生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_BOD測定方法
出願番号:2005249456
年次:2007
IPC分類:G01N 33/18


特許情報キャッシュ

田村 博 峰 哲哉 山森 武夫 JP 2007064741 公開特許公報(A) 20070315 2005249456 20050830 BOD測定方法 株式会社東芝 000003078 特許業務法人 天城国際特許事務所 110000235 田村 博 峰 哲哉 山森 武夫 G01N 33/18 20060101AFI20070216BHJP JPG01N33/18 105G01N33/18 BG01N33/18 C 4 OL 5 本発明は、排水中のBOD(生物学的酸素要求量)を測定するBOD測定方法に関する。 排水中のBODを測定する方法は従来から各種のものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。本発明はJISに定められた方法により、阻害物質の影響を受けることなく、正確にBODを測定する方法に関する。 BODの測定方法は一般的にJIS K0102−21(旧K0400−21)で行われる。この場合BODは、検体である排水の溶存酸素濃度の試験前と試験後の数値(mg/L)の差によって算出する。つまり、排水中に有機物が存在する場合、その分解に当って排水中の溶存酸素を消費することになる。試験では20℃で5日間の条件で行われる。通常、飽和溶存酸素濃度は、純水20℃1気圧において8.84mg/Lである。このため、有機物濃度が高い排水をそのまま測定するという訳にはいかず、希釈を行ない、希釈後の測定値と希釈倍率とから排水のBODを得ている。JISでは希釈倍率は以下のように定めている。 C1/3<(C1−C2)<2×C1/3 ここに,C1:希釈試料の培養前の溶存酸素の濃度(mg/L) C2:希釈試料の5日間後の溶存酸素の濃度(mg/L) 上記式において、(C1−C2)がBODに相当するので、上述した飽和溶存酸素濃度との関係から、測定されるBODは3〜6mg/Lの間になることが求められる。通常は中間値である4.4mg/Lを目標に、元の排水(原水)を希釈することになる。例えば,原水のBODを6,000mg/Lとした時の希釈は1360倍程度になる(6000÷1360=4.41)。 このように、原水のBOD濃度が高い場合は、大きな希釈倍率をとることができる。希釈倍率を大きくとれることは、排水中に生物阻害を生じる阻害物が含まれていても、この阻害物による影響をなくすことが出来る。 しかし、排水のBODがそれほど高くない場合は、阻害物が存在していても、目標とする測定値:4.4mg/Lを得るための希釈を行なうに当たって、十分大きな希釈倍率をとることができなくなる。例えば、BODが40mg/L程度と推定された場合、その希釈倍率は9倍となる。このように、9倍程度の希釈倍率の場合、阻害物濃度が十分小さくならずに生物阻害が現れることがある。 上記条件において、BODの測定値は、次式から本来4.4mg/Lとなるはずであるが、実際には生物阻害により4.4mg/Lより小さな値となる。 40mg/L÷9=4.4mg/L このため、割り戻した測定BOD濃度は、本来の値である40mg/Lより小さくなる。すなわち、希釈倍率によってBODが異なる現象が起き、真のBODが分らなくなってしまう。特開2002−333440号公報 このように、BOD測定のために必要な希釈倍率が、阻害物の影響を受けなくなるまで必要な希釈倍率より小さい場合、阻害物の影響が生じ、正確なBODの測定が困難となる。 言い換えると、BOD測定に必要な推奨された希釈倍率では、阻害物の影響を無視できないことがあり、その場合、正しいBODを測定できない。また、阻害物の影響が出ない倍率まで希釈すれば、JISで推奨する測定BOD濃度より小さくなる。このように、極めて小さいBOD濃度が得られた場合、割り戻した際の誤差が大きくなる。 本発明の目的は、十分な希釈倍率をとることができ、阻害物による影響を受けることなくBODを正確に測定できるBOD測定方法を提供することにある。 本発明のBOD測定方法は、BOD測定対象の原水を希釈水で希釈し、この希釈された混合水の所定時間後における溶存酸素消費量からBODを測定するBOD測定方法であって、前記希釈は、生物阻害を生じる阻害物濃度の影響がなくなる希釈倍率で、かつ希釈水のBOD濃度を、混合水のBODが推奨測定値となるように調整して行うことを特徴とする。 本発明では、推奨測定値が、3〜6mg/Lの間の適正値である。 また、本発明では、人工基質などでBOD濃度を調整した希釈水を用いる。 さらに、本発明では、阻害物が、各種重金属、キレート剤、次亜塩素酸ソーダなどの消毒剤、界面活性剤、タンニン、リグニンまたは硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫化水素などのいずれかである。 本発明によれば、原水に対する希釈水のBOD濃度を調整することにより、阻害物濃度の影響が生じない十分な希釈倍率で希釈でき、しかも推奨測定値で測定できることから、誤差の少ない正確なBODを測定することができる。 以下、本発明によるBOD測定方法の一実施の形態を詳細に説明する。 本発明のBOD測定方法は、BOD測定対象の原水を希釈水で希釈し、この希釈された混合水の所定時間後における溶存酸素消費量からBODを測定するBOD測定方法である。この場合、前記希釈は、生物阻害を生じる阻害物濃度の影響がなくなる希釈倍率で、かつ希釈水のBOD濃度を、混合水のBODが推奨測定値となるように調整して行う。 例えば、阻害物が混入している排水(混入している阻害物としては、各種重金属、キレート剤、次亜塩素酸ソーダなどの消毒剤、界面活性剤、タンニン、リグニンなど)、或いは、阻害物が処理過程で生じる排水(生成する阻害物としては、硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫化水素など)を、生物処理によって浄化する場合、その処理水のBODを正確に(希釈倍率による値の違いなく)測定する必要がある。本発明はこのような場合に用いられる方法であって、排水中の阻害物の影響を受けることなく正確にBODを測定することができる。 ここで、従来法での希釈水は、蒸留水あるいは同等の純度の水に各種塩溶液を加えたもので、有機物、酸化性又は還元性の物質、金属汚染がないものである。ところが、この希釈水では上述したように、阻害物の存在下で真のBODを測定できないことがある。 そこで、あらかじめBOD濃度が分っている試料を、人工基質等(ショ糖と栄養塩類などを加えたもの)と蒸留水により作成する。この資料のBOD濃度は、例えば、従来法の測定目標であるBOD4.4mg/Lとする。さらに、この試料を曝気してDO(溶存酸素濃度)8mg/L以上の希釈水を得る。 先ほどの、BODが40mg/L程度と推定される原水の例で、阻害物の影響をなくすために50倍の希釈が必要だとする。従来法で測定すると次式のようになる。 40mg/L÷50=0.8mg/L この場合の測定値:0.8mg/Lは、前述した推奨測定値:3〜6mg/Lの範囲に入らず、測定困難である。 また、従来法により、仮に5倍希釈を行った場合は次式のようになる。 40mg/L÷5=8.0mg/L この場合の測定値:8.0mg/Lも、前述した推奨測定値:3〜6mg/Lの範囲に入らず、本来測定できないケースである。しかし、実際には阻害物の影響で推奨値内に入って測定できることとなり、誤測定する可能性がある。 これに対し本発明方法では、BODが40mg/L程度と推定される原水の例において、BODを4.4mg/Lに調整した希釈水を用い、阻害物の影響がなくなる50倍の希釈率で希釈するものとする。この場合の、上記条件で希釈された混合水のBOD測定値は次式となる。 (40×1+4.4×49)÷50=5.1mg/L この場合の測定値:5.1mg/Lは、前述した推奨測定値:3〜6mg/Lの範囲に入り、正確な測定が可能となる。すなわち、阻害物の影響を受けない正確なBOD測定が可能となる。 このように、阻害物の影響がでなくなるまで十分希釈しても、BOD値は推奨測定値内に入り、信頼できる数値が得られる。 被測定水のBOD濃度が100mg/L以上と予測される場合には,希釈倍率を大きく取るか,希釈水のBOD濃度を推奨最小値の3mg/Lとする。 以下、表1に50倍希釈を行う時のBOD(mg/L)数値を示す。なお、表1における希釈水、混合水、被測定水は次のように定義する。 希釈水 :あらかじめBOD濃度が分っているもの。 混合水 :希釈混合後のもので実際にBOD濃度を測定するもの。 被測定水:BOD濃度を求めたいもの(原水)。 このように、被処理水(原水)のBODが9.4〜153.0であっても、希釈水のBODを4.4〜3.0に調整することにより、阻害物の影響の出ない50倍の希釈倍率で希釈することにより、混合水の測定値は、奨励測定値:3.0〜6.0の範囲内である4.5〜6.0の値となる。このことから、阻害物に影響を受けることなく被処理水のBODを正確に測定することができる。 BOD測定対象の原水を希釈水で希釈し、この希釈された混合水の所定時間後における溶存酸素消費量からBODを測定するBOD測定方法であって、 前記希釈は、生物阻害を生じる阻害物濃度の影響がなくなる希釈倍率で、かつ希釈水のBOD濃度を、混合水のBODが推奨測定値となるように調整して行う ことを特徴とするBOD測定方法。 推奨測定値が、3〜6mg/Lの間の適正値であることを特徴とする請求項1に記載のBOD測定方法。 人工基質などでBOD濃度を調整した希釈水を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のBOD測定方法。 阻害物が、各種重金属、キレート剤、次亜塩素酸ソーダなどの消毒剤、界面活性剤、タンニン、リグニンまたは硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫化水素などのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のBOD測定方法。 【課題】 十分な希釈倍率をとることができ、阻害物の影響を受けることなく正確にBODを測定することが出来るBOD測定方法を提供すること。【解決手段】 BOD測定対象の原水を希釈水で希釈し、この希釈された混合水の所定時間後における溶存酸素消費量からBODを測定するBOD測定方法であって、前記希釈は、生物阻害を生じる阻害物濃度の影響がなくなる希釈倍率で、かつ希釈水のBOD濃度を、混合水のBODが推奨測定値となるように調整して行う。


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