タイトル: | 公開特許公報(A)_スクラーゼ活性阻害剤、グルコアミラーゼ活性阻害剤並びにそれらを含む食品及び飼料 |
出願番号: | 2005284665 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | A61K 31/7016,A61P 3/10,A61P 3/06,A61P 3/04,A61P 43/00,C07H 3/04,C12N 9/99,A23L 1/30 |
樫村 淳 永井 幸枝 江橋 正 合田 敏尚 JP 2006306831 公開特許公報(A) 20061109 2005284665 20050929 スクラーゼ活性阻害剤、グルコアミラーゼ活性阻害剤並びにそれらを含む食品及び飼料 三井製糖株式会社 501190941 松井 光夫 100085545 樫村 淳 永井 幸枝 江橋 正 合田 敏尚 JP 2005095747 20050329 A61K 31/7016 20060101AFI20061013BHJP A61P 3/10 20060101ALI20061013BHJP A61P 3/06 20060101ALI20061013BHJP A61P 3/04 20060101ALI20061013BHJP A61P 43/00 20060101ALI20061013BHJP C07H 3/04 20060101ALI20061013BHJP C12N 9/99 20060101ALI20061013BHJP A23L 1/30 20060101ALI20061013BHJP JPA61K31/7016A61P3/10A61P3/06A61P3/04A61P43/00 111C07H3/04C12N9/99A23L1/30 Z 8 1 OL 43 特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年4月1日 日本栄養・食糧学会発行の「第59回 日本栄養・食糧学会大会 講演要旨集」に発表 4B018 4C057 4C086 4B018MD29 4B018MD32 4B018ME01 4B018ME14 4C057BB03 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA01 4C086MA52 4C086NA14 4C086ZA70 4C086ZC20 4C086ZC33 4C086ZC35 本発明は、パラチノース、トレハルロース及び還元パラチノースからなる群から選ばれる1以上の糖類を含むスクラーゼ活性阻害剤及びグルコアミラーゼ活性阻害剤に関する。また、本発明は、該スクラーゼ活性阻害剤と任意にショ糖とを含む食品及び飼料に関する。さらに、本発明は、該グルコアミラーゼ活性阻害剤と任意にデンプン及び/又はデキストリンとを含む食品及び飼料に関する。 近年、生活習慣病予防のために、様々な糖類分解酵素阻害剤が注目されている。特に、スクラーゼ及びマルターゼの活性阻害剤の効果が、(1)糖類の消化吸収を抑えることにより、血糖値の上昇を防止すること並びに脂肪蓄積及び肥満を防止すること、(2)糖類の消化を遅らせて大腸まで糖類を移行させることにより、カロリー摂取を低下させること、及び(3)腸内の有用菌に利用させて整腸効果を得ることを目的として研究されている。 哺乳類は、糖質(糖類)として主にデンプンを摂取する。哺乳類がデンプンを摂取すると、摂取したデンプンは唾液アミラーゼ及び膵液アミラーゼによりアトランダムに分解される。このとき、グルコースはほとんど生成せず、マルトース、マルトトリオース、及びα-限界デキストリンなどの2〜8糖類が、主な分解生成物である。これら食物又は糖類由来の二糖類及び少糖類は、小腸に局在する糖類分解酵素(イソマルターゼ、ラクターゼ、マルターゼ、スクラーゼ、トレハラーゼ及びグルコアミラーゼ)により単糖類まで分解されて、吸収される。 従来、マルトースを分解するマルターゼ及び糖質甘味料の代表であるショ糖を分解するスクラーゼが、糖類分解酵素の典型として位置づけられてきた。しかし、現在では、マルターゼ活性を有する酵素は主にスクラーゼ-イソマルターゼ複合体であり、該複合体がマルターゼ活性の8割を示すことが明らかになっている(非特許文献1を参照)。スクラーゼ-イソマルターゼ複合体は、マルターゼ活性以外にスクラーゼ活性の全て、及びイソマルターゼ活性のほとんど全て(約99%)を示す。一方、マルターゼ-グルコアミラーゼ複合体がマルターゼ活性の残り2割を示し、該複合体は他に腸内の中性グルコアミラーゼ活性の全て、及びイソマルターゼ活性の1%を示す。 マルターゼ活性とは、二糖のマルトースを分解してグルコース2分子を生成する活性をいい、グルコアミラーゼ活性とは、グルコースが主にα-1,4結合し、部分的にα-1,6-結合したデンプンの部分分解物(アミロース及びアミロペクチン)を末端から分解してグルコースを一分子ずつ生成する活性をいう。スクラーゼ-イソマルターゼ複合体はマルトースを基質としたマルターゼ活性を示すが、アミロース及びアミロペクチンを基質とするグルコアミラーゼ活性を示さないことが報告されている。また、スクラーゼ活性とは、ショ糖のグルコース部位を認識し、グルコースとフラクトースに分解する活性をいう。この活性は哺乳類ではスクラーゼ-イソマルターゼ複合体のみに存在し、微生物の持つインベルターゼはショ糖をグルコースとフラクトースに加水分解する点ではスクラーゼと同じである。しかし、インベルターゼは、ショ糖のフラクトース部分を認識して分解するβ-フラクトフラノシダーゼであり、スクラーゼ活性と認識部位が異なる点で異なる酵素であり、従って異なる活性を示す。 これまでに、以下のような糖類分解酵素の活性阻害剤が報告されている。 D-キシロース及びL-アラビノースに、スクラーゼ活性阻害効果があることが報告されている(特許文献1を参照)。また、L-フコース、2-デオキシ-D-ガラクトース、L-キシロース、D-リボース、D-タガトース、D-リブロース、D-リキソース及びD-キシルロースに、α-グルコシダーゼ阻害効果があることが報告されている(特許文献2を参照)。これらに関連し、キシリトール及びキシロースを構成糖とするオリゴ糖、キシロースの誘導体、アラビトール、エリスロース、エリスリトール及びグリセルアルデヒドなどの糖類に、α-グルコシダーゼ阻害効果があることが報告されている(特許文献3及び4を参照)。以上の糖類は、主に単糖類又は単糖アルコールであり、また二糖類以上であってもキシロースを構成成分としている。これら酵素活性阻害剤として用いられる糖類は、そのもの自体がほとんど消化吸収されず、酵素活性に対する阻害効果のみを発現する。α-グルコシダーゼとは、広義では基質のα-グルコシド結合を認識し加水分解する酵素の総称をいい、スクラーゼ、マルターゼ、グルコアミラーゼなど多くの酵素が含まれる。しかし、狭義ではα-グルコシダーゼは、マルターゼ及びスクラーゼを意味する。α-グルコシダーゼに含まれるそれぞれの酵素及び酵素活性は、上述のように異なる基質特異性を有する。 植物由来の糖類消化酵素阻害剤としては、クルミ科クルミ属の植物エキスがα-グルコシダーゼ及びアミラーゼ活性を阻害すること(特許文献5を参照)、バナバ(フトモモ目ミソハギ科植物)熱水抽出物がマルターゼ、スクラーゼ、グルコアミラーゼ及びイソマルターゼ活性を阻害すること(特許文献6を参照)、及びヤーコン茎葉部またはコーヒー豆から分離精製されるカフェオイルがマルターゼ活性を阻害すること(特許文献7を参照)が報告されている。 また、ショ糖とスクロース阻害剤とを組み合わせることにより、腸内ビフィズス菌増殖促進剤として使用できることが報告されており、用いるスクロース阻害剤として上述したL-アラビノース、D-キシロース、D-リボース及びD-タガトースなどの糖類が挙げられている(特許文献8を参照)。 その他の糖類分解酵素阻害剤として、放線菌であるストレプトマイセス属の生産する新規アミノ糖がアミラーゼ活性を阻害することは記載されている(特許文献9及び特許文献10を参照)。 従来、パラチノース及びトレハルロースは、イソマルトースと同様にイソマルターゼにより分解され、スクラーゼ活性を阻害しないと報告されている(非特許文献2及び非特許文献3を参照)。パラチノースのスクラーゼ活性の阻害効果について、基質として4.3〜56 mM(約0.15〜1.9重量%)のショ糖及び阻害剤として14 mM(約0.48重量%)のパラチノースを用いて確認したところ、パラチノースに阻害効果が無い旨が記載されている。また、トレハルロースのスクラーゼ活性の阻害効果について、基質として5〜75 mM(約0.17〜2.6重量%)のショ糖及び阻害剤として5 mM(約0.17重量%)のトレハルロースを用いて確認したところ、トレハルロースに阻害効果が無い旨が記載されている。一方、パラチノース及び還元パラチノースは、マルトースを基質とした反応を阻害するマルターゼ活性阻害効果があることが報告されている(非特許文献4を参照)。しかし、非特許文献4では、精製した酵素が用いられていないため、スクラーゼ活性の阻害であるか、或いはマルターゼ-グルコアミラーゼ複合体活性の阻害であるかについて特定されていない。また、デキストリン及びデンプンの分解阻害についても不明である。国際公開第94/12057号パンフレット特開平6−65080号公報特開平8−23973号公報特開平11−286449号公報特開2004−352649号公報特開2002−12547号公報特開2002−255806号公報特開2004−113068号公報特開昭56−125398号公報特開昭54−92909号公報B. L. Nichols, S. Avery, P. Sen, D. M. Swallow, D. Hahn and E. Sterchi, Proceedings of the National Academy of Sciences USA、第100巻第3号、第1432〜1437頁、2003年。合田敏尚、細谷憲政、日本栄養・食糧学会誌、第36巻第3号、第169〜173頁、1983年。K. Yamada, H. Shinohara, and N. Hosoya, Nutrition Reports International、第32巻第5号、第1211〜1220頁、1985年。S. C. Ziesenitz, Zeitschrift fur Ernahrungswissenschaft、第25巻、第253〜258頁、1986年。 従来の糖類分解酵素阻害剤は、阻害剤としてのみ作用し、それ自体が消化吸収されにくいものであるため、栄養源になることを目的としていない。従って、分解阻害の対象となる基質であるデンプン、マルトース、ショ糖等の糖類に対して、効果を発揮する添加量は微量である必要がある。また、阻害剤と基質となる糖類とを組み合わせて、食品又は食品素材に入れる場合、微妙な適正摂取量を設定する必要がある。適正量よりも多くの阻害剤及び糖類を摂取してしまうと、多量の糖類が未消化状態で大腸に達するため、緩下作用及び膨満感のような消化管障害を起こしてしまうという問題がある。 また、従来の糖類分解酵素阻害剤のうち植物抽出物は、一般に茶褐色のエキスである。従って、植物抽出物を食品に添加することによる着色の面において、その使用量の制限がある。 さらに、従来の糖類分解酵素阻害剤は、苦味及び渋味のような特有の味及びにおいを有するものが多い。そのため、そのままでも摂取しにくく、また食品に使用する場合、食品に与える味や臭いの変化の面においても、その使用量の制限がある。 生活習慣病予防、肥満予防及び整腸効果を得るための糖類分解酵素阻害効果について、主にスクラーゼ阻害とマルターゼ阻害が対象として研究されてきた。様々な報告を確認すると、対象となるスクラーゼ及びマルターゼは酵素名ではなく、ショ糖分解活性(スクラーゼ活性)とマルトース分解活性(マルターゼ活性)を夫々有する酵素を示したものであった。前述したスクラーゼ-イソマルターゼ複合体は哺乳類のスクラーゼ活性の全てまたはマルターゼ活性の大部分を示すことが既知であるため、スクラーゼ活性阻害効果及びマルターゼ活性阻害効果はどちらも主にスクラーゼ-イソマルターゼ複合体の活性阻害効果を示すものであった。また、この複合体はデンプン及びデキストリンの構造体であるアミロース及びアミロペクチンに対する分解活性が無いため、デンプン及びデキストリンの分解阻害効果に関しては実質上確認されていなかった。 また、パラチノース及びトレハルロースがスクラーゼ活性を阻害しないという報告は、基質ショ糖が2.6%以下という低い濃度、及び阻害剤として添加するパラチノース及びトレハルロースの濃度が0.5重量%未満の低い濃度で試験をした結果である。この濃度は、基質濃度に対して1割以上の高い割合であるが、糖類分解酵素阻害効果の発現には低い濃度である。糖類分解酵素阻害効果の発現には、小腸に存在する酵素を阻害できるだけの濃度が必要であることから、阻害剤濃度としてより高い濃度で摂取することが必要である。 本発明者らは鋭意検討の結果、パラチノース、トレハルロース及び還元パラチノースからなる群から選ばれる1以上の糖類が、スクラーゼ活性及びグルコアミラーゼ活性を阻害することを見出し、本発明を完成させるに至った。 パラチノース、トレハルロース及び還元パラチノースは、通常糖質甘味料として飲食品に使用されている。 パラチノース及びトレハルロースはショ糖の構造異性体であり、グルコース及びフラクトースを構成糖とする二糖である。パラチノース及びトレハルロースは、イソマルターゼにより完全に分解されて、グルコースとフラクトースを生成する。これら単糖類は、ショ糖が酵素により分解されたときと同様に小腸から吸収されて代謝される故に、これら二糖類は安全な栄養糖である。従って、パラチノース及びトレハルロースと、ショ糖若しくはデンプン若しくはデキストリンのいずれか又はそれらの組み合わせとを摂取した場合、いずれも小腸で消化吸収されて、緩下作用又は腹部膨満感のような胃腸障害を示すことが無い。すなわち、パラチノース及びトレハルロースを阻害剤として使用する場合、摂取量について特別な制限は無い。 また、還元パラチノースは糖アルコールの一種であり、ソルビトール及びマルチトールなどと同様に難消化性糖類である。還元パラチノースの最大無作用量は確認されており(0.3g/kg体重)、この範囲以下の使用量で問題なく使用することができる。 本発明によれば、パラチノース、トレハルロース及び/又は還元パラチノースを有効成分とするスクラーゼ活性阻害剤を、ショ糖摂取と同時に又はその前後に摂取することにより、スクラーゼ活性を阻害することができる。また、パラチノース、トレハルロース及び/又は還元パラチノースを有効成分とするグルコアミラーゼ阻害剤を、デンプン又はデキストリン摂取と同時に又はその前後に摂取することにより、グルコアミラーゼ活性を阻害することができる。 パラチノース、トレハルロース及び還元パラチノースはそれ自体糖質甘味料であり、食品である。また、パラチノース及び還元パラチノースは白色の粉体であり、トレハルロースは無色液体(シロップ状)である。さらに、パラチノース及び還元パラチノースはショ糖に近い甘味を有し、苦味、渋味及び酸味のような異味を含まない。従って、パラチノース、トレハルロース及び還元パラチノースを食品に添加する場合に、着色及び異味が食品に付与されること無く使用することができる。 本発明によるスクラーゼ阻害剤及びグルコアミラーゼ阻害剤は、パラチノース又はトレハルロースを有効成分とする場合、パラチノース及びトレハルロースの摂取量に特別な制限が無い阻害剤として使用することができる。また還元パラチノースを使用する場合は、通常の還元パラチノースの最大無作用量以下で使用することができる。従って、パラチノース、トレハルロース及び還元パラチノースからなる群から選ばれる1以上を組み合わせて用いる場合、該阻害剤の摂取量に特に制限が無く、またこれら阻害剤とショ糖及びデンプンのいずれか又は両方と組み合わせた食品に関しても摂取量の制限が無い。 以下に、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。 本発明において「パラチノース(palatinose)」とは、グルコースがフラクトースにα-1,6-グルコシル結合することによって構成された二糖をいい、別名 イソマルツロース(isomaltulose)と呼ばれる。 本発明において「トレハルロース(trehalulose)」とは、グルコースがフラクトースにα-1,1-グルコシル結合することによって構成された二糖をいう。 本発明において「還元パラチノース」(商標 パラチニット(palatinit))とは、パラチノースを水素添加することにより得られる糖アルコールであり、α-D-グルコピラノシル-1,6-D-ソルビトール(略してGPS)とその異性体であるα-D-グルコピラノシル-1,1-D-マンニトール(略してGPM)の混合物をいい、GPMには1分子当たり2分子の結晶水が付いている。還元パラチノースは、別名 イソマルト(isomalt)と呼ばれる。還元パラチノースの最大無作用量は、日本人の場合、0.3g/kg体重である。 本発明において「スクラーゼ活性」とは、ショ糖のグルコース部位を認識し、グルコースとフラクトースに分解する活性をいい、「スクラーゼ活性阻害」とは、スクラーゼ活性の一部又は全部を阻害することをいう。 本発明において「グルコアミラーゼ活性」とは、グルコースが主にα-1,4結合したデンプンの部分分解物(アミロース及びアミロペクチン)を末端から分解してグルコースを一分子ずつ生成する活性をいい、「グルコアミラーゼ活性阻害」とは、グルコアミラーゼ活性の一部又は全部を阻害することをいう。デンプンの部分分解物を一般にデキストリンというが、デキストリンよりも分子量の小さいマルトオリゴ糖(4糖以上)の分解活性もグルコアミラーゼ活性である。 スクラーゼ活性を示す酵素とグルコアミラーゼ活性を示す酵素は異なる。スクラーゼ活性を示す酵素はスクラーゼ-イソマルターゼ複合体であり、スクラーゼ-イソマルターゼ複合体は小腸に局在する。一方、グルコアミラーゼ活性を示す酵素は、小腸ではグルコアミラーゼだけである。下記実施例のデンプン又はデキストリンの分解がグルコアミラーゼにより行われ、スクラーゼ-イソマルターゼ複合体にデキストリン分解活性が無い或いは殆ど無いことを、後述の確認試験において示した。 本発明のパラチノースを有効成分とする酵素活性阻害剤として、例えば結晶パラチノース、パラチノースシロップ、又はトレハルロースシロップを用いることができる。結晶パラチノース(商品名 結晶パラチノースIC、三井製糖株式会社製)は、パラチノース(含結晶水)を99.0%以上含む。パラチノースシロップ(商品名 パラチノースシロップ-ISN又は-TN、三井製糖株式会社製)は、パラチノースを11〜17%及びトレハルロースを53〜59%含む。トレハルロースシロップ(商品名 ミルディア-75又は-85、三井製糖株式会社製)は、パラチノースを8〜13%及びトレハルロースを83〜89%含む。 本発明のトレハルロースを有効成分とする酵素活性阻害剤として、例えばパラチノースシロップ又はトレハルロースシロップを用いることができる。パラチノースシロップ及びトレハルロースシロップの具体例は上記の通りである。 本発明の還元パラチノースを有効成分とする酵素活性阻害剤として、例えば還元パラチノース(商品名 パラチニットPNシリーズ及びGSシリーズ、三井製糖株式会社製)を用いることができる。パラチニットPNシリーズは、GPMを50±5%及びGPSを50±5%含んでおり、粒度の異なる製品としてパラチニットPN、パラチニットPNS-2、パラチニットPNM-2、パラチニットPNP等がある。また、パラチニットGSシリーズは、GPMを20±5%及びGPSを80±5%含み、顆粒状のパラチニットGS及び粉末状のパラチニットGSPがある。 本発明のスクラーゼ活性阻害剤及びグルコアミラーゼ活性阻害剤(以下、本発明の阻害剤という)の形状は特に限定されず、上記の他に、パラチノース、トレハルロース又は還元パラチノースを含む、フォンダン、顆粒、錠菓(タブレット)、シロップ剤、ドリンク剤及び粉末混合剤などが挙げられる。下記実施例12及び13は、パラチノース及び還元パラチノースを使用した本発明の剤(顆粒)を示す。また、本発明の阻害剤は、食品、医薬部外品及び医薬品に用いることができる素材を配合して、機能性食品、健康食品、医薬部外品及び医薬品等に加工して使用することができる。 下記実施例14乃至30は、パラチノース、トレハルロース及び還元パラチノースのうち少なくとも1つを含む剤又は食品を示す。該剤及び食品を、スクラーゼ若しくはグルコアミラーゼのいずれか一方、又は両方の基質になる糖類、例えばショ糖、デキストリン、デンプンともに摂取した場合、該剤及び食品は、パラチノース、トレハルロース又は還元パラチノースによるスクラーゼ活性阻害効果又はグルコアミラーゼ活性阻害剤により、基質である糖の小腸における分解を阻害する。 下記実施例31乃至37は、パラチノース、トレハルロース及び還元パラチノースのうち少なくとも1つを含む食品を示し、下記実施例38乃至40は、パラチノース、トレハルロース及び還元パラチノースのうち少なくとも1つを含む飼料を示す。該食品及び飼料はまた、スクラーゼ若しくはグルコアミラーゼのいずれか一方、又は両方の基質になる糖類、例えばショ糖、デキストリン、デンプンを含む。これらの食品及び飼料では、食品及び飼料中に含まれる基質の小腸における分解が、食品及び飼料中のパラチノース、トレハルロース又は還元パラチノースによって阻害される。 本発明は、パラチノース、トレハルロース及び還元パラチノースからなる群から選ばれる1以上の糖類が小腸に達したときに、スクラーゼの基質となるショ糖及びグルコアミラーゼの基質となるデンプン及び/又はデキストリンの部分分解物が小腸に存在すると、ショ糖及び/又はデンプン及び/又はデキストリンの部分分解物の分解が阻害され、これら基質及び酵素活性阻害剤の総量の消化吸収が、酵素活性阻害剤が存在しないときと比較して抑えられる。 本発明の阻害剤の摂取量は特に制限されないが、パラチノース、トレハルロース及び/又は還元パラチノースをショ糖及び/又はデンプン及び/又はデキストリンと組み合わせて摂取する場合、通常考えられる摂取する際(口に入れるとき)の濃度を、ショ糖は5〜50重量%、デンプン及び/又はデキストリンは5〜70重量%とすると、パラチノース濃度0.5重量%以上及びパラチノースのショ糖又はデンプン及び/又はデキストリンとパラチノースの和に対する割合が10〜90重量%の条件で、スクラーゼ活性及びグルコアミラーゼ活性の阻害効果が期待できる。 構成糖としてグルコース又はフラクトースを有する糖類、例えばグルコース、ショ糖、マルトース、デキストリン、デンプン、及びフラクトースは、胃から小腸への排出速度が制限されている。多量のこれら糖類を又は高濃度のこれら糖類を摂取した場合、胃で希釈されると同時に胃から小腸への排出速度が調節されて、小腸におけるこれら糖類の濃度は約10%以下に抑えられる。(高田和明、橋本仁、伊藤汎監修、「砂糖百科」、社団法人糖業協会及び精糖工業会発行、第11〜12頁)。実施例によると、本発明の効果は小腸内の環境を基に条件設定しており、基質スクロース濃度が15%以下、基質デキストリン濃度が10%以下の場合において、パラチノース、トレハロース及び還元パラチノースから選ばれる1以上の阻害剤を基質に対して10重量以上添加したときに効果が確認された。これ以上の濃度で、基質が小腸に移行することは考えにくい。従って、上記した或る程度高濃度のショ糖及び/又はデンプン及び/又はデキストリンを摂取した場合においても、本発明の阻害剤は有効である。 本発明の1つの観点では、本発明の阻害剤を、摂取する又は摂取したショ糖及び/又はデンプン及び/又はデキストリン100重量部に対して、10重量部以上を食事の前に予め摂取してもよく、又は食事と同時間に摂取してもよく、又はショ糖、デンプン又はデキストリンが腸内で分解される前に食後(胃腸内で混合される時間内)に摂取してもよい。或いは、食品及び飼料が、ショ糖、デンプン又はデキストリンとともに本発明の阻害剤を含んでいてもよい。 本発明の他の観点では、本発明のスクラーゼ活性阻害剤を含む食品又は飼料は、ショ糖を3重量%以上と、スクラーゼ活性阻害剤をショ糖の重量に対して10重量%以上とを含む(下記実施例8及び9を参照)。また、スクラーゼ阻害剤が還元パラチノースの場合、ショ糖0.5重量以上に対して、還元パラチノースをショ糖の重量に対して10重量%以上含むことによって、スクラーゼ阻害活性が認められる(下記実施例9を参照)。 また、本発明のグルコアミラーゼ活性阻害剤を含む食品又は飼料は、デンプン及び/又はデキストリンを2重量%以上と、グルコアミラーゼ活性阻害剤をデンプン及び/又はデキストリンの重量に対して2重量%以上とを含む(下記実施例10及び11を参照)。また、グルコアミラーゼ活性阻害剤が還元パラチノースの場合、デンプン及び/又はデキストリン0.5重量以上に対して、還元パラチノースをデンプン及び/又はデキストリンの重量に対して10重量%以上含むことによって、グルコアミラーゼ阻害活性が認められる(下記実施例11を参照)。 本発明の阻害剤は、整腸剤、持続的エネルギー供給剤、満腹感の持続剤、脂肪蓄積及び肥満の防止剤、及び血糖値の安定剤としても使用可能である。 本発明の他の実施態様は、パラチノース、トレハルロース及び還元パラチノースからなる群から選ばれる1以上の糖類を含む整腸する方法、持続的エネルギーを供給する方法、満腹感を持続する方法、脂肪蓄積を抑制する方法、肥満を防止する方法、及び血糖値を安定する方法である。 本発明の阻害剤を含む食品の形態は特に制限されないが、例えば糖質を含む飲料(スポーツ飲料、セリー飲料、炭酸飲料)、加工食品、菓子(キャンディー)、パン、ホットケーキなどを挙げることができる。 本発明の阻害剤を含む飼料の形態は特に制限されないが、例えば固形飼料、液体飼料を挙げることができる。産業動物(ブタ、ウシ、ニワトリ)及び伴侶動物(ネコ、イヌ)に本発明の阻害剤を摂取させることにより、整腸効果、血糖値の安定を期待することができる。 本発明の阻害剤を含む食品又は飼料を含むパッケージには、該阻害効果を記載した指示書を含んでもよい。 本発明の他の実施態様は、脂肪蓄積を抑制するための剤、肥満を防止するための剤、血糖値を安定するための剤、整腸作用剤の製造のために、パラチノース、トレハルロース及び還元パラチノースからなる群から選ばれる1以上の糖類を使用する方法に関する。[実施例] 以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の%は特に断りのない限り、w/v%を意味する。[確認試験] 下記実施例4、6及び7、並びに試験例5で行われたデンプンの分解が、グルコアミラーゼによるものであって、スクラーゼ及びイソマルターゼによるものではないことを確認するために、スクラーゼ−イソマルターゼ複合体のデキストリンに対する分解性を調べた。1.試験方法A.スクラーゼーイソマルターゼ複合体(粗精製酵素)の抽出 20gのラット小腸アセトン粉末(シグマ社製)を180 mlの50 mMリン酸カリウムバッファー(pH 7.0)に溶解し、室温でゆっくり撹拌しながら4時間抽出した。次に、6.5 mlのシステイン溶液(100 mg/10ml)と1.5 mlのパパイン溶液(MP Biomedicals、LLC 80 mg/2 ml)加えて、37℃、1時間インキュベートしてパパイン処理した。次に、遠心分離(8000 rpm×15分)によって上清を回収し、さらに東洋ろ紙No.2を用いて吸引ろ過し、164 mlの粗酵素液を得た。該粗酵素液を硫酸アンモニウム濃度45%で蛋白質を析出させた後、遠心分離(8000 rpm×15分)して上清を回収した。次に、該上清に65%濃度になるようにさらに硫酸アンモニウムを加えて蛋白質を析出後、遠心分離(8000rpm×15分)して沈殿を回収した。該沈殿を10 mMリン酸カリウムバッファー(pH 7.0)に溶解し、透析チューブ(UNION CARBIDE CORP社製 透析膜)に入れて、2リットルの10 mMリン酸カリウムバッファー(pH 7.0)に浸してゆっくり撹拌しながら1晩透析、脱塩した(50ml回収)。次に、DEAE-Cellulose (50 ml体積)でカラムクロマト分離し、フラクションコレクターを用いて、12 ml/本ずつ分画した。クロマト分離は、リン酸カリウムバッファー(pH 7.0)の塩濃度をステップワイズ(10 mM→50 mM→100 mM)に上げて溶出した。各画分の活性を測定し、スクラーゼーイソマルターゼ複合体活性が最も高い画分を回収し、12 mlの粗精製酵素液を得た。スクラーゼーイソマルターゼ複合体活性は、各画分についてショ糖の分解活性を測定することによって求めた。具体的には、28 mMショ糖溶液と0.125 mlの画分溶液とを2.5ml容の小試験管に夫々加えて、37℃で20分間、60ストロークス/分で振とうさせた後、小試験管を3分間沸騰水につけて酵素を失活させた。これらについて、下記Dに記載のF-キット グルコース(ロシュ社製)を用いてグルコース濃度を測定した。B.サンプル調製 下記3種類のサンプルを、最終容量が2.5 mlになるように小試験管を用いて3点ずつ調製した。 サンプル1 デキストリン 2%(W/V)/粗精製酵素液 0.125 ml サンプル2 デキストリン 2%(W/V)/粗精製酵素液 0.25 ml サンプル3 ショ糖 26.6 mM(0.91%(W/V)/粗精製酵素液 0.125 ml デキストリンは、Dextrin from corn(Type 3)(Sigma社、米国)を用いた。ショ糖は、試薬特級 Saccharose(和光純薬工業株式会社)を用いた。各濃度は、デキストリン、ショ糖の最終濃度を示す。C.反応条件 各サンプルを37℃で20分間、60ストロークス/分で振とうさせた後、小試験管を3分間沸騰水につけて酵素を失活させた。D.グルコース濃度の測定 反応後の各サンプル中のグルコース濃度を、F-キット グルコース(ロシュ社製)を用いて測定した。遊離グルコース濃度(g/l)を、各グルコース濃度の測定値からブランク(0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)のみ)の値及び試験サンプル(デキストリン及びショ糖)にはじめから含まれていたグルコース濃度の値を差し引いて求めた。E.デキストリン中の二糖類含量の確認 デキストリンはグルコースが重合した高分子である。デキストリンの製品中に一般に、単糖(グルコース)、二糖類(マルトース及びイソマルトース)及び三糖類以上のオリゴ糖が含まれている。上記酵素反応試験において、デキストリン製品中に初めから含まれているグルコース(単糖)の量はF-キットにより測定できるため、差し引いて計算している。しかし、スクラーゼの基質となるマルトース及びイソマルターゼの基質となるイソマルトースは差し引かれていない。そのために、マルトース及びイソマルトースが反応液中に存在すると、スクラーゼ-イソマルターゼ複合体により分解され、グルコースが遊離される。そこで、デキストリン製品中の二糖類の含量を、液体クロマトグラフィーを用いて測定した。測定条件は以下の通りである。 カラム:Sugar KS-801及びSugar KS-802(昭和電工株式会社製)を連結 移動層:水 流速 :1ml/min カラム温度:60℃ その結果、用いたデキストリンには製品固形分あたり1.3重量%の二糖類が含まれていた。2.結果 サンプル1〜3の平均グルコース生成量(g/l)は、0.057、0.088、0.474であった。サンプル1のデキストリン濃度(2重量%)はサンプル3のショ糖濃度(0.91重量%)よりも高いにもかかわらず、サンプル1のグルコース生成量は、サンプル3のグルコース生成量に比べて1/10レベルであった。従って、スクラーゼ−イソマルターゼ複合体(粗精製酵素)は、完全に精製されているわけではないがグルコアミラーゼの存在はわずかであるため、デキストリン製品中に含まれるマルトース及びイソマルトースの方が高分子のデキストリンよりもはるかに分解されやすい。用いたデキストリン製品には1.3重量%の二糖類が含まれており、生成したグルコースはこの二糖に由来すると考えられる。従って、スクラーゼ-イソマルターゼ複合体(粗精製酵素)は、グルコアミラーゼをほとんど含まないと考えられる。本確認試験により、実施例に用いたラット小腸粉末中のスクラーゼ活性を示す酵素と、デキストリン又はデンプン分解活性を示す酵素とは、非特許文献1の通り異なるものであることが確認された。(パラチノースによるマルターゼ活性阻害効果及びスクラーゼ活性阻害効果の確認)試験溶液の調製: 各酵素活性阻害効果を調べる試料(試験サンプル)として、パラチノース(商品名:パラチノースIC、新三井製糖株式会社製)を用いた。マルターゼ及びスクラーゼの基質として、マルトース及びショ糖を夫々用いた。試験サンプル及び基質を、下記表1に示す濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に溶解し、試験溶液(溶液4〜5)を調製した。また、試験サンプル又は基質を、下記表1に示す濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に夫々溶解し、対照溶液(試験サンプルについて溶液1、基質について溶液2〜3)を調製した。小腸酵素液の調製: 2gのラット小腸アセトン粉末(シグマ社製)を20 mlの0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に溶解し、5℃で一昼夜放置した。その後遠心分離(8000 rpm×15分)にかけ、上清液を0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、小腸酵素液を得た。この液は小腸中の酵素の混合物であり、スクラーゼ、グルコアミラーゼ、マルターゼ、イソマルターゼ等を含む。活性測定法: 溶液1〜5の各5 mlに小腸酵素液を夫々0.25 mlずつ加えた後、37℃のウォーターバスに入れ、振とう(60ストローク/分)させながら、60分間反応させた。反応終了後、酵素失活のために沸騰湯浴中で3分間加熱した。 反応後の各溶液中のグルコース濃度を、F-キット グルコース(ロシュ社製)を用いて測定した。遊離グルコース濃度(g/l)を、各グルコース濃度の測定値からブランク(0.1 Mリン酸バッファーのみ)の値及び試験サンプルにはじめから含まれていたグルコース濃度の値を差し引いて求めた。結果を表1に示す。 次に、各遊離グルコース濃度の値を以下の式に当てはめて、マルターゼに対する分解抑制率及びスクラーゼに対する分解抑制率を算出した。本試験では、基質も阻害剤も小腸酵素液中の酵素により分解される。しかし、基質を分解する酵素と阻害剤を分解する酵素とは異なる。分解抑制率は、阻害効果の指標として求めた。阻害剤を添加した場合、基質のみを反応させたときのグルコース濃度より低く、分解抑制率の高い方が阻害効果が強いといえる。結果を表1に示す。[数1] 分解抑制率(%)={(A+B)−(AB)}÷(A+B)×100 ここで、(A+B)は、試験サンプルのみ(A)又は基質のみ(B)の対照溶液の夫々の反応後における遊離グルコース濃度の和を示し、(AB)は、試験サンプル(A)と基質(B)が共存する試験溶液の反応後における遊離グルコース濃度を示す。 表1より、パラチノースは、マルターゼに対する分解抑制、スクラーゼに対する分解抑制を夫々有することから、パラチノースは、マルターゼ活性阻害効果及びスクラーゼ活性阻害効果を有する。なお、パラチノースがマルターゼ活性阻害効果を有することは文献により知られているが、スクラーゼ活性阻害効果を有することは、本実験により始めて確認された。[試験例1] 試験サンプルとして、2種類の難消化性デキストリン(商品名:ファイバーソル2及びパインファイバーBi、どちらも松谷化学工業株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様の手順に従い試験を行った。試験サンプル及び基質を、下記表2に示す濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に溶解し、試験溶液(溶液8〜11)を調製した。また、試験サンプル又は基質を、下記表2に示す濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に夫々溶解し、対照溶液(試験サンプルについて溶液6〜7、基質について溶液2〜3)を調製した。 上記試験溶液及び対照溶液の各5 mlを用いて、実施例1と同様の手順に従い酵素反応を行い、反応後の各溶液中の遊離グルコース濃度、マルターゼに対する分解抑制率及びスクラーゼに対する分解抑制率を求めた。結果を下記表2に示す。 表2より、ファイバーソル2及びパインファイバーBiの分解速度は、ショ糖の分解速度よりもはるかに高かった。これは、難消化性デキストリンであるファイバーソル2及びパインファイバーBiは、それぞれの消化成分(食物繊維以外の成分)が夫々5〜15%及び45〜55%あり、これらの分解速度がマルトースまたはデキストリンに匹敵するからであると考えられる。 表1及び表2より、基質マルトースにパラチノース、ファイバーソル2、パインファイバーBiのいずれかを添加した溶液(溶液4、溶液8、溶液9)の結果について比較すると、パラチノースが添加された試験溶液(溶液4)の遊離グルコース濃度がこれらの中で最も低く、該値は、基質マルトースのみの対照溶液(溶液2)の遊離グルコース濃度よりも低かった。このことから、実質的にパラチノースの効果が最も高かった。しかし、マルターゼ活性阻害効果に関して、パラチノースはマルターゼ活性阻害効果を示すが、いずれの難消化性デキストリンもパラチノースよりも高いマルターゼ活性抑制率を示すことが判る。 表1及び表2より、基質ショ糖にパラチノース、ファイバーソル2、パインファイバーBiのいずれかを添加した溶液(溶液5、溶液10、溶液11)の結果について比較すると、パラチノースが添加された試験溶液(溶液5)の遊離グルコース濃度がこれらの中で最も低く、該値は、基質ショ糖のみの対照溶液(溶液3)の遊離グルコース濃度よりも低かった。このことから、スクラーゼ活性阻害効果に関して、パラチノースが、表1及び表2の試験サンプルのうち最も高い効果を示すことが判る。(パラチノースによるスクラーゼ活性阻害強度の確認) 試験サンプルとして、5%ショ糖並びにパラチノースを0.5%、1.0、3.0及び5.0%を夫々含む試験溶液を用いた以外は、実施例1と同様の手順に従いスクラーゼ活性阻害強度の試験をした。また、5%ショ糖を対照溶液(0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8))とした。結果を図1に示す。 図1から、阻害剤であるパラチノース自身が小腸酵素液中の酵素(イソマルターゼ)により分解されるにも関わらず、遊離グルコース生成量は、パラチノースの添加濃度が増加するにつれて減少している。従って、パラチノースは、濃度依存的にスクラーゼ活性を阻害することが明らかである。(還元パラチノース、パラチノース及びイソマルトースによるスクラーゼ活性阻害効果の確認) 試験サンプルとして還元パラチノース又はパラチノースを使用し、基質としてショ糖を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従い試験を行った。試験サンプル及び基質を、下記表3に示す濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に溶解し、2種類の試験溶液を調製した。また、試験サンプル又は基質を下記表3に示す濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に夫々溶解し、対照溶液を調整した。上記試験溶液及び対照溶液の各5mlを用いて、実施例1と同様の手順に従い酵素反応を行い、グルコース濃度及びフラクトース濃度を測定した。フラクトース濃度については、F-キット フラクトース(ロシュ社製)を用いて測定した。遊離フルクトース濃度(g/l)を、フラクトース濃度の測定値からブランク(0.1 Mリン酸バッファーのみ)の値を差し引いて求めた。結果を下記表3に示す。 ショ糖に還元パラチノース又はパラチノースを添加した場合、遊離グルコース濃度及び遊離フラクトース濃度のいずれもが、ショ糖のみの対照溶液における遊離グルコース濃度及び遊離フラクトース濃度よりも低下した。このことから、還元パラチノース及びパラチノースは、スクラーゼ阻害効果を有する。[試験例2](イソマルトースによるスクラーゼ活性阻害効果の確認) 試験サンプルとしてイソマルトースを使用した以外は、実施例1と同様の手順に従い試験を行った。イソマルトースとは、D−グルコース2分子が、α-1,6-グルコシド結合した二糖類をいう。試験サンプル及び基質を、下記表4に示す濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に溶解し、試験溶液を調製した。また、試験サンプル又は基質を、下記表4に示す濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に夫々溶解し、対照溶液を調製した。上記試験溶液及び対照溶液の各5 mlを用いて、実施例1と同様の手順に従い酵素反応を行い、反応後の各溶液中の遊離グルコース濃度、遊離フルクトース濃度、スクラーゼに対する分解抑制率を求めた。結果を下記表4に示す。 イソマルトースをショ糖に添加した試験溶液では、イソマルトースの分解による遊離グルコース濃度(2.18 g/l)の増加が見られる。しかし、イソマルトースをショ糖に添加した試験溶液では、遊離フラクトース濃度(0.70 g/l)がショ糖のみの対照溶液の遊離フラクトース濃度(1.09 g/l)より低い。従って、イソマルトースは、スクラーゼ活性阻害効果を有する。ただし、イソマルトースがイソマルターゼにより分解される速度は、ショ糖がスクラーゼにより分解される速度よりも速いため、遊離する単糖類の総濃度(2.18+0.70=2.88 g/l)は、ショ糖のみの対照溶液の総濃度(1.01+1.09=2.10g/l)よりも若干高くなった。[試験例3](還元パラチノース、パラチノース及びイソマルトースによるラクターゼ活性阻害効果の確認) 試験サンプルとして還元パラチノース、パラチノース又はイソマルトースを使用し、基質としてラクトースを使用した以外は、実施例1と同様の手順に従い試験を行った。試験サンプル及び基質を、下記表5に示す濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に溶解し、3種類の試験溶液を調製した。また、試験サンプル又は基質を、下記表5に示す濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に夫々溶解し、対照溶液を調製した。上記試験溶液及び対照溶液の各5 mlを用いて、実施例1と同様の手順に従い酵素反応を行い、グルコース濃度、フラクトース濃度及びガラクトース濃度を測定した。ガラクトース濃度については、F-キット ガラクトース(ロシュ社製)を用いて測定した。遊離ガラクトース濃度(g/l)を、ガラクトース濃度の測定値からブランク(0.1 Mリン酸バッファーのみ)の値を差し引いて求めた。結果を下記表5に示す。 還元パラチノース、パラチノース、及びイソマルトースをラクトースに添加した試験溶液ではいずれの系でも、遊離ガラクトース濃度(夫々0.13、0.12、0.06 g/l)の低下が見られた。しかし、基質ラクトースのみの対照溶液の場合でもその遊離糖濃度が低い(0.16 g/l)ことから差はあまり見られなかった。また、試験溶液における遊離グルコース濃度も低下しなかったことから、用いた3種の試験サンプルに、ラクターゼ活性阻害効果は認められないと判断した。(パラチノース及び還元パラチノースによるグルコアミラーゼ活性阻害効果の確認) 試験サンプルとしてパラチノース又は還元パラチノースを使用し、基質として可溶性デンプンを使用した以外は、実施例1と同様の手順に従い試験を行った。試験サンプル及び基質を、下記表6に示す濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に溶解し、2種類の試験溶液を調製した。また、試験サンプル又は基質を、下記表6に示す濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に夫々溶解し、対照溶液を調製した。上記試験溶液及び対照溶液の各5 mlを用いて、実施例1と同様の手順に従い酵素反応を行い、遊離グルコース濃度及び分解抑制率を求めた。結果を表6に示す。 表6から、試験サンプルとしてパラチノース及び還元パラチノースを添加すると、可溶性デンプンから遊離したグルコース量が低下した。従って、これら試験サンプルは、グルコアミラーゼ活性阻害効果を有する。(トレハルロースによるスクラーゼ活性阻害効果の確認) 試験サンプルとしてトレハルロースを使用し、基質としてショ糖を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従い試験を行った。試験サンプル及び基質を、下記表7に示す濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に溶解し、試験溶液を調製した。また、試験サンプル又は基質を、下記表7に示す濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に夫々溶解し、対照溶液を調製した。上記試験溶液及び対照溶液の各5 mlを用いて、実施例1と同様の手順に従い酵素反応を行い、遊離グルコース濃度を測定した。結果を表7に示す。 表7から、試験サンプルとしてトレハルロースを添加すると、ショ糖から遊離したグルコース量が1.628 g/lから1.403 g/lに低下した。従って、トレハルロースは、スクラーゼ活性阻害効果を有する。[試験例4](トレハロースによるスクラーゼ活性阻害効果の確認) 試験サンプルとしてトレハロースを使用し、基質としてショ糖を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従い試験を行った。トレハロースは、2分子のD−グルコースがその還元基同士で結合した二糖類である。試験サンプル及び基質を、下記表8に示す濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に溶解し、試験溶液を調製した。また、試験サンプル又は基質を、下記表8に示す濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に溶解し、対照溶液を調製した。上記試験溶液及び対照溶液の各5 mlを用いて、実施例1と同様の手順に従い酵素反応を行い、遊離グルコース濃度を測定した。結果を表8に示す。 表8から、試験サンプルとしてトレハロースを添加すると、ショ糖のみの対照溶液のグルコース濃度(1.628g/l)よりも、そのグルコース濃度が1.683と多い。従って、トレハロースに実質的なスクラーゼ活性阻害効果が認められなかった。(トレハルロースによるグルコアミラーゼ活性阻害効果の確認) 試験サンプルとしてトレハルロースを使用し、基質として可溶性デンプンを使用した以外は、実施例1と同様の手順に従い試験を行った。試験サンプル及び基質を、下記表9に示す濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に溶解し、試験溶液を調製した。また、試験サンプル又は基質を、下記表9に示す濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に夫々溶解し、対照溶液を調製した。上記試験溶液及び対照溶液の各5 mlを用いて、実施例1と同様の手順に従い酵素反応を行い、遊離グルコース濃度及び分解抑制率を求めた。結果を表9に示す。 表9から、試験サンプルとしてトレハルロースを添加すると、可溶性デンプンから遊離したグルコースの量が低下した。従って、トレハルロースは、グルコアミラーゼ活性阻害効果を有する。[試験例5](トレハロースによるによるグルコアミラーゼ活性阻害効果の確認) 試験サンプルとしてトレハロースを使用し、基質として可溶性デンプンを使用した以外は、実施例1と同様の手順に従い試験を行った。試験サンプル及び基質を、下記表10に示す濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に溶解し、試験溶液を調製した。また、試験サンプル又は基質を、下記表10に示す濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に夫々溶解し、対照溶液を調製した。上記試験溶液及び対照溶液の各5 mlを用いて、実施例1と同様の手順に従い酵素反応を行い、遊離グルコース濃度及び分解抑制率を求めた。結果を表10に示す。 表10から、試験サンプルとしてトレハロースを添加すると、可溶性デンプンのみの対照溶液の遊離グルコース濃度(2.400 g/l)よりも、その生成する遊離グルコース濃度が若干少ない(2.349 g/l)。従って、トレハロースはグルコアミラーゼ活性阻害効果を有するが、その効果は非常に弱いことが明らかになった。(試験サンプルの組み合わせによるスクラーゼ活性阻害効果及びグルコアミラーゼ活性阻害効果の確認) 試験サンプルとしてパラチノース、トレハルロース又は還元パラチノースの組み合わせを使用し、基質としてショ糖又は可溶性デンプンを使用した以外は、実施例1と同様の手順に従い試験を行った。試験サンプル及び基質の組み合わせは、スクラーゼ活性に関して、図2に示す濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に溶解し、4種類の試験溶液を調製した。同様に、グルコアミラーゼ活性に関して、図3に示すような濃度になるように0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に溶解し、4種類の試験溶液を調製した。また、対照溶液として、5%ショ糖及び5%可溶性デンプン(0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8))を調製した。上記試験溶液及び対照溶液の各5 mlを用いて、実施例1と同様の手順に従い酵素反応を行い、遊離グルコース濃度を求めた。結果を図2及び図3に示す。 図2及び図3より、試験サンプルとしてパラチノース、トレハルロース又は還元パラチノースのいずれか1つだけでなく、それらを組み合わせて添加した場合にも、スクラーゼ活性及びグルコアミラーゼ活性に対する阻害効果があることが明らかになった。基質としてのショ糖(Suc)濃度に対するパラチノース(Pal)の添加割合の関係1.試験方法A.サンプル調製 表11に示す濃度の20種類のサンプル(A−1〜20)を0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に溶解して、最終容量が2.5 mlになるように調製した。B.小腸酵素液の調製 実施例1の小腸酵素液の調整方法と同じである。C.活性測定法 上記20種類のサンプルの各2.5 mlに小腸酵素液を夫々0.15 mlずつ加えた後、37℃のウォーターバスに入れて、振とう(60ストローク/分)させながら、10分間反応させた。反応終了後、酵素失活のために沸騰湯浴中に3分間加熱した。ブランク(0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8))について、小腸酵素液0.15 mlを添加後、直ちに酵素失活をした。 反応後の各溶液中のグルコース濃度を、実施例1と同様にF-キット グルコース(ロシュ社製)を用いて測定した。2.結果 結果を図4及び図5に示す。ショ糖濃度が0.5%の場合、ショ糖の分解抑制効果は明らかでなかった(図5)。しかし、ショ糖濃度が、3%、5%、10%及び15%の場合、パラチノースの添加割合が対ショ糖重量に対して10%以上において、ショ糖の分解が抑制された(図4)。従って、スクラーゼの活性阻害は、ショ糖濃度が3%以上の場合において、パラチノースの添加率が対ショ糖重量に対して10%以上において認められた。基質としてのショ糖(Suc)濃度に対する還元パラチノース(Nit)の添加割合の関係1.試験方法 表12に示す濃度の20種類のサンプル(B−1〜20)を0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に溶解して、最終容量が2.5 mlになるように調製した。それ以外は、実施例8の試験方法に準じて行なった。2.結果 結果を図6及び図7に示す。全てのショ糖濃度(0.5%、3%、5%、10%及び15%)において、ショ糖の分解抑制効果を示した。また、還元パラチノース添加率に比例して、ショ糖の分解が抑制された。従って、還元パラチノースは、実施例8のパラチノースと比べて、ショ糖の分解抑制効果が高いと推定される。基質としてのデキストリン(Dex)濃度に対するパラチノース(Pal)の添加割合の関係1.試験方法 表13に示す濃度の16種類のサンプル(C−1〜20)を0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に溶解して、最終容量が2.5 mlになるように調製した。それ以外は、実施例8の試験方法に準じて行なった。2.結果 結果を図8に示す。パラチノースの添加率が5%のときに、デキストリン濃度10%において、デキストリンの分解抑制効果を示さなかった。しかし、パラチノースの添加率が10%以上のときに、全てのデキストリン濃度(0.5%、2%、5%及び10%)において、デキストリンの分解抑制効果を示した。基質としてのデキストリン(Dex)に対する還元パラチノース(Pal)の添加割合の関係1.試験方法 表14に示す濃度の16種類のサンプル(D−1〜20)を0.1 Mリン酸バッファー(pH 6.8)に溶解して、最終容量が2.5 mlになるように調製した。それ以外は、実施例8の試験方法に準じて行なった。2.結果 結果を図9に示す。還元パラチノースの添加率が5%以上のときに、全てのデキストリン濃度(0.5%、2%、5%及び10%)において、デキストリンの分解抑制効果を示した。(パラチノースを使用した本発明の剤、顆粒) 結晶パラチノース(粉末)を使用し、本発明の剤(顆粒)を製造した。結晶パラチノース(商品名:結晶パラチノース−IC、新三井製糖株式会社)を40kg/時間の速度で二軸エクストルーダーの原料投入口から投入し、160〜180℃で溶融させた。引き続き、水を2kg/時間の速度で添加し、冷却・析出させ粉体を得た。この粉体を篩分し、顆粒(10〜40メッシュ、99%以上)を得た。(還元パラチノースを使用した本発明の剤、顆粒) 結晶パラチノースの代わりに還元パラチノース粉末(商品名:パラチニットPNM−2、新三井製糖株式会社)を使用した以外は、実施例12と同様の手順に従い顆粒を製造した。(パラチノースを使用した本発明の剤、粉末混合剤)以下の配合で、本発明の剤(粉末混合剤)を、定法に従い万能混合機を使用して製造した。 結晶パラチノース 85.7重量% (商品名 結晶パラチノース−IC、新三井製糖株式会社製) 粉末果汁 10 重量% 無水クエン酸 3 重量% クエン酸ナトリウム 0.4重量% L−アスコルビン酸 0.5重量% アスコルビン酸ナトリウム 0.3重量% リボフラビン(含有量10重量%) 0.1重量%(還元パラチノースを使用した本発明の剤、粉末混合剤) 結晶パラチノースの代わりに、還元パラチノース粉末(商品名:パラチニットPNM−2、新三井製糖株式会社)を使用した以外は、実施例14と同様の手順に従い粉末混合剤を製造した。(パラチノースを利用した食品、フォンダン) 以下の配合で、本発明の剤を含むフォンダンを製造した。結晶パラチノースを120kg/時間の速度で二軸エクストルーダーの原料投入口から投入し、160〜200℃で溶融させた。引き続き、水を5.6kg/時間で注入して冷却し、微結晶化させた。最後にパラチノースシロップを100kg/時間で注入し、冷却しながら混合した。 結晶パラチノース 120重量部 (商品名:結晶パラチノース−IC、新三井製糖株式会社) パラチノースシロップ 100重量部 (商品名:パラチノースシロップ−ISN、新三井製糖株式会社) 上記のように製造したフォンダンは、ソフトキャンディーの原料や焼き菓子や菓子パンのデコレーション原料に使用することができる。(還元パラチノースを使用した食品、フォンダン) 結晶パラチノースの代わりに還元パラチノース(商品名:パラチニットPNM−2、新三井製糖株式会社)を使用し、パラチノースシロップの代わりに還元麦芽糖水飴(商品名:マビット、林原商事)を使用した以外は、実施例16と同様の手順に従いフォンダンを製造した。(パラチノース及びトレハルロースを併用した食品、フォンダン) 以下の配合で、本発明の剤を含むフォンダンを製造した。結晶パラチノースを230kg/時間の速度で二軸エクストルーダーの原料投入口から投入し、バレル温度160〜200℃で溶融させた。引き続き、水を21.0kg/時間で注入して冷却し、微結晶化させた。最後に本願発明の剤を含むトレハルロースシロップを100kg/時間で注入し、冷却しながら混合した。 トレハルロースシロップ 100重量部 結晶パラチノース 230重量部 (商品名 結晶パラチノース−IC、新三井製糖株式会社製) 上記のように製造したフォンダンは、ソフトキャンディーの原料、焼き菓子又は菓子パンのデコレーション原料に使用することができる。(還元パラチノース及びトレハルロースを使用した食品、フォンダン) 結晶パラチノースの代わりに還元パラチノース(商品名:パラチニットPNM−2、新三井製糖株式会社)を使用した以外は、実施例18と同様の手順に従いフォンダンを製造した。(パラチノースを利用した食品、錠菓) 以下の配合で、本発明の剤を含む錠菓を製造した。製造は、下記に示す配合の混合粉末に300kg/cm2の打錠圧をかけ、直径18mm,厚さ5mm,重量1.5gである錠菓を成形した。 粉末パラチノース 55 重量部 (商品名:パラチノース粉末−ICP、新三井製糖株式会社製) クエン酸 1 重量部 シュガーエステル 1 重量部 アスパルテーム 0.05 重量部 ビタミンP 0.0002重量部 水 0.6 重量部 レモン香料 適量(還元パラチノースを利用した食品、錠菓) 以下の配合で、本発明の剤を含む錠菓を製造した。製造は、下記に示す配合の混合粉末に300kg/cm2の打錠圧をかけ、直径18mm,厚さ5mm,重量1.5gである錠菓を成形した。 還元パラチノース 78.0 重量% (商品名:パラチニットPNM−2、新三井製糖株式会社) ビタミンC顆粒 19.5 重量% 粉末香料 0.4 重量% アスパルテーム 0.2 重量% 滑沢剤 1.9 重量%(パラチノースと還元パラチノースを併用した食品、糖衣錠菓) 実施例21で製造した剤(錠菓)を使用し、本発明の剤を含む糖衣錠菓を製造した。コーティングパン中に、実施例17で製造した剤(タブレット)を入れ、配合(a)のシロップと粉末還元パラチノースを交互に1:2(重量比)の比率でソフトコーティングし、引き続き配合(b)のシロップでハードコーティングをおこなった。コーティング後、常温の空気を使用し風乾した。 (a)ソフトコーティング用 粉末還元パラチノース 62 重量% (商品名 還元パラチノース(typeGS)、新三井製糖株式会社製) アラビアガム 6.5 重量% 水 31.5 重量% (b)ハードコーティング用 粉末還元パラチノース 65 重量% (商品名 還元パラチノース(typeGS)、新三井製糖株式会社製) アラビアガム 3.5 重量% 水 31.5 重量% レモン香料 適量(パラチノースを利用した食品、飲料) 実施例14で製造した剤(粉末混合剤)を使用し、本発明の剤を含む飲料を製造した。製造は、実施例10で製造した剤25gを熱湯200mLに溶解することによりおこなった。(トレハルロースを利用した食品、飲料) 以下の割合で、本発明の剤を含む清涼飲料を製造した。製造は以下の原料を熱湯250mLに溶解した後、飲料缶(250mL用)に充填することによりおこなった。 トレハルロースシロップ 70.0 重量部 (商品名 ミルディア−75、新三井製糖株式会社製) クエン酸 0.67 重量部 クエン酸ソーダ 0.34 重量部 ハネーフレーバー 0.25 重量部 レモンフレーバー 0.014 重量部(パラチノースとトレハルロースを併用した食品、飲料) 以下の配合で、本発明の剤を含む清涼飲料水を製造した。製造は、以下の原料を以下の濃度で250gになるよう熱湯に溶解した後、飲料缶(250mL用)に充填することによりおこなった。 結晶パラチノース 4 重量部 (商品名 結晶パラチノース−IC、新三井製糖株式会社製) トレハルロースシロップ 6 重量部 (商品名 ミルディア−75、新三井製糖株式会社製) クエン酸 0.15 重量部 ビタミンC 0.03 重量部 塩化ナトリウム 0.05 重量部 塩化カリウム 0.04 重量部 塩化カルシウム 0.012 重量部 炭酸マグネシウム 0.002 重量部 グルタミン酸ナトリウム 0.006 重量部 ステビア 0.01 重量部 ビタミンP 0.0004 重量部 香料 適量(トレハルロースを利用した食品、スポーツ飲料) 以下の割合で、本発明の剤を含むスポーツ飲料を製造した。製造は以下の原料を熱湯215mLに溶解した後、飲料缶(250mL用)に充填することによりおこなった。 トレハルロースシロップ 50.0 重量部 (商品名 ミルディア−75、トレハルロース83〜89%、新三井製糖株式会社製) ビタミンC 0.075 重量部 ビタミンB1塩酸塩 0.005 重量部 クエン酸ソーダ 0.255 重量部 塩化マグネシウム 0.03 重量部 乳酸カルシウム 0.03 重量部 無水クエン酸 0.36 重量部 香料 0.03 重量部(トレハルロースを利用した食品、キャンディー) 以下の配合で、本発明の剤を含むハードキャンディーを製造した。トレハルロースシロップを溶解槽に添加し加熱攪拌した。次に、86.7KPa Gauge(真空度650mmHg)の圧力下、120℃の温度まで減圧加熱し、クエン酸、アスパルテーム、酒石酸、レッドカラー、ブルーカラー及びグレープフレーバーを混合した。約70〜80℃まで冷却後、1粒が4gになるように成型し、個包装した。 トレハルロースシロップ 100 重量部 (商品名 ミルディア−75、トレハルロース83〜89%、新三井製糖株式会社製) グレープフレーバー 0.25 重量部 (No.6−6240、長谷川香料株式会社製) レッドカラー 0.10 重量部 (TH−L、長谷川香料株式会社製) ブルーカラー 0.05 重量部 (TH−3L、長谷川香料株式会社製) クエン酸 1.00 重量部 酒石酸 0.30 重量部 アスパルテーム 0.12 重量部(パラチノース及びトレハルロースを併用した食品、キャンディー) 以下の配合で、本発明の剤を含むハードキャンディーを製造した。まず結晶パラチノース、トレハルロースシロップ及び水を溶解槽に添加し加熱攪拌して溶解した。次に、700mmHgの圧力下、120℃の温度まで減圧加熱し、クエン酸、アスパルテーム、ビタミンP、レモン香料を混合した。約70〜80℃まで冷却後、1粒が4gになるように成形し、個包装した。 結晶パラチノース 70 重量部 (商品名 結晶パラチノース−IC、新三井製糖株式会社製) トレハルロースシロップ 40 重量部 (商品名 ミルディア−75、新三井製糖株式会社製) クエン酸 2 重量部 アスパルテーム 0.07 重量部 ビタミンP 0.003 重量部 水 15 重量部 レモン香料 適量(トレハルロースを利用した食品、ゼリー飲料) 以下の配合で、本発明の剤を含むゼリー飲料(オレンジ味)を製造した。まずパラチノースシロップと水を混合した後、次に90℃まで加熱しながら少しずつゲル化剤を加えて溶かした。次に70℃まで冷却後、残りの原料を添加してかく拌、溶解した。この溶解物をチアーパックに充填し、シール後、90℃、20分間で殺菌をおこない、冷却をした。 パラチノースシロップ(Bx.75) 15 重量部 (商品名 パラチノースシロップ−TN、新三井製糖株式会社製) ゲル化剤 1 重量部 1/5濃縮オレンジ果汁 4 重量部 水 80 重量部 クエン酸 0.35 重量部 クエン酸ナトリウム 0.2 重量部 ビタミンC 0.6 重量部 βーカロチン 0.01 重量部 ステビア 0.01 重量部 ビタミンP 0.0004 重量部 オレンジ香料 適量(パラチノース及びトレハルロースを併用した食品、ゼリー飲料) 以下の配合で、本発明剤を含むゼリー飲料(オレンジ味)を製造した。まずパラチノース、トレハルロースシロップおよび水を混合した後、90℃まで加熱しながら少しずつゲル化剤を加えて溶かした。次に、70℃まで冷却後、残りの原料を添加してかく拌、溶解させた。この溶解物をチアーパックに充填し、シール後、90℃、20分間で殺菌をおこない、冷却をした。 結晶パラチノース 5 重量部 (商品名 結晶パラチノース−IC、新三井製糖株式会社製) トレハルロースシロップ 10 重量部 (商品名 パラチノースシロップ−TN、新三井製糖株式会社製) ゲル化剤 1 重量部 1/5濃縮オレンジ果汁 4 重量部 水 80 重量部 クエン酸 0.35 重量部 クエン酸ナトリウム 0.20 重量部 ビタミンC 0.6 重量部 β−カロチン 0.01 重量部 ステビア 0.01 重量部 ビタミンP 0.0004 重量部 オレンジ香料 適量(パラチノースを利用した食品、ホットケーキ) 以下の配合で、本発明剤を含むホットケーキを製造した。まず、小麦粉、ベーキングパウダー、及び粉末パラチノースを合わせて篩っておいた。牛乳及び卵をあわせてよく溶き、これに振るった粉類を入れ、泡だて器でさっくりと均一になるまで混合し、生地とした。200℃に熱したホットプレートに生地を入れ、焼き色がきつね色になり、上面があわ立ってきたら裏返し、反対面も焼き色が着いたら取り出した。バター及びメープルシロップを載せて、出来上がりとした。 小麦粉 200g ベーキングパウダー 6g 粉末パラチノース 70g (商品名:粉末パラチノース−ICP、新三井製糖株式会社製) 牛乳 180ml 卵 50g 水 45ml バター 10g メープルシロップ 15g(トレハルロースを利用した食品、ホットケーキ) 以下の配合で、本発明の剤を含むホットケーキを製造した。まず、小麦粉及びベーキングパウダーを合わせて篩っておいた。卵とトレハルロースシロップを合わせよく溶き、これに牛乳あわせてよく撹拌した。これに振るった粉類を入れ、泡だて器でさっくりと均一になるまで混合し、生地とした。200℃に熱したホットプレートに生地を入れ、焼き色がきつね色になり、上面があわ立ってきたら裏返し、反対面も焼き色が着いたら取り出した。バター及びメープルシロップを載せて、出来上がりとした。 小麦粉 200g ベーキングパウダー 6g 牛乳 150ml 卵 50g トレハルロースシロップ 90g (商品名:ミルディア−75、新三井製糖株式会社製) 水 45ml バター 10g メープルシロップ 15g(パラチノース又は還元パラチノースを含むショ糖ベースのスティックシュガー) ショ糖1000gにパラチノース(商品名:結晶パラチノース−IC、三井製糖株式会社製)又は還元パラチノース(商品名:パラチニットPN、三井製糖株式会社製)100gを混合したものを、包装一本あたり5gになるようにスティック包装に充填した。得られたスティックシュガーは、コーヒー又は紅茶150 mlに溶解すると、ショ糖3.0%と、パラチノース又は還元パラチノース0.3%とを含む飲料になる。(ショ糖及びトレハルロースを含むポーションシロップ) ショ糖500gにミルディア-85(三井製糖株式会社製)65g(トレハルロースとして50g)と水175gとを混合し、1個あたり7.4gのポーションシロップを製造した。得られたポーションシロップは、アイスコーヒー又はアイスティー165 mlに溶解すると、ショ糖3%と、トレハルロース0.3%とを含む飲料になる。(パラチノース、トレハルロース又は還元パラチノースを含むショ糖ベースの飲料) 下記表15に示す配合で飲料を調製した。(乾燥スープ) 下記表16に示す配合で乾燥スープを調製した。(ドレッシング) 下記表17に示す配合でドレッシングを調製した。(パラチノースを利用した飼料) 下記表18に示す配合に従い、本発明の剤を含む飼料を製造した。標準の配合は参考であり、その他の配合が本実施例の配合である。配合は重量%で示した。(ショ糖ベース混合飼料原料) 下記表19に示す配合で混合飼料原料を製造した。 該ショ糖ベース混合飼料原料はシロップ状であり、他の飼料原料と混合して使用する。他の飼料原料は、乾燥植物及び乾燥タンパク質などショ糖、デンプン、デキストリンを含まないものを使用しうる。他の飼料原料1000gに対して、該ショ糖ベース混合飼料原料47.1gを混合することにより、ショ糖3%と本発明の阻害剤0.3%とを含む飼料になる。(デキストリンベース混合飼料) 下記表20に示す配合で原料を混合し、そして流動層乾燥機で乾燥させて、顆粒状飼料を調製した。 該顆粒状飼料は、他の飼料原料と混合して使用する。他の飼料原料は、乾燥植物及び乾燥タンパク質などショ糖、デンプン、デキストリンを含まないものを使用しうる。他の飼料原料1000gに対して、該顆粒状飼料22.7gを混合することにより、デキストリン2%と本発明の阻害剤0.2%とを含む飼料になる。パラチノースによるスクラーゼ活性阻害強度を示すグラフである。試験サンプルの組み合わせによるスクラーゼ活性阻害効果を示すグラフである。試験サンプルの組み合わせによるグルコアミラーゼ活性阻害効果を示すグラフである。ショ糖濃度と、該ショ糖濃度に対するパラチノース添加率によるスクラーゼ活性阻害効果を示すグラフである。ショ糖濃度と、該ショ糖濃度に対するパラチノース添加率によるスクラーゼ活性阻害効果を示すグラフである。ショ糖濃度と、該ショ糖濃度に対する還元パラチノース添加率によるスクラーゼ活性阻害効果を示すグラフである。ショ糖濃度と、該ショ糖濃度に対する還元パラチノース添加率によるスクラーゼ活性阻害効果を示すグラフである。デキストリン濃度と、該デキストリン濃度に対するパラチノース添加率によるグルコアミラーゼ活性阻害効果を示すグラフである。デキストリン濃度と、該デキストリン濃度に対する還元パラチノース添加率によるグルコアミラーゼ活性阻害効果を示すグラフである。 パラチノース、トレハルロース及び還元パラチノースからなる群から選ばれる1以上の糖類を含むスクラーゼ活性阻害剤。 パラチノース、トレハルロース及び還元パラチノースからなる群から選ばれる1以上の糖類を含むグルコアミラーゼ活性阻害剤。 請求項1及び/又は請求項2に記載の阻害剤を含む食品。 請求項1及び/又は請求項2に記載の阻害剤を含む飼料。 請求項1に記載の阻害剤と、ショ糖とを含む食品又は飼料。 請求項2に記載の阻害剤と、デンプン及び/又はデキストリンとを含む食品又は飼料。 ショ糖を3重量%以上と、請求項1記載のスクラーゼ活性阻害剤をショ糖の重量に対して10重量%以上とを含む食品又は飼料。 デンプン及び/又はデキストリンを2重量%以上と、請求項2記載のグルコアミラーゼ活性阻害剤をデンプン及び/又はデキストリンの重量に対して10重量%以上とを含む食品又は飼料。 【課題】糖類分解酵素阻害剤それ自体が消化吸収されやすく、食品に添加する上で着色、摂取量の面で制限されない糖類分解酵素阻害剤を提供する。【解決手段】本発明は、パラチノース、トレハルロース及び還元パラチノースからなる群から選らばれる1以上の糖類を含むスクラーゼ活性阻害剤及びグルコアミラーゼ活性阻害剤を提供する。また、本発明は、該スクラーゼ活性阻害剤及び/又は該グルコアミラーゼ活性阻害剤を含む食品及び飼料を提供する。【選択図】図1