タイトル: | 公開特許公報(A)_歯磨き組成物 |
出願番号: | 2005257107 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | A61K 8/00,A61Q 11/00 |
加藤 和彦 JP 2007070261 公開特許公報(A) 20070322 2005257107 20050905 歯磨き組成物 花王株式会社 000000918 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 的場 ひろみ 100101317 守屋 嘉高 100121153 大野 詩木 100134935 松田 政広 100130683 加藤 和彦 A61K 8/00 20060101AFI20070223BHJP A61Q 11/00 20060101ALI20070223BHJP JPA61K7/16 1 OL 8 4C083 4C083AB051 4C083AB172 4C083AB282 4C083AB332 4C083AC122 4C083AC131 4C083AC132 4C083AC782 4C083AC862 4C083AD272 4C083AD352 4C083CC41 4C083DD22 4C083EE01 4C083EE06 4C083EE31 本発明は、エリスリトールを含有する歯磨き組成物に関する。 一般的に歯を磨く目的は、口腔内を清潔にし、清涼感を得ることにある。通常歯磨き組成物に配合されているメントールに代表される香料成分は、清涼感を付与するために必要不可欠なものであるが、近年、油っぽい食事や香辛料を多く使った食事が多くなる傾向があり、より高い清涼感を持った歯磨き組成物が望まれている。 清涼感を向上させる手段として、香料成分の配合量を増やしたり、エタノール等の溶剤成分を新たに添加するといった方法があるが、これらの成分の配合量を増やすと口腔内への刺激が強くなり、また泡立ちが抑制されるため、磨いたときの使用感を損ねるという問題が生じる。 従って、香料成分やエタノール等の溶剤の配合量を増やすことなく、より高い清涼感を得る歯磨き組成物が望まれる。 特許文献1には、エリスリトールなどの吸熱水和反応を起こす成分を含有し、かつ、水分量が10質量%以下であることを特徴とした、清涼感に優れる歯磨き組成物が開示されている。しかしながら、水分含量が低いために、粘結剤として配合されている水溶性高分子が十分に溶解せず、経時的に水分や他の液体成分が系外に染み出す現象が見られ、保存安定性に問題があった。また、清涼感は得られるものの口腔内ではっきりとした冷涼感を得るまでには至っていなかった。特開2000−191483号公報 本発明の目的は、高い清涼感、冷涼感、保存安定性を有し、さらにペーストに艶のあるエリスリトール含有歯磨き組成物を提供することである。 本発明者は、まず、歯磨き時の清涼感及び冷涼感を高める方法を検討した結果、特定の粒子径を有するエリスリトールを含有し、さらに、その含有量及び組成物中の水分量を調整することで、清涼感及び冷涼感を高め得ることがわかった。しかしながら、エリスリトールを高濃度配合するため、ペーストの艶が失われていた。そこで、ペーストの艶を付与するべく検討した結果、配合したエリスリトールの粒度の調整が有効であることを見出した。 すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):(A)粒子径355μm未満のエリスリトール 30〜60質量%(B)水 15〜30質量%(C)粘結剤 0.6〜3質量%を配合し、成分(A)中のエリスリトールの35質量%以上が粒子径が90μm未満である歯磨き組成物である。 本発明の歯磨き組成物は、粒子径が355μm未満のエリスリトール(成分(A))を含有することを特徴とする。通常入手可能なエリスリトールは、ブドウ糖を発酵させた後、再結晶して得られる結晶状のエリスリトールであり、その粒子径は本発明品のものよりも大きい。従って、本発明の歯磨き組成物には入手したエリスリトールを粉砕して粒子径を調整したものを使用することが好ましい。 エリスリトールの粉砕には、ローラミル、ハンマーミル、高速度粉砕機、パルベライザーなどを使用するのが一般的であるが、粒度の調整が簡便で、かつ、生産効率にも優れる高速度粉砕機、ハンマーミルによる粉砕が好ましい。 また、エリスリトールの構造としては、L−エリスリトール、D−エリスリトール、meso−エリスリトールの3種の異性体が存在するが、本発明はこれらいずれの構造のものであってもよい。結晶状のエリスリトールは、市販品としては、日研化学(株)、三菱化学フーズ(株)、セレスター社製等のものが入手可能である。 エリスリトールの粒子径は、清涼感、冷涼感を得られることから355μm未満であるが、3μm以上355μm未満が好ましい。口の中で冷涼感が持続するという観点から、45μm以上355μm未満が好ましく、さらに好ましくは45μm以上300μm未満、特に好ましくは45μm以上250μm未満である。 なお、エリスリトールの粒子径は以下のように測定される。篩:JIS標準篩 φ75mm目開き:上段より、それぞれ500μm、355μm、250μm、180μm、125μm、90μm及び45μmの目開きを有する篩の下に受器を有する。振盪機:ミクロ型電磁振動機M−2型(筒井理化学器機(株))方法:試料15gを500μm篩上に載せ、電磁振動機にて5分間分級する。250μm、180μm、125μm、90μm及び45μmの目開きを有する篩上に存在するエリスリトールの合計量を粒子径45μm以上355μm未満のエリスリトールとする。 また、45μm未満の粒度分布は乾式レーザー分布回折式粒度分布測定装置により測定することができる。 本発明の歯磨き組成物中、粒子径が355μm未満のエリスリトールの配合量は、30〜60質量%であるが、清涼感及び冷涼感の観点から、32〜55質量%が好ましく、より好ましくは35〜50質量%である。 また、ペーストに艶を付与する観点から、成分(A)中、粒子径が90μm未満のエリスリトール粒子は35質量%以上であることが必要であり、好ましくは成分(A)の40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上、特に好ましくは50質量%以上である。 本発明の歯磨き組成物中、水(成分(B))の含有量は、高い清涼感及び冷涼感並びに保存安定性の観点から、15〜30質量%、より好ましくは、15〜25質量%である。 本発明の歯磨き組成物中、粘結剤(成分(C))の含有量は、保存安定性の観点から、0.6〜3質量%、より好ましくは、0.7〜2質量%、さらに、より好ましくは、0.8〜1.2質量%である。本発明の粘結剤としては、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキプロピルセルロース、ペクチン、トラガントガム、アラビアガム、グアーガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タマリンドガム、サイリウムシードガム、ポリビニルアルコール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体からなる水溶性高分子を1種または2種以上使用するのが好ましい。 本発明の歯磨き組成物には、前記成分の他、例えば発泡剤、発泡助剤、研磨剤、湿潤剤、甘味剤、保存料、酵素、pH調整剤、殺菌剤、薬効成分、顔料、色素、香料等を適宜含有させることができる。 この場合、研磨剤としては、沈降性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、第2リン酸カルシウム・2水和物及び無水和物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、酢酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト、合成樹脂系研磨剤等が好適に用いられる。 湿潤剤としては、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、キシリトール、マルチット、ラクチット、トレハロース等が好適に用いられる。 更に、甘味剤としては、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ソーマチン、アセスルファムカリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等が挙げられる。 香料としては、l−メントール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、ペパーミント油、スペアミント油、オシメン、n−アミルアルコール、シトロネロール、α−テルピネオール、サリチル酸メチル、メチルアセテート、シトロネオールアセテート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、ピメント油、シソ油、丁子油、ユーカリ油等が挙げられる。 また、その他の各種有効成分としては、正リン酸のカリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性リン酸化合物、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ヒノキチオール、塩化リゾチーム、グリチルリチン酸及びその塩類、塩化ナトリウム、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、酢酸dl−トコフェロール、アズレン、グリチルレチン酸、銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ベルベリン、ヒドロキサム酸及びその誘導体、トリポリリン酸ナトリウム、ゼオライト、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、アミラーゼ、メトキシエチレン、無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エピジヒドロコレステリン、ジヒドロコレステロール、クエン酸亜鉛、トウキ、オウバク、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の抽出物、α−ビサボロール、クロルヘキシジン塩類、トリクロサン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、トリクロロカルバニリド等が挙げられる。 本発明の歯磨き組成物は、より高い清涼感を得る観点から、エリスリトールが粉末の状態で分散しているのが望ましい。そのためには、エリスリトールは製造の最終工程に、粉体のままで投入することが好ましい。このような製造方法を用いることで、エリスリトールは水にほとんど溶解せずに、歯磨き組成物中に粉末の状態で存在させることが可能となる。具体的には、例えば、精製水、湿潤剤、粘結剤、香味剤、保存料、研磨剤、発泡剤、甘味剤及び薬効成分等の各成分を処方量計測した後、一定の製造条件に従って混合し、粘結剤を十分に膨潤させ、さらに、研磨剤及び発泡剤、香味剤、粉末状のエリスリトールを加えて脱泡混合し、本発明の歯磨き組成物を製造できる。[歯磨き組成物の調製] 表1に示す組成に従って、実施例1〜4及び比較例1〜2の歯磨き組成物を調製した。なお、エリスリトールは最後に添加した。(1)清涼感の評価 被験者10名(男性5名、女性5名)が、歯ブラシに各歯磨き組成物1gをとり、約2分間自由にブラッシングし、口をすすいだ後のサッパリ感の強さを次の基準で評価した。なお、各表に示す判定の結果は10名中最も評価が多かったものを示した。<清涼感の評価基準> ◎:口の中のサッパリ感が強い ○:口の中のサッパリ感がやや強い ×:口の中のサッパリ感が弱い(2)保存安定性の評価 表1に示す歯磨き組成物を、それぞれ保存用の歯磨きチューブに詰め、5℃、室温、40℃で3ヶ月間保存した。その後、チューブを切り開いて、歯磨き組成物から液体成分が分離しているか否か次の基準で評価した。<保存安定性の評価基準> ◎:液体の分離が全く見られない ○:液体の分離がわずかに見られる ×:明らかに液体の分離が見られる(3)ペーストの艶の評価 被験者10名(男性5名、女性5名)が、歯ブラシに各歯磨き組成物1gをとり、比較例2の歯磨き組成物を基準として、ペーストの艶を次の基準で評価した。<ペーストの艶の評価基準> ◎:基準歯磨きよりも明らかにペーストに艶がある ○:基準歯磨きよりもややペーストに艶がある ×:基準歯磨きと同等又は同等以下のペーストの艶である(4)冷涼感の評価 被験者10名(男性5名、女性5名)が、歯ブラシに各歯磨き組成物1gをとり、約2分間自由にブラッシングし、比較例2の歯磨き組成物を基準として、冷涼感を次の基準で評価した。<冷涼感の評価基準> ◎:基準歯磨きよりも明らかに冷涼感がある ○:基準歯磨きよりもやや冷涼感がある ×:基準歯磨きと同等又は同等以下の冷涼感である 表1に示したように、実施例1〜4の歯磨き組成物では、粒子径が355μm以下のエリスリトールを多く含んでいるため、清涼感、ペーストの艶、冷涼感の即効性に優れるという結果だった。さらに、実施例2〜4の歯磨き組成物では、粒子径が355μm以下のエリスリトールをより多く含んでいるため、清涼感にさらに優れるという結果だった。また、実施例1〜4の歯磨き組成物は、エリスリトール中の35質量%以上が粒子径90μm未満であるため、多量のエリスリトールを含有しているにもかかわらずペーストに艶があった。また、水分を15〜30質量%及び粘結剤を0.6〜3質量%含むため長期の保存安定性にも優れていた。 一方、比較例1の歯磨き組成物では、エリスリトールを5質量%しか含んでおらず、また、組成物中の水分量も多いため、十分な清涼感及び冷涼感を得られなかった。また、比較例2の歯磨き組成物では、粒子径が355μm以上のエリスリトールを多く含んでいるため、ペーストの艶、冷涼感は、実施例1〜4に比べて劣り、また粘結剤の含有量も少ないため保存安定性が悪いという結果だった。 次の成分(A)、(B)及び(C):(A)粒子径355μm未満のエリスリトール 30〜60質量%(B)水 15〜30質量%(C)粘結剤 0.6〜3質量%を配合し、成分(A)中のエリスリトールの35質量%以上が粒子径が90μm未満である歯磨き組成物。 【課題】 高い清涼感、冷涼感、保存安定性を有し、さらにペーストに艶のあるエリスリトール含有歯磨き組成物の提供。【解決手段】 次の成分(A)、(B)及び(C):(A)粒子径355μm未満のエリスリトール 30〜60質量%(B)水 15〜30質量%(C)粘結剤 0.6〜3質量%を配合し、成分(A)中のエリスリトールの35質量%以上が粒子径が90μm未満である歯磨き組成物。【選択図】 なし