生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_1−デオキシノジリマイシンを高含有する組成物の製造方法
出願番号:2005254708
年次:2007
IPC分類:A61K 36/00,A61K 36/60,A23L 1/30,A61K 31/445,A61P 3/10


特許情報キャッシュ

宮澤 陽夫 仲川 清隆 木村 俊之 野木 照修 齋藤 裕子 小島 芳弘 JP 2007063233 公開特許公報(A) 20070315 2005254708 20050902 1−デオキシノジリマイシンを高含有する組成物の製造方法 国立大学法人東北大学 504157024 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 501203344 ミナト製薬株式会社 592001300 福島県 391041062 平木 祐輔 100091096 石井 貞次 100096183 藤田 節 100118773 藤井 愛 100125508 宮澤 陽夫 仲川 清隆 木村 俊之 野木 照修 齋藤 裕子 小島 芳弘 A61K 36/00 20060101AFI20070216BHJP A61K 36/60 20060101ALI20070216BHJP A23L 1/30 20060101ALI20070216BHJP A61K 31/445 20060101ALI20070216BHJP A61P 3/10 20060101ALI20070216BHJP JPA61K35/78 XA61K35/78 DA23L1/30 BA61K31/445A61P3/10 6 OL 10 特許法第30条第1項適用申請有り ▲1▼刊行物:日本農芸化学会2005年度大会講演要旨集 発行日:平成17年3月5日 発表日:平成17年3月29日 講演場所:札幌コンベンションセンター 開催者:社団法人日本農芸化学会 講演番号:29E022β ▲2▼刊行物:平成16年度福島県ハイテクプラザ 試験研究概要集 発行日:平成17年5月24日 発行元:福島県ハイテクプラザ ▲3▼刊行物:平成16年度福島県ハイテクプラザ 試験研究報告 発行日:平成17年7月1日 発行元:福島県ハイテクプラザ ▲4▼刊行物:福島県ハイテクプラザ 会津若松技術支援センター 技術・研究成果発表会パンフレット 開催日:平成17年7月22日 開催場所:福島県ハイテクプラザ 会津若松技術支援センター ▲5▼刊行物:日本食品科学工学会 第52回大会講演集 発行日:平成17年8月20日 発表日:平成17年8月30日 講演場所:北海道大学 人文・社会科学総合教育研究棟 開催者:社団法人日本食品科学工学会 講演番号:2Ba1 4B018 4C086 4C088 4B018MD08 4B018MD61 4B018MF01 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC21 4C086GA17 4C086MA01 4C086MA04 4C086MA52 4C086NA20 4C086ZC35 4C088AB34 4C088AC05 4C088BA07 4C088BA09 4C088BA10 4C088BA11 4C088BA33 4C088CA08 4C088MA52 4C088NA20 4C088ZC35 本発明は、1−デオキシノジリマイシンを高含有する組成物の製造方法に関する。 現在、我が国では、6人に一人が糖尿病又はその予備軍であると言われており、糖尿病の予防と対策は急務となっている。桑葉には、1−デオキシノジリマイシンと呼ばれるブドウ糖の類縁化合物が含まれ、これを摂取すると、消化管でα−グルコシダーゼを競争的に阻害し、血糖値の上昇を抑制する。この血糖値改善作用は、糖尿病の予防につながるものとして注目されている。 こうした背景から、近年、1−デオキシノジリマイシンを含有する桑葉製品(桑茶、桑食品、サプリメント)が販売されている。桑葉を加工する方法としては従来、桑葉をそのまま、又は蒸気、熱湯でブランチングして乾燥させ、その後粉砕して粉末にする方法や、特許文献1に記載されるような、桑葉を粉砕して桑葉粉砕物とし、この桑葉粉砕物を熱風で乾燥させる方法が知られている。しかしながら1−デオキシノジリマイシンは、桑葉に0.06%程度とごく低濃度しか存在せず、血糖値改善効果を期待するにはかなりの桑葉加工品を摂取する必要があるという問題があった。 一方、1−デオキシノジリマイシンを濃縮する製造技術として、桑葉から水及びアルコール又はその混合溶液により抽出した桑葉エキスを陽イオン交換樹脂又は活性炭で脱色・脱臭処理し、製造する方法が報告されている(特許文献2)。しかし、陽イオン交換樹脂や活性炭を用いる操作は煩雑であり、コスト及び効率の観点から問題がある。このため1−デオキシノジリマイシンを高濃度で含有する桑葉製品を安価に製造するための方法が望まれていた。特開2002−171918公報特開2001−333728号公報 発明者らは1−デオキシノジリマイシンの測定法を開発し(特開2004−294384)、市販桑葉製品の1−デオキシノジリマイシン含量を測定したところ、製品間・ロット間で非常に大きなばらつきがあり、中には全く1−デオキシノジリマイシンを含んでいないものすら存在することを見出した。したがって、本発明は、1−デオキシノジリマイシンを高含有する組成物を安定的かつ効率的に製造することを目的とする。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、桑樹のうち特定の品種において1−デオキシノジリマイシン含量が高いこと、並びに桑葉のうち若葉の部分に1−デオキシノジリマイシンが高濃度で含まれていることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。(1)桑葉から1−デオキシノジリマイシンを含有する組成物を製造する方法であって、 実質的に、桑樹の枝先端から50cm以内の部位に生えている桑葉のみを用いることを特徴とする、前記方法。(2)桑葉として、鶴田、松本一号、はやてさかり、たちみどり及び改良秋田からなる群から選択される品種の桑葉を用いる、(1)記載の方法。(3)桑葉から1−デオキシノジリマイシンを含有する組成物を製造する方法であって、 鶴田、松本一号、はやてさかり、たちみどり及び改良秋田からなる群から選択される品種の桑葉を用いることを特徴とする、前記方法。(4)桑葉として、鶴田の桑葉を用いる、(2)又は(3)記載の方法。(5)桑葉を乾燥する工程、及び乾燥した桑葉を、水、又は水及び親水性有機溶媒を含む溶媒で抽出する工程を含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。(6)水及びエタノールを含む溶媒であって、エタノール比が50重量%以下である溶媒を用いて抽出する、(5)記載の方法。 本発明により、1−デオキシノジリマイシンを高濃度で含む組成物を安定的かつ効率的に製造することができる。 本発明において、1−デオキシノジリマイシンとは、下記の式I:で表される化合物を意味する。1−デオキシノジリマイシンは桑科植物に含まれることが知られており、小腸二糖類分解酵素であるスクラーゼやマルターゼの阻害物質であること、血糖値上昇抑制効果があることが報告されている(Y. Yoshikuni : Agric. Biol. Chem., 52, (1), 121 (1988))。 本発明者らは、桑樹の枝先端部分に生えている若葉には、収穫時期や品種にかかわらず、1−デオキシノジリマイシンが高濃度で含まれていることを見出した。従って、一実施形態において本発明は、桑葉から1−デオキシノジリマイシンを含有する組成物を製造する方法であって、実質的に、桑樹の枝先端から50cm以内、好ましくは30cm以内、より好ましくは20cm以内の部位に生えている桑葉のみを用いることを特徴とする方法に関する。 ここで、実質的に桑樹の枝先端から50cm以内の部位に生えている桑葉のみを用いるとは、当該部位に生えている桑葉を主要な原料として用いることを意味し、その他の部位に生えている桑葉が原料に少量含まれている場合も包含する。具体的には、原料桑葉として、該当部位に生えている桑葉を80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上含むものを使用する。 上記のような若葉を原料桑葉として用いることにより、従来のように全部位の桑葉を原料として用いた場合と比較して、1−デオキシノジリマイシンを高濃度、具体的には2〜3倍の濃度で含む組成物を効率的に製造することができる。 本発明者らはまた、桑の各品種について1−デオキシノジリマイシンの含量を測定したところ、鶴田、松本一号、はやてさかり、たちみどり及び改良秋田、特に、鶴田において1−デオキシノジリマイシンの含量が高いことを見出した。従って、一実施形態において本発明は、桑葉から1−デオキシノジリマイシンを含有する組成物を製造する方法であって、鶴田、松本一号、はやてさかり、たちみどり及び改良秋田からなる群から選択される品種、特に鶴田の桑葉を用いることを特徴とする方法に関する。原料として上記品種の桑葉を用いることにより、従来桑葉製品に使用されている品種である一ノ瀬を用いた場合と比較して、1−デオキシノジリマイシンを1.3倍以上、特に鶴田を用いた場合は4倍以上含む組成物を製造することができる。当該方法において、原料として、単独品種の桑葉を用いてもよいし、複数種の品種を組み合わせて用いてもよい。 上記原料桑葉からの1−デオキシノジリマイシンを含む組成物の製造方法は、桑葉の若葉を用いること及び/又は上記品種の桑葉を用いることを除き、常法に従って実施でき特に制限されないが、当該方法は、通常、採取した原料桑葉を洗浄後、乾燥する工程を含む。桑葉を乾燥することにより、1−デオキシノジリマイシンを濃縮することができる。 桑葉を乾燥する工程は、当技術分野で通常用いられる方法によって実施することができる。例えば、凍結乾燥、真空凍結乾燥、噴霧乾燥、熱風乾燥、製茶機を用いる乾燥、低温除湿乾燥等を使用できる。凍結乾燥は常法に準じて行なうことができ、例えば、桑葉を、凍結乾燥器内に配設し、−25〜−15℃程度で24時間程度予備凍結させた後、1mmHg以下の減圧度で24〜48時間程度凍結乾燥させることにより行われる。噴霧乾燥も常法に準じて行うことができ、例えば、桑葉の破砕物を適量の水に分散させ、噴霧乾燥機を用い、熱風入口温度130〜180℃程度、熱風出口温度60〜90℃程度の条件下で噴霧乾燥させることにより行われる。熱風乾燥も常法に準じて行うことができ、例えば、通風乾燥機を用い、40〜70℃程度、好ましくは50〜60℃程度で、2〜6時間程度、好ましくは3〜5時間程度乾燥させることにより行われる。製茶機による乾燥は、通常、冷却工程、粗揉工程、揉捻工程、中揉工程、精揉工程、及び乾燥工程を含む。本発明においては、製茶機を用いて乾燥を行うのが好ましい。製茶機を用いて桑葉を乾燥することにより、クロロフィルが人体に有毒なフェオホルバイドに変化するのを抑制することができる。 本発明の一実施形態においては、桑葉を乾燥した後、さらに、水、親水性有機溶媒、例えばエタノール、又はそれらの混合液で抽出を行う。好ましくは水、又は水及び親水性有機溶媒、好ましくはエタノールを含む溶媒で抽出を行う。水及びエタノールを含む溶媒におけるエタノールの比は、好ましくは50重量%以下、より好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは10〜25重量%である。水、又はエタノールを上記のような比で含む混合溶媒を用いることにより、1−デオキシノジリマイシンをより効果的に組成物中に抽出することができる。抽出時間は、通常0.5〜5時間、好ましくは2〜3時間である。 一実施形態では、上記で得られた抽出物をさらに乾燥することにより、1−デオキシノジリマイシン含有率がさらに高い組成物を得ることができる。乾燥方法としては、特に制限されないが、例えば、凍結乾燥、真空凍結乾燥、噴霧乾燥、熱風乾燥、低温除湿乾燥等が挙げられる。大量連続処理が可能であり、乾燥速度が速い、熱の影響を受けにくいなどの理由から、好ましくは、噴霧乾燥により乾燥を行う。乾燥して粉末状とすることにより、保存性が高まるとともに、桑葉製品の製造において都合よく使用できる。 本発明において、1−デオキシノジリマイシンを含む組成物は、桑葉から製造され1−デオキシノジリマイシンを含有する限りその形態は特に制限されず、桑葉破砕物、桑葉の乾燥物及びその抽出物、桑葉抽出物、並びに前記抽出物の乾燥物等が包含され、これらを用いて製造した製品、好ましくは飲食品も包含される。飲食品には健康食品や機能性食品も包含される。具体的には、茶及び茶飲料、並びに細粒、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、流動食等の各種医薬形態の飲食品が挙げられる。医薬形態の飲食品は、上記のように桑葉から製造された乾燥粉末や抽出物等に適当な賦形剤(例えば、でん粉、加工でん粉、乳糖、ブドウ糖、水等)を加えた後、慣用の手段を用いて製造することができる。さらに、本発明の組成物は、スープ類、ジュース類、乳飲料、ココア飲料、ゼリー状飲料などの液状飲食品、プリン、ヨーグルトなどの半固形飲食品、パン、菓子、うどんなどの麺類、クッキー、チョコレート、キャンディ、せんべいなどの菓子、ふりかけ、バター、ジャムなどのスプレッド類等の形態もとりうる。 本発明の組成物には、種々の食品添加物、例えば各種栄養素、種々のビタミン、ミネラル、食物繊維、多価不飽和脂肪酸、分散剤及び乳化剤等の安定剤、甘味料、呈味成分、フレーバー等を配合することができる。また、液状飲食品は、最初から液状食品として調製してもよいが、粉末又はペースト状で調製し、所定量の水性液体に溶解するものとしてもよい。 本発明により、1−デオキシノジリマイシンを高濃度で含む組成物を安価に提供することができる。また、1−デオキシノジリマイシンの含量についてロットごとにばらつきの少ない製品を製造することができる。(実施例1)1−デオキシノジリマイシンを高含有する桑樹品種の特定試料調製 福島県農業試験場梁川支場(福島県梁川町)で標準栽培された桑樹(樹齢10〜15年)34品種(改良鼠返、一ノ瀬、鶴田、松本一号、はやてさかり、たちみどり、改良秋田、みつさかり、わせみどり、多古早生、あつばみどり、しんいちのせ、なつのぼり、富栄桑、類無、あおばねずみ、おおゆたか、赤木、安曇桑、はちのせ、ひのさかり、収穫一、市平、きぬゆたか、千曲大葉、ゆきあさひ、国桑21号、みつしげり、魯桑、みつみなみ、みつさかり、しんけんもち、青木高助、節曲)を対象とした。これらの桑葉を2004年6月15日に採取した。桑葉を水で洗浄後、真空凍結乾燥した後、粉末化した。1−デオキシノジリマイシン定量 粉末に含まれる1−デオキシノジリマイシンを定量するため、以下のように測定試料溶液を調製した。凍結乾燥粉末100mgに50%アセトニトリル/水(6.5mM酢酸アンモニウムを含む、pH5.5)1mLを加え、超音波破砕機で1分間抽出を行い、15000×gで遠心し、上清を45μmポアサイズのPTFEメンブランで濾過し、濾液を測定試料溶液とした。 1−デオキシノジリマイシンの定量は、光散乱検出−高速液体クロマトグラフ(HPLC−ELSD)法で行った(特開2004−294384号公報)。HPLCは、島津製作所LC10システム(ポンプ:LC10AD、カラム恒温槽:CTO−10A、オートサンプラー:SIL−10A、データ処理装置:C−R6A)を使用した。カラムは東ソー社製TSKgel Amide−80(4.6x250mm)を用い、カラム温度40℃、移動相は81%アセトニトリル/水(6.5mM酢酸アンモニウムを含む、pH5.5)、流速1mL/minのアイソクラティック条件で溶出した。ELSD検出器はSedere社製SEDEX55を使用した。ドリフト管温度を60℃、窒素噴霧ガス圧を1.0barとした。上記の桑葉試料10μLをHPLC−ELSDに導入した。桑葉1−デオキシノジリマイシン量は、1−デオキシノジリマイシン標品を用いた検量線から算出した。 図1に、各桑樹品種における桑葉1−デオキシノジリマイシン(DNJ)含量を示す。桑葉の1−デオキシノジリマイシン含量は、品種間で大きく異なった。とくに「鶴田」は、一般的品種である「改良鼠返」、「一ノ瀬」と比較し、4倍以上の1−デオキシノジリマイシンを含有していた。また、「松本一号」、「はやてざかり」、「たちみどり」、「改良秋田」の1−デオキシノジリマイシン含量も高値であった。これらの品種を活用することで、1−デオキシノジリマイシン高含有桑葉製品が製造できることが示された。(実施例2)1−デオキシノジリマイシンを高含有する桑葉部位 福島県農業試験場梁川支場(福島県梁川町)で標準栽培(樹齢10〜15年)された桑樹3品種(改良鼠返、一ノ瀬、鶴田)を対象とした。これらの枝を2004年9月16日に採取し、3等分(枝先端より上・中・下部とする)した。上・中・下部の枝からそれぞれ桑葉を採取し、実施例1と同様に処理し、HPLC−ELSD法で1−デオキシノジリマイシン含量を定量した。 図2に上・中・下部の枝からそれぞれ採取した桑葉の1−デオキシノジリマイシン含量を示す。枝上部から採取した葉(若葉)の1−デオキシノジリマイシン含量は、中・下部に比較し2〜4倍高値であった。従って、桑の若葉(新芽、特に枝先端より30cm以内のもの)を活用することで、1−デオキシノジリマイシン高含有桑葉製品を製造できることが示された。(実施例3)1−デオキシノジリマイシン高含有桑葉茶の製造 福島県農業試験場梁川支場(福島県梁川)で標準栽培(樹齢10〜15年)された桑樹(鶴田)を対象とした。枝先端より30cm以内の若葉(新芽)を2004年9月16日に採取した。桑葉(10kg)を洗浄後、製茶機で乾燥し、桑葉茶を製造した。製茶機による加工は以下のように行った(図3参照)。細断:桑葉を裁断機(GTC25、(株)フォルテ静岡製)にて約5cm幅に細断した。蒸し:給葉機(300K−1、カワサキ機工(株)製)を使用して、桑葉の投入量を生葉流量計で調節し、蒸機(300KE−MS、カワサキ機工(株)製)で約190℃の蒸気で40秒の蒸し条件で処理した。冷却:冷却機(300K−1、カワサキ機工(株)製)送風により桑葉を40〜50℃に冷却した。粗揉:バッチ式で、1バッチ桑葉約40kgを3回処理した。送風温度95℃付近で約50分間、処理した(粗揉機60K、カワサキ機工(株)製)。揉捻:30〜40分処理した(揉捻機60K高床、カワサキ機工(株)製)中揉:35℃付近で加温送風しながら、20分間処理した(中揉機60K−1、カワサキ機工(株)製)。精揉:機械温度100℃で60分間処理した(精揉機60K、カワサキ機工(株)製)。乾燥:95℃、15分処理した(自動乾燥機60K−2、カワサキ機工(株)製)。乾燥桑葉の重量は31kgであった(生葉からの重量比22%)。 得られた乾燥葉を粉末化し、当該粉末100mgに50%アセトニトリル/水(6.5mM酢酸アンモニウムを含む、pH5.5)1mLを加え、超音波破砕機で1分間抽出を行い、15000×gで遠心し、上清を45μmポアサイズのPTFEメンブランで濾過し、濾液を測定試料溶液として、実施例1と同様に1−デオキシノジリマイシン含量を測定した。従来の桑葉茶製品(品種:一ノ瀬、全部位の桑葉を使用したもの)についても同様に、1−デオキシノジリマイシン含量を測定した。 その結果、本実施例で得られた桑葉茶の1−デオキシノジリマイシン含量は乾燥重量あたり0.22%であるのに対し、従来の桑葉茶製品(品種:一ノ瀬、全部位の葉を使用したもの)の1−デオキシノジリマイシン含量は乾燥重量あたり0.056%であった。従って、本発明の方法によって得られた桑葉茶は、従来の桑葉茶製品と比較して、約4倍の1−デオキシノジリマイシン含量を有することが示された。(実施例4)1−デオキシノジリマイシン含有粉末の製造 さらに、実施例3で得られた桑葉茶(1kg)に、水とエタノールの混合溶液(5:5)10Lを加え、抽出液(桑葉エキス、8L)を得た。これを熱風乾燥・粉砕し、粉末(100g)を製造した。この1−デオキシノジリマイシン高含有桑葉粉末と、市販の桑葉製品(桑茶、桑食品、サプリメント)について、実施例1と同様に処理し、HPLC−ELSD法で1−デオキシノジリマイシン含量を測定した。 上記で得られた1−デオキシノジリマイシン高含有桑葉粉末における1−デオキシノジリマイシン含量は乾燥重量あたり2%であり、市販の桑葉製品(乾燥重量あたり0.1〜0.5%)に比べ約4〜20倍であった。(実施例5)1−デオキシノジリマイシン抽出条件の検討 桑葉を抽出する溶媒として、水、並びに水及びエタノールを含む溶媒を用い、水/エタノールの比を変え、1−デオキシノジリマイシンを効率的かつ高純度に抽出できる方法を検討した。 製茶機を使用し製造した乾燥桑葉(品種:一ノ瀬、約0.5g)を各種溶媒比の水/エタノール溶媒で抽出した。得られた抽出液を5分間ボルテックスにかけ、0.45μmフィルターでろ過し、エタノールを減圧留去した後、凍結乾燥した。乾燥桑葉1gあたりに得られた凍結乾燥物の量(mg/g)を定量した(表1左)。さらに、上記凍結乾燥物をアセトニトリル/水(1:1、6.5mM酢酸アンモニウム、pH5.5)に溶解し、0.45μmフィルターでろ過し、HPLC−ELSDにより、凍結乾燥物における1−デオキシノジリマイシン含量(重量%)を測定し(表1右)、乾燥桑葉1gあたりの1−デオキシノジリマイシン回収量を算出した(表1中)。 1−デオキシノジリマイシン回収率が最も良いのは(5)であり、1−デオキシノジリマイシンの純度が最も高いのは(4)であった。また、乾燥桑葉抽出物を原料として凍結乾燥物を得た場合、従来の桑葉製品よりも5〜25倍の1−デオキシノジリマイシン回収率を得ることが出来た。この凍結乾燥物を製品に応用することにより、1−デオキシノジリマイシン含量の高い製品を製造することができる。 本発明により、大量かつ安価に1−デオキシノジリマイシン高含有桑葉製品を提供できる。本発明によって得られる桑葉製品は、1−デオキシノジリマイシンを高濃度で含むことから血糖値の抑制作用等を良好に発揮させることができ、糖尿病予防に向けた健康機能性食材として活用できる。実施例1において各品種の桑葉の1−デオキシノジリマイシン含量を測定した結果を示す。既存の桑葉製品で標準的に使われている品種「一ノ瀬」の全部位の葉における1−デオキシノジリマイシン含量に対する相対値で示す。記載値は3回測定の平均値±標準偏差である。実施例2において「鶴田」、「一ノ瀬」、「改良鼠返」について枝部位別の桑葉の1−デオキシノジリマイシン含量を測定した結果を示す。既存製品で標準的に使われている品種「一ノ瀬」の全部位の葉における1−デオキシノジリマイシン含量に対する相対値で示す。記載値は3回測定の平均値±標準偏差である。製茶機による加工の工程の概要を示す。 桑葉から1−デオキシノジリマイシンを含有する組成物を製造する方法であって、 実質的に、桑樹の枝先端から50cm以内の部位に生えている桑葉のみを用いることを特徴とする、前記方法。 桑葉として、鶴田、松本一号、はやてさかり、たちみどり及び改良秋田からなる群から選択される品種の桑葉を用いる、請求項1記載の方法。 桑葉から1−デオキシノジリマイシンを含有する組成物を製造する方法であって、 鶴田、松本一号、はやてさかり、たちみどり及び改良秋田からなる群から選択される品種の桑葉を用いることを特徴とする、前記方法。 桑葉として、鶴田の桑葉を用いる、請求項2又は3記載の方法。 桑葉を乾燥する工程、及び乾燥した桑葉を、水、又は水及び親水性有機溶媒を含む溶媒で抽出する工程を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。 水及びエタノールを含む溶媒であって、エタノール比が50重量%以下である溶媒を用いて抽出する、請求項5記載の方法。 【課題】 1−デオキシノジリマイシンを高含有する組成物を安定的かつ効率的に製造することを目的とする。【解決手段】 桑葉から1−デオキシノジリマイシンを含有する組成物を製造する方法であって、実質的に、桑樹の枝先端から50cm以内の部位に生えている桑葉のみを用いることを特徴とする前記方法、ならびに、鶴田、松本一号、はやてさかり、たちみどり及び改良秋田からなる群から選択される品種の桑葉を用いることを特徴とする前記方法。【選択図】 なし


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