2003−211003号公報(請求項1)米国特許第5219969号(要約)米国特許第5314943号(発明の背景)米国特許第5385971号(発明の詳細)米国特許第6316568号(請求項3)特開昭51−8343号公報(第3項、実施例5)米国特許第4107156号(実施例15) (メタ)アクリルアミド粒子は親水性粒子としての特性から種々の分野で使用されている。しかし、官能基を導入する方法が限定されるという点、機械的強度が弱いという点、で問題点を有していた。そして機械的強度が弱いために微粒子化が困難となり、液体クロマトグラフィーに用いられる様な50μm以下、特に10μm程度の粒子にすることができないという課題が残っていた。 また、(メタ)アクリルアミド粒子の製造法において粒子径制御が困難であるという問題点が挙げられる。これは、(メタ)アクリルアミド粒子の製造法として一般的な手法である逆相懸濁重合法は粒子径制御が難しく、また順相懸濁重合法における粒子径単分散粒子の製造法であるシード重合法は(メタ)アクリルアミド粒子では行うことができないことに起因する。分散重合による方法では粒子径のそろった(メタ)アクリルアミド粒子を作成可能であるが、作成可能な粒子径範囲が10μm以下と狭いという点、及び架橋性単量体と(メタ)アクリルアミドとの比を変更すると粒子径も変化してしまい架橋度を大きくすると粒子径が小さくなることから架橋度を任意に変更できない点、で問題点を有していた。 本発明の目的は、種々の置換基が導入された架橋(メタ)アクリルアミド粒子を提供することであり、特に高い親水性と機械的強度を兼ね備えた液体クロマトグラフィー用充填剤として優れた性質を有する架橋(メタ)アクリルアミド粒子を提供することにある。また本発明の順相懸濁重合により作製された重合体粒子に置換基を導入する製造法により、任意の架橋度を有し、種々の官能基が導入された架橋(メタ)アクリルアミド粒子を容易に作製できる製造法を提供することにある。またシード重合法を用いることにより、他の重合法では作製不可能であった任意の架橋度を有する粒子径単分散の架橋(メタ)アクリルアミド粒子製造法を提供することにある。 本発明は、化学式1(化学式1中のXは水素又はメチル基であり、R1はC4以上のアルキル基を表す)で表されるN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する単位と、化学式1で表される単量体と共重合しうる、多官能不飽和単量体に由来する単位を含む、粒子径が1〜1000μmである重合体粒子(以下本重合体粒子という)において、化学式1で表されるN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する単位に化学式2(ただし化学式2中のR2はH、C3以下のアルキル基又はC3以下でありかつ1個以上の水酸基で置換されたアルキル基を表す。化学式2中のR3はH、NH2、C1〜C18のアルキル基、フェニル基、C24以下でありかつ1個以上の水酸基で置換された直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、−CH2−CO−NH2のいずれかを表すか、又は、R3は他のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する構造単位であり、メチレン基を介して他のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する窒素原子に結合していることを表す。化学式2中のAは重合体粒子を表す。)及び/又は化学式3(ただし化学式3中のR4及びR5はH、C6以下のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、C6以下でありかつ1個以上の水酸基で置換されたアルキル基、−CH2COOH、−CH2SO3H、−CH2CH2SO3H、−(CH2)n−PO−(OH)2(式中nは1から4の整数を表す)、−CHR6−PO−(OH)2(式中R6は炭素数1〜3の直鎖アルキル基を表す)、−CHR7−COOH(R7はアミノ酸側鎖を表す)、オリゴペプチド残基、シチジン残基、グアニジン残基、メラミン残基、ベンゾグアナミン残基、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンのいずれかを表すか、又は、R4及びR5は他のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する構造単位であり、メチレン基を介して他のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する窒素原子に結合していることを表す。化学式3中のAは重合体粒子を表す。)で表される置換基が、少なくとも導入された架橋(メタ)アクリルアミド粒子を提供する。 架橋(メタ)アクリルアミド粒子における置換基は、化学式4や化学式5に示されるような反応によって、酸触媒によるアルコキシ基脱離反応によるアミド基やアミノ基の導入が可能であり、本重合体粒子に種々の官能基を容易に誘導することができる。化学式4中のR1、R2及びR3は化学式1及び化学式2に記載の置換基と同一。化学式4中のAは重合体粒子を表す。化学式5中のR1、R4及びR5は化学式1及び化学式3に記載の置換基と同一。化学式5中のAは重合体粒子を表す。 アミド基を有する化合物を導入する際に、ホルムアミド、乳酸アミドや尿素など親水性の高いアミド化合物が導入された粒子は、多孔性の高親水性粒子となる。この際に尿素などの多官能アミド化合物を用いて得られた粒子は、高親水化と従来にない機械的強度を兼ね備えた粒子となり、粒子径を小さくできることから、液体クロマトグラフィー用充填剤として特に有用である。またアミド基とイオン交換基を有する化合物が導入された粒子は(メタ)アクリルアミド単量体を成分として含むイオン交換体となる。さらにアミド基を有する化合物としてポリアクリルアミドや、アクリルアミドを成分として含む種々のコポリマーを導入することも可能である。 また本重合体粒子は、アミド基の代わりにN−Hを有するアミノ基を有する化合物を導入することが可能である。アミノ基を有する化合物に同時に他のイオン交換基を有する化合物を用いることにより、たとえばベタイン構造のイオン交換体となる。例えば、N−Hを有するアミノ基を有する化合物が、カルボン酸基、スルホン酸基又はリン酸基を同時に有する化合物である場合、アミノ基が本重合体粒子に結合することによりアニオン交換基であるアミノ基とカチオン交換基を同時に有するベタイン構造のイオン交換体となる。 また本重合体粒子は、順相懸濁重合法により作成することが可能であり、粒子径のそろったシード粒子ポリマーを用いるシード重合法により作成することが可能である。多官能不飽和単量体による任意な架橋度を有し、粒子径のそろった粒子を容易に作成でき、前述の種々の粒子径単分散な(メタ)アクリルアミド粒子を製造可能となった。 以下に本発明について詳細に説明する。 化学式1で示されるN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する単位と、化学式1で表される単量体と共重合しうる、多官能不飽和単量体に由来する単位を含む、粒子径が1〜1000μmである重合体粒子(以下、本重合体粒子という)のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体は油溶性であることが好ましいことから、化学式1のアルコキシ基は疎水性基であることが必要であるため、化学式1中のR1はC4以上の直鎖アルキル基であることが好ましく、特に本重合体粒子をシード重合法により製造する場合には膨潤性についても考慮すると、化学式1中のR1はC4〜C8の範囲である直鎖アルキル基であることが好ましい。 本発明中の多官能不飽和単量体に由来する単位とは、油溶性単量体に由来する単位であり、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体と共重合可能である必要がある。これらを例示するとエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、メチレンビスマレイミド、N,N’−(4−メチル−1,3−フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−(フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−(スルホニルジ−m−フェニレン)ビスマレイミドなどのビスマレイミド類、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート、メチレンビスアクリルアミドなどを挙げることができる。その使用量は、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドと多官能不飽和単量体のモル比が99.99:0.01から50:50の範囲内で使用可能であるが、多官能不飽和単量体の有する疎水性の効果を低減する観点及び、得られた粒子の強度の観点から考慮し、99.95:0.05から98:2の範囲が好ましい。 化学式1で示されるN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体と多官能不飽和単量体に対して、その他の単量体を共重合することも可能である。しかしその他の単量体は油溶性の疎水性モノマーである必要があることから、本重合体粒子を出発原料として成分に含まれる(メタ)アクリルアミドの親水性を生かした粒子を作成する場合にはその他の単量体を加えることは好ましくない。 本重合体粒子の粒子径は用途によって任意であるが、液体クロマトグラフィー用充填剤としての用途においては1〜1000μm、特に5〜200μmであることが好ましい。 本重合体粒子は、有機溶媒中、酸触媒下において窒素原子上の少なくとも1個以上の結合がN−H結合であるアミド基を有する化合物を容易に導入可能であり、本重合体粒子中のN−アルコキシメチルアミド基中のアルコキシ基が脱離し本重合粒子中のアミド基窒素原子がメチレン基を介してアミド基を有する化合物のアミド窒素基と結合する。使用する有機溶媒に可溶であれば任意の置換基を有する化合物を導入可能である。 本重合体粒子のN−アルコキシメチル基に対し、アミド基を有する化合物が導入されるため、本重合体粒子のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド由来の単位と導入されたアミド基由来のアミド基単位の比率の上限は1:1(モル比)となり、この比率は任意に調節可能である。本重合体粒子の、アミド基導入に関与しなかったN−アルコキシメチル基は、アミド基を有する化合物を導入する反応の際に、化学式6に示される自己架橋構造単位に変換される。 化学式6中のR1はC4以上のアルキル基を表し、mは1以上の整数を表す。化学式6中のAは重合体粒子を表す。 導入される化合物のアミド基が有する置換基として非イオン性基を有するアミド化合物が導入された本重合体粒子は、非イオン性の多孔性粒子として使用可能である。その非イオン性基を有するアミド化合物の例としては、ホルムアミド、乳酸アミド、酢酸アミド、アクリルアミド、グルコンアミド、パントテニルアルコール、安息香酸アミド、ステアリン酸アミド、コール酸アミド、ポリアクリルアミド、ポリアミド樹脂などの有機酸アミド類、N−アセトキシグルコサミン、N−アセトキシガラクトサミン等のアミノ糖アセチル化物、尿素、N−メチロール尿素、ウリジン等に由来する構造単位をあげることができる。 特に尿素等のアミド基を複数有する化合物から由来する構造単位を、本重合体粒子が有するN−アルコキシメチル基由来の単位と導入されたアミド基由来のアミド基単位の比において1:0.1から1:1(モル比)の範囲内で用いることにより、高い親水性を有するばかりではなく、粒子の架橋によって高い機械的強度を兼ね備えた多孔性粒子となることにより、液体クロマトグラフィー用充填剤として有用である。このような粒子は、特に脱塩用クロマトグラフィー担体として従来の親水性粒子にない高い親水性と高い機械的強度を兼ね備えた粒子として非常に有用であり、且つ有機溶媒などへの膨潤も小さいためポリオール分析用の順相クロマトグラフィー担体としても有用である。 本重合体粒子は、有機溶媒中、酸触媒下において窒素原子上の少なくとも1個以上の結合がN−H結合であるアミノ基を有する化合物を容易に導入可能である。本重合体粒子中のN−アルコキシメチルアミド基中のアルコキシ基が脱離し本重合体粒子中のアミド基窒素原子がメチレン基を介してアミノ基を有する化合物のアミノ窒素基と結合することによりイオン交換性粒子となる。使用する有機溶媒に可溶であれば任意の置換基を有する化合物を導入可能であり、本重合体粒子が有するN−アルコキシメチル基由来の単位と導入されたアミノ基由来のアミノ基単位の比率は上限として1:1(モル比)であるが、その下限は特に制限はない。本重合体粒子が有する、アミノ基導入に関与しなかったN−アルコキシメチル基は、アミノ基を有する化合物を導入する反応の際に、化学式6に示される自己架橋構造単位に変換される。アミノ基を有する化合物の例としては、アミド基も同時に有している化合物も使用できる。この場合、どちらか一方がN−H結合を有していれば良い。したがってその導入形態としては、アミノ基が本重合体粒子中のアミド基窒素原子とメチレン基を介して結合した形態と、アミド基が本重合体粒子中のアミド基窒素原子とメチレン基を介して結合した形態の、いずれか又は両形態が混合して存在する導入形態が挙げられる。 本重合体粒子中のN−アルコキシメチル基に導入される、アミノ基を有する化合物由来の構造単位としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミンなどのアルキルアミン類、アニリン、ジアミノベンゼン、アミノナフタレンなどの芳香族アミン類、タウリンやアラニン、アルギニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンなどのアミノ酸及びその誘導体、及びそれらのオリゴペプチド類、アデニン、シトシン、グアニン及びそれらの誘導体、メラミン、ベンゾグアナミンやポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリアクリルアミドや、アクリルアミドとN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドの共重合体や、アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体など、ルシファーイエロー、アシッドレッド、アゾフロキシン等の色素類等を由来とする構造単位を挙げることができる。 本重合体粒子の製造方法としては、(メタ)アクリルアミドを水溶性の架橋性単量体と逆相懸濁重合して得られた粒子より、メチロール化及びエーテル化を経る一般的な製法をとることも可能であるが、N−アルコキシメチルアクリルアミド及び油溶性の架橋性単量体を順相懸濁して得る方法がシード重合法を用いることが可能となることから好適である。 順相懸濁重合に用いる重合開始剤として、一般にビニルモノマーのラジカル重合を行う際に用いられる油溶性重合開始剤を使用することが可能であり、油溶性アゾ系重合開始剤としては2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチルニトリル)等が例示でき、油溶性有機過酸化物重合開始剤としては2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ジ(t−ヘキシルペロキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペロキシ)シクロヘキサン、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシネオデカン酸、t−ヘキシルペルオキシピバリン酸、t−ブチルペルオキシピバリン酸等が例示できる。また懸濁重合で行うため、10時間半減期温度が100℃未満の重合開始剤を用いることが好適である。重合開始剤の使用量としては単量体に対して0.01モル%から1.0モル%の範囲内で使用し、特に0.05モル%から0.5モル%の範囲内が好ましい。また重合開始剤を使用せず、紫外線や放射線により重合させることも可能である。 本発明中の順相懸濁重合では、懸濁油滴を安定化するために用いられている一般的な高分子分散安定剤を使用することが可能である。そのような例としてはポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリュウムなどを挙げることができるが、有機酸系ポリマーを用いる場合には、水相が酸性とならないようにpHを4以上に調製する必要があるため、一般的なポリビニルアルコールやヒドロキシプロピルセルロースなどの非イオン性高分子を用いることが好適である。これらの使用量としては、水相中濃度として0.1重量%から20重量%使用することが可能であり、0.5重量%から10重量%とすることが重合後の洗浄の観点から好適である。 重合は熱分解性重合開始剤を用いる場合には加熱により、開始剤を用いずに放射線重合等による場合には常温で放射線を照射することにより重合可能であり特に制限はない。 シード重合により順相懸濁重合する場合、粒子径単分散化を目的として使用されているソープフリー乳化重合法や分散重合法により得られたポリスチレンやポリ(スチレン・アクリル酸エステル)共重合粒子、メタアクリル酸エステル粒子等を用いることができる。特に膨潤性やシード粒子ポリマーがN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド重合物と相分離を起こしにくい観点から特開2001−2716に示されているシード粒子ポリマーを用いることが好適である。またシード粒子ポリマーと、単量体が重合し生成したポリマーとの相分離が、粒子形状へおよぼす影響を小さくする目的から、シード粒子ポリマーと単量体の割合は、シード粒子1重量部に対し、単量体が10重量部以上が好ましい。また特に上限は無いが、粒子径分布を狭くする目的から、シード粒子1重量部に対し、単量体が10,000重量部以下が好ましい。したがってシード重合を行う際のシード粒子ポリマーと単量体の比で表される膨潤率は特に制限はなく、シード粒子体積に対して約10,000倍程度の膨潤が可能であり、目的粒子径に合わせて設定可能である。 シード重合により順相懸濁重合を行う際に用いる乳化剤は一般的なスルホン酸塩やノニオン系乳化剤を用いることができる。そのような例としてはラウリルスルホン酸ナトリュウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリュウム等のアルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステルなどのノニオン系乳化剤を例示できる。特に油滴安定性の観点からアルキルスルホン酸塩とHLB8〜20のノニオン系乳化剤を併用することもできる。併用するノニオン系乳化剤の割合はアルキルスルホン酸塩に対して10重量%〜90重量%、好ましくは20重量%〜80重量%の割合で使用する。 シード重合により順相懸濁重合を行う際に用いる乳化剤としてアルキルスルホン酸塩のみを使用する場合、油滴安定性を向上させるためにN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドよりも疎水性の大きい化合物を使用することも可能である。そのような疎水性の大きい化合物の例としてはブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノールなどのC4以上の高級アルコール、酢酸ブチルエステル、酢酸ペンチルエステル、酢酸ヘキシルエステル、酢酸フェニルエステル、酢酸ベンジルエステル、プロピオン酸エチルエステル、プロピオン酸ブチルエステル、安息香酸メチルエステル、安息香酸エチルエステルなどの有機酸エステル、ベンゼン、トルエン、キシレン等のC6からC9の芳香族化合物等を例示できる。膨潤性の観点からC5以上C6までの高級アルコール類又はC4以上C7までの有機酸エステル、ベンゼン、トルエンを用いることが好ましい。使用量は単量体全体に対して1重量%以上添加するが、必要以上に添加する必要はなく単量体全体に対して1重量%から50重量%使用することが好ましい。 重合して得られた本重合体粒子は、高分子分散安定剤を取り除くために、適切な溶媒、一般的には温水を用いて洗浄する。 本発明の製造法では、得られた本重合体粒子を有機溶媒中に分散し、酸触媒によりアルコキシ基を脱離させ粒子内の他のアミド基と結合させることにより、親水性ポリマー粒子とする。この工程(以下第二工程という)において他のアミド基又はアミノ基を有する化合物を共存させ、酸触媒により本重合体粒子に導入することも可能である。なおステアリン酸アミドなど疎水性の大きい化合物を導入することにより本重合体粒子は疎水性となり、イオン交換基を有する化合物を導入することによりイオン交換粒子となる。特に多官能のアミド基又はアミノ基を有した化合物を適量用いることにより、粒子架橋も同時に進行させることが可能である。 本発明中の製造法における第二工程において用いる有機溶媒としては、酸触媒に安定であり、N−アルコキシメチル基と反応性が無いものが好ましく、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールなどの高級アルコール類、酢酸ブチルエステル、酢酸ペンチルエステル、酢酸ヘキシルエステル、酢酸フェニルエステル、酢酸ベンジルエステル、プロピオン酸エチルエステル、プロピオン酸ブチルエステル、安息香酸メチルエステル、安息香酸エチルエステルなどの有機酸エステルを例示することができる。また第二工程において用いる有機溶媒は用途に応じて、水との混合溶媒とすることも可能である。特に本重合粒子を多孔質とするために、本重合粒子が膨潤する溶媒で行うことが好適である。その使用量は、本重合粒子に対して2重量部、好ましくは4重量部以上とすることが好ましい。 本発明中の製造法における第二工程で使用する酸触媒としては、特に制限はないが強酸類が好ましく、塩酸、硫酸、トルエンスルホン酸などの鉱酸類、三フッ化ホウ素などのルイス酸を例示できる。その使用量は特に制限はないが、本重合粒子に対して0.01重量%以上が好ましく、特に0.1重量%以上が好適である。 本発明中の製造法における第二工程において、N−H構造を有するアミド基やアミノ基などのN−アルコキシメチル基と反応可能である化合物を共存させることによって、それらの化合物を本重合体粒子中に導入することが可能である。アミド基及びアミノ基はどちらか一方もしくは同時に存在しても良く、本重合体粒子の有するアルコキシ基脱離により導入されるためのN−H基を有している必要がある。導入可能な化合物の例としてはホルムアミド、乳酸アミド、酢酸アミド、アクリルアミド、グルコン酸アミド、パントテニルアルコール、安息香酸アミド、ステアリン酸アミド、コール酸アミド、ポリアクリルアミド、ポリアミド樹脂などの有機酸アミド類、N−アセトキシグルコサミン、N−アセトキシガラクトサミン等のアミノ糖アセチル化物、尿素、N−メチロール尿素、ウリジン、アンモニア、メチルアミン、エチルアミンなどのアルキルアミン類、アニリン、ジアミノベンゼン、アミノナフタレンなどの芳香族アミン類、タウリンやアラニン、アルギニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンなどのアミノ酸及びその誘導体、及びそれらのオリゴペプチド類、アデニン、シトシン、グアニン及びそれらの誘導体、メラミン、ベンゾグアナミンやポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリアクリルアミドや、アクリルアミドとN、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドの共重合体や、アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体など、ルシファーイエロー、アシッドレッド、アゾフロキシン等をあげることができる。これら導入可能な化合物の使用量は目的に合わせて、有機溶媒に溶解する範囲で任意に設定可能である。 本発明中の製造法における第二工程は、使用する酸の種類及びその使用量により反応温度、反応時間を適切に調整し、アルコキシ基離脱により生成するアルコール生成量を計測することにより進行度を決定可能である。 得られた架橋(メタ)アクリルアミド粒子は温水又は導入するアミド基又はアミノ基を有する化合物を溶解可能な有機溶媒で洗浄することにより、酸触媒、有機溶媒、残存導入化合物などを容易に取り除くことが可能である。 本発明によれば、架橋(メタ)アクリルアミド粒子を順相懸濁重合により製造可能となり、粒子径制御が容易なものとなった。特にシード重合法を用いることが可能となり粒子径単分散で多孔質な粒子を簡便に製造することが可能となった。また本発明により得られた粒子は、高架橋構造とすることも容易であり、従来の逆相懸濁重合により製造された多糖系粒子やアクリルアミド粒子と比較し遙かに機械的強度の大きい粒子を製造可能となった。特に親水性と機械的強度を両立させた架橋(メタ)アクリルアミド粒子は粒子径を小さく設定することが可能となり、液体クロマトグラフィー用充填剤として優れた性能を示す。また本発明の第二工程において、アミド基やアミノ基などと、本重合体粒子の官能基であるN−アルコキシメチル基が結合可能であるため、これらの官能基を有する種々の化合物を導入した粒子を製造可能となった。以下本発明を実施例にて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。 実施例1<シード粒子の製造> 500mLの三つ口フラスコにベンジルメタクリレート(東京化成工業製)30g、2−エチルヘキシルチオグリコール酸エステル (東京化成工業製)1.5g、過硫酸カリュウム(キシダ化学製)0.6g及びMill−Q水250gを入れ、撹拌しながら窒素パージを室温下で3時間行った。70℃に設定したオイルバスにフラスコをセットし重合を6時間行った。凝集分を濾別後しシード粒子を得た。シード粒子の粒子径はSEM観察により1.1μm CV6.8%であった。また分子量は下記測定装置によりサイズ排除クロマトグラフィー法(以下SECという)にて測定を行った結果ポリスチレン換算7800であった。またシード粒子溶液中の固形分濃度は8.8%であった。 SEC測定条件カラム:TSKgel GMHXL 7.8mmIDx30cm(東ソー製)溶離液:テトラヒドロフラン送液ポンプ:DP−8020(東ソー製)検出器:UV−8020 波長254nmに設定(東ソー製)標準試料:標準ポリスチレン(東ソー製)測定流速:1.0mL/min試料濃度:1mg/mL(THF溶液)<N−アルコキシメチルアクリルアミド粒子の重合> N−ブトキシメチルアクリルアミド(和光純薬製)298.5g、エチレングリコールジメタクリレート(東京化成工業製)1.5g、1−ペンタノール(キシダ化学製)60g、V−65(重合開始剤 和光純薬製)0.46g、及びラウリルスルホン酸ナトリュウム(東京化成工業製)1.8gを1Lビーカにはかり取り、撹拌しながら良く混合した。これにイオン交換水600mLを加え、超音波ホモジナイザーを用いて乳化した。これに作成したシード粒子0.182g(固形分量)、4%ポリビニルアルコール水溶液(クラレ工業製 商品名ポバール224)600mLを加え3分間良く撹拌した。溶液を3Lセパラブルフラスコに移し替え撹拌翼を取り付け室温下、100rpmの回転数でゆっくりと12時間撹拌した。顕微鏡観察によりシード粒子がモノマー混合液で膨潤し約13μmに膨潤していることが確認された。セパラブルフラスコを65℃に設定したオイルバスに設置し、撹拌しながら3時間重合を行った。OV−17(ガスクロ工業製)カラムを用いたガスクロ分析によりモノマーが消失していることを確認した。重合終了後温水を用い洗浄し重合粒子を得た。回収重量477g、含水率41%であった。<第二工程> 含水重合粒子85g(乾燥重量50g)、尿素(和光純薬製)9.4g、パラトルエンスルホン酸1水和物(和光純薬製)4.25g及びジメチルスルホキシド(キシダ化学製)340gを500mLセパラブルフラスコに投入し、90℃に設定したオイルバス中で2時間撹拌した。得られた親水化粒子を温水洗浄し親水性多孔質粒子を得た。 得られた親水性多孔質粒子を6.0mmIDx15cmカラムに充填し、細孔特性をポリエチレングリコール(以下PEGという)を標準試料としてサイズ排除クロマトグラフィー法にて測定した。また親水性をベンジルアルコール保持力を指標として従来の親水性粒子と比較した。また機械的強度をカラムに充填した状態で、純水を通液し、その通液速度を直線的に変化させたときの送液圧力を計測する方法で測定した。 細孔特性測定条件カラム:6.0mmIDx15cm溶離液:イオン交換水測定流速:0.5mL/min送液ポンプ:DP−8020(東ソー製)検出器:RI−8022(東ソー製)試料:エチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量200,300,600,1000,3000,6000 和光純薬製)排除限界分子量算出法:PEG 分子量 200、300及び600の溶出容量を通る直線の分子量6000の溶出位置のにおけるPEG換算分子量空孔率算出法:(エチレングリコール溶出容量−PEG6000溶出容量)/(カラム容量−PEG6000溶出容量)x100 疎水性測定条件測定試料以外細孔特性測定条件に同じ試料:エチレングリコール、ベンジルアルコール疎水性値:ベンジルアルコール溶出容量/エチレングリコール溶出容量 機械的強度(送液抵抗)測定条件カラム:4.6mmIDx10cm送液溶媒:イオン交換水流速グラジエント:0.2mL/minから10.2mL/minまで10分リニヤーグラジエント送液ポンプ:CCPM−II検出:送液ポンプ圧力計出力より換算強度:送液圧力が送液速度と直線関係からはずれる(変曲点)より概算 表1に排除限界分子量、細孔容積及び疎水性試験の結果を図1に機械的強度測定結果を示す。疎水性は若干大きいが、機械的強度は8MPa付近で若干の粒子変形に伴う圧力上昇が見られるものの、非常に高い強度を有していた。 実施例2<N−アルコキシメチルアクリルアミド粒子の重合> N−ブトキシメチルクリルアミド(和光純薬製)294.0g、エチレングリコールジメタクリレート(東京化成工業製)4.0g、1−ヘキサノール(キシダ化学製) 30gに変更した以外は実施例1と同様に重合体粒子を作成した。<第二工程> 含水重合粒子16.7g(乾燥重量10g)、エチルアミン塩酸塩2.5g(東京化成工業製)、60%−硫酸水溶液1mL、ジメチルスルホキシド60mL(キシダ化学製)を200mL三つ口フラスコに投入し、90℃に設定したオイルバス中で2時間撹拌した。得られた親水化粒子を温水洗浄しアニオン交換多孔質粒子18.1gを得た。得られた粒子を0.5N−NaOH水溶液で洗浄後、0.5N塩酸を用いて滴定を行ったところ、イオン交換容量は0.25meq/(粒子−mL)であった。 実施例3実施例2で作成したN−アルコキシメチルアクリルアミド粒子を用い以下の第二工程を行った。<第二工程> 含水重合粒子16.7g(乾燥重量10g)、タウリン2.25g(和光純薬製)、60%−硫酸水溶液1mL、ジメチルスルホキシド55mL(キシダ化学製)、蒸留水5mLを200mL三つ口フラスコに投入し、90℃に設定したオイルバス中で2時間撹拌した。得られた親水化粒子を温水洗浄しベタイン構造のイオン交換多孔質粒子16.1gを得た。得られた粒子を0.5N−HClで洗浄後、0.1N−NaOHを用いて滴定を行ったところ、イオン交換容量は0.08meq/(粒子−mL)であった。 実施例4 実施例2で作成したN−アルコキシメチルアクリルアミド粒子を用い、第二工程をアミノ化合物としてグリシン2.5g、60%−硫酸水溶液2mLに変更した以外は実施例2と同様に製造した。得られた粒子を0.5N−HClで洗浄後、0.1N NaOHを用いて滴定を行ったところ、イオン交換容量は0.07meq/(粒子−mL)であった。 実施例5<アクリルアミド・2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体の作成> アクリルアミド3g(アルドリッチ製)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸7g(アルドリッチ製)、過硫酸カリュウム0.1g(キシダ化学製)をイオン交換水に溶解し100mLとしてなす型フラスコに入れ、窒素気流下、70℃で16時間重合を行った。<第二工程> つづいて、実施例2で作成したN−アルコキシメチルアクリルアミド粒子を用い、第二工程をアミド化合物としてアクリルアミド・2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体溶液5mLに変更した以外は実施例3と同様に製造した。得られた粒子を0.5N−HClで洗浄後、0.1N−NaOHを用いて滴定を行ったところ、イオン交換容量は0.013meq/(粒子−mL)であった。 実施例6 実施例1で作成した粒子を10mmIDx15cmの液体クロマトグラフィーカラムに充填し、脱塩クロマトグラフィーを実施した。クロマトグラフィー条件を下記に示す。溶離液:50mmol/L リン酸緩衝液 pH6.5測定流速:3mL/min温度:4℃試料:10mg/mL Ovalbumin(シグマ製) 0.5mol/L NaCl and 50mmol/L リン酸緩衝液pH6.5試料量:1mL, 2mL, 3mL, 4mL装置:送液ポンプDP−8020(東ソー製)カラムオーブンCO−8020C(東ソー製)検出器UV−8020(東ソー製) 波長280nmに設定グラジエントモニタGM−8010(東ソー製)得られたクロマトグラムを図2に示す。タンパク質と塩が効率よく分離可能であった。 実施例7 実施例1で作成した粒子を4.6mmIDx15cmの液体クロマトグラフィーカラムに充填し、ポリオール分析法である順相クロマトグラフィーを実施した。クロマトグラフィー条件を下記に示す。溶離液:1)アセトニトリル/水 = 7/32)アセトニトリル/5mmol/L リン酸緩衝液pH6.5 =7/3測定流速:1mL/min温度:80℃試料:溶離液1) エチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、グルコース、サッカロース、マルトース溶離液2) エチレングリコール、グリセロール、グルコース、グルコサミン、ガラクトクロン酸装置:送液ポンプDP−8020(東ソー製)カラムオーブンCO−8020C(東ソー製)検出器RI−8022(東ソー製) 得られたクロマトグラムを図3及び図4に示す。ポリオールが効率よく分離可能であった。また従来のシリカ系充填剤を用いた場合、同時分析が困難であった、塩基性糖、中性糖及び酸性糖の同時分析が可能であった。 比較例1 PIERCE製ポリアクリルアミド 商品名D−Salt Polyacrylamide1800をカラムより抜きだし実施例1と同様な測定を行った。細孔容積は大きく疎水性も小さいが、粒子径が大きいため送液抵抗は小さいものの機械的強度は弱く1.7MPa程度で圧潰した。 比較例2 アマシャム製 商品名 SephadexG25 Superfine 架橋デキストラン粒子を用いて実施例1と同様な測定を行った。細孔容積は大きく疎水性も小さいが、粒子径が大きいため送液抵抗は小さいものの機械的強度は弱く0.95MPa程度で圧潰した。 本発明の本重合体粒子はアミド基又はアミノ基もしくはその双方を有している種々の化合物を導入可能であることから、各種バインダーやコーティング材料、化粧品、免疫診断用担体、液体クロマトグラフィー用充填剤としての使用法が考えられる。特に低い疎水性と高い機械的強度を併せ持つ特性を有する重合粒子は液体クロマトグラフィー用充填剤として特に優れた性能を有している。カラムに送液する流速を変化させたときの送液圧変化を表す塩を含むタンパク質溶液の脱塩クロマトグラフィー結果中性ポリオール類のクロマトグラフィー結果塩基性、中性及び酸性糖の同時分析クロマトグラフィー結果化学式1(化学式1中のXは水素又はメチル基であり、R1はC4以上のアルキル基を表す)で表されるN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する単位と、化学式1で表される単量体と共重合しうる、多官能不飽和単量体に由来する単位を含む、粒子径が1〜1000μmである重合体粒子において、化学式1で表されるN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する単位に化学式2(ただし化学式2中のR2はH、C3以下のアルキル基又はC3以下でありかつ1個以上の水酸基で置換されたアルキル基を表す。化学式2中のR3はH、NH2、C1〜C18のアルキル基、フェニル基、C24以下でありかつ1個以上の水酸基で置換された直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、−CH2−CO−NH2のいずれかを表すか、又は、R3は他のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する構造単位であり、メチレン基を介して他のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する窒素原子に結合していることを表す。化学式2中のAは重合体粒子を表す。)及び/又は化学式3(ただし化学式3中のR4及びR5はH、C6以下のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、C6以下でありかつ1個以上の水酸基で置換されたアルキル基、−CH2COOH、−CH2SO3H、−CH2CH2SO3H、−(CH2)n−PO−(OH)2(式中nは1から4の整数を表す)、−CHR6−PO−(OH)2(式中R6は炭素数1〜3の直鎖アルキル基を表す)、−CHR7−COOH(R7はアミノ酸側鎖を表す)、オリゴペプチド残基、アデニン残基、シトシン残基、グアニン残基、メラミン残基、ベンゾグアナミン残基、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンのいずれかを表すか、又は、R4及びR5は他のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する構造単位であり、メチレン基を介して他のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する窒素原子に結合していることを表す。化学式3中のAは重合体粒子を表す。)で表される置換基が、少なくとも導入された架橋(メタ)アクリルアミド粒子。化学式1で表されるN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する単位と、多官能不飽和単量体に由来する単位のモル比が99.99:0.01〜50:50の範囲内である請求項1記載の架橋(メタ)アクリルアミド粒子。ポリアクリルアミドポリマー又はポリアクリルアミドを含有するコポリマーが重合体粒子の主鎖に結合している請求項1又は2記載の架橋(メタ)アクリルアミド粒子。請求項1記載のR3、R4及びR5の少なくとも1以上がスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、アミノ基から選ばれた少なくとも1種以上のイオン交換基を含むものである請求項1ないし請求項3記載の架橋(メタ)アクリルアミド粒子。重合体粒子の細孔径がポリエチレングリコールを試料とした排除限界分子量5000以下である請求項1ないし請求項4記載の架橋(メタ)アクリルアミド粒子。請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の架橋(メタ)アクリルアミド粒子の製造法であって、(1)化学式1で表される油溶性のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド、化学式1で表される単量体と共重合しうる多官能不飽和単量体、及び懸濁安定剤を水相に懸濁し、重合することにより重合体粒子を得る工程、(2)アミド基又はアミノ基を有する化合物が分散又は溶解し、工程(1)の重合体粒子が分散した有機溶媒中に、酸触媒を作用させることにより、化学式1の単量体に由来する単位に化学式2及び/又は化学式3で表される置換基を導入する工程、からなる架橋(メタ)アクリルアミド粒子の製造法。請求項6記載の架橋(メタ)アクリルアミド粒子の製造法において、(1)の工程において、化学式1で表される油溶性のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド、及び化学式1で表される単量体と共重合しうる多官能不飽和単量体を含む混合物、を乳化剤を用いて水中に乳化し、これにシードポリマー粒子を作用させてシードポリマー粒子に単量体を吸収させ粒子径単分散単量体油滴を作成し、重合することを特徴とする架橋(メタ)アクリルアミド粒子の製造法。架橋(メタ)アクリルアミド粒子の製造法において、該粒子径単分散単量体油滴の安定化剤としてC4以上の高級アルコール又は有機酸エステル、C6からC9の芳香族化合物から選ばれた少なくとも一種以上の有機溶媒を単量体に対して1重量%以上作用させる請求項7記載の架橋(メタ)アクリルアミド粒子の製造法。乳化剤がアルキルスルホン酸塩又はアルキルベンゼンスルホン酸塩又はアルキルエーテル硫酸エステル塩であり、単量体に対して0.1〜5重量%用いる、請求項7又は請求項8記載の架橋(メタ)アクリルアミド粒子製造法。乳化剤に対して1〜50重量%のHLB8〜20であるノニオン系乳化剤を併用する請求項9記載の架橋(メタ)アクリルアミド粒子製造法。酸触媒が、塩酸、リン酸、硫酸などの鉱酸類、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸、酢酸、マレイン酸などの有機酸類、トリフルオロホウ素などのルイス酸などから選ばれた一種以上の酸である請求項6ないし請求項10のいずれかに記載の製造法。アミド基又はアミノ基を有する化合物が、ホルムアミド、尿素、N−メチロール尿素、アセトアミド、乳酸アミド、2−ヒドロキシプロピオンアミド、オキサミド、マロンアミド、ポリアクリルアミドからなる群から選ばれた化合物である請求項5ないし10のいずれかに記載の架橋(メタ)アクリルアミド粒子製造法。請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の架橋(メタ)アクリルアミド粒子を液体クロマトグラフィー用カラムに詰めた充填カラム。請求項1ないし請求項3、又は請求項5のいずれかに記載の架橋(メタ)アクリルアミド粒子を液体クロマトグラフィー用カラムに詰めて、脱塩用カラムとして使用する方法。請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の架橋(メタ)アクリルアミド粒子を液体クロマトグラフィー用カラムに詰めて、ポリオール分析用カラムとして使用する方法。 【課題】アクリルアミド粒子は機械的強度が弱く特に液体クロマトグラフィー用として有用な粒子径10μm程度の粒子として使用することが困難であった。また粒子径単分散である任意の架橋度のアクリルアミド粒子を製造することが困難であった。【解決手段】本願発明者らは、任意の架橋度を有し機械的強度が強く、種々の官能基を導入可能である架橋(メタ)アクリルアミド粒子を見いだし、架橋(メタ)アクリルアミド粒子を粒子径単分散粒子として製造する方法を見いだした。【選択図】 なし


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特許公報(B2)_架橋(メタ)アクリルアミド粒子及びその製造法及びその用途

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_架橋(メタ)アクリルアミド粒子及びその製造法及びその用途
出願番号:2005298618
年次:2011
IPC分類:C08F 220/58,C08F 8/30,C08F 2/24,C08F 291/00,G01N 30/88,A61Q 19/00,A61K 8/81


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村中 和昭 山中 麻帆 荒木 康祐 JP 4844076 特許公報(B2) 20111021 2005298618 20051013 架橋(メタ)アクリルアミド粒子及びその製造法及びその用途 東ソー株式会社 000003300 村中 和昭 山中 麻帆 荒木 康祐 JP 2004299975 20041014 20111221 C08F 220/58 20060101AFI20111201BHJP C08F 8/30 20060101ALI20111201BHJP C08F 2/24 20060101ALI20111201BHJP C08F 291/00 20060101ALI20111201BHJP G01N 30/88 20060101ALI20111201BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20111201BHJP A61K 8/81 20060101ALN20111201BHJP JPC08F220/58C08F8/30C08F2/24 ZC08F291/00G01N30/88 101SG01N30/88 CG01N30/88 NA61Q19/00A61K8/81 C08C 19/00−19/44 C08F 6/00−246/00 特開昭54−137398(JP,A) 米国特許第05219969(US,A) 特開2001−139607(JP,A) 特開2002−341534(JP,A) 特開平11−302304(JP,A) 6 2006137944 20060601 17 20080908 米村 耕一 本発明は架橋(メタ)アクリルアミド粒子に関する。 (メタ)アクリルアミド単量体を成分として含む重合粒子(以下、(メタ)アクリルアミド粒子という)は親水性が高く、保湿などに優れ、生体毒性も小さいことからインクバインダー、表面処理剤、化粧品などに幅広く用いられている。特に液体クロマトグラフィー用基材としては、水系溶離液を用いた場合に試料と基材との疎水的相互作用が小さいことからタンパク質や核酸等の精製用担体として優れた特性を有している。 従来親水性粒子としては、セルロース、デキストラン又はアガロースなどの多糖類を架橋させた粒子が広く知られている。多糖系の架橋粒子を作成する際には、多糖及び架橋剤の水溶液を有機溶媒に逆相懸濁し、多糖を架橋剤であるエポキシ化合物や、ジアルデヒド類などで架橋することにより製造されている。 また(メタ)アクリルアミド粒子は水溶性である(メタ)アクリルアミドを重合して作成され、一般的には逆相懸濁により重合する方法がとられている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。逆相懸濁重合以外の製造法としては、(メタ)アクリルアミド粒子の粒子径のそろった単分散粒子作成法として有機溶媒中での分散重合法が知られている(特許文献5)。またその他の製造法としては、臨界二酸化炭素中での重合法(特許文献6)や噴霧による方法(特許文献7)が知られている。 またN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドは自己架橋性モノマーであり、酸触媒によりアルコキシ基が脱離し、容易に自己架橋もしくは、アミド基、アミノ基等と結合しうることが知られている。このため、繊維加工に使用されたり(特許文献8、特許文献9)、コロイドの分散剤(特許文献10、特許文献11)や塗膜形成用材料(特許文献12、特許文献13)として用いられている。米国特許第4070348号(請求項6)米国特許第4190713号(要約)米国特許第4511694号(請求項1)特開昭59−232101号公報(請求項10)米国特許第4988568号(要約、請求項3)米国特許第4748220号(要約、請求項4)特開2003−211003号公報(請求項1)米国特許第5219969号(要約)米国特許第5314943号(発明の背景)米国特許第5385971号(発明の詳細)米国特許第6316568号(請求項3)特開昭51−8343号公報(第3項、実施例5)米国特許第4107156号(実施例15) (メタ)アクリルアミド粒子は親水性粒子としての特性から種々の分野で使用されている。しかし、官能基を導入する方法が限定されるという点、機械的強度が弱いという点、で問題点を有していた。そして機械的強度が弱いために微粒子化が困難となり、液体クロマトグラフィーに用いられる様な50μm以下、特に10μm程度の粒子にすることができないという課題が残っていた。 また、(メタ)アクリルアミド粒子の製造法において粒子径制御が困難であるという問題点が挙げられる。これは、(メタ)アクリルアミド粒子の製造法として一般的な手法である逆相懸濁重合法は粒子径制御が難しく、また順相懸濁重合法における粒子径単分散粒子の製造法であるシード重合法は(メタ)アクリルアミド粒子では行うことができないことに起因する。分散重合による方法では粒子径のそろった(メタ)アクリルアミド粒子を作成可能であるが、作成可能な粒子径範囲が10μm以下と狭いという点、及び架橋性単量体と(メタ)アクリルアミドとの比を変更すると粒子径も変化してしまい架橋度を大きくすると粒子径が小さくなることから架橋度を任意に変更できない点、で問題点を有していた。 本発明の目的は、種々の置換基が導入された架橋(メタ)アクリルアミド粒子を提供することであり、特に高い親水性と機械的強度を兼ね備えた液体クロマトグラフィー用充填剤として優れた性質を有する架橋(メタ)アクリルアミド粒子を提供することにある。また本発明の順相懸濁重合により作製された重合体粒子に置換基を導入する製造法により、任意の架橋度を有し、種々の官能基が導入された架橋(メタ)アクリルアミド粒子を容易に作製できる製造法を提供することにある。またシード重合法を用いることにより、他の重合法では作製不可能であった任意の架橋度を有する粒子径単分散の架橋(メタ)アクリルアミド粒子製造法を提供することにある。 本発明は、化学式1(化学式1中のXは水素又はメチル基であり、R1はC4以上のアルキル基を表す)で表されるN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する単位と、化学式1で表される単量体と共重合しうる、多官能不飽和単量体に由来する単位を含む、粒子径が1〜1000μmである重合体粒子(以下本重合体粒子という)において、化学式1で表されるN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する単位に化学式2(ただし化学式2中のR2はH、C3以下のアルキル基又はC3以下でありかつ1個以上の水酸基で置換されたアルキル基を表す。化学式2中のR3はH、NH2、C1〜C18のアルキル基、フェニル基、C24以下でありかつ1個以上の水酸基で置換された直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、−CH2−CO−NH2のいずれかを表すか、又は、R3は他のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する構造単位であり、メチレン基を介して他のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する窒素原子に結合していることを表す。化学式2中のAは重合体粒子を表す。)及び/又は化学式3(ただし化学式3中のR4及びR5はH、C6以下のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、C6以下でありかつ1個以上の水酸基で置換されたアルキル基、−CH2COOH、−CH2SO3H、−CH2CH2SO3H、−(CH2)n−PO−(OH)2(式中nは1から4の整数を表す)、−CHR6−PO−(OH)2(式中R6は炭素数1〜3の直鎖アルキル基を表す)、−CHR7−COOH(R7はアミノ酸側鎖を表す)、オリゴペプチド残基、シチジン残基、グアニジン残基、メラミン残基、ベンゾグアナミン残基、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンのいずれかを表すか、又は、R4及びR5は他のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する構造単位であり、メチレン基を介して他のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する窒素原子に結合していることを表す。化学式3中のAは重合体粒子を表す。)で表される置換基が、少なくとも導入された架橋(メタ)アクリルアミド粒子を提供する。 架橋(メタ)アクリルアミド粒子における置換基は、化学式4や化学式5に示されるような反応によって、酸触媒によるアルコキシ基脱離反応によるアミド基やアミノ基の導入が可能であり、本重合体粒子に種々の官能基を容易に誘導することができる。化学式4中のR1、R2及びR3は化学式1及び化学式2に記載の置換基と同一。化学式4中のAは重合体粒子を表す。化学式5中のR1、R4及びR5は化学式1及び化学式3に記載の置換基と同一。化学式5中のAは重合体粒子を表す。 アミド基を有する化合物を導入する際に、ホルムアミド、乳酸アミドや尿素など親水性の高いアミド化合物が導入された粒子は、多孔性の高親水性粒子となる。この際に尿素などの多官能アミド化合物を用いて得られた粒子は、高親水化と従来にない機械的強度を兼ね備えた粒子となり、粒子径を小さくできることから、液体クロマトグラフィー用充填剤として特に有用である。またアミド基とイオン交換基を有する化合物が導入された粒子は(メタ)アクリルアミド単量体を成分として含むイオン交換体となる。さらにアミド基を有する化合物としてポリアクリルアミドや、アクリルアミドを成分として含む種々のコポリマーを導入することも可能である。 また本重合体粒子は、アミド基の代わりにN−Hを有するアミノ基を有する化合物を導入することが可能である。アミノ基を有する化合物に同時に他のイオン交換基を有する化合物を用いることにより、たとえばベタイン構造のイオン交換体となる。例えば、N−Hを有するアミノ基を有する化合物が、カルボン酸基、スルホン酸基又はリン酸基を同時に有する化合物である場合、アミノ基が本重合体粒子に結合することによりアニオン交換基であるアミノ基とカチオン交換基を同時に有するベタイン構造のイオン交換体となる。 また本重合体粒子は、順相懸濁重合法により作成することが可能であり、粒子径のそろったシード粒子ポリマーを用いるシード重合法により作成することが可能である。多官能不飽和単量体による任意な架橋度を有し、粒子径のそろった粒子を容易に作成でき、前述の種々の粒子径単分散な(メタ)アクリルアミド粒子を製造可能となった。 以下に本発明について詳細に説明する。 化学式1で示されるN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する単位と、化学式1で表される単量体と共重合しうる、多官能不飽和単量体に由来する単位を含む、粒子径が1〜1000μmである重合体粒子(以下、本重合体粒子という)のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体は油溶性であることが好ましいことから、化学式1のアルコキシ基は疎水性基であることが必要であるため、化学式1中のR1はC4以上の直鎖アルキル基であることが好ましく、特に本重合体粒子をシード重合法により製造する場合には膨潤性についても考慮すると、化学式1中のR1はC4〜C8の範囲である直鎖アルキル基であることが好ましい。 本発明中の多官能不飽和単量体に由来する単位とは、油溶性単量体に由来する単位であり、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体と共重合可能である必要がある。これらを例示するとエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、メチレンビスマレイミド、N,N’−(4−メチル−1,3−フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−(フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−(スルホニルジ−m−フェニレン)ビスマレイミドなどのビスマレイミド類、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート、メチレンビスアクリルアミドなどを挙げることができる。その使用量は、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドと多官能不飽和単量体のモル比が99.99:0.01から50:50の範囲内で使用可能であるが、多官能不飽和単量体の有する疎水性の効果を低減する観点及び、得られた粒子の強度の観点から考慮し、99.95:0.05から98:2の範囲が好ましい。 化学式1で示されるN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体と多官能不飽和単量体に対して、その他の単量体を共重合することも可能である。しかしその他の単量体は油溶性の疎水性モノマーである必要があることから、本重合体粒子を出発原料として成分に含まれる(メタ)アクリルアミドの親水性を生かした粒子を作成する場合にはその他の単量体を加えることは好ましくない。 本重合体粒子の粒子径は用途によって任意であるが、液体クロマトグラフィー用充填剤としての用途においては1〜1000μm、特に5〜200μmであることが好ましい。 本重合体粒子は、有機溶媒中、酸触媒下において窒素原子上の少なくとも1個以上の結合がN−H結合であるアミド基を有する化合物を容易に導入可能であり、本重合体粒子中のN−アルコキシメチルアミド基中のアルコキシ基が脱離し本重合粒子中のアミド基窒素原子がメチレン基を介してアミド基を有する化合物のアミド窒素基と結合する。使用する有機溶媒に可溶であれば任意の置換基を有する化合物を導入可能である。 本重合体粒子のN−アルコキシメチル基に対し、アミド基を有する化合物が導入されるため、本重合体粒子のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド由来の単位と導入されたアミド基由来のアミド基単位の比率の上限は1:1(モル比)となり、この比率は任意に調節可能である。本重合体粒子の、アミド基導入に関与しなかったN−アルコキシメチル基は、アミド基を有する化合物を導入する反応の際に、化学式6に示される自己架橋構造単位に変換される。 化学式6中のR1はC4以上のアルキル基を表し、mは1以上の整数を表す。化学式6中のAは重合体粒子を表す。 導入される化合物のアミド基が有する置換基として非イオン性基を有するアミド化合物が導入された本重合体粒子は、非イオン性の多孔性粒子として使用可能である。その非イオン性基を有するアミド化合物の例としては、ホルムアミド、乳酸アミド、酢酸アミド、アクリルアミド、グルコンアミド、パントテニルアルコール、安息香酸アミド、ステアリン酸アミド、コール酸アミド、ポリアクリルアミド、ポリアミド樹脂などの有機酸アミド類、N−アセトキシグルコサミン、N−アセトキシガラクトサミン等のアミノ糖アセチル化物、尿素、N−メチロール尿素、ウリジン等に由来する構造単位をあげることができる。 特に尿素等のアミド基を複数有する化合物から由来する構造単位を、本重合体粒子が有するN−アルコキシメチル基由来の単位と導入されたアミド基由来のアミド基単位の比において1:0.1から1:1(モル比)の範囲内で用いることにより、高い親水性を有するばかりではなく、粒子の架橋によって高い機械的強度を兼ね備えた多孔性粒子となることにより、液体クロマトグラフィー用充填剤として有用である。このような粒子は、特に脱塩用クロマトグラフィー担体として従来の親水性粒子にない高い親水性と高い機械的強度を兼ね備えた粒子として非常に有用であり、且つ有機溶媒などへの膨潤も小さいためポリオール分析用の順相クロマトグラフィー担体としても有用である。 本重合体粒子は、有機溶媒中、酸触媒下において窒素原子上の少なくとも1個以上の結合がN−H結合であるアミノ基を有する化合物を容易に導入可能である。本重合体粒子中のN−アルコキシメチルアミド基中のアルコキシ基が脱離し本重合体粒子中のアミド基窒素原子がメチレン基を介してアミノ基を有する化合物のアミノ窒素基と結合することによりイオン交換性粒子となる。使用する有機溶媒に可溶であれば任意の置換基を有する化合物を導入可能であり、本重合体粒子が有するN−アルコキシメチル基由来の単位と導入されたアミノ基由来のアミノ基単位の比率は上限として1:1(モル比)であるが、その下限は特に制限はない。本重合体粒子が有する、アミノ基導入に関与しなかったN−アルコキシメチル基は、アミノ基を有する化合物を導入する反応の際に、化学式6に示される自己架橋構造単位に変換される。アミノ基を有する化合物の例としては、アミド基も同時に有している化合物も使用できる。この場合、どちらか一方がN−H結合を有していれば良い。したがってその導入形態としては、アミノ基が本重合体粒子中のアミド基窒素原子とメチレン基を介して結合した形態と、アミド基が本重合体粒子中のアミド基窒素原子とメチレン基を介して結合した形態の、いずれか又は両形態が混合して存在する導入形態が挙げられる。 本重合体粒子中のN−アルコキシメチル基に導入される、アミノ基を有する化合物由来の構造単位としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミンなどのアルキルアミン類、アニリン、ジアミノベンゼン、アミノナフタレンなどの芳香族アミン類、タウリンやアラニン、アルギニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンなどのアミノ酸及びその誘導体、及びそれらのオリゴペプチド類、アデニン、シトシン、グアニン及びそれらの誘導体、メラミン、ベンゾグアナミンやポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリアクリルアミドや、アクリルアミドとN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドの共重合体や、アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体など、ルシファーイエロー、アシッドレッド、アゾフロキシン等の色素類等を由来とする構造単位を挙げることができる。 本重合体粒子の製造方法としては、(メタ)アクリルアミドを水溶性の架橋性単量体と逆相懸濁重合して得られた粒子より、メチロール化及びエーテル化を経る一般的な製法をとることも可能であるが、N−アルコキシメチルアクリルアミド及び油溶性の架橋性単量体を順相懸濁して得る方法がシード重合法を用いることが可能となることから好適である。 順相懸濁重合に用いる重合開始剤として、一般にビニルモノマーのラジカル重合を行う際に用いられる油溶性重合開始剤を使用することが可能であり、油溶性アゾ系重合開始剤としては2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチルニトリル)等が例示でき、油溶性有機過酸化物重合開始剤としては2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ジ(t−ヘキシルペロキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペロキシ)シクロヘキサン、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシネオデカン酸、t−ヘキシルペルオキシピバリン酸、t−ブチルペルオキシピバリン酸等が例示できる。また懸濁重合で行うため、10時間半減期温度が100℃未満の重合開始剤を用いることが好適である。重合開始剤の使用量としては単量体に対して0.01モル%から1.0モル%の範囲内で使用し、特に0.05モル%から0.5モル%の範囲内が好ましい。また重合開始剤を使用せず、紫外線や放射線により重合させることも可能である。 本発明中の順相懸濁重合では、懸濁油滴を安定化するために用いられている一般的な高分子分散安定剤を使用することが可能である。そのような例としてはポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリュウムなどを挙げることができるが、有機酸系ポリマーを用いる場合には、水相が酸性とならないようにpHを4以上に調製する必要があるため、一般的なポリビニルアルコールやヒドロキシプロピルセルロースなどの非イオン性高分子を用いることが好適である。これらの使用量としては、水相中濃度として0.1重量%から20重量%使用することが可能であり、0.5重量%から10重量%とすることが重合後の洗浄の観点から好適である。 重合は熱分解性重合開始剤を用いる場合には加熱により、開始剤を用いずに放射線重合等による場合には常温で放射線を照射することにより重合可能であり特に制限はない。 シード重合により順相懸濁重合する場合、粒子径単分散化を目的として使用されているソープフリー乳化重合法や分散重合法により得られたポリスチレンやポリ(スチレン・アクリル酸エステル)共重合粒子、メタアクリル酸エステル粒子等を用いることができる。特に膨潤性やシード粒子ポリマーがN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド重合物と相分離を起こしにくい観点から特開2001−2716に示されているシード粒子ポリマーを用いることが好適である。またシード粒子ポリマーと、単量体が重合し生成したポリマーとの相分離が、粒子形状へおよぼす影響を小さくする目的から、シード粒子ポリマーと単量体の割合は、シード粒子1重量部に対し、単量体が10重量部以上が好ましい。また特に上限は無いが、粒子径分布を狭くする目的から、シード粒子1重量部に対し、単量体が10,000重量部以下が好ましい。したがってシード重合を行う際のシード粒子ポリマーと単量体の比で表される膨潤率は特に制限はなく、シード粒子体積に対して約10,000倍程度の膨潤が可能であり、目的粒子径に合わせて設定可能である。 シード重合により順相懸濁重合を行う際に用いる乳化剤は一般的なスルホン酸塩やノニオン系乳化剤を用いることができる。そのような例としてはラウリルスルホン酸ナトリュウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリュウム等のアルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステルなどのノニオン系乳化剤を例示できる。特に油滴安定性の観点からアルキルスルホン酸塩とHLB8〜20のノニオン系乳化剤を併用することもできる。併用するノニオン系乳化剤の割合はアルキルスルホン酸塩に対して10重量%〜90重量%、好ましくは20重量%〜80重量%の割合で使用する。 シード重合により順相懸濁重合を行う際に用いる乳化剤としてアルキルスルホン酸塩のみを使用する場合、油滴安定性を向上させるためにN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドよりも疎水性の大きい化合物を使用することも可能である。そのような疎水性の大きい化合物の例としてはブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノールなどのC4以上の高級アルコール、酢酸ブチルエステル、酢酸ペンチルエステル、酢酸ヘキシルエステル、酢酸フェニルエステル、酢酸ベンジルエステル、プロピオン酸エチルエステル、プロピオン酸ブチルエステル、安息香酸メチルエステル、安息香酸エチルエステルなどの有機酸エステル、ベンゼン、トルエン、キシレン等のC6からC9の芳香族化合物等を例示できる。膨潤性の観点からC5以上C6までの高級アルコール類又はC4以上C7までの有機酸エステル、ベンゼン、トルエンを用いることが好ましい。使用量は単量体全体に対して1重量%以上添加するが、必要以上に添加する必要はなく単量体全体に対して1重量%から50重量%使用することが好ましい。 重合して得られた本重合体粒子は、高分子分散安定剤を取り除くために、適切な溶媒、一般的には温水を用いて洗浄する。 本発明の製造法では、得られた本重合体粒子を有機溶媒中に分散し、酸触媒によりアルコキシ基を脱離させ粒子内の他のアミド基と結合させることにより、親水性ポリマー粒子とする。この工程(以下第二工程という)において他のアミド基又はアミノ基を有する化合物を共存させ、酸触媒により本重合体粒子に導入することも可能である。なおステアリン酸アミドなど疎水性の大きい化合物を導入することにより本重合体粒子は疎水性となり、イオン交換基を有する化合物を導入することによりイオン交換粒子となる。特に多官能のアミド基又はアミノ基を有した化合物を適量用いることにより、粒子架橋も同時に進行させることが可能である。 本発明中の製造法における第二工程において用いる有機溶媒としては、酸触媒に安定であり、N−アルコキシメチル基と反応性が無いものが好ましく、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールなどの高級アルコール類、酢酸ブチルエステル、酢酸ペンチルエステル、酢酸ヘキシルエステル、酢酸フェニルエステル、酢酸ベンジルエステル、プロピオン酸エチルエステル、プロピオン酸ブチルエステル、安息香酸メチルエステル、安息香酸エチルエステルなどの有機酸エステルを例示することができる。また第二工程において用いる有機溶媒は用途に応じて、水との混合溶媒とすることも可能である。特に本重合粒子を多孔質とするために、本重合粒子が膨潤する溶媒で行うことが好適である。その使用量は、本重合粒子に対して2重量部、好ましくは4重量部以上とすることが好ましい。 本発明中の製造法における第二工程で使用する酸触媒としては、特に制限はないが強酸類が好ましく、塩酸、硫酸、トルエンスルホン酸などの鉱酸類、三フッ化ホウ素などのルイス酸を例示できる。その使用量は特に制限はないが、本重合粒子に対して0.01重量%以上が好ましく、特に0.1重量%以上が好適である。 本発明中の製造法における第二工程において、N−H構造を有するアミド基やアミノ基などのN−アルコキシメチル基と反応可能である化合物を共存させることによって、それらの化合物を本重合体粒子中に導入することが可能である。アミド基及びアミノ基はどちらか一方もしくは同時に存在しても良く、本重合体粒子の有するアルコキシ基脱離により導入されるためのN−H基を有している必要がある。導入可能な化合物の例としてはホルムアミド、乳酸アミド、酢酸アミド、アクリルアミド、グルコン酸アミド、パントテニルアルコール、安息香酸アミド、ステアリン酸アミド、コール酸アミド、ポリアクリルアミド、ポリアミド樹脂などの有機酸アミド類、N−アセトキシグルコサミン、N−アセトキシガラクトサミン等のアミノ糖アセチル化物、尿素、N−メチロール尿素、ウリジン、アンモニア、メチルアミン、エチルアミンなどのアルキルアミン類、アニリン、ジアミノベンゼン、アミノナフタレンなどの芳香族アミン類、タウリンやアラニン、アルギニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンなどのアミノ酸及びその誘導体、及びそれらのオリゴペプチド類、アデニン、シトシン、グアニン及びそれらの誘導体、メラミン、ベンゾグアナミンやポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリアクリルアミドや、アクリルアミドとN、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドの共重合体や、アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体など、ルシファーイエロー、アシッドレッド、アゾフロキシン等をあげることができる。これら導入可能な化合物の使用量は目的に合わせて、有機溶媒に溶解する範囲で任意に設定可能である。 本発明中の製造法における第二工程は、使用する酸の種類及びその使用量により反応温度、反応時間を適切に調整し、アルコキシ基離脱により生成するアルコール生成量を計測することにより進行度を決定可能である。 得られた架橋(メタ)アクリルアミド粒子は温水又は導入するアミド基又はアミノ基を有する化合物を溶解可能な有機溶媒で洗浄することにより、酸触媒、有機溶媒、残存導入化合物などを容易に取り除くことが可能である。 本発明によれば、架橋(メタ)アクリルアミド粒子を順相懸濁重合により製造可能となり、粒子径制御が容易なものとなった。特にシード重合法を用いることが可能となり粒子径単分散で多孔質な粒子を簡便に製造することが可能となった。また本発明により得られた粒子は、高架橋構造とすることも容易であり、従来の逆相懸濁重合により製造された多糖系粒子やアクリルアミド粒子と比較し遙かに機械的強度の大きい粒子を製造可能となった。特に親水性と機械的強度を両立させた架橋(メタ)アクリルアミド粒子は粒子径を小さく設定することが可能となり、液体クロマトグラフィー用充填剤として優れた性能を示す。また本発明の第二工程において、アミド基やアミノ基などと、本重合体粒子の官能基であるN−アルコキシメチル基が結合可能であるため、これらの官能基を有する種々の化合物を導入した粒子を製造可能となった。以下本発明を実施例にて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。 実施例1<シード粒子の製造> 500mLの三つ口フラスコにベンジルメタクリレート(東京化成工業製)30g、2−エチルヘキシルチオグリコール酸エステル (東京化成工業製)1.5g、過硫酸カリュウム(キシダ化学製)0.6g及びMill−Q水250gを入れ、撹拌しながら窒素パージを室温下で3時間行った。70℃に設定したオイルバスにフラスコをセットし重合を6時間行った。凝集分を濾別後しシード粒子を得た。シード粒子の粒子径はSEM観察により1.1μm CV6.8%であった。また分子量は下記測定装置によりサイズ排除クロマトグラフィー法(以下SECという)にて測定を行った結果ポリスチレン換算7800であった。またシード粒子溶液中の固形分濃度は8.8%であった。 SEC測定条件カラム:TSKgel GMHXL 7.8mmIDx30cm(東ソー製)溶離液:テトラヒドロフラン送液ポンプ:DP−8020(東ソー製)検出器:UV−8020 波長254nmに設定(東ソー製)標準試料:標準ポリスチレン(東ソー製)測定流速:1.0mL/min試料濃度:1mg/mL(THF溶液)<N−アルコキシメチルアクリルアミド粒子の重合> N−ブトキシメチルアクリルアミド(和光純薬製)298.5g、エチレングリコールジメタクリレート(東京化成工業製)1.5g、1−ペンタノール(キシダ化学製)60g、V−65(重合開始剤 和光純薬製)0.46g、及びラウリルスルホン酸ナトリュウム(東京化成工業製)1.8gを1Lビーカにはかり取り、撹拌しながら良く混合した。これにイオン交換水600mLを加え、超音波ホモジナイザーを用いて乳化した。これに作成したシード粒子0.182g(固形分量)、4%ポリビニルアルコール水溶液(クラレ工業製 商品名ポバール224)600mLを加え3分間良く撹拌した。溶液を3Lセパラブルフラスコに移し替え撹拌翼を取り付け室温下、100rpmの回転数でゆっくりと12時間撹拌した。顕微鏡観察によりシード粒子がモノマー混合液で膨潤し約13μmに膨潤していることが確認された。セパラブルフラスコを65℃に設定したオイルバスに設置し、撹拌しながら3時間重合を行った。OV−17(ガスクロ工業製)カラムを用いたガスクロ分析によりモノマーが消失していることを確認した。重合終了後温水を用い洗浄し重合粒子を得た。回収重量477g、含水率41%であった。<第二工程> 含水重合粒子85g(乾燥重量50g)、尿素(和光純薬製)9.4g、パラトルエンスルホン酸1水和物(和光純薬製)4.25g及びジメチルスルホキシド(キシダ化学製)340gを500mLセパラブルフラスコに投入し、90℃に設定したオイルバス中で2時間撹拌した。得られた親水化粒子を温水洗浄し親水性多孔質粒子を得た。 得られた親水性多孔質粒子を6.0mmIDx15cmカラムに充填し、細孔特性をポリエチレングリコール(以下PEGという)を標準試料としてサイズ排除クロマトグラフィー法にて測定した。また親水性をベンジルアルコール保持力を指標として従来の親水性粒子と比較した。また機械的強度をカラムに充填した状態で、純水を通液し、その通液速度を直線的に変化させたときの送液圧力を計測する方法で測定した。 細孔特性測定条件カラム:6.0mmIDx15cm溶離液:イオン交換水測定流速:0.5mL/min送液ポンプ:DP−8020(東ソー製)検出器:RI−8022(東ソー製)試料:エチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量200,300,600,1000,3000,6000 和光純薬製)排除限界分子量算出法:PEG 分子量 200、300及び600の溶出容量を通る直線の分子量6000の溶出位置のにおけるPEG換算分子量空孔率算出法:(エチレングリコール溶出容量−PEG6000溶出容量)/(カラム容量−PEG6000溶出容量)x100 疎水性測定条件測定試料以外細孔特性測定条件に同じ試料:エチレングリコール、ベンジルアルコール疎水性値:ベンジルアルコール溶出容量/エチレングリコール溶出容量 機械的強度(送液抵抗)測定条件カラム:4.6mmIDx10cm送液溶媒:イオン交換水流速グラジエント:0.2mL/minから10.2mL/minまで10分リニヤーグラジエント送液ポンプ:CCPM−II検出:送液ポンプ圧力計出力より換算強度:送液圧力が送液速度と直線関係からはずれる(変曲点)より概算 表1に排除限界分子量、細孔容積及び疎水性試験の結果を図1に機械的強度測定結果を示す。疎水性は若干大きいが、機械的強度は8MPa付近で若干の粒子変形に伴う圧力上昇が見られるものの、非常に高い強度を有していた。 実施例2<N−アルコキシメチルアクリルアミド粒子の重合> N−ブトキシメチルクリルアミド(和光純薬製)294.0g、エチレングリコールジメタクリレート(東京化成工業製)4.0g、1−ヘキサノール(キシダ化学製) 30gに変更した以外は実施例1と同様に重合体粒子を作成した。<第二工程> 含水重合粒子16.7g(乾燥重量10g)、エチルアミン塩酸塩2.5g(東京化成工業製)、60%−硫酸水溶液1mL、ジメチルスルホキシド60mL(キシダ化学製)を200mL三つ口フラスコに投入し、90℃に設定したオイルバス中で2時間撹拌した。得られた親水化粒子を温水洗浄しアニオン交換多孔質粒子18.1gを得た。得られた粒子を0.5N−NaOH水溶液で洗浄後、0.5N塩酸を用いて滴定を行ったところ、イオン交換容量は0.25meq/(粒子−mL)であった。 実施例3実施例2で作成したN−アルコキシメチルアクリルアミド粒子を用い以下の第二工程を行った。<第二工程> 含水重合粒子16.7g(乾燥重量10g)、タウリン2.25g(和光純薬製)、60%−硫酸水溶液1mL、ジメチルスルホキシド55mL(キシダ化学製)、蒸留水5mLを200mL三つ口フラスコに投入し、90℃に設定したオイルバス中で2時間撹拌した。得られた親水化粒子を温水洗浄しベタイン構造のイオン交換多孔質粒子16.1gを得た。得られた粒子を0.5N−HClで洗浄後、0.1N−NaOHを用いて滴定を行ったところ、イオン交換容量は0.08meq/(粒子−mL)であった。 実施例4 実施例2で作成したN−アルコキシメチルアクリルアミド粒子を用い、第二工程をアミノ化合物としてグリシン2.5g、60%−硫酸水溶液2mLに変更した以外は実施例2と同様に製造した。得られた粒子を0.5N−HClで洗浄後、0.1N NaOHを用いて滴定を行ったところ、イオン交換容量は0.07meq/(粒子−mL)であった。 実施例5<アクリルアミド・2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体の作成> アクリルアミド3g(アルドリッチ製)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸7g(アルドリッチ製)、過硫酸カリュウム0.1g(キシダ化学製)をイオン交換水に溶解し100mLとしてなす型フラスコに入れ、窒素気流下、70℃で16時間重合を行った。<第二工程> つづいて、実施例2で作成したN−アルコキシメチルアクリルアミド粒子を用い、第二工程をアミド化合物としてアクリルアミド・2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体溶液5mLに変更した以外は実施例3と同様に製造した。得られた粒子を0.5N−HClで洗浄後、0.1N−NaOHを用いて滴定を行ったところ、イオン交換容量は0.013meq/(粒子−mL)であった。 実施例6 実施例1で作成した粒子を10mmIDx15cmの液体クロマトグラフィーカラムに充填し、脱塩クロマトグラフィーを実施した。クロマトグラフィー条件を下記に示す。溶離液:50mmol/L リン酸緩衝液 pH6.5測定流速:3mL/min温度:4℃試料:10mg/mL Ovalbumin(シグマ製) 0.5mol/L NaCl and 50mmol/L リン酸緩衝液pH6.5試料量:1mL, 2mL, 3mL, 4mL装置:送液ポンプDP−8020(東ソー製)カラムオーブンCO−8020C(東ソー製)検出器UV−8020(東ソー製) 波長280nmに設定グラジエントモニタGM−8010(東ソー製)得られたクロマトグラムを図2に示す。タンパク質と塩が効率よく分離可能であった。 実施例7 実施例1で作成した粒子を4.6mmIDx15cmの液体クロマトグラフィーカラムに充填し、ポリオール分析法である順相クロマトグラフィーを実施した。クロマトグラフィー条件を下記に示す。溶離液:1)アセトニトリル/水 = 7/32)アセトニトリル/5mmol/L リン酸緩衝液pH6.5 =7/3測定流速:1mL/min温度:80℃試料:溶離液1) エチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、グルコース、サッカロース、マルトース溶離液2) エチレングリコール、グリセロール、グルコース、グルコサミン、ガラクトクロン酸装置:送液ポンプDP−8020(東ソー製)カラムオーブンCO−8020C(東ソー製)検出器RI−8022(東ソー製) 得られたクロマトグラムを図3及び図4に示す。ポリオールが効率よく分離可能であった。また従来のシリカ系充填剤を用いた場合、同時分析が困難であった、塩基性糖、中性糖及び酸性糖の同時分析が可能であった。 比較例1 PIERCE製ポリアクリルアミド 商品名D−Salt Polyacrylamide1800をカラムより抜きだし実施例1と同様な測定を行った。細孔容積は大きく疎水性も小さいが、粒子径が大きいため送液抵抗は小さいものの機械的強度は弱く1.7MPa程度で圧潰した。 比較例2 アマシャム製 商品名 SephadexG25 Superfine 架橋デキストラン粒子を用いて実施例1と同様な測定を行った。細孔容積は大きく疎水性も小さいが、粒子径が大きいため送液抵抗は小さいものの機械的強度は弱く0.95MPa程度で圧潰した。 本発明の本重合体粒子はアミド基又はアミノ基もしくはその双方を有している種々の化合物を導入可能であることから、各種バインダーやコーティング材料、化粧品、免疫診断用担体、液体クロマトグラフィー用充填剤としての使用法が考えられる。特に低い疎水性と高い機械的強度を併せ持つ特性を有する重合粒子は液体クロマトグラフィー用充填剤として特に優れた性能を有している。カラムに送液する流速を変化させたときの送液圧変化を表す塩を含むタンパク質溶液の脱塩クロマトグラフィー結果中性ポリオール類のクロマトグラフィー結果塩基性、中性及び酸性糖の同時分析クロマトグラフィー結果化学式1(化学式1中のXは水素又はメチル基であり、R1はC4以上のアルキル基を表す)で表されるN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する単位と、化学式1で表される単量体と共重合しうる、不飽和官能基を多数有する多官能不飽和単量体に由来する単位を含む、粒子径が1〜1000μmである重合体粒子において、化学式1で表されるN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する単位に化学式2(ただし化学式2中のR2はH、C3以下のアルキル基又はC3以下でありかつ1個以上の水酸基で置換されたアルキル基を表す。化学式2中のR3はH、NH2、C1〜C18のアルキル基、フェニル基、C24以下でありかつ1個以上の水酸基で置換された直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、−CH2−CO−NH2のいずれかを表すか、又は、R3は他のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する構造単位であり、メチレン基を介して他のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する窒素原子に結合していることを表す。化学式2中のAは重合体粒子を表す。)及び/又は化学式3(ただし化学式3中のR4及びR5はH、C6以下のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、C6以下でありかつ1個以上の水酸基で置換されたアルキル基、−CH2COOH、−CH2SO3H、−CH2CH2SO3H、−(CH2)n−PO−(OH)2(式中nは1から4の整数を表す)、−CHR6−PO−(OH)2(式中R6は炭素数1〜3の直鎖アルキル基を表す)、−CHR7−COOH(R7はアミノ酸側鎖を表す)、オリゴペプチド残基、アデニン残基、シトシン残基、グアニン残基、メラミン残基、ベンゾグアナミン残基、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンのいずれかを表すか、又は、R4及びR5は他のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する構造単位であり、メチレン基を介して他のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド単量体に由来する窒素原子に結合していることを表す。化学式3中のAは重合体粒子を表す。)で表される置換基が、少なくとも導入された架橋(メタ)アクリルアミド粒子の製造方法であって、(1)化学式1で表される油溶性のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド、及び化学式1で表される単量体と共重合しうる不飽和官能基を多数有する多官能不飽和単量体を含む混合物、を乳化剤を用いて水中に乳化し、これにシードポリマー粒子を作用させてシードポリマー粒子に単量体を吸収させ粒子径単分散単量体油滴を作成し、重合体粒子を得る工程、(2)アミド基又はアミノ基を有する化合物が分散又は溶解し、工程(1)の重合体粒子が分散した有機溶媒中に、酸触媒を作用させることにより、化学式1の単量体に由来する単位に化学式2及び/又は化学式3で表される置換基を導入する工程、からなる架橋(メタ)アクリルアミド粒子の製造法。架橋(メタ)アクリルアミド粒子の製造法において、該粒子径単分散単量体油滴の安定化剤としてC4以上の高級アルコール又は有機酸エステル、C6からC9の芳香族化合物から選ばれた少なくとも一種以上の有機溶媒を単量体に対して1重量%以上作用させる請求項1記載の架橋(メタ)アクリルアミド粒子の製造法。乳化剤がアルキルスルホン酸塩又はアルキルベンゼンスルホン酸塩又はアルキルエーテル硫酸エステル塩であり、単量体に対して0.1〜5重量%用いる、請求項1又は請求項2記載の架橋(メタ)アクリルアミド粒子製造法。乳化剤に対して1〜50重量%のHLB8〜20であるノニオン系乳化剤を併用する請求項3記載の架橋(メタ)アクリルアミド粒子製造法。酸触媒が、塩酸、リン酸、硫酸などの鉱酸類、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸、酢酸、マレイン酸などの有機酸類、トリフルオロホウ素などのルイス酸などから選ばれた一種以上の酸である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の製造法。アミド基又はアミノ基を有する化合物が、ホルムアミド、尿素、N−メチロール尿素、アセトアミド、乳酸アミド、2−ヒドロキシプロピオンアミド、オキサミド、マロンアミド、ポリアクリルアミドからなる群から選ばれた化合物である請求項1ないし4のいずれかに記載の架橋(メタ)アクリルアミド粒子製造法。


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