生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_新規抗生物質SF2847物質、その製造法及び医薬組成物
出願番号:2005295511
年次:2007
IPC分類:C12P 7/02,C07D 307/00,A61K 31/343,A61P 31/04,C12N 1/20,A01N 63/04,C12R 1/29


特許情報キャッシュ

谷 匡人 山本 憲太朗 刑部 泰宏 JP 2007097548 公開特許公報(A) 20070419 2005295511 20051007 新規抗生物質SF2847物質、その製造法及び医薬組成物 明治製菓株式会社 000006091 谷 匡人 山本 憲太朗 刑部 泰宏 C12P 7/02 20060101AFI20070323BHJP C07D 307/00 20060101ALI20070323BHJP A61K 31/343 20060101ALI20070323BHJP A61P 31/04 20060101ALI20070323BHJP C12N 1/20 20060101ALI20070323BHJP A01N 63/04 20060101ALI20070323BHJP C12R 1/29 20060101ALN20070323BHJP JPC12P7/02C07D307/00A61K31/343A61P31/04C12N1/20 AA01N63/04 ZC12N1/20 AC12R1:29 5 OL 9 4B064 4B065 4C037 4C086 4H011 4B064AC14 4B064BA06 4B064BB09 4B064BB23 4B064BE07 4B064BE09 4B064BE14 4B064BE19 4B064CA03 4B064CC06 4B064CC07 4B064CC12 4B064CD02 4B064CD09 4B064CD19 4B064CD23 4B064CD24 4B064CE08 4B064CE10 4B064DA01 4B065AA35X 4B065AC12 4B065AC14 4B065BA22 4B065BB02 4B065BB03 4B065BB15 4B065BB18 4B065BB23 4B065BB26 4B065BB27 4B065BC02 4B065BC03 4B065BC09 4B065BC26 4B065BD14 4B065CA34 4B065CA43 4B065CA44 4C037AA04 4C086AA01 4C086AA02 4C086AA03 4C086AA04 4C086CA01 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZB35 4H011AA01 4H011AA02 4H011BA01 4H011BB21 4H011BC18 4H011DA13 本発明は、新規抗生物質SF2847物質、その製造法および該化合物を有効成分とする医薬組成物に関する。 化学療法による感染症の治療は、ペニシリンの実用化以降飛躍的な進歩を遂げ、これまでにβ-ラクタム系抗菌薬、アミノ配糖体系薬、マクロライド系薬及びニューキノロン系薬を含む多くの抗菌薬が開発され、感染症の治療に用いられてきた。一方で、これら薬剤の頻用により、既存の抗菌薬が効かない耐性菌が出現しており、既存の抗菌薬と交叉耐性のない新しい抗菌薬の開発が望まれている。 また、従来、本発明化合物と化学構造が類似する化合物として、kijanimicin (非特許文献1)あるいはdecatromicins (非特許文献2) などのテトロン酸構造を有する化合物が知られているが、本発明化合物とは物理化学的性状が異なり明確に区別されるものである。Mallamsら、J. Chem. Soc. Perkin Trans. I、1497-1534頁、1983年Momoseら、J. Antibiotics 52巻、781-786頁、1999年 本発明の目的は、耐性菌による感染症の難治化を克服するために、既存の抗菌薬とは異なる化学構造を有し、種々の耐性菌に有効な、新しい抗菌薬を提供することにある。 本発明者らは、新しい化学構造を有する抗菌薬を見出すため、微生物が生産する抗生物質に着目し、微生物の産物中より新規抗菌薬となり得る抗生物質を探索した。その結果、ミクロモノスポラ属に属する放線菌の培養液中に抗菌活性を有する物質の存在を認めた。 次いでこの培養液中の活性物質を同定するため、培養液から活性成分を精製し、その構造を解析したところ、式(1)で表わされる新規化合物が抗菌活性を有することを明らかにし、本発明を完成した。 すなわち、本発明は式(1)で表わされる新規抗生物質SF2847物質を提供するものである。また、本発明は、本発明化合物を生産する菌、SF2847株を培養し、その培養液から目的化合物を採取することを特徴とする、本発明化合物の製造法を提供するものである。さらに本発明は、本発明化合物を含有する医薬組成物を提供するものであり、詳しくは本発明化合物を含有する抗菌剤を提供するものである。 すなわち、本発明は1.式(1)で表わされる新規抗生物質SF2847物質又はその製薬学的に許容される塩;2.ミクロモノスポラ属に属し、上記1に記載の化合物を生産する能力を有する微生物を培養し、その培養物から前記化合物を採取する工程を含む、上記1記載の化合物の製造法;3.上記1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を、薬学上許容し得る担体とともに含んでなる医薬組成物;4.上記1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を、薬学上許容し得る担体とともに含んでなる抗菌剤;5.ミクロモノスポラ属に属する菌であって、上記1記載の化合物を生産する特徴を有し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターにおける寄託番号がFERM P-20626であるMicromonospora sp. SF2847株又はその変異株;に関するものである。 本発明の上記式(1)で表される新規抗生物質SF2847物質は、優れた抗菌活性を有しており、細菌感染症の予防もしくは治療のための医薬品の成分として有用である。 以下に本発明の詳細を説明する。 本発明の上記式(1)で表される新規抗生物質SF2847物質(以下SF2847物質とする)は、下記の物理化学的性状を有する。(1)色および性状:無色粉末(2)分子式:C32H44O6 (3)マススペクトル(HRFAB-MS): 実測値:m/z 525.3215 [M+H]+ 計算値:m/z 525.3216 [C32H44O6+H]+(4)比旋光度:[α]D=−88.6(c 0.5, CHCl3, 25℃)(5)紫外線吸収スペクトル λmax, nm(ε):[MeOH+0.01N HCl] 204 (9958), 234 (6498), 310 (4192),[MeOH+0.01N NaOH] 208 (17505), 248 (8280), 290 (6394)(6)赤外線吸収スペクトル(KBr錠) νmax, cm-1:3450, 2930, 1759, 1624, 1456, 1086, 993(7)1H-NMRスペクトル(CDCl3, 400MHz) δ(ppm): 0.86 (3H,d), 1.03 (3H, d), 1.21 (3H, d), 1.25 (H, m), 1.26 (3H, s), 1.40 (H, ddd), 1.47 (H, ddd), 1.58 (H, m), 1.59 (3H, s), 1.59 (H, m), 1.68 (H, ddd), 1.72 (H, m), 1.73 (H, dd), 1.82 (H, m), 1.87 (H, m), 1.93 (H, ddd), 2.00 (H, m), 2.01 (H, m), 2.08 (H, m), 2.36 (H, dd), 2.38 (H, dd), 2.74 (H, m), 2.83 (H, m), 3.83 (H, m), 4.00 (H, d), 4.34 (H, d), 5.01 (H, ddd), 5.22 (H, s), 5.38 (H, dd), 5.45 (H, ddd), 5.50 (H, ddd)(8)13C-NMRスペクトル(CDCl3, 100MHz)δ(ppm): 15.8, 18.9, 20.7, 23.1, 23.3, 24.6, 27.6, 28.7, 31.4, 32.7 (×2), 39.1, 39.4, 39.8, 40.9, 41.8, 42.0, 42.1, 50.6, 65.0, 66.8, 86.0, 107.2, 120.7, 124.9, 130.1, 130.4, 137.0, 144.3, 166.9, 201.8, 204.3(9)溶解性:メタノール、クロロホルム、酢酸エチルおよびジメチルスルフォキシドに可溶、ヘキサン及び水に不溶である。 SF2847物質の「製薬学的に許容される塩」としては、製薬学的に許容される塩基との塩が挙げられる。例えば、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属あるいはカルシウムなどのアルカリ土類金属との塩が挙げられる。 SF2847物質は、ミクロモノスポラ属に属するSF2847物質生産菌を培養し、その培養液からSF2847物質を採取し、精製することによって製造することができる。SF2847物質生産菌として、例えば本発明者らが八丈島土壌試料から新たに分離したミクロモノスポラ属に属するSF2847株が挙げられる。 なお、本発明で用いられるSF2847物質生産菌は、本明細書に記載の特定の微生物に限定されるものではない。SF2847物質を生産する能力を有している菌であれば、SF2847物質生産菌としていずれを用いてもよい。使用できる微生物の例として、SF2847株、その継代培養物、人工変異株、自然変異株あるいは遺伝子組換え株などが挙げられる。本菌株の菌学的性状、培養法並びにSF2847物質の精製法は以下のとおりである。1. SF2847株の分類学的性質SF2847株の形態的性質、培養的性質、生理学的性質、化学分類学的性質および16S rRNA遺伝子の解析による分類学的解析は、『放線菌の分類と同定』(放線菌の分類と同定、日本放線菌学会編、日本学会事務センター刊、2001年)に記載された方法に従った。(a)形態的性質 SF2847株を酵母エキス・でんぷん寒天培地(酵母エキス0.2%、でんぷん1.0%、寒天18 g、精製水1L、pH 7.0)で28℃、14日間培養し、光学顕微鏡並びに走査型電子顕微鏡で観察した。栄養菌糸は直径0.2〜0.3 μmでよく発達し、不規則に分岐するが、分断はしない。気菌糸の形成は観察されない。栄養菌糸には単独で球状の胞子が多数形成され、これらの直径は0.5〜1.0 μmで、表面はやや粗面である。(b)培養的性質 28℃で14日間培養後のSF2847株の生育、コロニーの裏面の色、可溶性色素の有無とその色調は以下の通りである。なお、気菌糸の形成は全ての培地で認められなかった。色の表示はColor Harmony Manual(Color Harmony Manual, Container Corporation of America, 1958)に従った。(1)イースト・麦芽寒天培地(ISP-2): コロニーの生育は良好で、裏面は黄土色を呈する。可溶性色素は産生しない。(2)オートミール寒天培地(ISP-3): 生育は普通で、裏面はこげ茶色を呈する。可溶性色素は産生しない。(3)スターチ・無機塩寒天培地(ISP-4): 生育は良好で、裏面は茶褐色を呈する。可溶性色素は産生しない。(4)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP-5): 生育は良好で、裏面は黄土色を呈する。可溶性色素は産生しない。(5)ぺプトン・イースト・鉄寒天培地(ISP-6): 生育は貧弱で、裏面は琥珀色を呈する。可溶性色素は産生しない。(6)チロシン寒天培地(ISP-7): 生育は普通で、裏面は黄土色を呈する。可溶性色素は産生しない。(7)スターチ・イースト寒天培地: 生育は良好で、裏面は黄土色を呈する。可溶性色素は産生しない。(8)グルコース・アスパラギン寒天培地: 生育は普通で、裏面は黄褐色を呈する。可溶性色素は産生しない。(c)生理学的性質(1)メラニン様色素の生成: ペプトン・イースト・鉄寒天培地(IS P-6)およびチロシン寒天培地(ISP-7)でメラニン様色素を生成しない。(2)ゼラチンの液化: ゼラチンを液化する。(3)ミルクの凝固・ペプトン化: スキムミルクのペプトン化および凝固は認められない。(4)スターチの加水分解: スターチを加水分解する。(5)硝酸塩の還元: 硝酸塩を還元しない。(6)生育温度範囲: 15℃および42℃で弱く生育し、28℃〜37℃で良好に生育する。生育至適温度は28℃近辺である。(7)耐塩性: 酵母エキス・でんぷん寒天培地を基礎培地とした場合、食塩濃度2%で生育し、3%でわずかに生育する。(8)炭素源の利用: D-グルコース、ラフィノース、D-キシロース、D-フルクトース、シュクロース、トレハロース及びセロビオースを利用するが、L-アラビノース、myo-イノシトール、D-マンニトール及びL-ラムノースは利用しない。(d)化学分類学的性質 細胞壁には、メソ・ジアミノピメリン酸およびグリシンの存在が確認され、また全菌体の加水分解物中には、アラビノースとキシロースが検出されたことから、SF2847株はルシェバリエなどの分類による細胞壁化学型IID型と分類された。主要なメナキノンは、MK-10(H4)およびMK-10(H6)が最も多く、合わせて約70%を占めた。次いで、MK-9(H4, H6)が多かった。菌体脂肪酸はiso-C16:0, iso-C15:0, iso-C17:0の分枝脂肪酸が主体であり、10メチル脂肪酸やハイドロキシ脂肪酸を含まなかった。 これらの形態的性質と化学分類学的性質から、SF2847株はミクロモノスポラ (Micromonospora)属に所属することが強く示唆された。(e)16S rRNA遺伝子解析 SF2847株の16S rRNA遺伝子の部分塩基配列(577bp)を解読しデータベース検索を行った結果、Micromonospora purpureochromogenes (X92611) との相同性が98%と最も高く、ミクロモノスポラ(Micromonospora)属のクラスターに含まれた。 以上のことから、SF2847株はミクロモノスポラ属に所属する菌株と考えられ、本菌株をミクロモノスポラ・エスピー(Micromonospora sp.)SF2847と呼称することとした。 なお、本菌株は、平成17年8月19日付けで受託番号FERM P-20626として独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されている。2. SF2847物質生産菌の培養 本発明の方法では、SF2847物質生産菌、例えばSF2847株を適当な炭素源および窒素源を含む栄養培地で培養する。使用される培地は天然培地又は合成培地のいずれでもよい。炭素源としては、グルコース、フラクトース、シュクロース、糖蜜、でんぷん又はでんぷん加水分解物などの炭水化物あるいはプロピオン酸などの有機酸類が用いられる。一方、窒素源としては、通常ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、オートミール、小麦胚芽、カゼイン加水分解物、大豆粕又は大豆粕加水分解物を使用するが、アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム又はリン酸アンモニウムなどの無機窒素化合物、あるいは尿素又はアミノ酸などの有機窒素化合物も有効である。なおこれらの炭素源及び窒素源はそれぞれ併用することができる。 必要ある場合には、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム又はその他の無機塩類を培地に添加してもよい。また、培地が発泡する場合には、液体パラフィン、動物油、植物油、鉱物油又はシリコンなどを添加することができる。 SF2847物質生産菌の培養は、振盪培養又は深部通気撹拌培養などにより好気的条件下で行う。培養温度は、SF2847物質生産菌が目的物質を生産する範囲内で適宜変更し得るが、好ましくは25〜37℃がよい。培養時間は通常1〜14日間である。3. SF2847物質の採取と精製 微生物培養液からの本発明のSF2847物質の採取及び精製にあたっては、その性状を利用した通常の分離手段、例えば溶剤抽出法、吸着剤を用いた吸脱着法、各種樹脂を用いたクロマトグラフ法及び沈殿法を適宜組み合わせて用いることができる。 具体的には、SF2847株の培養液にアセトンを加えて菌体からSF2847物質を抽出し、ろ過あるいは遠心分離によって菌体を除去する。得られた抽出液からアセトンを留去した後に、酢酸エチルで抽出後、シリカゲル、LH-20及びODSなどのカラムで順次精製をすすめる。最後にHPLCあるいはTLCによる精製を行い、SF2847物質を単離することができる。 本発明のSF2847物質又はその製薬学的に許容される塩は、試験例に示すように抗菌活性を有しており、SF2847物質を有効成分として含有する医薬組成物は、ヒトを含む動物に医薬、好ましくは抗菌薬として投与することが有用である。抗菌薬としてSF2847物質を使用する場合に対象となる菌は、SF2847物質が抗菌活性を示す菌であれば特に限定されるものではないが、特にグラム陽性菌に優れた抗菌活性を示す。 SF2847物質又はその製薬学的に許容される塩を含む医薬組成物は,種々の投与形態あるいは使用形態に合わせて、必要に応じて担体とともに常法に従い製剤化することができる。 経口投与のための製剤としては、錠剤、丸剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、舌下剤などが挙げられる。また非経口投与のための製剤としては、注射剤、経皮吸収剤、吸入剤、坐剤などが挙げられる。製剤化に際しては、界面活性剤、賦形剤、安定化剤、湿潤剤、崩壊剤、溶解補助剤、等張剤、緩衝剤、着色料、着香料などの医薬用添加剤を適宜使用する。 担体としては、製薬学上許容されるものを用いることができ、その種類及び組成は投与経路や投与方法によって適宜決定することができる。例えば、液状担体として水、アルコール、大豆油、ゴマ油などを用いることができる。固体担体として、マルトース、スクロースなどの糖類、リジンなどのアミノ酸類、シクロデキストリンなどの多糖類、ステアリン酸マグネシウムなどの有機酸塩類、ヒドロキシルプロピルセルロースなどのセルロース誘導体を使用できる。 SF2847物質又はその塩を医薬組成物として投与する場合、その投与量は、患者の年齢、体重、 疾病の種類や程度、投与経路により異なるが、ヒトに経口投与する場合には成人一人当たり一日に0.05〜500 mg/kgの範囲であり、また静脈投与の場合には同じく0.01〜100 mg/kgの範囲内で投与することができる。 以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものでなく、ここに示されなかった変法あるいは修飾手段のすべてを包括する。<実施例>1. SF2847物質生産菌の培養グルコース1.0%、可溶性でんぷん2.0%、酵母エキス0.3%、ポリぺプトン0.5%、小麦胚芽0.6%、大豆粕0.2%および炭酸カルシウム0.2%を含み、6 N水酸化ナトリウムでpH 7.0に調整した前培養培地を100 mL容エレンマイヤーフラスコ12本に20 mLずつ分注し、120℃で20分間滅菌した。これに寒天平板培養のSF2847株(FERM P-20626)を一白金耳ずつ植菌し、28℃で3日間振盪培養して種培養液として用いた。 一方、グルコース2.0%、可溶性でんぷん1.0%、大豆粕1.5%、小麦胚芽0.8%、ポリペプトン0.1%、塩化ナトリウム0.1%、炭酸カルシウム0.2%、および硫酸亜鉛0.001%を含み、6N水酸化ナトリウムでpH 7.2に調整した生産用培地を500 mL容エレンマイヤーフラスコ100本に80 mLずつ分注し、120℃で20分間滅菌した。その後、先に得た種培養液を1.6 mLずつ無菌的に接種し、28℃で5日間、200 rpmの撹拌で培養を行った。2. SF2847物質の精製 得られた培養物(5.8 L)に等量のアセトンを加えて撹拌後、菌体をろ過した。ろ液中のアセトンを減圧下留去し、1 N塩酸でpH 3.0に調整後、酢酸エチル3 Lを加えて抽出した。酢酸エチル層を減圧濃縮して4.67 gの粗抽出物を得た。粗抽出物は少量のシリカゲル(ワコーゲルC300、和光純薬)にまぶして減圧下で乾燥し、50gのシリカゲル(同)に重層した。シリカゲルをヘキサン、アセトン-ヘキサン(20:80)、クロロホルム、及びメタノール-クロロホルム(1:99)各500 mLで洗浄後、メタノール-クロロホルム(3:97、10:90、30:70 各500 mL)で溶出した。溶出液を併せて減圧濃縮し、925 mgの残渣を得た。この残渣を少量のメタノールに溶解し、0.01%TFAを含む80%メタノール水溶液にて充填したコスモシール75C18-OPN(ナカライテスク、10 g)のカラムにかけ、充填溶媒、90%メタノール水溶液及びメタノール各100 mLで順次溶出した。メタノール溶出液を減圧濃縮し、残渣97 mgを得た。この残渣を少量のメタノールに溶解して、HPLC(カラム: イナートシルODS-2、内径2 cm×25 cm、ジーエルサイエンス)に注入し、40%〜100%アセトニトリル/0.01%リン酸水溶液のグラジエントをかけて溶出した。SF2847物質を含む溶出液を集めて減圧下でアセトニトリルを留去し、酢酸エチルで抽出後、酢酸エチル層を減圧下乾燥して17.3 mgのSF2847物質を得た。<試験例>SF2847物質の抗菌活性を、寒天平板希釈法による最小発育阻止濃度(MIC)として測定した。増殖用培地で一夜培養した試験菌を106 cells/mlに調整し、その1白金耳を、SF2847物質を含むミュラーヒントンアガー培地(Difco社製)に接種し、37℃で18〜20時間培養した。結果を表1に示す。下記式(1)で表わされる新規抗生物質SF2847物質又はその製薬学的に許容される塩。ミクロモノスポラ属に属し、請求項1に記載の化合物を生産する能力を有する微生物を培養し、その培養物から前記化合物を採取する工程を含む、請求項1記載の化合物の製造法。請求項1記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を、薬学上許容し得る担体とともに含んでなる医薬組成物。請求項1記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を、薬学上許容し得る担体とともに含んでなる抗菌剤。ミクロモノスポラ属に属する菌であって、請求項1記載の化合物を生産する特徴を有し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターにおける寄託番号がFERM P-20626であるMicromonospora sp. SF2847株又はその変異株。 【課題】新規抗菌剤並びにその製造法を提供すること。【解決手段】本発明は新規抗生物質SF2847物質を提供するものである。また本発明は、この発明化合物を生産する放線菌、SF2847株を培養し、その培養物から目的化合物を採取することを特徴とする、本発明化合物の製造法を提供するものである。さらに本発明は、本発明化合物を含有する医薬組成物を提供するものである。加えて本発明は、本発明化合物を含有する抗菌剤を提供するものである。【選択図】 なし


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