タイトル: | 公開特許公報(A)_皮膚常在菌叢改善剤 |
出願番号: | 2005270721 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | A61K 31/702,A61P 17/00,C07H 7/033 |
中井 史郎 森 康子 岩崎 裕次 阪口 寿子 JP 2007077121 公開特許公報(A) 20070329 2005270721 20050916 皮膚常在菌叢改善剤 ロート製薬株式会社 000115991 王子製紙株式会社 000122298 田村 恭生 100068526 齋藤 みの里 100087114 品川 永敏 100126778 中井 史郎 森 康子 岩崎 裕次 阪口 寿子 A61K 31/702 20060101AFI20070302BHJP A61P 17/00 20060101ALI20070302BHJP C07H 7/033 20060101ALI20070302BHJP JPA61K31/702A61P17/00 101C07H7/033 4 OL 18 4C057 4C086 4C057BB04 4C057EE03 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA03 4C086MA01 4C086MA02 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA90 本発明は、皮膚常在菌叢のバランスの崩れを予防または正常化し、皮膚を健康に維持するのに有用な、ウロン酸残基を有するキシロオリゴ糖を含有する皮膚常在菌叢改善剤に関する。 皮膚表面には皮膚常在菌と称される微生物が皮膚常在菌叢を形成し、外部からの病原菌の侵入を防ぐバリアー機能を果たしている。しかし、外傷、病気等による全身状態の不良、精神的ストレス、寒冷、乾燥、不適切な洗浄等によって菌叢のバランスが崩れると、常在菌の過剰増殖や他の有害菌の侵入や増殖が起こり、様々な皮膚症状が誘発される。 皮膚常在菌叢には限られた菌種が常在菌として生息していることが報告されている。個人差、部位差、季節変動などがあるが、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、アクネ菌(Propionibacterium acnes)が大半を占めている(非特許文献1〜5)。 皮膚常在菌の一つである表皮ブドウ球菌は病原性の菌、例えば黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対して拮抗作用を有し(非特許文献6)、そのような有害菌の増殖を阻止しうる。また、従来はニキビの原因菌であるといわれてきたアクネ菌も、常在菌として、毛根部への雑菌の侵入とその増殖を制御して皮膚を健常に保つために役立っていると考えられている(非特許文献7)。従って、これらの常在菌の異常な増殖や減少は皮膚に対して様々な影響を及ぼす。 菌叢バランスに影響する原因は様々であるが、例えば外傷(怪我)の場合、患部では体液の滲出によりpHが高くなり、黄色ブドウ球菌などの病原菌の増殖が容易な状態となる。その結果、黄色ブドウ球菌による膿皮症、とびひなどの化膿性炎症が起こる。 従来より、皮膚症状に対しては、抗菌剤、殺菌剤などの外用薬が用いられてきたが、黄色ブドウ球菌等の原因菌の繁殖を抑えたり殺菌することを目的としており、皮膚常在菌のバランスの正常化をもたらすものではなかった。 グルコオリゴ糖は表皮ブドウ球菌などの人体にとって無害な微生物が優先的に資化できる物質として知られてきた(特許文献1)。従って、表皮ブドウ球菌などの人体にとって無害な微生物を優先的に増殖させることにより、黄色ブドウ球菌などの病原菌の増殖を抑制し、常在菌叢のバランスを正常化して皮膚表面の状態の改善を図ることができると考えられている。 このような考え方を利用し、以前より、有益菌である表皮ブドウ球菌に対しては殺菌作用を示さず、有害菌である黄色ブドウ球菌に対しては殺菌もしくは増殖抑制作用を有する、皮膚常在菌の生態系バランス調整剤が開発されてきた(特許文献2)。例えば、特許文献3や特許文献4には、グルコオリゴ糖とセラミドや糖セラミドを配合した皮膚化粧料や皮膚外用剤が記載されている。 しかし、皮膚常在菌は多ければよいというものではなく、皮膚常在菌の菌数の増加に伴い皮膚状態が悪くなる傾向があることも報告されている(非特許文献8)ことから、皮膚を健常な状態に保つためには皮膚常在菌の構成のバランスおよび数を制御する必要がある。 このように、従来の皮膚状態を改善するための製剤は、黄色ブドウ球菌の殺菌や増殖抑制、またはアクネ菌の増殖抑制作用に基づいており、皮膚常在菌叢のバランスを正常化するという観点から、必ずしも十分とは言えない。特開2002−113041号公報特開2005−139075号公報特許第3047179号公報特開2002−53463号公報ノーブル(Noble WC)、J Med Microbiol,17(1984)1−12頁ノーブル(Noble WC)、Microbiology of human skin、Lloyd Luke、London(1981)168−175頁朝田康夫、臨床細菌学(講義編)、講談社(1977)71−84頁木村雅行ら、日皮会誌、96(2)(1986)103−107頁福林智子、FRAGRANCE JOURNAL、(2003年3月)23−28頁平田雅子ら、日皮会誌、104(1994)1353−1359頁武田克之、香粧会誌、27巻1号(2003)29−32頁末次一博ら、粧技誌、28巻第1号(1994)44−56頁 本発明は、皮膚常在菌叢のバランスの崩れを予防または正常化し、皮膚を健康に維持するのに有用な、皮膚常在菌叢改善剤を提供することを課題とする。 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、ウロン酸残基を有するキシロオリゴ糖が、顕著に皮膚常在菌叢を改善することを見出した。 すなわち、本発明は、以下の(1)〜(5)に示す皮膚常在菌叢改善剤である。(1)ウロン酸残基を有するキシロオリゴ糖を含有する皮膚常在菌叢改善剤。(2)ウロン酸がグルクロン酸、4−O−メチル−グルクロン酸またはそれらの塩である(1)記載の皮膚常在菌叢改善剤。(3)さらに、抗炎症剤、ビタミン剤、保湿剤、抗菌剤および局所麻酔剤からなる群から選択される1種または2種以上の成分を含有する(1)または(2)記載の皮膚常在菌叢改善剤。(4)さらに、グルコオリゴ糖を含有する(1)または(2)に記載の皮膚常在菌叢改善剤。(5)液剤、軟膏剤またはクリーム剤である(1)〜(4)のいずれかに記載の皮膚常在菌叢改善剤。 なお、本明細書中、特に言及しない限り、%は重量%を意味するものとする。 本発明の皮膚常在菌叢改善剤は、ウロン酸残基を有するキシロオリゴ糖によって、皮膚常在菌叢を改善することができる。つまり、皮膚常在菌である表皮ブドウ球菌に対しては悪影響を与えず、通過菌である黄色ブドウ球菌を選択的に抑制する。また、別の皮膚常在菌であるアクネ菌に対しては過剰な増殖を抑制することで、ニキビなどの疾患を治療または予防する。このように、表皮ブドウ球菌とアクネ菌を正常に維持し、皮表を自然に弱酸性に保ち、皮膚の自浄作用を高めるなどの常在菌としての役割を発揮させることができる。 本発明者らは、表皮ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌とが同程度の割合で存在する場合に、特定のキシロオリゴ糖の存在下では、黄色ブドウ球菌の増殖が特に抑制され、結果として表皮ブドウ球菌の割合が上昇することを見出した。さらに、本発明者らは、特定のキシロオリゴ糖が嫌気性の皮膚常在菌であるアクネ菌に対して静菌的に作用することをも見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。 本発明の皮膚常在菌叢改善剤は、ウロン酸残基を有するキシロオリゴ糖を含有する。オリゴ糖とは、2〜20個程度の糖の重合体であって、2量体である二糖類、3量体である三糖類、および4量体〜20量体程度の多糖類を意味する。本発明におけるキシロオリゴ糖とは、キシロースの2量体であるキシロビオース、3量体であるキシロトリオース、あるいは4量体〜20量体程度のキシロース重合体をいう。本発明で用いるウロン酸残基を有するキシロオリゴ糖は、キシロオリゴ糖に1つ以上のウロン酸が結合しているものを意味する。本発明で用いるウロン酸残基を有するキシロオリゴ糖は、キシロース分子の重合数が異なるオリゴ糖の混合物であっても良い。 本発明においてウロン酸とは、単糖のアルドース末端の炭素がカルボキシル基に酸化された化合物を意味する。例えば、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、フルクツロン酸、アラビヌロン酸、イズロン酸、キシルロン酸、リブロン酸などが挙げられ、好ましくはグルクロン酸である。これらのウロン酸はエーテル誘導体であっても良い。例えば4−O−メチル誘導体などが挙げられ、好ましくは4−O−メチルグルクロン酸である。また、ウロン酸は塩であっても良く、例えば、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属塩、マグネシウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属塩などを挙げることができ、好ましくはナトリウム塩などのアルカリ金属塩である。 本発明で用いるウロン酸残基を有するキシロオリゴ糖の平均重合数は、キシロース鎖長の平均値として、2.0〜15.0が好ましく、5.0〜15.0がより好ましい。キシロース鎖長の上限と下限との差は15以下が好ましく、10以下がより好ましい。 ウロン酸残基を有するキシロオリゴ糖としては、上記した平均重合度のキシロオリゴ糖に、1つ以上のウロン酸が結合したものを用いることができる。従って、ウロン酸残基を有するキシロオリゴ糖は上記範囲の平均重合度を有する化合物の混合物、および単一化合物のいずれであってもよい。 混合物の例としては、例えば、UX10(平均重合度10.3、キシロース鎖長の上限と下限との差10、キシロオリゴ糖1分子あたりのウロン酸数1)、UX5(平均重合度4.8、キシロース鎖長の上限と下限との差9、キシロオリゴ糖1分子あたりのウロン酸数1)(ともに王子製紙製)などが挙げられる。 単一化合物としては、式:(4−O−メチル−D−グルクロニル−(1→2))−(O−α−D−キシロピラノシル−(1→4))n−(O−β−D−キシロピラノース)(式中、n=1〜14)(INCI名:Hydrolyzed Xylan)で示される化合物を挙げることができる。 上記の式において、好ましくはn=4〜10、特に好ましくは、n=5〜9である。 本発明の皮膚常在菌叢改善剤におけるウロン酸残基を有するキシロオリゴ糖の含有量は、使用するキシロオリゴ糖部分の重合度やウロン酸残基の数により変動するが、通常、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%の範囲から目的に応じて適宜選択することができる。 本発明の皮膚常在菌叢改善剤は、必要に応じて種々の成分(薬理活性成分や生理活性成分を含む)を1種または2種以上組み合わせて配合して、本発明の効果を高めたりさらなる効果を付与したりすることができる。このような成分としては、医薬品、医薬部外品または化粧品分野において一般的に外用剤に用いられる成分であれば特に制限されず、例えば、抗炎症剤、ビタミン剤、抗菌剤(にきび治療薬、腋臭防止薬などを含む)、局所麻酔剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、創傷治癒剤、角質軟化剤、保湿剤、美白剤、収斂剤、抗酸化剤、発毛抑制剤、抗シワ剤などが挙げられ、特に好ましくは抗炎症剤、ビタミン剤、保湿剤、抗菌剤、局所麻酔剤である。本発明において好適な成分としては例えば、次のような成分が例示できる。 抗炎症剤:カンゾウ抽出物、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等のグリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸又はその誘導体、アラントイン又はその誘導体、ε−アミノカプロン酸、インドメタシン、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ブフェキサマク、フルフェナム酸ブチル、ベンダザック、ピロキシカム、ケトプロフェン、フェルビナク、サリチル酸メチル又はサリチル酸グリコール等のサリチル酸誘導体、メントール、カンフルなど。 好ましくは、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルレチン酸、アラントイン、ε−アミノカプロン酸、メントール、カンフルである。 これらの抗炎症剤は1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、これらの配合量は、特に制限されないが、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、より好ましくは0.01〜2重量%の範囲から目的に応じて適宜選択調整することができる。 ビタミン剤:レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のレチノール誘導体(ビタミンA類)、レチナール、レチノイン酸、レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノール、ビタミンA油、ビタミンA脂肪酸エステル等のビタミンA類、β−カロチン、α−カロチン、γ−カロチン、δ−カロチン、リコピン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチン、エキネノン等のプロビタミンA類、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム等のビタミンE類、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’−リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル等のビタミンB2類、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸β−ブトキシエチル、ニコチン酸1−(4−メチルフェニル)エチル等のニコチン酸類、アスコルビゲン−A、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸L−アスコルビルなどのビタミンC類、メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロールなどのビタミンD類、フィロキノン、ファルノキノン等のビタミンK類、γ−オリザノールなどがあげられる。また、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩等のビタミンB1類、塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’−リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミン等のビタミンB6類、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン等のビタミンB12類、葉酸、プテロイルグルタミン酸等の葉酸類、ニコチン酸、ニコチン酸アミドなどのニコチン酸類、パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D−パンテサイン、D−パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、ビオチン、ビオチシン等のビオチン類、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸誘導体であるビタミンC類、そのほか、カルニチン、フェルラ酸、α−リポ酸、オロット酸等のビタミン様作用因子など。 好ましくは、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、レチナール、レチノイン酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビン5’−リン酸エステルナトリウム、パントテン酸、パントテン酸カルシウム、レチノール、ビタミンA油、ビタミンA脂肪酸エステル、メチルヘスペリジン、葉酸、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、β−カロチン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、塩酸ピリドキシン、パンテノール、dl−α−トコフェロール及び酢酸dl−α−トコフェロールである。 特に好ましくはレチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、レチナール、レチノイン酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、β−カロチン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、塩酸ピリドキシンである。 これらのビタミン剤は1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、これらの配合量は、特に制限されないが、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.01〜2重量%の範囲から目的に応じて適宜選択調整することができる。 保湿剤:グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングルコール、ジグリセリン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどのグリコールエーテル、ソルビトール、マンニトール、ブドウ糖、ショ糖、果糖、キシリトール、乳糖、マルトース、マルチトール、トレハロース、グルコオリゴ糖等の糖類、ヘパリン類似物質、ヒアルロン酸ナトリウム、アセチルヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、キチン、キトサンなどの高分子化合物、グリシン、アスパラギン酸、アルギニン等のアミノ酸、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等の天然保湿因子、セラミド、コレステロール、リン脂質などの脂質、カミツレエキス、アロエエキス、ハマメリスエキス、ローズマリーエキス、タイムエキス、チャエキス、シソエキス、ラベンダーエキス、ユーカリエキス、ペパーミントエキスなどの植物抽出エキスなど。 好ましくは、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングルコール、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、グルコオリゴ糖、ヒアルロン酸ナトリウム、アセチルヒアルロン酸ナトリウム、ヘパリン類似物質、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、ケラチン、グリシン、アスパラギン酸、アルギニン、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、セラミド、コレステロール、ラベンダーエキス、ユーカリエキス、ペパーミントエキスである。特に好ましくは、グルコオリゴ糖である。 これらの保湿剤は1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、これらの配合量は、特に制限されないが、通常0.005〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.01〜5重量%の範囲から適宜選択調整することができる。 抗菌剤:イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、ポリヘキサメチレンビグアニド、トリクロサン、トリクロロカルバニリド、クレゾールなど。 これらの抗菌剤は1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、これらの配合量は、特に制限されないが、通常0.001〜10重量%、好ましくは0.001〜5重量%、より好ましくは0.001〜1重量%の範囲から適宜選択調整することができる。 局所麻酔剤:リドカイン、塩酸リドカイン、ジブカイン、塩酸ジブカイン、アミノ安息香酸エチル、ユーカリ油、オイゲノール、メントール、カンフル、ハッカ油など。 これらの局所麻酔剤は1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、これらの配合量は、特に制限されないが、通常0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%の範囲から適宜選択調整することができる。 抗ウイルス剤:アシクロビル、ペンシクロビルなど。 抗真菌剤:イトラコナゾール、塩酸アモロルフィン、塩酸クロコナゾール、塩酸テルビナフィン、塩酸ネチコナゾール、塩酸ブテナフィン、クロトリマゾール、ケトコナゾール、シクロピロクスオラミン、硝酸イソコナゾール、硝酸エコナゾール、硝酸オキシコナゾール、硝酸スルコナゾール、ビホナゾール、ピマリシン、フルコナゾール、フルシトシン、ミコナゾール、ラノコナゾールなど。 創傷治癒剤:アルミニウムクロロヒドロキシアラントイネート、酸化亜鉛など。 角質軟化剤:エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、グリセリン、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、炭酸プロピレン、ヘキシルドデカノール、アラントイン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエタノールアミン、ジイソプロピルアジペート、エチルラウリレート、ラノリン、脂肪酸ジアルキロールアミド、サリチル酸、サリチル酸誘導体、尿素、イオウ、レゾルシン、グリコール酸、フィチン酸、乳酸、乳酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど。 鎮痛剤:メフェナム酸、フルフェナム酸、インドメタシン、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウム、フェルビナク、アルクロフェナク、ブフェキサマク、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、プラノプロフェン、フェノプロフェン、フェングロフェン、フルルビプロフェン、ザルトプロフェン、ナプロキセン、フルビプロフェン、フルルビプロフェンアキセチル、フェンブフェン、リシプフェン、ピロキシカム、アンピロキシカム、テノキシカム、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、クロフェゾン、スリンダック、クリンダック、ベンザダック、L−メントール、カンファー、スルピリン、塩酸チアラミド、オルセノン、フェンチアザック、ベンタゾシン、メピリゾールなど。 美白剤:ビタミンA又はその誘導体、ビタミンC又はその誘導体、ビタミンE又はその誘導体、パントテン酸又はその誘導体等のビタミン類、プラセンタ;アルブチン;コウジ酸;ハイドロキノン;システイン;フィチン酸;イリス(アイリス)、アーモンド、アロエ、イチョウ、ウーロン茶、エイジツ、オウゴン、オウレン、オトギリソウ、オドリコソウ、海藻、カッコン、カンゾウ、クチナシ、クジン、コムギ、コメ、コメハイガ、オリザノール、コメヌカ、シソ、シャクヤク、センキュウ、ソウハクヒ、ダイズ、茶、トウキ、トウキンセンカ、ハマメリス、ベニバナ、ボタンピ、ヨクイニン、トウキ、エノキ、カキ(Diospyros kaki)、チョウジ等の植物に由来する成分、エキス及び精油など。 収斂剤:クエン酸、酒石酸、乳酸、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、アルミニウムフェノールスルホン酸、パラフェノールスルホン酸亜鉛、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、アルミニウムクロロヒドロオキシド、タンニン、カフェイン、チャエキス、ハマメリスエキス、海藻エキスなど。 抗酸化剤:ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、エリソルビン酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物(以下、エデト酸ナトリウムとも言う)、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム、L−システイン塩酸塩など。 発毛抑制剤:イソフラボン、ダイズエキス、ヒオウギエキス、ドクダミエキス、イリス根エキス、パパイン酵素など。 抗シワ剤:ビタミンA及びその誘導体、グリコール酸、アシル化グルコサミン、カイネチン、ビタミンC、ビタミンE、アロエ、コラーゲン、ヒアルロン酸、トリペプチド、海藻エキス、マロニエエキス、ローズマリーエキス、ヤグルマソウエキスなど。 本発明の皮膚常在菌叢改善剤は、保存安定性や粘度等の品質を損なわず、また本発明の効果を損なわない量的及び質的範囲内で、必要に応じて医薬品、医薬部外品または化粧品分野において一般的に用いられる各種の成分、例えば基剤、界面活性剤、増粘剤、保存剤、pH調整剤、安定化剤、刺激軽減剤、防腐剤、着色剤、分散剤、香料等を配合することができる。なお、これらの成分は1種単独で、または2種以上を任意に組み合わせて配合することができる。 基剤:流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、ハードファット、マイクロクリスタリンワックス、タルク、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、エタノール、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸トリデシル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピルなどの油分、高重合メチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、アルキル変性ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、メチルシクロポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、ステアロキシメチルポリシロキサン、セトキシメチルポリシロキサン、セチルジメチコン、セチルジメチコンコポリオール、ラウリルメチコンコポリオール、ステアリルジメチコンコポリオール、アクリル酸アルキル共重合体メチルポリシロキサンエステル、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型メチルフェニルポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーンなどのシリコーンなど。 界面活性剤:ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリン脂肪酸類、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60などの硬化ヒマシ油誘導体、モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリンアルキルエーテルなど。 増粘剤:グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、デキストラン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト、デキストリン脂肪酸エステルなど。 保存剤:安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノールなど。 pH調整剤:無機酸(塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸など)、有機酸(乳酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、プロピオン酸、酢酸、アスパラギン酸、イプシロン−アミノカプロン酸、グルタミン酸、アミノエチルスルホン酸など)、グルコノラクトン、酢酸アンモニウム、無機塩基(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなど)、有機塩基(モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、リジンなど)など。 これらの成分は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。またそれらの配合量は、本発明の効果を奏すれば特に制限されないが、望ましくは薬事法上許容される上限配合量を限度に適宜選択使用することができる。具体的には、皮膚常在菌叢改善剤100重量部あたり通常0.001〜20重量部、好ましくは0.001〜10重量部、より好ましくは0.001〜5重量部の範囲から目的に応じて調製することができる。 本発明の皮膚常在菌叢改善剤は、必要に応じて薬理活性成分や生理活性成分を配合し、さらに必要に応じて通常使用される外用剤の基剤等の各種の成分を配合することによって、ペースト剤、ムース剤、ジェル剤、液剤(乳液含む)、軟膏剤、クリーム剤、シート剤(基材担持)、エアゾール剤、スプレー剤などの各種所望の形態に調製することができる。これらは当業界の通常の方法にて製造することができ、好ましくは、ジェル剤、液剤、軟膏剤、クリーム剤、エアゾール剤、スプレー剤であり、特に好ましくは液剤、軟膏剤、クリーム剤である。 軟膏剤またはクリーム剤の場合、粘度はBH型粘度計、No.7ローターで20rpmで測定した場合に、10000〜200000mPa・sの粘度を備えていればよいが、指取り性や塗布しやすさなどの観点から、好ましくは30000〜150000mPa・s、さらに好ましくは、30000〜100000mPa・sが好ましい。 本発明の皮膚常在菌叢改善剤は、通常pH2〜9の液性を備えていればよいが、皮膚や粘膜に対する低刺激性、及び皮膚使用感のよさという観点から、好ましくはpH4.0〜8.0、特に好ましくはpH4.0〜6.0であることが望ましい。 本発明の皮膚常在菌叢改善剤は、例えば、ファンデーション、口紅、マスカラ、アイシャドウ、アイライナー、眉墨及び美爪料等のメーキャップ化粧料;乳液、クリーム、ローション、オイル及びパックなどの基礎化粧料;洗顔料やクレンジング、ボディ洗浄料、洗髪料などの洗浄料;腋臭防止剤、水虫治療剤、鎮痒剤、創傷治癒剤、清拭剤、清浄剤、消炎鎮痛剤、にきび治療剤、痔疾用剤、殺菌消毒剤、美白剤、紫外線防御剤、抗炎症剤、育毛剤、ヒアルロン酸産生促進剤、コラーゲン産生促進剤、メラニン産生抑制剤などの、化粧品、外用医薬品または外用医薬部外品の分野に属する各種の外用組成物とすることができる。皮膚への作用効果から、本発明は外皮に適用される製品に使用される、基礎化粧料、洗浄料、とびび治療剤、褥瘡治療剤、にきび治療剤、鎮痒剤、創傷治癒剤、殺菌消毒剤、抗炎症剤が好ましい。さらに、各オリゴ糖が本来有する機能や皮膚常在菌叢改善効果から、基礎化粧料、洗浄料、とびび治療剤、褥瘡治療剤、にきび治療剤、抗炎症剤が特に好ましい。 以下に本発明を実施例及び試験例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等に限定されるものではない。 なお、以下の試験例と実施例においては、ウロン酸残基を有するキシロオリゴ糖としてUX10(平均重合度10.3、キシロース鎖長の上限と下限との差10、キシロオリゴ糖1分子あたりの4−O−メチルグルクロン酸数1のナトリウム塩)(王子製紙製)を用いた。 試験例1 ブドウ球菌の混合培養による菌数の増減評価 培養培地としてはSCD液体培地(栄研化学製)を用いた。この培地に最終濃度20重量%になるようにUX10を添加した(実施例1)。黄色ブドウ球菌(ATCC6538)(以下、SA菌と称する)及び表皮ブドウ球菌(ATCC12228)(以下SE菌と称する)をそれぞれ約8×106CFU/mLとなるように培地に混合接種した。比較例としては、SCD液体培地にSA菌およびSE菌を同様に混合接種したものを用いた。これらの試験培地を37℃で12時間培養した後、各菌数を測定した。 結果を表1に示す。 UX10を添加していない比較例では、SA菌、SE菌のいずれも菌数が増加していたうえに、SA菌の割合が約98%まで上昇していた。他方、UX10を添加した実施例1では、SE菌の菌数に変化はなかったが、SA菌の菌数が減少したため、SA菌の割合が約2.7%に減少していた。 この結果より、UX10はSA菌に対して選択的に静菌作用を示し、SE菌の割合を増大する事がわかる。正常な皮膚では、SE菌とSA菌が1:1で存在することはありえず、SA菌は極く少数であるか存在しない。しかし、何らかの原因で皮膚の菌叢が上記のように異常な状態になったとしても、SE菌を優勢にすることで菌叢を正常化し、皮膚常在菌の機能を発揮させることにより、皮膚疾患を予防および治療することができる。 試験例2 アクネ菌の単独培養による菌数の増減評価 GAM液体培地(日水製薬製)に最終濃度10重量%若しくは5重量%になるようにUX10を添加した。皮膚常在菌であるが、ニキビの原因ともなりうるアクネ菌(ATCC 6919)(以下PA菌と称する)を約6×105CFU/mLとなるように接種した。比較として、GAM液体培地に同様に菌を接種した。これらの試験培地を37℃5日間嫌気培養した後、各菌数を測定した。 結果を表2に示す。 比較例では菌数が108に達していることから、実験条件が非常に菌が増殖しやすいことを示している。このような条件にもかかわらず、実施例ではUX10の濃度依存的にPA菌の増殖が抑制された。特に実施例3では菌の増殖が比較例の4.3%に抑制されており、顕著な増殖抑制効果を示している。 さらに、培地を水で5倍希釈し、開始時の菌数5.8×105 CFU/mLで同様の試験を行ったところ、以下の結果を得た。 結果を表3に示す。 上記の実験結果もまた、UX10未添加(比較例3)ではPA菌が増殖している条件下で、UX10を添加した実施例4、5では濃度依存的にPA菌の増殖が抑制されることを示している。 これらの結果より、UX10はPA菌に対して緩やかな増殖抑制効果を有することから、PA菌本来の、皮膚を酸性に保つ働きをする有用菌としての機能を期待できる。 試験例の結果から、ウロン酸残基を有するキシロオリゴ糖は、黄色ブドウ球菌が存在する場合に、皮膚常在菌である表皮ブドウ球菌の菌叢中の割合を正常化する作用を有すること、およびアクネ菌に対しては穏やかな静菌作用を有することが明らかになった。即ち、ウロン酸残基を有するキシロオリゴ糖は、皮膚常在菌叢を正常化し健康な皮膚を維持するのに有用であり、皮膚常在菌叢改善効果を有するものである。 以下に製剤例を挙げる。製剤例1:クリーム剤公知の方法に準じ、以下の組成を有するpH5〜6の皮膚常在菌叢改善剤(クリーム)を製造した。製剤例2:液剤公知の方法に準じ、以下の組成を有するpH5〜6の皮膚常在菌叢改善剤(化粧水)を製造した(単位:w/v)。製剤例3:クリーム剤公知の方法に準じ、以下の組成を有するpH5〜6の皮膚常在菌叢改善剤(洗顔フォーム)を製造した。製剤例4:ゲル剤公知の方法に準じ、以下の組成を有するpH5.5の皮膚常在菌叢改善剤(ゲル)を製造した(単位:w/v)。製剤例5:皮膚常在菌叢改善剤(ゲル剤)公知の方法に準じ、以下の組成を有するpH6.0の皮膚常在菌叢改善剤(ゲル)を製造した(単位:w/v%)。製剤例6:液剤公知の方法に準じ、以下の組成を有するpH5〜6の皮膚常在菌叢改善剤(化粧水)を製造した(単位:w/v)。製剤例7:液剤公知の方法に準じ、以下の組成を有するpH4.5の皮膚常在菌叢改善剤(化粧水)を製造した(単位:w/v)。製剤例8:液剤公知の方法に準じ、以下の組成を有するpH5.5の皮膚常在菌叢改善剤(化粧水)を製造した(単位:w/v%)。製剤例9:液剤公知の方法に準じ、以下の組成を有するpH5.0の皮膚常在菌叢改善剤(乳液)を製造した(単位:w/v%)。製剤例10:クリーム剤公知の方法に準じ、以下の組成を有するpH5.0の皮膚常在菌叢改善剤(クリーム)を製造した(単位:w/w%)。製剤例11:クリーム剤公知の方法に準じ、以下の組成を有するpH6.0の皮膚常在菌叢改善剤(洗浄料)を製造した。 本発明の皮膚常在菌叢改善剤は皮膚常在菌叢のバランスの崩れを予防または正常化し、皮膚を健康に維持するために役立つ。 ウロン酸残基を有するキシロオリゴ糖を含有する皮膚常在菌叢改善剤。 ウロン酸がグルクロン酸、4−O−メチル−グルクロン酸またはそれらの塩である請求項1に記載の皮膚常在菌叢改善剤。 さらに、抗炎症剤、ビタミン剤、保湿剤、抗菌剤および局所麻酔剤からなる群から選択される1種または2種以上の成分を含有する請求項1または2に記載の皮膚常在菌叢改善剤。 液剤、軟膏剤またはクリーム剤である請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚常在菌叢改善剤。 【課題】 皮膚常在菌叢のバランスの崩れを予防または正常化し、皮膚を健康に維持するための手段を提供する。【解決手段】ウロン酸残基を有するキシロオリゴ糖を含有する皮膚常在菌叢改善剤。【選択図】なし